JP3110559B2 - 表面改質プラスチックフィルムおよびコンデンサ - Google Patents

表面改質プラスチックフィルムおよびコンデンサ

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JP3110559B2
JP3110559B2 JP04175185A JP17518592A JP3110559B2 JP 3110559 B2 JP3110559 B2 JP 3110559B2 JP 04175185 A JP04175185 A JP 04175185A JP 17518592 A JP17518592 A JP 17518592A JP 3110559 B2 JP3110559 B2 JP 3110559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐湿性が要求される
電子機器および電気機器に使用される表面改質プラスチ
ックフィルムコンデンサとそれに用いられる表面改質プ
ラスチックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、屋外で使用される電子機器及び電
気機器が急速な伸びを示し、屋外で使用できる電子部品
に関する需要は極めて高い。そのため、使用される電子
部品にも特性上とりわけ耐湿性に関して特に厳しい要求
が増えている。
【0003】以下に、従来のプラスチックフィルムおよ
びプラスチックフィルムコンデンサの製造方法について
説明する。
【0004】従来のプラスチックフィルムは、プラスチ
ックの原料となる熱可塑性樹脂、たとえばポリエチレン
テレフタレート(以下PETと省略する)等のチップを
加熱溶融させ隙間が狭く幅広い口金のノズルより連続し
て押し出し、まず長さ方向に延伸しついで幅方向に延伸
し、熱処理を行い厚さ1.0〜15μmのコンデンサ用
のプラスチックフィルムが製造されていた。
【0005】このようにして製造されたプラスチックフ
ィルム(以下フィルムと省略する)を用い、以下に従来
のプラスチックフィルムコンデンサ(以下コンデンサと
省略する)の製造方法を図4に基づいて説明する。
【0006】図4において、まず材質がPET等である
ベースフィルム41上に、対向電極側との絶縁を図るた
めのためのマージン部42、43を設けながらアルミニ
ウムを真空蒸着し蒸着電極44と蒸着電極45とを形成
し、メタライズドフィルムを得る。次に、このメタライ
ズドフィルムとそれよりもすこし幅を狭くした未蒸着の
プラスチックフィルム46とを重ね、断面が円形となる
ように作られた一対の細い棒の間に挟んで固定し、所定
の静電容量となるまで巻回した後に、ベースフィルム4
1のみを切断して、プラスチックフィルム46のみを数
層巻き取った後、最外周をヒートシールし巻回素子を作
成する。この後、細い棒を抜き取り、巻回素子の側面を
挟むようにしてホットプレスを行い固め、この偏平とな
った巻回素子の両端面部であるメタライズドフィルムの
ずらされ突き出た一対の端面に、亜鉛と錫を主成分とし
た合金を溶射して電極引出層47、48を形成した後、
高温で長時間加熱し、熱処理を行う。そして、半田メッ
キされたリード線49、50を電極引出層47、48の
上に溶接し、コンデンサ素子とした後、外装51のピン
ホール防止のため、液状のエポキシ樹脂をコンデンサ素
子のリード線以外の部分に大気中で塗布し一旦加熱硬化
を行い、次に粉末状のエポキシ樹脂を付着させ、加熱し
溶融することにより表面の凹凸をなくし、さらに加熱し
硬化させ最小厚さが0.8mmの外装51を形成し、プ
ラスチックフィルムコンデンサを製造していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
コンデンサは、エポキシ樹脂により十分な厚みで外装さ
れているにもかかわらず、蒸着電極がアルミニウムのた
め湿気に弱く、温度が60℃で相対湿度が95%の雰囲
気で通電試験を実施した場合、1000時間放置すると
蒸着電極の腐食が生じ、静電容量が大幅に低下し、中に
は初期値の5%に満たないものもあるという不都合を有
していた。
【0008】この対策方法としては低粘度のエポキシ樹
脂を大気下で塗布する代わりに、減圧下で処理し、大気
圧との圧力差でコンデンサ素子の内部奥深くまで樹脂を
浸透させる方法や蒸着電極をアルミニウムからニッケル
チタン合金やニッケルクロム合金に代える方法がある。
しかし、前者の方法ではこの低粘度のエポキシ樹脂が減
圧下で発泡し、リード線に付着して、プリント配線板に
半田付けする際に半田が付かない重大な不良を招きやす
く、プラスチックフィルムコンデンサに特有の過電圧が
加わった場合の自己回復作用を弱める働きがあるため、
安全のため薄いフィルムが使えなくなり、その結果大型
化し、コストも増すため非常に使い難いものとなってい
た。また後者の方法では蒸着電極の抵抗値が一桁以上高
いため、コンデンサ損失角が高く、またそのためコンデ
ンサの発熱も大きいため、定格電圧を下げたり、通電電
流量を下げる必要が生じ、さらに蒸着材料自体が高価な
ためコスト増につながり、同様に非常に使いにくいもの
となっていた。
【0009】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、フィルムとアルミニウムを真空蒸着して得た蒸着電
極との耐水接着力と60℃耐湿性との間に相関関係があ
ることを見出だし、高耐湿性のプラスチックフィルムお
よびプラスチックフィルムコンデンサを提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、芳香族ポリウレタン側鎖にスルホン酸基を導入し
たポリウレタンとからなる水系塗料を、プラスチックフ
ィルムの少なくとも一方の面に、塗布し乾燥して表面改
質層を形成して表面改質プラスチックフィルムを製造
し、その表面改質プラスチックフィルムを用いて表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造する。
【0011】
【作用】コンデンサに用いられるメタライズドフィルム
は、一般にPETの片面あるいは両面にアルミニウムを
真空蒸着し蒸着電極を形成したものである。このメタラ
イズドフィルムを用いた静電容量が0.1μFのコンデ
ンサに、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気下で、フ
ィルムの厚みに対し70V/μmに相当する直流電圧を
印加すると、蒸着電極の腐食が進行し、吸湿により一旦
増加した静電容量値が400〜600時間で吸湿前の値
まで低下し、その後急激に下がりほとんど零となる。
【0012】一般に、アルミニウムの真空蒸着膜の表面
には厚さ6nmの酸化アルミニウム層が自然酸化により
形成されていると言われている。現在、幅が300mm
で長さが10000mのフィルムにアルミニウムを高周
波誘導加熱方式で真空蒸着する大型の半連続真空蒸着装
置を用いて得たメタライズドフィルムの表面を深さ方向
に分析すると、しばしばその表面の酸化アルミニウムの
厚さが、アルミニウムの空気に触れる側とPETと接着
した側では異なり、PETと接着した側では約半分とい
う結果が得られた。
【0013】次に、PETに対する蒸着膜の接着力は一
般に大気中で測定されることが多く、この場合は強く接
着しており、容易には剥離しない。しかし、耐湿性が低
いという観点から、湿気と極端に関わった状態である水
中での剥離強度(以下水中剥離強度と省略する)を調べ
ると、数g/mmの極めて低い荷重で容易に完全に剥離
