JP3117622B2 - 軟質発泡広巾巾木 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は病院等の台車や車椅
子が壁面に当たっても壁面を保護し、しかも意匠性の高
い軟質発泡広巾巾木及びその製造法に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近病院や老人ホーム、福利厚生施設な
ど車椅子やストレッチャーの利用の多い場所で、車輪が
壁面に衝突する際の衝撃吸収と壁面の傷つき防止を目的
として、腰高（広巾）の巾木や床材シートを帯状に切断
したものを壁面に施工することが増えている。このよう
な広巾巾木は例えば特開平５−２３９９０７号公報に提
案されている。この公報では従来技術の項において、従
来等と同様に押出し成形により幅の大きな巾木を製造す
ると、重量が重くなりすぎ、垂直面である壁面に巾木を
接着剤で接着して施工することが困難となる。なお、幅
だけの問題であれは、広幅の例えば６００〜１０００mm
のものを押出し成形により製造することも可能である。
しかし、押出し成形では一定幅のものしか得られず、種
々の幅が要求される壁面に対応できない。また、安全面
からは発泡体を用いてクッション性を付与することが望
ましいが、押出機で発泡体を積層するのは困難である。
さらに幅が６００〜１０００mmの長尺シートとなると寸
法安定性、強度等も要求され、不織布等の補強材を積層
する必要が生じる場合もあるが、押出機ではこのような
積層体を製造することができないと記載し、押出成形に
より軟質発泡基材を積層することは困難であり、まして
不織布等の補強材を押出機で積層することは不可能であ
るとしている。このように特開平５−２３９９０７号で
は押出機内部シリンダーとスクリュー間に不織布を送り
込んで樹脂と不織布を一体化することは不可能であると
する。本発明はこのような従来不可能とされていた補強
材や表層と押出し基材との積層を、押出機と積層機の組
合せにより可能とし、軟質発泡広巾巾木を得ようとする
ものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は押出成
形と積層法により、寸法安定性、強度等に優れた軟質発
泡広巾巾木を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は押出成形により
軟質発泡基材を１５０〜１０００ｍｍの広巾に押出成形
し、該基材が押出されて余熱のある間に、繊維補強材、
樹脂表層を順次積層し所定の長さで切断することを特徴
とする、床面から１５０〜１０００ｍｍの高さを有する
軟質発泡広巾巾木の製造法に係る。本発明の巾木は例え
ば図１に示す工程により、押出成形により軟質発泡基材
を１５０〜１０００ｍｍの広巾に押出成形し、該基材が
押出されて余熱のある間に、繊維補強材、樹脂表層を順
次積層し所定の長さで切断することにより製造される。
すなわち押出成形機１内で発泡剤が含有された熱可塑性
樹脂を１５０〜２２０℃程度に加熱発泡させ、ダイ２か
ら１５０〜１０００ｍｍの広巾に押出して軟質発泡基材
３を得る。基材に余熱が残る間に、繊維補強材４、必要
により印刷層５、樹脂フィルム６をロール７，７’間に
圧着積層する。

【０００５】熱可塑性樹脂としてはポリ塩化ビニル（Ｐ
ＶＣ）、塩素化ポリエチレン（ＣＰＥ）、エチレン酢酸
ビニル共重合体（ＥＶＡ）、ポリ塩化ビニリデン（ＰＶ
ＤＣ）等が好適で、可塑剤を併用するのが好ましい。発
泡剤としてはアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチ
ロニトリル、ｐ,ｐ'−オキシビスベンゼンスルホンヒド
ラジド、Ｎ,Ｎ'−ジメチル−Ｎ,Ｎ'−ジニトロソテレフ
タルアミド等の通常の発泡剤を用いることができる。繊
維補強材４としては、ガラス繊維、ポリエステル繊維、
ビニロン繊維の織布または不織布が好ましい。印刷層５
は任意であり、透明または着色フィルムに印刷模様を付
与したもの、またはホットメルト接着剤を裏塗りした印
刷紙等が好適である。印刷層を設ける場合は樹脂表層６
は透明層として印刷模様が透視できるようにする。樹脂
表層の樹脂としてはＰＶＣまたはポリ塩化ビニリデン
（ＰＶＤＣ）が好適であるが、軟質であればポリエステ
ル、ポリウレタンフィルムでもよい。このようにして本
発明の巾木８が得られる。巾木８は１５０〜１０００mm
の広巾である。

【０００６】図２は巾木の断面図である。３は軟質発泡
基材、４は繊維補強材、５は印刷層、６は透明樹脂層で
あり、巾木の全厚は約１.５〜１０mm程度が好ましい。
尚、巾木は好ましくは所定の長さ、通常５００〜１００
０mm程度に切断されて使用に供されるが、長尺で５m〜
２０mで使用することもできる。図３、図４は実施状態
の断面図で壁に例えば台車や車椅子がぶつかって衝撃を
受けても軟質発泡基材を有する巾１５０〜１０００mmの
巾木なので、壁面を傷つけたり汚したりすることはな
い。図４において巾木８の下端近傍９を床面に沿って折
り曲げ、床材１０の間に目地材１１を嵌入（溶接）し、
巾木と床材とを一体的につなぎ合わせることもできる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を挙げて更
に詳しく説明する。

【０００８】

【実施例】

実施例１ ＰＶＣ１００重量部に対し、可塑剤７０部、発泡剤１部
を含有する発泡層組成物を２００℃で巾６００mmに押出
発泡を行った。押出して熱い間に５０g／m²のガラス不
織布、印刷フィルム、表面透明フィルムをラミネートロ
ールで積層するが、その際印刷フィルム、表面透明フィ
ルムなどの表面意匠にかかわる部材は、押出発泡基材の
側端部をアールを付けた状態で被覆圧着してコバ処理も
同時に行い、その後所定の長さで切断して本発明の巾木
を得た。

【０００９】

【発明の効果】

１．病院や台車を運搬する建物において、台車や車椅子
の衝撃を緩和し、車椅子の人や壁面を衝撃から保護する
ことができた。 ２．寸法安定性、表面強度が向上した。 ３．巾木の意匠性が向上し、治癒的効果（心理的に治癒
を助ける効果、ヒーリング）に有効であった。 ４．優れた性能の巾木が押出発泡を使用することにより
高能率かつ安価に得られた。 ５．印刷層を使用することにより、任意の模様が得られ
意匠性に優れた広巾巾木が得られた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明巾木の製造工程を示す。

【図２】本発明巾木の断面図である。

【図３】本発明巾木の実施状態を示す断面図である。

【図４】本発明巾木の施工状態を示す断面図である。

【符号の説明】 １ 押出成形機 ２ ダイ ３ 軟質発泡基材 ４ 繊維補強材 ５ 印刷層 ６ 樹脂フィルム ７，７’ ロール ８ 巾木 １０ 床材 １１ 目地材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 千之 兵庫県伊丹市東有岡５丁目125番地 東 リ株式会社内 (56)参考文献 特開 平５−239907（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−107374（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−189418（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 押出成形により軟質発泡基材を１５０〜
   １０００ｍｍの広巾に押出成形し、該基材が押出されて
   余熱のある間に、繊維補強材、樹脂表層を順次積層し所
   定の長さで切断することを特徴とする、床面から１５０
   〜１０００ｍｍの高さを有する軟質発泡広巾巾木の製造
   法。
2. 【請求項２】 繊維補強材と樹脂表層の中間に印刷層を
   設け、且つ樹脂表層が透明層である請求項１の軟質発泡
   広巾巾木の製造法。