JP3114574B2 - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形材料及びそれを用いる成形品 - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形材料及びそれを用いる成形品

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JP3114574B2
JP3114574B2 JP07157073A JP15707395A JP3114574B2 JP 3114574 B2 JP3114574 B2 JP 3114574B2 JP 07157073 A JP07157073 A JP 07157073A JP 15707395 A JP15707395 A JP 15707395A JP 3114574 B2 JP3114574 B2 JP 3114574B2
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裕二 甲嶋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は機械的強度と電気特性に
優れた成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】高周波の分野で使用する材料は、伝送ロ
スを軽減するため、また、電送速度を上げるため、誘電
率と誘電正接、特に誘電正接の小さなものが好ましい。
これらが大きいと高周波として与えられたエネルギーの
一部が物質内部で分子内摩擦をおこし、熱として損失す
ることになる。具体的には、高周波用材料として、ポリ
四フッ化エチレン、ポリメチルペンテンなどが用いられ
ている。ポリ四フッ化エチレンなどのフッ素系樹脂は電
気特性に優れているものの、切削によって成形するとい
う問題があった。ポリエチレン・プロピレンなどのその
他の高周波材料は、射出成形などで容易に成形でき、高
周波域である程度優れた電気特性を有するものである
が、結晶性のため、誘電特性の温度依存性が大きく、用
途によっては、電気特性は不十分であった。
【0003】近時、熱可塑性ノルボルネン系樹脂がその
透明性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、電気特性などの優
れた特性を活かし、光学材料、医療用材料、電気部品材
料などの様々な分野で広く使用され始めている。しか
し、重合触媒や水素添加触媒に由来する金属元素量が多
いと、着色の原因となったり、医療用途で安全性の問題
を生じるため、熱可塑性ノルボルネン系樹脂から残渣を
低減させて用いることが知られている(特開平4−36
3312、特開平5−317411号など)。しかし、
金属残渣を低減させた樹脂がどのような高周波における
電気特性を有しているかは知られていなかった。
【0004】一方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、耐
衝撃性が不十分な場合があり、その改善のため、熱可塑
性エラストマーを添加して改質する方法が知られている
(特開平1−163238号、特開平2−102256
号、特開平3−255145など)。ところが、エラス
トマーの添加による改質は、熱可塑性ノルボルネン系樹
脂の耐衝撃性を改良するが、一方で高周波域での電気特
性上の問題、すなわち誘電率や誘電正接が大きくなると
いう問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、耐衝撃
性と電気特性の両方に優れた熱可塑性ノルボルネン系樹
脂成形材料の開発を目指して鋭意研究の結果、熱可塑性
ノルボルネン系樹脂へのエラストマーの添加により誘電
率や誘電正接が大きくなる原因がエラストマーに含有さ
れる金属元素にあることを見い出し、本発明を完成させ
るに到った。
【0006】
【課題を解決する手段】かくして、本発明によれば、
(a)熱可塑性ノルボルネン系樹脂、及び(b)軟質重
合体から成る成形材料であって、1kHz〜20GHz
での誘電正接が0.0015以下であり、IZOD衝撃
値が5.0kg・cm/cm以上であることを特徴とす
る成形材料、該成形材料で形成された成形品が提供され
る。
【0007】(熱可塑性ノルボルネン系樹脂)熱可塑性
ノルボルネン系樹脂は、特開平1−168725号公
報、特開平1−190726号公報、特開平3−148
82号公報、特開平3−122137号公報、特開平4
−63807号公報、特開平6−298956号公報な
どで公知の樹脂であり、具体的には、ノルボルネン系単
量体の開環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体の
付加型重合体、ノルボルネン系単量体とオレフィンの付
加型重合体などが挙げられる。
【0008】ノルボルネン系単量体も、上記公報や特開
平2−227424号公報、特開平2−276842号
公報、特開平6−80792号公報などで公知の単量体
であって、例えば、ノルボルネン、そのアルキル、アル
キリデン、芳香族置換誘導体およびこれら置換または非
置換のオレフィンのハロゲン、水酸基、エステル基、ア
ルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基
