JP3122958B2 - 缶蓋内面塗膜の欠陥検出方法及び装置 - Google Patents

缶蓋内面塗膜の欠陥検出方法及び装置

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JP3122958B2
JP3122958B2 JP04250631A JP25063192A JP3122958B2 JP 3122958 B2 JP3122958 B2 JP 3122958B2 JP 04250631 A JP04250631 A JP 04250631A JP 25063192 A JP25063192 A JP 25063192A JP 3122958 B2 JP3122958 B2 JP 3122958B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、缶蓋用金属素板の少な
くとも片面に保護塗膜が施され、塗膜面側を内面にして
形成したパーシャルオープンエンド、フルオープンエン
ド、ステイオンタブエンド等のイージーオープン缶蓋
(EOE)や、サニタリー缶蓋の内面塗膜の欠陥個所を
自動的に検出する方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】缶蓋は、缶蓋用金属素板の少なくとも片
面に保護塗膜が施され、缶胴に固着した際に、塗膜面側
が内面側(以下缶蓋内面という)となるように成形され
ている。この缶蓋内面の塗膜の欠陥個所の発見や評価を
行うために、一般的にエナメルレータ試験が知られてい
る。この試験方法は、缶蓋外面に接触可能な一方の電極
を設置し、缶蓋内面を絶縁材で作られた円筒状の測定用
治具で覆って容器状にし、この容器内に電解液を入れ、
電極棒を容器の中央部に位置させ、この状態で両電極間
に電圧をかけ、電極と缶蓋内面との間にある電解液を通
して流れる電流値を読取り記録する。そして、試験装置
の極性を反転させ、塗膜面から水素ガスが発生したとき
は、その発生個所が金属の露出部として確認できるとい
うものである。
【0003】しかし、前記の試験方法では、欠陥個所が
正確に判別できないため、測定値が高い場合には、この
試験方法とは別にアセトン硫酸銅溶液浸漬試験が行われ
る。この試験方法は、缶蓋をアセトン硫酸銅溶液に浸漬
して30秒ないし2分程度放置した後、水洗と水切りを
行い、金属露出部分に銅が析出するので、拡大鏡でこれ
を調査し、グレード見本と目視により比較して良否を判
別するものである。このように、従来の試験方法は、面
倒な作業で時間が掛かり、作業効率が悪い上、人間の判
別能力に限界があることから、検査の自動化が望まれて
いた。
【0004】特開昭63−44158号公報には、金属
露出の程度を微小区分毎に検出し、欠陥の程度を正確に
検出できるようにした、金属容器の樹脂被覆部における
金属露出測定法が提案されている。この方法は、缶蓋を
内面が上向きになるように所定の位置にセットし、接触
用電極を缶蓋の外周端縁に接触させる。一方、先端に電
解液保持部材を持つ測定電極の保持部材を缶蓋の塗膜面
に押付けて接触させる。この状態で缶蓋と測定用電極と
を相対的に移動させ、一定ピッチ毎に区分して金属露出
部を検出できるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記公開公報に記載さ
れた測定法は、目視により塗膜面の欠陥位置を発見する
従来のエナメルレータ試験の欠点については一応解消さ
れるが、迅速な測定が望まれる大量生産ラインでは、解
決しなければならない問題が残されている。すなわち、
この測定法は、上向きにした塗膜面に電解液保持部材を
圧接触させる構成であるため、缶蓋の表面形状に沿って
測定電極を速く移動させると、カウンターシンクやビー
ド成形等の凹凸のある塗膜面上に電解液が残ったり、濡
れ不足が起り易くなるので、正確な検査を行うには、電
