JP3122565B2 - 海藻麺の製造装置 - Google Patents

海藻麺の製造装置

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JP3122565B2 JP05241477A JP24147793A JP3122565B2 JP 3122565 B2 JP3122565 B2 JP 3122565B2 JP 05241477 A JP05241477 A JP 05241477A JP 24147793 A JP24147793 A JP 24147793A JP 3122565 B2 JP3122565 B2 JP 3122565B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海藻類を主成分とした
麺状食品の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】食品としての海藻類はビタミン、ミネラ
ルなどを含み、特に昆布、若布などの褐藻類には多量の
沃素を含み低カロリーであることから、健康食品あるい
はダイエット食品として見直されるようになった。従来
から海藻類は調味料、佃煮などに利用されているが摂取
量としてはきわめて少量であり、多量に摂取できる調理
方法の開発が望まれていた。海藻類を主成分とした麺状
食品はこれらの要望に添うものであり、今後需要の拡大
が期待される。
【0003】しかしながら海藻類を処理して製造したペ
ースト状溶解物から麺を製造する方法が確立されておら
ず、小規模な家内工業的な手法により麺を製造している
にすぎない。
【0004】従来より小麦粉、そば粉等を主原料とした
麺製造方法は手打ちによる家内工業的な手法から機械加
工による大量生産方式まであり、かなり機械化、自動化
が進んできた。しかしながら海藻類から製造されたペー
スト状溶解物からの製麺にこれらの機械加工法をそのま
ま適用できない。その理由は原料であるペースト状溶解
物の物性特に固液の存在状況、粘性、含水率などが小麦
粉を主体にした原料と根本的に異なるためである。その
ため海藻類を主原料としたペースト状溶解物からの製麺
方法は、従来の手打ち方式あるいは麺帯機で圧延して切
り出し機で麺線を製造する方式などが取られている。こ
の方法では連続生産が困難であり大量生産には向かな
い。
【0005】ぺースト状原料から直接麺を製造する方法
としては特開昭61−92553号公報、特開昭62−
179368号公報等に示されており、これらの方法は
有効な方法であると考えられる。しかしながら特開昭6
1−92553号公報の方法はノズルから凝固液中に流
し込むことのみが開示されているにすぎず、また特開昭
62−179368号公報では押し出し成形ノズルとし
て紡糸口金形態のものを用いるとしているが、ノズル形
状の指定はなく単に各孔の口径を指定しているにすぎな
い。そのため上記公知の方法を用いてペースト状溶解物
を凝固液中に吐出すると、ペースト状溶解物の特殊な物
性のため成形された麺状物が凝固液中で寄り集まって団
子状態になるか、麺状物が切断するなどの問題点があ
り、連続して安定した麺状凝固物が得られない欠点があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決すべき課
題は、海藻類から製造されたペースト状溶解物を主原料
として麺状食品を製造するに際し、大量生産可能な安定
した麺状物が得られる海藻麺製造装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は一種または数種
の海藻類から製造されたペースト状溶解物およびこんに
ゃく、野菜、果実、穀類、豆腐類、魚肉、畜肉などの食
品、またはそれらの加工食品、香料、色素などの食品添
加物を一種または数種配合したペースト状溶解物から麺
状製品を製造する海藻麺製造装置であって、海藻麺原料
貯蔵槽の下部に設置された海藻麺原料を圧出する圧出装
置、圧出装置で圧出された海藻麺原料を吐出する吐出設
備及び吐出設備から吐出された海藻麺原料を凝固する凝
固液槽からなり、吐出設備は吐出台と複数の吐出ノズル
によって構成され、吐出台には吐出ノズルを取り付ける
複数個の孔が設けられ、各孔の中心から直近の孔の中心
までの距離mとノズル内径dとの比m/dを5以上10
0以内にするとともに、吐出ノズルの長さhとノズル内
径dとの比h/dが5以上200以内にしたことを特徴
とする海藻麺製造装置である。
【0008】本発明に使用するペースト状溶解物は海藻
類から製造される。海藻類は昆布、海苔、若布、ひじき
などアルカリ、酸などの処理によってペースト状に溶解
するものなら何を使用しても良い。これら海藻類を公知
の方法例えばアルカリ類として炭酸ソーダ、重炭酸ソー
ダ、ポリリン酸ソーダ、クエン酸ソーダ、その他の無害
のアルカリ溶液でpH調整しながら溶解しても良いし、
また酸味料、食酢、膨張剤等を添加し加熱攪拌して溶解
したものを使用しても良い。これらのペースト状溶解物
を単独で原料としてもよいが、更にこれに少量の食品を
配合したものを原料とすれば、目的に応じて新しい食品
