JP3120700B2 - 金属酸化物薄膜パターン形成用組成物及びその製造方法、金属酸化物薄膜パターンの形成方法並びに電子部品及び光学部品の製造方法 - Google Patents

金属酸化物薄膜パターン形成用組成物及びその製造方法、金属酸化物薄膜パターンの形成方法並びに電子部品及び光学部品の製造方法

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JP3120700B2
JP3120700B2 JP07181781A JP18178195A JP3120700B2 JP 3120700 B2 JP3120700 B2 JP 3120700B2 JP 07181781 A JP07181781 A JP 07181781A JP 18178195 A JP18178195 A JP 18178195A JP 3120700 B2 JP3120700 B2 JP 3120700B2
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謙介 影山
政 米澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属アルコキシド
を含有する、ゾルゲル法による金属酸化物薄膜パターン
形成用組成物及びその製造方法、金属酸化物薄膜パター
ンの形成方法並びに電子部品及び光学部品の製造方法に
係り、特に、当該金属アルコキシドの光反応性を高め、
必要な光照射エネルギーの大幅な低減が可能な金属酸化
物薄膜パターン形成用組成物及びその製造方法と、この
組成物を用いた金属酸化物薄膜パターンの形成方法並び
に電子部品及び光学部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属酸化物薄膜は、その電気的、光学的
性質により、キャパシター膜、光導波路、光学素子等と
して、各種デバイスに使われている。金属酸化物薄膜を
デバイスに使用する場合、一般に所定の回路を形成する
ように金属酸化物薄膜のパターン形成が必要となる。
【0003】従来、金属酸化物薄膜パターンは、CVD
法又はスパッタリング法により基板上に金属酸化物の薄
膜を形成した後、レジストを用いるウェットエッチン
グ、或いは、RIE等のドライエッチングを行って、パ
ターニングすることにより形成されている。
【0004】また、ゾルゲル法による金属酸化物薄膜パ
ターンの形成方法、即ち、金属のメトキシド、エトキシ
ド、イソプロポキシド等の一般的なアルコキシド、或い
は、更に必要に応じて安定化のための添加剤等を加えて
部分置換を行った金属アルコキシドを含む溶液を基板に
塗布して形成したゲル膜に、紫外線を照射して反応さ
せ、エッチングを行ってパターンを作製する方法も知ら
れている。更に、酸発生剤を混合する例も知られている
(特開平5−116454号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ウェットエッチング又
はドライエッチングによるパターニングは、工程が多
く、コスト的に高くつくという欠点がある。感度を上げ
るために酸発生剤を加えたものは、膜の加工は低エネル
ギーでできるものの、硫黄等の不純物元素が残りやすく
電気特性に劣るものとなるという欠点がある。
【0006】一方、ゾルゲル法の紫外線照射による加工
は、工程数が比較的少ないという利点を有する反面、塗
布液に用いる金属アルコキシドの光反応性が弱いため、
光照射エネルギーをかなり大きくする必要があるという
欠点がある。また、溶液中の金属化合物が光反応性以外
に加水分解反応性をも有するため、基板上に塗布後長時
間放置した場合、或いは作業雰囲気の湿度が高い場合に
は、安定的にパターンを形成することができない場合も
あった。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、ゾル
ゲル法による金属酸化物薄膜パターンの形成に当り、少
ないエネルギー量の光照射により、高特性の金属酸化物
薄膜パターンを効率的に形成することができる金属酸化
物薄膜パターン形成用組成物及びその製造方法、この組
成物を用いた金属酸化物薄膜パターンの形成方法並びに
このような金属酸化物薄膜パターンを有する電子部品及
び光学部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の金属酸化物薄膜
パターン形成用組成物は、金属アルコキシドを含有する
金属酸化物薄膜パターン形成用組成物であって、ニトロ
スチロール誘導体、ニトロアセトフェノン誘導体及びニ
トロアニソール誘導体よりなる群から選ばれる1種又は
2種以上の化合物を含有することを特徴とする。
【0009】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物を基板に塗布し、所定のパターンに従って光照射す
ると、光照射により光反応した部分は、少ない照射エネ
ルギー量にて非照射部(即ち、未反応部分)に対して溶
剤に対する溶解度が劇的に変化する。
【0010】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物によるこの大きな溶解度変化が生じる機構の詳細は
明らかではないが、次のように推定される。
【0011】即ち、本発明の金属酸化物薄膜パターン形
成用組成物に含有されるニトロスチロール誘導体、ニト
ロアセトフェノン誘導体又はニトロアニソール誘導体
は、組成物中の金属アルコキシドと、容易に配位子交換
反応を受けて、光反応性の高い金属化合物を生成する。
この金属化合物は、光反応性が高いため、少ない照射エ
ネルギー量の光であっても、これを吸収すると、配位子
が容易に分解し、元の金属アルコキシドとは溶剤に対す
る溶解度が大きく異なった金属化合物を生成する。この
ため、本発明によれば、少ない照射エネルギー量にて、
大きな溶解度差を得ることができるものと推定される。
【0012】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物において、上記ニトロ基含有化合物は、金属アルコ
キシドに対して0.05〜6倍モル、特に0.3〜2倍
モル含有することが好ましい。
