JP3126032B2 - 気体−固体反応システムによるアンモニウムグリホセートの製造 - Google Patents

気体−固体反応システムによるアンモニウムグリホセートの製造

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Description

【発明の詳細な説明】 背景 発明の分野 本発明は、凝集しない乾燥除草剤組成物、及び該組成
物の製造方法に関する。
より特定的には、本発明は、アンモニアガスをグリホ
セート酸(glyphosate acid)と直接反応させることに
よりアンモニウムグリホセート(ammonium glyphosat
e)除草剤を製造する方法に関する。該反応生成物は水
に容易且つ完全に溶解し、多量に保持した(highly−lo
aded)アジュバンドを含む乾燥グリホセート組成物の製
造に使用できる。
関連技術の説明 一般的にグリホセート酸又は単にグリホセートと呼ば
れるN−ホスホノメチルグリシン[HOOCCH2NH CH2 PO
(OH)]は、極めて効果的な除草剤として当業者によ
く知られている。有機酸であるグリホセートはまた、水
溶性が比較的低いことも知られている。従って、グリホ
セートは典型的には、雑草又は植物を枯殺又は防除する
ために、水溶性塩、特にモノ−イソプロピルアミン(IP
A)塩として製剤される。グリホセートは、米国ミズー
リー州、セントルイスのMonsanto Companyから、登録
商標Roundupの濃縮水溶液としてIPA塩形態で市販されて
いる。
種々のグリホセート塩、グリホセート塩の製造方法、
グリホセート製剤、並びに雑草及び植物の枯殺及び防除
のための使用方法は、それぞれ1974年3月26日及び1983
年9月20日にJohn E.Franzに交付された米国特許第3,7
99,758号及び第4,405,531号に開示されている。グリホ
セート塩を開示している別の米国特許には、1982年2月
16日にGeorge B.Largeに交付された米国特許第4,315,7
65号、1985年3月26日にIzak Bakelに交付された米国
特許第4,507,250号、1983年8月9日にIzak Bakelに交
付された米国特許第4,397,676号、1984年11月6日にMic
hael P.Prisbyllaに交付された米国特許第4,481,026
号、及び1979年2月20日にErhard J.Prillに交付され
た米国特許第4,140,513号がある。これらの特許明細書
は総て、全体が本明細書に参考として包含される。
Roundup(登録商標)ブランドの除草剤は水溶性濃縮
液として市販されている。しかしながら、当業界では近
年、Roundup(登録商標)と同等の効果を有する水溶性
乾燥/固体グリホセート製剤を開発する努力がなされて
きた。
このような努力の従来の理由は、液体と比較した場合
の固体製剤の包装、出荷及び貯蔵に関する所望のコスト
削減にあった。言うまでもなく、濃縮水溶液はかなりの
量の溶剤を含むため、包装容器の大きさ及び重量が増加
し、市場への製品の製造後配送に関連したコストが高く
なる。
水溶性乾燥グリホセートの製造の利点には、隠れた有
益性もある。即ち、粒状製剤は取扱い特性に優れ(即
ち、こぼれが少ない)、重量が実質的により軽く、輸送
(しばしば手で持って運ぶ)がより容易であるため、地
理的に離れた場所で使用するのにより適した製品が得ら
れる。
しかしながら、粒状グリホセート製剤の製造は大きな
固有の欠点を克服する必要がある。これは主に、製造コ
ストが高く、気体及び固体反応体の混合物から固体生成
物を形成することが、同じ反応体から生成物を溶液とし
て形成する場合と比べて複雑であることに関連してい
る。
固体水溶性グリホセート塩含有組成物の製造方法は幾
つか知られている。例えば、1991年9月10日にDjafarに
交付された米国特許第5,047,079号には、イソプロピル
アミンを溶解界面活性剤と混合して母材を形成すること
からなる、植物に有害な組成物の製造方法が開示されて
いる。前記界面活性剤は室温で固体である。
1991年12月3日にChinらに交付された米国特許第5,07
0,197号ちは、ブロンステッド(Bronsted)酸、例えば
N−ホスホノメチルグリシンを押出機内で水酸化ナトリ
ウムと混和して、残留含水量10%以下の粒状押出物を製