解液保持部材の接触圧の変化も考慮して極めて慎重に電
解液をコントロールする必要がある。このため、測定電
極を速く移動させるのが困難となり、缶蓋全域に亘り検
査する場合には、多くの時間が掛かる。本発明は、上記
の問題の解決を図るもので、難しい電解液のコントロー
ルを不要とし、塗膜の欠陥とその欠陥位置を迅速、かつ
正確に測定可能とすることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、缶蓋用金属素
板の少なくとも片面に保護塗膜が施され、塗膜面側を内
面にして成形した缶蓋の塗膜面の欠陥を検出する方法に
おいて、缶蓋外面と接触する接触電極で缶蓋をその塗膜
面を下向きにして保持し、該塗膜面と所定間隔を保つ電
極ノズルから該塗膜面に電解液を噴出して付着させ、該
電極ノズルと前記接触電極間に電圧を印加し、缶蓋をそ
の中心軸の周りに自転させながら、前記電極ノズルを缶
蓋の半径方向外方から缶蓋中心に向かい相対移動させ、
電解液中に流れる電流値を所定ピッチ毎に検出して缶蓋
内面の塗膜欠陥を検出するものである。この方法を行う
装置は、缶蓋外面の環状周壁部と係合するチャックと缶
蓋外周面に接触する接触電極とで缶蓋を保持すると共に
缶蓋中心軸の周りに回転可能とした缶蓋クランプ機構
と、該缶蓋クランプ機構を上下及び左右方向に移動させ
る搬送手段と、缶蓋内面に向かって電解液を噴出して付
着させる電極ノズルと、該電極ノズルと前記接触電極間
に電圧を印加する手段と、電解液中を流れる漏洩電流値
を検出する手段と、設定ピッチ毎に漏洩電流値を計測す
る制御処理部とを備えたものとする。
【0007】
【作用】回転可能なクランプ機構で缶蓋の塗膜面側を下
向きに保持して接触電極を缶蓋外面に接触させ、電極ノ
ズルと缶蓋周縁部の塗膜面とを接近させて電極ノズルか
ら電解液を塗膜面に噴出して付着させる。この状態で缶
蓋をその中心の周りに自転させながら、電極ノズルが缶
蓋の中心に向かうように相対移動させる。接触電極と電
極ノズル間に電圧を印加し、所定ピッチ毎に電解液中を
流れる漏洩電流値を測定して缶蓋内面の塗膜欠陥を検出
する。また、缶蓋内面の欠陥検出を行う前に、クランプ
機構が缶蓋を保持した状態において、缶蓋のカールエッ
ジ部又は接触電極と電極ノズルとを対向させ、電極ノズ
ルから噴出させた電解液を金属部分に接触させ、電解液
中に流れる電流を測定することで導通試験が行える。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1は缶蓋内面塗膜検出装置の正面図、図
2は図1のV−V線に沿う要部を断面とした側面図であ
る。図1において、符号1は缶蓋、2は缶蓋1を内面下
向きに保持する回転自在な缶蓋クランプ機構、3は缶蓋
クランプ機構2を左右方向(X軸方向)及び上下方向
(Z軸方向)に移動させる搬送機構、4は缶蓋クランプ
機構2の下方に配置された測定電極部、5は測定電極部
4の左側に配置され、検査しようとする缶蓋1を載置す
る待機位置部、6は測定電極部4の右側に配置され、検
査済み缶蓋1を排出する排出部を示し、缶蓋クランプ機
構2は搬送機構3の駆動に伴い待機位置部5と測定電極
部4と排出部6の間を移動する構成となっている。図2
に示すように、缶蓋クランプ機構2は、搬送機構3のZ
軸テーブル(後述)に固定された支持部10に軸受11
を介して回転自在に設けられ、Z軸方向に延びる回転体
12を備えている。この回転体12の下端には、缶蓋1
の環状周壁部(カウンターシンク部)1aと嵌合するチ
ャック13が設けられ、このチャック13の外方には、
缶蓋1を半径方向外方から挟持する一対のクランプバー
14が設けられている。
【0009】このクランプバー14は、チャック13の
上方において回転体12の外周から外側に突出する腕部
15にピン16で回転可能に軸支されている。クランプ
バー14の上端14bは、腕部15の上方において回転
