JP3118554B2 - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体の製造方法

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JP3118554B2 JP07319921A JP31992195A JP3118554B2 JP 3118554 B2 JP3118554 B2 JP 3118554B2 JP 07319921 A JP07319921 A JP 07319921A JP 31992195 A JP31992195 A JP 31992195A JP 3118554 B2 JP3118554 B2 JP 3118554B2
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広幸 秋永
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い磁気光学効果
を示す情報の記録や再生が可能な光磁気記録媒体の製造
方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は、マンガン含有合金又は化合物から成る記録層の表面
にそのマンガン酸化物の保護膜を簡単な手段で形成させ
ることにより、磁気光学効果を著しく向上させた光磁気
記録媒体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光記録媒体は高度情報社会におけ
る記録媒体の中心的役割の担い手として注目され、積極
的に研究が進められており、特にレーザー光を利用した
高度な情報の記録、再生技術は、すでに文書ファイル、
データファイルなどに実用化されている。
【0003】このような光記録媒体としては、コンパク
トディスクに代表される再生専用型、情報の記録、再生
が可能な追記型及び情報の記録、消去、再生が可能な書
き換え型の3種類が知られている。
【0004】前記光記録媒体の中で再生専用型は、最も
単純な構造を有し、記録材料としては反射率の高いもの
であればよく、通常は生産性が高く、かつ安価なアルミ
ニウムが用いられている。
【0005】一方追記型や書き換え型においては、情報
を記録するために基板上に記録層が設けられており、こ
れにレーザー光などのエネルギービームを照射して情報
の記録及び再生が行われる。追記型光記録媒体では、金
属膜、色素膜などに局所的な孔又は相変化、あるいは変
形を起こさせる不可逆的な過程が利用される。
【0006】また、書き換え型光記録媒体としては、結
晶と非晶質との間の相変態に伴う反射率変化を利用して
情報を記録する相変化型媒体と、垂直磁化膜の磁化の方
向により偏向方向が異なる磁気光学効果を利用した光磁
気型媒体とがある。そして、相変化型媒体においては、
記録層の材料として、通常カルコゲン元素を含むもの、
例えばTeOx、Te−Ge、Sn−Te−Ge、Bi
−Te−Ge、Sb−Te−Ge、Pb−Sn−Te、
Tl−In−Seなどが用いられる。
【0007】これに対し、光磁気型媒体においては、記
録層の材料として、通常ガドリニウム(Gd)、テルビ
ウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)などの希土類金
属元素と遷移金属元素とを組み合わせたもの、例えばT
b−Co、Tb−Fe−Co、Gd−Tb−Co、Nd
−Dy−Tb−Fe−Coなどが用いられている。この
ような希土類金属元素を含む記録材料は極めて酸化され
やすく、またこの酸化によって特性の劣化を招くため、
光磁気記録媒体を製造する際には、通常記録層の保護膜
として、窒化ケイ素や窒化アルミニウム膜がスパッタリ
ング法などにより、設ける処置がとられている。
【0008】ところで、最近、光磁気記録媒体における
記録層の材料として、希土類金属元素を含まない材料、
例えば遷移金属であるマンガンの化合物や合金、遷移金
属多層膜などが注目されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、マンガン含
有合金又は化合物を記録層とする光磁気記録媒体につい
て、その磁気光学効果を増強し、光磁気記録媒体として
の性能を低下することなく、簡単に保護膜を設けること
を目的としてなされたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、マンガンを
含有する合金や化合物を記録層として用いた光磁気記録
媒体について、その磁気光学効果を改善するために鋭意
研究を重ねた結果、その記録層の表面に他の金属の窒化
物や炭化物の被覆処理を施す代りに、大気中所定の条件
下で加熱処理してマンガン酸化物の保護膜を形成させる
と、その磁気光学的効果をそこなうことなく安定な保護
膜が容易に形成されることを見出し、この知見に基づい
て本発明をなすに至った。
【0011】すなわち、本発明は、基板上に、マンガン
と他の金属又は非金属をエピタキシャル成長させてマン
ガン含有合金又は化合物の薄膜を形成させたのち、大気
中、250〜300℃の範囲の温度で5〜15分間加熱
処理することにより、薄膜表面を酸化させることを特徴
とする保護膜を有する光磁気記録媒体の製造方法を提供
するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の光磁気記録媒体の基板材
料としては、レーザー光に対して透明で、吸水率が小さ
く、複屈折の小さいものであればよく、従来の光磁気記
録媒体の基板材料として慣用されたものの中から任意に
選んで用いることができる。このような基板材料として
は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレ
フィン、エポキシ樹脂、ガラス、GaAsなどがある。
【0013】次に記録層としてはマンガンと他の金属又
は非金属、好ましくは原子番号26以上の窒素族元素、
鉄族元素、白金族元素例えばSb、Bi、As、Fe、
Co、Ni、Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Irなど
から成る合金又は化合物が用いられる。このような合金
又は化合物の代表的なものは、Mn−Ga、Pt−Mn
