JP3109323B2 - 金属コードの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車タイヤ、コン
ベヤベルト、高圧ホースと言ったゴム物品の補強に用い
られる金属コードの製造方法、中でも、ゴム物品の耐久
性を向上させるのに有効な構造を持つ金属コードの製造
方法に関する。
ベヤベルト、高圧ホースと言ったゴム物品の補強に用い
られる金属コードの製造方法、中でも、ゴム物品の耐久
性を向上させるのに有効な構造を持つ金属コードの製造
方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】ゴム物品補強用金属コードは、ゴムとの
接着性を付与するため、素材（ＪＩＳＧ３５０２ピアノ
線材）表面にブラス、銅、亜鉛などの金属めっきを施し
ているが、そのめっき厚さは通常０．２μｍ前後と薄い
ため、ゴム被覆されない部分があるとゴム中の水分や、
ゴムに生じた外傷が金属コードまで達した場合の外部か
らの浸透水分により短期間に腐食してしまい、その箇所
の切断荷重や耐疲労性が低下する。また、コードとゴム
との接着性が低下して剥離し、自動車タイヤの補強に用
いた場合、タイヤのいわゆるセパレーションによる品質
トラブルを起こす恐れもある。そこで金属コードを構成
する各金属フィラメントのゴム被覆率を向上させるた
め、例えば特公昭６３−６３２９３号では、複数個のく
せ付けピンを交互に配置した回転波付け装置を用いて供
給フィラメントに捩れが入らない状態で各金属フィラメ
ントに別々に撚りピッチより小さなピッチで一定の波を
付け、これを二度撚り撚線機で撚り合わせることにより
各金属フィラメント間にゴムの浸入を良くする隙間を生
じさせる金属コードの製造方法と製造装置が提案されて
いる。
接着性を付与するため、素材（ＪＩＳＧ３５０２ピアノ
線材）表面にブラス、銅、亜鉛などの金属めっきを施し
ているが、そのめっき厚さは通常０．２μｍ前後と薄い
ため、ゴム被覆されない部分があるとゴム中の水分や、
ゴムに生じた外傷が金属コードまで達した場合の外部か
らの浸透水分により短期間に腐食してしまい、その箇所
の切断荷重や耐疲労性が低下する。また、コードとゴム
との接着性が低下して剥離し、自動車タイヤの補強に用
いた場合、タイヤのいわゆるセパレーションによる品質
トラブルを起こす恐れもある。そこで金属コードを構成
する各金属フィラメントのゴム被覆率を向上させるた
め、例えば特公昭６３−６３２９３号では、複数個のく
せ付けピンを交互に配置した回転波付け装置を用いて供
給フィラメントに捩れが入らない状態で各金属フィラメ
ントに別々に撚りピッチより小さなピッチで一定の波を
付け、これを二度撚り撚線機で撚り合わせることにより
各金属フィラメント間にゴムの浸入を良くする隙間を生
じさせる金属コードの製造方法と製造装置が提案されて
いる。
【０００３】この提案は、撚りがあまくて構造が不安定
なオープンコードの使用上の欠点を補う目的でなされた
ものであって、二度撚り撚線機の入口側に配置した仮撚
り装置と回転波付け装置の間に捩れ逆流防止装置を設置
し、金属フィラメントに捩れが入らない状態で一定の螺
旋状の波付けを行うようにしている。
なオープンコードの使用上の欠点を補う目的でなされた
ものであって、二度撚り撚線機の入口側に配置した仮撚
り装置と回転波付け装置の間に捩れ逆流防止装置を設置
し、金属フィラメントに捩れが入らない状態で一定の螺
旋状の波付けを行うようにしている。
【０００４】また、特開平４−３０８２８８号も同じ目
的から素線又はストランドに小さいくせを付与したスチ
ールコードを一工程で簡単に製造する方法とその装置を
提案している。この提案は、仮撚り装置と回転波付け装
置の間に捩れ逆流防止装置が設置されていないことと、
その代わりに一部の実施例で仮捻り装置を設置したこと
が前記提案と異なる。
的から素線又はストランドに小さいくせを付与したスチ
ールコードを一工程で簡単に製造する方法とその装置を
提案している。この提案は、仮撚り装置と回転波付け装
