JP3106844B2 - 横型絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ - Google Patents

横型絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ

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JP3106844B2
JP3106844B2 JP06052390A JP5239094A JP3106844B2 JP 3106844 B2 JP3106844 B2 JP 3106844B2 JP 06052390 A JP06052390 A JP 06052390A JP 5239094 A JP5239094 A JP 5239094A JP 3106844 B2 JP3106844 B2 JP 3106844B2
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仁志 澄田
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Fuji Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、はり合わせ基板などを
用いて作製された横型絶縁ゲート型バイポーラトランジ
スタ (以下IGBTと記す) に関する。
【0002】
【従来の技術】近年スイッチング素子として伝導度変調
を利用したMOSFETであるIGBTが注目されてい
る。IGBTはMOSFETと同様、入力インピーダン
スが高く、またバイポーラトランジスタと同様にオン抵
抗が低くできる。IGBTは、当初は縦型素子として開
発が進められた。しかしながら、パワーデバイスのイン
テリジェント化の動向に伴い、横型IGBTの開発が最
近になって活発化してきた。これは縦型IGBTが半導
体基板の両面を使って電流を流すのに対して、横型IG
BTでは両主極電極およびゲート電極が半導体基板の1
方向のみに形成されるため制御回路などと同一基板に作
り込むことが容易であることによる。
【0003】図1ははり合わせ基板に形成された高耐圧
のnチャネル横型IGBTを示す。このIGBTは、厚
さ550μmのn形支持基板1上に厚さ2μmの絶縁膜
2を介して形成された厚さ10μmのn形半導体層3を
nベース層として形成されている。このIGBTは以下
の3部分で構成される。 (1)コレクタ部10 n- 半導体層3に表面からの拡散により形成されたnバ
ッファ層11、そのバッファ層11に拡散されたp+
レクタ層12、そのコレクタ層に接触し、コレクタ端子
Cに接続されたコレクタ電極13 (2)エミッタ部20 n- 半導体層3に表面からの拡散により形成されたpベ
ース層4、そのベース層4に拡散されたp+ コンタクト
層5およびn+ ソース層6、コンタクト層5の表面全体
およびソース層6の一部に接触し、エミッタ端子Eに接
続されたエミッタ電極7 (3)ゲート部30 n+ ソース層6とn- 半導体層3に挟まれたpベース層
4の表面上にゲート酸化膜8を介して配置され、ゲート
端子Gに接続されたゲート電極9 支持基板1は、通常、外部浮遊電位によるノイズ発生を
避けるため、エミッタ電極7と同電位に固定される。す
なわち、この場合接地されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図1に示す横型IGB
Tのn- 層3の厚さは、要求耐圧に応じて決められる。
高耐圧IGBTの場合は、n- 層3の厚さを厚くする必
要がある。一方、はり合わせ基板を用いてインテリジェ
ント化を行うために、横型IGBTを形成する領域を、
支持基板1との間の絶縁膜2と、表面よりその絶縁膜2
に達するまで形成された溝 (トレンチ) に絶縁物で充て
んした絶縁分離層とにより分離する素子分離技術を適用
する場合、トレンチの形成深さの限界が40μmである
ため、n-層3の厚さを40μmより厚くすることがで
きない。また、n- 層3の厚さの増加は、素子分離層の
幅の増加を招き、素子の集積度を低下させるなどの問題
を引き起こす。
【0005】本発明の目的は、支持基板上のはり合わせ
基板の厚さを厚くすることなく、高耐圧化を達成できる
横型IGBTを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、支持半導体基板状に絶縁層を介しては
り合わされた第一導電形半導体層と、その半導体層の表
