JP3113401B2 - 広帯域増幅器 - Google Patents
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Description
帯域の入力増幅段に使用される広帯域増幅器に係り、特
に素子の特性のばらつきや温度変化によるドリフトの影
響を補償できる広帯域増幅器に関する。
計測器に使用される広帯域増幅器は、直流から高周波数
に及ぶ広周波数帯域信号を低ドリフトで増幅する必要が
ある。特に、オシロスコープ等の垂直入力回路に使用す
る場合は、被測定信号源への負荷効果を軽減するため高
入力インピィーダンスであり、且つ後段増幅器を広帯域
化するために低出力インピィーダンスである広帯域増幅
器が必要である。さらに、素子の特性のばらつきまたは
温度変化によるドリフトの小さいことが安定な広帯域増
幅器を実現するために要求されている。
報、実公昭61−15622号公報に開示された発明の
ように、入力信号を高周波信号成分及び低周波信号成分
に分けて増幅し、増幅後の両信号を加算する方式が知ら
れている。この方式は低周波信号と高周波信号を分離し
てそれぞれ別個の増幅器で増幅することにより安定した
広帯域の増幅を得るものである。しかし、この方式にお
いて使用される電界効果トランジスタに対しては自己バ
イアスを印加しなければならず、この自己バイアス用の
抵抗は高い抵抗値を必要とし、このため該抵抗に熱雑音
が発生して出力波形がひずむという問題があった。
3−15764号公報に開示されているように、ソース
ホロワの電界効果トランジスタを使用し、しかも素子の
特性のばらつきによる影響および周囲温度の変動による
ドリフトに対して安定性がある広帯域増幅器が知られて
いる。この広帯域増幅器を図5を参照して簡単に説明す
る。図5において、電界効果トランジスタ31のゲート
及びドレインはそれぞれ入力端子32及び正電圧源に接
続し、ソースはバイポーラ・トランジスタ33および抵
抗34からなる定電流源を介して負電圧源に接続されて
いる。電界効果トランジスタ31のソースは更にトラン
ジスタ35のベースに接続されている。入力端子32に
設けられた分圧器36と出力側に設けられた分圧器37
はほぼ等しい分圧比を持ち、分圧された入力信号および
出力信号は演算増幅器38に供給される。演算増幅器3
8の誤差信号は抵抗器およびコンデンサからなる低域フ
ィルタ39を介してトランジスタ33のベースに供給さ
れる。
入力信号は電界効果トランジスタ31およびトランジス
タ35を有する広帯域増幅器によって増幅される(増幅
度は略1)。前入力分圧器36、出力分圧器37及び演
算増幅器38を含む信号路によって、低周波における広
帯域増幅器の回路の安定化と精度が維持される。演算増
幅器38は入力分圧器36からの信号の一部と、出力分
圧器37からの出力信号の一部分を比較し、誤差信号を
トランジスタ33のベースに印加する。電界効果トラン
ジスタ31のゲート・ソース電圧Vgsあるいはトランジ
スタ33のベース・エミッタ電圧VBEが動作条件の相違
により変化して出力電圧が入力電圧と異なると、演算増
幅器38の出力信号の一部が演算増幅器38に帰還し、
出力及び入力電圧の相違は、高利得の演算増幅器38お
よび電流源トランジスタ33により自動的に修正され
る。つまり、出力電圧は、Vgs及びVBEの変化にかかわ
らず自動的に入力電圧に等しくなるように修正される。
器は低周波帯域の回路安定化をドレイン電流Idを変え
てソースホロワの電界効果トランジスタ31のゲート・
ソース電圧Vgsを変化させることにより実現している。
従って、自己バイアス用の抵抗を必要とせず熱雑音によ
る問題は生じない。しかし、トランジスタ33に流れる
エミッタ電流、換言すれば電界効果トランジスタ31の
ドレイン電流Idが変動することより電界効果トランジ
スタ31の伝達特性の相互コンダクタンスgmが変化す
る。相互コンダクタンスgmが変わることによりソース
・ホロワの電界効果トランジスタ31の高周波帯域の増
幅特性に影響を及ぼすことになる。
リフトなどを補正する機能を有し、しかも高周波帯域に
おける増幅特性を劣化させることのない広帯域増幅器を
提供することである。