等の極性基置換体、例えば、2−ノルボルネン、5−メ
チル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノル
ボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル
−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−
シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシ
カルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノ
ルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボル
ネン、5−ヘキシル−2−ノルボエルネン、5−オクチ
ル−2−ノルボルネン、5−オクタデシル−2−ノルボ
ルネン等; ノルボルネンに一つ以上のシクロペンタジ
エンが付加した単量体、その上記と同様の誘導体や置換
体、例えば、1,4:5,8−ジメタノ−2,3−シク
ロペンタジエノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a
−オクタヒドロナフタレン、6−メチル−1,4:5,
8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−
オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−
トリメタノ−2,3−シクロペンタジエノ−1,2,
3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a
−ドデカヒドロアントラセン等; シクロペンタジエン
がディールス・アルダー反応によって多量化した多環構
造の単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例え
ば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロ
ペンタジエン等; シクロペンタジエンとテトラヒドロ
インデン等との付加物、その上記と同様の誘導体や置換
体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,
5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、1,4
−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレ
ン、5,8−メタノ−2,3−シクロペンタジエノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン等; 等が挙げられる。本発明の効果を阻害し
ない範囲でノルボルネン系単量体以外の共重合可能な単
量体をコモノマーとして併用してもよい。
【0009】本発明においては、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂の数平均分子量は、トルエン溶媒によるGPC
(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)法で測
定したポリスチレン換算値、またはポリイソプレン換算
値で、10,000以上、好ましくは13,000以
上、より好ましくは15,000以上、200,000
以下、好ましくは100,000以下、より好ましくは
50,000以下のものである。分子量が小さすぎると
機械的強度が低く、大きすぎると成形が困難になる。な
お、ノルボルネン系単量体の開環重合体のように主鎖構
造に不飽和結合を有する場合は、水素添加することによ
り、主鎖構造を飽和させることが好ましい。水素添加す
る場合は、主鎖構造の水素添加率が、90%以上にする
ことが好ましく、95%以上にすることがより好まし
く、99%以上にすることが特に好ましい。水素添加率
が低く、主鎖構造中の不飽和結合が多いと、耐熱劣化性
等に劣り、長期間の安定した使用が困難となる場合があ
る。
【0010】また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラ
ス転移温度(以下、Tgという)は、通常90℃以上で
あるが、110℃以上のものが好ましく、120℃以上
のものがより好ましく、130℃以上のものが特に好ま
しく、250℃以下のものが好ましく、220℃以下の
ものがより好ましく、200℃以下のものが特に好まし
い。Tgが低すぎると使用環境によっては耐熱性が不十
分であり、高すぎると本発明の成形材料の成形が困難で
あり、また樹脂を溶融し、混練して本発明の成形材料を
調製するのが困難になる。
【0011】なお、後述のように成形材料中の金属元素
量が多いと、電気特性が低下し、誘電正接が大きくなる
ので、その要求性能、熱可塑性ノルボルネン系樹脂量、
併用する軟質重合体中の金属元素量に応じて、熱可塑性
ノルボルネン系樹脂も金属元素量を低減させておくこと
が好ましい。熱可塑性ノルボルネン系樹脂中の金属元素
量を低減させる方法は、特に限定されず、溶解・凝固を
繰り返す洗浄法や、樹脂溶液を吸着材で処理する方法
(特開平4−363312号)などが例示される。
