JP3122280B2 - 意匠外観の優れたヌバック調人工皮革 - Google Patents

意匠外観の優れたヌバック調人工皮革

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヌバック調人工皮革に
関するものであり、特に表面に凹凸柄が施され、凹部と
凸部では色相が異なることを特徴とする意匠外観に優れ
た人工皮革に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維質と高分子弾性体とからなる
人工皮革は、皮革の代替物として靴アッパー材、靴副材
料、衣料本体材料、衣料部品材料、袋物材料などの用途
に多く使用され、現在ではこれらの用途には無くてはな
らない材料となっている。これらの人工皮革は、天然皮
革の分類と同様に表面形態により、スェードタイプ、ヌ
バックタイプ、および銀付タイプに大別される。この中
で天然皮革のヌバックタイプは、きめ細かい触感と外観
を有し、最も高級品として扱われてきた。人工皮革に、
これらの高級外観を表現しようとする試みが過去繰り返
されてきた。
【0003】これらのヌバックタイプ天然皮革の高級感
を人工皮革として表現するために、極細繊維からなる繊
維質に高分子弾性体を付与し、表面を短い極細繊維と高
分子弾性体とを混在させた構造のものが提案されてい
る。しかし、これらの人工皮革は、繊維の染色堅牢性、
染料移行、あるいは表面の繊維長の調整など技術的に困
難な点が多く、かつコスト的にも高いため一般には普及
しているとは言えない。
【0004】また、人工皮革として、高分子弾性体を縦
穴多孔に成形して表面の緻密層を取り除き孔を開口させ
たものが提案されている。このものは、前記の表面を短
い極細繊維と高分子弾性体とを混在させた構造のものに
比べ、技術的には易しく、コスト的にも有利であるが、
表面が高分子弾性体のみの開放孔構造であるため、外観
的に天然ヌバックの持つ優雅さは得られ難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、天然
皮革ヌバックの有する表面の優雅さに近ずけた新規のヌ
バック調人工皮革を安価に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維質、ある
いは繊維質と高分子弾性体とからなる基体の片面に、厚
さが50μm〜400μmの多孔質ポリウレタン層が形
成され、該表面は孔が露出開口されてなるヌバック調人
工皮革において、該人工皮革の表面には凹凸柄が施さ
れ、凹部は凸部よりも孔の開口面積比率が小さく、ある
いは凸部は孔が露出開口されているが、凹部は孔が露出
開口されてなく、かつ凹部と凸部とは色相が異なること
を特徴とする意匠外観の優れたヌバック調人工皮革であ
る。
【0007】本発明の人工皮革を構成する繊維質とは、
従来公知の天然繊維、再生繊維、および/または合成繊
維からなる織物、編物、不織布などである。天然繊維と
しては綿、麻、羊毛、絹などが例として挙げられ、再生
繊維としてはレーヨン、アセテートなどが例として挙げ
られ、合成繊維としてはポリエステル、ナイロン、アク
リルなどが例として挙げられる。合成繊維では、単糸繊
度が0.5デニール以下、好ましくは0.01デニール
〜0.2デニールの極細繊維を使用することが、本発明
の人工皮革の風合い、優雅さを高める意味で望ましい。
なお、前記繊維質の目付は、好ましくは60g/m2
500g/m2 、さらに好ましくは100g/m2 〜3
50g/m2 、厚さは好ましくは0.3mm〜3mm、
さらに好ましくは0.5mm〜2.5.mmである。
【0008】本発明の高分子弾性体とは、従来公知の皮
革代替物として使用される高分子弾性体である。例え
ば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレ
ア、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブ
