JP3114252B2 - 金属の電着方法 - Google Patents

金属の電着方法

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JP3114252B2 JP03180568A JP18056891A JP3114252B2 JP 3114252 B2 JP3114252 B2 JP 3114252B2 JP 03180568 A JP03180568 A JP 03180568A JP 18056891 A JP18056891 A JP 18056891A JP 3114252 B2 JP3114252 B2 JP 3114252B2
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眞吉 橋本
信 平瀬
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  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改良された金属の電着
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気めっきにより得られる電着物
(あるいは品物)の表面に、光沢あるいは平滑性を付与
する手段として、めっき液に、光沢剤、例えば、サッカ
リン、1,5−ナフタリンジスルホン酸ナトリウム、
1,3,6−ナフタレントリスルホン酸ナトリウム、パ
ラトルエンスルホンアミドなどの、>C−SO−で現
される官能基を有する化合物、および二次光沢剤として
カドミウム、タリウムなどの金属イオン、クマリン、2
−ブチン−1,4−ジオール、エチレンシアンヒドリ
ン、プロパギルアルコール、ホルムアルデヒド、チオ尿
素、キノリン、ピリジンなどの不飽和有機化合物を添加
して実施されててきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法は、一応
の効果は得られるものの、効力の持続時間が短いこと、
効力を失った後で、光沢剤がめっき液中で不純物化する
点、および光沢剤が電着物の応力を増大させる点などが
問題になっていた。
【0004】更に、電着の際の陰極電流密度を上げて短
時間で電着を行うと、得られた電着物の表面の平滑性が
失われ、生産性を向上させることができなかった。
【0005】そこで、本発明は、このような諸問題を克
服した電着方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電着金属
の塩基性塩、例えば、塩基性炭酸ニッケル(NiCO
・2Ni(OH)・4HO)の電着時における電着
物表面の平滑化作用に着目し、種々の試験を繰り返した
結果、金属を電気めっきする際の、この塩基性塩の使用
量と電着物表面(素地とは反対側の表面)の粗さとの関
係、同じく電着物の応力との関係、めっき浴におけるp
Hと塩基性塩添加の時期等の諸条件につき各種の知見を
得、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、電着を実施する浴のpH
を、酸を用いて電着時のpHより低下させ、次いで電着
金属の塩基性塩を用いて電着時のpHに調節した浴を用
いて電着を実施することを特徴とする金属の電着方法に
関するものである。
【0008】次に本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の電着の対象としては、コバルト、
クロム、ニッケルその他ほとんどの金属浴に対して有効
である。本発明で用いられる浴は、電着の対象となる金
属イオンを含む浴であるが、本発明ではこの浴のpH
を、一旦適切な酸を用いて低下させた後、電着の対象と
なる金属の塩基性塩を用いて浴のpHを所定のpHに調
整したものを用いることが特徴である。
【0010】浴のpHを低下させるのに用いる酸は、有
機酸、無機酸のいずれでもよいが、浴として用いる金属
塩を構成する酸を使用することが望ましい。例えば、ス
ルファミン酸ニッケル溶液を浴として用いたニッケルの
電着においては、スルファミン酸を用いることが好まし
い態様である。又、pHは1〜2程度まで低下させれば
よい。
【0011】酸の添加温度としては、30〜80℃、好
ましくは50〜60℃がよく、添加方法としては、水溶
液であっても固体のままであってもよく、又、一度に添
加しても分割して添加してもよい。しかしながら、取扱
いの点から、浴の液組成を大きく変えない範囲で水溶液
として分割添加する方法が好ましい。
【0012】一旦低下させた浴のpHを、次いで電着の
際のpH4〜5に戻すが、その際、電着金属の塩基性塩
を用いて浴のpHを調節する。
【0013】例えば、ニッケルイオンを含む浴を用いた
電着の場合、塩基性炭酸ニッケルを前記pHの調節剤と
して使用することが好ましい。その使用量は1〜3g/
lであれば、電着物の表面粗さは3μm前後を維持でき
