JP3106848B2 - ガスヘッダー及びそれを使用したロールの温度差変形防止方法 - Google Patents

ガスヘッダー及びそれを使用したロールの温度差変形防止方法

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JP3106848B2
JP3106848B2 JP06103761A JP10376194A JP3106848B2 JP 3106848 B2 JP3106848 B2 JP 3106848B2 JP 06103761 A JP06103761 A JP 06103761A JP 10376194 A JP10376194 A JP 10376194A JP 3106848 B2 JP3106848 B2 JP 3106848B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属帯(鋼帯等)の竪
型連続熱処理炉において金属帯と搬送ロールとの温度差
に起因して発生する搬送ロールの熱変形を防止する方法
と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼帯を、多数の搬送ロールに掛渡しつつ
搬送する竪型連続熱処理炉においては、鋼帯が搬送パス
ライン中心からはずれる蛇行を防止する目的で、搬送ロ
ール中央部のロール径が両端部より大きい凸クラウンを
付けた搬送ロールが用いられ、ベルト車における蛇行防
止と同じ原理により、個々の搬送ロールに蛇行防止機能
を持たせている。
【0003】しかし、搬送ロールの凸クラウンが大きす
ぎると、鋼帯に働く蛇行修正力が過大になり、鋼帯幅方
向に圧縮応力が発生し、鋼帯に面外変形が生じる。面外
変形が生じた状態で鋼帯が搬送ロールに巻きつくと、搬
送ロール上で鋼帯が座屈してしわが生じ、製品としての
価値がそこなわれるばかりか、座屈が甚だしい場合に
は、これが原因で鋼帯が破断し設備の操業停止に至るな
ど大きなトラブルを引き起こすことがある。従って、従
来は搬送ロールの凸クラウンを蛇行が発生しない最小
量、たとえば搬送ロール中央部のロール径と両端部のロ
ール径の差を0.2mm〜2.0mm、にして操業が行
われてきた。
【0004】竪型連続熱処理炉の加熱帯では、鋼帯を所
定の温度、例えば650℃〜850℃、まで加熱するた
めに、ラジアントチューブ等の加熱装置を多数配置して
雰囲気ガス温度が600℃〜900℃に加熱された炉内
を、炉内上下に配置された搬送ロール間に鋼帯を掛け渡
して上下に搬送させながら、鋼帯を徐々に加熱する方法
が用いられる。このとき、常温の鋼帯が導入される加熱
炉入り側では、鋼帯の温度と炉内ガス温度との差が非常
に大きくなる。加熱炉内、特に、熱のたまりやすい天井
部にあって、炉の入り側に設置された搬送ロールは、高
温の雰囲気ガスにより加熱されるのに対して、まだ十分
に加熱されていない鋼帯と接触する搬送ロール中央部で
は、鋼帯によって冷却され、搬送ロールに数百℃の大き
な温度差が生じることが多い。
【0005】前述のように、搬送ロールには蛇行防止の
目的で凸クラウンが付与してあり、凸クラウンの大きさ
は、鋼帯の座屈防止の目的から0.5mm〜2.0mm
と極めて小さく製作されている。一般に、搬送ロールは
耐高温の金属材料で製作されており、線膨張係数は1.