【0013】本発明において、ニトロスチロール誘導体
としてはβ−ニトロスチロールが、ニトロアセトフェノ
ン誘導体としてはo−ニトロアセトフェノンが、また、
ニトロアニソール誘導体としてはo−ニトロアソニール
が好ましい。
【0014】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物においては、更に、照射光の波長領域に強い吸収を
示さない、金属アルコキシドの安定化剤を含有すること
が好ましく、これにより、組成物の耐湿性、経時安定性
を高め、安定的なパターン形成が可能となる。
【0015】即ち、本発明の金属酸化物薄膜パターン形
成用組成物においては、金属アルコキシドに、前述の如
く、光反応性の置換基が導入され光反応性の高い化合物
が形成されていると考えられるが、残りの官能基(アル
コキシ基)には高い加水分解性があるため、溶液中の金
属化合物には光反応性以外にも加水分解性があることに
なる。このため、基板上に塗布後長時間放置した場合、
或いは作業雰囲気の湿度が高い場合には安定的にパター
ンを形成することができない場合があるが、耐加水分解
性のための安定化剤を加えることにより、塗膜形成後空
気中又は高湿雰囲気中に長時間放置した後でも、パター
ンを安定的に形成することができるようになる。
【0016】この安定化剤としては、エタノールアミン
類、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、カルボン酸
類、グリコール類及びグリコールエステル類から選ばれ
る1種又は2種以上が好ましい。
【0017】また、本発明においては、金属アルコキシ
ドと前記ニトロ基含有化合物とを溶媒に溶解させて加熱
還流することにより、金属アルコキシドとニトロ基含有
化合物との複合体を形成しておくのが有利である。
【0018】即ち、必要な光照射エネルギーの大幅な低
減化(感度の向上)のためには、前述の光反応性の高い
金属化合物の生成量を多くする必要がある。このため、
溶媒中で金属アルコキシドとニトロ基含有化合物とを還
流下反応させて、予め金属アルコキシドとニトロ基含有
化合物との複合体を形成しておくことにより、少ないニ
トロ基含有化合物添加量で、光感度の非常に高い感光性
酸化物薄膜パターン形成用組成物とすることができる。
【0019】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物は、特に2種以上の金属アルコキシドを含有する場
合に好適であり、この場合において、この2種以上の金
属アルコキシドが複合アルコキシドとして含有されてい
ることが、パターニングの安定化の面から望ましい。ま
た、いったん形成された複合アルコキシドが逆反応によ
り単体に戻るのを防ぐため、複合化の際に生成してくる
有機物を取り除くという方法も効果的である。
【0020】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物は、金属アルコキシドと前記ニトロ基含有化合物と
を溶媒中で加熱還流することにより、予め金属アルコキ
シドとニトロ基含有化合物との複合体を形成した後、安
定化剤その他の成分を添加して製造するのが好ましい。
【0021】また、2種以上の金属アルコキシドを含有
する場合にあっては、2種以上の金属アルコキシドを溶
媒中で加熱還流して予め複合アルコキシドを形成した
後、安定化剤その他の成分を添加して製造するのが好ま
しい。
【0022】また、ニトロ基含有化合物は、この複合ア
ルコキシドに対して、前述の如く、複合化させておくの
が好ましい。金属アルコキシドあるいは複合金属アルコ
キシドとニトロ基含有化合物を複合化させた際、逆反応
を防止するために、生成してくる有機物を取り除くとい
う方法も効果的である。
【0023】本発明の金属酸化物薄膜パターンの形成方
法は、本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組成物を
基板に塗布した後、得られた塗布膜に所定のパターンに
従って光照射し、照射部の光反応により生起する光照射
部と非照射部との溶媒に対する溶解度差を利用して該塗
布膜をパターニングすることを特徴とする。
【0024】本発明の電子部品の製造方法は、上記方法
に従って、金属酸化物薄膜パターンを有する電子部品を
製造することを特徴とする。
【0025】本発明の光学部品の製造方法は、上記方法
に従って、金属酸化物薄膜パターンを有する光学部品を
製造することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0027】本発明において、金属酸化物薄膜パターン
形成用組成物中に金属アルコキシドと共に含有させるニ
トロスチロール誘導体としては、β−ニトロスチロー
ル,o−ニトロスチロール,m−ニトロスチロール,p
−ニトロスチロール等が挙げられる。
【0028】また、ニトロアセトフェノン誘導体として
は、o−ニトロアセトフェノン,m−ニトロアセトフェ
ノン,p−ニトロアセトフェノン,2−ニトロ−3−メ
チルアセトフェノン,2−ニトロ−4−メチルアセトフ
ェノン,2−ニトロ−5−メチルアセトフェノン,2′
−ニトロ−6−メチルアセトフェノン等が挙げられる。
【0029】更に、ニトロアニソール誘導体としては、
o−ニトロアニソール,m−ニトロアニソール,p−ニ
トロアニソール,2−ニトロ−3−メチルアニソール,
2−ニトロ−4−メチルアニソール,2−ニトロ−5−
メチルアニソール,2−ニトロ−6−メチルアニソール
等が挙げられる。
【0030】本発明においては、特に、ニトロスチロー
ル誘導体として下記のβ−ニトロスチロールを、ま
た、ニトロアセトフェノン誘導体として下記のo−ニ
トロアセトフェノンを、また、ニトルアニソール誘導体
としては下記のo−ニトロアニソールを用いるのが好
ましい。
【0031】
【化1】
【0032】これらの化学物は1種を単独で用いても、
2種以上を併用しても良い。
【0033】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物におけるこれらニトロスチロール誘導体、ニトロア
セトフェノン誘導体及びニトロアニソール誘導体よりな
