JP3114253B2 - 金属の電着法 - Google Patents

金属の電着法

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JP3114253B2 JP03180569A JP18056991A JP3114253B2 JP 3114253 B2 JP3114253 B2 JP 3114253B2 JP 03180569 A JP03180569 A JP 03180569A JP 18056991 A JP18056991 A JP 18056991A JP 3114253 B2 JP3114253 B2 JP 3114253B2
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眞吉 橋本
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  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属の電着法に関す
る。さらに詳しくは、光ディスクなどの電子部材の製造
の際に用いるスタンパの表面を平滑に加工するための電
着法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク(CD)、ビデオディスク
(VD)、光磁気ディスク(MO)の製造の際のマスタ
リング工程においては、ポジ型レジストをスピンコート
したガラス原盤をレーザーカッティングした後、現像
し、ポストベークの後、これにスパッタ法、蒸着法、あ
るいは銀鏡反応などにより導電性の膜を形成する。その
後、このガラスマスターを電着(電鋳)処理し、電着部
を剥離して得たスタンパを所定の大きさに打ち抜いた
後、その裏面を研磨したものを用いている。
【0003】通常、このスタンパの裏面は鏡面となるま
で研磨され、ほぼ0.05〜0.10μmRmax(M
aximun roughness depth:測定
範囲における山・谷間距離の最大値)に仕上げられる。
この電着工程におけるスタンパ裏面のRmaxの程度が
後の研磨工程に大きく影響し、ひいては製品の性能に大
きく関係する。例えばスタンパ裏面のRmaxが20μ
mであると10回、10μmであると2回の研磨で鏡面
が得られる。
【0004】このスタンパ裏面のRmaxを小さくする
一つの方法として、前記した電着処理の際に平滑剤を使
用することが考えられている。この平滑剤としては代表
的なものにサッカリンと2−ブチン−1,4−ジオール
の混合系がある。この平滑剤は電着の際、経時的に効能
が低下するため、頻繁に、例えば1週間に2回程度補給
する必要がある。更に、効力のなくなった平滑剤は例え
ば活性炭などの吸着剤を用いて除去しなければならな
い。
【0005】更に、平滑剤を使うと、得られたスタンパ
にピット、応力が発生し易いなどの問題点がある。
【0006】このような問題点を解決する方法として、
電着の際、電着品の表面の平滑性に関わる基(例えば、
=C−SO−,−C三C−、>C=O、>C=C<
等)を含む物質をガス状にして補いながら行うことが考
えられている。しかし、この方法においても必ずしも充
分効果のある方法ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題を
解決し、特別な平滑剤は使用せず、電着により得られる
スタンパの裏面のRmaxを改善するとともに、スタン
パ断面の組織の制御も併せて行なう方法を提供すること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、電着を
実施する槽中に二酸化炭素を含んでなる気泡を導入しな
がら電着を行うことを特徴とする金属の電着方法に関す
るものである。
【0009】次に本発明を更に詳細に説明する。
【0010】例えば、スタンパ製造の際に実施する電着
は、通常、電着を実施する「本槽」、めっき液の組成等
を調節する「調整槽」からなる装置が用いられるが、本
発明においては、本槽に二酸化炭素を含んでなる気泡を
導入しながら電着を行うものである。この際、本槽に導
入する二酸化炭素を含んでなる気泡とは、二酸化炭素単
独ガスからなる気泡でも勿論よいが、二酸化炭素と窒素
等の不活性ガスとの混合ガスからなる気泡でもよい。し
かしながら、混合ガスからなる気泡を用いる方が、スタ
ンパの硬度並びに裏面粗さの制御が可能となるため効果
的である。これは、二酸化炭素中の炭素がニッケル中に
取り込まれて合金化する効果と、不活性ガスによってめ
っき液の濃度分極が抑制される効果とが相乗的に働くた
めと考えられるが、このような推論は、なんら本発明に
影響を与えるものでない。
【0011】本槽に導入する二酸化炭素の量は、ガス導
