JP3123578B2 - 電解コンデンサの製造方法およびその製造装置 - Google Patents

電解コンデンサの製造方法およびその製造装置

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JP3123578B2 JP30457292A JP30457292A JP3123578B2 JP 3123578 B2 JP3123578 B2 JP 3123578B2 JP 30457292 A JP30457292 A JP 30457292A JP 30457292 A JP30457292 A JP 30457292A JP 3123578 B2 JP3123578 B2 JP 3123578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサの製造方
法およびその製造装置に関し、さらに詳しく言えば、コ
ンデンサの外装ケースにスリーブを被着させる際のスリ
ーブ被着方法とそれに好適な装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサを一連の工程を経て製造
する際、例えばその最終工程にてスリーブがけが行なわ
れる。図7を参照してその工程に至るまでを概略的に説
明すると、まず有底円筒状の金属製外装ケース1が用意
され、同外装ケース1内に図示しないコンデンサ素子が
収納される。
【0003】次に、外装ケース1の開口部に同じく図示
しない封口ゴムなどの封口部材が取り付けられた後、同
外装ケース1の封口部側の周囲にその円周方向に沿って
図示しない回転駒などの封口手段にて絞り溝2が形成さ
れる。
【0004】しかる後、スリーブがけが行なわれる。ス
リーブ3は塩化ビニールなどの電気絶縁性でかつ熱収縮
性の樹脂チューブから所定寸法ずつカットすることによ
り得られ、所定のガイド部材によって外装ケース1に被
せられる。そして、加熱されることにより収縮して同外
装ケース1の周囲に密着するように取り付けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スリーブの加熱は熱風
の吹き付けもしくは加熱炉中を通過させることにより行
なわれるが、いずれにしても従来においては、当初から
スリーブ3全体を加熱しているため、絞り溝2の部分が
収縮しない前に他の部分が収縮してしまい、結果として
絞り溝2とスリーブ3との間にいわゆる浮きが生ずる。
【0006】この浮き部分の樹脂は収縮の進行が途中で
あるため、部品の搬送中に同部分にピンホールなどの傷
が付けられた場合、例えば基板へ実装する際の製品耐熱
時に2次収縮が起こり、スリーブ割れなどの欠陥が生ず
る。ちなみに、上記の浮き部分があると、搬送中に部品
同士のぶつかりによりピンホールなどの傷が付きやすく
なる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の事情
に鑑みなされたもので、その構成上の特徴は、コンデン
サ素子が収納されている有底筒状の金属製外装ケースの
開口部を封口部材にて封口するとともに、同外装ケース
の封口部側の周囲に絞り溝をその円周方向に沿って形成
した後、同外装ケースに熱収縮性樹脂チューブよりなる
スリーブを被せて加熱により同スリーブを収縮させてな
る電解コンデンサの製造方法において、上記スリーブを
熱収縮させるにあたって、上記絞り溝に対応する部位に
熱風を吹き付けて先に同絞り溝部分を部分的に収縮させ
る第1収縮工程と、しかる後同スリーブの全体に熱風を
吹き付けてその全体を収縮させる第2収縮工程とを備え
ていることにある。
【0008】この場合、上記第1収縮工程において、熱
風は反封口部側から吹き付けられることが好ましく、さ
らには封口部側からは冷風が吹き付けられるようにする
と良い。また、上記第1収縮工程と上記第2収縮工程は
連続して行なうことが望ましい。
【0009】上記方法を実施するため、本発明の製造装
置においては、スリーブが被せられた状態の外装ケース
の絞り溝に対応する部位に熱風を吹き付けて先に同絞り
溝部分を部分的に収縮させる第1加熱手段と、同第1加
熱手段の後段に配置されていて上記スリーブの全体に熱
風を吹き付けてその全体を収縮させる第2加熱手段とを
備えていることを特徴としている。
【0010】
【作用】上記構成によると、まず第1収縮工程において
絞り溝の部分が収縮され、しかる後第2収縮工程で全体
が収縮されるため、スリーブは絞り溝の部分を含めて外
装ケースに密着することになる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は第1収縮工程の説明図であり、これによるとスリー
ブ3を外装ケース1に被着するにあたって、まず絞り溝
2に対応する部位に熱風を吹き付けてその部分を部分的
に収縮させる。なお、スリーブ3としては材質、寸法と
もに従来と同じものが用いられる。
【0012】この場合、外装ケース1の封口部は図1に
おいて上方にあたり、加熱した場合スリーブ3の同封口
部側端縁は自由になっているため、他の部分よりも収縮
が速く進行する傾向を示す。
【0013】このため、熱風の吹き付けは反封口部側、
すなわち図1の下方より行なうようにしており、さらに
好ましくは上方より封口部側に冷風を吹き付けてスリー