5×10-31/℃程度である。また、その径は1m程度で
あるから、搬送ロール中央部が鋼帯によって冷却され1
00℃の温度差が発生した場合の熱膨張差は1.5mm
にもなり、初期の凸クラウン量を相殺する値となる。こ
のような場合には、搬送ロールの蛇行修正機構が働かな
くなりパスラインに沿って安定搬送することが困難とな
る。
【0006】このような現象に対処するため、従来は、
例えば、搬送ロールの温度差変形をあらかじめ加味して
凸クラウンを設計する方法も試みられてきた。しかし、
通常の竪型連続焼鈍炉では搬送する鋼帯の幅が概略50
0mm〜1800mmの範囲で変化するため、鋼帯の幅
によって温度差変形の発生状況が異なり、すべての鋼帯
の幅に対して、座屈を生じず、かつ温度差変形によって
も相殺されない凸クラウン形状を設計することはできな
かったのが現状である。
【0007】上記問題を解決するために、以下の様な方
法が開示されている。特開昭62−253734号公報
には、鋼帯搬送ロールの両端部に向けて冷却ガスを吹き
付けて搬送ロールの温度差変形を防止しようとする方法
が開示されている。
【0008】特開昭62−256922号公報には、搬
送ロールを受容するロール室内に、鋼帯の温度に対応し
た気体を吹込むようにしたものが開示されている。
【0009】特開昭63−38532号公報には、温度
計を内蔵した鋼帯搬送ロールを受容するロール室内に、
搬送ロールの温度分布に対応した加熱、冷却を行うため
のガス吹込みノズルを設置したものが開示されている。
【0010】特開平2−277727号公報には、搬送
ロールを受容するロール室内壁面の輻射率を0.3以下
の材料で製作して、ロール室壁から搬送ロールへの輻射
伝熱を低減する方法が開示されている。
【0011】特開平4−293734号公報には、複数
の搬送ロールを受容する箱型ロール室内に、新雰囲気ガ
スの一部を吹込んで、ロール室の温度を低下させて搬送
ロールの温度差変形を低減する方法が開示されている。
【0012】一方、本発明者の同僚らは、すでに、実開
昭58−105464号公報において、搬送ロール端部
に冷却ガスを搬送ロールの上面から吹き付けて、温度差
変形を防止する方法を提示している。この方法では図7
に示すように、搬送ロール2の冷却すべき部分を、上側
から逆U字型の冷却ガスヘッダ18で覆い、冷却ガスヘ
ッダに多数配置したノズル19から搬送ロール上面のほ
ぼ半周にわたってガスを噴出させるものである。さら
に、炉内からの輻射伝熱量を低減する目的で可動式の輻
射伝熱抑止板20を設置して冷却効果を高めている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術には以下の様な問題点があった。特開昭62−25
3734号公報に記載される技術では、その構造図によ
るとロール室が設置されていないため、高温の炉内雰囲
気ガスが鋼帯に随伴して搬送ロール近傍に流れ込むた
め、搬送ロールの温度分布を一定に保つためには大量の
ガスを吹き付けることが必要で、運転費の上昇を招く問
題があった。また応答性が悪いという問題もあった。
【0014】特開昭62−256922号公報に記載さ
れる技術では、その構造によると、ロール室形状が箱型
であるため、ロール体積にくらべてロール室容積が2倍
程度になり、余分な空間が大きくなる。従って、高温の
炉内雰囲気ガスが鋼帯の搬送に伴ってロール室内に流れ
込んで、ロール室隅によどみやすくなるため、搬送ロー
ルの温度分布を一定に保つためには大量のガスを吹き込
むことが必要で、運転費の上昇を招く問題があった。ま
た応答性が悪いという問題もあった。
【0015】特開昭63−38532号公報に記載され
る技術の方法は、その構造によればロール室形状が箱型
であり、かつ、複数の搬送ロールを受容する構造である
ため余分な空間が大きく、高温の炉内雰囲気ガスが鋼帯
の搬送に伴ってロール室に流れ込んで澱みやすくなるた
め、搬送ロールの温度分布を制御するためには大量のガ
