JP3119696B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂複合管の製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂複合管の製造方法

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JP3119696B2 JP03307770A JP30777091A JP3119696B2 JP 3119696 B2 JP3119696 B2 JP 3119696B2 JP 03307770 A JP03307770 A JP 03307770A JP 30777091 A JP30777091 A JP 30777091A JP 3119696 B2 JP3119696 B2 JP 3119696B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂内層と、
その外面に形成された強化繊維層とを有する繊維強化熱
可塑性樹脂複合管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂管は、金属管と比較して軽量で
かつ錆びないという優れた特性を具備しているため、従
来から広く用いられている。しかしながら、合成樹脂管
は、金属管より耐圧性及び耐衝撃性において劣ってい
る。そこでこの問題を解決するため、内層に熱可塑性樹
脂管を配置し、その外面に液状の熱硬化性樹脂を含浸し
た強化繊維を配置し、且つこれを加熱硬化して強化繊維
層を形成し、複合管とする技術が多く知られている(例
えば特公昭62−773号公報参照)。
【0003】ところが、この種の複合管は、強化繊維層
のマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂で形成されているた
め、内層の熱可塑性樹脂管との接着力が弱く、複合管に
温水を流す等の高温条件下で使用すると、内層の熱可塑
性樹脂管と強化繊維層との線膨張率の差により、両層の
間で界面剥離が発生するという問題があった。
【0004】そこで、この問題を解決するために、本出
願人は、次のような、強化繊維層を形成する樹脂として
熱可塑性樹脂を用いる技術を開発した。この技術は、強
化繊維に予め特殊な方法で熱可塑性樹脂を含浸したもの
を材料とし、これを加熱・加圧してシート状に成形して
なる繊維複合体を、管状に賦形して強化繊維層として用
いると共に、この繊維強化層の内外に、溶融状態で熱可
塑性樹脂を押し出して積層するという複合管の製造方法
であって、強化繊維層と内外の樹脂層とが融着一体化し
たものが得られる他、マトリックス樹脂の硬化工程を不
要とするので、生産能率も向上するというものである。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】ところが、強化繊維
層に含浸されているマトリックス樹脂と、内外層を形成
する樹脂とが、同じ種類の樹脂であれば問題はないが、
得られた複合管が極めて厳しい環境条件下で使用される
場合は、上記樹脂の組合せを慎重に選択しないと、所期
の品質を備えたものが得られない場合がある。
【0006】そこで、本発明者等は更に研究を進め、強
化繊維層のマトリックス樹脂として架橋性を有する熱可
塑性樹脂を用いれば、所期の目的とする界面強度が得ら
れることを知見し、本発明を完成するに至ったのであ
る。
【0007】即ち、本発明は、強化繊維層と、内層を形
成する熱可塑性樹脂層との層間接着力に優れた繊維強化
熱可塑性樹脂複合管であって、耐熱性、耐圧性及び耐衝
撃性に優れた繊維強化熱可塑性樹脂複合管を、能率よく
生産することのできる製造方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明は、強化繊維に架橋
性熱可塑性樹脂が保持されてなるシート状繊維複合体を
用いて、管状体を連続成形する工程と、管状体を前進さ
せつつその内面に沿って、押出機より内層用熱可塑性樹
脂を溶融状態で押出して積層し、熱可塑性樹脂内層を形
成する工程と、上記管状体の架橋性熱可塑性樹脂を架橋
させる工程とを、包含してなることを特徴とする繊維強
化熱可塑性樹脂複合管の製造方法をその要旨とするもの
である。
【0009】即ち本発明製造方法は、シート状繊維複合