置の間に捩れ逆流防止装置が設置されていないことと、
その代わりに一部の実施例で仮捻り装置を設置したこと
が前記提案と異なる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】上述した特公昭６３−
６３２９３号公報の方法及び装置は、同公報の図２に示
されるように、回転波付け装置、仮撚り装置、二度撚り
撚線機の回転方向が同一である場合、波付けされた金属
フィラメントの螺旋の巻き方向が仮撚り及び二度撚り時
の撚り方向と逆になることから、波付けの安定化のため
に撚線時に生じる捩れの逆流を防止して金属フィラメン
トに付された螺旋状波の戻りを無くしている。しかしな
がら、この方法及び装置は次の問題点を有している。
６３２９３号公報の方法及び装置は、同公報の図２に示
されるように、回転波付け装置、仮撚り装置、二度撚り
撚線機の回転方向が同一である場合、波付けされた金属
フィラメントの螺旋の巻き方向が仮撚り及び二度撚り時
の撚り方向と逆になることから、波付けの安定化のため
に撚線時に生じる捩れの逆流を防止して金属フィラメン
トに付された螺旋状波の戻りを無くしている。しかしな
がら、この方法及び装置は次の問題点を有している。
【０００６】 回転波付け装置以外に捩れ逆流防止装
置が必要。
置が必要。
【０００７】 螺旋状波のピッチが波の巻き方向と異
なる撚り方向の仮撚り及び二度撚り時に増大するのでそ
の分を見込んで波付けピッチを余分に小さくする必要が
あり、そのため、波付け装置の回転高速化で機能の維持
が難しくなったり、くせ付けピンによるしごきがきつく
なって金属フィラメントの強度低下が生じたりする。
なる撚り方向の仮撚り及び二度撚り時に増大するのでそ
の分を見込んで波付けピッチを余分に小さくする必要が
あり、そのため、波付け装置の回転高速化で機能の維持
が難しくなったり、くせ付けピンによるしごきがきつく
なって金属フィラメントの強度低下が生じたりする。
【０００８】 波付けした金属フィラメントと波付け
していない金属フィラメントを二度撚り撚線機で撚り合
わせると、波の巻き方向と撚り方向が逆になることが原
因で撚りが不安定になって撚りむらが生じ易い。
していない金属フィラメントを二度撚り撚線機で撚り合
わせると、波の巻き方向と撚り方向が逆になることが原
因で撚りが不安定になって撚りむらが生じ易い。
【０００９】 回転波付装置と二度撚り撚線機の間に
仮撚り装置を設置すると、いわゆる撚り合わせ前仮撚と
なって仮撚り効率が悪く、螺旋状波が消え易くなるので
その分を見込んで波の高さを余分に大きくする必要があ
り、そのため、くせ付けピンのピン変位を大きくしなけ
ればならず、ピン寿命の低下が生じたりする。
仮撚り装置を設置すると、いわゆる撚り合わせ前仮撚と
なって仮撚り効率が悪く、螺旋状波が消え易くなるので
その分を見込んで波の高さを余分に大きくする必要があ
り、そのため、くせ付けピンのピン変位を大きくしなけ
ればならず、ピン寿命の低下が生じたりする。
【００１０】また、後者の特開平４−３０８２８８号公
報の方法及び装置では、同公報の図１〜図３の回転くせ
付け手段Ｄと回転体本体Ａの回転方向が異なるため前記
問題点のうち〜は解消するが、依然としては残る
（但し、明細書には回転方向は自由に選択できるとして
おり同方向回転だと及びの問題も生じる）。
報の方法及び装置では、同公報の図１〜図３の回転くせ
付け手段Ｄと回転体本体Ａの回転方向が異なるため前記
問題点のうち〜は解消するが、依然としては残る
（但し、明細書には回転方向は自由に選択できるとして
おり同方向回転だと及びの問題も生じる）。
【００１１】この発明は、この製造上或いは品質上の問
題を生じさせずにゴム浸透性の良い金属コードを作れる
製造方法を提供しようとするものである。
題を生じさせずにゴム浸透性の良い金属コードを作れる
製造方法を提供しようとするものである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するために、巻取機構を備えた揺動自在のクレー
