JP3117561B2 - フッ素ゴム組成物 - Google Patents

フッ素ゴム組成物

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JP3117561B2 JP04285453A JP28545392A JP3117561B2 JP 3117561 B2 JP3117561 B2 JP 3117561B2 JP 04285453 A JP04285453 A JP 04285453A JP 28545392 A JP28545392 A JP 28545392A JP 3117561 B2 JP3117561 B2 JP 3117561B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機過酸化物加硫を目
的としたフッ素ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素ゴムを有機過酸化物で加硫する方
法として、例えばトリアリルイソシアヌレート等の不飽
和多官能性化合物、例えば水酸化カルシウム等の2価金
属の水酸化物、および例えばジアザビシクロウンデセン
の塩等の有機塩基を混合することによる方法[特開平1
−198654]が知られている。この方法は、ヨウ素
または臭素を含有する高価な有機過酸化物加硫用の単量
体を共重合した共重合体を用いる方法や、重合体をオニ
ウム塩の存在下にアルカリ処理して有機過酸化物加硫を
可能とする方法と比較して、安価にしかも容易に有機過
酸化物での加硫を可能とする方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の方法は、有機過
酸化物加硫用の特別な加硫部位を必要としない優れた方
法であるが、実際にその方法において用いられている有
機塩基では、有機過酸化物加硫のために必要な使用量が
比較的多く、そのために加硫成形物の耐熱性、耐油性に
問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、 (A)フッ化ビニリデンおよびこれと共重合可能な少な
くとも1種の他のエチレン性不飽和単量体との含フッ素
弾性共重合体、 (B)有機過酸化物、 (C)不飽和多官能性化合物、 (D)2価金属の水酸化物および2価金属の酸化物から
選ばれる少なくとも1種、ならびに、 (E)一般式R1234 N・HSO4 (R1 、R
2 、R3 、R4 は同一または異なる炭素数1〜20の置
換または非置換の1価の炭化水素基)で示される有機4
級アンモニウム塩、からなり、(A)の100重量部に
対して(B)が0.5〜10重量部、(C)が0.5〜
20重量部、(D)が1〜20重量部及び(E)が0.
3〜5重量部配合されてなることを特徴とするフッ素ゴ
ム組成物を提供する。
【0005】本発明において、(A)含フッ素弾性共重
合体は、フッ化ビニリデンおよびこれと共重合可能な少
なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体からなる。
ここで、フッ化ビニリデンと共重合可能な他のエチレン
性不飽和単量体としては、六フッ化プロピレン、五フッ
化プロピレン、プロピレン、三フッ化エチレン、四フッ
化エチレン、三フッ化塩化エチレン、エチレン、フッ化
ビニルや、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パ
ーフルオロ(ヘキシルビニルエーテル)などのパーフル
オロ(アルキルビニルエーテル)などが例示される。
【0006】これらのうち、フッ化ビニリデン−四フッ
化エチレン−プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン
−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、
フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン系共重合体が好
ましく採用される。
【0007】ここで、フッ化ビニリデンの共重合割合
は、所望の物性、共重合する他のエチレン性不飽和単量
体の種類などにより適宜選択されるが、フッ化ビニリデ
ンの割合があまりに少ないと加硫性が不充分となり、加
硫物の特性が損なわれ、あまりに多いと含フッ素共重合
体のゴム弾性の欠如、耐アルカリ性の低下など、物性上
の不都合が生じるため好ましくない。通常は、フッ化ビ
ニリデン単位を2〜90モル%、特に好ましくは5〜8
5モル%の割合で含むものが採用される。
【0008】特に、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレ
ン−プロピレン系共重合体を用いた場合に、耐エンジン
オイル性に優れた加硫フッ素ゴムが得られるため好まし
い。なかでも、フッ化ビニリデン単位を3〜60モル
%、四フッ化エチレン単位を20〜60モル%、プロピ
レン単位を20〜50モル%の割合で含むフッ化ビニリ
デン−四フッ化エチレン−プロピレン系3元系共重合体
が、加硫フッ素ゴムの耐エンジンオイル性、加硫特性、
加硫物性にバランスよく優れるため、好ましく採用され
る。
【0009】また、本発明の組成物における(A)含フ
ッ素弾性共重合体は、通常有機過酸化物加硫用に行われ
る易加硫部位が導入されていなくとも、良好な加硫特性
が得られ、良好な物性を有する加硫物を得ることができ
る。ここで、易加硫部位としては、重合体鎖中に導入し
た臭素、ヨウ素、および二重結合などがある。この易加
硫部位は、易加硫性部位を与える単量体(例えば、ヨウ
素化合物、臭素化合物など)を共重合する、または、易
加硫性部位を与える後処理(加熱処理、オニウム塩存在
下のアルカリ処理など)を行うことにより導入され得
る。
【0010】また、(A)含フッ素弾性共重合体の製造
には、所定量の単量体の塊状重合、懸濁重合、乳化重
合、溶液重合など各種重合方式の採用ができ、フリーラ
ジカル開始剤を使用する触媒重合法、電離性放射線重合