る群から選ばれる1種又は2種以上の化合物の含有割合
(2種以上用いる場合はその合計の含有割合)は、金属
アルコキシドの含有量(金属アルコキシドとして2種以
上のものを組成物中に含有する場合はその合計含有量)
の0.05〜6倍モル、特に0.3〜2倍モルとするの
が好ましい。この割合が0.05倍モル未満ではこれら
の誘導体を含有させることによる本発明の照射エネルギ
ー低減効果が十分に得られず、0.3倍モル以上の添加
で実用的な感度を得ることができる。また2倍モルを超
えても改善効果に差異はなく、6倍モルを超えると、溶
液に対する溶解度、熱処理後の膜中残留有機物の問題等
が生じて好ましくない。
【0034】本発明において、金属アルコキシドは金属
酸化物の原料となるものであり、従って、形成する金属
酸化物の金属のエトキシド、プロポキシド、イソプロポ
キシド、ブトキシド、イソブトキシドなどの低級アルコ
キシドが好適である。
【0035】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物は、金属酸化物原料として、このような金属アルコ
キシドの他、金属アセチルアセトナート錯体や金属カル
ボン酸塩を含有していても良い。この場合、金属カルボ
ン酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩などの低級脂
肪酸塩が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0036】これら金属酸化物原料の組み合せや、使用
割合には特に制限はなく、目的とする金属酸化物薄膜に
対応した金属酸化物原料を選択すれば良い。
【0037】本発明においては、金属アルコキシド及び
前記ニトロ基含有化合物の他、耐湿性、経時安定性の改
善のために、更に、照射光の波長領域に強い吸収を示さ
ない安定化剤、即ち、アルコキシ基の加水分解防止剤を
含有することが望ましい。
【0038】このような安定化剤としては、エタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等
のエタノールアミン類、アセチルアセトン、ベンゾイル
アセトン、ジベンゾイルメタン等のβ−ジケトン類、3
−オキソブタン酸エチル等のβ−ケトエステル類、2−
エチルヘキサン酸、2−エチル酪酸、酪酸、吉草酸等の
カルボン酸類、1,3−ブチレングリコール、2,4−
アミレングリコール等のグリコール類及びグリコールエ
ステル類から選ばれる1種又は2種以上を用いることが
できる。
【0039】このような安定化剤の添加量は、用いる金
属アルコキシドの種類や、前記ニトロ基含有化合物の添
加量、必要とされる耐湿性、経時安定性等によっても異
なるが、通常の場合、金属アルコキシドに対して、5倍
モル以下、特に0.5〜2倍モルとするのが好ましい。
この安定化剤の割合が金属アルコキシドに対して5倍モ
ルを超えると、前記ニトロ基含有化合物よりも金属と結
合しやすい安定化剤に関しては、感光性の感度を落とし
てしまうので、好ましくない。
【0040】本発明の組成物及び方法は、チタン酸ジル
コン酸鉛(PZT)、ランタン含有チタン酸ジルコン酸
鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム(STO)、
チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロ
ンチウム(BSTO)、チタン酸ビスマス(Bi4 Ti
312)、酸化タンタル(Ta25 )、二酸化チタン
(TiO2 )、酸化鉛(PbO)、二酸化ジルコニウム
(ZrO2 )、アルミナ(Al23 )、二酸化スズ
(SnO2 )、二酸化ルテニウム(RuO2 )などの金
属酸化物(複合金属酸化物と単金属酸化物の両者を含
む)の薄膜パターンの形成に好適に利用することができ
る。当然ながら、これらの金属酸化物の薄膜を形成する
には、これら金属酸化物の金属のアルコキシドを含む金
属酸化物原料を用いる。
【0041】特に、本発明は金属アルコキシドを2種以
上含有するものに好適であり、例えば、金属アルコキシ
ドとしてSrアルコキシドSr(OR)2 (R:アルキ
ル基)と、BiアルコキシドBi(OR)3 と、Taア
ルコキシドTa(OR)5 及び/又はNbアルコキシド
Nb(OR)5 とを含有する組成式SrBi2 (Tax
Nb2-x )O9 で表されるBi層状酸化物系薄膜パター
ン形成用組成物、或いは、この組成物において、Biア
ルコキシドの代りに、カルボン酸ビスマス、硝酸ビスマ
ス、塩化ビスマス及び硫酸ビスマスよりなる群から選ば
れる1種又は2種以上を含むものが挙げられる。
【0042】本発明の金属酸化物薄膜パターン形成用組
成物は、金属アルコキシドを含む金属酸化物原料を適当
な有機溶媒(例、エタノール、イソプロパノール、2−
メトキシエタノールなどのアルコール類;酢酸、プロピ
オン酸などの低級脂肪族カルボン酸類;酢酸エチル、酢
酸プロピルなどのエステル類など)に溶解した後、得ら
れた溶液に所定量のニトロスチロール誘導体、ニトロア
セトフェノン誘導体及びニトロアニソール誘導体よりな
る群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を添加する
ことにより調製できるが、望ましくは、金属アルコキシ
ドと前記ニトロ基含有化合物とを溶媒中で加熱還流する
ことにより、予め金属アルコキシドとニトロ基含有化合
物との複合体を形成した後、安定化剤等の他の成分を添
加するのが好ましく、これにより、光感度の向上及びニ
トロ基含有化合物の使用量の低減を図ることができる。
また、複合化の逆反応を防止するためにも、生成した有
機物を取り除く方法も効果的である。
【0043】なお、目的物が複合酸化物薄膜パターンで
ある場合には、2種以上の金属酸化物原料を、目的物中
における各金属の存在比に一致した割合で使用するが、
2種以上の金属アルコキシドを含有する場合には、該2
種以上の金属アルコキシドを溶媒中で加熱還流して予め
複合アルコキシドを形成した後、安定化剤等の他の添加
剤を添加するのが好ましい。この場合においても、ニト
ロ基含有化合物は、複合アルコキシドと共に溶媒中で加
熱還流して複合体を形成しておくのが望ましい。この場
