従来から、ガスコンロやIHコンロ等の加熱調理器を用いて食材等を加熱調理する際に発生する熱気や臭気を排気するために、該加熱調理を行う領域(加熱調理領域)の上方に排気用換気装置(換気扇やレンジフード型換気扇)が設置されるのが一般的である。
該排気用換気装置は、上述のように、加熱調理に伴う熱気等を外部に排出(排気)して室内の換気を行うものであるため、換気に伴って吸気ファン等が配設された装置内部には、油汚れ等が付着してしまう。そのため、定期的に油汚れ等の除去作業(清掃作業)が必要になるが、油汚れは非常に除去し難く、かかる清掃作業は非常に煩雑なものとなる。そこで、装置内部への油の流入を防止して清掃の簡素化を図るために、既設の排気用換気装置に対してフィルターを交換(着脱)可能に取り付けるためのフィルター取付具が提供されている。
図7に示すように、かかるフィルター取付具Pは、枠状をなして開口領域150を形成すると共に、該開口領域150を覆うように枚葉状のフィルターFを配置可能に構成された枠本体151と、該枠本体151上に配置されたフィルターFの外周縁部を枠本体151に向けて押さえ付け、枠本体151との間にフィルターFを挟み込んで保持するフィルター保持枠152とを備えている。尚、該フィルター取付具Pに採用されるフィルターFは、上述のように、加熱調理に伴う熱気を通過させるため、通気性、及び難燃性を有する樹脂製の不織布等で構成されている。
前記枠本体151は、既設の排気用換気装置に取り付けるための取付手段153(例えば、磁石や掛止具)が設けられている。これにより、かかるフィルター取付具Pは、図8に示すように、排気用換気装置100の吸気口101にフィルターFを対向させた状態(吸気口101をフィルターFで覆った状態)で、取付手段153を介して排気用換気装置100に取り付けることで、換気(排気)時における通気性を確保した上で排気用換気装置100の装置内部に油等が入り込むのを防止できるようになっている。
また、該フィルター取付具Pは、フィルター保持枠152を取り外すことでフィルターFの交換ができるようになっており、フィルターFに目詰まり等が発生したときに通気性の良い新たなフィルターFに取り替えることで、換気効率の低下を防止するようになっている。
ところで、排気用換気装置100に取り付けられているフィルター取付具Pの下方の加熱調理領域において、ぼや(小火)が発生した場合(例えば、天ぷら等の揚げ物を揚げる際に使用する調理用油に引火して火柱が上がった場合)に、フィルターFが炎に曝されると、該炎が燃え広がらないように難燃性を有するフィルターF自体が収縮する。
また、上記構成のフィルター取付具Pにおける枠本体151は、フィルターFへの気体の流入を考慮してフィルターFの外周縁部を支持するように構成されているため、フィルターFを排気用換気装置100に取り付けた場合、その開口領域150には該開口領域150を覆うように取り付けられているフィルターFだけが存在することになる。そのため、上述のように、該フィルターFが収縮すると、該フィルターFによって覆われていた前記開口領域150の大部分が開放されて前記吸気口101が露出してしまい、前記加熱調理領域から排気用換気装置100の内部までの間に炎を遮るものが一切なくなってしまう。そうなると、多量の炎(火柱や火の粉等)が直接排気用換気装置100の装置内部に到達してしまう。そして、排気用換気装置100内部が多量の炎に曝されることで吸気ファン等で構成される内部機構に引火し、火災が発生するといった問題が懸念される。
そこで、本考案は、斯かる実情に鑑み、排気用換気装置に取り付けられているフィルターの下方の調理領域において、調理用油への引火等によるぼやが発生したとしても、フィルター取付具よりも排気用換気装置側への炎の通過量を減少させ、排気用換気装置の延焼を防ぐフィルター取付具及びフィルター取付具用防炎部材を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解決すべく、本考案に係るフィルター取付具は、枠状をなして開口領域を形成すると共に、該開口領域を覆うように通気性を有する枚葉状のフィルターを配置可能に構成される枠本体を備え、排気用換気装置の吸気側を覆うように前記フィルターを該排気用換気装置に着脱可能に取り付けるためのフィルター取付具であって、前記フィルターを前記排気用換気装置に取り付けた際、吸気方向に炎が通過するのを防ぐために前記フィルターの前記排気用換気装置側に沿って且つ前記開口領域を覆うように配設されると共に、複数の通気開口が形成される防炎部材を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、フィルター取付具の防炎部材は、フィルターをフィルター取付具を介して排気用換気装置の吸気側を覆うように取り付けた際、フィルターの排気用換気装置側に沿って且つフィルター取付具における枠本体の開口領域を覆うように配設されると共に、複数の通気開口が形成されることから、フィルターを通過した空気(熱気)を前記複数の通気開口を介して排気することが可能であり、排気用換気装置を駆動することで室内の換気を行うことができる。
そして、フィルターが取り付けられている排気用換気装置の下方の加熱調理領域におけるぼや(小火)等の失火によって、フィルターが炎に曝されて収縮した場合であっても、前記開口領域をフィルター取付具用防炎部材が覆うように配設されているため、フィルター取付具(枠本体)の加熱調理領域側から排気用換気装置側へ(吸気方向へ)通過する炎の量を減少させることができる。
即ち、複数の通気開口が形成されている前記防炎部材が、枠本体に、その開口領域を覆うように配設されているため、該開口領域を通過しようとする炎は、防炎部材の前記通気開口からしかフィルター取付具(の開口領域)を通過できず、また、防炎部材の前記通気開口が形成されていない部分では炎が遮られてしまうため、防炎部材のない従来のフィルター取付具に比べ、フィルター取付具(枠本体)を加熱調理領域側から排気用換気装置側へ通過する炎の量を減らすことができる。
さらに、前記防炎部材は、フィルターを排気用換気装置に取り付けた際、フィルターの排気用換気装置側に沿うよう、枠本体に配設されることから、フィルター取付具全体の厚み(吸気方向、若しくはフィルター面と直交する方向における幅)を薄くすることができ、排気用換気装置のフィルター取付具取り付け位置から空気を排気するための排気(吸気)用ファンまでの距離が短いタイプの排気用換気装置においてもフィルターを取り付けることができる。
また、前記防炎部材の前記開口領域を覆う部分に形成される前記複数の通気開口の全通気開口領域が前記開口領域に対して30%以上且つ60%以下である構成としてもよい。
かかる構成によれば、防炎部材は、前記複数の通気開口の全通気開口領域が前記開口領域に対して30%以上且つ60%以下となるように設定されていることから、室内の換気をする際にフィルターを通過する空気(熱気)を排出するためには充分な開口率が確保されると共に、前記加熱調理領域におけるぼや等による炎(火柱や火の粉等)によって排気用換気装置が延焼しない程度にまで、フィルター取付具を吸気方向へ通過する、即ち、排気用換気装置の吸気口から装置内部に到達する炎の量を減少させることができる。その結果、加熱調理領域におけるぼや等の失火によって、前記排気用換気装置が延焼して発生する火災を防ぐことができる。
また、前記防炎部材は、該枠本体の開口領域を覆うように配置されたフィルターの外周縁部を前記枠本体に向けて押さえ付け、該枠本体との間に前記フィルターの外周縁部を挟み込んで保持できるよう、前記枠本体に取付手段を介して着脱可能に取り付けられる構成としてもよい。
かかる構成によれば、防炎部材は、枠本体に、該枠本体の開口領域を覆うように配置されたフィルターの外周縁部を前記枠本体に向けて押さえ付け、該枠本体との間に前記フィルターの外周縁部を挟み込んで保持できるよう、前記枠本体に取付手段を介して着脱可能に取り付けられる。そのため、フィルター取付具は、従来のような、枠本体上に配置されたフィルターの外周縁部を枠本体に向けて押さえ付け、枠本体との間にフィルターを挟み込んで保持するためのフィルター保持枠を備える必要がなくなる。
その結果、部品点数を減らして省コスト化を図ると共に、上記同様に、フィルター取付具(枠本体)を加熱調理領域側から排気用換気装置側へ通過する炎の量を減らすことができ、加熱調理領域におけるぼや等の炎によって、前記排気用換気装置が延焼し、火災が発生することを防ぐことができる。
また、前記複数の通気開口は、隣り合う通気開口同士が所定間隔をおいて規則正しく並ぶように形成される構成としてもよい。
