JP3115939B2 - 合成潤滑油 - Google Patents

合成潤滑油

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克宏 藤井
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三建化工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘度指数が高く、かつ
流動点の低い耐熱性、耐候性、耐加水分解性にすぐれた
合成エステル系潤滑油に関し、特に水素含有フルオロア
ルカン系冷媒との相溶性に優れた冷凍機油に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種工業の急速な発展にともなっ
て潤滑油の使用条件が苛酷化してきており、粘度指数お
よび流動点など優れた潤滑油特性とともに高い熱安定性
が要求されるようになり従来から用いられている鉱油で
は性能上満足できない状態になっている。これに対しエ
ステル系合成油が使用されるようになってきたが酸化お
よび加水分解等による酸価増加や粘度変化が起きやす
く、特にタ−ボエンジン油など非常に高温で使用される
潤滑油としては十分に満足できるものとはいえなかっ
た。また冷凍機油においては熱安定性とともに冷媒との
相溶性が必要であり、特に水素含有フルオロアルカン系
冷媒雰囲気下で使用する潤滑油においては従来の潤滑油
では相溶性および熱安定性ともに満足できるものとはい
えない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題に鑑
み、本発明は、優れた潤滑油特性を持ち、かつ耐熱性,
耐候性,耐加水分解性に優れた合成潤滑油、特に水素含
有フルオロアルカン系冷媒と広い温度範囲で相溶性のあ
る冷凍機油を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために種々検討を重ねた結果、特定のエステル
化合物が上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、(A)ヒドロキシカルボ
ン酸ポリオ−ルエステル、(B)脂肪族多価カルボン
酸、(C)脂肪族モノアルコ−ルおよび必要に応じて
(D)脂肪族多価アルコ−ルとから得られるエステル反
応物を主成分とする合成潤滑油に関するものである。
【0006】本発明に係わる合成潤滑油は自動車用エン
ジン油、自動車用ギヤ油、工業用ギヤ油、圧延用潤滑油
などの用途に広く用いることができるが、特に水素含有
フルオロアルカン系冷媒と広い温度範囲で相溶するため
に冷凍機油としても使用できる。
【0007】本発明に使用されるヒドロキシカルボン酸
ポリオ−ルエステルはヒドロキシカルボン酸と多価ヒド
ロキシ化合物とのエステル化反応により生成されたモ
ノ、ジおよびポリエステル化合物、ヒドロキシアルキル
アルデヒドの自己縮合反応により生成されたモノエステ
ル化合物等があるがその製造方法は特に限定されない。
【0008】ヒドロキシカボン酸ポリオ−ルエステルの
製造に使用されるヒドロキシカルボン酸としてはグリコ
−ル酸、乳酸、ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシピバリ
ン酸、ヒドロキシオクタン酸等が、多価ヒドロキシ化合
物としては、ネオペンチルグリコ−ル、2,2−ジエチ
ル−1,3−プロパンジオ−ル、2−ブチル−2−エチ
ル−1,3−プロパンジオ−ル、トリメチロ−ルエタ
ン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロ−ルプロパ
ン、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリト−ル、
トリペンタエリスリト−ル、エチレングリコ−ル、ジエ
チレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレ
ングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレ
ングリコ−ル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ−
ル、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,
2,4−ブタントリオ−ル、1,2,6−ヘキサントリ
オ−ル、ソルビト−ル及びマンニト−ル等があげられ、
またヒドロキシアルキルアルデヒドとしては、グリコ−
ルアルデヒド、ヒドロキシイソブチルアルデヒド、4−
ヒドロキシ−3−メチルブチルアルデヒド、ヒドロキシ
ピバルアルデヒド等があげられる。
【0009】本発明に使用される脂肪族多価カルンボン
酸としてはシュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハ
ク酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、2,2−ジメチルコハ
ク酸、2,2,3−トリメチルコハク酸、2−メチルグ
ルタル酸、ブチルマロン酸、ジエチルマロン酸、2,2
−ジメチルグルタル酸、2,4−ジメチルグルタル酸、
3,3−ジメチルグルタル酸、2−エチル−2−メチル
コハク酸、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、2,2−ジメチルアジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸等が例示され、これらの化合物の低級アルキル
エステルおよび酸無水物等も同様に使用できる。
【0010】本発明に使用される脂肪族モノアルコ−ル
としては、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、イ
ソプロパノ−ル、ブタノ−ル、sec−ブタノ−ル、イ
ソブタノ−ル、tert−ブタノ−ル、アミルアルコ−
ル、イソアミルアルコ−ル、ネオペンチルアルコ−ル、
ジエチルカルビノ−ル、2−ペンタノ−ル、メチルイソ
プロピルカルビノ−ル、tert−アミルアルコ−ル、
ヘキシルアルコ−ル、メチル−tert−ブチルカルビ
ノ−ル、ジメチルイソプロピルカルビノ−ル、ヘプチル
アルコ−ル、ペンタメチルエチルアルコ−ル、オクチル
アルコ−ル、ノニルアルコ−ル等があげられる。
【0011】本発明で使用される脂肪族多価アルコ−ル
としては、ネオペンチルグリコ−ル、2,2−ジエチル
−1,3−プロパンジオ−ル、2−ブチル−2−エチル
−1,3−プロパンジオ−ル、トリメチロ−ルエタン、
トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロ−ルプロパン、
ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリト−ル、トリ
ペンタエリスリト−ル、エチレングリコ−ル、ジエチレ
ングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレング
リコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレング
リコ−ル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオ−ル、グ
リセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,2,4
−ブタントリオ−ル、1,2,6−ヘキサントリオ−
ル、ソルビト−ル及びマンニト−ル等があげられる。
【0012】本発明で得られるエステル反応物は構成原
料を全部同時に反応させる一段法で作ってもよく、ま
た、脂肪族モノアルコ−ルのみ後で反応させる二段法で
製造してもよい。そのエステル化法は通常の方法で水等
の反応副生成物を系外に除去しながら実施される。例え
ば100〜250℃の反応温度で触媒の存在下または非
存在下に、また必要に応じてトルエン、キシレン等の溶
媒の存在下反応させる。また反応後は必要に応じてアル
カリ洗、水洗、吸着等による後処理を行うこともでき
る。
【0013】本発明の合成潤滑油は上記エステルを主成
分とするが、鉱油やポリα−オレフィン、アルキルベン
ゼン、上記以外のエステル、ポリエ−テル、パ−フルオ
ロポリエ−テル、リン酸エステル等の合成油を配合して
も良い。また必要により通常使用される酸化防止剤、極
圧剤、油性向上剤、消泡剤、金属不活性剤等の潤滑油添
加剤を添加することができる。
【0014】
【発明の効果】本発明のエステル合成潤滑油は粘度指数
や流動点等の潤滑油特性に優れ、かつ耐熱性、耐候性、
耐加水分解性に優れ、苛酷な条件下で使用される潤滑油
として優れたものであり、さらに水素含有フルオロアル
カン系冷媒との相溶性に優れ、冷凍機油としても優れた
ものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0016】
【実施例1】攪拌機、窒素吹込み管、温度計、および冷
却管を付けた分離器を備えた、四つ口フラスコに粉末状
のヒドロキシピバルアルデヒド300gを仕込み加熱溶
解し、90℃に達した時点で触媒としてテトラキスアセ
チルアセトナトジルコニウムをヒドロキシピバルアルデ
ヒドに対して0.03%添加した。触媒添加と同時に加
熱を止める。温度が148℃から130℃になった時点
で急冷して反応を停止した。得られた生成物を140〜
153℃/3〜6mmHgで減圧蒸留して288gのヒ
ドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコ−ルモノエステ
ルを得た。この内204g(1モル)とアジピン酸29
2g(2モル)および触媒としてテトラブトキシチタン
0.9gを攪拌機、窒素吹込み管、温度計、および冷却
管を付けた分離器を備えた、四つ口フラスコに仕込み2