【0012】(軟質重合体)本発明で用いる軟質重合体
は、特に限定されず、耐衝撃性に優れることから40℃
以下のTgを有するものが好ましい。ブロック共重合体
では、2点以上のTgを有するものもあるが、その内1
点が40℃以下であれば、本発明で用いる軟質重合体と
して好ましいものである。また、分子量は好ましくは1
0,000以上、より好ましくは20,000以上、特
に好ましくは30,000以上、好ましくは400,0
00以下、より好ましくは300,000以下、特に好
ましくは200,000以下のものである。分子量が小
さすぎると機械的特性が劣り、高すぎると製造が困難で
ある。また、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と相溶性を有
する非極性のものが好ましい。
【0013】本発明で用いる軟質重合体としては、スチ
レン−ブタジエン・ブロック共重合体、スチレン−ブタ
ジエン−スチレン・ブロック共重合体、スチレン−イソ
プレン・ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−ス
チレン・ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン・ラ
ンダム共重合体などの芳香族ビニル・モノマーと共役ジ
エン系モノマーのランダムまたはブロック共重合体;
ポリイソプレンゴム;エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−
オレフィン共重合体などのポリオレフィンゴム; エチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体、α−オレフィン−
ジエン共重合体、ジエン共重合体、イソブチレン−イソ
プレン共重合体、イソブチレン−ジエン共重合体などの
ジエン系共重合体; ノルボルネン系単量体とエチレン
またはα−オレフィンの共重合体、ノルボルネン系単量
体とエチレンとα−オレフィンの三元共重合体、ノルボ
ルネン系単量体の開環重合体などのノルボルネン系ゴム
質重合体; などが挙げられる。また、これらを水素添
加したものでもよい。金属元素量を低減させやすい点で
芳香族ビニル・モノマーと共役ジエン系モノマーの共重
合体が好ましく、ブロック共重合体が特に好ましく、さ
らに耐候性に優れる点からその水素添加物が好ましい。
【0014】熱可塑性ノルボルネン系樹脂と同様に軟質
重合体も金属元素量を低減しておくことが好ましい。一
般の軟質重合体は、重合触媒や水素添加触媒などを含有
しており、金属元素量を100ppm程度以上含有して
いるが、例えば、有機酸で樹脂を洗浄する方法(特開昭
55−17761号公報)などの精製法により金属元素
量を低下させることができる。
【0015】(成形材料)本発明の成形材料は、(a)
熱可塑性ノルボルネン系樹脂100重量部に対して、
(b)軟質重合体1重量部以上、好ましくは5重量部以
上、より好ましくは10重量部以上、40重量部以下、
好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部
以下から成る。軟質重合体の量が少なすぎると機械的強
度が不十分となり、多すぎると耐熱性、耐薬品性などの
熱可塑性ノルボルネン系樹脂の優れた性質が失われる。
【0016】本発明の成形材料は、熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂の優れた性質の多くを有し、機械的強度は熱可
塑性ノルボルネン系樹脂単独のものより優れ、さらに、
電気特性が高い水準に維持されている。本発明の成形材
料はIZOD衝撃値が5.0kg・cm/cm以上であ
、電気特性としては1kHz〜20GHzにおいて、
誘電率が好ましくは2.60以下、より好ましくは2.
55以下、特に好ましくは2.50以下、誘電正接が
0.0015以下、好ましくは0.0012以下、特に
好ましくは0.0010以下である。また、引張破断強
度が好ましくは450kgf/cm以上、より好まし
くは500kgf/cm以上、特に好ましくは550
kgf/cm以上、通常1000kgf/cm以下
であり、引張破断伸びが好ましくは45%以上、より好
ましくは50%以上、特に好ましくは55%以上、通常
100%以下である。
【0017】このような成形材料は、金属元素量が5p
pm以下、好ましくは4ppm以下、より好ましくは3
ppm以下のものである。金属元素量が多すぎると、成
形材料の誘電率や誘電正接などの電気特性が低下する。
このような成形材料を得るには、金属元素量の少ない熱
可塑性ノルボルネン系樹脂、軟質重合体を用いる方法、
両者を混合後溶媒に溶解する、両者を同じ溶媒に溶解す
る、両者の溶液を混合するなどした成形材料の溶液を吸
着材で処理して金属元素を除去した後、貧溶媒中で析出
させる方法などがある。吸着材を使用する場合、吸着材
は特に限定されないが、合成ゼオライト、天然ゼオライ
ト、活性アルミナ、活性白土などのSiO2、Al
23、またはこれらの結晶性、非晶性の混合組成物が好
ましく、また、比表面積が好ましくは50m2/g以
上、より好ましくは100m2/g以上、特に好ましく
は200m2/g以上、好ましくは1000m2/g以
下、細孔容積が好ましくは0.5cm3/g以上、より
好ましくは0.6cm3/g以上、特に好ましくは0.
