JP3782761B2 - 平面アンテナ及び製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナ及び製造方法に係り、特に、アンテナのスロットパターンの形成方法に関する。本発明は、例えば、50GHz以上の周波数帯域で使用される導波空間を利用した平面アンテナに好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報化社会を背景に無線を利用した通信システムが汎用されており、とりわけ情報量の多いマイクロ波やミリ波領域を使用した通信システムの発展が著しい。このような通信システムにおいて、平面アンテナは短波長無線システムの入出力装置として好適であり、例えば、無線LANや自動車における衝突防止用レーダのように複数の分野での応用が期待されている。ところでアンテナの大きさは電(磁)波の波長の大きさにあわせて作る必要があり、波長を短波長化すると入出力装置であるアンテナの形状も小型化する必要がある。これにより、近年のアンテナではアンテナの寸法精度も微細加工技術が要求されるようになっている。
【0003】
従来のアンテナは、例えば、公開特許昭和56年32807号公報における誘電体アンテナや、公開特許平成6年77723号公報における連続スタブ素子を有するアンテナ等を含む。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、短波長化に適用可能なアンテナに関し従来の製造方法では高精度且つ安価で生産性に優れた平面アンテナを提供することが困難になってきた。従来ではエッチング技術を用いてアンテナの例えばスロットパターンやパッチパターンを形成していたが、微細加工がそのアンテナ特性に大きく影響を与えるため、エッチング技術では精度良く大量に生産できないという欠点を有する。特に、ミリ波における寸法精度は少なくとも波長の1%以上は必要とされ、例えば、50GHzにおいては数十μmの精度が必要とされる。また、共振スロットやパッチパターンを多数アレイ化して配置したとき、その指向性を維持するためにはさらに厳しく寸法精度をコントロールすることが求められる。このような要求に対しLSIの製造工程に適用可能な微細加工技術を適用することも考えられるが、かかる技術では安価なアンテナを製造することができない。
【0005】
また、従来の平面アンテナは、エッチングにより例えばスロットを形成していた。つまり図14(a)パターン断面図に示すように、従来の平面アンテナ300は、平板状誘電体310の上に導体320を被覆し、導体320に被覆されていない部分(凹部)330にスロットを形成していた。ここで、図14(a)は、従来の平面アンテナの表面付近の部分概略断面図である。同図に示すように、スロット330は導体320によって規定されていた。しかし、図14(b)に示すように、凹部330に水340が溜まると導体320が腐食して、図14(c)に示すように、点線で示す導体320は実線で示す導体320Aに劣化する。点線間の矢印と実線間の矢印を比較すると理解されるように、スロット330の間隔が変化して平面アンテナ300の特性が変化する。ここで、図14(b)は、図14(a)に示すスロット330に水340が溜まった様子を示す概略断面図であり、図14(c)は、図14(b)の結果、平面アンテナ300のスロット330の幅が変化した様子を示す概略断面図である。
【0006】
なお、公開特許昭和56年32807号公報に開示されたアンテナにおいては、同公報の図6(d)に示されているように、スロット部の周りの導体部が水平であり、水が溜まり易く、スロット部の腐食を招き易い。この結果、上述と同様にスロットの間幅が変化するという問題がある。また、公開特許平成6年77723号公報に開示されたアンテナは、共振スロットを有さずに長いスロットが一方向に延びる連続横断スタブ素子である。かかるスタブ素子では、スロットが長手方向に部分的に腐食されてスロット長さが変化しても他の部分のスロット間隔は失われないためにアンテナとしての機能は失われない。このため、スタブ素子は、ある程度の耐腐食性を有する。しかし、スロットの長手方向に対しても耐腐食性が求められるアンテナ、例えば、共振スロットを有する平面アンテナには別個の対策が必要である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、このような課題を解決する新規かつ有用な平面アンテナ及び製造方法を提供することを本発明の概括的目的とする。
【0008】
より特定的には、本発明は、短波長に適用可能の平面アンテナであって、寸法精度によく安価かつ生産性に優れる平面アンテナ及び製造方法を提供することを本発明の例示的目的とする。
【0009】
また、本発明は、腐食などの経時的変化に対して特性劣化の少ない平面アンテナ及び製造方法を提供することを本発明の例示的目的とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての平面アンテナの製造方法は、誘電体を導体で被覆してなる平面アンテナにおいて前記誘電体の導体被覆面の一部に前記導体で覆われないパターンを有する平面アンテナの製造方法であって、前記パターンを有する金型を用いて前記誘電体と前記パターンとを射出成形法により一体に成形するステップを有する。かかる製造方法によれば、導体で覆われないパターンと誘電体を射出成形法により一体に成形することが可能であり、当該パターンをミクロン単位の高精度で誘電体に一体に形成することができる。かかるパターンは平面アンテナの例えばスロットやパッチとして機能可能であり、短波長化に好適な小型のアンテナを寸法精度よく製造することができる。更に、射出成形法で誘電体を作成することは一度所定のパターンを含む誘電体の金型を作成してしまえばアンテナの量産が容易であり、安価にアンテナを成形することができる。前記成形ステップにより成形された前記所定のパターンは凸型形状又は凹型形状を有することができるが、導体が被覆される領域を凸型形状又は凹型形状としてもよい。
【0011】
上述した製造方法は、前記成形ステップにより成形された前記誘電体に前記導体を形成するステップと、前記所定のパターンに形成された前記導体を除去するステップとを更に有する。かかるステップによれば、成形された誘電体に導体を形成し、更に誘電体に成形された導体のうちパターンに形成された導体を除去することで、かかるパターン(即ち、スロットやパッチ)を電気的なアンテナパターンとすることができる。
【0012】
また、上述した製造方法は、前記成形ステップにより成形された前記誘電体に無電解メッキ処理、蒸着法又はスパッタリング法を用い第1の導体薄膜を形成するステップと、前記形成ステップにより前記第1の導体が形成された前記誘電体に第2の導体を形成するステップとを有する。かかる製造方法によれば、成形された誘電体に導体膜を形成することができる。例示的に、前記第2の導体は電気メッキ処理により形成され、前記第2の導体を形成するステップは前記の第一の導体膜形成手法に加え、前記電気メッキ処理により形成される前記第2の導体の膜厚を制御するステップを更に有してもよい。これにより第2の導体の膜厚を制御することができ、電磁気特性としての表皮効果を満たすべく適当な厚さとなるように第2の導体を形成することができる。なお、前記パターンが凹型形状を有する場合、前記第1の導体を形成するステップは蒸着法又はスパッタリング法であり当該第1の導体を形成するステップは、前記パターンが形成された面を前記第1の導体の蒸着又はスパッタリング法による導体材料噴出方向に対し斜めに配置するステップを有してもよい。これにより、導体の除去が困難な凹型形状を有するパターンであっても、その底部に導体が膜付けされることを導体膜を形成する時点で防止することができる。また、前記第2の導体を形成するステップは、例えばアルミの蒸着又はスパッタにより形成されるが、銅や銀、ニッケル等の導体金属であっても機能する。
【0013】
