JP3106444B2 - 竪型精穀機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、穀粒を下方から供給し
て精白しながら上昇させ、上方から排出する竪型精穀機
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の竪型精穀機を本出願人は
特開平３−１４６１３７号公報等において開示してお
り、これを図３を参照して以下に説明する。

【０００３】符号１００は竪型研削式精穀機であり、立
設した除糠筒１０４内に、回転自在に設けた竪軸１０６
の下部に螺旋転子１０７を、上部に研削精穀転子１０８
をそれぞれ軸挿する。次に、その作用を述べると、穀粒
は、供給樋１０９を経てスクリューコンベア１１０によ
って螺旋転子１０７に供給され、螺旋転子１０７によ
り、精白室１０１に揚送される。そして、穀粒は、精白
室１０１において、研削精穀転子１０８の回転によって
生じる搗精作用を受けて搗精され、搗精された穀粒は排
出口１０２から抵抗板１０３の付勢力に抗して、排出樋
１１１を経て機外へ排出される。また、除糠筒１０４内
の搗精により、穀粒からはく離された糠は、除糠筒１０
４から吸引機１０５により吸引されて機外へ排出され
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】 しかし、上記のような
従来の竪型精穀機においては、吸引ファン１０５が接続
された吸引ダクト１１２側の除糠筒１０４からは十分に
糠が排出されるが、吸引ダクト１１２と反対側の除糠筒
１０４ａからは吸引力が弱いため、糠の排出が十分に行
われない。そのため、精白米の糠切れが悪くなって除糠
筒１０４ａが目詰まりを起こし、斑（むら）搗精となり
易いという欠点があった。更に、穀粒は精穀転子１０８
による攪拌作用及び抵抗板１０３による付勢力により、
穀温が上昇して搗精後の水分が失われる、という欠点が
あった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な欠点を解消して、穀粒の搗精により発生する糠を速や
かに全量排出することができるとともに、穀粒の白度を
上げ、穀温の上昇を抑えることのできる竪型精穀機を提
供することを技術的課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】立設した除糠筒内に回転
可能に設けた主軸の上部に精白ロールを、該精穀ロール
の下端に接続して螺旋ロールをそれぞれ軸装し、前記除
糠筒と前記精白ロールとを主要部とする精白室の下端を
穀粒供給部に、上端を穀粒排出部にそれぞれ連絡し、前
記除糠筒と該除糠筒を囲繞する機枠とで形成する除糠室
を、該除糠室の下方で底部に糠排出装置を設けた集糠室
に連絡した竪型精穀機において、前記機枠に下方への方
向性を有する複数個の通気孔を周設する。更に、前記穀
粒排出部に高圧空気の噴射ノズルを臨ませる。

【０００７】

【作用】竪型精穀機の穀粒供給部より螺旋転子に供給さ
れた穀粒は、螺旋転子により精白室に上送されて、精白
室において精白ロールの回転によって生じる精白作用に
より精白され、精白された穀粒は穀粒排出部から機外へ
排出される。精白室における精白作用により発生した糠
は、除糠筒の通孔から除糠室へ排出された後、集糠室へ
送られて糠排出装置により機外へ排出される。そのと
き、機枠に周設した通気孔から外気が下方へ吸引される
ため、糠の機外への排出が促進されるとともに、機枠内
壁への糠の付着が防止される。

【０００８】また、高圧空気噴射ノズルからの噴風作用
により、精白された穀粒の表面に残留する糠は吹き飛ば
されて、穀粒の白度が上昇するとともに、精白作用によ
る穀温の上昇が抑えられて低温精白が可能となる。

【０００９】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。図１は本発明を実施した竪型精穀機の正断
面図であり、図２は精穀機の要部拡大断面図である。

【００１０】１は竪型精穀機であり、立設した除糠筒８
内に軸受１０，１１により支承する主軸９を回転可能に
設け、主軸９の上部に精白ロール１５を、精白ロール１
５の下端に接続して螺旋ロール１４をそれぞれ軸装す
る。除糠筒８と精白ロール１５とを主要部とする精白室
２０の下端を供給口５６に、上端を排出口２８にそれぞ
れ連絡する。

【００１１】基台２内に円筒フレーム３を、基台２上に
集糠筒４をそれぞれ固設し、集糠筒４は除糠筒８を囲繞
する機枠５を介して排出筒６に連絡している。除糠筒８
と機枠５とで除糠室２１を形成し、機枠５には除糠室２
１内へ外気を取り入れるための通気孔４５が多数周設さ
れている。通気孔４５は、除糠室２１の下端に連設した
集糠室２２へ外気が流入するように、除糠室２１の下端
への方向性を有している。