面層に所定の距離を離して選択的に形成された第二導電
形ベース領域および第一導電形バッファ領域と、第二導
電形ベース領域の表面層の選択的に形成された第一導電
形ソース領域と、バッファ領域の表面層に選択的に形成
された第二導電形コレクタ領域と、ソース領域と第一導
電形半導体層の露出部にはさまれた第二導電形ベース領
域の表面上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電
極と、第二導電形ベース領域およびソース領域に共通に
接触するエミッタ電極と、コレクタ領域に接触するコレ
クタ電極とを備え、前記コレクタ電極に電圧を印加した
場合に前記支持半導体基板上の絶縁層と第一導電形半導
体層との界面から空乏層によって第一導電形半導体層内
の等電位線の分布が影響を受ける横型IGBTにおい
て、前記第一導電形バッファ領域内でのパンチスルーを
抑止させるべく、前記第一導電形バッファ領域の不純物
濃度を第一導電形半導体層の不純物濃度よりも高くし
ものとする。所期の耐圧が250V以上で、第一導電形
半導体層の抵抗率が10Ω・cmから40Ω・cmの範
囲内、その厚さが5μmないし12μmの範囲内、第二
導電形ベース領域と第一導電形バッファ領域の距離が3
0μm以上であり、バッファ領域の表面不純物濃度が6
×1016cm-3以上にされたことが良い。
【0007】
【作用】目標耐圧を250Vとした場合、ドリフト長L
は30μm、n型ベース層3の厚さおよび比抵抗は10
μmおよび20Ω・cmである。またはり合わせ基板の
酸化膜2の厚さは2μmである。本発明により、素子構
造における何らの改良を施すことなく、上記素子条件で
耐圧250Vの横型IGBTを達成することができる。
【0008】図2は、図1の横型IGBTに高電圧を印
加した場合の素子内部における等電位線21の拡がりを
示している。はり合わせ基板上に形成された横型IGB
Tでは、はり合わせ基板以外の基板上に形成された素子
と等電位線の分布が大きく異なる。通常、高耐圧素子に
高電圧を印加した場合、pベース層4とnベース層3の
接合22を中心として空乏層が拡がっていく。しかし、
はり合わせ基板上に形成された素子では、空乏層はpベ
ース層4とnベース層3の接合22と、はり合わせ基板
の絶縁用酸化膜2とnベース層3の界面23の2個所か
ら矢印31、32のように拡がる。これらの空乏層は低
電圧の時は個別に拡がっていくが、両者の広がりが一致
した後は、図2に示すようにはり合わせ基板の酸化膜2
とnバッファ層11の間の領域に矢印33のように拡が
っていく。したがって、nベース層3が薄くなるほど、
この領域における高電圧状態での等電位線21の集中が
大きくなる。もしnバッファ層11の濃度が低いと、空
乏層がnバッファ層11領域を進行し、パンチスルーが
発生しやすくなり素子耐圧の低下を招く。
【0009】図3は、図2の等電位線21の拡がりを2
次元のデバイスシミュレーションで確認したものであ
る。素子構造は図1と同一であり、nバッファ層11の
表面不純物濃度は3×1016cm-3である。印加電圧は
210V、等電位線18の間隔は7Vである。このシミ
ュレーションの結果は図2についての上記の説明と一致
している。
【0010】図4は、図1の素子構造においてnバッフ
ァ層11の表面不純物濃度を変化させた時の耐圧変化を
シミュレーションした結果である。nバッファ層11の
不純物濃度の増加とともに耐圧は上昇し、6×1016
-3でほぼ飽和し始めている。これは、nバッファ層表
面不純物濃度の増加により、この領域でのパンチスルー
が抑止されたためである。
【0011】従って、第一導電形バッファ層の表面不純
物濃度を最適化することにより、薄い第一導電形半導体
層に形成された横型IGBTの高耐圧化を達成できる。
【0012】
【実施例】図1の構造をもつ横型IGBTの目標耐圧2
50Vの場合の実施例について述べる。ドリフト長Lは
30μm、nベース層3の厚さは10μm、抵抗率は2
0Ω・cmである。図5は、nバッファ層11の表面不
純物濃度を3×1016cm -3、4×1016cm-3、8×
1016cm-3としたときの耐圧の実測データであり、図
4のシミュレーションの結果通り、横型IGBTの耐圧
はnバッファ層11の表面不純物濃度の増加とともに増
加している。目標耐圧は250Vであるので、nバッフ
ァ層の表面不純物濃度は6×1016cm-3以上必要であ
る。このように、同一素子構造においても、nバッファ
層11の表面不純物濃度を増加させることによって素子