スを循環することが必要で、運転費の上昇を招く問題が
あった。また応答性が悪いという問題もあった。さら
に、温度計を内蔵した搬送ロールの設備費が高いという
問題もあった。
【0016】特開平2−277727号公報に記載され
る技術での輻射伝熱量は輻射面積にも比例するので、ロ
ール室形状が箱型で伝熱面積が大きい現状の方法では、
大きな効果は期待できない。また、搬送ロールへの炉内
高温ガスからの伝熱に大きな割合を占める対流伝熱量、
および炉内高温ガスからの輻射伝熱量を低減する技術で
ないため大きな効果は期待できない。
【0017】特開平4−293734号公報に記載され
る技術での方法によると、ロール室形状が箱型であり、
かつ、複数の搬送ロールを受容する構造であるため余分
な空間が大きく、高温の炉内雰囲気ガスが鋼帯の搬送に
伴ってロール室に流れ込んで澱みやすくなるため、搬送
ロールの温度分布を制御するためには余分な新雰囲気ガ
スを吹込むことが必要で、運転費の上昇を招く問題があ
った。また応答性が悪いという問題もあった。
【0018】実開昭58−105464号公報に記載さ
れる技術における方法では、冷却ガスヘッダや輻射伝熱
抑止板が可動式であるため、制御範囲は広いものの、構
造が複雑である問題があった。さらに、搬送速度が高速
になると、冷却ガスヘッダと搬送ロールとの間隙に流入
する高温の炉内ガス量が増加し、冷却に必要なガス量が
増加するという問題があった。
【0019】本発明の目的は、以上のような従来技術の
問題点に鑑み、搬送ロールの温度差変形防止方法の問題
点を解決し、構造が簡単で、かつ制御性が良く、さらに
保守、保全性にすぐれた、連続焼鈍炉加熱炉内搬送ロー
ルの温度差変形防止方法を提供しようとするものであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の手段に
より解決される。 金属帯の竪型連続熱処理炉内の搬
送ロールに配置されるガスヘッダーにおいて、搬送ロー
ルの下部に配置された遮蔽板とによりロール室を形成
し、前記搬送ロールに温度調整用ガスを吹き付けるガス
ヘッダーであって、搬送ロールに相対する下面が逆U字
型であり、搬送ロールと金属帯の接触終了位置付近にロ
ール軸方向に長いスリット状のガス吹き出し口を有する
ことを特徴とするガスヘッダー。 搬送ロールに対す
る面が、表面の輻射率が小さな材料で作られていること
を特徴とするに記載のガスヘッダー。 または
に記載のガスヘッダーを用い、前記搬送ロールと逆U字
型のガスヘッダーの下面との間隙に向けて、ガスヘッダ
ーのガス吹きだし口よりロール温度調節用ガスを噴出す
ることを特徴とする金属帯搬送ロールの変形防止方法。
搬送ロール端部の温度と搬送ロール上での金属帯の
温度を測定し、前記搬送ロール端部の温度と前記搬送ロ
ール上での金属帯の温度差が所定の範囲内に入るよう
に、ガスヘッダーから噴出するガスの温度およびまたは
流量を調整することを特徴とする、に記載の金属帯搬
送ロールの温度差変形防止方法。
【0021】
【作用】本発明の作用を図6を用いて説明する。図6に
おいて1は金属帯、2は搬送ロール、3はガスヘッダ
ー、5は冷却ガス供給配管、6はスリット状の開口であ
る。ここで、金属帯1に付されている矢印は金属帯1の
搬送方向を、ガスヘッダー3及び搬送ロール2の近傍の
矢印は冷却ガスの流れる方向を示している。
【0022】本発明では、冷却ガスは、ガス供給配管5
からガスヘッダー3内に導かれる。供給されたガスは、
ヘッダー内をからへ矢印方向に流れながら、ヘッダ
ー内のガスを置換し、スリット状の開口6より、搬送ロ
ール2と金属帯1の接触終了部分に向けて、金属帯の
搬送方向と対向する方向に吹出される。
【0023】スリット状の開口6から吹出した冷却ガス
のうち、金属帯1が巻き付いている搬送ロール中央部に
吹出した冷却ガスは、ガスヘッダー3と搬送ロール2と
の間隙を、と進み、の位置で,金属帯1に随伴し