ドルをフライヤの内部に配置してある二度撚り撚線機と
金属フィラメントの供給リールとの間に回転波付け装置
を配置し、この装置で前記リールから供給されるｎ本
（２≦ｎ≦５）の金属フィラメントのうち少なくとも１
本に予め一定の細かい螺旋状の波を付けて撚線を行う金
属コードの製造方法において、回転波付け装置と二度撚
り撚線機の回転方向を互に逆にして金属コードの撚り方
向と同方向に螺旋状の波を付けるとともに、波付け前後
の金属フィラメントの捩れ回転に対する抵抗を波付け装
置手前から撚り口に至るまでのバスライン中でのガイド
物の対する接触部を少なくして極力小さくし、この状態
で所要の金属フィラメントの波付けと各金属フィラメン
トの撚り合わせを行い、その後さらに、巻取前に矯正ロ
ーラに通す方法を採る。
を解決するために、巻取機構を備えた揺動自在のクレー
ドルをフライヤの内部に配置してある二度撚り撚線機と
金属フィラメントの供給リールとの間に回転波付け装置
を配置し、この装置で前記リールから供給されるｎ本
（２≦ｎ≦５）の金属フィラメントのうち少なくとも１
本に予め一定の細かい螺旋状の波を付けて撚線を行う金
属コードの製造方法において、回転波付け装置と二度撚
り撚線機の回転方向を互に逆にして金属コードの撚り方
向と同方向に螺旋状の波を付けるとともに、波付け前後
の金属フィラメントの捩れ回転に対する抵抗を波付け装
置手前から撚り口に至るまでのバスライン中でのガイド
物の対する接触部を少なくして極力小さくし、この状態
で所要の金属フィラメントの波付けと各金属フィラメン
トの撚り合わせを行い、その後さらに、巻取前に矯正ロ
ーラに通す方法を採る。
【００１３】この方法は、回転波付け装置内の波付けを
施す中間ピンを基点として、その手前のガイドローラま
で距離を波付け後の撚り口までの距離よりも大きくする
とともに撚り口をガイドローラとして撚り点が撚り口ガ
イドローラの後になるようにして実施するとより好まし
い。
施す中間ピンを基点として、その手前のガイドローラま
で距離を波付け後の撚り口までの距離よりも大きくする
とともに撚り口をガイドローラとして撚り点が撚り口ガ
イドローラの後になるようにして実施するとより好まし
い。
【００１４】また、巻取前の金属コードを通す矯正ロー
ラは、コード直径の２５〜５０倍のローラ径をもつロー
ラを千鳥状に複数個配置してあるものが好ましい。
ラは、コード直径の２５〜５０倍のローラ径をもつロー
ラを千鳥状に複数個配置してあるものが好ましい。
【００１５】
【作用】回転波付け装置の回転方向が二度撚り撚線機の
回転方向と逆であるので、二度撚り時に金属フィラメン
トに生じる捩れの方向（これは撚り合わせ方向と同じ）
が波付けした金属フィラメントの螺旋巻き方向と同じに
なる。また、回転波付け装置前後に生じる捩れの方向は
互に逆であるが、波付け前後の金属フィラメントの捩れ
回転に対する抵抗が小さいため、その手前に生ずる捩れ
は供給リール側への逆流伝播がスムーズに起こり、波付
けを施すピンを越えて反対側への正流伝播を極力抑制す
るとともに、二度撚り時に生じた捩れの波付け装置側へ
の逆流伝播がスムーズに起こり、これらにより、回転波
付け装置の回転で金属フィラメントに生じさせた捩れに
手前からの正流伝播が抑制され、逆流した捩れが波付け
用のくせ付けピンの部分で付加される形になって波の形
状がより細かくなる。
回転方向と逆であるので、二度撚り時に金属フィラメン
トに生じる捩れの方向（これは撚り合わせ方向と同じ）
が波付けした金属フィラメントの螺旋巻き方向と同じに
なる。また、回転波付け装置前後に生じる捩れの方向は
互に逆であるが、波付け前後の金属フィラメントの捩れ
回転に対する抵抗が小さいため、その手前に生ずる捩れ
は供給リール側への逆流伝播がスムーズに起こり、波付
けを施すピンを越えて反対側への正流伝播を極力抑制す
るとともに、二度撚り時に生じた捩れの波付け装置側へ
の逆流伝播がスムーズに起こり、これらにより、回転波
付け装置の回転で金属フィラメントに生じさせた捩れに
手前からの正流伝播が抑制され、逆流した捩れが波付け