することが分かった。一般に温度60℃、相対湿度95
%の雰囲気下での通電試験を60℃耐湿負荷試験と呼ぶ
が、その実験方法は、温度60℃、相対湿度95%の恒
温恒湿槽中にコンデンサを置き、被覆導線を用い外部の
定電圧電源から通電する方法である。制御時に生ずる僅
かな温度と湿度の変化や、界面での毛細管凝縮等により
結露することが十分に考えられ、そのため、コンデンサ
の製造過程でホットプレスや高温長時間の熱処理によ
り、強く接着し固化したコンデンサ素子内部のアルミニ
ウムの蒸着電極とフィルム側との剥離強度が低下し、前
記の現象により剥離することが考えられる。その結果、
露出した側の約半分の厚みの酸化アルミニウム層が、陽
極側ではその厚みが徐々に増すだけであるが、陰極側で
は酸化アルミニウム層がアルミン酸となり徐々に溶解
し、その溶解の完了と共にアルミニウムが直接、電気と
無関係に湿気と反応するため、腐食時間が大きく異な
る。そして、同時にアルミニウムと湿気と急激な反応を
生じた結果、短時間に多量の水素ガスを放出する。その
内部の圧力増加が層間剥離の原因となり、さらに蒸着電
極の剥離を招き、際限無く腐食が続くこととなり、コン
デンサの静電容量は時間と共にますます低下する現象を
引き起こすと考えられる。
【0014】以上のことから、アルミニウムの蒸着電極
の弱点である、フィルム側の厚みの薄い酸化アルミニウ
ム層の露出を防止し保護する方法に、前記耐水接着力の
高い別の樹脂をPET等のフィルムの表面に塗布するこ
とが考えられる。以下、このフィルムの表面の塗布され
た別の樹脂層を表面改質層と呼び、表面改質層を形成し
たフィルムを表面改質プラスチックフィルムと呼ぶこと
にする。
【0015】次に、この表面改質層の塗布方法は、フィ
ルムを製造する途中で行う方法と、フィルムを製造した
後に別に行う方法の二通りある。ここで塗布後の乾燥に
要するコストを節約するためには前者の工法が都合良
い。また、塗布するための塗料は、有機溶剤のみでは防
爆構造が必要となるためコストにやはり負担がかかり、
水系塗料が好ましい。さらにコーティング方法として
は、リバースロールコーター、グラビアロールコータ
ー、ロッドコーター、エアドクターコーター等の装置が
あるが、設置場所をとらないという条件ではダイコータ
ーが優れており、この場合、水系塗料を片面あるいは両
面に同時または逐次塗布することになり、実際の塗布は
同時二軸延伸の場合は、熱可塑性樹脂シートを形成した
直後に塗布することとなり、逐次二軸延伸の場合は、普
通は長さ方向の延伸が済んだ後に塗布される。
【0016】ところで、本発明者等による特願平2−3
19061号において、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポ
リエステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸、ポリアミドの中から少なくとも
1種類を表面改質層として用いることで、フィルムの厚
みに対して40V/μmに相当する直流電圧を印加した
場合、耐湿性が向上することを明らかにした。これらの
樹脂の水系塗料は一般的に熱変形温度が40℃前後と低
いが、2倍以上の延伸性に富む特徴があった。しかし、
一般にフィルムの一定の厚みに対して印加される直流電
圧を増す程、寿命時間は逆に短くなり、これは表面改質
プラスチックフィルムでも同様である。この原因は、水
素イオンあるいは水酸イオンの移動量が増すためと、耐
水接着力の優劣の差が生じたためと考えられる。以上の
事実に鑑み本発明では、前記2倍以上の延伸性に富む材
料として特願平2−319061号に示した材料も使え
るがさらに耐水接着性を改良した樹脂を用い、さらに耐
水接着性は優れながら延伸性が悪いために亀裂が広がり
現象的に耐湿性が悪いと判断されてきた材料の中で熱変
形温度が45℃を越えた樹脂とを混合して使用すること
により、いずれの樹脂を単独で使用するよりも遥かに優
れた60℃耐湿負荷特性が得られることを見出したもの
である。
【0017】また、表面改質剤と蒸着電極との耐水接着
力を求める時、しばしば表面改質剤層自身の破断強度や
PET等のフィルムとの剥離強度を越えるため、正確な
値を評価することができないことが分かった。そこで、
本発明では実際に表面改質プラスチックフィルムを作
り、コンデンサを試作し、その結果、フィルムの厚みに
対して70V/μmに相当する直流電圧を印加した場合
でも、静電容量の低下を抑えられる材料を見出だしたも
のである。
【0018】従って、本発明の表面改質プラスチックフ
ィルムは次のようにして製造される。即ち、熱可塑性樹
脂と滑剤を混合し、加熱溶融させ隙間が狭く幅広い口金
の単数もしくは複数のノズルより連続して押し出して熱
可塑性樹脂シートを得る。次に、これを長さ方向に延伸
した後、水溶液または水分散体とされた水系塗料を、前
記熱可塑性樹脂シートの一方の面に、または同時にある
いは逐次に両方の面に塗布し、そのまま加熱されて乾燥
と同時に幅方向に延伸される。そして、熱処理を加えら
れ厚さが0.03〜0.3μmの表面改質層を片面ある
いは両面に有する総厚さが1.0〜15μmの表面改質
プラスチックフィルムが製造される。
【0019】ここで、熱可塑性樹脂シートはPET以外
に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−
シクロヘキシレンジメタノールやそれらの誘導体等のジ
オールと、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタレー
ト、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸やそれらの
誘導体等のジカルボン酸との中から少なくとも一種類ず
つのジオールとジカルボン酸から縮合されたポリエステ
ルや、ポリプロピレン、ポリp−フェニレンサルファイ
ド、ポリ4,4’−ベンゾフェノンオキサイド、ポリ
4,4’−ベンゾフェノンオキシp−フェニレンオキサ
イド、ポリ4,4’−ベンゾフェノンp−フェニレンオ
キサイド等の熱可塑性樹脂を単独あるいは混合してな
る、単層または複数層から構成される。また前記熱可塑
性樹脂シートと前記水系樹脂との濡れ性に欠ける場合は
表面にコロナ処理等の親水処理が施される。そして、前
記熱可塑性樹脂中には滑剤としてフィルム表面に突起を
形成する添加粒子、析出粒子、その他の触媒残渣やそれ
以外に必要に応じて帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋
剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮
蔽剤、紫外線吸収剤などを耐圧、誘電体損失角、吸水率
がそれぞれの値に対し20%以上劣化しない範囲で加え
ても良い。
【0020】次に、本発明の水系塗料について、前述の
ように耐水接着性が良くなければならないが、2倍以上
の延伸性に優れた樹脂と、熱変形温度が45℃以上の樹
脂を混ぜる事により、厚みむらは大きいが2倍以上の延
伸性と60℃耐湿負荷試験において1000時間以上耐
えることを見出したものである。これは60℃耐湿負荷
試験でフィルム厚に対し70V/μmの高い電圧を印加
する場合、特願平2−319061号に示した樹脂や芳
香族エステル系ポリウレタンの成分だけでは延伸性には
優れているがほとんど軟化してしまい、コンデンサ内部
の各層間の接着力が低下し、その高い印加電圧あるいは
電界強度のために、湿気とそのイオンが剥離した表面改
質剤の界面や厚み方向を容易に移動するようになるため
と考えられる。そのため、前記の延伸性に優れた芳香族