法、レドックス系重合法などが適宜採用され得る。
【0011】(B)有機過酸化物は、本発明において加
硫剤として用いられ、−O−O−結合をもつ有機化合物
であり、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキシ
ド、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル、ハイ
ドロパーオキシドなどが採用される。それらを具体的に
例示すれば、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオ
キシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサンなどが挙げられる。これらのうち、α,
α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロ
ピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましく使用できる。こ
れら有機過酸化物の使用量は、含フッ素弾性共重合体1
00重量部当たり0.5〜10重量部であり、好ましく
は1〜5重量部である。
【0012】(C)不飽和多官能性化合物は加硫助剤と
して用いられ、多アリル化合物、メタクリレート化合
物、ジビニル化合物、ポリブタジエンなどが挙げられ
る。なかでもトリアリルイソシアヌレート、トリアリル
シアヌレートが好ましく使用できる。これら不飽和多官
能性化合物の使用量は、含フッ素弾性共重合体100重
量部当たり0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜
10重量部である。
【0013】また、本発明の組成物において、(D)2
価金属の水酸化物および2価金属の酸化物から選ばれる
少なくとも1種および(E)有機4級アンモニウム塩が
配合されていることが重要である。(D)2価金属の水
酸化物および2価金属の酸化物から選ばれる少なくとも
1種および(E)有機4級アンモニウム塩が配合されて
いることにより、含フッ素弾性共重合体が易加硫部位を
有しなくとも、有機過酸化物により、優れた物性を示す
加硫物が得られる。
【0014】(D)2価金属の水酸化物または2価金属
の酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、鉛、亜
鉛などの水酸化物および酸化物が挙げられる。これら金
属水酸化物、金属酸化物の使用量は、含フッ素弾性共重
合体100重量部当たり1〜20重量部であり、好まし
くは2〜10重量部である。
【0015】(E)有機4級アンモニウム塩は、加硫時
に含フッ素弾性共重合体からの脱フッ化水素反応を促進
し、加硫を円滑に行わしめる。驚くべきことに特に炭素
数1〜20の有機4級アンモニウム硫酸水素塩を用いる
ことにより、従来の方法[特開平1−198654]で
用いられていた有機塩基と比較して、少量の使用量で効
果的にはたらき、得られる加硫物の耐熱性や耐油性も改
善される。
【0016】(E)有機4級アンモニウム塩としては、
硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラメ
チルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウ
ム、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水
素トリドデシルメチルアンモニウム、硫酸水素トリメチ
ルベンジルアンモニウムなどが例示される。これらの有
機4級アンモニウム塩の使用量は、含フッ素弾性共重合
体100重量部当たり0.3〜5重量部であり、好まし
くは0.5〜3重量部である。使用量があまりに少ない
と充分な加硫密度および加硫物性が得られず、あまりに
多いとスコーチ現象等の成形加工性に悪影響をおよぼす
とともに耐薬品性等の加硫物の特性を低下させる。
【0017】本発明の組成物には、従来加硫ゴムの製造
に際して通常使用されるカーボンブラツク、ファインシ
リカ、クレイ、タルクなどの補強剤、その他の充填剤、
顔料、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、内部離型剤など
を添加、配合してもよい。
【0018】本発明の組成物の製造に際しては、含フッ
素弾性共重合体、有機過酸化物、不飽和多官能性化合
物、2価の金属水酸化物および/または酸化物、有機4
級アンモニウム塩、および必要に応じてその他の添加剤
を充分均一に混合することが望ましい。かかる混合は、
従来より通常使用されているゴム混練用ロール、ニーダ
ーまたはバンバリーミキサー等によって行われ得る。混
合時の作業条件は特に限定されないが、通常は30〜8
0℃程度の温度で約10〜60分間混練することによっ
て、添加配合物を含フッ素弾性共重合体中に充分分散混
合し得る。また、かかる添加配合物を適当に溶媒中に溶
解分散し、懸濁溶液とすることもできる。さらに、混合
を最初から媒体中で行ういわゆるウェット混合も採用で
きる。このような場合には、ロール、ボールミル、ホモ
ジナイザー等の混合機を用いることによって溶液状の配
合物が得られる。また、有機4級アンモニウム塩の混合
に際しては、含フッ素弾性共重合体製造後の水性分散液
の状態で混合することにより、より効果的に分散され得
る。なお、混合時の作業条件や操作は、使用原料および
配合物の種類や目的に応じて最適条件を選定して行うの
が望ましい。
【0019】本発明の組成物は、通常の金型成形の他、
押し出し、トランスファー、ロールコート、はけ塗り、
含浸等の連続成形加工法により、シート、パイプ、ロッ
ド、チューブ、アングル、チャンネル、引布、塗布板な
どの成形物などに成形加工され得る。その他各種成形加
工法によって異形品、特殊成形品、例えばスポンジ状ラ
バーなどにも成形加工され得る。このように成形加工さ
れた本発明の組成物は、後述のごとき加硫手段によって