造する押出方法が開示されている。PCT出願公開明細書
第WO87/04595号には、押出は使用しないが、乾燥ナトリ
ウムグリホセート組成物の製造に関する別の方法が開示
されている。
1993年11月30日にChampionらに交付された米国特許第
5,266,553号は、ベンタゾン、又はカルボン酸官能基を
含む除草剤の乾燥水溶性塩の製造方法を開示している。
この方法は、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシ
アルキルアミン、アルカリ金属のアルカリ塩及びこれら
の組合わせの中から選択した中和用塩基で塩を繰り返し
処理する操作を含む。
1993年5月19日に出願され、Productos Osa SACIFI
Aに譲渡された仏国特許出願公開明細書第2,692,439号に
は、粉末又は粒状のN−ホスホノメチルグリシンの一ア
ンモニウム塩を、湿潤剤、界面活性剤及び/又は粉末添
加剤と組合わせて含む、植物に有害な製剤がおおまかに
記述されている。参考文献に例示されているように、前
記一アンモニウム塩は、グリホセート酸と炭酸アンモニ
ウムとの反応によって得られる。
1994年6月28日にMorenoらに交付された米国特許第5,
324,708号は、非吸湿性一アンモニウムグリホセート
塩、例えばN−(ホスホノ−メチル)−グリシンのモノ
−イソプロピルアンモニウム塩及び(3−アミノ−3−
カルボキシプロピル)−メタンスルホン酸のモノ−イソ
プロピルアンモニウム塩を乾燥粉末形態で製造し使用す
るための組成並びに関連方法[原文のまま]を開示して
いる。
1994年5月26日に公開されたPCT出願公開明細書第WO
94/10844号には、N−ホスホノメチルグリシンを、特
に無機又は有機非苛性塩基物質、例えばリン酸二アンモ
ニウム、又は塩基性グアニジン塩、例えば酢酸グアニジ
ニウムと混合した乾燥グリホセート組成物を開示してい
る。
1990年10月24日に公開された欧州特許出願公開明細書
第0 394 211号は、乾燥農薬組成物並びにその使用及
び製造方法を含む発明を開示している。より特定的に
は、この先行技術の発明は、有効量の有機シリコーンブ
ロックコポリマー又はフルオロカーボン湿潤剤の添加に
よって達成されるような、組成物の溶解性の増加に関す
る。
1990年7月12日に公開された欧州特許出願公開明細書
第WO 90/07275号には、混合、パン造粒(pan granulat
ion)、乾燥、噴霧及び押出などによって粒状水溶性グ
リホセート組成物を製造する発明が開示されている。
1992年8月6日に公開されたPCT出願公開明細書第WO
92/12637号には、実質的に未反応のグリホセートと、
酢酸ナトリウムのような酸受容体と、液体又は固体界面
活性剤とからなる組成物を含む乾燥水溶性グリホセート
に関する発明が開示されている。
前述の特許明細書及び特許出願公開明細書は総て参考
として本明細書に包含される。
このように当業界では、組成物の製剤、及び、乾燥グ
リホセートを製造し使用するための関連方法に多大な努
力が払われてきた。しかしながら、前出の参考文献に
は、固体N−ホスホノメチルグリシンを比較的廉価で豊
富なアンモニアガスと反応させることによって、極めて
多量のアジュバントを吸収/吸着することができる、水
分散性で水溶性且つ極めて非吸湿性である乾燥アンモニ
ウムグリホセート組成物を製造する直接的且つ実用的な
方法を開示しているものは一つもない。
従って当業界には、公知の技術で満たされない必要を
満たすために、前述の目的及び他の目的を達成する本発
明の必要性が存在する。
発明の概要 当業界の未解決の必要事項は、これまで知られていな
かった未開示の制約を経て前述のような公知の乾燥組成
物及び関連方法に伴う欠点を解消するアンモニウムグリ
ホセート乾燥除草剤組成物及び該組成物の新規の製造方
法を提供する本発明によって解決される。
本発明では、含水量(即ち乾燥時の重量損失LOD)約2
0重量%以下の「ウエットケーク(wet cake)」形態の
グリホセート酸を、適当な反応器システム、例えば一般
的な混合装置に充填する。ミキサーでウエットケークを
撹拌しながら、ウエットケークを、ウエットケークと反
応するようにミキサーに直接供給される化学量論的同等
量の無水アンモニアガスによって中和する。
前記反応は発熱性であるため、反応によって生じた熱