は、入力端子に接続されたソースホロウの電界効果トラ
ンジスタと、該電界効果トランジスタのソース側に接続
されて一定のソース電流を流すための定電流源と、該定
電流源に出力端を前記電界効果トランジスタのソースに
入力端を接続されて印加される制御電圧の大きさに従っ
て抵抗を変える電圧可変抵抗素子と、該電圧可変抵抗素
子の出力端の電圧信号が供給される出力側トランジスタ
と、該出力側トランジスタの出力検出電圧と前記入力端
子の入力検出電圧との誤差を前記電圧可変抵抗素子への
制御電圧として印加する電圧制御手段と、前記電圧可変
抵抗素子の出力端の電圧信号を増幅して前記出力側トラ
ンジスタに与える可変利得増幅器と、前記出力側トラン
ジスタの出力検出電圧レベルを前記可変利得増幅器の利
得の切換えと連動して調整する出力電圧調整手段とを備
え、前記入力検出電圧と出力検出電圧がほぼ等しくなる
ように制御される。
は前記電界効果トランジスタの入力端に接続された分圧
抵抗によって成生され、前記出力検出電圧は前記出力側
トランジスタの出力端に接続された分圧抵抗によって成
生される。
ランジスタの入力端の入力検出信号と出力側トランジス
タの出力検出信号の誤差に比例した制御電圧を電圧可変
抵抗素子に出力する。該電圧可変抵抗素子は制御電圧に
従ってその抵抗値を変化するものの、該素子へと流れる
電界効果トランジスタからのソース電流は一定に維持さ
れる。この結果、出力側トランジスタに印加されるベー
ス電圧は電圧可変抵抗素子の変化に従って変動し、該ト
ランジスタの出力電圧が前記誤差に応じて変動し、入力
検出電圧と出力検出電圧が等しくなるように調整され
る。
号を出力側トランジスタへ印加する前に可変利得増幅手
段によって増幅するとともに、電圧制御手段に帰還され
る出力検出信号の検出レベルを調整することにより出力
側トランジスタの出力信号のレベルが調整される。
している。図1において破線によって示すように、広帯
域増幅器は大略、高入力インピーダンス部Aと、低出力
インピーダンス部Bと、補償回路部Cとから構成されて
いる。高入力インピーダンス部Aはソース・ホロワの電
界効果トランジスタ1からなり、この電界効果トランジ
スタ1のゲート端子(入力端子Ti)には入力信号が入
力する。この電界効果トランジスタ1のソース端子には
可変抵抗部2と定電流源3が順次直列接続されている。
定電流源3は、一定の電流を常時に流す周知の回路構成
をとることができる。可変抵抗部2の出力端と定電流源
3の入力端の接続点にはpnpトランジスタ4のベース
が接続されている。pnpトランジスタ4のコレクタは
負の電圧が印加され、そのエミッタにはnpnトランジ
スタ5のベースが接続されるとともに抵抗R1を介して
正の電源に接続されている。pnpトランジスタ4は、
npnトランジスタ5のベースに印加されるバイアス電
圧Vbe2のレベルを調整するものである。npnトラン
ジスタ5のコレクタは正の電源に接続され、そのエミッ
タ端子は抵抗R2を介して負の電源に接続されると共に
出力端子Toとしてそこから出力電圧が取り出される。
前記低出力インピーダンス部Bは主にpnpトランジス
タ4とnpnトランジスタ5とから構成されている。
抗R3とR4とが直列接続されている。この分圧抵抗R3
とR4の中間接続点から出力検出電圧が取出され、演算
差動増幅器6の負側入力端に与えられる。一方、前記入
力端子Tiとグランドとの間には分圧抵抗R5とR6が接
続されている。この分圧抵抗R5とR6の中間接続点から
入力検出電圧が取出され、演算差動増幅器6の正側入力
端に与えられる。演算差動増幅器6は両検出電圧の差を
増幅して抵抗R7を介して可変抵抗部2に制御電圧を印
加する。演算差動増幅器6にはコンデンサC1が接続さ
れて主に低周波数成分の増幅が行われる。前記補償回路
部Cは主に可変抵抗部2と、定電流源3と、分圧抵抗R
3およびR4と、分圧抵抗R5およびR6と、そして演算差
動増幅器6とから構成されている。
21と、この電界効果トランジスタ21のソースとドレ
イン間に並列接続された抵抗R8とコンデンサC2とから
なっている。抵抗R8は、電界効果トランジスタ1のド
レイン電流を定電流源3へ流すために、電界効果トラン
ジスタ21のチャンネル抵抗RDSと分流する分流抵抗で