エステル系ポリウレタンと、延伸しにくいが、少しでも
耐水接着性や熱変形温度の高い脂肪族エステル系ポリウ
レタンを併用することにより各層間の接着力や物性を改
良できることを見出したものである。
【0021】また蒸着電極のアルミニウムは電解雰囲気
中のイオンやアルカリ性に弱いため、熱可塑性樹脂は非
イオン性が好ましいが少なくともアニオン性である必要
があり、そのためアニオン性基としてスルホン酸基、カ
ルボン酸基やリン酸基を有する化合物を、モノマーと混
ぜたりあるいはプレポリマー化後に加えて、共重合、重
付加や重縮合さらにはビュレットやアロハネート反応を
利用し導入する必要がある。そして水溶性あるいは水分
散性を得るための対イオンは、加熱により容易に揮発す
る低分子量のアンモニウムあるいは第三級アミンが最適
であることを見出した。しかも水系塗料中にアンモニウ
ムや第三級アミンを添加することは液のゲル化を防ぎ長
期安定化を図る上に必要であるが、多すぎると作業環境
を阻害したり、残留して真空蒸着後における蒸着電極の
腐食源となることが分かった。そのため、アンモニウム
は少量が好ましく、第三級アミンも少なくとも二成分か
らなる前記樹脂の50重量%が加える上限であることが
分かった。
【0022】さらに本発明の前記二種類の樹脂の中に
は、乳化重合や懸濁重合等の合成技術の限界のため、表
面改質層の必要な厚みにくらべ比較的大きな粒子状で分
散する場合がある。そのため、設備の防爆対策が不要な
範囲で水よりも沸点が110℃以上と高い水溶性の有機
溶剤を、少なくとも二成分からなる前記樹脂の50重量
%以下加えることにより、残留溶剤が適度に残り、分散
粒子間を強固に接着させる働きが生じるため延伸性を改
善でき、しかも二成分の配合比率を大きくできる効果を
得た。しかし、この有機溶剤を50重量%以上加えた場
合はその有機溶剤の沸点等にもよるが、塗布後の幅方向
の延伸工程中でその残留溶剤が十分には揮発せず、最終
的にコンデンサの製造後まで残留し、そのために熱変形
温度の低下や吸湿性を増し、耐湿性に悪影響を及ぼし
た。
【0023】従って、本発明の水系塗料は少なくとも、
高い延伸性と耐水接着性を有した芳香族エステル系ポリ
ウレタンと、熱変形温度が高く側鎖にスルホン酸基を導
入した環状骨格を含有したポリウレタンを用い、その二
成分からなる前記樹脂の重量比で0〜50重量%の第三
級アミンと、同じく前記樹脂の重量比で0〜50重量%
の沸点が110℃以上である水に可溶な有機溶剤と純水
とからなり、その二成分からなる前記樹脂を重量比で
9:1〜2:8の比率で混合して用いることが出来るよ
うになり、幅広い組成比の範囲で優れた耐湿性を有する
表面改質プラスチックフィルムが得られるようになった
ものである。
【0024】また本発明の水系塗料には、少量のブロッ
キング防止剤、滑剤、着色剤、消泡剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤あるいは全体の熱変形温度改善のため、コン
デンサ製造過程での熱処理により架橋や鎖延長が期待で
きる、5重量%以下のブロックイソシアネート等のイソ
シアネート化合物、エポキシ系化合物、シランカップリ
ング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング
剤、有機過酸化物を予めそれぞれの樹脂中に含有してい
ても良い。
【0025】ここで、延伸性のある芳香族エステル系ポ
リウレタンは、芳香族エステルを分子内に含むジオール
化合物を用い、側鎖にカルボキシル基を導入することに
より水系塗料としたものであり、テレフタル酸、イソフ
タル酸を単独あるいは併用したジカルボン酸と、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、p−キシリレングリコールやそれらの誘導
体を単独あるいは併用したジオールから得た、少なくと
も重合度が1以上の芳香族エステルであるエステル系ジ
オールかまたはそのエステル化の前に、ジメチロールプ
ロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジ
メチロール吉草酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン
酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、トロパ酸、ベン
ジル酸、サリチル酸、アニス酸、ジアミノフェニルカル
ボン酸等を単独あるいは併用したカルボキシル基を含有
した化合物あるいはそのアンモニウムや第三級アミン塩
等を加え、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6
−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェ
ニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、1,4−シクロヘキサン−ビス(メチルイソシアネ
ート)やそれらの誘導体を単独あるいは併用したジイソ
シアネートと反応させて得たものであるかまたは、前記
芳香族エステルと前記ジイソシアネートを反応させて得
た末端基がイソシアネート基であるプレポリマーと前記
カルボキシル基を含有した化合物あるいはそのアンモニ
ウムや第三級アミン塩等とを反応させて得たものであ
る。
【0026】そして、次に熱変形温度が高く側鎖にスル
ホン酸基を導入した環状骨格を含有したポリウレタンで
あるが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸やそれらの誘導体
を単独あるいは併用したジカルボン酸と、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ールやそれらの誘導体を単独あるいは併用したジオール
から得た少なくとも重合度が1以上の脂肪族エステルで
あるエステル系ジオールと、2,2’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイ
ソシアネート、4,4’−ジフェニルスルホンジイソシ
アネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、
3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシ
アネート、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,
4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメ
トキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、
2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートや
それらの誘導体等を単独あるいは併用したフェニル基あ
るいはシクロヘキシル基を単独あるいは併用して一分子
中に少なくとも2個含有するジイソシアネートと、ジア
ミノアルカンスルホネート等のスルホン酸基を含む化合
物を加えて製造するか、もしくはスルホン酸基を含む化
合物を加えずに合成した後に硫酸を加え、直接一部のフ
ェニル基をスルホン化して製造されたものである。ここ
で、エステル系ジオールはカルボニル基間の長さが短
く、カルボニル基の数が多い程、耐水接着性は増すが、
コンデンサとしての高耐湿性は必ずしも比例はしなかっ
た。
【0027】また、前記二種類の樹脂はそれぞれエステ