更に、前記所定のパターンが凹型形状に形成される場合、前記形成ステップにより形成された前記誘電体の前記所定のパターンに所定の材料を埋め込むステップと、前記所定の材料が埋め込まれた前記誘電体に前記導体を形成するステップと、前記所定の材料を前記所定のパターンより取り除くことにより前記誘電体を前記所定のパターンより剥離するステップとを有する。かかる製造方法によれば、上述と同様に、凹型形状を有する所定のパターンの内部に導体を形成しないように誘電体に導体を形成することができ、所定のパターンを電気的なパターンとして得ることができる。前記所定の材料は常温で固体であり当該常温より加温することで気化し膨張する特性を有し、前記剥離ステップは前記導体が形成された誘電体を過熱するステップを有する。かかるステップによれば、前記所定の材料が埋め込まれた且つ導体が形成された誘電体を加熱することで、前記所定の材料が膨張し所定のステップに形成された導体膜を剥離することができる。例えば、前記所定の材料は、例えば、ワセリンなどである。
【0014】
また、本発明の別の側面としての平面アンテナは、上述した製造方法により製造される。かかる平面アンテナによれば、上述の製造方法により得られ同様の作用を奏する。なお、本発明が、かかる製造方法により製造される平面アンテナとして機能することは言うまでもない。
【0015】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に当該誘電体とほぼ同じ高さで配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする。かかる平面アンテナは、共振スロット部では導体と誘電体がほぼ同じ高さであること、また、凸形状によりスロット部に水が溜まりにくいことから腐食の影響を受けにくい。この結果、かかる平面アンテナは、耐候性に優れ、長期間に亘って安定した特性を維持することができる。
【0016】
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記誘電体と密着し、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成してもよい。かかる平面アンテナは密着により水分の浸入を防止して安定した特性の維持を図ることができる。なお、誘電体にはプラズマ処理を施すことでより誘電体と導体との密着性が改善できる。
【0017】
前記誘電体は、撥水性材料から構成され、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成してもよい。かかる平面アンテナは、撥水性材料(例えば、低誘電率の樹脂)により、耐水性、耐腐食性を高めることができる。低誘電率の樹脂は、一般に分子内に親水性の高い極性基を持たないため、飽和吸水量が小さく疎水性である。また、多孔質でもないために、アルミナなどの無機材料と比較して撥水性である。具体的な材料としては、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリスチレン等の芳香族系樹脂、ポリプロピレン、ポリプエチレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンなどのポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。コスト、プロセス等を考慮すると、炭化水素系樹脂が特に好ましい。なお、これらの材料には熱膨張率の調整などのため必要に応じ二酸化ケイ素などのフィラーやファイバー、シートを混入することも可能である。50GHz以上の高周波での使用を考えた場合、ジメタノナフタレン系樹脂が優れている。
【0018】
前記誘電体は、吸水率が0.01%以下である材料から構成され、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成してもよい。かかる平面アンテナは、吸水率が0.01%以下である材料から構成されるので、耐水性、耐腐食性を高めることができる。
【0019】
前記誘電体は、熱膨張率が7×10−5以下である材料から構成され、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成されてもよい。かかる平面アンテナは、熱膨張率が7×10−5以下である材料から構成されるので、耐水性、耐腐食性を高めることができる。
【0020】
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有する柱形状を形成し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成されてもよい。アンテナのスロット部を形成する導体部が腐食された場合でも、凸部の誘電体が柱状(断面積がほぼ一定)であればスロット形状の同一性は保たれ、長期間に亘って安定した特性を維持することができる。
【0021】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、前記誘電体の前記所定の位置に前記所定のパターンを形成する多数の孤立した凸部群を配置し、アレイアンテナとして動作することを特徴とする。かかる平面アンテナによれば、アレイの形状や寸法のみならずアレイ間の位置関係も良好に維持することができる。アンテナの所定パターンが相対的に位置ずれを起こしにくく環境の変化に関わらず安定したアンテナ特性を持続することが可能である。かかる平面アンテナは、特に、50GHz以上の高周波用アレイアンテナとして好適である。
【0022】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、前記誘電体は第1の面と当該第1の面に対向する第2の面とを有し、前記第1の面において、前記誘電体の前記所定の位置に断面凸形状の前記所定のパターンを多数形成し、前記第2の面において、前記第1の面の前記多数の所定のパターンの中心に対応する部分を中心とする別のパターンを形成して前記導体で周囲を被覆し、前記別のパターンの先端には前記導体が被覆されずに前記誘電体が露出し、電磁波信号の出入り口を構成したことを特徴とする。また、前記別のパターンは給電整合のため断面凹又は凸形状を有することが好ましい。かかる平面アンテナは、第1及び第2のパターン群の中心を一致させることで、給電中心からの放射パターンへの距離が一定になり、各アレイアンテナ素子の放射時の相対位相差を制御することができて、安定した特性を持続することができる。また、特に、給電部のパターンが凹又は凸部であれば、これらの形状を利用した給電部のアンテナパターンへのインピーダンス整合を図ることができる。
【0023】
あるいは、前記平面アンテナは、平板状の誘電体の表面に、多数の所定のパターンの凹部群を二次元的に配し、前記誘電体の表面の凹部群はそれぞれ導体被覆膜を有し、前記凹部群以外の領域には前記導体被覆膜が設けられておらず前記誘電体が露出してパッチパターンを構成し、パッチアレイアンテナとして動作してもよい。かかる平面アンテナは、導体が被覆された凹部の表面を平坦にすることができ、凹部に低吸湿性樹脂を充填して、環境に対し安定した特性を維持することができる。
【0024】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に当該誘電体とほぼ同じ高さで配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成し、前記導体の前記所定の位置以外の場所の厚みをd、前記誘電体を伝播する電波の波長をλgとすると、前記断面凸形状を有する前記誘電体の高さhは、d≦h≦λg/10を満足することを特徴とする。λg/10以下にすることにより、凸部より放出する電磁波の位相ずれを限定し、指向性が鋭いアンテナ特性が得られる。また、凸部は、導体皮膜の厚みdよりも高くすること、つまり、凹部ではならないことを要する。前記平面アンテナは、例えば前記電磁波の周波数が50GHzの帯域であれば電磁気的な表皮効果を充分考慮して導体皮膜の厚みdは、3μmに設定することができる。