ある。また、コンデンサC2は高周波信号を通過させる
ために高周波特性補償用に設けられている。電界効果ト
ランジスタ21のゲートには前記演算差動増幅器6から
の制御電圧が印加される。図2は、電界効果トランジス
タ21のゲート・ソース間の電圧VGSとドレイン・ソー
ス間の抵抗RDSの関係の一例を示し、ゲート・ソース間
電圧VGSが増加するとチャンネルの抵抗RDSが増加する
ことを示している。しかして、電界効果トランジスタ2
1のゲートに制御電圧が印加されると、該制御電圧の変
動に従ってゲート・ソース間電圧VGSも変動する結果、
その抵抗RDSも変動する。このように電界効果トランジ
スタは21は制御電圧によりソース・ドレイン間抵抗を
変える電圧制御可変抵抗素子として動作する。
いて説明する。説明の都合上、可変抵抗部2を制御電圧
によってその抵抗値を変化させる可変抵抗素子Rに置き
換えることにする。入力端子Tiに印加する入力電圧を
Viとし、このとき電界効果トランジスタ1のゲート・
ソース間電圧をVgsとする。このゲート・ソース間電圧
Vgsは温度に依存するドレイン電流とピンチオフ電圧に
よって決定される。定電流源3の存在により入力電圧V
iのレベルの如何にかかわらず電界効果トランジスタ1
のドレイン電流Id、即ち定電流源3に流入する電流は
一定であるから電界効果トランジスタ1のソース端子と
定電流源3の入力端の間にはR・Idの電圧降下が生じ
る。従って、pnpトランジスタ4のベースには(Vi
−Vgs−R・Id)の電圧が印加されることになる。こ
の時、pnpトランジスタ4のベース・エミッタ間の電
圧をVbe1と、npnトランジスタ5のベース・エミッ
タ間の電圧をVbe2と、出力端子Toの出力電圧をVoと
それぞれ仮定すると、出力電圧Voは(1)式によって
表すことができる。
要因としてVgs、Vbe1およびVbe2が存在する。そこ
で、(1)式より次の(2)式を得る。
るドリフトを打ち消すことができる。(2)式は次の
(3)式に変形される。
チャンネル抵抗RDSと抵抗R8の合成抵抗であるから、
次の(4)式により表される。
した場合、抵抗R8を適当に選択し、図2に示すように
電界効果トランジスタ21のゲート・ソース間電圧を制
御することにより、チャンネル抵抗RDSを変化させて
(5)式を満足するようにすれば、出力電圧VOは入力
電圧Viと常に等しくなる。
リフトが現れると、このドリフトに従って出力検出電圧
が変動し、差動増幅器6により入力検出電圧との誤差が
増幅されて制御電圧として電界効果トランジスタ21の
ゲートに印加される。この制御電圧の変化に従って上述
したようにソース・ドレイン間の抵抗RDSが変化する。
電界効果トランジスタ1のドレイン電流Idは抵抗RDS
の変化と無関係に一定に保持されるから、抵抗RDSの変
化に従ってpnpトランジスタ4のベース電圧が変化
し、この結果、pnpトランジスタ4およびnpnトラ
ンジスタ5のベース・エミッタ電圧Vbe1およびVbe2が
変化して出力電圧VOのドリフトを消滅させる。このよ
うに、補償回路部Cは、入力検出電圧と出力検出電圧が
常に一致するように動作するため、出力電圧VOにはド
リフトが生じない。さらに、電界効果トランジスタ1の
ドレイン電流Idは常に一定値に保持されているから、
電界効果トランジスタ1の相互コンダクタンスもほぼ一
定に保持されて動作点が変動して出力波形が歪む等の不
都合はない。
可変抵抗部2に設けられる可変抵抗素子として電界効果
トランジスタ21を使用したが、電界効果トランジスタ
21に変えて図3に示すようにCdSオプト・アイソレ
ータ24を使用しても良い。図3の実施例においては、
差動増幅器6から出力される制御電圧はCdSオプト・
アイソレータ24のフォトダイオード241に印加され
る。フォトダイオード241から制御電圧に比例した強
度の光が出力されてCdS242に照射され、抵抗値を
光強度に従って変化させる。この結果、CdSオプト・
アイソレータ24は可変抵抗素子として機能し、流入す
るドレイン電流Idにより電圧降下R・Id(Rは可変
抵抗部2の等価抵抗)を生じる。なお、可変抵抗部2以
外の構成および動作は図1の場合と同様であるので説明