を製造することができる。配合食品としてはこんにゃ
く、寒天等の無カロリー食品類、みかん、りんご、梨、
ぶどう等の果実類、でんぷん、小麦粉、そば粉、米等の
穀物類、大豆から製造された豆腐、大豆サポニン、豆乳
等の豆類より製造された食品、魚肉、たらこ、かずの
こ、貝肉等の魚介類、牛、豚、鶏などの畜肉または内臓
物、牛乳等の動物性食品、またはこれら食品の加工物な
ど一種類または数種類を混合して配合しても良い。また
その他色素、香料などの食品添加物を添加しても良い。
これらの配合物及び添加物は固体状のものであれば十分
に破砕し、吐出ノズル径の0.5倍以下の粒度にするこ
とが望ましい。液体状の配合物はそのままの状態で配合
する。これら配合物、添加物のペースト状溶解物への混
合は製麺処理の前に行い、混練機で十分混練し配合物等
の凝集した塊によって麺が切断しないよう注意する必要
がある。食品配合物の配合量は製品の種類によって異な
るが、ペースト状溶解物重量あたり0から30重量%が
適当である。また食品添加物の添加量も目的によって異
なるが、ペースト状溶解物重量あたり0から3重量%と
する。
【0009】以上のように調整された製麺原料は海藻麺
原料貯蔵槽(1)に貯えられる。原料貯蔵槽の下部はホ
ッパー状の絞り機構(2)があり、その下部にプランジ
ャーポンプ、スクリューエクストルーダーまたはギアポ
ンプ等の圧出装置(3)が設置されている。高圧で吐出
する場合には原料槽の上部を密閉しコンプレッサー
(4)で静圧を加える。加圧の必要の無い場合には上部
蓋(5)は開放のままでよい。
【0010】プランジャーポンプ、スクリューエクスト
ルーダーまたはギアポンプ等で圧出された製麺原料は本
発明の吐出ノズル(6)を持った吐出設備(7)を通っ
て麺状に成形され、凝固液の入った凝固液槽(8)に導
かれる。
【0011】圧出設備は原料の粘性によって適正な設備
を選定する必要がある。粘性の低い溶解物の場合にはプ
ランジャーポンプ、ギアポンプ等で十分であるが、粘性
が非常に高い原料の場合にはスクリューエクストルーダ
ー等圧出力の強い圧出設備を用いるのが適当である。本
発明で使用する圧出装置は原料の製造条件によってその
粘性が異なるから、原料の性状を十分把握して選定しな
ければならない。
【0012】吐出設備は吐出台(9)と複数の吐出ノズ
ル(6)によって構成される。吐出台(9)の形状は丸
型、角型いずれでもよいが原料のスムーズな流れを保証
するため丸形が望ましい。また吐出台の内面断面は円筒
状で十分であるが、1から5度程度の角度で傾斜した少
し先細りの円錐台の形状としても良い。吐出台の前面壁
(11)には吐出ノズル(6)を取り付ける複数個の孔
(12)を設けている。この孔は円筒形でもよいがノズ
ルの取り付け、取り外しを容易にするため壁の後面から
前面に向かってテーパーをつけるか及びまたはネジ切り
を行っても良い。吐出台の孔の数はノズルの数と同一で
あり、生産の規模によって決定される。孔の間隔は製麺
時の麺同志の付着を防止するため重要であり、各孔の中
心から直近の孔の中心までの距離mとノズル内径dとの
比m/dを5以上100以内、好ましくは7以上70以
下になるようなるべく等間隔に孔を設ける。m/dの適
正値は原料ペースト状溶解物の粘着性によって異なる。
m/dが5以下では製品の糸状麺が付着して塊状になる
ため製造不能になり、またm/dが100以上では吐出
設備のノズル数が少なくなり生産量の低下を来すので好
ましくない。吐出ノズルの内径dは製造する麺の太さに
よって決定されるが通常は0.3mmから3mm径のも
のを用いる。dはノズル先端での内径であってノズル形
状は円筒型(13)、傾斜型(14)、注射針型(1
5)などいずれを用いても良い。吐出ノズルから吐出さ
れた麺状物は隣接する麺状物が接触しても凝集して塊化
しない位置まで凝固液の中を平行に移動することが保証
されねばならない。このためノズルの長さは十分に長く
する必要がある。本発明の吐出ノズルの長さhは吐出ノ
ズルの内径dとの比h/dで決定される。h/dは5以
上200以内とし、好ましくは7以上100以下とす
る。h/dの適正値は原料のペースト状溶解物の物性、
吐出圧力、凝固液の性状などによって異なるが、表1及
び表2に示すようにh/dが5以下では糸状麺が互いに
凝集付着して塊状になって正常な麺の製造ができなくな
り、またh/dが200以上になると吐出圧力を過大に
することが必要になり、原料が円滑に供給できなくなる
ため麺製品の太さが不揃いになったり、麺が切断して連
続運転が不可能になる。通常のぺースト状溶解物を用い
て吐出圧力0.5乃至5kg/cm2 で運転し、凝固液
として0.5乃至7重量%のカルシウム塩水溶液を用い
た場合にはd/hは7以上100以下とするのが好まし
い。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】吐出ノズルの孔の断面形状はノズル製造上
製作しやすい丸型が好ましいが、特殊な断面形状の麺製
品を製造する場合には楕円形、角形、不定形等どのよう
な形状にしても良い。
【0016】吐出ノズルの吐出台への取り付けは、ネジ
による取り付け、嵌合、接合などいずれの手段を用いて