ル系ジオールとジイソシアネートをまず反応させ、末端
にイソシアネート基が残るプレポリマーとした後に、カ
ルボキシル基を含有した化合物やスルホン酸基を有する
化合物を用いて鎖延長しても良い。そして、いずれの方
法においても、製造された前記二種類の樹脂は合成過程
から水溶液あるいは水分散液として製造するが、分散し
た場合の粒子径は0.2μm以下が好ましく、いずれの
原料においても合成過程で生じた各種の異性体及び反応
性のある不純物は含まれていても良い。さらに、非イオ
ン性で水分散性を得るために、ジエタノールアミン等の
ヒドロキシル基を有するアミンと前記エステル系ジオー
ルとジイソシアネートからポリウレタンを製造し、それ
のみを用いたり、あるいは、それをさらに前記二種類の
樹脂に加えても良い。
【0028】そして、前記二種類の樹脂からなる表面改
質剤は一般的に静止摩擦係数が大きいために、さらに滑
剤を加えても良い。
【0029】つぎに、安定した水性塗料とするための有
機溶剤としては、沸点が110℃以上であるエチレング
リコールとメチルアルコール、エチルアルコール、プロ
ピルアルコール、ブチルアルコール等から得たエーテル
類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、N−メチル−2−ピロリドンを単独あるいは併用
して使用される。
【0030】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の第一の実施例に
ついて説明する。
【0031】まず、テレフタル酸とイソフタル酸を重量
比0.5:1で併用したジカルボン酸とジオールとして
1,6−ヘキサンジオールを縮合反応させ重合度が1以
上のエステル系ジオールを合成した。次に、このエステ
ル系ジオールとジメチロールプロピオン酸を重量比5:
1で併用したジオールと、2,4−トルエンジイソシア
ネートと2,6−トルエンジイソシアネートを重量比
7:3で併用したジイソシアネートを反応させ、アンモ
ニウムを加え、芳香族系ポリウレタンの水系塗料Aを得
た。水系塗料Aの乾燥後の熱変形温度は43℃であっ
た。
【0032】そして、次にアジピン酸と1,4−ブタン
ジオールを縮合反応させ重合度が1以上のエステル系ジ
オールを合成し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネートとその異性体を含むジイソシアネートを
反応させ末端にイソシアネート基が残るプレポリマーを
合成し、さらに2,5−ジアミノフェニルスルホン酸を
重量比10:1で反応させ鎖延長させ、トリエチルアミ
ンを加え、ポリウレタンの水系塗料Bを得た。水系塗料
Aの乾燥後の熱変形温度は60℃であった。
【0033】さらに、前記の水系塗料Aと水系塗料B
を、それぞれのポリウレタン樹脂成分が重量比で9:1
の割合となるよう混合し、さらにそれらのポリウレタン
樹脂総重量に対し50重量%に相当するN−メチル−2
−ピロリドンを加え、純水を加えて濃度を調整し、ポリ
ウレタン樹脂の含有量が10重量%である表面改質層形
成用水系塗料を得た。
【0034】次に、平均粒径1.2μmのシリカ粒子を
0.3%含有する固有粘度が0.66のポリエチレンテ
レフタレートを290℃の温度で十分脱気混合して隙間
が狭く幅広い口金のノズルより連続して押しだし、静電
密着法を併用しながら冷却ドラム上にキャストし、厚さ
約90μmの無定形ポリエステルシートを得た。
【0035】前記のシートを、90℃で縦方向に4.2
倍延伸した後、前記表面改質層形成用水性塗料をダイコ
ート方式でフィルムの逐次両面に塗布し、更に、乾燥し
ながら110℃で横方向に3.9倍延伸し、230℃で
熱処理し、表面改質層の両面を加えた厚さ0.2μm、
総厚さ5.7μmの表面改質プラスチックフィルムを得
た。
【0036】上記方法で得た表面改質プラスチックフィ
ルムを用い、以下本発明のコンデンサについて図1に基
づいて説明する。
【0037】図1において、表面改質プラスチックフィ
ルムである予め表面改質層1、2を形成したベースフィ
ルム3の両面に絶縁のための幅2mmのマージン部4、
5を設けながら、アルミニウムを真空蒸着し蒸着電極
6、7を形成し、メタライズドフィルムを得た。次にこ
のメタライズドフィルムとそれよりも少し幅を狭くした
未蒸着の表面改質プラスチックフィルムである合わせフ
ィルム8とを重ね、断面が円形となるように作られた一
対の細い棒の間に挟みこれを固定し、静電容量が0.1
μFとなる迄巻回した後ベースフィルム1を切断し、そ
のまま10層巻き取り、最後にヒートシールを施して巻
回素子を作成した。この後、細い棒を抜き取り、前記巻
回素子の側面を挟むようにして100℃で10kg/c
2の圧力を加え30分間ホットプレスし、この偏平と
なった巻回素子のフィルムの断面が覗く両端面部にアー
ク方式溶射装置により厚みが0.2mmの亜鉛と厚みが
0.3mmの錫または半田を溶射して電極引出層9、1
0を形成し、その後130℃で15時間加熱し層間接着
させた。そして、半田メッキされた直径0.5mmのリ
ード線11、12を電気溶接し、コンデンサ素子とし
た。最後に、ピンホール防止のため、液状のビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂をコンデンサ素子のリード線以外
の部分に大気中で塗布し、一旦加熱硬化して含浸層を形
成した後、粉末状のエポキシ樹脂を付着し、加熱し溶融
することにより表面の凹凸をなくし、さらに加熱し硬化
させ最低厚さ0.5mmの外装13となし、最後に表示
を行い表面改質プラスチックフィルムコンデンサを製造
した。
【0038】(実施例2)以下本発明の第2の実施例に
ついて説明する。
【0039】まず、平均粒径1.2μmのシリカ粒子を
0.3%含有する固有粘度が0.66のポリエチレンテ
レフタレートを290℃の温度で十分混合し隙間が狭く
幅広い口金のノズルより連続して押しだし、静電密着法
を併用しながら冷却ドラム上にキャストし、厚さ約71
μmの無定形ポリエステルシートを得た。
【0040】前記のシートを、90℃で縦方向に3.5
倍延伸した後、実施例1の表面改質層形成用水系塗料を
フィルムの片面にロッドコート方式で塗布し、更に、乾
燥しながら110℃で横方向に3.5倍延伸し、230
℃で熱処理し結晶化度を調整して、表面改質層の厚さ
0.1μm、総厚さ5.7μmの表面改質プラスチック
フィルムを得た。
【0041】上記方法で得た表面改質プラスチックフィ
ルムを用い、以下本発明のコンデンサについて図2に基
づいて説明する。
【0042】図2において、表面改質プラスチックフィ
ルムである予め表面改質層21、22が形成されたベー
スフィルム23、24の面上に絶縁のためのマージン部
25、26を設けながら、アルミニウムを真空蒸着し蒸
着電極27、28を形成し2種類のメタライズドフィル
ムを得た。次にこの2種類のメタライズドフィルムを互
いに蒸着電極が突き出るようにずらし重ね、断面が円形
となるように作られた一対の細い棒の間に挟んで固定
し、静電容量が0.1μFとなるまで巻回し、最後にヒ
ートシールを施して巻回素子を作成した。以下、実施例
1と同様にして表面改質プラスチックフィルムコンデン
サを製造した。
【0043】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について説明する。
【0044】実施例1で得た両面に表面改質層を形成し
た表面改質プラスチツクフィルムの片面に蒸着電極を形
成し、以下、実施例2と同様にして表面改質プラスチッ
クフィルムコンデンサを製造した。