−Sb、Mn−Bi、Mn−Sbなどである。
【0014】本発明方法においては、基板上にマンガン
含有合金又は化合物の薄膜を形成させるのに、マンガン
と他の金属又は非金属をエピタキシャル成長させるが、
これには有機金属気相エピタキシー法や分子線エピタキ
シー法が用いられる。有機金属気相エピタキシー法は、
有機金属化合物や金属水素化物を加熱した基板上に導入
し、これを基板よりやや離れた場所で熱分解させ堆積結
晶成長させる方法である。
【0015】また、分子線エピタキシー法は、超高真空
容器中に基板を装入して、数100℃に加熱し、これに
蒸発源から蒸発又は昇華させた原料金属に、分子線を照
射して結晶成長させる方法である。この方法は分子線の
パスの途中にシャッターを設け、急速に分子線のオンオ
フを行うことができ、膜厚の制御が容易であるという長
所がある。
【0016】本発明においては、これらの方法を用いて
基板上にマンガン含有合金又は化合物から成る記録層を
形成させる。この記録層の厚さは、通常10〜100n
mの範囲で選ばれる。この膜厚は基板温度や原料の温度
を調節することにより、所望の値に制御することができ
る。
【0017】本発明方法においては、次いでこのように
して基板上に設けられた記録層の表面を酸化処理し、マ
ンガン酸化物から成る保護膜を形成させることが必要で
ある。この酸化処理は、大気中において記録層を250
〜300℃の範囲の温度で5〜15分間加熱処理するこ
とにより行われる。この酸化処理時間を変えることによ
って、保護膜の厚さを適宜制御することができる。
【0018】本発明の光磁気記録媒体においては、性能
をさらに向上させるため、必要に応じ、基板と記録層と
の間に干渉層を設けてもよいし、記録層の上に干渉層
を、さらにその上に反射層を設けてもよい。前記干渉層
に用いられる材料としては、例えばSiOx、Al
23、TiO2、SiNx、TiNx、ZnS、SiNx
yなどの金属又は半金属の酸化物、窒化物、硫化物及び
これらの混合物などが挙げられる。また、反射層に用い
られる材料としては、例えばアルミニウム、アンチモ
ン、銅、金、銀、ニッケル、亜鉛、ケイ素、マグネシウ
ム、鉄、鉛などが有効である。これらの必要に応じて設
けられる各層は、例えば真空蒸着や、スパッタリングな
どの方法により、形成することができる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、磁気光学効果により情
報の記録、再生が可能な記録層の表面に簡単な酸化処理
により保護膜を設けることにより、耐食性に優れるとと
もに、磁気光学効果が増強され、光磁気記録方式の感度
が大幅に向上した光磁気記録媒体が得られる。また、記
録層の酸化処理を部分的に行うなどの酸化加工技術を用
いて、三次元的でより複雑な構造の光磁気記録媒体の作
製が可能である。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。
【0021】実施例 GaAs基板上に、分子線エピタキシャル成長法によ
り、記録層として厚さ100nmのMnSb薄膜を形成
させた。次いで、この試料を大気中で加熱処理して、2
70℃まで5分間かけて昇温し、さらにこの温度で5分
間保持し、MnSb薄膜の表面を酸化して保護膜を形成
した。このようにして、表面に保護膜を有する記録層
(MnSb薄膜)が基板上に設けられた光磁気記録媒体
が得られた。
【0022】次に、この光磁気記録媒体について、極磁
気カー回転スペクトルを求め、図1に実線で示した。図
1において、縦軸はカー回転角(度)を、横軸は光のエ
ネルギー(eV)を示す。横軸は近赤外線から近紫外線
までに対応するエネルギー範囲である。また、図1にお
いて、破線は記録層表面に保護膜を形成しない場合のス
ペクトルである。
【0023】この図1から、保護膜を設けたものは、特
に光のエネルギー3.3eV(約370nm、青紫色領
域)において、磁気光学効果が極めて大きく増強してい
ることが分かる。また、このスペクトルの再現性はよ
く、経時変化がないことから、保護膜として優れている
ことが分かった。
【0024】さらに、酸化時間を調節して保護膜の膜厚
を変えることにより、磁気光学効果の増強が著しく起こ
る波長を制御することができた。これにより、本発明の
光磁気記録媒体を使用して、半導体レーザーなどからの
レーザー光により記録、再生を行う際に、様々な波長域
のレーザー光に対応させることができることも明らかに
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 保護膜を有するMnSb薄膜及び保護膜を有
しないMnSb薄膜の1例の極磁気カー回転スペクトル
図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−162736(JP,A) 特開 平7−192332(JP,A) 特開 平7−44909(JP,A) 特開 平3−292650(JP,A) 特開 平2−15440(JP,A) 特開 平5−242537(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105 506 G11B 11/105 511 G11B 11/105 526 G11B 11/105 546

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、マンガンと他の金属又は非金
    属をエピタキシャル成長させてマンガン含有合金又は化
    合物の薄膜を形成させたのち、大気中、250〜300
    ℃の範囲の温度で5〜15分間加熱処理することによ
    り、薄膜表面を酸化させることを特徴とする保護膜を有
    する光磁気記録媒体の製造方法。
JP07319921A 1995-12-08 1995-12-08 光磁気記録媒体の製造方法 Expired - Lifetime JP3118554B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101770889B1 (ko) * 2015-08-28 2017-08-23 주식회사 엠지비엔도스코피 이동형 광원 장치

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