は省略する。
同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。図4
の広帯域増幅器と図1の構成との相違は、可変抵抗部2
と定電流源3との中間接続点と低出力インピィーダンス
部Bとの間に可変増幅部Dを接続したことである。可変
増幅部Dは利得の変化可能な演算増幅器7から構成され
ている。低出力インピィーダンス部Bはnpnトランジ
スタ5のみよって構成され、該トランジスタ5のベース
に直接、演算増幅器7の出力が印加される。演算増幅器
7には利得を決定するための抵抗R11が接続され、さら
に連動スイッチ8が投入されると抵抗R12が抵抗R11に
並列接続される。また、連動スイッチ8が投入されると
出力側の分圧抵抗R4と並列に分圧抵抗R9が接続される
ように構成されている。この例では連動スイッチ8が開
放されている状態では演算増幅器7の利得は2であるが
連動スイッチ8が投入されるとその利得が10に設定さ
れる。図4の広帯域増幅器においてその入力電圧Viと
出力電圧VOの関係は、演算増幅器7の利得をGとする
と、次の(6)式により表される。
フト要因としてVgs、Vbe2およびGが存在する。そこ
で、(6)式より(7)式を得る。
るドリフトを打ち消すことができる。(7)式を変形し
て(8)式を得る。
1のゲート・ソース間電圧を制御することにより、チャ
ンネル抵抗RDSを変化させて(9)式を満足するように
すれば入力電圧Viと出力電圧VOを等しくすることがで
きる。図4の場合も電界効果トランジスタ1のドレイン
電流Idは常に一定であるからその相互コンダクタンス
も一定になり、出力電圧の歪みは生じない。なお、連動
スイッチ投入時の出力検出電圧は、R4をR4・R9/
(R4+R9)に置換することにより得ることができる。
使用されるソースホロワの電界効果トランジスタに流れ
るドレイン電流を常に一定に維持できるように構成した
ので、該電界効果トランジスタの相互コンダクタンスを
ほぼ一定値に保持することができ、このため広帯域増幅
器の増幅特性が劣化することがない。さらに、周囲温度
変化などにより生じる出力電圧のドリフトは自動的に補
償され、素子の特性のばらつきや温度による動作点の変
化に影響されることのない安定した増幅を実現すること
ができる。特に本発明は、増幅特性に極めて安定性があ
るため、直流からほぼ250MHzの周波数帯域の信号
を測定するオシロスコープの初段の増幅器として最適で
ある。
続した場合でもドリフトの少ない増幅器を実現できる。
特に、オシロスコープの入力増幅段に使用することによ
り垂直軸感度を容易に切り替えることができる。
図。
ドレイン・ソース間抵抗の関係を示す特性図。
別の実施例を示す図。
構成図。
部 B 低出力インピーダンス
部 C 補償回路部 D 可変増幅部
Claims (2)
- 【請求項1】 入力端子に接続されたソースホロウの電
界効果トランジスタと、該電界効果トランジスタのソー
ス側に接続されて一定のソース電流を流すための定電流
源と、該定電流源に出力端を前記電界効果トランジスタ
のソースに入力端を接続されて印加される制御電圧の大
きさに従って抵抗を変える電圧可変抵抗素子と、該電圧
可変抵抗素子の出力端の電圧信号が供給される出力側ト
ランジスタと、該出力側トランジスタの出力検出電圧と
前記入力端子の入力検出電圧との誤差を前記電圧可変抵
抗素子への制御電圧として印加する電圧制御手段と、前
記電圧可変抵抗素子の出力端の電圧信号を増幅して前記
出力側トランジスタに与える可変利得増幅器と、前記出
力側トランジスタの出力検出電圧レベルを前記可変利得
増幅器の利得の切換えと連動して調整する出力電圧調整
手段とを備え、前記入力検出電圧と出力検出電圧がほぼ
等しくなるように制御されることを特徴とする広帯域増
幅器。 - 【請求項2】 前記入力検出電圧は前記電界効果トラン
ジスタの入力端に接続された分圧抵抗によって成生さ
れ、前記出力検出電圧は前記出力側トランジスタの出力
端に接続された分圧抵抗によって成生されることを特徴
とする請求項1に記載の広帯域増幅器。
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