を散逸させ、それによって反応の温度を部分的に制御す
るために、反応システムからの熱移動を容易にする手
段、例えばミキサーの周りに合わせて取付けた水ジャケ
ット又は他の当業者に公知の手段を使用することが望ま
しい。加えて、ミキサー/反応容器の構造、特に自己清
浄特性及びアンモニアガス導入口の位置は、重要な工程
可変部(process variables)であることが判明した。
また、内部反応器温度は、約60℃の温度を越えないよう
に監視し制御する。
その他に、特にウエットケークの相対含水量、及びア
ンモニアガスを反応に添加する速度も、前述の可変部と
協働して反応体の操作性に影響する因子を構成すること
が判明した。従って、本発明の重要な要素の一つは、熱
収支を制御して所望の生成物を生成できるように、前述
の可変部の総てを操作する方法に関する。
本発明の方法で製造されるアンモニウムグリホセート
組成物は、植物生長調節剤及び/又は除草剤としての最
終用途に適した粉末の形態を有する。
しかしながら、おそらくはより重要なことに、粉末反
応体/生成物は吸着性が大きいため、潤滑剤、消泡剤及
び特に界面活性剤といったようなアジュバントを極めて
多量に吸収/吸着するように更に製剤することができ
る。このように製剤すると、より高価な出発材料を必要
とする先行技術の方法で製造される類似の生成物に劣ら
ず良質で効果的な、極めて有用で極めて望ましいアジュ
バント保持生成物(adjuvant−loaded product)が形成
される。
粉末反応生成物又はアジュバント保持生成物は、随意
に各々造粒して、自由流動性(free−flowing)の(即
ちケーキングを生起しない)、実質的に無塵の水溶性ア
ンモニウムグリホセート除草剤及び/又は植物生長調節
剤を得ることができる。
前記粉末反応生成物を使用して更に別の任意的操作も
実施し得る。例えば、前記粉末を包装する前に更に粉砕
及び/又は乾燥し得る。
本発明によって得られる重要な利点は、相対的に簡単
であり且つ反応体が比較的安価なことにある。更に、本
発明の方法は極めて効率的である。アンモニアガスを固
体グリホセート酸と直接反応させて粉末を生成するた
め、固体形態のアンモニアグリホセートを溶液から分離
するという大問題が回避される。
発明の詳細な説明 本発明は、N−ホスホノメチルグリシン(グリホセー
ト酸)を無水アンモニアガスと反応させて、粒状及び/
又は界面活性剤保持乾燥グリホセート組成物の製造で使
用される重要な原料である高品質のアンモニウムグリホ
セート粉末を製造する新規の方法に関する。
グリホセート酸とアンモニアガスとを反応させること
によって、極めて多量のアジュバントを吸収/吸着する
ように更に製剤できる乾燥アンモニウムグリホセート粉
末を製造する効率的且つ実用的な方法はこれまで知られ
ていなかった。
従来は、アンモニウムグリホセート及びアルカリ金属
グリホセート、例えばナトリウムグリホセートを乾燥粉
末形態で製造する方法として、本発明の方法とは異な
る、またそれほど有利ではない種々の方法が開発されて
きた。例えばナトリウムグリホセートは、上述のPCT出
願公開明細書第WO 92/12637号及び米国特許明細書第5,
070,197号にそれぞれ記述されているように、グリホセ
ート酸を酢酸ナトリウムと反応させるか、又はグリホセ
ート酸を水酸化ナトリウムと一緒に押出すことによって
製造されてきた。
ナトリウムグリホセート顆粒及び粉末は、これまで
は、満足な乾燥グリホセート組成物を提供してきた。し
かしながら、アンモニウムグリホセート組成物と比較す
ると、ナトリウムアルカリ金属は吸湿性の大きいものが
多いため周囲の湿度に対する耐性が劣る。従って、ナト
リウムアルカリ金属グリホセートは乾燥組成物として加
工することがより難しく且つより高コストであるとみな
され、乾燥組成物として形成するとより大きい凝集傾向
を示し、その結果、完成材料の望ましくない「ケーキン
グ」が生じる。
また、アンモニア及びナトリウムの相対分子量に起因
して、ナトリウムグリホセート塩組成物は、対応するア
ンモニウムグリホセート塩組成物と比べて活性グリホセ
ート濃度が低い。更に、ナトリウムカチオンのポンド当
たりコストは、同等量のアンモニウムカチオンを製造す
るコストより遥かに高い。従って、ナトリウムグリホセ
ート組成物の方が明らかに不利である。