7cm3/g以上、好ましくは1.5cm3/g以下のも
のである。比表面積や細孔容積が小さすぎると吸着能力
が劣り、大きすぎると製造が困難である。
【0018】(成形方法)本発明の成形材料のを成形す
る方法は、特に限定されず、一般の熱可塑性樹脂を成形
する方法、射出成形、押し出し成形、圧空成形、真空成
形、熱プレス成形などが用いられる。中でも射出成形が
容易であり、また、寸法精度に優れたものが得られる。
【0019】(成形品)本発明の成形品は、上記のよう
な特性を有する成形材料を成形したものであり、機械的
強度と電気特性に優れており、絶縁体、特に衝撃を受け
る可能性のある電子絶縁部品などとして有用である。具
体的な成形品としては、ゲート絶縁膜、キャパシタ絶縁
膜、層間絶縁膜、樹脂封止材などの半導体部品; フレ
キシブルプリント配線板、プリプレグなどのプリント配
線板、またはフィルム成形品;マイクロストリップアン
テナの絶縁板などのアンテナ部品; 通信機器用外装
材; 携帯電話用、LAN通信用、トランシーバ用、無
線マイクなどのコネクター用インシュレーター; など
が例示される。特にコネクター用インシュレーターに適
している。中でも、高周波帯域、特に1kHz以上の高
周波帯域で使用するものに最適である。
【0020】(インシュレーター)本発明の成形品の代
表例のひとつとして絶縁体であるコネクター用インシュ
レーターが挙げられる。コネクター用インシュレーター
の形状はコネクターの形状、目的性能に合わせて選択さ
れる。同軸ケーブル用コネクターは、同軸ケーブルの導
線にそれぞれ接続された外部導体および中心導体と、そ
の中心導体の固定し、中心導体と外部導体を絶縁するイ
ンシュレーター、さらに全体を絶縁するガスケットから
成るものが最も一般的である。
【0021】最も好ましい同軸ケーブル用コネクターの
場合、インシュレーターは通常、円柱、または径の異な
る円柱を中心軸を揃えて組み合わせた形状であり、その
中心部に中心導体を固定するための貫通孔が開いてい
る。同軸ケーブル用コネクターの場合は、インシュレー
ターの外周は、直径が好ましくは2mm以上、より好ま
しくは3mm以上、特に好ましくは5mm以上、40m
m以下、好ましくは30mm以下、より好ましくは25
mm以下である。特に高周波数の帯域での特性をよくす
るために、空隙を設けてもよい。空隙は一般に中心の貫
通孔と平行な貫通孔であり、断面が円であることが好ま
しい。また、貫通孔の外周同士の間、貫通孔とインシュ
レーターの外周の間に、好ましくは1mm以上、より好
ましくは2mm以上の間隔を開ける。
【0022】インシュレーターは、通常、断面積が大き
いほど、また、高周波数のものほど接続部位への入力波
に対して反射波が大きくなため、伝送ロスが大きくな
る。そのため、同軸ケーブル用コネクターは、特に高周
波用のものは、直径が小さいものが好ましいが、小さす
ぎると機械的強度が劣り、また、持ちにくいなど使用し
にくい原因となる。また、空隙を除くと同じ大きさ、同
じ形状のインシュレーターでは、一般に、インシュレー
ターの空隙を含む体積に対して空隙の割合が大きいほど
高周波での電圧定在波比が小さくなり、より高周波数の
帯域でも使用できるようになる。しかし、空隙を開けす
ぎるとインシュレーターの強度が低下し、ケーブルの接
続などの際に破損しやすくなる。そのため、空隙と空隙
の間には十分な厚さを設ける必要があり、また、空隙の
形状、配置についても、強度を保ちやすいように決める
必要がある。
【0023】同軸ケーブル用コネクターには、オスとメ
ス、またはプラグとジャックの2種類があり、それぞれ
形状が異なり、一般に、オス側の中心導体はインシュレ
ーターから突出しており、メス側の中心導体はインシュ
レーター中央の貫通孔の奥にあり、メス側の貫通孔にオ
ス側の中心導体を挿入することにより、中心導体同士が
接触し、また、オス側中心導体がメス側のインシュレー
ターによって固定され、オスとメスが固定される。この
時に、外部導体同士も接触する。外部導体同士の接触
は、メス側のインシュレーターの側面を覆う外部導体の
外周をオス側外部導体が覆うようにして接触させてもよ
い。同軸ケーブル用コネクターの具体例としては、JI