体内に、架橋性熱可塑性樹脂を含有させ、複合管の成形
工程中に、あるいは成形工程を経た後に、しかるべきエ
ネルギーを与えてこれを架橋させ、強化繊維を内部に介
在させた状態で少なくとも強化繊維層と内層の界面側の
熱可塑性樹脂を高分子化させて両層間に食い込む化学的
な結合構造の形成を狙って、所期の複合管を得ること
を、本発明の骨子とするものである。
【0010】本発明に用いる繊維複合体を構成する強化
繊維としては、熱可塑性樹脂の強化用として用いられる
従来公知のもの全てが使用できる。具体的には、ガラス
繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素繊維、ボロン
繊維、微細な金属繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビ
ニロン繊維、液晶ポリマー繊維、ポリエステル繊維、ポ
リアミド繊維等の有機繊維が挙げられる。
【0011】そして、この強化繊維から繊維複合体を得
る場合、主として、直径が1〜数10μmの連続した繊
維よりなるロービング状或いはストランド状のものが用
いられる。また主として連続強化繊維が用いられ、この
連続強化繊維は、長手方向に配されるが、これの他にこ
の連続強化繊維と直交ないし交差する方向に強化繊維を
配したものであってもよいし、有限長さの繊維からなる
クロス状繊維材やネット状繊維材を配することも可能で
ある。
【0012】上記の強化繊維に、熱可塑性樹脂を保持さ
せたものとしては、フィラメント一本一本の間に、樹脂
が充分に捕捉され、又は含浸した状態のものやこれらの
樹脂を熱融着一体化したものが好ましく、このような保
持状態にあることが、管体の水密性、繊維と樹脂との接
着性を高める為に必要である。そのためには、後述する
シート状繊維複合体の製造方法の前段階で、既に予めフ
ィラメント間に熱可塑性樹脂を付着乃至含浸させておく
という表面処理を施すのが好ましい。
【0013】強化繊維に、熱可塑性樹脂を保持させてシ
ート状繊維複合体となす方法としては、公知の方法がす
べて採用可能であって、例えば、(1)強化繊維を、粉
体状熱可塑性樹脂の流動床中を通過させ、粉体状熱可塑
性樹脂を繊維フィラメントに付着させた後加熱し、繊維
と樹脂とを一体化せしめる方法、(2)強化繊維を熱可
塑性樹脂のエマルジョン中を通過させて、熱可塑性樹脂
をフィラメント間に含浸させ、続いて溶融温度以上に加
熱して繊維と樹脂とを一体化するか、或いはエマルジョ
ン中を通過させた後一旦乾燥させ、その後に溶融温度以
上に加熱して一体化する方法、(3)溶融粘度が低い樹
脂の場合には、束状強化繊維をこの溶融樹脂を満たした
槽中に浸漬して樹脂を含浸する方法、(4)強化繊維に
フイルム状熱可塑性樹脂を積層し、加熱加圧する方法等
が採用される。
【0014】そして、上記強化繊維に保持させるところ
の、架橋性熱可塑性樹脂とは、可視光線、紫外線、α−
線、β−線、γ−線、X線または電子線の如き所謂活性
エネルギー線や、熱エネルギー、水等、従来公知の方法
により架橋することのできる熱可塑性樹脂全てを指す。
【0015】例えば、電子線により架橋する熱可塑性樹
脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン等のα−水素を持った熱可塑性樹脂があり、また可
視光線、紫外線により架橋する熱可塑性樹脂とは、必要
により光重合開始剤(光増感剤)を含有した熱可塑性樹
脂を指し、光重合開始剤(光増感剤)としては、例え
ば、ベンゾインアルキルエーテル系、アセトフェノン
系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系などが好適に
用いられる。
【0016】また、熱エネルギーにより架橋する熱可塑
性樹脂とは、一般的には、有機過酸化物等の(熱重合)
開始剤を含有した熱可塑性樹脂を指し、有機過酸化物の
好適な例として、イソブチルパーオキサイド、ジクミル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキセン、1,3−ビス−(t−ブ
チルパーオキシ−イソプロピル)−ベンゼン、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド等、比較的分解温度の高いものが挙げられる。
【0017】この際、有機過酸化物の添加によって、樹