前述のように、乾燥アンモニウムグリホセートを製造
するための固体/固体反応方法も幾つか知られている。
例えば、前出の仏国特許出願公開明細書第2,692,439号
に開示されているように、重炭酸アンモニウムをグリホ
セート酸と反応させると乾燥アンモニウムグリホセート
組成物が得られると考えられる。
重炭酸アンモニウムを使用する公知の方法は存在する
が、本発明は乾燥アンモニウムグリホセートの製造技術
を進歩させるものである。
例えば、無水アンモニアガスを固体N−ホスホノ−メ
チルグリシンと反応させることからなる本発明の実施で
は、重炭酸アンモニウムに由来するアンモニウムカチオ
ンのポンド当たりコストが、同等量の同じカチオンをア
ンモニウムガスから得る場合のポンド当たりコストと比
べて数倍高いことが観察された。
アンモニウムグリホセートの大規模な商業的製造で
は、前述のようなコスト差はそれだけで、ここに開示す
るような、無水アンモニアガスをアンモニウムカチオン
源として用いて固体アンモニウムグリホセートを製造す
る効果的な方法に有利に働き得る。
本明細書で使用する「固体」及び/又は「乾燥」とい
う用語は、製剤が特定の形状及び嵩を有し、変形に耐え
ることができる物理的状態を意味する。固体は、ペレッ
ト、フレーク、顆粒、粉末等の形態をとり得る。また、
固体製剤は、次いで適当な希釈剤、通常は好ましくは水
に溶解し、植物の生長調節又は根絶が望まれる場所に噴
霧又は他の一般的な手段で適用し得る。
技術的観点では、ここに開示するようなプロセスにお
けるアンモニアガスの使用は殆ど知られていない。この
ことを、本発明の安全でコスト効率が高く技術的に簡単
なアンモニアガスプロセスと組合わせて考えると、本発
明によって得られる結果は予想外のものである。
アンモニアガスをグリホセート酸と反応させてアンモ
ニウムグリホセートを製造する方法はおそらく、実現可
能な化学的方法のうちで最も安く最も直接的なものであ
る。なぜならこの反応は、簡単な付加反応でグリホセー
ト酸と反応する豊富で比較的安価なアンモニアガスを含
む最も基本的な反応体を使用するからである。更に、こ
の反応の化学は極めて単純であるため、水酸化アンモニ
ウムをグリホセート酸と反応させる場合のように反応を
複雑にし且つ除去の必要がある水のような副産物が生成
されない。しかしながら、本発明の方法の明らかな利点
にもかかわらず、N−ホスホノメチルグリシンと無水ア
ンモニアガスとの間で生起する反応は、典型的には発熱
性が高いことが観察された。従って、本発明を実施する
上で解決すべき主な課題は、反応容器からの熱移動に関
する。反応器システム内の熱移動が小さく、制御されて
いないと、そのシステムによって形成される反応生成物
は望ましくない「ドウ状(dough−like)」凝集体及び
/又は「ガラス状」固体反応体となることが多く、その
場合は反応の継続が困難になり得る。また、このような
生成物は完成製品として使用するのに適さず、後続の加
工操作で使用される一般的な製剤装置に適合しない。
熱移動はアンモニアガスとグリホセート酸との反応で
極めて重要な役割を果たすため、反応が行われる反応容
器は、反応器から高度の熱移動が妨害されずに実施され
るように設計することが極めて重要である。
これに関して極めて望ましいことは、混合装置/反応
器が望ましくは、混合部品(即ち羽根車)のエッジと反
応器の内壁との間で、近接した公差(close tolerance
s)を有することである。なぜなら、反応の進行に伴っ
て、反応体/生成物が反応容器の内壁に付着する傾向を
示すからである。羽根車が壁から生成物を連続的にかき
落とすことができるように羽根車と壁との間の公差が十
分に小さくないと、反応体/生成物が反応器の内壁を覆
うガラス状固体物質を形成する。
このようなガラス状生成物は反応器の壁に薄層状に形
成されただけで、反応器内の断熱障壁として機能し得る
ため、熱移動が低下し、設置した熱移動装置の機能が無
効になる。
このような条件及びそれに関連して形成されるガラス
状固体生成物は、更に製剤するのに特に適した極めて望
ましい自由流動性の粉末生成物を形成する本発明の方法
では全く見られない。
従って、ここに開示する新規の方法、並びに該方法に
従ってグリホセート酸と無水アンモニアガスとの反応を
制御する手法及びその程度を固守することは、本発明の
特徴である、自由流動性(即ちケーキングを生起しな