かかる構成によれば、防炎部材に形成される前記複数の通気開口は、隣り合う前記通気開口同士が所定間隔をおいて規則正しく並ぶように形成されることから、前記複数の通気開口が防炎部材の前記開口領域に対応する部分(領域)に略均一に分布するように形成される。そのため、排気するための空気(熱気)がフィルターを通過する際、前記開口領域全域に亘って略均一に空気がフィルターを通過するようになり換気効率が向上する。
また、前記防炎部材は、少なくとも前記開口領域を覆う部分がパンチングボードで構成される構成としてもよい。
かかる構成によれば、種々のパンチングボードが既製品として販売されており、また、パンチング加工する場合でも加工が行い易いことから、防炎部材の少なくとも前記開口領域を覆う部分がパンチングボードで構成されている、換言すると、前記防炎部材の大部分がパンチングボードで構成されているため、該防炎部材の製作コストの削減(省コスト化)を図ることができ、よってフィルター取付具の製作コストの省コスト化をも図ることができる。
また、前記複数の通気開口は、平行に開口する複数本のルーバー状通気開口である構成としてもよい。
かかる構成によれば、前記複数の通気開口が平行に開口する複数本のルーバー状通気開口で構成されていることから、前記フィルターの面と直交する方向からは、前記開口領域を覆っている防炎部材を通して向こう側が見えない、即ち、加熱調理領域側から排気用換気装置側が見えないような通気開口形状であるため、かかる方向に沿って炎が防炎部材を通過することがほとんどなく、複数の通気開口の通気開口領域をそれぞれ大きくしても防炎効果が下がることはない(防炎効果が高い)。従って、全通気開口領域の前記開口領域に対する開口率を大きくして、換気のための通過可能な空気の流量を大きくすると共に、前記フィルターに直交する方向に沿った炎の通過量が減少する、即ち、高い防炎効果が得られる。その結果、換気効率が向上すると共に、防炎効果を向上させて前記換気装置の延焼による火災発生を防ぐことができる。
また、本考案に係るフィルター取付具用防炎部材は、枠状をなして開口領域を形成すると共に、該開口領域を覆うように通気性を有する枚葉状のフィルターを配置可能に構成されるフィルター取付具の枠本体に、該枠本体の開口領域を覆うように配置されたフィルターの外周縁部を前記枠本体に向けて押さえ付け、該枠本体との間にフィルターの外周縁部を挟み込んで保持できるよう、前記枠本体に取付手段を介して着脱可能に取り付けられるフィルター取付具用防炎部材であって、前記フィルターを排気用換気装置の吸気側を覆うように取り付けた際、吸気方向に炎が通過するのを防ぐために、前記フィルターの前記排気用換気装置側に沿って、且つ前記開口領域を覆うように配設されると共に複数の通気開口が形成されることを特徴とする。
かかる構成によれば、複数の通気開口が形成されるフィルター取付具用防炎部材は、枠状をなして開口領域を形成すると共に該開口領域を覆うように通気性を有する枚葉状のフィルターを配置可能に構成されるフィルター取付具の枠本体に、前記枠本体の開口領域を覆うように配置されたフィルターを押さえ付け、該枠本体との間でフィルターの外周縁部を挟み込んで保持するよう、前記枠本体に取付手段を介して取り付けられると、前記フィルターの排気用換気装置側に沿って且つ前記開口領域を覆うように位置し、かかる状態のフィルター取付具を排気用換気装置に取り付ける(設置する)と、前記同様に、フィルターを通過した空気(熱気)を前記複数の通気開口を介して排気することが可能であり、排気用換気装置を駆動することで室内の換気を行うことができる。そして、フィルターが取り付けられている排気用換気装置の下方の加熱調理領域におけるぼや等によってフィルターが炎に曝されて収縮した場合であっても、フィルター取付具(枠本体)を通過してを加熱調理領域側から排気用換気装置側へ(吸気方向へ)通過する炎の量を減少させることができる。
また、前記開口領域を覆う部分に形成される前記複数の通気開口の全通気開口領域が前記開口領域に対して30%以上且つ60%以下である構成としてもよい。