タジエンゴムなどがあり、これらは水系エマルジョン、
または有機溶剤溶液として前記繊維質に含浸したのち、
凝固されて繊維質と高分子弾性体とからなる基体とされ
る。
【0009】これらの繊維質、あるいは繊維質と高分子
弾性体とからなる基体の片面に形成される多孔質ポリウ
レタン層は、従来公知のポリウレタンすべてを適用する
ことができ、従来公知の成形方法によって形成されたも
のが適用できる。例えば、ポリウレタンの有機溶剤溶液
を繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性体とからなる基
体の片面にコーティングしたのち、ポリウレタンの非溶
剤でかつポリウレタンを溶解している有機溶剤と混和性
のある凝固浴中で凝固を生じさせる方法、あるいはポリ
ウレタンの有機溶剤溶液、あるいは分散液に水を微分散
させたW/Oタイプのエマルジョンを繊維質、あるいは
繊維質と高分子弾性体とからなる基体の片面にコーティ
ングしたのち、有機溶剤を選択的に蒸発させてポリウレ
タンを凝固させる方法などがある。
【0010】本発明の多孔質ポリウレタン層の厚さは、
凹凸柄を鮮明に施すために50μm〜400μm、好ま
しくは100μm〜300μmである。この厚さは、耐
摩耗性、面平滑性、クッション性、ボリューム感を得る
ためにも必要である。厚さが50μmに満たない場合に
は、繊維質の生地目が表面に現れ表面のスムース感が得
られにくいと同時に、凹凸柄を付与する際に凹凸差が明
確に発現できず本発明の凹凸色相差が得られにくいので
好ましくない。一方、厚さが400μmを超えると、ゴ
ムライクな人工皮革になることや生産性が低下すること
などの点で好ましくない。
【0011】本発明では、ヌバック調外観を目的として
いるため、これらの多孔質ポリウレタン層は本発明を限
定するものではないが、縦穴形状の多孔質であることが
好ましい。多孔質ポリウレタン層は、従来のいずれの方
法においても最表面が緻密となるので、この緻密層を研
削して孔を開口させる必要がある。従って、表面の研削
性を容易にし良好なヌバック外観を得るために縦穴形状
の多孔質が好ましい。また、多孔質ポリウレタン層の多
孔度、すなわち見掛け密度は最表面の緻密層の研削性、
凹凸柄付与性の面から、好ましくは0.35g/cc〜
0.55g/cc、さらに好ましくは0.37g/cc
〜0.45g/ccである。この見掛け密度が低すぎる
と得られる製品の耐摩耗性が得られにくくなり、高すぎ
ると研削性、凹凸柄の付与性が劣ることになる。
【0012】凹凸柄は、人工皮革で通常行われているエ
ンボス加工で付与することができる。凹凸柄のパターン
としては、毛穴調、血筋調あるいはこれらの複合された
ようなものなど従来からある種々の柄が使用される。多
孔質ポリウレタン層に凹凸柄を施す方法としては、柄ロ
ールをポリウレタンの軟化温度に加熱して多孔質ポリウ
レタン層に加圧処理する方法が一般的であるが、そのほ
かポリウレタンの軟化温度以下の温度で押し圧力を高め
た方法も採用することができる。いずれの場合でも、ロ
ールの柄のパターンを正確に多孔質ポリウレタン層に転
写することが高級外観を得るために重要である。
【0013】本発明では、多孔質ポリウレタン層に施さ
れた凹凸柄の凹部と凸部では孔の開口面積比率が異なる
ことが特徴である。すなわち、凹部は凸部よりも孔の開
口面積比率が小さいか、あるいは凸部は孔が露出開口さ
れているが、凹部は孔が露出開口されていないことであ
る。凸部が主に従来からの多孔質の表面を研削して得ら
れるヌバック調の外観を表現し、凹部が凸部より緻密な
ことにより、凸部のヌバック調の外観を従来に比べより
高級な産毛感覚を引き起こす効果を持っている。逆に、
凹部が凸部よりも孔の開口面積比率が大きくなると、ヌ
バック調の高級外観から離れ、単なるフェルト状の表面
外観になるので好ましくない。
【0014】なお、凹部の孔の径は好ましくは0μm〜
20μm、さらに好ましくは2μm〜15μm、凸部の
孔の径は好ましくは10μm〜100μm、さらに好ま
しくは20μm〜70μmである。また、凹部が凸部よ
