JP3134371B2 - 樹脂チューブ - Google Patents

樹脂チューブ

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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、車両用燃料配管等に好適に用い
られる樹脂チューブに係り、特に、フッ素樹脂層とポリ
アミド樹脂層とを積層してなる積層構造の樹脂チューブ
に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、自動車等で使用されている各種
配管用チューブには、種々の素材のものがあり、例えば
燃料配管や、その連結用等に用いられているチューブに
は、金属製チューブや樹脂製チューブ等が使用されてい
る。而して、金属製のチューブは、錆が発生する不具合
があると共に、非常に重く、車両の軽量化に対応し得な
いことから、近年では、軽量で、錆が発生しない、樹脂
製チューブが多く使用されてきており、ポリアミド樹脂
製のチューブ等が利用されている。
【0003】しかしながら、ポリアミド樹脂製の単層チ
ューブは、ガソリンの透過量が多く、環境汚染の問題を
内在していることから、ポリアミド樹脂層の内側に、ガ
ソリンバリヤー性能の高いフッ素樹脂層を施して、二層
構造のチューブとして、ガソリン透過量を低減させるこ
とが考えられている。ところが、フッ素樹脂とポリアミ
ド樹脂の接着性が悪いことから、そのようなチューブで
は、使用中に層剥離が生じる恐れがあり、チューブが閉
塞される可能性があったのである。
【0004】なお、チューブの層剥離を防止するために
は、フッ素樹脂層の表面に化学処理を施すことによっ
て、活性基を導入して、層間接着性を改善することが考
えられる。しかしながら、かかる表面化学処理は、先ず
フッ素樹脂からなる内側層を押出成形して、これをナト
リウム−アンモニア錯体やナトリウム−ナフタレン錯体
を含む化学処理液に浸漬して、活性基を導入した後に、
該内側層の表面を洗浄し、乾燥することとなり、しかる
後に、該内側層の外側に、ポリアミド樹脂によって外側
層を積層しなければならない。従って、その場合には、
製造工程が大幅に複雑となると共に、化学処理液の表面
処理能力の管理やチューブ洗浄時の表面の洗浄度の管理
といった、品質管理が難しくなる不具合があるのであ
る。
【0005】
【解決課題】このような事情を背景として、本発明は為
されたものであって、その解決課題とするところは、複
雑な表面化学処理を施すことなく、フッ素樹脂層とポリ
アミド樹脂層の接着性を高め、以て層間剥離の恐れのな
い積層構造の樹脂チューブを得ることにある。
【0006】
【解決手段】そして、上記の課題を解決するために、本
発明にあっては、少なくとも内側層と外側層の二層を有
する樹脂チューブにして、該内側層が架橋助剤を添加せ
しめたフッ素樹脂にて形成される一方、該外側層が架橋
助剤を添加せしめたポリアミド樹脂にて形成されてな
り、且つそれら内側層と外側層のポリマー分子間に、放
射線照射による架橋構造が導入されていることを特徴と
する樹脂チューブを、その要旨とするものである。
【0007】
【具体的構成】ところで、本発明に従う樹脂チューブに
おいて、その内側層を形成するフッ素樹脂、及びその外
側層を形成するポリアミド樹脂は、特別なものではな
く、放射線照射によって架橋構造が形成されるポリマー
であれば何れも使用することができる。
【0008】例えば、フッ素樹脂としては、ポリビニリ
デンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオ
ロエチレン(CTFE)、エチレンとテトラフルオロエ
チレンの共重合体(ETFE)、エチレンとポリクロロ
トリフルオロエチレンの共重合体(ECTFE)等の共
重合体や、各種グラフト重合体及びブレンド体が使用さ
れ得る。
【0009】また、ポリアミド樹脂としては、脂肪族
系、芳香族系を問わず、公知の各種のものを使用するこ
とができ、ラクタムの重合物、ジアミンとジカルボン酸
の縮合物、アミノ酸の重合物、及びこれらの共重合体や
これらのブレンド物の中から、適宜に選択して使用され
る。なお、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロ
ン12等を挙げることができる。
【0010】 そして、それら樹脂材料には、架橋効率
を高めるために、架橋助剤が添加せしめられることとな
る。そのような架橋助剤のよく知られているものには、
HDDA(ヘキサンジオールジアクリレート)、TPG
DA(トリプロピレングリコールジアクリレート)、D
EGDA(ジエチレングリコールジアクリレート)、T
EGDA(テトラエチレングリコールジアクリレー
ト)、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリ
レート)、GPTA(グリセロールプロポキシトリアク
リレート)、TMPEOTA(トリメチロールプロパン
エトキシトリアクリレート)、PETA(ペンタエリス
リトールアクリレート)、TAIC(トリアリルイソシ
アヌレート)、THEICA(トリスヒドロキシエチル
イソシアヌリックアクリレート)、SnCl2 等があ
り、本発明でも、それらの何れもが使用可能である。な
お、具体的な架橋助剤の種類や添加量は、使用する樹脂
材料の種類や所望の架橋程度に応じて決定されることと
なる。また、必要とされる場合には、かかる樹脂材料
に、その他の特性付与剤や添加剤を適宜に加えても、何
等差し支えない。
【0011】そして、それらフッ素樹脂及びポリアミド