かかる構成によれば、フィルター取付具用防炎部材は、前記開口領域を覆う部分に形成される前記複数の通気開口の全通気開口領域が前記開口領域に対して30%以上且つ60%以下であることから、該フィルター取付具用防炎部材をフィルター取付具に取り付け、その状態のフィルター取付具を排気用換気装置に取り付けると、前記同様、室内の換気をするためにフィルターを通過する空気(熱気)を排出するには充分な開口率が確保されると共に、前記加熱領域におけるぼや等による炎(火柱や火の粉等)によって排気用換気装置が延焼しない程度まで、フィルター取付具を吸気方向へ通過する炎の量を減らすことができる。その結果、加熱調理領域におけるぼや等の失火によって前記排気用換気装置が延焼し、火災が発生することを防ぐことができる。
また、少なくとも前記開口領域を覆う部分がパンチングボードで構成される構成としてもよい。
かかる構成によれば、フィルター取付具用防炎部材の少なくとも前記開口領域を覆う部分がパンチングボードで構成されているため、前記同様、種々のパンチングボードが既製品として販売されており、また、パンチング加工する場合でも加工が行い易いことから、前記フィルター取付具用防炎部材の製作コストの省コスト化を図ることができる。
また、前記複数の通気開口は、平行に開口する複数本のルーバー状通気開口である構成としてもよい。
かかる構成によれば、フィルター取付具用防炎部材は、前記複数の通気開口が平行に開口する複数本のルーバー状通気開口で構成されていることから、該フィルター取付具用防炎部材をフィルター取付具に取り付け、その状態のフィルター取付具を排気用換気装置に取り付けると、前記同様、前記フィルターの面と直交する方向からは、前記開口領域を覆っている防炎部材を通して向こう側が見えないため、かかる方向に沿って炎がフィルター取付具用防炎部材を通過することがほとんどなく、複数の通気開口の通気開口領域をそれぞれ大きくしても防炎効果が高い。従って、全通気開口領域の前記開口領域に対する開口率を大きくして、換気のための通過可能な空気の流量を大きくすると共に、前記方向に沿った炎の通過量を減少させる、即ち、高い防炎効果が得られる。その結果、換気効率が向上すると共に、防炎効果を向上させて加熱調理領域におけるぼや等の失火によって前記排気用換気装置が延焼し、火災が発生することを防ぐことができる。
以上のように、本考案に係るフィルター取付具によれば、排気用換気装置に取り付けれらているフィルターの下方の調理領域において、調理用油の引火等によるぼや等が発生したとしても、フィルター取付具よりも排気用換気装置側への前記ぼや等による炎の通過量(到達量)を減少させ、排気用換気装置の延焼を防ぐフィルター取付具及びフィルター取付具用防炎部材を提供することができるようになる。
以下、本考案の一実施形態に係るフィルター取付具について、添付図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態に係るフィルター取付具の一構成要素である後述の防炎部材(防炎プレート)と本考案の一実施形態に係るフィルター取付具用防炎部材(フィルター取付具用防炎プレート)とは同一の構成及び使用方法であるため、その説明は、フィルター取付具の構成及び使用方法の説明と共に行う。
本実施形態に係るフィルター取付具は、ガスコンロやIHコンロ等の加熱調理器を用いて加熱調理を行う際に発生する熱気等を外部に排気するために、加熱調理器(加熱調理を行う領域:加熱調理領域)の上方に設けられた既設の排気用換気装置(本実施形態においては、ユニット化された換気装置の一構成要素のレンジフード(金属製カバー))に取り付けるものであり、図1に示すように、枠状をなして開口領域10を形成すると共に、該開口領域10を覆うように枚葉状のフィルターFを配置可能に構成された枠本体1と、開口領域10と対応する領域内のフィルターFを補助的に支持するフィルター補助支持体2と、開口領域10を直交する方向に通過しようとする炎(火柱や火の粉等)を減少させる(抑制する)と共にフィルターFを枠本体1に対して保持する防炎プレート(防炎部材、若しくはフィルター取付具用防炎プレート(フィルター取付具用防炎部材))3とを備えている。
尚、該フィルター取付具Pに使用されるフィルターFには、開口領域10を覆うように枠本体1内に嵌め込むことができる枚葉状の不織布等で構成されたもの、即ち、枠本体1の内形状(後述するプレート部11の平面視外形)に対応するように平面形状が設定されると共に所定の厚みに設定された通気性を有するものが採用される。具体的には、通気性、及び難燃性(或いは難燃性)を奏するように、樹脂繊維(例えば、不織布)やガラス繊維(例えば、ロックウール)等で構成される。