用のくせ付けピンの部分で付加される形になって波の形
状がより細かくなる。
【００１６】従って、波付け装置の回転数を理論値より
およそ５〜２０％下げて対象フィラメントに所定形状の
波を付すことができ、設備の機能維持が容易になる。
およそ５〜２０％下げて対象フィラメントに所定形状の
波を付すことができ、設備の機能維持が容易になる。
【００１７】また、金属フィラメントに付した波の螺旋
巻き方向が撚り合わせ方向と同一のため、撚り合わせ時
の波のピッチ増大がないのでくせ付けピンによるしごき
をきつくする必要がなく、金属フィラメントの強度低下
を防止しながら、巻取前に矯正ローラに通すことにより
螺旋の波形状をコントロールし、フィラメント間隙間が
均一で撚りが安定しているゴム被覆率の高い金属コード
を容易に得ることができる。
巻き方向が撚り合わせ方向と同一のため、撚り合わせ時
の波のピッチ増大がないのでくせ付けピンによるしごき
をきつくする必要がなく、金属フィラメントの強度低下
を防止しながら、巻取前に矯正ローラに通すことにより
螺旋の波形状をコントロールし、フィラメント間隙間が
均一で撚りが安定しているゴム被覆率の高い金属コード
を容易に得ることができる。
【００１８】さらに詳述すると、回転波付け装置前に生
じる金属フィラメントの捩れが同装置後に伝播するとこ
こで生じる金属フィラメントの逆方向の捩れが減り、波
のピッチが増大するため、この捩れの正流伝播を極力抑
制するには回転波付け装置内の波付けを施す中間ピンを
基点として、その手前のガイドローラまでの距離を波付
け後の撚り口まで距離よりも大きくするとよい。
じる金属フィラメントの捩れが同装置後に伝播するとこ
こで生じる金属フィラメントの逆方向の捩れが減り、波
のピッチが増大するため、この捩れの正流伝播を極力抑
制するには回転波付け装置内の波付けを施す中間ピンを
基点として、その手前のガイドローラまでの距離を波付
け後の撚り口まで距離よりも大きくするとよい。
【００１９】また、二度撚り時に生じた捩れの波付け装
置側への逆流伝播がよりスムーズに起こるように撚り口
に集合ダイスの代わりにガイドローラを使用し、撚り点
を撚り口ガイドローラの後におくことにより、波付け用
くせ付けピンの部分でより細かいピッチでのくせ付けが
可能になるばかりでなく、一旦付いたくせを消えにくく
することができる。
置側への逆流伝播がよりスムーズに起こるように撚り口
に集合ダイスの代わりにガイドローラを使用し、撚り点
を撚り口ガイドローラの後におくことにより、波付け用
くせ付けピンの部分でより細かいピッチでのくせ付けが
可能になるばかりでなく、一旦付いたくせを消えにくく
することができる。
【００２０】さらに、このようにして撚り合わされた金
属コードはオープンコード程ではないにしろイレギュラ
ーなコードであるので品質にむらが出易いが、巻取前に
得られる金属コードを、コード直径の２５〜５０倍のロ
ーラ径のローラを千鳥状に複数個配置した矯正ローラに
通すと長手方向で均質なコードを得ることができる。ロ
ーラの直径は金属コードの直径の２５倍未満だと矯正効
果が顕著すぎて波が消滅し易く、５０倍を越えると矯正
効果が不足する。
属コードはオープンコード程ではないにしろイレギュラ
ーなコードであるので品質にむらが出易いが、巻取前に
得られる金属コードを、コード直径の２５〜５０倍のロ
ーラ径のローラを千鳥状に複数個配置した矯正ローラに
通すと長手方向で均質なコードを得ることができる。ロ
ーラの直径は金属コードの直径の２５倍未満だと矯正効
果が顕著すぎて波が消滅し易く、５０倍を越えると矯正
効果が不足する。
【００２１】
【実施例】以下に、この発明の製造方法の一具体例を記
す。これは、波付けした１本の金属フィラメントと波付
けしていない２本の金属フィラメントを撚り合わせて１
×３の単撚り構造の金属コードを作る場合を例に挙げた
ものである。
す。これは、波付けした１本の金属フィラメントと波付
けしていない２本の金属フィラメントを撚り合わせて１
×３の単撚り構造の金属コードを作る場合を例に挙げた
ものである。