もよいが、ノズルは吐出台に垂直に各ノズルは互いに平
行になるようしっかりと取り付けなければならない。
【0017】以上は吐出台と吐出ノズルとを別々に製作
して使用時に取り付ける例を示したが、吐出台と吐出ノ
ズルが一体となった設備を用いても良い。この場合には
吐出台の前面壁(11)を厚くしてノズル形状を前面壁
内に形成するか、ノズルの一部を外面に突起させた吐出
設備とする。
【0018】吐出ノズルは凝固液槽(8)の中に設置
し、ノズルから吐出された麺状物は吐出直後から凝固液
に接して急速に凝固が進行するようにしなければならな
い。
【0019】凝固液は凝固剤を水で薄めて使用する。凝
固剤は無害の二価以上の可溶性金属塩を用いるが、通常
公知の凝固剤であるカルシウムまたはマグネシウム塩例
えば塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム、塩化マグネシウムなどを使用する。
【0020】製造された麺製品は十分に洗浄し、巻き取
るか適当な長さに切断後、乾燥、殺菌、包装等の処理が
行われる。
【0021】
【実施例】
(実施例1)北海道産の乾燥昆布を水洗いして異物を除
去した後、あらかじめ調整した0.7重量%の重炭酸ソ
ーダ水溶液(昆布量の15〜20倍の重量)に十分に浸
漬した。次いで80℃で40分間加熱攪拌してペースト
状溶解物を製造した。このペースト状溶解物には少量の
未溶解物があるため0.5mmの網で濾過し、製麺原料
を得た。
【0022】この製麺原料30Kgを使用して本発明の
吐出設備を用いて毎分0.5Kgの速度で製麺し、2重
量%の塩化カルシウム水溶液からなる凝固液中に吐出し
た。その結果、何のトラブルもなく断面形状均一の昆布
100%の麺を連続的に製造することができた。本実施
例に使用した吐出設備の仕様は次の通りである。
【0023】吐出ノズルの径 0.5mm 吐出ノズルの長さ 27mm 吐出ノズルの形状 注射型 吐出ノズルの断面形状 丸形 ノズル間の距離 約15mm ノズル本数 130本 吐出台の直径 200mm 吐出台の内面形状 円筒型 圧出設備 スクリューエクストルーダー 圧出圧力 3Kg/cm2
【0024】(実施例2)実施例1で製造したペースト
状溶解物30Kgに別に調合した食品配合物及び食品添
加物約1Kgを配合して混練機で十分に混練した材料を
製麺原料とした。食品添加物はこんにゃく0.5Kg,
豆腐0.5Kgと少量の調味料からなり、この混合物を
破砕機で0.2mm以下になるよう粉砕したものであ
る。
【0025】この製麺原料を吐出ノズルの径1.5m
m、吐出ノズルの長さ30mmの吐出設備で、その他は
実施例1と同一の条件で製麺を実施した。その結果健康
食品またはダイエット食品に適した麺状食品を連続的に
製造することができた。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように本発明は海藻等を主原
料としたペースト状溶解物単独またはこれに食品及びそ
の加工品、食品添加物等を配合した製麺しにくい原料か
ら、麺状製品を安定して連続的に大量生産できる装置
提供するものであり、健康食品、ダイエット食品、また
沃素、ビタミンの補給源としての海藻類の活用に大きな
効果をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に使用する吐出設備の吐出台の一例を
示す断面図である。
【図2】 吐出台の前面孔の実施例を示す正面図であ
る。
【図3】 吐出ノズルの各例を示す斜視図である。
【図4】 本発明の吐出設備、加圧設備及び付帯設備の
構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 原料貯蔵槽、2 絞り機構、3 圧出装置、4 コ
ンプレッサー、5 上部蓋、6 吐出ノズル、7 吐出
設備、8 凝固液槽、9 吐出台、10 製麺原料、1
1 吐出台前面壁、12 ノズル取り付け孔、13 ノ
ズル断面形状(円筒型)、14 ノズル断面形状(傾斜
型)、15 ノズル断面形状(注射針型)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−121777(JP,A) 特開 昭62−138171(JP,A) 特開 昭62−179368(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海藻麺原料貯蔵槽の下部に設置された海
    藻麺原料を圧出する圧出装置、圧出装置で圧出された海
    藻麺原料を吐出する吐出設備及び吐出設備から吐出され
    た海藻麺原料を凝固する凝固液槽からなり、吐出設備は
    吐出台と複数の吐出ノズルによって構成され、吐出台に
    は吐出ノズルを取り付ける複数個の孔が設けられ、各孔
    の中心から直近の孔の中心までの距離mとノズル内径d
    との比m/dを5以上100以内にするとともに、吐出
    ノズルの長さhとノズル内径dとの比h/dが5以上2
    00以内にしたことを特徴とする海藻麺製造装置。
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