樹脂のそれぞれを、通常使用されている二軸スクリュー
押出機等を用いて、溶融温度領域下において均一に混練
せしめた後、通常のチューブ押出成形操作に従って、フ
ッ素樹脂にて内側層を、ポリアミド樹脂にて外側層を形
成して、目的とする積層構造の樹脂チューブを成形す
る。例えば、二層構造のチューブを形成する場合には、
所定のマンドレル上に同時押出成形によって、内側層と
外側層からなる管状体を形成せしめ、その状態で該管状
体を硬化乃至は固化せしめることによって、内径が規定
されたチューブを成形することができるのである。な
お、マンドレルを用いずに成形を行なうことも可能であ
る。また、チューブの肉厚は用途に応じて適宜に決定さ
れるところであるが、例えば自動車用の燃料配管用チュ
ーブ等では、内側層の肉厚は0.3mm程度、外側層の肉
厚は0.7mm程度が好ましい。
【0012】次いで、本発明においては、かかるチュー
ブに放射線を照射することによって、内側層を形成して
いるフッ素樹脂及び外側層を形成しているポリアミド樹
脂を架橋せしめることとなるのであり、特に、内側層と
外側層のポリマー分子間において、架橋構造を導入せし
めることによって、それら両層間の接着性が効果的に改
善され得るのである。その際、放射線には、通常、電子
線や、β線、γ線等の電磁波が採用されることとなる。
また、照射量は、樹脂材料の種類や架橋助剤の種類、及
び必要とされる接着程度等に応じて適宜に調整されるこ
ととなる。このように、本発明では、放射線照射処理に
よって、層間接着性を改善するところから、従来の表面
化学処理に比して、工程が著しく簡略で、品質管理も容
易となり、優れたチューブ生産性を達成できるのであ
る。
【0013】なお、本発明に従う樹脂チューブには、そ
の外側に、ゴム材料や軟質樹脂、熱可塑性エラストマー
等のソリッド体や発泡体等によって、0.5〜2mm程度
の厚みの保護層を設けるようにしても良い。そして、か
かる保護層と樹脂チューブとの接着が必要な場合には、
接着剤を施してもよいが、前記放射線の照射を、樹脂チ
ューブに保護層を積層した後に行なうことによって、接
着剤を用いずに、樹脂チューブと保護層を接着すること
が可能である。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0015】先ず、通常の押出成形手法に従って、下記
表1に示す如き層構成にて、実施例として4本、比較例
として2本の二層構造のチューブを形成した。なお、形
成したチューブは、内径:6mmφ、外径:8mmφであ
り、内側層の肉厚を0.3mm、外側層の肉厚を0.7mm
とした。そして、実施例の4本のチューブについては、
放射線(ここでは電子線を使用)を照射して、架橋させ
た。なお、比較例1のチューブには、内側層に対して表
面化学処理を施した後に、外側層を積層した。また、比
較例2のチューブには、放射線照射も表面化学処理も行
なわなかった。
【0016】かくして得られた各チューブより、1イン
チ幅の試験片を採取して、JIS−K−6301の18
0度剥離試験に準拠して、剥離強度を調べ、その結果を
表1に併せて示した。なお、表1中の略号は、以下の通
りである。 ETFE:エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合
体 F−1 :軟質フッ素樹脂(商品名:セフラルソフトG
180、セントラル硝子株式会社製) F−2 :F−1とポリビニリデンフルオライドを5
0:100(重量比)の割合で混合したブレンド材 TAIC:トリアリルイソシアヌレート PA12可:ナイロン12、可塑剤配合
【0017】
【表1】
【0018】かかる表1の結果より明らかなように、単
に内側層と外側層を積層しただけの比較例2のチューブ
では、剥離強度が低く、層剥離が生じる可能性を有して
いる。また、比較例1のチューブは、表面化学処理の実
施により、剥離強度が向上されているものの、表面化学
処理に伴って製造工程が複雑化した。これに対して、実
施例1〜4のチューブは、放射線照射のみの簡単な処理
にて、剥離強度が効果的に向上せしめられているのであ
る。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う樹脂チューブにあっては、放射線照射によって、
内側層と外側層のポリマー分子間に、架橋構造が導入さ
れていることから、フッ素樹脂にて形成される内側層
と、ポリアミド樹脂にて形成される外側層との接着性
が、効果的に改善され、以て層間剥離の問題が有利に解
消されているのである。そして、放射線照射処理は、従
来の表面化学処理に比べて、工程が極めて簡便であると
共に、品質管理も容易に行ない得ることから、かかる樹
脂チューブの生産性は極めて高いのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 F16L 11/00 - 11/24 B29C 47/00 - 47/96 B29D 1/00 - 31/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも内側層と外側層の二層を有す
    る樹脂チューブにして、該内側層が架橋助剤を添加せし
    めたフッ素樹脂にて形成される一方、該外側層が架橋助
    剤を添加せしめたポリアミド樹脂にて形成されてなり、
    且つそれら内側層と外側層のポリマー分子間に、放射線
    照射による架橋構造が導入されていることを特徴とする
    樹脂チューブ。
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