い)固体状の水溶性/水分散性アンモニウムグリホセー
ト生成物を製造する上で極めて重要である。
本発明の方法では、グリホセートウエットケーク中に
アンモニアガスが実質的に均一に分散するように反応体
を混合する。取扱いが容易な自由流動性粉末生成物を製
造するためには、反応温度を注意深く観察し、アンモニ
アガス供給速度を含む種々の工程可変部と、当業者に広
く知られている適当な熱移動手段の使用、例えば反応器
及び/又は反応器羽根車の周りに合わせた循環水ジャケ
ットの使用とによって上記反応温度を制御する。本発明
の方法を固守すれば、一般的な装置又はこれを少し改造
した装置で加工処理を実施できるだけでなく、アジュバ
ントを多量に保持した乾燥グリホセート生成物の製造に
使用し得るアンモニウムグリホセート粉末を製造するこ
とができる。
本発明者らは、特に、グリホセート酸出発材料の相対
含水量が本発明の重要な要素であると決定した。
本発明を実施するために必要なアンモニアガス量は、
pH測定のような当業者に公知の一般的な分析方法によっ
て決定できる酸の中和が約95〜105%達成されるのに必
要な量と同等である。
本発明の方法では、含水量が約12重量%以下且つ約3
重量%以上のグリホセート酸ウエットケークを、一般的
なブレンダー又はミキサーのような適当な反応器システ
ム、好ましくは反応器/ミキサーの内壁に対して近接し
た公差を有するように設計した内部ブレンド又は混合羽
根車を有する反応器システムに充填する。本発明の方法
では、含水量がより大きいグリホセート組成物も使用し
得るが、このような組成物は最初に乾燥して含水量を好
適範囲まで低下させるのが好ましい。
ニトロソアミン形成の可能性を回避するために、任意
に所定量の亜硫酸ナトリウムをグリホセート酸に加えて
もよい。亜硫酸ナトリウムの添加は本発明の実施に必須
ではなく、グリホセート酸とアンモニアガスとの反応に
作用しないが、政府によるある種の規定は、この種の農
業用製品のニトロソアミン含量を1ppm未満でなければな
らないとしている。実験の結果、亜硫酸ナトリウムを加
える場合には、ニトロソアミンを許容範囲内に抑えるの
に有効な亜硫酸添加量は、乾燥完成製品の約0.2〜約1.0
重量%であることが判明した。
グリホセートウエットケークと、任意的な亜硫酸ナト
リウムとを反応器/ミキサーに充填したら、ウエットケ
ークが撹拌されブレンドされている間に、化学量論的相
当量の無水アンモニアガスを反応器に直接供給する。反
応は発熱性であるため、適当な熱移動手段、例えば循環
冷水ジャケット又は他の当業者に公知の手段を反応器シ
ステムに適合させて熱移動を容易にし、それによって反
応器内の反応温度をある程度制御する。
アンモニアガス添加ステップ全体を通して、アンモニ
アガス供給速度及び反応温度を含む種々の工程可変部
を、取扱いが容易な自由流動性の高吸着性粉末アンモニ
ウムグリホセート生成物が形成されるように制御する。
明らかに、本発明の新規の方法は、好ましくは実質的
に自己清浄性であるように設計された一般的な装置を用
いて容易に実施できる。しかしながら、前述のように設
計されていない別の装置も使用し得、その場合は、例え
ば断続的な手動スクレーピングのような措置を操作に組
み込んで、反応器の熱伝導面を清潔に保ち、生成物の堆
積を防止しなければならない。この措置を怠ると、プロ
セスの継続に伴って反応体/生成物が反応器の内壁に断
熱層を形成し、そのため熱移動が妨害され、反応温度が
制御されなくなって生成物の過熱が生じ得、その結果所
望の特性が損なわれ得る。
本発明者らは、アンモニアガスをグリホセート酸と反
応させるためにブレンダーに導入する方法が、本発明の
極めて重要な要素であることを発見した。本発明では、
アンモニアガスを、ガスがグリホセート酸と一緒に実質
的に十分に且つ均一に分散するように反応器に導入しな
ければならない。この指示事項は、本発明では、アンモ
ニアガスを反応器に導入するための一つ又は複数の入口
を、アンモニアガスがグリホセート酸と均一に反応した
反応の結果である反応体/生成物が形成されるように、
酸が撹拌されガスが導入されるのに伴って十分な量の酸
がガスと接触するように配置することで達成される。ア
ンモニアガス導入口の配置が不適当であると、導入口が
汚れ、及び/又は望ましくないドウ状凝集体もしくはガ
ラス状固体生成物が形成される可能性がある。例えば、