脂そのものが開裂しやすくなるのが一般的であるが、満
足に架橋が進行しない場合は、適宜、トリアリルシアヌ
レート、ジアリルフタレートのような架橋助剤を添加し
てもよい。
【0018】また、水により架橋する熱可塑性樹脂と
は、例えば、アルコキシシランやビニルアルコキシシラ
ン等に代表されるシランカップリング剤によってグラフ
ト化されたシラングラフト化熱可塑性樹脂や共重合樹脂
のように、水の存在下で架橋する樹脂を指す。
【0019】シランカップリング剤の具体例としては、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラ
ン等のビニルシランカップリング剤、γ−(2−アミノ
エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン等のアミノシランカップリング剤、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン等のエポキシシランカップ
リング剤、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシ
ラン等のメルカプトシランカップリング剤、γ−クロロ
プロピルトリメトキシシラン等のクロロシランカップリ
ング剤等の他、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等
が挙げられ、従来公知のものが広く用いられ得る。
【0020】そして、前記繊維複合体中の繊維量は、5
〜70容量%であって、5容量%未満では充分な補強効
果が得られず、70容量%を超えると融着が困難であ
る。このように、強化繊維に架橋性熱可塑性樹脂が保持
されてなる繊維複合体は、主として、長手方向に引き揃
えられた状態で、加熱加圧され、シート状に成形され
る。尚、このときの熱により架橋が進行しないように、
加熱温度を調整する必要がある。この繊維複合体の幅、
厚みについては、特に制限はないが、例えば紐のように
細い場合は、直径が0.5〜5mmであり、やや広いテ
ープ状の場合、その厚みは0.1〜10mm程度であ
る。
【0021】本発明に用いる内層用熱可塑性樹脂として
は、上記、強化繊維に保持されて繊維複合体を形成する
架橋性のマトリックス樹脂と同じ樹脂であってもよく
(架橋性樹脂であるのが好ましい)、或いはまた異なる
樹脂であってもよい。ただ、繊維複合体中の樹脂と、架
橋が可能であって、融着性の良い樹脂であり、且つ管状
に押し出し成形可能なものでなければならない。具体的
には、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリエ
チレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
タジエン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリ
エーテル・エーテルケトン等の単一モノマーからなる重
合体、これらポリマー同士のブロック共重合体、或いは
ランダム共重合体、更に、これらポリマーに第3成分を
グラフトしたグラフト共重合体や変性重合体、例えば、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン
共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、シラン変性ポ
リプロピレン等が挙げられる。
【0022】なお、上記「融着性」とは、双方の樹脂を
溶融状態になるまで加熱した上で圧着し、冷却後融着し
た界面が容易に破断しないことをいう。そして、これら
の熱可塑性樹脂は、管の使用目的に応じて単独で、また
は複数の混合物として用いることができる。又、内層用
熱可塑性樹脂には、架橋剤、架橋助剤、熱安定剤、可塑
剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、強化繊維
のような添加剤、無機充填材、加工助剤、改質剤などを
配合してもよい。
【0023】本発明方法によって得られる複合管は、少
なくとも、熱可塑性樹脂内層とその外周囲に形成される
強化繊維層との2層管構造を呈するものであるが、この
強化繊維層を第1の強化繊維層とし、その上に、この第
1の強化繊維層と同じシート状繊維複合体の細幅のもの