【００１２】主軸９は上下端をそれぞれ閉塞した中空軸
であり、送風室１６内及び精白ロール１５の軸装部には
通風用の通孔１８，１９を多数設け、また送風室１６は
噴風ファン１７に連絡する。精白ロール１５内部は中空
であり、上下方向に形成した攪拌突起５７に沿って噴風
溝（図示せず）を設ける。供給筒７の底部に、主軸９に
軸装した円盤１３を密接して設け、円盤１３に集糠室２
２内を降下した糠を排出する糠かき出し羽根１２を取付
ける。糠かき出し羽根１２の搬送路の接線方向に糠取出
口２３を設け、糠取出口２３はバックフィルター等の集
糠装置（図示せず）に連絡している。

【００１３】一方、前記排出筒６の上端部には精白済み
穀粒の排出装置２４が設けられている。すなわち、円筒
状の受樋２６の底面中心部に開口部２５を設け、前記開
口部２５に排出筒６上端部を受樋２６中程まで嵌入して
装着する。受樋２６中心部に、排出筒６上端部を嵌入す
るための円筒状の係合凹部２７とでリング状の搬送路２
９を形成する。

【００１４】受樋２６の上面中心部に開口部３０を設
け、この開口部３０に中空軸３１を挿通して軸受３２に
より回転可能に立設する。前記中空軸３１の下端は前記
受樋２６内上部に臨ませるとともに放射状に複数のアー
ム３３…を延出させ、該アーム３３…の各自由端に穀粒
かき出し羽根３４を垂れ下がった状態に設ける。他方、
中空軸３１の上端に羽根用プーリ３５を軸着するととも
に、この中空軸３１及び前記プーリ３５のカバー３６中
心部に設けた開口３６ａにロッド３７を挿通する。そし
て、ロッド３７の下端には円板状の抵抗板３８を枢着
し、上端は分銅レバー３９の中程に枢着する。この分銅
レバー３９は一端を前記カバー３６に枢着し、他端側３
９に分銅４０を移動可能に設け、これにより、分銅４０
の重量によって抵抗板３８が排出口２８に押し付けられ
ることになる。更に、前記搬送路２９、落下口４１に接
続する排出樋４２を受樋２６から突出させて設け、ま
た、この排出樋４２及び受樋２６（係合凹部２７）は排
出筒６を中心に３６０°回動可能に設けられる。

【００１５】前記抵抗板３８には複数の高圧空気噴射ノ
ズル４３が装着され、ノズル４３は抵抗板３８と一体と
なって上下に移動する。該高圧空気噴射ノズル４３は、
ホース４４を介して図外のコンプレッサー等に接続され
るが、そのホース４４は前記中空軸３１とロッド３７と
の間隙に挿通すればよい。

【００１６】次に駆動系について説明する。基台２の一
側面に固定して設けた主モータ４６のモータプーリ４７
と、主軸９の下部に固着した大径プーリ４９とをＶベル
ト４８により連動連結する。主軸９の下部には駆動用と
して中継プーリ５０が軸着され、中継プーリ５０は噴風
ファン１７のファンプーリ５２にＶベルト５１により連
結される。噴風ファン１７を軸装する中間軸５８の中程
に軸着したプーリ６２を、ギアボックス５９、プーリ６
０、Ｖベルト６１を介して、スクリューコンベア５４を
駆動するプーリ５３に連絡する。また、符号５５は穀粒
の供給部である。

【００１７】以下、上記実施例における具体的作動につ
き説明する。主モータ４６の回転によりモータプーリ４
７、Ｖベルト４８及び大径プーリ４９を介して主軸９が
駆動され、主軸９に軸着している中継プーリ５０、Ｖベ
ルト５１及びファンプーリ５２を介して噴風ファン１７
が駆動される。また、中間軸５８のプーリ６２、ギアボ
ックス５９、プーリ６０及びベルト６１を介し、スクリ
ュー用プーリ５３が回転し、スクリューコンベア５４が
駆動する。これにより、前工程から供給部５５に投入さ
れる穀粒（ここでは米粒として説明する）は、前記スク
リューコンベア５４によって強制的に供給筒７の供給口
５６内へ送り込まれ、螺旋ロール１４によって揚送され
る。

【００１８】螺旋ロール１４によって揚送される米粒
は、精白室２０内に至り、更に、排出筒６内にも充満し
て抵抗板３８による圧力を受けて適度な内部抵抗を生じ
る。このような内部状態の下で精白ロール１５が回転
し、撹拌突起５７による米粒の撹拌が行われ、粒々摩擦
などにより、米粒表皮がはく離されて、精白が進行す
る。一方噴風ファン１７により生じた噴風は、送風室１
６、通孔１８、主軸９内部および通孔１９をへて精白ロ
ールに達し、噴風溝から精白室２０内に噴き出す。さら
に前記抵抗板３８に装着した高圧空気噴射ノズル４３は
排出筒６内に充満した米粒に直接空気を噴射し、精白さ
れた米粒の表面に残留する糠を吹き飛ばし米粒の白度を
上昇させる。また高圧空気噴射ノズル４３の噴風は抵抗
板３８による内部抵抗及び精白ロール１５による粒々摩
擦で生じた穀温の上昇を低下させ、低温の精白米を提供
することができる。