体12に組込まれたエアシリンダ17のロッドエンド1
8にピン19で連結されている。そして、エアシリンダ
17は、図示しない電磁弁を介して圧力空気源に接続さ
れており、クランプバー14は、このエアシリンダ17
のロッドエンド18の伸縮に伴いピン16を支点として
チャック13に対して近接、離間することにより開閉で
きる構成となっている。また、このクランプバー14
は、爪状の尖った先端部14aを有し、缶蓋1を挟持す
る際に、缶蓋1の外周カール部にこの先端部14aが当
接し、缶蓋1の外表面に形成されている化成被膜を剥
し、缶蓋1の金属素地部分と接触する接触電極として働
く。なお、図示していないが、このクランプバー14と
ピン16,19との接触部分は絶縁されており、各クラ
ンプバー14からのリード線は、回転体12の上端に設
けた回転接触端子20に延び、更に後述する電圧装置へ
配線される。
【0010】回転接触端子20の直下には、プーリー2
1が固着されており、支持部10から正面側に延びるブ
ラケット10aに固定されている回転用モータ22の駆
動プーリー23とベルト24で連結されており、この回
転用モータ22の駆動に伴い、缶蓋クランプ機構2に保
持された缶蓋1は、その中心軸を中心として回転する。
一方、搬送機構3は、スライド用モータ25の駆動によ
りX軸テーブル26が左右方向(X軸方向)に移動する
X軸リニアスライド27と、スライド用モータ28の駆
動によりZ軸テーブル29が上下方向に移動するZ軸リ
ニアスライド30から構成されており、Z軸リニアスラ
イド30はX軸テーブル26に固定され、X軸リニアス
ライド27は、垂直支持壁31にテーブル面を正面側に
向けて固定されている。上記の回転用モータ22及びス
ライド用モータ25,28は、それぞれ後述する制御処
理部の駆動制御手段により制御駆動され、これに伴い缶
蓋クランプ機構2に保持された缶蓋1は、回転しながら
左右及び上下方向に移動する。
【0011】図2において、測定電極部4は、垂直支持
壁31から正面側に拡る水平板32に設けた切欠き32
aを下方から上方に突き出る電極ノズル33を備えてい
る。この電極ノズル33は、水平板32の下面に垂設さ
れている電解液用の受け皿34に固定された樹脂製のL
字状ノズル本体35と、ノズル本体35の先端に取付け
られた銅製の電極ヘッド36とで構成されている。電極
ノズル33の電極ヘッド36は、先端が先細り状となっ
ており、電解液を上向きに噴出させる噴出孔37が形成
されている。この噴出孔37は缶蓋クランプ機構2の移
動中心線上に設けられ、噴出する電解液は、缶蓋クラン
プ機構2がX軸方向に移動すると、缶蓋クランプ機構2
に保持されている缶蓋1の半径方向で塗膜面に接触して
付着する。
【0012】電極ヘッド36の噴出孔37から噴出する
電解液は、電解液タンク40、ポンプ41、サブタンク
42、液量調節装置43、ノズル本体35の導通孔38
を介して供給され、缶蓋1からの戻りの電解液は、受け
皿34から電解液タンク40に回収されて再循環する。
このように電解液を常に循環させることにより、電解液
の乾燥、固化を防ぎ、噴出孔37の目詰りを防止する。
【0013】図1に示すように、待機位置部5は、検査
しようとする缶蓋を吸引、保持する載置台50を備え、
この載置台50は、基台54上に固定されている支持部
51に回転可能に支持され、モータ52により回転駆動
される。これは、缶蓋がタブ付きのイージーオープン缶
蓋の場合に、缶蓋を回転させ、近接センサー等を使った
公知の検出手段によりタブの位置を検出し、缶蓋の向き
を設定するためのものである。排出部6には、後述する
制御処理部の検査結果に基づき、検査が済んだ缶蓋を図
示しない振り分け手段により良品と不良品とに分けて排
出する排出箱53を備えている。
【0014】図3は、本検出装置の電気的構成を示す機
能ブロック図である。70は電圧装置で、その一端に缶
蓋クランプ機構2の回転接触端子20から2本延びてい