を巻回して融着一体化し、第2の強化繊維層を形成して
3層管としてもよく、更に、その上に熱可塑性樹脂を押
し出し被覆して熱可塑性樹脂外層を形成し、4層管とし
てもよい。この4層管を成形する場合、その直下の第2
の強化繊維層を構成するマトリックス樹脂と融着性のよ
い樹脂を選択使用するのが好ましく、また、必ずしも、
第2の強化繊維層との間で、架橋反応による結合構造を
形成する必要はない。
【0024】
【作用】本発明においては、先ず、架橋性熱可塑性樹脂
が保持されてなるシート状繊維複合体から管状体を連続
成形して強化繊維層を形成し、次に、この管状体を前進
させつつ、その内面に沿って、押出機より熱可塑性樹脂
を溶融状態で押し出し積層して熱可塑性樹脂内層を形成
し、更に、強化繊維層のマトリックス樹脂を架橋させる
ことにより、強化繊維層の樹脂と内層の界面側の樹脂と
が、相互の熱融着性に加えて、架橋することにより化学
的な結合構造を形成して強固に結合するものと推察され
る。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照しなが
ら詳細に説明する。以下の説明において、前とは図面に
おいてその右方向を指すものとする。
【0026】図1は、本発明の複合管の製造方法を実施
する場合の、製造装置の一例を示す正面図であり、図2
は、同上において、管状体を成形する工程部分のみを示
す底面図であり、図3は、同上における、それぞれイ−
イ線及びロ−ロ線にて切断し、矢印方向にみた断面図で
ある。
【0027】1は、シート状繊維複合体2が巻回されて
いる巻き戻しロール、3はその前方に配置され、かつ前
半分が前向き直角に折り曲げられ、その外周部が横断面
円形の内金型4となされた、内層用熱可塑性樹脂押出機
である。5は、この内金型4の中に配されたコア、6は
内金型4の外側に配された外金型であって、内金型4と
の間にシート状繊維複合体2を管状体7に賦形するため
の隙間を形成している。8は外金型6の前方に設けら
れ、外層用熱可塑性樹脂押出機9の先端に取りつけられ
た外層形成用の被覆金型であり、10は冷却装置、11
は引取機である。 実施例1 .繊維複合体の製造 図4は、繊維複合体を熱可塑性樹脂粉末の流動床を利用
して製造する為の装置であって、直径が23μmのフィ
ラメントより構成されるロービング状ガラス繊維(旭ガ
ラス社製、4400tex)12の10本を、引き揃え
て矢印方向に移送しつつ、平均粒子径が250μmとな
るように粉砕された水架橋性ポリプロピレン(シランカ
ップリング剤グラフト変性ポリプロピレン)が、乾燥エ
アー13により流動化されている流動床14中を通過さ
せて、ガラス繊維12のフィラメント間に、このポリプ
ロピレン樹脂を付着させた後、約180度に加熱された
一対のロール15により加熱・加圧し、樹脂を溶融させ
てガラス繊維12と一体化せしめ、厚みが0.6mmの
幅広のシート状繊維複合体16を得た。
【0028】この繊維複合体16の熱可塑性樹脂とガラ
ス繊維との容量割合は、樹脂:ガラス繊維=75:25
であった。上記幅広のシート状繊維複合体16を切断し
て、幅=107mm、厚み=0.6mmの連続ガラス繊
維が長手方向に配置されたシート状繊維複合体2を得
た。 .複合管の製造 上記シート状繊維複合体2を用いて、図1に示す装置に
より3層の複合管17を製造した。
【0029】即ち、シート状繊維複合体2を図2及び図
3にも示すように、内金型4(温度=200℃)と、外
金型6(温度=200℃)とで構成される隙間(1m
m)に導入し、速度=約2m/分で引取機11により引
き取りながら、外径=約34mmの管状体7に成形し
た。
【0030】次に、該管状体7の内面に、外金型6の樹
脂出口の手前で、管状に押し出された水架橋性ポリプロ
ピレン(シランカップリング剤グラフト化ポリプロピレ
ン)を溶融状態で積層し、厚みが1mmの熱可塑性樹脂
内層18を有する2層管19を形成した。
【0031】引き続き、2層管19を、外層形成用の被
覆金型8(温度=200℃)に導入し、2層管19の外
面に、熱可塑性樹脂内層18と同様の樹脂を溶融状態で
押し出して積層し、厚み=1mmの熱可塑性樹脂外層2
0を形成した。
【0032】引き続き、冷却装置10により、冷却サイ
ジングを施した。このようにして、連続的に3層の複合
管17を製造した。得られた複合管17は、図5の