【0025】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に当該誘電体とほぼ同じ高さで配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成し、前記断面凸形状を有する前記誘電体の高さhは、25μm≦h≦250μmを満足することを特徴とする。かかる平面アンテナは、上述のhの範囲をミリ波領域における絶対数値で表しており、上述の平面アンテナと同様の作用を奏する。
【0026】
前記誘電体は第1の面と当該第1の面に対向する第2の面とを有し、前記第1の面において、前記誘電体の前記所定の位置に断面凸形状の前記所定のパターンを放射アレイパターンとして形成し、前記第2の面において、前記第1の面の前記放射アレイパターンの中心に対応する部分とのずれがλ/50である中心を有する給電パターンから構成される給電部を形成してもよい。かかる平面アンテナは、アレイを構成し、各アンテナ素子の表面凸部(共振スロット)からの放射電磁波の位相のずれは給電中心からの距離を等しくすることで抑えることにより、それら放射電磁波が合成されて形成するアンテナ全体としての放射パターンが適正なものとなり、例えば指向性の鋭いアンテナを得ることができる。
【0027】
本発明の別の側面としての平面アンテナは、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、前記誘電体は第1の面と当該第1の面に対向する第2の面とを有し、前記第1の面において、前記誘電体の前記所定の位置に断面凸形状の前記所定のパターンを形成し、前記第2の面において、断面凸形状の給電部を形成したことを特徴とする。かかる平面アンテナは、凹又は凸部でかつアンテナ放射部を構成する基板と一体化した給電部を設けることにより、アンテナと供給側のインピーダンス整合を行うことができ、アンテナ効率の向上を図ることができる。また、誘電体と一体であるので一体成形が可能であり、製造上効率的である。
【0028】
本発明の別の側面としての平面アンテナの製造方法は、平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロット又はパッチパターンを形成する平面アンテナの製造方法であって、前記所定のパターンが前記誘電体の断面凸形状によって規定されるように、前記共振スロット又はパッチパターンに対応する凹凸部を有する金型に前記誘電体材料を充填、固化及び成形するステップと、前記誘電体の表面を前記導体で被覆するステップと、前記所定の位置において前記誘電体と前記導体とを共に除去することによって前記共振スロット又はパッチパターンを成形するステップとを有する。かかる方法は、金型成形により全てのスロットの寸法及び各アンテナ素子や給電部との位置関係を高い精度で形成することができる。
【0029】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は添付図面を参照して説明される好ましい実施例において明らかにされるであろう。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としての平面アンテナ100について説明する。なお、添付図面の各図において、同一の参照番号を付した部材は同一部材を表すものとし、重複説明は省略する。ここで、図1は、平面アンテナ100の表面の概略斜視図である。図2は、平面アンテナ100の裏面の概略斜視図である。図3(a)は、平面アンテナ100の概略断面図である。図3(b)は、平面アンテナ100の部分拡大断面図である。平面アンテナ100は、平板状の誘電体からなる基板100と、基板100の表面を被覆する導体(膜)120とを有し、導体120で覆われない基板100の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する。
【0031】
図3(a)に示すように、平面アンテナ100は基板110と、導体膜120とを有し、かかる基板110には導体膜120が表皮効果を考慮して所定の厚さに形成されている。但し、平面アンテナ100において、導体膜120は基板110の所定の領域(後述するスロットパターン114及び給電用スロットパターン116)には形成されておらず、この所定の領域をスロットとすることでアンテナとして機能する。なお、図1乃至図3において、平面アンテナ100の理解を補助するためスロットパターン114及び給電用スロットパターン116はその大きさが誇張しかつ一部省略して描かれている。
【0032】
平面アンテナ100は、例示的に、直径30乃至50mm、厚さ1mmのディスク形状を有し、小型のラジアルスロットアンテナとして実現されている。しかし、本発明の平面アンテナ100の適用はこれに限定されるものではなく、例えば、パッチアンテナ、マイクロストリップアンテナなど導体被覆面106の一部に導体を被覆しない領域を有する誘電体として構成されるいかなるアンテナに関しも適用することができ、またその大きさにおいて限定を有するものではない。平面アンテナ100は、小型であっても寸法精度よく製造することができるという長所を有する。
【0033】
基板110は所定の厚みを有し、かかる厚み部分が導波路となって各スロットへの給電回路として機能する。基板110は基板本体112と、スロットパターン114と、給電用スロットパターン116とを有する。なお、本明細書において、基板110のスロットパターン114及び給電用スロットパターン116を除き導体膜120が形成される部分を導体被覆面106と定義する。図1乃至図3に示されるように、平面アンテナ100は表面(放射面)102側にスロットパターン114が、裏面(給電面)104側に給電用スロットパターン116が凸型形状としてそれぞれ基板110と一体に構成されている。
【0034】
但し、後述するように給電用パターン116は凹型形状となるように構成されてもよい。基板110は図1及び図2に示すように表裏(放射面102及び給電面104)でパターン(スロットパターン114及び給電用スロットパターン116)が異なる。また、後述する製造方法で説明されるように、表裏パターン(スロットパターン114及び給電用スロットパターン116)の位置合わせが必要になる場合が通常である。よって、基板110は、表パターン成形基板(例えば、スロットパターン114を有する基板)と裏パターン成形基板(例えば、給電用スロットパターン116を有する基板)を別々に成形し、その後両基板を貼り合わせて一体化する製造工程をとることもできる。もちろん、基板110は、本実施形態のように表裏パターン(スロットパターン114及び給電用スロットパターン116)から一体形成される基板と製造できることは言うまでもない。
【0035】
基板110は、導体被覆面106上に導体膜120が形成されないスロットパターン114及び給電用スロットパターン116が基板110に一体に構成されている。本実施形態においてスロットパターン114及び給電用パターン116を含む基板110は誘電体、例えば、作用帯域で低誘電板の材料であるプラスチック等の樹脂を用い射出成形法により一体に成形されている。上述したように、スロットパターン114は平面アンテナのスロットを構成するものであるが、射出成形法はサブミクロン精度でスロットパターン114及び給電用スロットパターン116を成形することができる。例えば、射出成形によって成形される例示的なものとして光ディスクが上げられるが、かかる光ディスク(例えば、DVD)では、幅0.3μm、長さ0.4μm、深さ0.04μmのピットを高精度で成形することができる。このような高精度にて成形可能な成形技術を本発明の基板110を用いることは寸法精度のよいアンテナ100のスロットとなり、短波長化に好適な小型のアンテナ100を精度良く成形することができる。また、射出成形法による誘電体形成技術を用い、スロットパターン114及び給電用スロットパターン116を含む基板110の金型を作成してしまえばアンテナ100の量産が容易であり、安価にアンテナ100を製造することができる。
【0036】