前記枠本体1は、外形が略矩形をなして前記開口領域10を画定する枠状のプレート部11と、プレート部11の各外縁部から該プレート部11と面交差する方向に延出した延出部12と、前記防炎プレート3を係止するために、対向する一組(一対)の延出部12の先端部で互いに対向する位置から内側(互いに対向する延出部12)に向けて突出するように設けた(突設された)2組(二対)の係止片(取付手段)13と、該枠本体1をレンジフードに取り付けるための取付手段14とで構成されている。尚、本実施形態に係る枠本体1は、安全面を考慮して、プレート部11に支持されるフィルターFを補助的に支持するために、フィルター補助支持体2が開口領域10を跨いで対向するプレート部11に接続するように配設されている。
本実施形態において、当該フィルター取付具Pが取り付けられる対象が、金属板で構成されて磁性を有するレンジフードであるので、取付手段14には、磁石が採用されている。該磁石14は、一面が開口状態にある箱状のブラケット15を介して前記係止片13の突設された延出部12に、より詳細には、二つの係止片13,13が所定間隔をおいて突設されている延出部12の該二つの係止片13,13間の中央部に固着されている。
前記フィルター補助支持体2は、金属製の二本の棒材で構成されている。該二本の棒材(フィルター補助支持体)2,2は、所定間隔を有して軸心と直交する方向に並列に設けられており、各端部がプレート部11の内周端面に固着されている。
前記枠本体1は、前記取付手段14(ブラケット15)、フィルター補助支持体2及び係止片13を除いて、一枚の板材を折曲加工して形成されており、その折曲加工したものに対して前記係止片13、取付手段14(ブラケット15)、及びフィルター補助支持体2が取り付けられることで形成されている。
前記防炎プレート(防炎部材、若しくはフィルター取付具用防炎プレート(フィルター取付具用防炎部材))3は、プレート部11上にフィルターFを配置した状態でフィルターFと係止片13との間の間隙と略同一或いは間隙よりもやや厚い板厚の金属製の板材に複数の通気開口(通気孔)20,20,…を穿設することで構成されている。詳しくは、該防炎プレート3は、枠本体1の内形状(プレート部11の平面視外形)に対応するように平面形状が設定された金属製の板材に、枠本体1へ取り付けた際の開口領域10に対応する領域内に複数の通気開口20,20,…が、隣り合う該通気開口20,20同士が所定間隔をおいて規則正しく配設(穿設)されている。この場合、換気効率を考慮すると共に、複数の通気開口20,20,…を通過する炎の量(防炎効果)も考慮して、枠本体1の開口領域10に対応する領域の全通気開口領域の開口率が30%以上且つ60%以下となるように、通気開口20の数や径、隣り合う通気開口20,20同士の間隔(距離)等を設定することは勿論である。本実施形態においては、通気開口20,20,…が千鳥状に配設された、所謂、パンチングボードによって構成されており、前記通気開口20,20,…は、直径2mm〜20mmの円形に形成(穿設)される。尚、通気開口20,20,…は、円形に限定される必要はなく、矩形状であってもよく、その場合は、一辺を2mm〜20mm程度とすることが好ましい。
本実施形態に係るフィルター取付具P及びフィルター取付具用防炎部材(フィルター取付具用防炎プレート、若しくは防炎部材(防炎プレート))3は、以上の構成からなり、次に、フィルター取付具P及びフィルター取付具用防炎部材3の使用状態について説明する。
上記構成のフィルター取付具Pは、図2に示すように、枠本体1内にフィルターFを配置し、防炎プレート3の両端部をフィルターFと枠本体1の係止片13との間に介装することで、フィルターFがその一方面をプレート部11及びフィルター補助支持体2に支持されると共にその反対面を防炎プレート3で支持されることで、枠本体1に保持された態様となる。即ち、この状態において、該フィルターFは、開口領域10を覆った状態で、フィルター補助支持体2によって開口領域10側への変位が規制され、防炎プレート3によってプレート部11とは反対側(レンジフードと対向する側)への移動が規制された態様となり、当該フィルター取付具Pがレンジフードに対して取り付け得る状態となる。