(イ)に示すように、連続ガラス繊維12が管状体の長
手方向に配置され、且つ、水架橋性ポリプロピレン樹脂
が保持されたシート状繊維複合体で形成された管状体7
からなる強化繊維層の内外面に、水架橋性ポリプロピレ
ン樹脂が融着して形成された内層18と外層20とを有
するものであった。
【0033】次に、得られた複合管17の定尺を90℃
の温水槽中に5時間浸漬することにより複合管17中の
架橋性樹脂を架橋させ、ゲル分率70%の繊維強化熱可
塑性樹脂複合管を得た。 .物性試験 上記繊維強化熱可塑性樹脂複合管17を1mの長さに切
断し、管内部に温水(90℃)冷水(25℃)とを15
分間隔で交互に通水して行う冷熱繰り返し試験を行っ
た。5000サイクル経過後の状態を観察したが、異常
は認められなかった。
【0034】また、同様に1mに切断した管内面に85
℃の温水を水圧5Kg/cm2 で、1000時間の間、
通水して行う連続通水試験を行ったが、殆ど変化は見ら
れなかった。比較例1 架橋触媒を含有しないポリプロピレン樹脂を用いた他
は、実施例1と同様にして繊維強化熱可塑性樹脂複合管
を得、且つ同様の冷熱繰り返し試験、及び連続通水試験
を行ったが、いずれの場合も、管体に膨れが認められ
た。実施例2 .繊維複合体の製造 実施例1と同様に、図4に示す熱可塑性樹脂粉末の流動
床を利用する方法により製造した。
【0035】即ち、直径が23μmのフィラメントより
構成されるロービング状ガラス繊維(旭ガラス社製、4
400tex)12の10本を、引き揃えて矢印方向に
移送しつつ、平均粒子径が250μmとなるように粉砕
された粉体状ポリプロピレン(サンテック−PAK、旭
化成社製)100重量部に対して、有機過酸化物である
2,5ジメチル−2,5ジ(−t−ブチルペルオキシ)
ヘキサン40%品(パ−ヘキサン3M−40;日本油脂
社製)を7重量部ドライブレンドしてなる樹脂粉末で形
成される流動床14中を通過させて、ガラス繊維間にこ
の樹脂粉末を付着させた後、140度に加熱された一対
のロール15により加熱・加圧してこの樹脂を軟化さ
せ、厚みが0.6mmの幅広のシート状繊維複合体21
を得た。
【0036】この繊維複合体21の熱可塑性樹脂とガラ
ス繊維との容量割合は、樹脂:ガラス繊維=70:30
であった。この繊維複合体21を切断し、図6に示すよ
うに、幅が53.5mm、厚みが0.6mmの、連続ガ
ラス繊維が長手方向に配置されたシート状繊維複合体2
2、及び幅が20mm、厚みが0.6mmのテープ状繊
維複合体23を得た。 .複合管の製造 上記のシート状繊維複合体22を用いて、図6に示す装
置により4層の複合管24を製造した。
【0037】即ち、内層用熱可塑性樹脂押出機25の、
細長く形成された内金型26の外周面に、上下方向より
シート状繊維複合体22の2枚を、加熱器27で加熱
し、軟化させながら矢印方向に移送し、鼓状ロール28
で押しつけて管状体29からなる第一の強化繊維層を成
形した。
【0038】次に、該管状体29の外周面に、巻回装置
30を用いて、テープ状繊維複合体23を螺旋状に巻回
し、加熱器31で150℃に加熱して、管状体32から
なる第2の強化繊維層を形成した。
【0039】この管状体32を引き続き前方に移送しつ
つ、その内面に沿って、外金型33の樹脂出口の手前で
管状に押し出された塩素化ポリエチレン樹脂(塩素化度
=42%、MI=0.5)を溶融状態で積層し、熱可塑
性樹脂内層34を形成し、3層管35を形成した。
【0040】この時点で、シート状繊維複合体22、或
いはテープ状繊維複合体23中に含有される有機過酸化
物が急速に開裂し、架橋が進行していた。次に、この3
層管35の樹脂温度を、有機過酸化物の開裂半減期を1
分以下にするため、190℃に維持しながらクロスヘッ
ド金型36に導入し、この外周に外層用熱可塑性樹脂押
出機40により加熱溶融された塩素化ポリエチレン(塩
素化度=42%)を、205℃の温度で押し出し被覆し
て、厚みが約1mmの熱可塑性樹脂外層37を形成し、
冷却装置38で冷却サイジングし、引取機39で引き取
り、所定の長さに切断して、繊維強化熱可塑性樹脂複合
管24を成形した。このときの成形速度は2m/分であ
った。
【0041】尚、冷却装置38に導入されるまでの複合
管24は、有機過酸化物の開裂半減期の5〜10倍の時
間が経過する間、190℃の温度に維持し、架橋反応を
完結せしめた。