るリード線のうちの1本が電流検出器71を介して接続
され、他端に回転接触端子20から延びるもう1本のリ
ード線と、電極ヘッド36から延びるリード線が切替ス
イッチ72を介して接続されている。73は、電流検出
器71で検出された電流値をデジタル信号に変えてアン
ド回路74に出力するA/D変換器を示す。
【0015】導通試験手段60は、切替スイッチ72を
切替えることにより構成される導通回路I1(一対のク
ランプバー14,14間)と導通回路I2(クランプバ
ー14,電極ヘッド36間)を流れる電流の有無を電流
検出器71で検出して、導通不良(缶蓋の保持ミス、接
触電極の接触不良、リード線の断線、電解液の噴出不良
等)がないかどうかを自己診断するもので、正常である
と判断されれば、駆動制御手段61に計測開始信号を送
り、電流が流れず導通不良と判断されれば、出力手段6
2介して警報信号が出力される。
【0016】計測領域設定手段63は、図示しない端末
機から入力された蓋種データ64(例えば、EOE、サ
ニタリ缶蓋の別、缶蓋の断面形状、スコア線の有無とス
コア線により囲まれる輪郭形状、リベットの有無及び許
容電流値等の情報等)に基づき、缶蓋内面の測定領域及
び各計測位置の座標を決定し、座標データを駆動制御手
段61に送る。駆動制御手段61は座標データに基づき
缶蓋クランプ機構2を制御移動させる。
【0017】メモリ手段65はアンド回路74を介して
出力されてくる電流値の出力信号と、各モータ22,2
5,28のエンコーダ76,77,78からの変位位置
の出力信号とから、計測領域設定手段63により設定さ
れた座標毎に電流値とその計測位置を計測データとして
記憶する。演算手段66は、計測終了時に計測した電流
値をメモリ手段65から読出して計測領域設定手段63
で設定される各計測領域別に最大電流値を演算し、出力
手段62を介して外部出力すると共に、計測ピッチ毎の
各電流値を良否判別手段67でそれぞれ許容電流値と比
較して良否を判別し、不良と判定された場合は、メモリ
手段65からその計測位置(塗膜不良個所)を読出し、
出力手段62を介してプリンター、CRT等に出力す
る。上記した導通試験手段60、駆動制御手段61、出
力手段62、計測領域設定手段63、メモリ手段65、
演算手段66及び良否判別手段67で構成される制御処
理部75は、パーソナルコンピュータを用いることがで
きる。
【0018】図4は缶蓋の裏面と一部断面を示す。Pは
パネル領域、Cはカウンターシンク領域で、カウンター
シンク領域Cの外側のカール部には密封用ゴムGが取付
けられている。このような形状の缶蓋の場合には、計測
領域設定手段63では、少なくともカウンターシンク領
域Cとパネル領域Pに分けて領域を設定する。図5はタ
ブ付きのイージーオープン缶蓋の裏面と一部断面を示
し、Sはスコア領域、Rはリベット領域である。この缶
蓋の場合には、計測領域設定手段63では、カウンター
シンク領域C、パネル領域Pに加え、スコア領域(スコ
ア線により囲まれる輪郭形状の内側領域)Sとリベット
領域Rが設定可能な構成となっている。また、各計測位
置は、回転用モータ22のエンコーダ76の変位位置信
号と、X軸リニアスライド用モータ25のエンコーダ7
7の変位位置信号とから、計測位置の説明図である図6
に示すように、缶蓋中心Oを定点とし、動径r、偏角φ
とする極座標系でメモリ手段65に記憶させる。
【0019】図7ないし図9は、缶蓋内面塗膜検出動作
の一例を示すフローチャートで、計測原点位置を示す図
10、計測の初期位置を示す図11及び計測完了位置を
示す図12をも参照して以下説明する。缶蓋1を載置台
50に載せ、蓋種データ64を入力して検出装置の操作
ボタンを押すと動作が開始され、先ずステップS1で、
蓋種データ64に基づき計測原点位置(X0,Z0)の設
定が行われる。この設定が終わると、ステップS2へ進