S C 5410、C 5411、C 5412などに
記載されているものが例示され、例えば、C01形コネ
クター、C02形コネクターなどが挙げられる。また、
中心導体や外部導体の材質についても特に限定されない
が、上記のJISに記載されているものが例示され、例
えば、銀メッキした黄銅、ニッケルメッキした黄銅、銀
メッキしたリン青銅、銀メッキしたペリリウム銅、金メ
ッキしたペリリウム銅などが挙げられる。
【0024】コネクターとしては、そのほかにも、例え
ば、多数の導体を一括して接続するためのコネクターと
して、パーソナル・コンピューターのRC232Cコネ
クターのような形状のものや、画像情報の入出力に用い
られるS端子のような形状のものも用途によっては使用
される。これらは、前記のコネクターの外部導体の内側
に、中心導体にあたる導体端子を複数有しているもので
ある。また、導線は必ずしもケーブルの導体に接続され
ているとは限らず、配線板の回路に接続されることがあ
り、コネクター自体が配線板上に固定されている場合も
ある。
【0025】コネクターは、目的に応じた形状、大きさ
の成形品に目的に応じた形状、大きさの電極が固定され
ている。電極は一つとは限らず、目的に応じて、一極
型、二極型、三極型などがある。一般にコネクターには
オスとメスの対応する2種類を用いて、回路の接続をす
るが、オスとメスの接続部位を合わせると互いに固定し
あい、対応する電極同士が接触するようになっている。
一部に、両端に接続部位を有する電極を有し、導線が存
在しないコネクターも存在するが、通常は、電極には導
線が接続され、その導線の先には別のコネクター、電気
回路、アンテナなどが接続されている。
【0026】(態様)本発明の態様としては、 (1) (a)熱可塑性ノルボルネン系樹脂、及び
(b)軟質重合体から成る成形材料であって、1kHz
〜20GHzでの誘電正接が0.0015以下であり、
IZOD衝撃値が5.0kg・cm/cm以上であるこ
とを特徴とする成形材料、(2) 金属元素量が5ppm以下である(1)記載の
成形材料、(3) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、トルエン溶媒
によるGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィ)法で測定したポリスチレン換算値、またはポリイ
ソプレン換算値で、10,000〜200,000のも
のである(1)または(2)記載の成形材料、(4) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、ノルボルネン
系単量体の開環重合体の主鎖の不飽和結合の90%以上
を水素添加したものである(1)〜(3)記載の成形材
料、(5) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、ガラス転移温
度が110℃〜250℃のものである(1)〜(4)記
載の成形材料、(6) 軟質重合体が、40℃以下のガラス転移温度を
有するものである(1)〜(5)記載の成形材料、(7) 軟質重合体が、分子量10,000〜400,
000のものである(1)〜(6)記載の成形材料、(8) 熱可塑性ノルボルネン系樹脂100重量部に対
して軟質重合体1〜40重量部から成る(1)〜(7)
記載の成形材料、 (9) (1)〜(8)記載の成形材料で形成された成
形品、(10) コネクター用インシュレーターである(9)
記載の成形品、などが挙げられる。
【0027】
【発明の効果】本発明の成形材料は、射出成形が可能で
あり、精度のよい成形品が得られ、成形品は機械的強度
と電気特性に優れ、特に高周波域での電気特性に優れ、
1kHz〜20MHzでの誘電率と誘電正接が小さく、
温度変化に対して誘電率と誘電正接が極めて安定してい
る。
【0028】
【実施例】以下に、実施例、参考例、比較例を挙げて本
発明を具体的に説明する。なお、引張破断強度測と引張
破断伸びは、JIS K 7113に従い、IZOD衝
撃値は、JIS K 7110に従い、誘電率、誘電正
接は、JIS K 6911に従い、金属元素量は湿式
灰化し誘導結合プラズマ発光分光分析法によって、電圧