合も逆反応を防止するため、生成した有機物を取り除く
方法も効果的である。
【0044】なお、組成物中の金属酸化物原料の濃度は
1〜20重量%の範囲内が好ましい。
【0045】この組成物の基板への塗布は、均一な膜厚
の塗膜が形成される塗布法であれば特に制限されない
が、工業的にはスピンコート法が採用されることが多
い。必要であれば、塗膜がゲル化した後、塗布操作を繰
り返して所望の塗膜厚みを得ることもできる。本発明で
は、ニトロスチロール誘導体、ニトロアセトフェノン誘
導体及びニトロアニソール誘導体よりなる群から選ばれ
る1種又は2種以上の化合物の添加により少ない照射エ
ネルギーで露光することができるため、塗膜を厚くする
ことも可能である。本発明の組成物を用いて形成する金
属酸化物薄膜の膜厚は、1回の塗布操作当たり一般的に
300〜1000Åの範囲内が好ましい。
【0046】得られた塗膜は、短時間の放置で流動性を
失い、露光が可能となる。放置時間は、画像形成のため
の光照射が可能な程度に塗膜が乾く(流動性を喪失す
る)ように決めればよく、通常は数秒〜数分の範囲内で
よい。
【0047】次いで、所望パターンに対応する画像を形
成するために光を照射して画像形成露光を行う。照射す
る光としては、紫外線が一般的である。紫外線源は、例
えば、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、エキシマレーザー等
でよい。画像形成露光は、常法により、マスクを通して
光を照射するか、或いは光源がレーザーの場合にはパタ
ーン化されたレーザー光を照射する直描法によって行う
ことができる。照射エネルギー量は特に制限されず、膜
厚や金属酸化物原料の種類によっても変動するが、本発
明によればニトロスチロール誘導体、ニトロアセトフェ
ノン誘導体及びニトロアニソール誘導体よりなる群から
選ばれる1種又は2種以上の化合物の添加により、通常
は0.5〜2J/cm2 の低エネルギー量とすることが
できる。
【0048】特に、金属アルコキシドとニトロ基含有化
合物とを予め複合化させておいた場合には、光感度の向
上により、0.1〜2J/cm2 のより一層低いエネル
ギー量とすることもできる。
【0049】この光の照射により、露光部では後述の作
用の項で記載する如く、金属アルコキシドの光反応等に
より硬化して、アルコールなどの溶媒への溶解度が低下
する。本発明では、ニトロスチロール誘導体、ニトロア
セトフェノン誘導体及びニトロアニソール誘導体よりな
る群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が、好まし
くは金属アルコキシドとの複合体として存在しているの
で、少ない光照射エネルギーで、露光部の金属アルコキ
シドの光反応を選択的に促進することができる。そのた
め、エネルギー密度が低い紫外線でも短時間で十分に照
射の目的を達成できる。
【0050】なお、所望により、この照射後、乾燥不活
性ガス(N2 ,Ar等)雰囲気中で40〜100℃に1
〜10分間程度放置してもよい。こうして空気中の水分
を遮断して温度保持することにより、未露光部の塗膜成
分の加水分解を抑制したまま、露光部の塗膜の硬化反応
を選択的にさらに進めることができるので、露光部と未
露光部との溶解度差が一層大きくなる。
【0051】また、照射後、必要に応じて、基板を全面
的に加熱することにより塗膜を乾燥してもよい。これに
より、パターンとして残る露光部に残留している水分や
有機溶媒が除去される。この全面的な加熱は、例えば、
100〜150℃で5〜10分間程度行えばよい。
【0052】その後、適当な溶媒を用いて現像すること
により、未露光部にある未硬化の塗膜を除去すると、露
光部からなるネガ型のパターンが基板上に形成される。
現像剤として用いる溶媒は、未露光部の材料を溶解で
き、露光部の硬化膜に対する溶解性の小さい溶媒であれ
ば良く、一般的には、水又はアルコール類を使用するこ
とが好ましい。適当なアルコールとしては、2−メトキ
シエタノール、2−エトキシエタノールなどのアルコキ
シアルコールがある。これでは溶解力が高すぎ、露光部
の溶解が起こり得る場合には、上記アルコールにエチル
アルコール、イソプロピルアルコール(IPA)などの
アルキルアルコールを添加することにより、溶解力を調
整することができる。
【0053】現像は、例えば、常温の溶媒に10秒〜1
0分間程度浸漬することにより実施できる。現像条件
は、未露光部が完全に除去され、露光部は実質的に除去
されないように設定する。従って、現像条件は、光の照
射量、その後の熱処理の有無、現像に用いる溶媒の種類
に応じて変動する。
【0054】現像後、すなわち現像液から塗膜サンプル
を引き上げた後、塗膜に付着した現像液による残膜部の
溶解を防ぎ、現像を完全に停止するために、必要に応じ
ては、リンス液に浸漬し、現像液を洗い流す操作を行っ
ても良い。リンス液としては、膜の溶解力が弱く、現像
液と容易に混じるものが良く、一般的には低級アルコー
ル類を使用することが好ましい。適当なアルコールとし
てはエチルアルコール、イソプロピルアルコールがあ
る。
【0055】こうして露光部が残留したネガ型の塗膜パ
ターンが基板上に形成される。その後、基板を熱処理し
て塗膜中の金属化合物を完全に金属酸化物に変換させる
と、所望組成の金属酸化物からなる薄膜パターンが得ら
れる。この熱処理は、通常は大気雰囲気中200〜80
0℃で1秒〜2時間の焼成により行うことが好ましい。
【0056】必要であれば、こうして形成された金属酸
化物薄膜パターンの上に、同じ方法で異種又は同種の金
属酸化物薄膜パターンを重ねて形成してもよい。
【0057】このような方法に従って製造される電子部
品としては、DRAM、不揮発性強誘電体薄膜メモリ
ー、バイポーラメモリー、GaAsIC等の半導体メモ
リー、液晶素子、コンデンサアレイ等が挙げられる。
【0058】また、光学部品としては、光導波路、薄膜
型光アイソレーター、フレネルレンズ等が挙げられる。
【0059】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】実施例1 2−メトキシエタノール75gに酢酸鉛三水和物11.