りも孔の開口面積比率が小さいとは、具体的には多孔質
ポリウレタン層にエンボスなどで凹凸柄を付与したの
ち、凸部のみをサンドペーパー研削機などで研削して孔
を開口させる方法や、あるいは多孔質ポリウレタン層を
サンドペーパー研削機などで研削して孔を開口させたの
ち、エンボスなどで凹凸柄を付与し、その後、再び凸部
をサンドペーパー研削機などで研削して孔を開口させる
方法などで得ることができる。
【0015】さらに、本発明の人工皮革において、前記
凹部と凸部の面積比は、好ましくは20/80〜80/
20、さらに好ましくは40/60〜60/40であ
る。凹部の面積が20%未満ではヌバック感が得られ
ず、従来の銀付調人工皮革の外観となり好ましくなく、
一方80%を超えると本発明の目的とする凹凸部の異
色、異なる径の孔の開口による産毛感覚が得られず、従
来の表面が開放孔のみのヌバック外観となり好ましくな
い。
【0016】次に、本発明の人工皮革は、凹部と凸部で
は色相が異なることが特徴である。凹、凸部の色相が異
なることにより、凹凸柄のパターンとの組み合わせで、
従来の多孔質ポリウレタン層の表面を単に研削して得ら
れるヌバック調の外観に比べ、大幅にその優雅さを高め
ることができる。例えば、凹凸柄が細かいものを使用
し、凹、凸部の色相を補色の配色とすると、これらの色
が微妙に混合し全体的にはこれらの中間色として表現さ
れ、天然皮革のヌバックに見られる産毛調の感覚が得ら
れる。また、凹凸柄を大きいパターンとして、凹、凸部
にそれぞれ類似色(例えば、グリーンとブルー)を配す
ると、凸部のヌバック感覚が高まり、全体的には優雅さ
が表現されることとなる。
【0017】本発明の凹凸部の色相の異なる優雅さが表
現されたヌバック調の人工皮革を得る方法について例を
述べる。すなわち、織物、編物、あるいは不織布などの
繊維質に、ポリウレタンなどの高分子弾性体の有機溶剤
溶液を含浸して凝固・乾燥させたのち、顔料あるいは染
料で着色されたポリウレタンのジメチルホルムアミド溶
液を被覆して水浸凝固・水洗・乾燥を経て、着色された
厚さ50μm〜400μmの多孔質ポリウレタン層を有
する人工皮革基体を作成し、または多孔質ポリウレタン
層の表面を軽くサンドペーパー研削機により研削して孔
を開口させた人工皮革基体を作成し、次に多孔質ポリウ
レタン層とは異なる色相に着色されたポリウレタン溶液
を薄く被覆し乾燥する。次いで、凹凸柄を有する加熱ロ
ールによって表面に凹凸柄を付与したのち、サンドペー
パー研削機により凸部の表面を研削して最表面のポリウ
レタン膜および多孔質ポリウレタン層の緻密層を取り除
き多孔質ポリウレタン層の孔を開口させる。このような
方法によって、本発明のヌバック調人工皮革が作成され
る。
【0018】この場合、先に述べたように凹凸部の厚さ
の差が大きい程、色相の差が鮮明に現れるので、多孔質
ポリウレタン層の厚さは50μm以上であることが好ま
しいこととなる。多孔質ポリウレタン層を有する人工皮
革基体の表面に被覆される異色ポリウレタン膜は、着色
剤の量を多くして多孔質ポリウレタン層の色を隠蔽する
程、凹凸部の色層差を明確に表現することができる。あ
るいは、隠蔽性が小さい着色剤を使用して多孔質ポリウ
レタン層の色相との混合色に発色させる方法も有効であ
る。また、研削された凸部は多孔質ポリウレタン層の孔
が開口されてマット調(艶消しタイプ)になるため、多
孔質ポリウレタン層の表面に被覆される異色ポリウレタ
ン膜もマット調とすることが全体的な艶調和がとれて有
効である。なお、最表面のポリウレタン膜を形成させる
場合には、該ポリウレタン膜の厚さは、好ましくは1μ
m〜15μm、さらに好ましくは2μm〜6μmであ
る。
【0019】さらに、表面に優雅さを加えるために、多
孔質ポリウレタン層の凸部の孔の開口部などにアルミニ
ウム金属の真空蒸着による着色金属顔料などを表面に塗
装することができる。このような加工の併用によって、
深みを感じる立体感の吹雪、振金調の表現や星くずのよ
うに輝く質素な表現が可能となり、本発明のヌバック調