定在波比はJIS C 5402の5.6に従って測定
した。
【0029】実施例1 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEONEX 280、
日本ゼオン株式会社製、ノルボルネン系開環重合体水素
添加物、数平均分子量約28,000、Tg約140
℃、水素添加率99.7%以上、金属元素量1ppm以
下)100重量部に対し、水素添加スチレン−エチレン
−プロピレン−スチレン・ブロック共重合体ゴム(セプ
トン 2023、クラレ株式会社製、数平均分子量6
0,000、Tgは少なくとも40℃以下に一点あり、
金属元素量約15ppm)を5重量部、10重量部、2
0重量部添加し、二軸溶融押出機を用いて240℃で混
練して、本発明の成形材料のペレットを得た。
【0030】このペレットを樹脂温度280℃で射出成
形して、JIS K 7113の1号形試験片を得、引
張破断強度、引張破断伸びを測定、同様にJIS K
7110の2号試験片を得、IZOD衝撃値を測定、さ
らに厚さ1mmの55mm×90mmの試験片を得、1
MHzの誘電率、誘電正接を測定した。これらの測定値
とペレット中の金属元素量を表1に示す。
【0031】参考例1 エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(三井
EPT 1035、三井石油化学株式会社製、数平均分
子量300,000、Tgは少なくとも40℃以下に一
点あり、金属元素量約90ppm)を20重量部をトル
エン100重量部に溶解し、よく攪拌した後、500重
量部のイソプロパノールに注ぎ込んだ。析出したエチレ
ン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴムを濾過により
回収して、50℃、10torr以下に24時間放置し
て乾燥し、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体
ゴムを回収した。この回収したゴムをさらにもう一度同
様の処理をして再回収した。この再回収した金属元素量
は約20ppmであった。
【0032】実施例2 水素添加スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・
ブロック共重合体の代わりに参考例1で回収したエチレ
ン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴムを10重量部
を用いる以外は実施例1と同様に本発明の成形材料のペ
レットを得、成形、測定した結果を表1に示す。
【0033】比較例1 水素添加スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン・
ブロック共重合体の代わりにエチレン・プロピレン・ジ
エン三元共重合体ゴム(三井EPT 1035、金属元
素量約90ppmのもの)を用いる以外は実施例1と同
様に成形、測定した結果を表1に示す。
【0034】比較例2 実施例1で得たペレットの代わりに熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂(ZEONEX 280)を用いる以外は実施
例1と同様に成形、測定した結果を表1に示す。
【0035】参考例2 窒素雰囲気下、脱水したトルエン690重量部に1,4
−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレ
ン200重量部、1−ヘキセン1.1重量部、塩化タン
オグステンの0.3重量%トルエン溶液11重量部、テ
トラブチルスズ0.6重量部を加え、60℃、常圧にて
1時間重合させた。トルエンを溶剤に用いた高速液体ク
ロマトグラフィー(ポリスチレン換算)により測定した
重合反応液中のポリマーの数平均分子量(Mn)は1
7,700、重量平均分子量(Mw)は35,400、
分子量分布(Mw/Mn)は2.00であった。
【0036】この重合反応液240重量部にアルミナ担
持ニッケル触媒(触媒1重量部中、ニッケル0.7重量
部、酸化ニッケル0.2重量部、アルミナの細孔容積
0.8cm3/g、比表面積300cm2/g)6重量部