スロットパターン114はアンテナ100のスロットとして機能する導体膜120を被覆しない領域を形成するためのパターンである。図4に示されるようにスロットパターン114は複数アレイ化して配置される。このようなアレイアンテナでは、各アレイの寸法及び形状と、アレイ間の位置関係を高精度に維持する必要があるが、上述したように射出成形により基板110と一体に形成されるスロットパターン114は寸法精度良く形成されているためアンテナ100の指向性を良好に維持することが可能となる。後述するように、スロット114が凸形状を有するので、導体被覆膜を固定し、熱膨張、収縮あるいはそれの繰り返しによる環境条件においてもアンテナの所定パターンが相対的な位置ずれを起こしにくく、共振スロット114の形状も一定に保たれることにより、寒暖や吸湿等の環境変化にかかわらず安定したアンテナ特性を維持することができる。このようなアレイアンテナは、例えば、50GHz以上の高周波用アレイアンテナとして動作することができる。誘電体基板の膨張係数を7x10−5(/℃)とすると、例えば、温度範囲として−10〜+50℃)で動作させる場合にアレイアンテナ間隔の伸縮は4.2x10−3程度になる。アレイアンテナにおける素子間隔ずれ量として計算すると50GHzにおける誘電体内波長λgは、比誘電率を2.5とした場合に3.8mmであって、温度伸縮による誘電体内波長に対する割合は0.001λgである。アンテナ素子間の寸法精度を0.01λg以内に収めることを考慮すれば約10波長分の長さを有するアレイアンテナの構成を可能にする。これは最大約78素子のアンテナ素子を構成することに相当し、アンテナの指向性と利得を自由に設計できる。
【0037】
本実施形態においてスロットパターン114は一対のパターン114a及び114bより構成され、スロットパターン114が基板本体112上にスパイラル状に形成されるが、同心円状配置でも構成可能である。ここで、図4は、図1に実線で囲んだV字領域を示す基板110の一部拡大斜視図である。しかし、図4に示すスロットパターン114の形態は例示的であり、かかるスロットパターン114がアンテナ100のスロットとして機能するよう成形されるに足りるものである。なお、スパイラルと同心円状では特性の異なるアンテナ100を得ることができる。
【0038】
パターン114a及び114bはミリ波における寸法精度は少なくとも波長の1%以上は必要とされ、例えば、50GHzにおいては、数十μmの精度が必要とされる。上述したように光ディスクの成形においてパターン形状は深さの差として実現されるが、これをアンテナ100では導体の有無として表現しなければならない。例えば、スロットアンテナはパターン部分の導体を除いて開口部とする、パッチアンテナはパターン部分の導体を残してアンテナとする等である。成形による深さの差は光ディスクの場合、0.03μm乃至0.07μm程度であり非常に浅い。しかし、この深さの差で導体の有無を差別化して設けることは単純には困難である。よって本発明において、パターン114a及び114bの高さは数μm以上数十μmにして形成することに留意する必要があり、かかる高さの差で導体の有無を差別化することを可能としている。なお、パターン114a及び114bの高さは基板110に形成される導体膜120厚が厚くなればその分高さを高くする必要がある。
【0039】
図3(b)に示すように、誘電体からなる基板100は、共振スロット114部において断面凸形状を有する。また、断面凸形状を有するスロット114の周囲には、スロット114とほぼ同じ高さ(面一)で導体120が配置され、導体120は、断面凸形状を有する誘電体と共に断面凸形状を形成する。上述した図14に示す従来例は、スロット330が凹部になっていたため水分340が溜まり、腐蝕により共振スロット330の寸法が変化し、長期間、一定のアンテナ特性を維持できなかった。これに対して、本実施形態の平面アンテナ100は、スロット114では導体120と誘電体がほぼ同じ高さであり、導体120が凹部を形成しないこと、また、導体120と誘電体が共に凸形状であることからスロット114に水が溜まりにくいことから腐食の影響を受けにくい。即ち、スロット114付近で導体120と誘電体が同じ高さになるように形成すれば良い。
【0040】
図3(b)に示すように、導体120のスロット114付近以外の場所の厚みをd、誘電体を伝播する電波の波長をλgとすると、スロット114の高さhは、d≦h≦λg/10を満足することが好ましい。hをλg/10以下に設定することにより、スロット114より放出する波の位相がずれることがなく、指向性が鋭いアンテナ特性がえられる。また、凸部は、導体皮膜の厚みdよりも高くすること、つまり、凹部ではならないとしたのは上述の理由からである。このような、平面アンテナは、前記電波の周波数が50GHz以上の帯域で特に好適である。導体120の厚みdは、例えば、3μmである。また、上述のhの範囲をミリ波の範囲で絶対数値で表した場合、高さhは、25μm≦h≦250μmを満足することが好ましい。真空中の波長をλ0(mm)、周波数をf(GHz)、誘電体内の波長をλg(mm)、誘電体の比誘電率をεrとすると、λ0=300/f、λg=λ0/(√εr)となる。アンテナに適した材料の範囲を表にすると以下の表1及び表2のようになる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
上述のように、高さhの最小値は導体120の膜厚dよりも大きい値で決定されるが、それは導体膜厚dが動作周波数における電磁気的な表皮効果を考慮して決定される。表皮効果は導体膜120を流れる電流密度が周波数高くなると導体120の表面部分に集中して流れる現象をいい、膜厚が厚いからといって高周波における抵抗値が小さいわけではない。電流 密度が導体表面における値より1/e(0.37倍)になる厚さをスキンデプスと称し、この値は周波数の平方根に反比例して小さくなる。導体膜を銅とした場合に、12GHzにおけるスキンデプスは0.6μmで表皮抵抗は29Ω、50GHzにおいてはスキンデプス0.3μmで表皮抵抗は58Ωになる。この表皮効果の影響を考慮し、電流のほとんどが伝導する範囲としてスキンデプスの10倍程度を想定する必要がある。つまり50GHzにおいては導体膜厚dとして3.0μmを少なくとも確保して表皮抵抗を小さくしておかないと伝送損失としてアンテナの放射効率を低下させてしまう。凸部の高さは誘電体の平坦部からの高さ、つまり導体膜の底面部からの高さであって、その値は導体膜の厚さdより大きいものでなければならない。その高さは誘電体内を伝搬する波長の少なくとも1/10以下に構成されることで凸部の高さ方向に共振回路を構成することもなく、またアレイ構成にする場合のエレメント間の放射位相バラツキを少なくともλ/10以下に限定することができる利点がある。
【0044】
スロット114において、断面凸形状を有する誘電体の周囲に配置される導体120は、誘電体と密着している。かかる密着により、平面アンテナ100は、水分の浸入を防止して安定した特性の維持を図ることができる。なお、誘電体にはプラズマ処理を施すことがより好ましい。
【0045】
スロット114を構成する誘電体は、本実施形態では、撥水性材料から構成されている。撥水性材料(例えば、低誘電率の樹脂)により、耐水性、耐腐食性を高めることができる。低誘電率の樹脂は、一般に分子内に親水性の高い極性基を持たないため、飽和吸水量が小さく疎水性である。また、多孔質でもないために、アルミナなどの無機材料と比較して撥水性である。具体的な材料としては、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリスチレン等の芳香族系樹脂、ポリプロピレン、ポリプエチレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンなどのポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。コスト、プロセス等を考慮すると、炭化水素系樹脂が特に好ましい。なお、これらの材料には熱膨張率の調整などのため必要に応じ二酸化ケイ素などのフィラーやファイバー、シートを混入することも可能である。50GHz以上の高周波での使用を考えた場合、ジメタノナフタレン系樹脂が優れている。
【0046】