【0042】得られた複合管24は、図5(ロ)に示す
ように、内層34の上に管状体29からなる第1の強化
繊維層が形成され、その上に管状体32からなる第2の
強化繊維層が形成され、更に、最外層に外層37が形成
された4層構造をなすものであった。また、その内径は
約30.5mm、外径は約37.0mmで、管径の寸法
精度は良好であった。 .物性試験 上記繊維強化熱可塑性樹脂複合管を1mの長さに切断
し、管内面に95℃の温水を水圧5Kg/cm2 で、1
000時間の間、通水して行う連続通水試験を行った
が、変化は見られなかった。
【0043】また、JIS(K6774)に従って環境
応力亀裂試験を行ったが、ノッチの周り及び応力集中点
に白華を生じるだけであった。比較例2 有機過酸化物を添加しないこと以外は、全て実施例2と
同様にして繊維強化熱可塑性樹脂複合管を得、且つ同様
にして連続通水試験及び環境応力亀裂試験を行ったが、
前者においては変化は認められなかったが、後者におい
てはノッチ及び各層界面にひび割れが発生したり、大き
く剥離する箇所があった。
【0044】
【発明の効果】本発明においては、先ず、架橋性熱可塑
性樹脂が保持されてなるシート状繊維複合体から管状体
を連続成形して強化繊維層を形成し、次に、この管状体
を前進させつつ、その内面に沿って、押出機より熱可塑
性樹脂を溶融状態で押し出し積層して熱可塑性樹脂内層
を形成し、更に、強化繊維層のマトリックス樹脂を架橋
させるので、熱可塑性樹脂が保持された強化繊維層と、
内層を形成する熱可塑性樹脂層との層間剥離強度の大き
い複合管が得られ、耐熱性、耐圧性及び耐衝撃性に優れ
た繊維強化熱可塑性樹脂複合管を、能率よく生産できる
製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合管の製造方法を実施する場合の、
製造装置の一例を示す正面図である。
【図2】同上において、管状体を成形する工程部分のみ
を示す底面図である。
【図3】同上における、それぞれイ−イ線及びロ−ロ線
にて切断し、矢印方向にみた断面図である。
【図4】流動床装置を含むシート状繊維複合体を製造す
るための装置の一例を示す垂直断面図である。
【図5】本発明複合管の製造方法の実施により得られた
繊維強化熱可塑性樹脂複合管の一部切欠斜視図であっ
て、同図(イ)は、図1〜3に示す装置により得られた
ものを示し、同図(ロ)は、図6に示す装置により得ら
れたものを示す図である。
【図6】本発明の複合管の製造方法を実施する場合の、
製造装置の他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
2 シート状繊維複合体 3 内層用熱可塑性樹脂押出機 7 管状体 9 外層用熱可塑性樹脂押出機 12 ガラス繊維 14 流動床 16 広幅のシート状繊維複合体 17 3層の複合管 18 熱可塑性樹脂内層 19 2層管 20 熱可塑性樹脂外層 21 広幅のシート状繊維複合体 22 シート状繊維複合体 23 テープ状繊維複合体 24 4層の複合管 25 内層用熱可塑性樹脂押出機 29 管状体 32 管状体 34 熱可塑性樹脂内層 35 3層管 37 熱可塑性樹脂外層 40 外層用熱可塑性樹脂押出機
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 105:08 B29L 9:00 23:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 70/06 B29C 47/00 - 47/96 F16L 11/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維に架橋性熱可塑性樹脂が保持さ
    れてなるシート状繊維複合体を用いて、管状体を連続成
    形する工程と、管状体を前進させつつその内面に沿っ
    て、押出機より内層用熱可塑性樹脂を溶融状態で押出し
    て積層し、熱可塑性樹脂内層を形成する工程と、上記管
    状体の架橋性熱可塑性樹脂を架橋させる工程とを、包含
    してなることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂複合管
    の製造方法。
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