【0045】(実施例4)以下、本発明の第4の実施例
について図3に基づいて説明する。
【0046】実施例1で得た両面に表面改質層を形成し
た表面改質プラスチツクフィルムであるベースフィルム
31、32の片面に絶縁のためのマージン部33、34
を設けながら、アルミニウムを真空蒸着し蒸着電極3
5、36を形成し、2種類のメタライズドフィルムを得
た。この2種類のメタライズドフィルムを少しずらし、
大きなドラム上に所定の枚数だけ積層し、直ちにこの両
端部にアーク式溶射装置により電極引出層37、38を
形成した後、130℃で15時間加熱し層間接着させ
た。その後、0.1μFとなる所定の長さでフライス切
断を行い、半田メッキされたリード線39、40を溶接
し、コンデンサ素子とした。以下、実施例1と同様にし
て表面改質プラスチックフィルムコンデンサを製造し
た。
【0047】(実施例5)以下、本発明の第5の実施例
について説明する。
【0048】実施例1において、水系塗料Aと水系塗料
Bを、それぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で9:
1の割合となるように混合し、さらにそれらのポリウレ
タン樹脂総重量に対しトリエチルアミンの濃度を50重
量%となるように調整し、かつ、それらのポリウレタン
樹脂総重量に対しN−メチル−2−ピロリドンの濃度が
50重量%となるように調整した後、純水を加え、ポリ
ウレタン樹脂の含有量が10重量%である表面改質層形
成用水系塗料を得た。
【0049】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0050】(実施例6)以下、本発明の第6の実施例
について説明する。
【0051】実施例1において、水系塗料Aと水系塗料
Bを、それぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で5:
5の割合となるように混合し、さらにそれらのポリウレ
タン樹脂総重量に対しトリエチルアミンの濃度が50重
量%となるように調整し、かつ、それらのポリウレタン
樹脂総重量に対しN−メチル−2−ピロリドンの濃度が
50重量%となるように調整した後純水を加え、ポリウ
レタン樹脂の含有量が10重量%である表面改質層形成
用水系塗料を得た。
【0052】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0053】(実施例7)以下、本発明の第7の実施例
について説明する。
【0054】実施例1において、水系塗料Aと水系塗料
Bを、それぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で2:
8の割合となるように混合し、さらにそれらのポリウレ
タン樹脂総重量に対しトリエチルアミンの濃度が50重
量%となるように調整し、かつ、それらのポリウレタン
樹脂総重量に対しN−メチル−2−ピロリドンの濃度が
50重量%となるように調整した後純水を加え、ポリウ
レタン樹脂の含有量が10重量%である表面改質層形成
用水系塗料を得た。
【0055】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0056】(実施例8)以下、本発明の第8の実施例
について説明する。
【0057】実施例1において、水系塗料Aと水系塗料
Bを、それぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で5:
5の割合となるように混合し、さらにそれらのポリウレ
タン樹脂総重量に対しトリエチルアミンの濃度が1重量
%となるように調整し、かつ、それらのポリウレタン樹
脂に対しN−メチル−2−ピロリドンを加えずに(0重
量%)純水を加え、ポリウレタン樹脂の含有量が10重
量%である表面改質層形成用水系塗料を得た。
【0058】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0059】(実施例9)以下、本発明の第9の実施例
について説明する。
【0060】実施例1において、水系塗料Aと水系塗料
Bを、それぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で5:
5の割合となるように混合し、さらにそれらのポリウレ
タン樹脂総重量に対しトリエチルアミンの濃度が50重
量%となるように調整し、かつ、それらのポリウレタン
樹脂総重量に対してエチレングリコールモノブチルエー
テルの濃度が50重量%となるように調整した後純水を
加え、ポリウレタン樹脂の含有量が10重量%である表
面改質層形成用水系塗料を得た。
【0061】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0062】(実施例10)以下、本発明の第10の実
施例について説明する。
【0063】まず、テレフタル酸とイソフタル酸を重量
比約1:1で併用したジカルボン酸と、エチレングリコ
ールとネオペンチルグリコールを重量比約1:4で併用
したジオールとを縮合反応させ、重合度が1以上のエス
テル系ジオールを合成した。次にこのエステル系ジオー
ルとジメチロールプロピオン酸を重量比約5:1で併用
したジオールと、2,4−トルエンジイソシアネートと
2,6−トルエンジイソシアネートを重量比約65:3
5で併用したジイソシアネートとを反応させ、アンモニ
ウムを加え、芳香族系ポリウレタンの水系塗料Cを得
た。
【0064】そして、次にアジピン酸と、1,6−ヘキ
サンジオールとネオペンチルグリコールを重量比約4:
1で併用したジオールを縮合反応させ重合度が1以上の
エステル系ジオールを合成し、4,4’−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネートとその異性体を含むジイソ
シアネートを反応させ、末端にイソシアネート基が残る
プレポリマーを合成し、さらに、ジアミノエチルスルホ
ン酸を用いユリア反応により鎖延長させ、トリエチルア
ミンを加え、ポリウレタンの水系塗料Dを得た。水系塗
料C、Dの乾燥後の熱変形温度はそれぞれ41℃、82
℃であった。
【0065】さらに、水系塗料Cと、水系塗料Dを、そ
れぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で9:1の割合
となるように混合し、さらにそれらのポリウレタン樹脂
総重量に対しトリエチルアミンの濃度が50重量%とな
るように調整し、かつ、それらのポリウレタン樹脂総重
量に対してN−メチル−2−ピロリドンの濃度が50重
量%となるように調整した後純水を加え、ポリウレタン
樹脂の含有量が10重量%である表面改質層形成用水系
塗料を得た。
【0066】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0067】(実施例11)以下、本発明の第11の実
施例について説明する。
【0068】実施例10において、水系塗料Cと水系塗
料Dを、それぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で
2:8の割合となるように混合し、さらにそれらのポリ
ウレタン樹脂総重量に対しトリエチルアミンの濃度が5
0重量%となるように調整し、かつ、それらのポリウレ
タン樹脂総重量に対しN−メチル−2−ピロリドンの濃
度が50重量%となるように調整した後純水を加え、ポ
リウレタン樹脂の含有量が10重量%である表面改質層
形成用水系塗料を得た。