入のノズル形状によっても異なるが、素地(スタンパ電
着面)を細かい泡で洗う程度が良く、この量があまり少
なすぎるとスタンパ表面に吸着する水素ガスを飛散させ
追出すことができず、ピットの原因になる。通常は、電
着の浴200lに対して導入ガス0.1〜1.0l/s
ec程度である。又、ガス導入のノズル形状は、フィル
ター状、目皿状、単純な単管状、多数の穴を持つ管のい
ずれでも良い。二酸化炭素と窒素等の不活性ガスとの混
合ガスを用いる際の両ガスの割合は流量比で1:1〜1
0:1が好ましい。 本発明では、前記した二酸化炭素
を含んでなる気泡を電着の浴に導入すること以外の条件
は、通常の金属の電着の際の条件で良い。例えば、スル
ファミン酸ニッケル濃度:300〜600g/l、電鋳
時のpH:3〜5、めっき液の浴温:30〜80℃、陰
極電流密度:5〜25A/dmというような条件を提
示することができる。
【0012】
【発明の効果】本発明は、電着物表面の平滑性を改善す
る上で有効であり、又、電着物の物性を容易に制御する
ことができる方法であり、その工業的価値は高い。
【0013】
【実施例】
実施例1 図1に示した装置を用いて実施した。液化高純度二酸化
炭素(純度99.99%、露点−50℃)のボンベから
出た液化ガスは、ヒーター付きレギュレーターで加熱気
化され、更に0.1μmのガスフィルターを通してパー
ティクル状物を除去され、本槽1中へガス導入管2を経
て導入された。このガス導入管2はガス入口から次第に
穴の径が大きく開けられた吹き出し口(0.5〜2mm
φ)を持つものを用いた。この吹き出し口から、浴液の
溶液抵抗を極力乱さないようにしながら二酸化炭素をガ
ス泡3として噴出させた。被電着物は、カソード回転用
DCモーター5によって回転するカソード4に、二酸化
炭素のガス泡3がその表面に沿って移動するように設置
した。
【0014】浴液の組成と条件を次に示す。
【0015】 Ni(NHSO・4HO 400 g/l NiCl・6HO 4 g/l HBO 40 g/l pH 3.8 浴温 55 ℃ 本槽へのフィルタリング流量 20 l/分 カソード回転数 80 rpm 電着厚み 0.3 mm 陰極電流密度 15 A/dm 実施時間 1.5 時間 この様にして得られたスタンパの金属組織を図2に示
す。この図から、組織のカラム構造が細かくなっている
ことがわかる。又、円錐状の結晶成長は認められず、ス
タンパ裏面が明るく光沢を帯びていることがわかった。
【0016】比較例1 二酸化炭素バブリングを行わずに電着を実施して得られ
たスタンパの金属組織を図3に示す。このスタンパ裏面
の粗さは10〜15μmRmaxであり、ニッケルの成
長過程でパーティクルが組織にかみ、そのパーティクル
を種結晶として円錐状に結晶成長していることがわか
る。
【0017】実施例2 二酸化炭素の供給量を変化させた他は、実施例1と同様
に行った。結果を図4に示した。二酸化炭素の流量が1
kgf/cmのとき二酸化炭素流量は10l/分であ
った。二酸化炭素ガス圧力が高すぎると溶液抵抗が乱れ
てくるため、スタンパ裏面の平滑性は悪くなることがわ
かる。
【0018】実施例3 超高純度二酸化炭素の代わりに、二酸化炭素+窒素の混
合ガス(流量比1:1)を用いて同様の試験を行った。
結果を図5に示した。窒素が混入するとスタンパ裏面の
粗さは次第に粗くなる傾向があり組織的にはニッケルの
カラム径が大きくなることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた電着装置の概略を示す図であ
る。
【図2】実施例1で得られたスタンパの金属組織を示す
図である。
【図3】比較例1で得られたスタンパの金属組織を示す
図である。
【図4】実施例2において、二酸化炭素の供給量(圧
力)とスタンパ裏面の平滑性との関係を示す図である。
【図5】実施例3において、二酸化炭素ガスと窒素ガス
の流量比とスタンパ裏面平滑性との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:本槽 2:ガス導入管 3:ガス泡 4:カソード 5:カソード回転用DCモーター 6:めっき液吐出ノズル 7:イオウ含有ニッケルペレット電極

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電着を実施する槽中に二酸化炭素と不活
    性ガスとの混合ガスからなる気泡を導入しながら電着を
    行うことを特徴とする金属の電着法。
JP03180569A 1991-06-26 1991-06-26 金属の電着法 Expired - Fee Related JP3114253B2 (ja)

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