20℃に加熱し、生成水を系外に除きながら理論量の水
が生成するまでエステル化反応を行った後、過剰量のオ
クチルアルコ−ルを加え、されに理論量の水が生成する
までエステル化反応を行った。反応終了後5%水酸化ナ
トリウム水溶液洗および水洗を行い脱水した後白土処理
を行い620gの反応生成物Aを得た。
【0017】
【実施例2】攪拌機、窒素吹込み管、温度計、および冷
却管を付けた分離器を備えた、四つ口フラスコに実施例
1と同様な方法で合成したヒドロキシピバリン酸ネオペ
ンチルグリコ−ルモノエステル204g(1モル)、ア
ジピン酸365g(2.5モル)、ネオペンチルグリコ
−ル52.3g(0.5モル)、ネオペンチルアルコ−
ル176g(2モル)および触媒としてテトラブトキシ
チタン0.9gを仕込み最高温度220℃まで加熱し、
生成水を系外に除きながら理論量の水が生成するまでエ
ステル化反応を行った。反応終了後実施例1と同様の精
製を行い670gの反応物Bを得た。
【0018】
【実施例3】実施例2と同様の反応装置にヒドロキシピ
バリン酸118g(1モル)、トリメチロ−ルプロパン
134g(1モル)および触媒としてジブチル錫オキサ
イド0.2gを仕込み、220℃に加熱し、生成水を系
外に除きながら理論量の水が生成するまでエステル化反
応を行い、ヒドロキシピバリン酸トリメチロ−ルプロパ
ンモノエステルを得た。これにアジピン酸292g(2
モル)、コハク酸118g(1モル)イソプロパノ−ル
180g(3モル)およびジブチル錫オキサイド0.7
gを仕込み最高温度220℃まで加熱し、生成水を系外
に除きながら理論量の水が生成するまでエステル化反応
を行った。反応終了後実施例1と同様の精製を行い68
0gの反応物Cを得た。
【0019】
【実施例4】実施例2と同様の反応装置にヒドロキシピ
バリン酸236g(2モル)、ネオペンチルグリコ−ル
204g(1モル)および触媒としてジブチル錫オキサ
イド0.2gを仕込み、220℃に加熱し、生成水を系
外に除きながら理論量の水が生成するまでエステル化反
応を行い、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコ−
ルジエステルを得た。 これにアジピン酸292g(2
モル)オクチルアルコ−ル130g(1モル)、ネオペ
ンチルアルコ−ル88.2g(1モル)およびジブチル
錫オキサイド0.7gを仕込み、最高温度220℃まで
加熱し、生成水を系外に除きながら理論量の水が生成す
るまでエステル化反応を行った。反応終了後実施例1と
同様の精製を行い762gの反応物Dを得た。
【0020】以上の実施例品A、B、C、Dの物性値を
表−1に示し、又熱安定性、加水分解性および相溶性等
の評価結果は比較例と共に表−2に示す。 尚、それら
の評価方法は下記の方法で実施した。 熱安定性:100mlサンプルビンに試料油60gをと
り140℃で168時間加熱後の酸価増加量および動粘
度比(40℃)を測定した。 耐加水分解性:250mlサンプルビンに試料油60
g、水10,000ppm、触媒として直径3mm長さ
27mmの銅、鉄およびアルミニウムをいれて密封し、
140℃で168時間加熱後の酸価増加量および動粘度
比(40℃)を測定した。 フロンとの相溶性:内径7mm長さ240mmのパイレ
ックスガラス管に油比率10%になるようにフロンおよ
び試料油を採取密封し−70℃〜80℃での二相分離温
度を測定した。
【表1】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10M 105:26 105:12 105:14) C10N 30:00 30:02 30:08 40:30 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 105/32 - 105/46 WPI/L(QUESTEL)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ヒドロキシカルボン酸ポリオ−ル
    エステル、(B)脂肪族多価カルボン酸、(C)脂肪族
    モノアルコ−ルおよび必要に応じて(D)脂肪族多価ア
    ルコ−ルとから得られるエステル反応物を主成分とする
    ことを特徴とする合成潤滑油。
  2. 【請求項2】 前記ヒドロキシカルボン酸ポリオ−ルエ
    ステルがヒドロキシカルボン酸アルキレングリコ−ルエ
    ステルであることを特徴とする特許請求範囲第1項記載
    の合成潤滑油。
  3. 【請求項3】 前記ヒドロキシカルボン酸アルキレング
    リコ−ルエステルが一般式化1 【化1】 であることを特徴とする特許請求範囲第2項記載の合成
    潤滑油。
  4. 【請求項4】 前記潤滑油が水素含有フルオロアルカン
    系冷媒雰囲気下で用いる冷凍機油であることを特徴とす
    る特許請求範囲第1項記載の合成潤滑油。
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