ブ3の封口部側端縁の熱収縮を他の部分の収縮とバラン
スをとるようにすると良い。
【0014】このようにして、絞り溝2の部分を収縮さ
せた後、スリーブ3の全体に熱風を吹き付けることによ
り、第2収縮工程の説明図としての図2に示されている
ように、同スリーブ3全体が外装ケース1に対して均等
に密着する。なお、この第2収縮工程での全体加熱は熱
風吹き付けでなく、高温炉によっても良い。
【0015】図3には本発明に適用される加熱収縮装置
10が示されている。同加熱収縮装置10は第1収縮工
程を実施するための部分加熱手段11と、第2収縮工程
を実施するための全体加熱手段21とを備えている。
【0016】図4および図5を併せて参照すると、部分
加熱手段11はベルト状の搬送手段12の両側に配置さ
れていて、同搬送手段12に吊持されている外装ケース
1の絞り溝2に向けてその下方(反封口部側)から熱風
を吹き付ける左右一対のエアダクト13a,13bを含
むヒーターユニット13をこの例では3組備えている。
【0017】また、この部分加熱手段11は搬送手段1
2に吊持されている外装ケース1の封口部側にその上方
から冷風を吹き付けるエアノズル14を有している。こ
の実施例では各ヒーターユニット13ごとにエアノズル
14が配置されている。
【0018】全体加熱手段21は部分加熱手段11の後
段側に連設されており、図6に示されているように、外
装ケース1に対して部分的に収縮されたスリーブ3の全
体に熱風を吹き付ける左右一対に配置されたエアダクト
22a,22bを含むヒーターユニット22を備えてい
る。
【0019】ここで、スリーブ3の樹脂にもよるが、温
度および風量は大体において次の範囲が目安とされる。
部分加熱手段11のノズル14から供給される冷風につ
いては、30℃以下の好ましくは常温で、その風量は毎
分20〜150l(リットル)、同部分加熱手段11の
エアダクト13a,13bから供給される熱風に関して
は、90〜230℃で、その風量は毎分20〜150
l、また、全体加熱手段21のエアダクト22a,22
bから供給される熱風については、90〜150℃、風
量は毎分20〜150lとされる。
【0020】したがって、この加熱収縮装置10によれ
ば、搬送手段12による搬送中にスリーブ3の部分収縮
と、全体収縮とが連続的に行なわれることになる。な
お、上記したように全体収縮に関しては必ずしも熱風吹
き付けに限られることはなく、高温炉を用いても良い。
【0021】次に、直径10mm、軸長12.5mmの
電解コンデンサ(以下、第1コンデンサという)および
直径16mm、軸長25mmの電解コンデンサ(以下、
第2コンデンサという)について、本実施例、従来例と
もに各20000個用意し、スリーブを実際に収縮させ
て、搬送工程中のピンホール発生率を測定した。また、
併せてその内の各500個について耐熱テストを行なっ
た。 《実施例1》マシンのタクトを1.0秒/個とし、第1
コンデンサの外装ケース1にスリーブ3を被せ、まず、
部分加熱手段11にて絞り溝2の部位を部分的に収縮さ
せた。ここで、同部分加熱手段11には図3に示されて
いるように、3組のエアダクト13a,13bが設けら
れており、その1組単位を1加熱ステーションとする
と、各ステーションの定位置に製品が到来したときに、
エアダクト13a,13bから110℃の熱風を毎分6
0lの流量で吹き付けた。また、同時にノズル14から
22℃の冷風を毎分40lの流量で吹き付けた。すなわ
ち、この部分加熱を3ステーション実施した。
【0022】次に、全体加熱手段21にて100℃の熱
風を毎分60lの流量でスリーブ3全体に吹き付けて収
縮させた。この場合、図3に示されているように、製品
が同全体加熱手段21を通過するには4タクトを要し
た。これは、この全体加熱を4ステーション実施したこ
とに相当する。
【0023】これについて、搬送工程中のピンホール発
生率を調べたところ、0.01%であった。また、50
0個を選び160℃のシリコンオイル中に2分30秒間
浸漬する耐熱テストを行なったが、スリーブ割れは0%
であった。 〈従来例1〉マシンのタクトを1.0秒/個とし、第1
コンデンサの外装ケース1にスリーブ3を被せ、その全
体に100℃の熱風を毎分60lの流量で吹き付けて、
スリーブ3を収縮させた。これを7ステーション実施し
た。
【0024】これについて、搬送工程中のピンホール発
生率を調べたところ、0.9%であった。また、500
個を選び160℃のシリコンオイル中に2分30秒間浸
漬する耐熱テストを行なったが、スリーブ割れは2.0
%であった。 《実施例2》マシンのタクトを1.0秒/個とし、第2
コンデンサの外装ケース1にスリーブ3を被せ、まず、
部分加熱手段11にて絞り溝2の部位を部分的に収縮さ
せた。その際、各ステーションの定位置に製品が到来し
たときに、エアダクト13a,13bから180℃の熱
風を毎分60lの流量で吹き付けた。また、これと同時
にノズル14から22℃の冷風を毎分60lの流量で吹
き付けた。これを上記実施例1と同様3ステーション実
施した。
【0025】次に、全体加熱手段21にて100℃の熱
風を毎分60lの流量でスリーブ3全体に吹き付けて収
縮させた。これを上記実施例1と同様4ステーション実
施した。
【0026】これについて、搬送工程中のピンホール発