て流れ込む高温の炉内ガスと衝突する。その結果、流
れ方向を変えて、金属帯1の幅方向の両側の空間から
方向に流れ、金属帯1の搬送に伴ってから炉内に流入
するのである。一方、炉内ガスは、炉内から、金属帯
1に随伴して冷却ガスヘッダー内のの位置に流れ込
み、の位置に対向して流れてきた冷却ガスによって方
向を変えられ、金属帯1の幅方向の両側の空間から方
向に流れ、金属帯1の搬送に伴ってから炉内に環流す
るのである。
【0024】一方、金属帯1が巻き付いていない、搬送
ロール両端部に噴出した冷却ガスについては、ガスヘッ
ダー3と搬送ロール2との間隙を、と進み、の位
置で,温度差対流によって流れ込む高温の炉内ガスと衝
突混合する。その後、金属帯1の幅方向の両側の空間か
ら方向に流れ、から炉内に流入するのである。
【0025】ガスヘッダー3は、このような流れを生じ
させる構造であるから、金属帯に随伴して流れ込む高温
の炉内ガスがの位置で冷却ガスと衝突するので、その
流入量を抑制する効果があり、かつ、従来の箱型ロール
室に比べて、冷却ガスを流す空間が極めて小さいので、
少ない冷却ガス流量で、搬送ロールの温度差変形を抑え
る経験的に得られる冷却ガスの温度、流量により、効果
的に温度制御できるのである。このように、本発明は従
来技術では十分に検討されなかった、ロール近傍のガス
流れと冷却効果に着目して行われた発明である。
【0026】ここで、前記逆U字形のガス吹出しヘッダ
の、搬送ロールに対する面を、表面の輻射率が小さな材
料で作ることにより、金属帯搬送ロールと冷却ガスヘッ
ダとの輻射伝熱量を抑制し、冷却ガスでの対流伝熱によ
る冷却制御性を高めて温度差変形を防止することができ
る。
【0027】また上記発明において、逆U字形のガスヘ
ッダーから噴出するガスの流量が、前記逆U字形のガス
ヘッダーと、前記搬送ロールとの間隙に設置された搬送
ロールの温度計の指示値が搬送ロール上での金属帯の温
度と所定の範囲内で一致するように流量調整されること
により、温度制御性を高めて温度差変形が防止できる。
すなわち図6において、逆U字形のガスヘッダーから噴
出するガスの流量または温度設定を、前記逆U字形のガ
スヘッダーと、前記搬送ロールとの間隙に設置された搬
送ロールの温度計の指示値と、別に与えられる、搬送ロ
ール上での金属帯の温度との偏差に基づいて行えば、搬
送ロール周囲のガス温度を、金属帯の温度に近づけるこ
とができる。また、冷却ガスがガスヘッダー内を通過し
てから供給されるのであるから、ガスヘッダーの搬送ロ
ールに面する表面も、冷却ガスの温度に近くなってお
り、対流伝熱および輻射伝熱のいずれについても、搬送
ロールの温度偏差を、金属帯温度に近づける方向に作用
するので、前記の目標温度偏差を所定の範囲内として冷
却ガス流量を調整すれば、良好な温度制御性をもって搬
送ロールの温度偏差を抑制することができる。
【0028】
【実施例】以下に、添付図に示す具体的な実施例に基づ
いて本発明の構成を詳細に示す。図1は、本発明を、鋼
帯の連続焼鈍ラインの加熱炉の鋼帯搬送ロールに試験的
に適用した実施例を示す図である。以下の図において、
図6と同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
図1において、4は冷却ガス流量制御弁、7は輻射抑止
板、8は断熱材、9は加熱炉の側板、10は加熱炉の天
板、11は温度計、12は冷却ガス流量制御装置、31
はガスヘッダーの側板である。図1において、金属帯
(鋼帯)1の搬送方向は図の矢印の通りである。冷却ガ
ス供給配管5は、ガスヘッダー3内に挿入され、冷却ガ
ス流量制御弁4の下流側で分岐して炉幅方向に2本設置
してある。ここで、冷却ガスは炉内雰囲気ガスと成分が
同じ非酸化性のガスで、本図には示されていない場所で
鋼帯の温度以下に温度制御されて供給されている。冷却
ガス流量制御装置12は、別に与えられる、鋼帯温度信
号(a)と温度計11で測定される温度との偏差が小さ
くなるように、冷却流量制御弁4の開度を制御してい