65gを加えて加熱溶解し、共沸混合物として脱水して
無水酢酸鉛溶液を得た。これにジルコニウムテトラノル
マルブトキシド6.12g及びチタニウムテトライソプ
ロポキシド4.19gを加え、重量調整のため2−メト
キシエタノールで全量を100gとし、10重量%のP
bZr0.52Ti0.483 (PZT)溶液を得、この溶液
にβ−ニトロスチロールを各々表1に示す割合で加え、
PZT薄膜パターン形成用組成物とした。
【0061】得られた組成物を、各々、シリコン基板上
にスピンコート法により膜厚500Åとなるように塗布
した後、塗布膜にフォトマスクを通して表1に示すエネ
ルギー量の紫外線を照射し、次いで、2−メトキシエタ
ノールとイソプロピルアルコールの1:2(体積比)混
合溶媒中に10秒浸漬して現像した。パターニングの可
(○)、否(×)を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】実施例2 オクチル酸バリウムと酢酸イソアミルから調製した5重
量%Ba溶液32.96g、オクチル酸ストロンチウム
と酢酸イソアミルから調製した5重量%Sr溶液21.
03g及びチタニウムテトライソプロポキシド6.82
gを混合し、酢酸イソアミルで全量を100gとして5
重量%のBa0.5 Sr0.5 TiO3 (BST)溶液を
得、この溶液にβ−ニトロスチロールを各々表2に示す
割合で加え、BST薄膜パターン形成用組成物とした。
【0064】得られた組成物を用いて、実施例1と同様
にして露光、現像を行い、パターニングの可(○)、否
(×)を表2に示した。
【0065】
【表2】
【0066】実施例3 オクチル酸ストロンチウムと酢酸イソアミルから調製し
た5重量%Sr溶液8.68g、オクチル酸ビスマスと
酢酸イソアミルから調製した5重量%Bi溶液41.2
1g及びタンタルペンタエトキシド4.02gを混合
し、酢酸イソアミルと2−メトキシエタノールの1:1
(体積比)混合溶媒で全量を100gとし、5重量%の
SrBi2 Ta29 溶液を得、この溶液にβ−ニトロ
スチロールを各々表3に示す割合で加え、SrBi2
29 薄膜パターン形成用組成物とした。
【0067】得られた組成物を用いて、実施例1と同様
にして露光、現像を行い、パターニングの可(○)、否
(×)を表3に示した。
【0068】
【表3】
【0069】実施例4 リチウムエトキシド1.76g、ニオブペンタエトキシ
ド10.76g及び2−メトキシエタノール87.48
gを混合し、5重量%のLiNbO3 溶液を得、この溶
液にβ−ニトロスチロールを各々表4に示す割合で加
え、LiNbO3薄膜パターン形成用組成物とした。
【0070】得られた組成物を用いて、実施例1と同様
にして露光、現像を行い、パターニングの可(○)、否
(×)を表4に示した。
【0071】
【表4】
【0072】実施例5 オクチル酸ビスマスと酢酸イソアミルから調製した5重
量%Bi溶液71.26gとチタニウムテトライソプロ
ポキシド3.65gとを混合し、酢酸イソアミルと2−
メトキシエタノールの1:1(体積比)混合溶液で全量
を100gとし、5重量%のBi4 Ti312溶液を
得、この溶液にβ−ニトロスチロールを各々表5に示す
割合で加え、Bi4 Ti312薄膜パターン形成用組成
物とした。
【0073】得られた組成物を用いて、実施例1と同様
にして露光、現像を行い、パターニングの可(○)、否
(×)を表5に示した。
【0074】
【表5】
【0075】実施例6 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアセトフェ
ノンを表6に示す割合で加えたこと以外は、実施例1と
同様にPZT薄膜パターン形成用組成物を得、同様に露
光、現像を行って、パターニングの可(○)、否(×)
を表6に示した。
【0076】
【表6】
【0077】実施例7 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアセトフェ
ノンを表7に示す割合で加えたこと以外は、実施例2と
同様にBST薄膜パターン形成用組成物を得、同様に露
光、現像を行って、パターニングの可(○)、否(×)
を表7に示した。
【0078】
【表7】
【0079】実施例8 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアセトフェ
ノンを表8に示す割合で加えたこと以外は、実施例3と
同様にSrBi2 Ta29 薄膜パターン形成用組成物
を得、同様に露光、現像を行って、パターニングの可
(○)、否(×)を表8に示した。
【0080】
【表8】
【0081】実施例9 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアセトフェ
ノンを表9に示す割合で加えたこと以外は、実施例4と