【0069】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0070】(実施例12)以下、本発明の第12の実
施例について説明する。
【0071】実施例10の表面改質層形成用水系塗料に
おいて、N−メチル−2−ピロリドンを除去したものを
用い、以下、実施例1と同様にして、両面に表面改質層
を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改質プ
ラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0072】(実施例13)以下、本発明の第13の実
施例について説明する。
【0073】まず、平均粒径1.2μmのシリカ粒子を
0.3%含有するポリエチレンナフタレートを280〜
320℃の温度で充分脱気混合し隙間が狭く幅広い口金
のノズルより連続して押しだし、静電密着法を併用しな
がら冷却ドラム上にキャストし、厚さ71μmの無定形
ポリエステルシートを得た。
【0074】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0075】(実施例14)以下、本発明の第14の実
施例について説明する。
【0076】実施例10の表面改質層形成用水系塗料に
おいて、水系塗料Cとしてアンモニウムの代わりにトリ
エチルアミンを加えたものを用い、以下、実施例11と
同様にして、両面に表面改質層を形成した表面改質プラ
スチックフィルムと表面改質プラスチックフィルムコン
デンサを製造した。
【0077】(実施例15)以下、本発明の第15の実
施例について説明する。
【0078】まず、テレフタル酸とイソフタル酸を重量
比約1:1で併用したジカルボン酸と、エチレングリコ
ールとネオペンチルグリコールを重量比約1:4で併用
したジオールとを縮合反応させ、重合度が4〜10のエ
ステル系ジオールを合成した。次にこのエステル系ジオ
ールとその20重量%に相当するジメチロールプロピオ
ン酸を併用したジオールと、2,4−トルエンジイソシ
アネートと2,6−トルエンジイソシアネートを重量比
約6.5:3.5で併用したジイソシアネートとを反応
させ、アンモニウムを加え、芳香族系ポリウレタンの水
系塗料Cを得た。
【0079】そして、次にアジピン酸と、1,6−ヘキ
サンジオールとネオペンチルグリコールを重量比約4:
1で併用したジオールとを縮合反応させ重合度が6〜1
0以上のエステル系ジオールを合成し、4,4’−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネートとその異性体を含
むジイソシアネートを反応させて末端にイソシアネート
基が残るプレポリマーを合成し、さらに、2,5−ジア
ミノエチルスルホン酸を用いユリア反応により鎖延長さ
せ、トリエチルアミンを加え、ポリウレタンの水系塗料
Dを得た。
【0080】さらに、水系塗料Cと、水系塗料Dを、そ
れぞれのポリウレタン樹脂成分を重量比で9:1の割合
となるように混合し、さらにそれらのポリウレタン樹脂
総重量に対しトリエチルアミンの濃度が50重量%とな
るように調整し、かつ、それらのポリウレタン樹脂総重
量に対してN−メチル−2−ピロリドンの濃度が50重
量%となるように調整した後純水を加え、ポリウレタン
樹脂の含有量が10重量%である表面改質層形成用水系
塗料を得た。
【0081】以下実施例1と同様にして、両面に表面改
質層を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改
質プラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0082】(実施例16)まず、テレフタル酸とイソ
フタル酸を重量比約1:1で併用したジカルボン酸と、
エチレングリコールとネオペンチルグリコールを重量比
約1:4で併用したジオールとを縮合反応させ、重合度
が1以上のエステル系ジオールを合成した。次にこのジ
オールと、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6
−トルエンジイソシアネートを重量比約65:35で併
用したジイソシアネートとを反応させて末端がイソシア
ネート基のプレポリマーを作った後、ジメチロールプロ
ピオン酸アンモニウム塩を加え鎖延長させ芳香族系ポリ
ウレタンEを得た。
【0083】次に、実施例10において、水系塗料Cの
代わりにウレタンEを用い、これを水系塗料Dと混合さ
せ、以下、実施例10と同様にして、両面に表面改質層
を形成した表面改質プラスチックフィルムと表面改質プ
ラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0084】(比較例1)以下、比較例1について説明
する。
【0085】実施例1の表面改質層形成用水系塗料にお
いて、水系塗料Aのみを用い、N−メチル−2−ピロリ
ドンをポリウレタン樹脂総重量に対して50重量%とし
て用い、以下、実施例1と同様にしてプラスチックフィ
ルムとプラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0086】(比較例2)以下、比較例2について説明
する。
【0087】実施例1の表面改質層形成用水系塗料にお
いて、水系塗料Bのみを用い、N−メチル−2−ピロリ
ドンをポリウレタン樹脂総重量に対して50重量%とし
て用い、以下、実施例1と同様にしてプラスチックフィ
ルムとプラスチックフィルムコンデンサを製造した。
【0088】(従来例1)以下、従来例1について説明
する。
【0089】実施例1において、表面改質層形成用水系
塗料を全く塗布せずに、厚さ5.7μmのプラスチック
フィルムを製造した。
【0090】次に、図4において、前記プラスチックフ
ィルムであるベースフィルム41の両面に絶縁のための
マージン部42、43を設けながら、アルミニウムを真
空蒸着し蒸着電極44、45を形成し、メタライズドフ
ィルムを得た。次にこのメタライズドフィルムとそれよ
りも少し幅を狭くした未蒸着のプラスチックフィルム4
6とを重ね、断面が円形となるように作られた一対の細
い棒の間に挟みこれを固定し、静電容量が0.1μFと
なる迄巻回し、最後にヒートシールを施して巻回素子を
作成した。この後、細い棒を抜き取り、前記巻回素子の
側面を挟むようにして110℃で圧力が10kg/cm
2で30分間ホットプレスを行い、この偏平となった巻
回素子のフィルムの断面が覗く両端面部にアーク方式溶
射装置により0.2mmの厚さに亜鉛と0.3mmの厚
さに錫または半田とを溶射して電極引出層47、48を
形成し、その後130℃で15時間加熱し層間接着させ
た。そして、半田メッキされたリード線49、50を電
気溶接し、コンデンサ素子とした。最後に、ピンホール
防止のため、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を
コンデンサ素子のリード線以外の部分に大気中で塗布
し、一旦加熱硬化して含浸層を形成した後、粉末状のエ
ポキシ樹脂を付着させ、加熱し溶融することにより表面
の凹凸をなくし、さらに加熱硬化させ最低厚さが0.5
mmの外装51となし、最後に表示を行いプラスチック
フィルムコンデンサを製造した。また、このプラスチッ
クフィルムコンデンサの外装後の寸法は長さ12.0m
m、高さ12.0mm、厚さ6.3mmであった。
【0091】(従来例2)厚さ10μmのプラスチック
フィルムを用い、従来例1と同様にして、プラスチック
フィルムコンデンサを製造した。この場合の外装後の寸
法は長さ12.0mm、高さ23.2mm、厚さ17.