加硫物にされ得る。かくして、本発明の組成物から加硫
ゴム製品が得られる。
【0020】本発明において、加硫を行う際の操作は、
従来より通常使用されている操作を採用し得る。例え
ば、成形型中で加圧しながら加熱する操作が採用され、
また押し出し、カレンダーロールなどで成形した後、加
熱炉中または蒸気釜中で加熱する操作が採用され得る。
加硫時の作業条件などは、使用原料や配合に応じて最適
条件を選定して行うのが望ましい。加硫時の温度は、通
常60〜250℃程度、好ましくは120〜200℃程
度が採用され得る。また、加熱時間は特に限定されない
が、有機過酸化物の種類に応じて1分間〜3時間の範囲
内、好ましくは5分〜2時間の範囲内で選定され得る。
加熱温度を高くすれば、加熱時間を短縮し得る。なお、
得られる加硫物の再加熱処理も採用でき、物理的性質の
向上に役立つ。例えば、150〜250℃、好ましくは
180℃〜230℃の温度で、2〜25時間程度の再加
熱処理が採用され得る。
【0021】
【作用】本発明において、特定の有機4級アンモニウム
塩と2価金属の水酸化物および/または酸化物を配合し
た含フッ素弾性共重合体を加熱することにより、該弾性
共重合体中に不飽和結合が導入され、それと同時に過酸
化物加硫が進行するものと考えられる。ここで、該アン
モニウム塩は、従来の方法において用いられる有機塩基
と比較して不飽和結合の導入反応への活性が高いため、
少量の使用量で効果的に有機過酸化物加硫が進行し、得
られる加硫物の耐熱性や耐油性も良好となると推定され
る。
【0022】
【実施例】次に、参考例、実施例、比較例により本発明
を詳細に説明する。各例中、部とあるものは重量部を示
す。
【0023】(参考例1) 乳化重合法によりフッ化ビニリデン/四フッ化エチレン
/プロピレンの各単位の含有割合が35/40/25
(モル比)である3元共重合体を30重量%含有するラ
テックスを製造した。このラテックスを食塩水溶液中に
滴下し、凝集せしめ、洗浄、乾燥することにより、白色
の弾性共重合体を得た。これをフッ素ゴム−1として以
下で用いた。
【0024】(参考例2) 参考例1で用いたラテックス100部に硫酸水素テトラ
ブチルアンモニウムを0.3部添加し混合した後、参考
例1と同様にして凝集、洗浄、乾燥して白色の弾性共重
合体を得た。これをフッ素ゴム−2として以下で用い
た。
【0025】(実施例1〜5、比較例1〜3) 表1の上欄に示す組成(単位:重量部)に従い、各種の
配合材料を2ロールで均一に混合してゴム組成物を得
た。それらを170℃で10分間プレス加硫した後、オ
ーブン中で230℃で24時間2次加硫した。得られた
加硫物について、JIS K6301に従い、常態物
性、耐熱性および耐油性を測定した。結果を表1の下欄
に示した。
【0026】
【表1】
【0027】表1の略号等は次の通りである。 フッ素ゴム−1:参考例1、 フッ素ゴム−2:参考例2、 フッ素ゴム−3:テクノフロンNM(モンテフルオス社
製;フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合
体)、 フッ素ゴム−4:テクノフロンTN(モンテフルオス社
製;フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化
エチレン共重合体)、 パーヘキサ2,5B:2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製)、 TAIC:トリアリルイソシアヌレート、 カルビット:水酸化カルシウム(近江化学社製)、 キョーワマグ#150:酸化マグネシウム(協和化学工
業社製)、 Bu4 N・HSO4 :硫酸水素テトラブチルアンモニウ
ム、 DBU塩:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウン
デセン−7のp−トルエンスルホン酸塩。 耐油性はエンジンオイル(トヨタ キャッスル クリー
ン SG)を用いて評価した。
【0028】
【発明の効果】本発明は、安価に、しかも容易に有機過
酸化物で加硫可能なフッ素ゴム組成物を提供するもので
あり、それによる工業的利益は極めて大きい。さらに、
種々の優れた加硫物性、耐熱性、耐油性に基づき、自動
車のラジエーター、エンジン回りのO−リング、ガスケ
ット、シール材、ダイヤフラム、チューブ、ホース等、
食品プラントや化学プラント等の同様の部品等の広範囲
の用途において極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−198654(JP,A) 特開 昭62−79251(JP,A) 特開 昭57−209950(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/16 C08K 3/22 C08K 5/00 C08K 5/14 C08K 5/19

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)フッ化ビニリデンおよびこれと共重
    合可能な少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体
    との含フッ素弾性共重合体、 (B)有機過酸化物、 (C)不飽和多官能性化合物、 (D)2価金属の水酸化物および2価金属の酸化物から
    選ばれる少なくとも1種、ならびに、 (E)一般式R1234 N・HSO4 (R1 、R
    2 、R3 、R4 は同一または異なる炭素数1〜20の置
    換または非置換の1価の炭化水素基)で示される有機4
    級アンモニウム塩、 からなり、(A)の100重量部に対して(B)が0.
    5〜10重量部、(C)が0.5〜20重量部、(D)
    が1〜20重量部及び(E)が0.3〜5重量部配合さ
    れてなることを特徴とするフッ素ゴム組成物。
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