同様にLiNbO3 薄膜パターン形成用組成物を得、同
様に露光、現像を行って、パターニングの可(○)、否
(×)を表9に示した。
【0082】
【表9】
【0083】実施例10 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアセトフェ
ノンを表10に示す割合で加えたこと以外は、実施例5
と同様にBi4 Ti312薄膜パターン形成用組成物を
得、同様に露光、現像を行って、パターニングの可
(○)、否(×)を表10に示した。
【0084】
【表10】
【0085】実施例11 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアニソール
を表11に示す割合で加えたこと以外は、実施例1と同
様にPZT薄膜パターン形成用組成物を得、同様に露
光、現像を行って、パターニングの可(○)、否(×)
を表11に示した。
【0086】
【表11】
【0087】実施例12 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアニソール
を表12に示す割合で加えたこと以外は、実施例2と同
様にBST薄膜パターン形成用組成物を得、同様に露
光、現像を行って、パターニングの可(○)、否(×)
を表12に示した。
【0088】
【表12】
【0089】実施例13 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアニソール
を表13に示す割合で加えたこと以外は、実施例3と同
様にSrBi2 Ta29 薄膜パターン形成用組成物を
得、同様に露光、現像を行って、パターニングの可
(○)、否(×)を表13に示した。
【0090】
【表13】
【0091】実施例14 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアニソール
を表14に示す割合で加えたこと以外は、実施例4と同
様にLiNbO3 薄膜パターン形成用組成物を得、同様
に露光、現像を行って、パターニングの可(○)、否
(×)を表14に示した。
【0092】
【表14】
【0093】実施例15 β−ニトロスチロールの代りに、o−ニトロアニソール
を表15に示す割合で加えたこと以外は、実施例5と同
様にBi4 Ti312薄膜パターン形成用組成物を得、
同様に露光、現像を行って、パターニングの可(○)、
否(×)を表15に示した。
【0094】
【表15】
【0095】表1〜表15より、所定割合のニトロスチ
ロール誘導体、ニトロアセトフェノン誘導体及び/又は
ニトロアニソール誘導体を添加することにより、露光に
必要な照射エネルギー量を著しく低減できることが明ら
かである。
【0096】実施例16 実施例1において、β−ニトロスチロールを金属アルコ
キシドに対して等モル加えた後、更に、表16に示す安
定化剤を金属アルコキシドに対して1.5倍モル加えた
こと以外は同様にしてPZT薄膜パターン形成用組成物
を調製した。
【0097】得られた組成物を、各々、シリコン基板上
にスピンコート法により膜厚500Åとなるように塗布
した。この塗布膜にフォトマスクを通して2J/cm2
の紫外線を照射した後、室温25℃、湿度70%の恒温
恒湿室に表16に示す時間放置し、その後、2−メトキ
シエタノールとイソプロピルアルコールの1:2(体積
比)混合溶媒中に10秒間浸漬して現像し、パターニン
グの可否で高湿雰囲気中での経時安定性を調べ、結果を
表16に示した。表16において、○印はパターニング
できたもの、×印は光非照射部分が空気中の水分で加水
分解したため不溶化し、パターニングできなかったもの
を示す。
【0098】
【表16】
【0099】実施例17 実施例2において、β−ニトロスチロールの代りにo−
ニトロアセトフェノンを金属アルコキシドに対して等モ
ル加え、更に、表17に示す安定化剤を金属アルコキシ
ドに対して1.5倍モル加えたこと以外は同様にしてB
ST薄膜パターン形成用組成物を調製した。
【0100】得られた組成物について、各々、実施例1
6と同様にして、塗布、光照射、放置及び現像を行って
経時安定性を調べ、結果を表17に示した。
【0101】
【表17】
【0102】実施例18 実施例1において、β−ニトロスチロールの代りにo−
ニトロアニソールを金属アルコキシドに対して等モル加
えた後、更に、表18に示す安定化剤を金属アルコキシ
ドに対して1.5倍モル加えたこと以外は同様にしてP
ZT薄膜パターン形成用組成物を調製した。
【0103】得られた組成物について、各々、実施例1
6と同様にして、塗布、光照射、放置及び現像を行って
経時安定性を調べ、結果を表18に示した。
【0104】
【表18】
【0105】実施例19 Baメタルを2−メトキシエタノールに溶解して調製し
た2−メトキシエトキシBaの5重量%Ba溶液32.