る。また、スリット状の開口6は、逆U字型のガスヘッ
ダー3と概略等しい幅を有している。
【0029】図1(I)は搬送ロールの軸と垂直に交わ
る断面を示す図である。ガスヘッダー3と搬送ロール2
との間隙Sは、鋼帯の形状が搬送ロールに巻き付くこと
によってロール形状にならうため、5cmと極めて接近
させている。ここで、ガスヘッダー3の搬送ロール2に
対する面はステンレス鋼板で作られている。また、冷却
ガス吹出しのためのスリット状の開口6は、ガスの吹出
し方向が、鋼帯の搬送方向と対向する方向となるように
してある。このような構造としてあるため、前記逆U字
形のガス吹出しヘッダに供給されるガスが、前記吹出し
ヘッダのガス噴出口とは、搬送ロールに対して反対側
で、かつ鋼帯の幅方向両端部近傍に深く挿入された配管
から供給されることにより、単純な構造のガス吹出しヘ
ッダでありながら、ヘッダ内のながれの澱みを抑制しな
がら、スリットから吹出すガス速度に、ヘッダ両端部に
大きな噴出流量分布を生じさせる作用があり、冷却が必
要なロール端部の温度差変形を効果的に防止するもので
ある。
【0030】本発明によれば、従来の箱型ロール室に比
べて、冷却ガスを流す空間が極めて小さいので、少ない
冷却ガス流量で、搬送ロールの温度差変形を抑える経験
的に得られる冷却ガスの温度、流量により、効果的に温
度制御できる。図7は従来の温度差発生防止方法を示す
図であるが、従来技術のように、搬送ロールの周方向に
冷却ガスを分散して吹き付けると、図7に示すように、
ヘッダの両端近傍から噴出した冷却ガスは、搬送ロール
を十分に冷却することなく搬送ロールから離れてしまう
ため、冷却効率が悪いという欠点が存在する。
【0031】図1(II)は図1(I)の矢印方向の断
面を示す図である。図1(II)において、Wは、冷却ガ
ス吹出しのためのスリット状の開口の概略の幅を示す記
号である。温度計11は、搬送ロール2と、ガスヘッダ
ー3の間隙でかつ、鋼帯の巾方向端部よりさらに外側に
設置されている。温度計の設置位置を、搬送される鋼帯
の最大幅での鋼帯端部位置の近傍でかつ外側にしたこと
により、測定される温度が、主として温度制御すべき搬
送ロール表面からの輻射伝熱と、冷却ガスからの対流伝
熱によって決まる。よって、鋼帯からの熱輻射の影響に
よる温度測定誤差が小さくなる。また、感温部は、搬送
ロール軸方向と平行にして、温度計を通じての熱伝導に
よる測定誤差を軽減している。このようにして温度制御
性を高めて温度差変形を防止しているのである。
【0032】本実施例では、別に与えられる、鋼帯温度
信号(a)と温度計11で測定される温度との偏差が小
さくなるように、冷却ガス流量制御装置12で冷却ガス
流量制御弁4の開度を制御している。すなわち、逆U字
形のガスヘッダー3から噴出するガスの温度を、本図に
は示されていない熱交換器により、搬送ロール上での鋼
帯1の温度より低くする。そのうえで、噴出するガスの
流量設定を、前記逆U字形のガスヘッダー3と、前記搬
送ロール2との間隙に設置された温度計11の指示値
と、別に与えられる搬送ロール上での鋼帯1の温度との
偏差に基づいて行って、搬送ロール周囲のガス温度を、
鋼帯1の温度に近づけ、かつ、冷却ガスが冷却ガスヘッ
ダ内を通過してから供給されるのであるから、冷却ガス
ヘッダの搬送ロールに面する表面も、冷却ガスの温度に
近くして、対流伝熱および輻射伝熱のいずれについて
も、搬送ロール2の温度偏差を、鋼帯温度に近づける方
向に作用させて、前記の目標温度偏差を、鋼帯1の接続
部が通過する前後では±20℃以内、その他では、±1
0℃以内として冷却ガス流量を調整しているのである。
【0033】前述のように、搬送ロールには蛇行防止の
目的で凸クラウンが付与してあり、凸クラウンの大きさ
は、鋼帯の座屈防止の目的から0.5mm〜2.0mm
と極めて小さく製作されている。一般に、搬送ロールは
耐高温の金属材料で製作されており、熱膨張係数は1.