とイソプロピルアルコール5重量部を加え、オートクレ
ーブ中で230℃、45kgf/cm2で5時間反応さ
せた。
【0037】水素添加触媒を濾過して除去した水素添加
反応溶液をアセトン250重量部とイソプロパノール2
50重量部の混合溶液に、攪拌しながら注いで、樹脂を
沈澱させ、濾別して回収した。さらにアセトン200重
量部で洗浄した後、1mmHg以下に減圧した真空乾燥
器中、100℃で24時間乾燥させた。収率は99%以
上、1H−NMRによるポリマー主鎖の二重結合の水素
添加率は99.9%以上、芳香環構造の水素添加率は約
99.8%であった。シクロヘキサンを溶剤に用いた高
速液体クロマトグラフィー(ポリイソプレン換算)によ
り、得られた水素添加物の数平均分子量(Mn)は2
2,600、重量平均分子量(Mw)は42,500、
分子量分布(Mw/Mn)は1.88であり、Tgは1
36℃、金属元素量は約1ppmであった。
【0038】実施例3 熱可塑性ノルボルネン系樹脂として、参考例2で得た樹
脂を用いるほかは実施例1と同様にして、本発明の成形
材料のペレットを得、成形、測定した結果を表1に示
す。
【0039】実施例4 熱可塑性ノルボルネン系樹脂として、参考例2で得た樹
脂を用いるほかは実施例2と同様にして、本発明の成形
材料のペレットを得、成形、測定した結果を表1に示
す。
【0040】比較例3 実施例1で得たペレットの代わりに参考例2で得た樹脂
を用いる以外は実施例1と同様に成形、測定した結果を
表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】実施例5 実施例4で得たペレットをを射出成形して得たインシュ
レーター、ニッケルメッキした黄銅から成る外部導体、
金メッキしたベリリウム銅から成る中心導体を用いる以
外は、JIS C 5412に規定されたCN C02
SPM2.5と同形、同寸のコネクターを製造した。
【0043】このコネクターの電圧定在波比は1.0G
Hzで1.150、2.0GHzで1.150、3.0
GHzで1.180であった。
【0044】比較例4 インシュレーターとしてポリ四フッ化エチレンを切削し
て製造したものを用いる以外は実施例1と同様にして製
造したコネクターの電圧定在波比は1.0GHzで1.
033、2.0GHzで1.142、3.0GHzで
1.180であった。高周波帯で良好に使用できるコネ
クターであったが、インシュレーターの製造は切削によ
るため困難であった。
【0045】比較例5 インシュレーターとしてポリアセタール樹脂(ジュラコ
ン、ポリプラスチックス株式会社)を射出成形して製造
したものを用いる以外は実施例1と同様にして製造した
コネクターの電圧定在波比は1.0GHzで1.36
3、2.0GHzで1.588、3.0GHzで1.7
86であった。射出成形が可能であるためインシュレー
ターの製造が容易であったが、高周波帯での使用には問
題があった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−102256(JP,A) 特開 平1−163238(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/18 - 23/24 C08L 65/00 - 65/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)熱可塑性ノルボルネン系樹脂、及
    び(b)軟質重合体から成る成形材料であって、1kH
    z〜20GHzでの誘電正接を0.0015以下であ
    り、IZOD衝撃値が5.0kg・cm/cm以上であ
    ることを特徴とする成形材料。
  2. 【請求項2】 金属元素量が5ppm以下である請求項
    1記載の成形材料。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2記載の成形材料で形成され
    た成形品。
  4. 【請求項4】 コネクター用インシュレーターである請
    項3の成形品。
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