96g、Srメタルを2−メトキシエタノールに溶解し
て調製した2−メトキシエトキシSrの5重量%Sr溶
液21.03g、及び、チタニウムテトライソプロポキ
シド6.82gを混合し、2−メトキシエタノールで全
量を100gとし、5重量%のBa0.5 Sr0.5 TiO
3 (BST)溶液を得、この溶液にβ−ニトロスチロー
ルを金属アルコキシドに対して等モル加え、更に、表1
9に示す安定化剤を金属アルコキシドに対して1.5倍
モル加えてBST薄膜パターン形成用組成物を調製し
た。
【0106】得られた組成物について、各々、実施例1
6と同様にして、塗布、光照射、放置及び現像を行って
経時安定性を調べ、結果を表19に示した。
【0107】
【表19】
【0108】実施例20 テトラターシャリーブトキシ錫Sn(O−t−Bu)4
12.28gとトリブトキシアンチモンSb(OBu)
3 1.05gを2−メトキシエタノール86.67gに
溶解し、5重量%ATO溶液を得た。この溶液にo−ニ
トロアセトフェノンを金属アルコキシド(SnとSbの
総モル数)の2倍モル加え、更に、表20に示す安定化
剤を金属アルコキシドに対して1.5倍モル加えてAT
O薄膜パターン形成用組成物を調製した。
【0109】得られた組成物について、各々、実施例1
6と同様にして、塗布、光照射、放置及び現像を行って
経時安定性を調べ、結果を表20に示した。
【0110】
【表20】
【0111】表16〜20より、安定化剤を用いること
により、金属酸化物薄膜パターン形成用組成物の高湿環
境下での経時安定性が改善されることが明らかである。
【0112】実施例21 表21に示す金属アルコキシドを2−メトキシエタノー
ルに溶解し、その溶液にβ−ニトロスチロールを表21
に示す量(モル比)加え、加熱還流を5時間行って金属
アルコキシドとβ−ニトロスチロールの複合体を形成さ
せた。この溶液をシリコン基板上にスピンコート法で膜
厚500Åとなるように塗布した。この塗布膜にフォト
マスクを通して0.1J/cm2 の紫外線を照射し、そ
の後、2−メトキシエタノールとイソプロピルアルコー
ルの1:2(体積比)混合溶媒中に10秒間浸漬して現
像を行い、パターニングの可(○)、否(×)を表21
に示した。
【0113】
【表21】
【0114】実施例22 β−ニトロスチロールの代りにo−ニトロアセトフェノ
ンを用いたこと以外は実施例21と同様にして複合体の
形成、塗布、光照射及び現像を行って、パターニングの
可(○)、否(×)を調べ、結果を表22に示した。
【0115】
【表22】
【0116】実施例23 β−ニトロスチロールの代りにo−ニトロアニソールを
用いたこと以外は実施例21と同様にして複合体の形
成、塗布、光照射及び現像を行って、パターニングの可
(○)、否(×)を調べ、結果を表23に示した。
【0117】
【表23】
【0118】表21〜23より明らかなように、金属ア
ルコキシドとニトロ基含有化合物とを複合化させること
により、ニトロ基含有化合物の添加量が少量でも、低エ
ネルギー照射でのパターニングが可能となる。
【0119】実施例24 ビスマス−t−ペントキサイト9.3g、タンタルエト
キシド8.71g及び9.95重量%ストロンチウム−
2−メトキシエタノール溶液8.03gの混合物を加熱
還流して形成したBi2 SrTa2 複合アルコキシドに
表24に示す割合のβ−ニトロスチロールを加えて複合
体を形成させ、更にこの複合アルコキシドの残りの官能
基の高い加水分解性を抑制し溶液を安定化するために2
−メチル酪酸2.3gを添加し、2−メトキシエタノー
ルで最終的に調製することにより10重量%Bi2 Sr
1 Ta29 薄膜パターン形成用組成物100gを得
た。
【0120】得られた組成物を、各々、シリコン基板上
にスピンコート法により膜厚800Åとなるように塗布
した後、塗布膜にフォトマスクを通して表24に示すエ
ネルギー量の紫外線を照射し、次いで、イソプロピルア
ルコール溶媒中に10秒間浸漬して現像した。パターニ
ングの可(○)、否(×)を表24に示す。
【0121】
【表24】
【0122】実施例25 β−ニトロスチロールの代りにo−ニトロアニソールを
表25に示す割合で加えたこと以外は、実施例24と同
様にして10重量%Bi2 Sr1 Ta29 薄膜パター
ン形成用組成物を得、同様に露光、現像を行って、パタ
ーニングの可(○)、否(×)を表25に示した。
【0123】
【表25】
【0124】実施例26 タンタルエトキシド27.1gと9.95重量%ストロ
ンチウム−2−メトキシエタノール溶液29.4gとの
混合物を加熱還流して形成し、2−メトキシエタノール
で調製した15重量%SrTa2 複合アルコキシド10
0gに表26に示す割合のβ−ニトロスチロールを加え
て複合体を形成させ、この複合アルコキシドの残りの官
能基の高い加水分解性を抑制し溶液を安定化するために
2−メチル酪酸7.8gを添加し、更にこの溶液に酢酸
イソアミルを溶媒とした9.63重量%2−エチルヘキ
サン酸ビスマスを加え、2−メトキシエタノールで最終
的に調製することにより10重量%Bi2 Sr1 Ta2
9 薄膜パターン形成用組成物を得た。
【0125】得られた組成物を用いて、実施例24と同
様に露光、現像を行って、パターニングの可(○)、否
(×)を表26に示した。
【0126】
【表26】
【0127】実施例27 β−ニトロスチロールの代りにo−ニトロアニソールを
表27に示す割合で加えたこと以外は、実施例26と同
様にして10重量%Bi2 Sr1 Ta29 薄膜パター
ン形成用組成物を得、同様に露光、現像を行って、パタ
ーニングの可(○)、否(×)を表27に示した。
【0128】
【表27】
【0129】実施例28 実施例24においてビスマス原料を硝酸ビスマスの2−
メトキシエタノール溶液に変更したこと以外は同様にし
て10重量%Bi2 Sr1 Ta29 薄膜パターン形成
用組成物を得、同様に露光、現像を行って、パターニン
グの可(○)、否(×)を表28に示した。
【0130】
【表28】
【0131】表24〜28より、金属アルコキシドの複
合アルコキシドを形成し、更にニトロ基含有化合物を添
加して複合化しておくことにより、より一層良好な結果
が得られることが明らかである。
【0132】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の金属酸化物
薄膜パターン形成用組成物及びその製造方法、金属酸化
物薄膜パターンの形成方法によれば、製造工程数が少な
く、低コストで効率的なパターニングが可能なゾルゲル
法により、形成される金属酸化物薄膜パターンの特性の
低下をひき起こすことなく、少ない照射エネルギーに
て、従って、パターニング時間及びパターニングコスト
を低減して、より一層効率的なパターニングを行える。
従って、本発明の電子部品及び光学部品の製造方法によ
れば、このような方法により、高特性の電子部品及び光