5mmであった。
【0092】以上、実施例1から16までと比較例1、
2および従来例1のコンデンサそれぞれ20個に対し、
温度60℃、相対湿度95%の雰囲気下でフィルムの厚
みあたり70V/μmである直流400Vの電圧を印加
した。なお、従来例2のコンデンサにはそのまま直流4
00Vの電圧を印加した。その際、コンデンサの静電容
量値は吸湿により一旦増加するが、時間と共に低下し、
その20個のコンデンサの静電容量値の変化の平均値が
0%となる時間を寿命時間として(表1)(表2)に示
した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】この(表1)(表2)から明らかなよう
に、本実施例による表面改質プラスチックフィルムを用
いた表面改質プラスチックフィルムコンデンサは、両面
蒸着タイプ、片面蒸着タイプあるいは巻回コンデンサ、
積層コンデンサを問わず、すぐれた60℃耐湿性を示す
と同時にコンデンサの小型化に大きな効果が得られるこ
とが分かる。
【0096】なお、実施例5、6、7あるいは10、1
1において芳香族系エステルを分子内に含むジオール化
合物を用いた延伸性があり、側鎖にカルボキシル基を導
入した芳香族系ポリウレタンと、環状炭化水素基を含み
熱変形温度が高く側鎖にスルホン酸基を導入したポリウ
レタンとを重量比で9:1〜2:8の比率で混合したも
のについて示したが、この中間混合比の物も同様にすぐ
れた60℃耐湿性を示した。そして、その厚みに関して
も、実施例では表面改質層の厚さが0.1μmについて
示したが、0.03〜0.3μmの範囲で同様にすぐれ
た60℃耐湿性を示した。また、厚さが0.3μを越す
範囲では表面改質プラスチックフィルムの静止摩擦係数
やブロッキング性が大きくなるため、コンデンサ製造時
の歩留まり低下が問題となる。
【0097】また、実施例10において、水系塗料Cと
して、テレフタル酸とイソフタル酸を重量比で1:0〜
0:1の範囲で任意に配合したジカルボン酸と、さらに
エチレングリコールとネオペンチルグリコールを重量比
で1:10〜10:1の範囲で任意に配合したジオール
のまま、あるいはそれらを予め縮合させて得た重合度が
それぞれ1〜10の芳香族系のエステル系ジオールと、
それに対して1〜30重量%のジメチロールプロピオン
酸、ジメチロールプロパンアンモニウム塩、ジメチロー
ルプロパントリメチルアミン塩、ジメチロールプロパン
トリエチルアミン塩を単独あるいは併用して用いたジオ
ールと、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−
トルエンジイソシアネートを重量比で1:0〜0:1の
範囲で任意に配合したジイソシアネートを反応させ、ア
ンモニウムまたはトリエチルアミンを加えて得たものを
用い、水系塗料Dとして、アジピン酸と、1,6−ヘキ
サンジオールとネオペンチルグリコールを重量比で1:
10〜10:1の範囲で任意に配合し縮合させて得た重
合度がそれぞれ1〜10の脂肪族系のエステル系ジオー
ルと、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ートとその異性体を含むジイソシアネートを反応させ、
末端にイソシアネート基が残るプレポリマーを合成し、
さらに、ジアミノエチルスルホン酸、ジアミノエチルス
ルホン酸トリメチルアミン塩、ジアミノエチルスルホン
酸トリエチルアミン塩、2,5−ジメチルフェニレンス
ルホン酸、2,5−ジメチルフェニレンスルホン酸トリ
エチルアミン塩を単独あるいは併用したスルホン酸基を
含有した化合物を用いユリア反応により鎖延長させた
り、あるいはスルホン酸基を含有した化合物を使用せず
に直接硫酸を加えてスルホン酸基を導入したもの、また
ジメタノールアミンやジエタノールアミンを用いてウレ
タン反応により鎖延長させたもの単体あるいはそれぞれ
を併用し各々を加え混合したものにトリエチルアミンを
加えて得たものを用いた場合にも同様に、すぐれた60
℃耐湿性を得た。
【0098】さらに、実施例に示した以外の芳香族系エ
ステルを分子内に含むジオール化合物を用いた延伸性が
あり、側鎖にカルボキシル基を導入した芳香族系ポリウ
レタンとして実施例に述べた以外に、テレフタル酸とイ
ソフタル酸を単独あるいは併用したジカルボン酸と、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、p−キシレングリコールやそれらの誘
導体を単独あるいは併用したジオールから得た少なくと
も重合度が1以上の芳香族系エステルであるエステル系
ジオールと、2,4−トルエンジイソシアネート、2,
6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4
−シクロヘキサン−ビス(メチルイソシアネート)やそ
れらの誘導体を単独あるいは併用したジイソシアネート
と、そしてジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢
酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、グリコー
ル酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、
酒石酸、トロパ酸、ベンジル酸、サリチル酸、アニス
酸、ジアミノフェニルカルボン酸を単独あるいは併用し
たカルボキシル基を含有した化合物を用いて合成された
ものについても単体あるいは混合物についてそれらのア
ンモニウム塩、トリエチルアミン塩あるいはそれらの混
合塩と、環状炭化水素基を含み熱変形温度が高く側鎖に
スルホン酸基を導入したポリウレタンとして、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、スベリン酸を単独あるいは併用したジカルボ
ン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキシル
ジメタノールを単独あるいは併用したジオールから得た
少なくとも重合度が1以上の脂肪族エステルであるエス
テル系ジオールと、2,2’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシ
アネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルスルホンジイソシアネー
ト、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,
3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネ
ート、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−
ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ
−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、2,2’
−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’
−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートやそれらの
誘導体を単独あるいは併用したフェニル基あるいはシク
ロヘキシル基を単独あるいは併用して1分子中に少なく
とも2個含有するジイソシアネートと2,5−ジアミノ
フェニルスルホン酸、ジアミノエチルスルホン酸等やそ