5×10-31/℃程度である。また、その径は1m程度で
あるから、搬送ロール中央部が鋼帯によって冷却され2
0℃の温度差が発生した場合の熱膨張差は0.3mm程
度であり、初期の凸クラウン量に比べて小さな値とな
り、搬送ロールの蛇行修正機構を維持できる。
【0034】また、前記逆U字形のガスヘッダーと、前
記搬送ロールとの間隙に設置する温度計の鋼帯の幅方向
位置が、搬送される鋼帯の最大幅での鋼帯端部位置の近
傍でかつ外側であることにより、鋼帯からの熱輻射の影
響による温度測定誤差を小さくし、温度制御性を高めて
温度差変形を防止すことができる。すなわち、測定され
る温度が、主として温度制御すべき搬送ロール表面から
の輻射伝熱と、冷却ガスからの対流伝熱によって決まる
ので、鋼帯からの熱輻射の影響による温度測定誤差を小
さくできる作用があり、温度制御性を高めて温度差変形
を防止できるのである。
【0035】また、前記逆U字形のガスヘッダーに供給
されるガスが、前記ガス噴出口とは、搬送ロールに対し
て反対側で、かつ鋼帯の幅方向両端部近傍に深く挿入さ
れた配管から供給されることにより、単純な構造のガス
ヘッダーでありながら、ヘッダー内の流れの澱みを抑制
しながら、スリットから吹出すガス速度に、ヘッダー両
端部に大きな噴出流量分布を生じさせて、冷却が必要な
ロール端部の温度差変形を効果的に防止することができ
る。
【0036】また、前記逆U字形のガスヘッダーの、搬
送ロールに対する面を、表面の輻射率が小さな材料で作
ることにより、鋼帯搬送ロールと冷却ガスヘッダーとの
輻射伝熱量を抑制し、冷却ガスでの対流伝熱による冷却
制御性を高めて温度差変形を防止することができる。
【0037】また、鋼帯の温度が、数百度℃となる部分
では、搬送ロール、冷却ガスヘッダー自身も数百度℃の
温度となり、冷却ガスヘッダー上面からの放熱量が増大
するので、前記逆U字形のガスヘッダーの上面を断熱材
で覆い、炉外への熱損失を抑制することにより、温度差
変形が防止でき、省エネルギーに寄与する。
【0038】また、前記逆U字形のガスヘッダーを吊り
上げて、炉と脱着できる構造とし、保守、保全性を高
め、かつ、既設炉への適用を容易ならしめることができ
る。従来から、連続焼鈍炉では、炉内搬送ロールの保
守、点検のため、炉の天井は脱着可能な蓋が取付けてあ
るのが一般的である。本発明は、いわば、このような蓋
に冷却ガスヘッダーを取付けただけの構造であり、既設
の炉にも容易に取付け可能な発明である。図2は、この
ような本発明による搬送ロールの温度制御装置を加熱炉
と脱着する方法を示す実施例の図である。図2におい
て、13はクレーンのフックである。本実施例では、逆
U字形のガスヘッダー3、冷却ガス流量制御弁4、冷却
ガス供給配管5、断熱材8、温度計11を一体としてク
レーンで吊り上げて加熱炉と脱着する構造となってい
る。
【0039】また、前記逆U字形のガスヘッダーを複数
個連接し、それを一体として吊り上げて、炉と脱着でき
る構造とし、かつ、各ガスヘッダーには、ガス供給配管
と温度計が設置され、独立して流量制御ができることを
特徴とする鋼帯搬送ロールの温度差変形防止装置とすれ
ば、保守、保全性が高まり、かつ、既設炉への適用が容
易になり、設備費が軽減される。図3、図4は、このよ
うな本発明による搬送ロールの温度制御装置を複数設置
した場合の実施例である。以下の図において、図2と同
一部分には同一符号を付し、説明を省略する。図3、図
4のような場合には、各冷却ガスヘッダーに流量制御弁
4と温度計11を設置して、ヘッダー毎の温度制御が可
能なようにしてある。このように複数個の冷却ヘッダー
を同時に炉と脱着できる構造としたため、設備費を節約
しつつ、保守、保全性を高め、かつ、既設炉への適用を
容易ならしめたものである。従来から、連続焼鈍炉で
は、炉内搬送ロールの保守、点検のため、炉の天井は脱
着可能な蓋が取付けてあるのが一般的である。本発明
は、いわば、このような蓋に冷却ガスヘッダーを取付け
ただけの構造である。
【0040】また、前記逆U字形のガスヘッダーに供給
されるガスを、炉内から抽気して熱交換機により温度調
整されたガスと新たに炉外から供給される非酸化性ガス
との混合ガスとすることにより、温度制御性が高まるの
みならず、本発明により必要となる非酸化性ガス消費量
の増分を無くすことができる。さらに、前記逆U字形の
ガスヘッダーを、炉内ガス温度と鋼帯温度との差が50
℃以上で、鋼帯搬送ロールの温度差変形が起きやすい位
置にのみ設置することにより、設備費の増分を抑制する
ことができる。図5は、このような本発明によるロール
温度差発生防止装置を連続焼鈍炉の加熱帯前段に設置し