【００２２】図１に示すように、２本の金属フィラメン
ト１、１は、供給リール７から張力コントロールして繰
り出され、ガイドローラ１１を経て撚り口ガイドローラ
１３へ導びかれる。一方、残りの１本の金属フィラメン
ト２は、供給リール８から張力コントロールして繰り出
され、ガイドローラ１１を経て回転波付け装置９に送ら
れる。そして、同装置内の波成形ピン（くせ付けピン）
１０でしごかれると共に、回転波付け装置９が二度撚り
撚線機６の回転方向（ここでは反時計方向）とは逆方向
（時計方向）に高速回転することによりコードの撚り合
わせ方向と同一方向に捩られて、ピッチや高さが一定し
ている細かい螺旋状の波付けが行われる。また、この
時、波付け前金属フィラメントに生じる捩れは供給リー
ル直後のガイドローラ１１と波成形ピン１０との距離Ｌ
1 を充分大きくとっているのでピン側への正流伝播は抑
制され、波付けされた金属フィラメント１２は、二度撚
り撚線機６による撚り合わせ時に発生する捩れの逆流伝
播により波のピッチを徐々に縮めながら直接撚り口ガイ
ドローラ１３に導かれ、他の２本とともに二度撚り撚線
機６に送り込まれる。二度撚り撚線機６は、フライヤ４
の内部に揺動自在のクレードル５を有するもので、送り
込まれた３本の金属フィラメント１、１、１２がここで
撚りの締った状態に撚り合わされ、クレードル５内の矯
正ローラ１４で更に撚りを均質化して巻取り機構にセッ
ティングしたリール１５に巻き取られる。 この方法で
得られるセミコンパクト金属コード３の断面を図２に示
す。波付けされた金属フィラメント１２は、小円ａに内
接しながら螺旋を描き、さらに、この状態で大円Ａに内
接しながら撚り合わせによる螺旋を描いた状態になって
いる。従って、隣接フィラメント１、１との間に、小円
ａの径と金属フィラメント２の直径との径差（波の高さ
の残存量）による隙間が生じてコード内へのゴム浸透性
が良くなり、コードのゴム被覆率が高まる。
ト１、１は、供給リール７から張力コントロールして繰
り出され、ガイドローラ１１を経て撚り口ガイドローラ
１３へ導びかれる。一方、残りの１本の金属フィラメン
ト２は、供給リール８から張力コントロールして繰り出
され、ガイドローラ１１を経て回転波付け装置９に送ら
れる。そして、同装置内の波成形ピン（くせ付けピン）
１０でしごかれると共に、回転波付け装置９が二度撚り
撚線機６の回転方向（ここでは反時計方向）とは逆方向
（時計方向）に高速回転することによりコードの撚り合
わせ方向と同一方向に捩られて、ピッチや高さが一定し
ている細かい螺旋状の波付けが行われる。また、この
時、波付け前金属フィラメントに生じる捩れは供給リー
ル直後のガイドローラ１１と波成形ピン１０との距離Ｌ
1 を充分大きくとっているのでピン側への正流伝播は抑
制され、波付けされた金属フィラメント１２は、二度撚
り撚線機６による撚り合わせ時に発生する捩れの逆流伝
播により波のピッチを徐々に縮めながら直接撚り口ガイ
ドローラ１３に導かれ、他の２本とともに二度撚り撚線
機６に送り込まれる。二度撚り撚線機６は、フライヤ４
の内部に揺動自在のクレードル５を有するもので、送り
込まれた３本の金属フィラメント１、１、１２がここで
撚りの締った状態に撚り合わされ、クレードル５内の矯
正ローラ１４で更に撚りを均質化して巻取り機構にセッ
ティングしたリール１５に巻き取られる。 この方法で
得られるセミコンパクト金属コード３の断面を図２に示
す。波付けされた金属フィラメント１２は、小円ａに内
接しながら螺旋を描き、さらに、この状態で大円Ａに内
接しながら撚り合わせによる螺旋を描いた状態になって
いる。従って、隣接フィラメント１、１との間に、小円
ａの径と金属フィラメント２の直径との径差（波の高さ
の残存量）による隙間が生じてコード内へのゴム浸透性
が良くなり、コードのゴム被覆率が高まる。
【００２３】なお、この発明で最低１本、最大でｎ本の
金属フィラメントに付す螺旋状波の形状は、しごきの度
合を左右する波成形ピンの変位量とフィラメントの張力
並びに回転波付け装置の回転数などの製造条件を変えて