れらのアンモニウム塩、第三級アミン塩であるジアミノ
アルカンスルホネート等のスルホン酸基を含む化合物を
加え合成されたもの、あるいはジアミノアルカンスルホ
ネートを加えずに合成した後、一部のフェニル基を直接
硫酸と反応させ、不要な硫酸を除去した後にスルホン化
したもののアンモニウムや第三級アミンの単独塩あるい
は混合塩としたものの組合せの中から任意にそれぞれ重
量比で9:1〜2:8で混合したものに関してもすぐれ
た60℃耐湿性が得られた。
【0099】また、安定した水性塗料とするために、沸
点が110℃以上のエチレングリコールとメチルアルコ
ール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチル
アルコールから得たエーテル類、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピ
ロリドンを単独あるいは併用して前記2成分からなる樹
脂に対して0〜50重量%の任意の量を加えても、さら
にトリエチルアミン等の第三級アミンを同時に同様に0
〜50重量%の任意の量を加えてもすぐれた60℃耐湿
性が得られた。なお、本水性塗料において、原料、補助
材料である有機溶剤あるいは合成に由来する不純物イオ
ンとしてアルカリ金属イオンは酸化アルミニウム層を容
易に破壊するため好ましくなく、他の有機酸系あるいは
第一アミン系および第二アミン系化合物についても極力
低濃度とすることが重要で総イオンとして1000pp
m以下に、好ましくは200ppm以下となるまで洗浄
あるいは脱イオンの処置を行うことで良好な60℃耐湿
性が得られた。但し、100℃以下の温度条件で容易に
揮発する不純物や添加剤は特に限定されない。
【0100】また、実施例において、無定形ポリエステ
ルシートの代わりに、平均粒子径が0.3〜3.5μm
のシリカ、アルミナ、カオリン、タルク、炭酸カルシウ
ム等の粒子を0.1〜2%含有する、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,4−シクロヘキシレンジメ
タノールやそれらの誘導体等を単独あるいは併用したジ
オール化合物と、イソフタール酸、テレフタール酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホ
イソフタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸やそれらの誘導体等を単独あるいは併用したジカルボ
ン酸から縮合された平均分子量が30000以上のポリ
エステル、ポリp−フェニレンサルファイド、ポリ4,
4’−ベンゾフェノンオキサイド、ポリ4,4’−ベン
ゾフェノンオキシp−フェニレンオキサイド、ポリ4,
4’−ベンゾフェノンp−フェニレンオキサイドやそれ
らの誘導体等の熱可塑性樹脂のチップがその融点に合わ
せ、150〜450℃の温度で充分脱気混合して隙間が
狭く幅広い口金のノズルより連続して押し出し、静電密
着法を併用しながら冷却ドラム上にキャストされた厚さ
10〜200μmの無定形熱可塑性樹脂シートを用い、
一部の材料には、コロナ処理あるいはオゾン処理等を施
し、以下同様に適当な温度を選択し、材料に合わせ水系
塗料を選び、コート方式を問わず表面改質プラスチック
フイルムを製造し、表面改質プラスチックフィルムコン
デンサをその材料の融点に合わせ、ホットプレスの温度
を70〜150℃の温度で、さらに電極引出層を形成し
た後、80〜280℃の温度で5〜15時間加熱製造し
た場合も同様にすぐれた60℃耐湿性が得られた。
【0101】
【発明の効果】以上本発明によると、著しく耐湿性のす
ぐれた表面改質プラスチックフィルムコンデンサを、プ
ラスチックフィルムからプラスチックフィルムコンデン
サまでの現行の製造工程をそのまま使い製造することが
でき、設備投資やコスト増加を非常に低く抑えることが
出来、産業界としてのトータルメリットは大きい。さら
に、この表面改質層はポリエチレンテレフタレートと異
なり、熱変形温度の低い成分が含まれるため、自己回復
性の低下を招くことが無く、小型で高耐湿性のコンデン
サが得られるようになったことは価値がある。さらに、
応用として、フィルムの吸水率がいかに高くとも、アル
ミニウムの蒸着電極の腐食を抑制する効果があり、シー
ルドや低水蒸気透過率が必要な部品、電気・電子機器、
食品の包装材等の用途に使用でき、しかも易分解性・生
分解性樹脂をフィルムとして無公害の表面改質プラスチ
ックフィルムができる可能性があることは価値がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における表面改質プラス
チックフィルムコンデンサの断面図
【図2】本発明の第2の実施例における表面改質プラス
チックフィルムコンデンサの断面図
【図3】本発明の第4の実施例における表面改質プラス
チックフィルムコンデンサの断面図
【図4】従来のプラスチックフィルムコンデンサの断面
【符号の説明】
1 表面改質層 2 表面改質層 3 ベースフィルム 4 マージン部 5 マージン部 6 蒸着電極部 7 蒸着電極部 8 合わせフィルム 9 電極引出部 10 電極引出部 11 リード線 12 リード線 13 外装
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 信一 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 ダイアホイルヘキスト株式会社 中央研 究所内 (56)参考文献 特開 平2−272713(JP,A) 特開 昭60−120511(JP,A) 特開 昭63−317681(JP,A) 特許3044795(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 4/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリウレタン側鎖にスルホン酸
    基を導入したポリウレタンとからなる水系塗料を、プラ
    スチックフィルムの少なくとも一方の面に、塗布し乾燥
    して表面改質層を形成したコンデンサ用の表面改質プラ
    スチックフィルム。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリウレタン側鎖にスルホン酸
    基を導入したポリウレタンとからなる水系塗料を、プラ
    スチックフィルムの少なくとも一方の面に、塗布し乾燥
    して表面改質層を形成した表面改質プラスチックフィル
    ムを用いた表面改質プラスチックフィルムコンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリウレタンと前記側鎖にス
    ルホン酸基を導入したポリウレタンとの重量比が9:1
    〜2:8である、請求項1に記載のコンデンサ用の表面
    改質プラスチックフィルム
  4. 【請求項4】 前記芳香族ポリウレタンと前記側鎖にス
    ルホン酸基を導入したポリウレタンとの重量比が9:1
    〜2:8である、請求項2の表面改質プラスチックフィ
    ルムコンデンサ
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JP4876649B2 (ja) * 2006-03-16 2012-02-15 パナソニック株式会社 直流金属化フィルムコンデンサ
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