【００１９】精白室２０内で精白されるとともに除糠さ
れた米粒（精白米）は螺旋ロール１４の揚送力を受け、
抵抗板３８の付勢力に抗して排出口２８全周から受樋２
６内へ吐出する。受樋２６内の米粒は、穀粒かき出し羽
根３４によって順次落下口４１内へかき落とされ、排出
樋４２を経て排出される。

【００２０】また、精白室２０内ではく離された表皮、
つまり糠は噴風ファン１７及び高圧空気噴射ノズル４３
の噴風により、除糠筒８を通過し、精白室２０から除糠
室２１へ至る。除糠室２１内では、機枠に周設した通気
孔４５から外気が吸引されるため、糠を素早く集糠室２
２へ搬送させるとともに、機枠内壁への糠の付着が防止
される。

【００２１】集糠室２２へ搬送された糠は、集糠室２２
底部に堆積し、糠かき出し羽根１１による排出作用によ
り糠取出口２３から機外へ排出される。機外に排出され
た糠は、図外のバッグフィルターに搬送される。

【００２２】なお、本実施例においては、精白ロールは
摩擦式精白ロールとして説明したが、これに限らず研削
式精白ロールでもよく、また摩擦式精白ロールと研削式
精白ロールとを組み合わせたものでもよい。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の竪型精穀機
は、機枠に下方への方向性を有する複数個の通気孔を周
設し、穀粒排出部に高圧空気の噴射ノズルを臨ませるこ
とにより、糠の機外への排出が促進されるとともに、機
枠内壁への糠の付着が防止され、しかも、穀粒の白度が
上昇するとともに、精白作用による穀温の上昇が抑えら
れ、低温精白が可能となる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の竪型精穀機の正断面図である。

【図２】同上の要部拡大図である。

【図３】従来の竪型精米機の正断面図である。

【符号の説明】

１ 竪型精穀機 ２ 基台 ３ 円筒フレーム ４ 集糠筒 ５ 機枠 ６ 排出筒 ７ 供給筒 ８ 除糠筒 ９ 主軸 １０ 軸受 １１ 軸受 １２ 糠かき出し羽根 １３ 円板 １４ 螺旋ロール １５ 精白ロール １６ 送風室 １７ 噴風ファン １８ 通孔 １９ 通孔 ２０ 精白室 ２１ 除糠室 ２２ 集糠室 ２３ 糠取出口 ２４ 穀粒排出装置 ２５ 開口部 ２６ 受樋 ２７ 係合凹部 ２８ 排出口 ２９ 搬送路 ３０ 開口部 ３１ 中空軸 ３２ 軸受 ３３ アーム ３４ 穀粒掻き出し羽根 ３５ プーリー ３６ カバー ３６ａ 開口部 ３７ ロッド ３８ 抵抗板 ３９ 分銅レバー ４０ 分銅 ４１ 落下口 ４２ 排出樋 ４３ 高圧空気噴射ノズル ４４ ホース ４５ 通気孔 ４６ 主モーター ４７ モータープーリー ４８ Ｖベルト ４９ 大径プーリー ５０ 中継プーリー ５１ Ｖベルト ５２ ファンプーリー ５３ スクリュー用プーリー ５４ スクリューコンベア ５５ 供給部 ５６ 供給口 ５７ 攪拌突起 ５８ 中間軸 ５９ ギアボックス ６０ プーリー ６１ Ｖベルト６２ プーリー １００ 竪型研削式精穀機 １０１ 精白室 １０２ 排出口 １０３ 抵抗板 １０４ 除糠筒 １０５ 吸引機 １０６ 竪軸 １０７ 螺旋転子 １０８ 研削精穀転子 １０９ 供給樋 １１０ スクリューコンベア １１１ 排出樋１１２ 吸引ダクト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−48433（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−20643（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B02B 1/00 - 7/02 109

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 立設した除糠筒内に回転可能に設けた主
   軸の上部に精白ロールを、該精白ロールの下端に接続し
   て螺旋ロールをそれぞれ軸装し、前記除糠筒と前記精白
   ロールとを主要部とする精白室の下端を穀粒供給部に、
   上端を穀粒排出部にそれぞれ連絡し、前記除糠筒と該除
   糠筒を囲繞する機枠とで形成する除糠室を、該除糠室の
   下方で、底部に糠排出装置を設けた集糠室に連絡した竪
   型精穀機において、前記機枠に下方への方向性を有する
   複数個の通気孔を周設したことを特徴とする竪型精穀
   機。
2. 【請求項２】 前記穀粒排出部に高圧空気の噴射ノズル
   を臨ませた請求項１記載の竪型精穀機。