自由に設定できるが、撚り合せる前の波のピッチは０．
２５〜０．８０Ｐ（Ｐ＝コードの撚りピッチ）程度の範
囲に収めるのが好ましく、また、波の高さは、コードの
撚り合わせ後、矯正ローラによる調整で０．０２〜０．
１５mm残存するように定めるのがよい。
金属フィラメントに付す螺旋状波の形状は、しごきの度
合を左右する波成形ピンの変位量とフィラメントの張力
並びに回転波付け装置の回転数などの製造条件を変えて
自由に設定できるが、撚り合せる前の波のピッチは０．
２５〜０．８０Ｐ（Ｐ＝コードの撚りピッチ）程度の範
囲に収めるのが好ましく、また、波の高さは、コードの
撚り合わせ後、矯正ローラによる調整で０．０２〜０．
１５mm残存するように定めるのがよい。
【００２４】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の製造方
法によれば、回転波付け装置の回転方向を二度撚り撚線
機の回転方向と逆にして波付け装置前に生じる捩れを正
流伝播させないようにし、二度撚り時に生じる捩れを積
極的に波付け装置側に逆流伝播させ、波付けした金属フ
ィラメントの捩れを逆流した捩れによってきつくするよ
うにしたので、回転波付け装置の回転数を下げ、成形ピ
ンによるしごきも弱くして一定の細かい螺旋状波を施す
ことができ、設備の機能維持、金属フィラメントの強度
維持が容易になり、しかも矯正ローラの調整により均質
なコードが容易に得られる。
法によれば、回転波付け装置の回転方向を二度撚り撚線
機の回転方向と逆にして波付け装置前に生じる捩れを正
流伝播させないようにし、二度撚り時に生じる捩れを積
極的に波付け装置側に逆流伝播させ、波付けした金属フ
ィラメントの捩れを逆流した捩れによってきつくするよ
うにしたので、回転波付け装置の回転数を下げ、成形ピ
ンによるしごきも弱くして一定の細かい螺旋状波を施す
ことができ、設備の機能維持、金属フィラメントの強度
維持が容易になり、しかも矯正ローラの調整により均質
なコードが容易に得られる。
【００２５】また、捩れ逆流防止装置や仮捻り装置を用
いていないので設備費の面でも有利になる。
いていないので設備費の面でも有利になる。
【００２６】さらに、金属フィラメントに付す波の螺旋
巻き方向が撚り合わせ方向と同一になるので、フィラメ
ント間隙間が均一で撚りの安定したゴム被覆率の良い金
属コードが得られ、このコードの耐食性の改善にも効果
を奏する。
巻き方向が撚り合わせ方向と同一になるので、フィラメ
ント間隙間が均一で撚りの安定したゴム被覆率の良い金
属コードが得られ、このコードの耐食性の改善にも効果
を奏する。
【００２７】このほか、撚りの締った低荷重域伸度の小
さい金属コードが得られるので、金属コードの使用時の
品質問題も解消される。従って、耐久性、安全性が重視
される自動車タイヤ、高圧ホース、コンベアベルトなど
のゴム物品補強用金属コードの製造に利用すると特に効
果的である。
さい金属コードが得られるので、金属コードの使用時の
品質問題も解消される。従って、耐久性、安全性が重視
される自動車タイヤ、高圧ホース、コンベアベルトなど
のゴム物品補強用金属コードの製造に利用すると特に効
果的である。
【図１】この発明の製造方法の一例を示す線図
【図２】図１の製造方法で得られるセミコンパクトコー
ドの断面図
ドの断面図
１ 波付けしない金属フィラメント ２ 波付けする金属フィラメント ３ 金属コード ４ フライヤ ５ クレードル ６ 二度撚り撚線機 ７、８ 供給リール ９ 回転波付け装置 １０ 波成形ピン １１ ガイドローラ １２ 波付け後の金属フィラメント １３ 撚り口ガイドローラ １４ 矯正ローラ １５ 巻取りリール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−19986（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−127581（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−308288（ＪＰ，Ａ) 特公 昭63−63293（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) D07B 1/06 B21F 7/00