る。この使用量が3g/lを越えると塩基性炭酸ニッケ
ルが沈殿して、浴のろ過の妨げとなる場合がある。ま
た、塩基性炭酸ニッケル投入後、コンディショニングを
行う(例えば炭酸ニッケルを用いた場合約1〜3時間保
持する)ことが好ましい。
【0014】このように処理した浴を用いて、一般的な
条件、例えば、スルファミン酸ニッケル濃度:300〜
600g/l、電鋳時のpH:3〜5、めっき浴の浴
温:30〜80℃、陰極電流密度:5〜25A/dm
にて電着を行うことができる。
【0015】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、応力のな
い、表面の平坦な電着物が得られる。又、浴液中での不
純物の発生もなく、その工業的価値は高い。
【0016】
【実施例】次に実施例で更に説明する。
【0017】実施例1〜5 図1に示したニッケルスタンパ電着装置を用いた。調整
槽2は、めっき液のpH、温度などを管理するためのも
のである。調整槽2から循環ポンプ4によってめっき液
は、フィルター部3を通り微細なパーティクルが除去さ
れた後、本槽1に入る。本槽1においてスタンパが電鋳
される。めっき液の濃度分極を防ぐため、めっき液は、
調整槽2→循環ポンプ4→フィルター部3→本槽1→調
整槽2と循環させる。
【0018】ガラス原盤は両面を1オングストロームR
max(Maximumroughness dept
h:測定範囲における山・谷間距離の最大値)まで光学
研磨したものを用いた。これにフォトレジストをスピン
コートした後、レーザーカットし、純ニッケルを厚さ約
500〜1000オングストロームまでスパッタして電
極とした。スルファミン酸ニッケル浴の組成と電着条件
は次の通りである。
【0019】 Ni(NHSO・4HO 400 g/l NiCl・6HO 4 g/l HBO 40 g/l pH 4 浴温 55 ℃ 全スルファミン酸ニッケル液量 400 l 本槽へのフィルタリング流量 20 l/分 カソードの回転数 80 rpm スタンパ膜厚 0.3 mm 時間 1.5 時間 陰極電流密度 15 A/dm まず浴のpHを10%スルファミン酸水溶液で、表1に
示すpHまで下げて、次に表1に示す量の塩基性炭酸ニ
ッケルを投入した。塩基性炭酸ニッケルは調整槽2にて
少しずつ溶かし、これが全部溶けてからの安定化時間を
3時間おいた。炭酸ニッケルの効果は約8時間持続し
た。
【0020】添加した塩基性炭酸ニッケル量とスタンパ
裏面の粗さとの関係を図2に示す。塩基性炭酸ニッケル
を500g投入したとき、スタンパ裏面の粗さは3μm
であり、この面は1回の研磨で鏡面となった。なお、塩
基性炭酸ニッケル500gの添加は、スルファミン酸ニ
ッケルとして換算すると0.6g/lの濃度上昇に相当
し、ニッケル濃度の変動としては小さい。従って、陰極
電流密度の増加も小さく、電着物の応力への影響は少な
かった。
【0021】なお、本発明の方法を行わないで得られた
スタンパの金属組織を、図3として示す。又、塩基性炭
酸ニッケルを500g(その濃度として1.3g/l)
投入した後、電鋳して得られたスタンパの金属組織を、
図4として示す。ニッケルのカラム構造は図4に示した
ほうがはるかに微細であり、スタンパ裏面の平滑度も優
れていることがわかる。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いたスタンパ電着装置の概
略を示す図である。
【図2】炭酸ニッケル量とスタンパ裏面の平滑性との関
係を示す図である。
【図3】従来の方法により得られたスタンパの金属組織
を、図3として示す。
【図4】実施例5で得られたスタンパの金属組織を示す
図である。
【符号の説明】
1:本槽 2:調整槽 3:フィルター部 4:循環ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−149793(JP,A) 特開 昭63−270492(JP,A) 特開 昭57−171700(JP,A) 特開 昭59−80789(JP,A) 特開 昭56−25990(JP,A) 特公 昭58−13639(JP,B2) 特公 昭51−18370(JP,B1) 特公 昭49−5816(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/00 - 7/12 C25D 21/00 - 21/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電着を実施する浴のpHを、酸を用いて
    一旦1〜2に低下さ、次いで電着金属の塩基性塩を
    て電着時のpHに調節した後、所定時間保持するコン
    ディショニングを行った浴を用いて電着を実施すること
    を特徴とする金属の電着方法。
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