み、載置台50上の缶蓋1をチャック13と一対のクラ
ンプバー14で保持する。保持した缶蓋1を計測原点位
置(X0,Z0)まで搬送するに先立ち、ステップS3で
一対のクランプバー14間、すなわち導通回路I1に電
圧がかけられ、缶蓋1がチャック13とクランプバー1
4とで正しく保持したかどうかが判断される。(クラン
プチェック)導通回路I1に電流が流れ、缶蓋1が正し
く保持されていることが確認されると、ステップS4に
進み、X,Z軸リニアスライド27,30が作動する。
電流が検出されず缶蓋1が正しく保持されていない場合
には、警報装置をオンさせ、ステップS3のまま停止状
態となる。
【0020】ステップS4で、缶蓋1を計測原点位置
(X0,Z0)へ搬送させる。この計測原点位置(X0,
Z0)とは、図10に示すように、未塗装で金属が露出
している缶蓋1のカールエッジ部が、電極ヘッド36か
ら噴出する電解液Dに接触する位置である。次に、ステ
ップS5で、切替スイッチ72が切り替わり、導通通路
がI1からI2に切り替わり、導通通路I2に電圧がかけ
られ、導通試験が行われる。電解液Dを通して電流が流
れ、検出装置自体が正常であることが確認されると、計
測開始信号が駆動制御手段61に送られて計測状態とな
り、ステップS6に移る。そうでない場合は、警報装置
をオンさせ、ステップS5のまま停止状態となる。
【0021】ステップS6では、蓋種データ64に基づ
き計測領域の初期位置(n=1)の準備が行われ、計測
が開始されるとステップS7に進む。ステップS7で
は、駆動制御手段61に初期位置の座標(X1,Z1)が
セットされ、そのセットに伴いX,Z軸リニアスライド
27,30を駆動させ、缶蓋を図11に示す計測初期位
置(n=1)に移動させる。この位置では、缶蓋1の環
状周壁部1aの内面に電解液Dが接触する。続いてステ
ップS8に移り、回転用モータ22を駆動させて缶蓋1
をその中心Oの周りに自転させる。次に、ステップS9
で、計測領域設定手段63により設定された座標毎にア
ンド回路74から入力されてくる漏洩電流値Iφと、そ
の計測位置(r,φ)をメモリ手段65に記憶する。ス
テップS10で、缶蓋が1回転したかどうかが判断さ
れ、1回転しない場合には、ステップS9を繰り返し実
行する。
【0022】1回転したことを確認すると、ステップS
11に進み、次の座標位置(n=2)が駆動制御手段6
1にセットされてステップS7に戻り、X,Z軸リニア
スライドを駆動させて缶蓋の計測位置を1ステップ半径
方向中心側へ移行させる。このようにステップS11で
は、図12に示す計測完了位置、すなわち、電極ヘッド
36が缶蓋1の中心Oの位置に移動し終わるまで、ステ
ップS7からステップS11が繰り返し実行され、同心
円状に電流値計測が行われる。座標が計測完了座標(動
径r=0)となると、缶蓋の内面全域に亘り塗膜面の電
流値計測が終了したことになり、ステップS12に進
み、回転用モータ22を停止して缶蓋クランプ機構2を
停止させる。
【0023】ステップS13では、各計測領域別に電流
値Iφが集計され、最大電流値IMAX が出力手段62を
介して領域別に外部出力される。また、ステップS14
では、各電流値Iφが許容電流値Iaと比較され、全て
Iφ≦Iaであれば、排出部6で良品箱に排出され、1
個所でもIφ>Iaのものがあれば、その計測位置
(r,φ)を読出して、その位置を塗膜欠陥個所として
出力手段62を介して外部出力すると共に、警報装置を
オンして排出部6で不良品箱に排出し、待機状態とな
る。
【0024】上記実施例では、缶蓋内面を半径方向外方
から中心に向かう同心円状のパターンで塗膜面の漏洩電
流値を計測しているが、缶蓋の計測位置を半径方向外方
から中心に向かって移動させ、前に噴出させた電解液が
塗膜面に付着したまま残った場合でも、電解液の自重と
缶蓋の回転に伴う遠心力で電解液を下方に落下又は外側
に移動させ、新しく噴出した計測位置の電解液と接触し