Claims (4)
- 【請求項１】 巻取機構を備えた揺動自在のクレードル
をフライヤの内部に配置してある二度撚り撚線機と金属
フィラメントの供給リールとの間に波成形ピンを有する
回転波付け装置を配置し、この装置で前記リールから供
給されるｎ本（２≦ｎ≦５）の金属フィラメントのうち
少なくとも１本に予め一定の細かい螺旋状の波を付けて
撚線を行う金属コードの製造方法において、前記回転波
付け装置と二度撚り撚線機の回転方向を互いに逆にして
金属コードの撚り方向と同方向に螺旋状の波を付けると
ともに、波付け前後の金属フィラメントの捩れ回転に対
する抵抗を波付け装置手前から撚り口に至るまでのバス
ライン中でのガイド物に対する接触部を少なくして極力
小さくし、この状態で所要の金属フィラメントの波付け
と各金属フィラメントの撚り合わせを行い、その後さら
に、巻取前に矯正ローラに通すことを特徴とする金属コ
ードの製造方法。 - 【請求項２】 回転波付け装置内の波付けを施す中間ピ
ンを基点として、その手前のガイドローラまでの距離を
波付け後の撚り口までの距離よりも大きくしておく請求
項１記載の金属コードの製造方法。 - 【請求項３】 撚り口をガイドローラとして撚り点が撚
り口ガイドローラの後になるようにした請求項１又は２
記載の金属コードの製造方法。 - 【請求項４】 波付けした金属フィラメントと他の各金
属フィラメントの撚り合わせを行った後、巻取前に、金
属コードの直径の２５〜５０倍のローラ径をもつローラ
を千鳥状に複数個配置してある矯正ローラに通すように
した請求項１、２又は３記載の金属コードの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP05096004A JP3109323B2 (ja) | 1992-05-20 | 1993-04-22 | 金属コードの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4-127226 | 1992-05-20 | ||
| JP12722692 | 1992-05-20 | ||
| JP05096004A JP3109323B2 (ja) | 1992-05-20 | 1993-04-22 | 金属コードの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0633384A JPH0633384A (ja) | 1994-02-08 |
| JP3109323B2 true JP3109323B2 (ja) | 2000-11-13 |
Family
ID=26437176
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP05096004A Expired - Fee Related JP3109323B2 (ja) | 1992-05-20 | 1993-04-22 | 金属コードの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3109323B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102345192A (zh) * | 2010-08-05 | 2012-02-08 | 程国民 | 一种中空锭子捻线机 |
-
1993
- 1993-04-22 JP JP05096004A patent/JP3109323B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0633384A (ja) | 1994-02-08 |
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