誘電体は、吸水率が0.01%以下である材料から構成されてもよい。これにより、耐水性、耐腐食性を高めることができる。このような材料には、例えば、ポリプロピレン、ポリプエチレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンなどのポリオレフィン系樹脂が含まれる。
【0047】
前記誘電体は、熱膨張率が7×10−5以下である材料から構成されてもよい。これにより、耐水性、耐腐食性を高めることができる。このような材料には、例えば、ジメタノナフタレン系樹脂が含まれる。
【0048】
図3(a)及び図3(b)に示すように、スロット114において、誘電体は、柱形状を有することが好ましい。断面積がほぼ一定の柱状であれば、図3(c)に示すように、スロット114が腐食した場合でも、スロット形状の同一性は保たれ、長期間に亘って安定した特性を維持することができるからである。
【0049】
給電用パターン116はアンテナ100の給電用スロットとして機能する導体膜120を被覆しない領域を形成するためのパターンである。給電用パターン116は、例えば、円筒形状を有し、基板112の中心に形成されている。なお、かかる給電用スロットパターン116が機能する給電用スロットはアンテナ100のスロットの中心に給電できないと放射電力パターンが偏った特性となるため、かかる給電用パターン116は上述したスロット114のパターンのスパイラル状の中心に精度良く設けられている。
【0050】
本実施形態では、給電用パターン116は断面凸部形状を有する。凸部でかつ平板と一体化した給電部を設けることにより、アンテナと供給側のインピーダンス整合を行うことができ、アンテナ効率の向上を図ることができる。また、誘電体と一体であるので一体成形が可能であり、製造上効率的である。
【0051】
本実施形態では、スロット114のパターンの中心と給電中心(電位的意味の中心)のずれがλ/50以内であることが好ましい。共振スロット114からの放射電磁波の位相のずれを抑えることにより、それら放射電磁波が合成されることにより形成される放射パターンが良好なものとなる。
【0052】
代替的に断面凸形状を有するパターン116は、電波の出入り口として機能してもよい。パターン116は、パターン114の中心と一致しているので熱膨張、収縮あるいはそれの繰り返しなどの環境の変化があっても表裏のパターンが相対的に位置ずれをおこしにくく、安定した特性を持続することができる。また、パターン116は凹部であってもよいが、凸部であることが好ましい。これにより、凸部を利用したインピーダンス整合を図ることができる。
【0053】
導体膜120は基板110上に設けられる導体部分であり、基板110の導体被覆面106に表皮効果の影響を受けないようにしかるべく所定の厚さに形成されている。導体材料としては銅や銀、ニッケルが一般的であるが、導体膜120は必要に応じて導体を複層構造とすることができる。図示しないが、基板110に直接形成される導体膜120は無電解で構築する部分であり無電解メッキ処理、スパッタリング法や蒸着法により形成可能であり、クロムやニッケル、銅、銀、金などで構成される(第1の導体)。そして、次に覆う導体は電気メッキ処理による部分で導体膜120の厚みの大部分を構成する(第2の導体)。かかる導体は電流密度や電解液温度でその密度や電気特性も異なる。上述したように、導体膜120、即ち第2の導体は表皮効果を避けるべく厚みを確保するため電流値やメッキ時間の制御で導体厚みをコントロールされている。なお、この層をさらに複層膜として、電流の多く流れる誘電体との界面層は銀や銅の層として形成し誘電体から遠く位置する層はコストや耐酸性などを考慮して金やニッケル材料を使うことも可能である。
【0054】
平面アンテナ100は導体膜120を保護する目的で樹脂をコートしてアンテナ100の保護層とすることも可能である(ここでは図示していない)。かかる保護層は、錆びや傷からの保護を目的とし、例えばレドーム等のカバー材を使用しないでアンテナ100を設置する場合の防塵対策として必要になる。但し、コート層はアンテナ100の電気特性的に誘電体損の小さい材料が求められるが、UV硬化樹脂をコーティングする方法を適用することも可能である。
【0055】
平面アンテナは、パターンに給電してパターンに共振を起こさせるパッチアンテナであってもよい。以下、本実施形態のパッチアンテナを図13を参照して説明する。ここで、図13(a)及び図13(b)は、それぞれ、パッチアンテナ100A及び100Bの平面図である。図13(a)に示すように、パッチアンテナ100Aは、平板状の誘電体110Aと、導体(被覆膜)120Aと、給電部140Aとを有する。また、図13(b)に示すように、パッチアンテナ100Bは、給電部140Aの代わりに給電部140Bを有する以外はパッチアンテナ100Aと同様である。パッチアンテナ100A及び100Bは、平板状の誘電体110Aの表面に、多数の所定のパターンの凹部群を二次元的に配し、誘電体110Aの表面の凹部群はそれぞれ導体被覆膜120Aを有し、凹部群以外の領域には導体被覆膜120が設けられておらず誘電体110Aが露出し、パッチパターンを構成し、アレイアンテナとして動作する。図13(c)はパッチアンテナ100Aの断面図を、図13(d)はパッチアンテナ100Bの断面図を示している。図13(c)及び図13(d)に示すように、パッチアンテナ100A及び100Bの表面は平坦にすることも可能で、水分が溜まるなどの問題は図3(b)と同様に解消している。また、図13(e)に示すように、導体厚みより凹部の深さがある場合には、低吸湿性樹脂を充填してもよい。
【0056】
次に、図5乃至図9を参照するに、上述したアンテナ100の製造方法について説明する。ここで、図5は、図1に示すアンテナ100の製造方法を示すフローチャートである。図6は、図5に示すステップ1000の詳細を示す図であり、図7は、図5に示すステップ1005の詳細を示す図である。図8は、図5に示すステップ1010の詳細を示すフローチャートである。図9(a)は導体膜120が剥離される前の状態を示した図4に対応する概略斜視図であり、(b)は(a)に示す状態から導体膜120が剥離された状態を示す図4に対応する概略斜視図である。図10(a)は図5に示す製造方法により製造されるアンテナ100の放射面102を示す概略斜視図であり、図10(b)は図9(a)に示すアンテナ100の放射面104を示す概略斜視図である。なお、図9及び図10では、導体膜120の有無を明瞭とするため例示的に導体膜120が形成されている部分を黒く塗りつぶした状態で描かれている。また、本実施形態では射出成形法によって平面アンテナ100を製造するが、本発明はプレス加工による製造方法を排除するものではない。
【0057】
まず、上述したように、アンテナ100の基板110を射出成形法により成形するため、スロットパターン114及び給電用パターン116を有する基板110を成形するための金型を作成する(ステップ1000)。なお、かかるステップ1000において、金型は基板110の放射面102側及び給電面104側の2つが作成される。金型の、例えば、上型には共振スロット114のパターンに対応する凹部を含む凹凸部がキャビティ側に形成される。
【0058】
ステップ1000をより詳細に説明するには、まず初めに露光レジストを塗布した原盤Mを用意する(図6(a))。原盤はガラス製の平坦な面を有するものを使用し、その上に露光レジストRを塗布する(図6(b))。次いで、このレジスト塗布した原盤に露光装置などを使用しパターンマスクmを通して露光する(図6(c))。パターンマスクmは予めCADにより設計したスロットパターン114又は給電用スロットパターン116を表したもので、シミュレーションした結果を踏まえて作成したパターンマスクmを用いることが好ましい(図6(c)には、放射面102、即ち、スロットパターン114を表したパターンマスクmが描かれている)。
【0059】