ないようにして正確に塗膜欠陥とその欠陥位置の検出が
行えるものであれば、計測パターンはこれに限らず、例
えば、半径方向外方から中心に向かう螺旋状のパターン
で計測するようにしても良い。
【0025】また、上記実施例では、電極ノズルと缶蓋
との相対移動速度を一定に保ち、塗膜面残った電解液と
接触しないように、缶蓋中心に向かって移動する毎に、
円周状の計測点数が少なくて済むことから、回転用モー
タの回転速度を速くさせているが、その相対移動速度
は、100mm/sec以上の速度に選択するのが好ま
しい。なお、計測ピッチは、電極ヘッド36の噴出孔3
7の大きさに比例して大きくなる電解液の塗膜面への付
着面積により適宜決定されるが、塗膜面全域を計測でき
るように、X軸方向、周方向とも、噴出孔37の大きさ
にほぼ対応した1.5〜4mmの範囲で選択することが
好ましい。
【0026】また、上記実施例では、電解液の流量の変
動抑制策として、電解液タンク40から電極ノズル33
より高所に設けたサブタンク42に電解液を一旦汲み上
げ、液面レベルを一定に調節したサブタンクから電解液
を液量調節装置43を介して自重で落下させて電極ノズ
ル33に供給するようにしてあるが、これは、脈動を起
し易いポンプを使用しても、電介液の噴出高さ(7mm
程度)を安定させ、塗膜面にほぼ一定の面積で電解液を
接触させるためで、電解液の噴出高さを安定させること
ができれば、サブタンクを必要としない。更に、上記実
施例では、固定した電極ノズルに対して缶蓋を自転させ
ながらX,Z軸方向に移動させるようにしているが、缶
蓋を自転させるだけにし、電極ノズルをX,Z軸方向に
移動させるようにしても良い。
【0027】上記実施例の効果は、次のとおりである。 イ、電解液を噴出させ、塗膜面と電極ヘッドをその電解
液を介して間接的に導通回路を構成でき、凹凸のある塗
膜面でも確実に電解液を接触させられるので、難しい電
解液のコントロールが不要となる。また、缶蓋と電極ヘ
ッドとの相対移動を伴う接触抵抗がなくなり、しかも缶
蓋を連続的に回転させながら検査できるので、迅速に塗
膜面の検出が可能となる。 ロ、塗膜面を下向きに保持した缶蓋を自転させ、缶蓋中
心に向かって同心円状又は螺旋状に塗膜欠陥を検出する
ようにしたことにより、前に付着した電解液をその自重
と蓋の回転に伴う遠心力で下方へ落下又は半径方向外方
へ移動させることができ、電解液の液引きによる影響
(前に噴出した電解液と、計測位置で噴出した電解液と
が接触し、欠陥検出位置が不正確となる)を防ぐので、
正確な検出が行える。 ハ、人手による反応位置の検出作業や、テスト蓋(傷付
き蓋)を用いた定期的な導通試験作業が不要となるのは
勿論、缶蓋1枚毎に検査装置が正常かどうかをチェック
した後自動検査を行うようにした自己診断機構を備えて
いるので、検査の信頼性が大幅に向上する。 ニ、缶蓋の塗膜面を少なくともカウンターシンク部とパ
ネル部とに計測領域を区分し、各計測領域別に電流値が
表示され、塗膜欠陥個所の全ての位置を検出及び表示で
きるので、塗膜欠陥個所を迅速に発見することができ
る。
【0028】
【発明の効果】本発明は、電解液を缶蓋の塗膜面に噴出
させ、その電解液を介して塗膜面と電極ヘッドとの間に
間接的に導通回路を構成したので、缶蓋と電極ヘッドと
の相対移動に伴う接触抵抗がなく、しかも凹凸のある塗
膜面でも確実に電解液を接触させられるので、難しい電
解液のコントロールが不要となる。また、缶蓋を自転さ
せ、計測位置を缶蓋中心軸に向かって移動させながら同
心円状又は螺旋状に塗膜欠陥を検出するようにしたの
で、塗膜面に付着して残った電解液の影響を受けること
なく、迅速、かつ正確な塗膜欠陥とその欠陥位置の検出
が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶蓋内面塗膜検出装置の正面図。
【図2】図1のV−V線に沿う要部を断面とした側面