導入口がアンモニアガスを反応器内の少ない局在量のグ
リホセート酸と反応させるに過ぎないようなものであ
る。「ホットスポット」が形成される可能性があり、そ
の結果、発熱反応による過剰な局在熱の蓄積に起因して
局在反応体が過熱される。この現象は、その時点で生成
中の生成物全体を汚染し得るだけでなく、ガス導入口を
閉塞する可能性もあり、その結果、加工装置に物理的損
傷が与えられる可能性が生じ、アンモニアガスが漏洩す
る可能性が生じる。
確認されたその他の工程可変部に加えて、反応体の温
度は、少なくとも部分的に、反応へのアンモニアガス添
加速度の関数であることが判明した。これについて、価
値のある生成物の生産率を最大にするためには、反応体
温度を約60℃以下に維持することが望ましいと結論され
た。
ここに開示し記載する操作条件の下では、アンモニア
ガスをグリホセート酸と直接反応させると、極めて多量
のアジュバントを吸収/吸着するように更に製剤するこ
とができる極めて望ましいアンモニウムグリホセート生
成物が生成される。ミキサー/反応器の構造、出発グリ
ホセート酸の相対含水量、反応にアンモニアガスを添加
する速度及び方法、並びに反応容器からの熱移動を容易
にする種々の方法を含む前記条件は総て、反応体温度を
制御し、それによって、更に加工するのに適した扱い易
い粉末生成物を得るように意図されている。
本発明が要求する範囲を超えた多くの工程可変部は、
本発明の方法によって得られる利点に悪影響を及ぼす。
例えば、反応体の温度を約60℃より高くすると、反応体
/生成物の質が実質的に低下し得る。
下記の実施例は、ここに記載の方法による本発明の組
成物の製造を例示するものである。特に指示がない限
り、%は総て重量%である。
実施例1 横方向流混合部材と、高速チョッパーと、循環冷水を
入れた水ジャケットとを取付けた300lステンレス鋼水平
ミキサー/反応器からなるプラント規模の反応器システ
ム内で、分析含水量約7.4重量%の標準グレードN−ホ
スホノメチルグリシン「ウエットケーク」94.6ポンドを
ミキサー/反応器に充填し、即座に混合した。
総てのウエットケークをミキサー内に導入した後、任
意に0.4ポンドの固体無水亜硫酸ナトリウムもミキサー
に充填し、ウエットケークと混合した。
次いで、ウエットケークと亜硫酸ナトリウムとの混合
物を、実質的に均一の混合物を得るのに十分な時間にわ
たりミキサー/反応器内で循環させた。
次いで、最大量の混合物が接触し得るミキサー/反応
器内の中央部に配置した導入口を介して、8.65ポンドの
無水アンモニアガスを約0.2ポンド/分の速度で反応器
内に導入し、グリホセート酸混合物と直接反応させた。
続いて生起する酸−塩基発熱反応の温度を監視するため
に、温度プローブを反応器内に配置した。これに関連し
て確立したアンモニアガス添加速度に部分的に起因し
て、60℃を超えない反応体温度が維持された。
得られた最終生成物を真空炉で真空下50℃で乾燥し
た。次いで、40メッシュのスクリーンを取付けたハンマ
ーミルで乾燥生成物を粉砕した。得られた最終生成物
は、含水量が1.0重量%以下であった。
94.6ポンドのグリホセート酸(即ちLOD7.4%のウエッ
トケーク)と8.65ポンドの無水アンモニアガスとを含む
初期反応体から、残留含水量約1.0重量%の乾燥粉末ア
ンモニウムグリホセートを計算値で97ポンドの収率で得
ることができる。
前記実施例に関して得られた生成物は、優れた貯蔵及
び安定特性を示した。実際、例えば密封ポリエチレン袋
に入れるなどして適当に貯蔵した場合には、生成物は6
ケ月の実際の入庫後に劣化又はケーキングを起こさない
ことが判明した。
以上、詳細に説明したように、本発明の新規の方法で
製造した粉末反応体/生成物は、多量のアジュバントを
吸収/吸着するように更に製剤するのに特に適してい
る。
本発明が相対的に単純であり、一般的な装置、又は少
し改造した一般的な装置で実施することができ、且つア
ンモニアガスによって供給されるアンモニウムカチオン
が比較的安価であることを考え合わせると、粉末反応体
/生成物が多量のアジュバントを吸収/吸着する能力は
極めて意義深いと言える。
特定のアジュバント又は複数のアジュバントの組合わ
せの選択は、過度の実験を必要とせずに当業者が容易に
決定し得るものであるが、下記の実施例2は、界面活性
剤を添加した時の粉末反応体/生成物の著しい吸着能力