露光後(図6(d))、原盤Mを現像してスロットパターン114又は給電用スロットパターン115に応じたパターンを浮かび出させる。より詳細には、露光された原盤Mを現像することによって露光部又は非露光部のみが現像液に溶解するので、露光部又は非露光部のレジスト層が除去され、これによりスロットパターン114又は給電用スロットパターン115に対応した(反転した)パターンが図6(e)に示すように形成される。なお、かかるパターンは実際に作成するスロットパターン114及び給電用スロットパターン116より大きめに形成されており、成形後の収縮を考慮して形状寸法を決定している。従って収縮率の設定が異なるとアンテナの物理的寸法が異なり所望の特性が得られなくなるので留意する必要がある。また、スロットパターン114及び給電用スロットパターン116部分はかかる高さの差で導体の有無を差別化して加工できるよう本発明においてスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の高さは、アンテナ100の使用波長の1%程度、数十μm程度となるように原盤Mのパターンを形成される必要があることに留意しなければならず、この点において光ディスクの製造方法と異なる。そして、原盤を現像した後、クロム膜を形成して電気メッキを行うことで金型S1を作ることができる。なお、図6には、放射面102側の金型S1のみが図示されているが、これと同様に給電面104側の金型S2も作成される。
【0060】
上述したように、かかる工程で作成された金型S1及びS2では、基板110の放射面102及び給電面104に対応する部分は凹型形状となっており、かかる部分は基板110上で凸型形状を有するパターンを形成することができる。なお、放射面102及び給電面104を含む基板110の金型S1及びS2を成形してしまえばアンテナ100の量産が容易であり、安価にアンテナ100を成形することができる。
【0061】
次いで、図7(a)を参照するに、かかる金型S1及びS2を使用し基板110を成形する(ステップ1005)。基板110は、周知の射出圧縮成形装置を使用して、成形樹脂材料を成形装置に送り、例えば、約350℃まで加熱して均一に溶解し、スタンパー金型S1及びS2内へ高圧で注入、充填、固化することによって成形される(図7(b))。なお、図7(b)では射出圧縮成形装置の図示は省略されている。この結果、放射面102及び給電面104が一体に形成された基板110が形成される(図7(c))。かかるスロットパターン114及びスロットパターン116は突出した直方体がアレイ化して配列するパターンになる。射出成形法では、このスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の大きさや配置を忠実に再現することが可能であり、精度の高い又アンテナ100の指向性に優れる基板110を作成することができる。
【0062】
なお、このステップ1005で注意したいのは、放射面102側の金型と給電面104側の金型の中心位置合わせを精度良く一致させなければならないことである。スパイラル状のスリットパターン114の中心に給電できないと放射電力パターンに偏った特性ができる要因となってしまう。よって、対象性の良いスロットを有するアンテナ100を作るためには、金型S1及びS2の中心位置合わせが重要となる。また、本実施形態では、基板110は金型S1及びS2を同時に用いて放射面102及び給電面104のパターンを一体成形した。但し、上述したように金型S1及びS2を各々単独に使用し射出成形することで放射面102及び給電面104を有する2の基板を作成し、それら2の基板を張り合わせることで基板110を得ても良い。当然、かかる2の基板はスロットパターン114及び給電用スロットパターン116が一体成形された基板110の半分の厚さに射出成形されることが好ましい。
【0063】
次に、ステップ1005で成形された基板110に導体膜120を形成する(ステップ1010)。図8を参照するに、第一に無電解処理、例えば蒸着法やスパッタリング法による導体膜付けや無電解メッキ処理を用いて(第1の)導体薄膜が形成される(ステップ1012)。かかる導体は、銅、クロムやニッケル、銀、金等で構成される。次に、かかる導体の上から表皮効果を避けるべく所定の厚さとなるように更に(第2の)導体を成形する。かかる形成手段は、例えば、電解メッキにより形成可能であり、所定の膜厚となるよう電流値やメッキ(通電)時間を制御することで導体膜120の表皮効果を避けるべく第2の導体が形成される(ステップ1014乃至1016)。電解メッキ方法とは、目的の金属イオンを含む水溶液中へ被処理体を浸漬し、これを還元反応が起こる電極のカソードとし、一方、適当な可溶性又は不溶性のアノード(酸化反応が起こる電極)との間に順方向直流電流を流し、被処理体の表面に目的金属の膜を電解析出する方法である。導体膜120の厚さは、通電後の経過時間、通電中の電流値などを測定することによって直接的又は間接的に知ることができる。通電後の経過時間や通電中の電流値によって導体膜120の厚さを検出する場合には予めシミュレーションによって得たデータを利用することができる。一般に、導体膜120の膜厚が少なければ少ないほど電流値は低くなることが予想される。かかるシミュレーションは、金属イオンの濃度、水溶液の温度、湿度などのパラメータを考慮して行われることになるであろう。なお、上述した導体の形成方法は当業者によって容易に理解可能であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0064】
ステップ1010(即ち、ステップ1012乃至ステップ1016)を経て、導体膜120はスロットパターン114及び給電用パターン116と基板本体112に一様に形成される。なお、この状態ではスロットパターン114及び給電用パターン116は導体を被膜した凹凸のパターンであって電気的なアンテナパターンは得られていない(図9(a))。そこで、この状態からスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の導体膜120を剥離する(ステップ1015)。かかるステップ1015は、機械的な手段、例えば、研削や研磨作業を行いスロットパターン114及び給電用スロットパターン116に付着した導体膜120を剥離することができる。この際、誘電体表面の凸部を被覆する部分の導体金属と誘電体凸部の先端部を同時に除去することにより誘電体と導体120の高さをほぼ同じにすることができる。もちろん本発明は、導体120のみを剥離することを排除するものではないが、製造の容易性のために誘電体と導体120の両方の先端部を除去している。この際、上述したように、スロット径が変化しないように誘電体は柱状であることが好ましい。
【0065】
なお、放射面102の平坦性が充分でないと研磨は偏ってしまいうまく剥離できない。そのため変形しない成形条件で成形することは重要である。また多少の片減りを許容するために無電解メッキの状態から電解メッキに移して導体膜120の膜厚を厚くした方が作業性が良い。導体膜120の膜厚とスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の高さの関係は導体膜厚が厚くなればその分高さを高くする必要がある。従って、研磨するプロセスは電気メッキ後よりも導体膜厚の薄い無電解処理のメッキ段階で研磨したほうが効率的であり、またスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の高さを低くすることができる。
【0066】
上述したステップ1000乃至1015を経て、アンテナ100は図9(b)及び図10に示すように基板100上の所定の領域(スロット及び給電用スロット)に導体膜120が被覆されないスロットアンテナとして構成される。なお、図9(b)ではスロットパターン114のみを示したが、図10(b)に示すように給電面104の給電用スロットパターン116においても導体120が除去されているものである。
【0067】