人工皮革の優雅さを増すことができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中に「部」、「%」とあるの
は、いずれも重量基準である。 実施例1 <基体−1の作成>目付300g/m2 、厚さ1.0m
mのポリエステル繊維からなる不織布に13%濃度の赤
色に着色されたポリウレタン−ジメチルホルムアミド溶
液〔顔料としてダイラックL3440赤;大日本インキ
化学工業(株)製を使用〕を含浸させた含浸基布の片面
に、18%濃度の赤色に着色されたポリウレタン−ジメ
チルホルムアミド溶液〔顔料としてダイラックL344
0赤;大日本インキ化学工業(株)製を使用〕を650
g/m2 の目付で被覆したのち、水浸凝固、水洗、乾燥
して赤色の基体−1を作成した。得られた赤色の基体−
1は、繊維質層の厚さが1.0mm、多孔質ポリウレタ
ン層の厚さが280μmで構成されていた。
【0021】<異色ポリウレタン被膜形成、柄付け、お
よび表面研削>赤色の基体−1の多孔質ポリウレタン層
の表面に下記の組成で作成した青色の塗料−1をグラビ
ア塗布機(110メッシュのロール使用)で塗布、乾燥
して表面が青色の着色基体とした。次に、血筋調の凹凸
柄の加熱エンボスロールで柄付けを施したのち、200
メッシュのサンドペーパーをロールに巻き付けた研削機
で多孔質ポリウレタン層の凸部を研削し、多孔質ポリウ
レタン層の赤色を発現させ孔を開口させた。得られた人
工皮革は、血筋柄の凹部は青色で孔の開口がほとんど無
く、凸部は多孔質ポリウレタン層の赤色に発色し約50
μmの径の開口が全面に見られ、優雅な外観を持つヌバ
ック調の人工皮革であった。(人工皮革−1とする。)
【0022】(塗料−1) ハウラックA1003 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 ハウラックA1276青 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 50部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 50部
【0023】実施例2 実施例1で得られた人工皮革−1の表面に、アルミニウ
ム金属の真空蒸着によるシルバー顔料〔尾池工業(株)
製;エルジー〕を使用した下記組成の塗料−2をグラビ
ア塗布機(110メッシュのロール使用)で塗布、乾燥
して表面がシルバーの星くずのように輝く華麗な外観の
ヌバック調人工皮革−2を得た。 (塗料−2) エルジー(シルバー顔料) 2.5部 レザミンNE8855−20N 〔大日精化工業(株)製〕 90部 ハウラックA1008 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 20部 イソプロピルアルコール 80部 トルエン 60部 ジメチルホルムアミド 10部
【0024】実施例3 <基体−2の作成>目付550g/m2 、厚さ1.5m
mの、ポリエステルを島成分とし、ポリエチレンを海成
分〔島成分/海成分(重量比)=50/50〕とする極
細化可能な繊維からなる不織布に13%濃度の青色に着
色されたポリウレタン−ジメチルホルムアミド溶液〔顔
料としてダイラックL3480青;大日本インキ化学工
業(株)製を使用〕を含浸させた含浸基布の片面に、1
8%濃度の青色に着色されたポリウレタン−ジメチルホ
ルムアミド溶液〔顔料としてダイラックL3480青;
大日本インキ化学工業(株)製を使用〕を650g/m
2 の目付で被覆し、水浸凝固、水洗、乾燥したのち、繊
維の海成分を構成しているポリエチレンをトルエンによ
る抽出により、不織布を構成する繊維を極細化処理して
青色の基体−2を作成した。得られた青色の基体−2
は、繊維質層の単糸デニールが平均0.02デニールの
極細繊維からなり、繊維質層の厚さが1.0mm、多孔
質ポリウレタン層の厚さが280μmで構成されてい
た。
【0025】<異色ポリウレタン被膜形成、柄付け、お