そして、図3に示すように、フィルターFがレンジフード100の吸気口101の形成された壁部(本実施形態においては下壁部)102と枠本体1(プレート部11)との間に介在するように、フィルター取付具Pを配置すると、取付手段(磁石)14がレンジフード100の下壁部102に磁着して、当該フィルター取付具Pの取り付けが完了する。この状態において、図4に示すように、レンジフード100の吸気口101は、枠本体1に包囲されると共にフィルターFに覆われた態様となり、開口領域10、フィルターF及び通気穴20を順に介して吸気口101に空気が流入できる状態となる。尚、図3及び図4においては、大型のレンジフードに対してフィルター取付具Pを二つ並列に取り付けるときの状態を示している。
そして、レンジフード100の下方の領域(加熱調理領域)で加熱調理が行われ、その加熱調理に伴う熱気が排気用換気装置(レンジフード100)によって排気されるに際し、該熱気は枠本体1の開口領域10及びフィルターFを介して防炎プレート3の通気穴20,20…を流通して外部に排気される一方で、油や塵等はフィルターFによって捕らえられることになる。これにより、換気装置内への油等の流入が防止されるので、換気装置内における油の付着が抑制され或いは完全に防止されることになり、換気装置の清掃を簡単に行うことができる。
そして、レンジフード100の下方の加熱調理領域において、ぼや(小火)が発生した場合(例えば、天ぷら等の揚げ物を揚げる際に使用する調理用油に引火して火柱が上がった場合)、前記開口領域10を覆うように取り付けられているフィルターFが炎に曝される。そうすると、フィルターFは、難燃性を有するために該フィルターF自体は燃焼しないが、熱によって収縮し、覆われていた前記開口領域10が開放され、レンジフード100の吸気口101が露出する。しかし、フィルターFに沿って開口領域10全域を覆うように防炎プレート(フィルター取付具用防炎プレート)3が配設されていることから、前記炎は、その全てが吸気口101内に進入することができず、換言すると、開口領域10をフィルター取付具P(枠本体1)の加熱調理領域側から排気用換気装置(レンジフード100)側へ(吸気方向へ)通過する炎の量を減少させることができる。
即ち、複数の通気開口20,20,…が形成されている前記防炎プレート3が、枠本体1に、その開口領域10全域を覆うように配設されているため、該開口領域10を通過して吸気口101内に進入しようとする炎(火柱や火の粉等)は、防炎プレート3の通気開口20,20,…からしかフィルター取付具Pを通過できず、また、防炎プレート3の前記通気開口20,20,…が形成されていない部分では炎が遮られてしまうため、フィルター取付具P(枠本体1)を加熱調理領域側から排気用換気装置側へ通過する炎の量を減らすことができる。その結果、排気用換気装置(レンジフード100)の吸気口101から装置内に入る炎を大幅に減らすことができるため、該排気用換気装置(レンジフード100)が延焼して火災が発生することを防止することができる。
また、上記フィルター取付具Pは、フィルターFに沿って防炎プレート3を取り付けることができる(配設する)ため、フィルター取付具P全体の厚みを薄くすることができ、吸気口から吸気ファンまでの距離が短いタイプの排気用換気装置であっても、取り付け(使用)可能である。
尚、本考案のフィルター取付具Pは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、枠本体1を矩形の枠状に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、平面視円形の枠状に構成するようにしてもよい。この場合においても、防炎プレート(フィルター取付具用防炎プレート)3の外形を枠本体1(開口領域10)の形状に合わせるようにすることは勿論である。
また、上記実施形態において、防炎プレート3全体をパンチングボードで構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、目の細かい(通気開口の直径が0.5mm〜3.0mm程度)金網等で構成してもよい。このようにしても、通気性を確保すると共に防炎効果を得る(通過する炎を減少させる)こともできる。