なお、本実施形態では、スロットパターン114の部分に導体のないスロットアンテナを例に実施例を示したが、例えば、パッチアンテナではスロットパターン114が導体膜120として構成されるだけでその他において製造方法に変わりは無い。また、基板110の側面は導体膜120で被膜されるが、かかる側面の導体を研磨で取れば開放型のアンテナになる。なお、詳細しないがアンテナの保護の目的でコーティング処理することは当然であるが、特に放射面102側に対しては電気特性との関連が発生するため慎重な対応が必要になる。
【0068】
本実施形態の製造方法によれば、金型成形により全てのスロット114の寸法及び位置関係を高い精度で均一化することができるので、指向性の鋭い、特性の良好なアンテナを得ることができる。また、量産性に優れるため、製造コストの削減をもたらすことができる。
【0069】
以上の説明はスロットパターン114が凸型形状になっている場合であるが、上述したようにスロットパターン114は凹型形状にしても可能である。但し、凹型形状にパターン形成しては研磨でパターン形成をすることはできないが、導体膜を形成する段階で工夫してパターン化することができる。以下、図11及び図12を参照して、かかる方法について説明する。ここで、図11及び図12は、本発明のアンテナ100の別の製造方法を示すフローチャートである。なお、上述した方法と重複するステップにおいては説明を省略する。
【0070】
上述したように、アンテナ100の基板110を射出成形法により成形するため、ステップ1000と同様にスロットパターン114及び給電用パターン116を有する基板110を成形するための金型を作成する(ステップ2000)。なお、かかるステップにおいて、金型は基板110の放射面102及び給電面104の2つが作成される。ステップ1000とは異なり、かかる工程で作成された原盤において、基板110のスロットパターン114(及び給電用スロットパターン116)に対応する部分は凸型形状となっており、かかる部分は基板110上で凹型形状を有するパターンとして成形される。なお、後述する工程からも明らかとなるように、かかる凸状部分は基板110のスロットパターン114がある程度深くなるように形成することが好ましく、かかる深さはスロットパターン114の底部に導体を被膜しにくくする効果を奏する。
【0071】
次いで、かかる金型を使用し基板110を成形する(ステップ2005)。この結果、スロットパターン114及び給電用スロットパターン116が一体に形成された基板110が形成されるが、上述したようにスロットパターン114及び給電用スロットパターン116と各々有する基板を貼り合わせる事により基板110を作成しても良い。かかるスロットパターン114(及びスロットパターン116)は直方体状に窪んだパターンになる。射出成形法では、このスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の大きさや配置を忠実に再現することが可能である。なお、かかるステップで注意したいのは、上述の工程と同様に、放射面102側の金型と給電面104側の金型の中心位置合わせを精度良く一致させなければならないことである。スパイラル状のスリットパターン114の中心に給電できないと放射電力パターンに偏った特性ができる要因となってしまう。よって、対象性の良いスロットを有するアンテナ100を作るためには、かかる金型の中心位置合わせが重要である。
【0072】
次に、ステップ2005で成形された基板110に導体膜120を形成する。より詳細には、まず基板110に近い部分を無電解で導体を構築する(第1の導体)。かかる導体は、例えば蒸着法やスパッタリング法により導体を形成可能である。なお、このとき留意しなければないらないのは、スロットパターン114及び給電用スロットパターンの底面に導体が膜付けされないようにすることである。そこで、本発明の方法では、飛来する導体粒の影にスロットパターン114(及び給電用スロットパターン116)の底面が配置されるように、基板110を導体粒の飛来方向に対して斜めに配置している(ステップ2010)。そして、かかる状態において、蒸着法又はスパッタリング法により導体を噴出する(ステップ2015)。なお、このとき導体の噴出口と基板110との距離が近いと基板110の一部に膜厚のむらが発生するため、基板110と噴出口とは十分に距離をおいて成膜することが好ましい。かかる導体は、クロムやニッケル、銀、金等で構成される。次に、かかる導体の上から表皮効果を得るべく所定の厚さとなるように更に(第2の)導体を成形する(ステップ2020)。第2の導体は、例えば、アルミの蒸着又はスパッタにより形成可能である。
【0073】
このようなステップ2000乃至2020を経て、アンテナ100は基板100上の所定の領域(スロット及び給電用スロット)に導体膜120が被覆されないスロットアンテナとして構成される。
【0074】
一方、図11を参照するに、ステップ2000乃至2020の工程は、以下に示す方法によって代替されても良い。まず、上述の工程と同様、アンテナ100の基板110を射出成形法により成形するため、スロットパターン114及び給電用パターン116を有する基板110を成形するための金型を作成する(ステップ3000)。なお、かかるステップにおいて、金型は基板110の放射面102及び給電面104の2つが作成される。かかる工程で作成された原盤において、基板110のスロットパターン114(及び給電用スロットパターン116)に対応する部分は凸型形状となっており、かかる部分は基板110上で凹型形状を有するパターンとして成形されが、上述したようにスロットパターン114及び給電用スロットパターン116と各々有する基板を貼り合わせる事により基板110を作成しても良い。
【0075】
次いで、かかる金型を使用し基板110を成形する(ステップ3005)。この結果、スロットパターン114及び給電用スロットパターン116が一体に形成された基板110が形成される。かかるスロットパターン114(及びスロットパターン116)は直方体状に窪んだパターンになる。射出成形法では、このスロットパターン114及び給電用スロットパターン116の大きさや配置を忠実に再現することが可能である。なお、かかるステップで注意したいのは、放射面102側の金型と給電面104側の金型の中心位置合わせを精度良く一致させなければならないことである。スパイラル状のスリットパターン114の中心に給電できないと放射電力パターンに偏った特性ができる要因となってしまう。よって、対象性の良いスロットを有するアンテナ100を作るためには、かかる金型の中心位置合わせが重要である。
【0076】
次に、かかる基板110のスロットパターン114にダミー部材を埋め込む(ステップ3010)。上述の方法では、基板110のスロットパターン114に導体膜が形成されることを防止すべく、基板110に対する導体の成膜方法を工夫したが、本実施形態ではかかる基板110の凹状部分にダミー部材を埋め込む工程を設けることでかかる問題を解決している。スロットパターン114の凹部に埋め込むダミー材料は、導体が成膜された後でかかるダミー材料を取り除いて結果的に凹部の導体膜120を剥離するものである。よって、ダミー材料は凹部のみに残り平坦部には残さないように処置する必要がある。また、ダミー材料は導体膜形成後に取り出す必要があり、その取り出し時に導体膜120を破裂して飛び出すようにすることが好ましい。ダミー材料としては常温では固体であり、加温により気体となって膨張する材料が良く、例えばワセリン等を利用することができる。
【0077】
次に、ステップ3010で成形された基板110に導体膜120を形成する(ステップ3015)。この基板110は、図8に示すステップ1012乃至1016で説明したように無電解メッキ手段、例えば蒸着法やスパッタリング法による導体膜付けや無電解メッキ処理を用いて、導体を形成する。かかる導体は、銅、クロムやニッケル、銀、金等で構成される。次に、かかる導体は表皮効果を避けるべく所定の厚さ以上となるように厚みを厚くして形成する。かかる形成手段は、例えば、電解メッキにより形成可能であり、電流値やメッキ時間を制御することで導体の厚みをコントロールすることができる。なお、かかる導体の形成方法は上述したとおりであって、ここでの詳細な説明は省略する。
【0078】