耐圧を大幅に向上させることができる。
【0013】図6および図7は、nバッファ層11の表
面濃度が3×1016cm-3と8×1016cm-3の場合の
耐圧波形を示す。両者を比較すると、図6の3×1016
cm -3では波形がソフトであり、200V近傍からなだ
らかに電流が増加している。これは明らかにパンチスル
ーによるものである。一方、図7の8×1016cm-3
は280V近傍で電流が急激に流れ、その波形もシャー
プである。これはアバランシェによる電流の増加であ
る。
【0014】従って、バッファ層11の表面不純物濃度
を8×1016cm-3とすることにより、十分に250V
の目標耐圧を達成できた。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、バッファ層の表面不純
物濃度を高くすることで、空乏層がバッファ層内に進行
してパンチスルーが発生するのを抑制し、素子構造を複
雑にすることなく、薄い半導体層に高耐圧の横型IGB
Tを形成することが可能になった。これにより、トレン
チ形成による誘電体分離技術を適用する薄いはり合わせ
基板を使用する場合、基板作成に要する時間とコストを
短縮することができる。また薄いはり合わせ基板に横型
IGBTを形成することで、絶縁分離層の幅を狭くで
き、素子の集積度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施される横型IGBTの構造を示す
断面図
【図2】図1の横型IGBTに高電圧を印加した場合の
等電位線の分布を示す断面図
【図3】2次元デバイスシュミレーションによる横型I
GBTの等電位線の分布図
【図4】2次元デバイスシュミレーションによるバッフ
ァ層表面不純物濃度と横型IGBT耐圧との関係線図
【図5】バッファ層表面不純物濃度とIGBT耐圧の実
測値の関係線図
【図6】バッファ層の表面不純物濃度が3×1016cm
-3の横型IGBTの電圧・電流特性線図
【図7】バッファ層の表面不純物濃度が8×1016cm
-3の本発明の一実施例の横型IGBTの電圧・電流特性
線図
【符号の説明】
1 n- 支持基板 2 絶縁膜 3 n- 半導体層 4 pベース層 5 p- コンタクト層 6 n+ ソース層 7 エミッタ電極 8 ゲート酸化膜 9 ゲート電極 11 nバッファ層 12 p+ コレクタ層 10 コレクタ部 20 エミッタ部 30 ゲート部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持半導体基板状に絶縁層を介してはり合
    わされた第一導電形半導体層と、その半導体層の表面層
    に所定の距離を離して選択的に形成された第二導電形ベ
    ース領域および第一導電形バッファ領域と、第二導電形
    ベース領域の表面層の選択的に形成された第一導電形ソ
    ース領域と、バッファ領域の表面層に選択的に形成され
    た第二導電形コレクタ領域と、ソース領域と第一導電形
    半導体層の露出部にはさまれた第二導電形ベース領域の
    表面上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極
    と、第二導電形ベース領域およびソース領域に共通に接
    触するエミッタ電極と、コレクタ領域に接触するコレク
    タ電極とを備え、前記コレクタ電極に電圧を印加した場
    合に前記支持半導体基板上の絶縁層と第一導電形半導体
    層との界面から空乏層によって第一導電形半導体層内の
    等電位線の分布が影響を受ける横型絶縁ゲート型バイポ
    ーラトランジスタにおいて、 前記第一導電形バッファ領域内でのパンチスルーを抑止
    させるべく、前記第一導電形バッファ領域の不純物濃度
    を第一導電形半導体層の不純物濃度よりも高くした こと
    を特徴とする横型絶縁ゲート型バイポーラトランジス
    タ。
  2. 【請求項2】所期の耐圧が250V以上で、第一導電形
    半導体層の抵抗率が10Ω・cmから40Ω・cmの範
    囲内、その厚さが5μmないし12μmの範囲内、第二
    導電形ベース領域と第一導電形バッファ領域の距離が3
    0μm以上であり、バッファ領域の表面不純物濃度が6
    ×10 16 cm -3 以上にされた請求項1記載の横型絶縁ゲ
    ート型バイポーラトランジスタ。
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