を示す。
実施例2 実施例1に記載のような方法で形成した粉末反応体/
生成物は、少なくとも約20重量%までの多量の界面活性
剤を含むアンモニウムグリホセートの乾燥製剤を製造す
るのに使用できる。
このようなアジュバント保持量の高い生成物を製造す
るために、Fuji Paudalのようなジャケット付きバッチ
ニーダー内で、約80℃の水をジャケット内で循環させな
がら約10分間にわたり、16kgの粉末反応体/生成物を4k
gのポリオキシエチレンアルキルアミン界面活性剤及び
1.4kgの水とブレンドする。形成されたドウを、例えば
直径約1mmの中ぐりを有するスクリーンを取付けたFuji
Paudal二軸スクリュー押出機を使用して押出す。得ら
れた押出物は不連続の短いスパゲッティ状麺形態を有し
ており、付着し合わず、例えばFitz−Aire流動床乾燥機
で簡単に乾燥でき、望ましくない塊を形成しなかった。
本発明の乾燥アンモニウムグリホセート除草剤は、次
いで適当な希釈剤、好ましくは水に溶解又は分散し、噴
霧又は他の一般的な方法で標的植物の場所に適用すると
効果的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クラマー,リチヤード・メルビン アメリカ合衆国、ミズーリ・63017、チ エスタフイールド、キングスマン・サー クル・15238 (56)参考文献 特開 平6−256121(JP,A) 特開 昭59−139391(JP,A) 特開 平1−215805(JP,A) 特開 平2−32037(JP,A) 特開 昭59−109502(JP,A) 特表 平4−502618(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/38

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】植物活性アンモニウムグリホセート粉末の
    製造方法であって、無水アンモニアガスが固体グリホセ
    ート酸に均一に分散されるように無水アンモニアガスを
    固体グリホセート酸含有媒質に導入して無水アンモニア
    ガスとグリホセート酸の間の反応を生起させること、及
    び、前記反応の温度を60℃以下に維持することを含んで
    なり、自由流動性の粉末状生成物が生成するように、前
    記反応から反応系外への熱移動を撹拌速度又はガス導入
    速度を調節することにより制御する、前記方法。
  2. 【請求項2】前記グリホセート酸が約12重量%以下の含
    水量を有する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記グリホセート酸が約20重量%以下の含
    水量を有し得るが、そのような場合には、前記アンモニ
    アガスと反応させる前に、まず乾燥して前記含水量を約
    12重量%以下に低下させる請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記グリホセート酸が約3重量%以上の含
    水量を有する請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記グリホセート酸が約12重量%以下且つ
    約3重量%以上の含水量を有する請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】前記反応を実質的に自己清浄性の一般的な
    ミキサーで実施する請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記反応によって生じる反応体/生成物の
    温度を約60℃に維持し、前記温度の制御の少なくとも一
    部を、前記アンモニアガスを前記酸と反応させる速度の
    調節によって実施する請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記反応を実質的に自己清浄性のミキサー
    /反応器で実施し、前記反応によって生じる反応体/生
    成物の温度を約60℃に維持し、前記温度の制御の少なく
    とも一部を、前記反応器の内壁に生成物を堆積させない
    ことによって実施する請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記反応を実質的に自己清浄性のミキサー