そして、ダミー部材を取り除くことによりスロットパターン114上の導体膜120を剥離する(ステップ3020)。上述したように、ダミー部材にワセリン等を使用した場合、導体膜120が形成された基板110を加温することでワセリンが気化し、それにより導体膜120の内部に閉じ込められたワセリンが破裂することで導体膜120を剥離することができる。
【0079】
かかるステップ3000乃至3020を経て、アンテナ100は基板100上の所定の領域(スロット及び給電用スロット)に導体膜120が被覆されないスロットアンテナとして構成される。
【0080】
以上説明した製造方法は、スロットパターン114及び給電用スロット116と基板本体112とを射出成形法により一体に形成することができる。かかるスロットパターン114は平面アンテナのスロットととして機能する部分であり、射出成形法はサブミクロン単位で所定のパターンを成形可能である。よって、上述の製造方法は当該スロットを寸法精度よく形成することが可能となり、短波長化に好適な小型のアンテナを成形することができる。なお、射出成形法で基板110を作成することは一度所定のパターンを含む誘電体の金型を成形してしまえばアンテナの量産が容易であり、安価にアンテナを成形することができる。
【0081】
本発明のアンテナ100は、ミリ波帯(周波数30乃至300GHz、波長1乃至10mmの電波)に適した小型な平面アンテナである。特に、この帯域では、この特徴に加え酸素による吸収減衰が大きく、遠くまで到達しないなどの物理特性を有し、大容量で低コストな多様な無線システムに適用可能である。アンテナ100は、例えば、自動車衝突防止用のレーダ、短距離通信システム、無線LAN、及び家庭の屋内配線の無線化などに好適である。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0083】
【発明の効果】
本発明の平面アンテナ及び製造方法は、基板上の導体を被膜しない領域である所定のパターンと基板とを射出成形法により一体に形成することができる。かかる所定のパターンは平面アンテナのスロットを形成可能であり、当該スロットを寸法精度よく形成することが可能となる。射出成形法で誘電体を作成することは一度所定のパターンを含む誘電体の金型を成形してしまえばアンテナの量産が容易であり、安価にアンテナを成形することができる。また、射出成形法はミクロン単位で所定のパターンを成形可能であり、短波長化に好適な小型のアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平面アンテナの一の面を示す概略斜視図である。
【図2】 図1に示す平面アンテナの他方の面を示す概略斜視図である。
【図3】 図1に示す平面アンテナの概略断面図である。
【図4】 図1に実線で囲んだV字領域を示す基板の一部拡大斜視図である。
【図5】 図1に示すアンテナの製造方法を示すフローチャートである。
【図6】 図5に示すステップ1000の詳細を示す図である。
【図7】 図5に示すステップ1005の詳細を示す図である。
【図8】 図8に示すステップ1010の詳細を示す図である。
【図9】 (a)は導体膜120が剥離される前の状態を示した図4に対応する概略斜視図であり、(b)は(a)に示す状態から導体膜120が剥離された状態を示す図4に対応する概略斜視図である。
【図10】 (a)は図5に示す製造方法により製造されるアンテナの放射面を示す概略斜視図であり、(b)は(a)に示すアンテナの放射面を示す概略斜視図である。
【図11】 本発明のアンテナの別の製造方法を示すフローチャートである。
【図12】 本発明のアンテナの別の製造方法を示すフローチャートである。
【図13】 本発明のパッチアンテナの平面図及び断面図である。
【図14】 従来の平面アンテナの問題点を説明するための部分拡大概略断面図である。
【符号の説明】
100 アンテナ
102 放射面
104 給電面
106 導体被覆面
110 基板(誘電体)
112 基板本体
114 スロットパターン
116 給電用スロットパターン
120 導体膜
Claims (11)
- 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に当該誘電体とほぼ同じ高さで配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする平面アンテナ。 - 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記誘電体と密着し、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする平面アンテナ。 - 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、撥水性材料から構成され、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする平面アンテナ。 - 前記撥水性材料は、炭素と水素により構成される高分子材料を含むことを特徴とする請求項3記載の平面アンテナ。
- 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、吸水率が0.01%以下である材料から構成され、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする平面アンテナ。 - 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、熱膨張率が7×10−5以下である材料から構成され、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする平面アンテナ。 - 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有する柱形状を形成し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成することを特徴とする平面アンテナ。 - 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に当該誘電体とほぼ同じ高さで配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成し、
前記導体の前記所定の位置以外の場所の厚みをd、前記誘電体を伝播する電波の波長をλgとすると、前記断面凸形状を有する前記誘電体の高さhは、d≦h≦λg/10を満足することを特徴とする平面アンテナ。 - 前記電波の周波数は、50GHz以上であることを特徴とする請求項8記載の平面アンテナ。
- 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロットを形成する平面アンテナであって、
前記誘電体は、前記所定の位置において断面凸形状を有し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の周囲に当該誘電体とほぼ同じ高さで配置される前記導体は、前記断面凸形状を有する前記誘電体と共に断面凸形状を形成し、
前記断面凸形状を有する前記誘電体の高さhは、25μm≦h≦250μmを満足することを特徴とする平面アンテナ。 - 樹脂成分を含む平板状の誘電体と、当該誘電体の表面を被覆する導体とを有し、前記導体で覆われない前記誘電体の所定の位置に所定のパターンを有する共振スロット又はパッチパターンを形成する平面アンテナの製造方法であって、
前記所定のパターンが前記誘電体の断面凸形状によって規定されるように、前記共振スロット又はパッチパターンに対応する凹凸部を有する金型に前記誘電体材料を充填、固化及び成形するステップと、
前記誘電体の表面を前記導体で被覆するステップと、
前記所定の位置において前記誘電体と前記導体とを同時に除去することによって前記共振スロット又はパッチパターンを成形するステップとを有する平面アンテナの製造方法。
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