学部品を容易かつ効率的に、安価に製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小木 勝実 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平7−187669(JP,A) 特開 平7−268637(JP,A) 特開 平6−166501(JP,A) 特開 平1−313329(JP,A) 特開 平5−116454(JP,A) 特開 平6−172068(JP,A) 特開 昭60−243279(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/14 C01B 13/32 H01L 21/316 C01G 1/02 G03F 7/004 502

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属アルコキシドを含有し、光照射によ
    り金属酸化物薄膜パターンを形成するための組成物であ
    って、ニトロスチロール誘導体、ニトロアセトフェノン
    誘導体及びニトロアニソール誘導体よりなる群から選ば
    れる1種又は2種以上のニトロ基含有化合物を含有する
    ことを特徴とする金属酸化物薄膜パターン形成用組成
    物。
  2. 【請求項2】 請求項1の組成物において、前記ニトロ
    基含有化合物を金属アルコキシドに対して0.05〜6
    倍モル含有することを特徴とする金属酸化物薄膜パター
    ン形成用組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2の組成物において、前記ニトロ
    基含有化合物を金属アルコキシドに対して0.3〜2倍
    モル含有することを特徴とする金属酸化物薄膜パターン
    形成用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項の組成
    物において、ニトロスチロール誘導体がβ−ニトロスチ
    ロールであることを特徴とする金属酸化物薄膜パターン
    形成用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれか1項の組成
    物において、ニトロアセトフェノン誘導体がo−ニトロ
    アセトフェノンであることを特徴とする金属酸化物薄膜
    パターン形成用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし3のいずれか1項の組成
    物において、ニトロアニソール誘導体がo−ニトロアソ
    ニールあることを特徴とする金属酸化物薄膜パターン形
    成用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項の組成
    物において、更に、照射光の波長領域に強い吸収を示さ
    ない、金属アルコキシドの安定化剤を含有することを特
    徴とする金属酸化物薄膜パターン形成用組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7の組成物において、安定化剤が
    エタノールアミン類、β−ジケトン類、β−ケトエステ
    ル類、カルボン酸類、グリコール類及びグリコールエス
    テル類から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴
    とする金属酸化物薄膜パターン形成用組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項の組成
    物において、金属アルコキシドと前記ニトロ基含有化合
    物とを溶媒に溶解させて加熱還流することにより形成さ
    れた金属アルコキシドとニトロ基含有化合物との複合体
    を含有することを特徴とする金属酸化物薄膜パターン形
    成用組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれか1項の組
    成物において、2種以上の金属アルコキシドを含有する
    ことを特徴とする金属酸化物薄膜パターン形成用組成
    物。
  11. 【請求項11】 請求項10の組成物において、2種以
    上の金属アルコキシドが複合アルコキシドとして含有さ
    れていることを特徴とする金属酸化物薄膜パターン形成
    用組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれか1項に
    記載の組成物を製造する方法であって、金属アルコキシ
    ドと前記ニトロ基含有化合物とを溶媒中で加熱還流する
    ことにより、予め金属アルコキシドとニトロ基含有化合
    物との複合体を形成した後、他の成分を添加することを
    特徴とする金属酸化物薄膜パターン形成用組成物の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 請求項7ないし11のいずれか1項に
    記載の組成物を製造する方法であって、金属アルコキシ
    ドと前記ニトロ基含有化合物とを溶媒中で加熱還流する
    ことにより、予め金属アルコキシドとニトロ基含有化合
    物との複合体を形成した後、安定化剤を添加することを
    特徴とする金属酸化物薄膜パターン形成用組成物の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項10又は11の組成物を製造す
    る方法であって、2種以上の金属アルコキシドを溶媒中
    で加熱還流して予め複合アルコキシドを形成した後、他
    の成分を添加することを特徴とする金属酸化物薄膜パタ
    ーン形成用組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10又は11の組成物を製造す
    る方法であって、2種以上の金属アルコキシドを溶媒中
    で加熱還流して予め複合アルコキシドを形成した後、前
    記ニトロ基含有化合物を添加して加熱還流することによ
    り複合アルコキシドとニトロ基含有化合物との複合体を
    形成し、次いで、安定化剤を添加することを特徴とする
    金属酸化物薄膜パターン形成用組成物の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし11のいずれか1項に
    記載の金属酸化物薄膜パターン形成用組成物を基板に塗
    布した後、得られた塗布膜に所定のパターンに従って光
    照射し、照射部の光反応により生起する光照射部と非照
    射部との溶媒に対する溶解度差を利用して該塗布膜をパ
    ターニングすることを特徴とする金属酸化物薄膜パター
    ンの形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法に従って、金
    属酸化物薄膜パターンを有する電子部品を製造すること
    を特徴とする電子部品の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の方法に従って、金
    属酸化物薄膜パターンを有する光学部品を製造すること
    を特徴とする光学部品の製造方法。
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