生率を調べたところ、0.02%であった。また、50
0個を選び160℃のシリコンオイル中に2分30秒間
浸漬する耐熱テストを行なったが、スリーブ割れは0%
であった。 〈従来例2〉マシンのタクトを1.0秒/個とし、第2
コンデンサの外装ケース1にスリーブ3を被せ、その全
体に100℃の熱風を毎分60lの流量で吹き付けて、
スリーブ3を収縮させた。これを上記従来例1と同様7
ステーション実施した。
【0027】これについて、搬送工程中のピンホール発
生率を調べたところ、1.1%であった。また、500
個を選び160℃のシリコンオイル中に2分30秒間浸
漬する耐熱テストを行なったが、スリーブ割れは3.3
%であった。
【0028】比較を容易にするため、上記実施例1,2
および従来例1,2のピンホール発生率とスリーブ割れ
発生率を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スリーブを熱収縮させるにあたって、外装ケースの絞り
溝に対応する部位に熱風を吹き付けて先に同絞り溝部分
を部分的に収縮させ、しかる後同スリーブの全体に熱風
を吹き付けてその全体を収縮させるようにしたことによ
り、スリーブ全体が絞り溝部分を含めて外装ケース全体
に密着する。したがって、例えば部品搬送中などにおい
てスリーブに傷付くおそれがなく、また、製品耐熱時に
おいてもスリーブ割れなどの欠陥が生ずることも殆どな
くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1収縮工程を説明するための模式
図。
【図2】本発明の第2収縮工程によりスリーブが完全に
外装ケースに被着された状態を示した模式図。
【図3】本発明に適用される加熱収縮装置を示した概略
的な側面図。
【図4】部分加熱手段を示した模式図。
【図5】同部分加熱手段の一部分を示した斜視図。
【図6】全体加熱手段の一部分を示した斜視図。
【図7】従来例を説明するための模式図。
【符号の説明】
1 外装ケース 2 絞り溝 3 スリーブ 10 加熱収縮装置 11 部分加熱手段 13,22 ヒーターユニット 14 冷風用ノズル 21 全体加熱手段
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−10221(JP,A) 実開 昭60−149129(JP,U) 実開 昭50−123839(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/40 H01G 13/00 - 13/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンデンサ素子が収納されている有底筒
    状の金属製外装ケースの開口部を封口部材にて封口する
    とともに、同外装ケースの封口部側の周囲に絞り溝をそ
    の円周方向に沿って形成した後、同外装ケースに熱収縮
    性樹脂チューブよりなるスリーブを被せて加熱により同
    スリーブを収縮させてなる電解コンデンサの製造方法に
    おいて、上記スリーブを熱収縮させるにあたって、上記
    絞り溝に対応する部位に熱風を吹き付けて先に同絞り溝
    部分を部分的に収縮させる第1収縮工程と、しかる後同
    スリーブの全体に熱風を吹き付けてその全体を収縮させ
    る第2収縮工程とを備えていることを特徴とする電解コ
    ンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記第1収縮工程において、熱風は反封
    口部側から吹き付けられることを特徴とする請求項1に
    記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 上記第1収縮工程において、反封口部側
    から熱風を吹き付けるとともに、封口部側からは冷風が
    吹き付けられることを特徴とする請求項1または2に記
    載の電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記第1収縮工程と上記第2収縮工程は
    連続して行なわれることを特徴とする請求項1、2また
    は3に記載の電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 コンデンサ素子が収納されている有底筒
    状の金属製外装ケースの開口部を封口部材にて封口する
    とともに、同外装ケースの封口部側の周囲に絞り溝をそ
    の円周方向に沿って形成した後、同外装ケースに熱収縮
    性樹脂チューブよりなるスリーブを被せて加熱により同
    スリーブを収縮させる電解コンデンサの製造装置におい
    て、上記スリーブが被せられた状態の上記外装ケースの
    絞り溝に対応する部位に熱風を吹き付けて先に同絞り溝
    部分を部分的に収縮させる第1加熱手段と、同第1加熱
    手段の後段に配置されていて上記スリーブの全体に熱風
    を吹き付けてその全体を収縮させる第2加熱手段とを備
    えていることを特徴とする電解コンデンサの製造装置。
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