    /反応器で実施し、前記反応によって生じる反応体/生
    成物の温度を約60℃に維持し、前記温度の制御の少なく
    とも一部を、循環水ジャケット又は他の熱移動を容易に
    するための公知の手段を前記ミキサー/反応器に合わせ
    て取付けること、前記アンモニアガスを前記酸と反応さ
    せる速度を前記温度が維持されるように調節すること、
    並びに前記反応器の内壁に生成物を堆積させないことを
    含む工程可変部のうちの二つ以上の組合わせによって実
    施する請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記アンモニアガス及び前記酸を実質的
    に化学量論的同等量で反応させる請求項1に記載の方
    法。
  11. 【請求項11】前記アンモニアガスの必要量が、前記酸
    の約95〜105%を中和するのに十分な量と同等である請
    求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記グリホセート酸の含水量が約12重量
    %以下且つ約3重量%以上であり、前記反応によって生
    じる反応体/生成物の温度を約60℃に維持し、前記温度
    の制御を、少なくとも部分的に、前記アンモニアガスを
    前記酸と反応させる速度の調節によって行う請求項6に
    記載の方法。
  13. 【請求項13】前記グリホセート酸の含水量が約12重量
    %以下且つ約3重量%以上であり、前記反応によって生
    じる反応体/生成物の温度を約60℃に維持し、前記温度
    の制御の少なくとも一部を、前記反応器の内壁に生成物
    を堆積させないことによって実施する請求項6に記載の
    方法。
  14. 【請求項14】前記工程可変部の組合わせが更に、循環
    水ジャケット又は他の熱移動を容易にする公知の手段を
    前記ミキサー/反応器に合わせて取付けることを含む請
    求項9に記載の方法。
  15. 【請求項15】アジュバントを多量に保持させることが
    できる乾燥アンモニウムグリホセートの製造方法であっ
    て、(a)実質的に自己清浄性のミキサー/反応器に適
    量のグリホセート酸ウエットケークを充填し、(b)前
    記反応器に適量の無水アンモニアガスを導入して前記ガ
    スと前記酸との反応を生成させ、(c)前記反応によっ
    て生じる反応体/生成物の温度を、前記温度が約60℃以
    下の所望のレベルに維持されるように制御するステップ
    を含む前記製造方法。
  16. 【請求項16】前記グリホセート酸ウエットケークの含
    水量が約3重量%以上且つ約12重量%以下であり、前記
    ガス及び前記酸が実質的に同等の化学量論的量で反応す
    る請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】前記反応体/生成物の温度を制御するス
    テップが、更に、前記アンモニアガスの導入速度を前記
    温度を前記所望のレベルに維持するように調節すること
    を含む請求項15に記載の方法。
  18. 【請求項18】前記反応体/生成物の温度を制御するス
    テップが、更に、循環水ジャケット又は他の熱移動を容
    易にする公知の手段を前記ミキサー/反応器に合わせて
    取付けることを含む請求項15に記載の方法。
  19. 【請求項19】前記反応体/生成物の温度を制御するス
    テップが、更に、循環水ジャケット又は他の熱移動を容
    易にする公知の手段を前記ミキサー/反応器に合わせて
    取付けること、前記アンモニアガスの導入速度を前記温
    度が前記所望のレベルに維持されるように調節するこ
    と、及び/又は前記反応器の内壁に生成物を維持させな
    いことのうちの二つ以上を任意に組合わせて含む請求項
    15に記載の方法。
  20. 【請求項20】前記アンモニアガスを導入するステップ
    が、更に、前記反応時に前記ガスを前記酸と一緒に分散
    させる手段も含む請求項15に記載の方法。
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