よび表面研削>青色の基体−2の多孔質ポリウレタン層
の表面に、下記の組成で作成した緑色の塗料−3をグラ
ビア塗布機(110メッシュのロール使用)で塗布、乾
燥して表面が緑色の着色基体とした。次に、毛穴調の凹
凸柄の加熱エンボスロールで柄付けを施したのち、20
0メッシュのサンドペーパーをロールに巻き付けた研削
機で多孔質ポリウレタン層の凸部を研削して該多孔質ポ
リウレタン層の青色を発現させ孔を開口させた。得られ
たものは、血筋柄の凹部は緑色で孔の開口がほとんど無
く、凸部は多孔質層の青色に発色し約50μmの径の開
口が全面に見られ、優雅な外観を持つヌバック調の人工
皮革−3を得た。
【0026】(塗料−3) ハウラックA1003 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 100部 ハウラックA1008マット 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 30部 ハウラックA5654 黄 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 25部 ハウラックA1276 青 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 25部 イソプロピルアルコール 50部 メチルエチルケトン 50部
【0027】実施例4 実施例3で得られた人工皮革−3の表面にアルミニウム
金属の真空蒸着によるシルバー顔料〔尾池工業(株)
製;エルジー〕を使用した下記組成の塗料−4をグラビ
ア塗布機(110メッシュのロール使用)で塗布、乾燥
して表面がシルバーの吹雪状の華麗な外観のヌバック調
人工皮革−4を得た。 (塗料−4) エルジー(シルバー顔料) 10部 レザミンNE8855−20N 〔大日精化工業(株)製〕 90部 ハウラックA1008 〔大日本インキ化学工業(株)製〕 20部 イソプロピルアルコール 80部 トルエン 60部 ジメチルホルムアミド 10部
【0028】実施例5 実施例1で作成した基体−1の多孔質ポリウレタン層の
表面を、320メッシュのサンドペーパーをロールに巻
きつけた研削機で研削し、多孔質ポリウレタン層の孔を
開口させ、次いで実施例1と同様の塗料を用いて同様の
操作で異色ポリウレタン被膜の形成、柄付け、および表
面研削を施した。得られた人工皮革は、血筋柄の凹部は
青色で約5μmの径の開口が全面に見られ、凸部は多孔
質ポリウレタン層が赤色に発色し、約50μmの径の開
口が全面に見られ、実施例1で得られた人工皮革−1に
比較して凹部の艶が消え、より落着きのある優雅な外観
を持つヌバック調の人工皮革−5を得た。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、天然皮革ヌバックの有
する表面の優雅さに近ずけた新規のヌバック調人工皮革
が安価に得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06N 3/14 B32B 27/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維質、あるいは繊維質と高分子弾性体
    とからなる基体の片面に、厚さが50μm〜400μm
    の多孔質ポリウレタン層が形成され、該表面は孔が露出
    開口されてなるヌバック調人工皮革において、該人工皮
    革の表面には凹凸柄が施され、凹部は凸部よりも孔の開
    口面積比率が小さく、あるいは凸部は孔が露出開口され
    ているが、凹部は孔が露出開口されてなく、かつ凹部と
    凸部とは色相が異なることを特徴とする意匠外観の優れ
    たヌバック調人工皮革。
  2. 【請求項2】 メタリックパウダーが表面に塗装されて
    いる請求項1記載の意匠外観の優れたヌバック調人工皮
    革。
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