図。
【図3】本検出装置の電気的構成を示す機能ブロック
図。
【図4】缶蓋の裏面と一部断面図。
【図5】タブ付きのイージーオープン缶蓋の裏面と一部
断面図。
【図6】計測位置の説明図。
【図7】缶蓋内面塗膜検出動作の一例を示すフローチャ
ート。
【図8】図7に続く工程を示すフローチャート。
【図9】図8に続く工程を示すフローチャート。
【図10】計測原点位置を示す説明図。
【図11】計測の初期位置を示す説明図。
【図12】計測完了位置を示す説明図。
【符号の説明】
1 缶蓋 2 缶蓋クランプ機構 3 搬送機構 4 測定電極部 5 待機位置部 6 排出部 10 支持部 12 回転体 13 チャック 14 クランプバー 20 回転接触端子 25 X軸スライド用
モータ 26 X軸テーブル 27 X軸リニアスラ
イド 28 Z軸スライド用モータ 29 Z軸テーブル 30 Z軸リニアスライド 33 電極ノズル 35 ノズル本体 36 電極ヘッド 37 噴出孔 38 導通孔 40 電解液タンク 42 サブタンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/00 - 27/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶蓋用金属素板の少なくとも片面に保護
    塗膜が施され、塗膜面側を内面にして成形した缶蓋の塗
    膜面の欠陥を検出する方法において、缶蓋外面と接触す
    る接触電極で缶蓋をその塗膜面を下向きにして保持し、
    該塗膜面と所定間隔を保つ電極ノズルから該塗膜面に電
    解液を噴出して付着させ、該電極ノズルと前記接触電極
    間に電圧を印加し、缶蓋をその中心軸の周りに自転させ
    ながら、前記電極ノズルを缶蓋の半径方向外方から缶蓋
    中心に向かい相対移動させ、電解液中に流れる電流値を
    所定ピッチ毎に検出して缶蓋内面の塗膜欠陥を検出する
    ことを特徴とする缶蓋内面塗膜の欠陥検出方法。
  2. 【請求項2】 缶蓋内面塗膜の欠陥検出を行う前に、缶
    蓋を接触電極で保持した状態で、缶蓋のカールエッジ部
    又は接触電極に、電極ノズルから噴出させた電解液を接
    触させて導通を確認する請求項1記載の缶蓋内面塗膜の
    欠陥検出方法。
  3. 【請求項3】 缶蓋外面の環状周壁部と係合するチャッ
    クと缶蓋外周面に接触する接触電極とで缶蓋を保持する
    と共に缶蓋中心軸の周りに回転可能とした缶蓋クランプ
    機構と、該缶蓋クランプ機構を上下及び左右方向に移動
    させる搬送手段と、缶蓋内面に向かって電解液を噴出し
    て付着させる電極ノズルと、該電極ノズルと前記接触電
    極間に電圧を印加する手段と、電解液中を流れる漏洩電
    流値を検出する手段と、設定ピッチ毎に漏洩電流値を計
    測する制御処理部とを備えることを特徴とする缶蓋内面
    塗膜の欠陥検出装置。
  4. 【請求項4】 制御処理部には、缶蓋クランプ機構を制
    御移動させる手段と、缶蓋塗膜面を少なくともカウンタ
    ーシンク領域とパネル領域とに領域設定する計測領域設
    定手段と、漏洩電流値とその計測位置を計測データとし
    て記憶するメモリ手段と、該メモリ手段から計測データ
    を読出して設定した領域別に漏洩電流値を集計する演算
    手段と、各漏洩電流値を予め設定した許容電流値と比較
    する良否判別手段とが設けられている請求項3記載の缶
    蓋内面塗膜の欠陥検出装置。
  5. 【請求項5】 制御処理部には、検出装置に異常がある
    かどうかを自己診断する導通試験手段が設けられている
    請求項3又は4記載の缶蓋内面塗膜の欠陥検出装置。
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