また、図5に示すように、防炎プレート(フィルター取付具用防炎プレート)3の開口領域10に対応する領域(位置)に、通気開口として、ルーバー状の開口部20’を形成してもよい。このような通気開口20’の形状とすることで、フィルターFの面と直交する方向(吸気方向)からは、前記開口領域10を覆っている防炎プレート3を通して向こう側が見えないような開口形状であるため、かかる方向に沿って炎が防炎プレート3を通過することがほとんどなく、複数のルーバー状の通気開口20’,20’,…の通気開口領域をそれぞれ大きくしても防炎効果を高く保つことができる。従って、全通気開口領域の前記開口領域10に対する開口率を大きくして換気のための空気の通過可能な流量を大きくすると共に、前記フィルターFの面に直交する方向に沿った炎の通過量を減少させる、即ち、高い防炎効果が得られる。その結果、換気効率が向上すると共に防炎効果を向上させ、加熱調理領域におけるぼや等の失火によって前記排気用換気装置が延焼し、火災が発生することを防ぐことができる。尚、この場合、通気開口20’の大きさは、短手(幅)方向が1mm〜5mmで、長手(長さ)方向が10mm〜500mmの矩形状に形成され、隣り合う通気開口20’,20’間の帯板状部分(羽板部分)は、それぞれが斜めに傾斜すると共にそれぞれが平行又は略平行になるように形成される(図5(ロ)参照)。
また、上記実施形態においては、防炎プレート3は、枠本体1とは別体として構成されているが、枠本体1と一体的に形成されていてもよい。この場合、図6に示すように、フィルター取付具P’の枠本体1’は、厚さ方向中央部(後述する延出部12’の中央部)に、開口領域全域を覆うように複数の通気開口20,20,…が穿設された防炎プレート部3’が一体的に形成されている。そして、該フィルター取付具P’は、フィルターFを枠本体1’に取り付けるために、枠本体1’の防炎プレート部3’上に配置されたフィルターFの外周縁部を防炎プレート部3’に向けて押さえ付け、防炎プレート部3’との間にフィルターFを挟み込んで保持するフィルター保持枠FLをさらに備えている。該フィルター保持枠FLは、防炎プレート部3’の各外縁部から該防炎プレート部3’と面交差する方向に延出した延出部12’の内面側に突設された係止片13’とフィルターFとの間に介装することで、フィルターFが防炎プレート部3’に支持されると共にフィルター保持枠FLで支持されて、換言すると、防炎プレート部3’とフィルター保持枠FLとでフィルターFの周縁部が挟持されて、枠本体1’に保持された状態となる。
また、上記実施形態において、枠本体1のプレート部11(及びフィルター補助支持体2)と防炎プレート3とでフィルターFを挟持するように保持しているが、前記プレート部11と前記フィルター保持枠FLとでフィルターFを挟持するように保持し、さらに、防炎プレート3を係止手段によって、枠本体1に取り付けるような構成としてもよい。
また、上述のように、防炎プレート3(又はフィルター保持枠FL)を枠本体1(又は1’)に対して別体で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、防炎プレート3(又はフィルター保持枠FL)の一端を枠本体1(又は1’)の一端部に枢着し、防炎プレート3(又はフィルター保持枠FL)の他端部を前記係止片13に係止させるようにしてもよい。
また、上記実施形態において、枠本体1は、取付手段(磁石)14によってレンジフード100の下壁部102に磁着させることで取り付けられるが、これに限定される必要はない。例えば、枠本体は、レンジフードの吸気口或いは該吸気口と吸気ファンとを結ぶ空気の流通経路(排気経路)を挟んで対向するように設けられた一対の掛止溝に枠本体の両端部を嵌め込むことでレンジフードに取り付けられてもよく、また、レンジフードの下壁部にビス等で固定するように取り付けられてもよい。
1,1’…枠本体、2…フィルター補助支持体、3…防炎プレート(防炎部材、フィルター取付具用防炎プレート(フィルター取付具用防炎部材))、3’…防炎プレート部(防炎部)、10…開口領域、11…プレート部、12,12’…延出部、13,13’…係止片(取付手段)、14…取付手段(磁石)、15…ブラケット、20,20’…通気開口、F…フィルター、FL…フィルター保持枠