た場合の図で、冷却ガス供給系統と共に示した図であ
る。図5において14a〜14cは抽気調節弁、15は
熱交換器、16はブロワ、17は給気調節弁である。逆
U字形のガスヘッダー3を連続焼鈍炉の加熱炉前段の鋼
帯と炉温との差が大きい位置に4個組込み、ガスヘッダ
ー3に供給されるガスを、炉内から抽気調節弁14a〜
14cを経て抽気し、熱交換器15により温度調整し、
ブロワ16により昇圧したガスと、給気調節弁17を経
て新たに炉外から供給される非酸化性ガスとの混合ガス
とすることにより、冷却ガス流量調節弁4a〜4eを経
て供給する非酸化性ガス流量を確保し、かつ、本発明に
より必要となる非酸化性ガス消費量の増分を無くしたも
のである。なお、鋼帯の搬送方向はからの方向であ
る。
【0041】図8は本発明による装置取付けの前後にお
ける、炉内月別絞り発生回数の推移を示した図である。
図8より、本発明による装置取付け後の、絞り発生回数
が激減していることがわかる。
【0042】本発明は、鋼帯以外の各種の金属帯に適用
可能である。また、搬送ロール内部が冷却又は加熱して
ある場合にも適用可能である。更に、搬送ロールに線膨
張係数の小さいロール材質を選定している場合にも適用
可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明により、ロールの温度差変形が減
少し、搬送ロールの適性な凸クラウンが維持でき、炉内
における金属帯の破断等のトラブルが減少して、製品の
品質向上のみならず生産性の向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施例の概略を示す側断面図である。
【図2】本発明によるロール温度差発生防止装置の脱着
方法を示す図である。
【図3】本発明によるロール温度差発生防止装置を2個
連接した場合の図である。
【図4】本発明によるロール温度差発生防止装置を3個
連接した場合の図である。
【図5】本発明によるロール温度差発生防止装置を連続
焼鈍炉の加熱帯前段に設置した場合の図で、冷却ガス供
給系統と共に示した図である。
【図6】本発明によるロール温度差発生防止方法の作用
を示す図である。
【図7】従来の温度差発生防止装置を示す図である。
【図8】本発明の効果を示す図である。
【符号の説明】
1 金属帯 2 搬送ロール 3 逆U字形のガスヘッダー 6 冷却ガス吹出しのためのスリット状の開口 11 温度計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 邦明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 実開 昭58−105464(JP,U) 実開 平3−53545(JP,U) 実開 平3−59356(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/52 - 9/66

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属帯の竪型連続熱処理炉内の搬送ロー
    ルに配置されるガスヘッダーにおいて、 搬送ロールの下部に配置された遮蔽板とによりロール室
    を形成し、前記 搬送ロールに温度調整用ガスを吹き付け
    るガスヘッダーであって、 搬送ロールに相対する下面が逆U字型であり、搬送ロー
    ルと金属帯の接触終了位置付近にロール軸方向に長いス
    リット状のガス吹き出し口を有することを特徴とするガ
    スヘッダー。
  2. 【請求項2】 搬送ロールに対する面が、表面の輻射率
    が小さな材料で作られていることを特徴とする請求項1
    に記載のガスヘッダー。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のガスヘッダー
    を用い、前記搬送ロールと逆U字型のガスヘッダーの下
    面との間隙に向けて、ガスヘッダーのガス吹きだし口よ
    りロール温度調節用ガスを噴出することを特徴とする金
    属帯搬送ロールの変形防止方法。
  4. 【請求項4】 搬送ロール端部の温度と搬送ロール上で
    の金属帯の温度を測定し、前記搬送ロール端部の温度と
    前記搬送ロール上での金属帯の温度差が所定の範囲内に
    入るように、ガスヘッダーから噴出するガスの温度およ
    びまたは流量を調整することを特徴とする、請求項3に
    記載の金属帯搬送ロールの温度差変形防止方法。
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