JP3105427B2 - 鉄筋保持装置 - Google Patents

鉄筋保持装置

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JP3105427B2
JP3105427B2 JP07182244A JP18224495A JP3105427B2 JP 3105427 B2 JP3105427 B2 JP 3105427B2 JP 07182244 A JP07182244 A JP 07182244A JP 18224495 A JP18224495 A JP 18224495A JP 3105427 B2 JP3105427 B2 JP 3105427B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建物の基礎コンクリー
ト工事の際に配筋される鉄筋の保持装置に係り、特に配
筋作業を大幅に簡素化できる鉄筋保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、軽量鉄骨等を用いた建造物の基
礎は、建築基準法により、まず土台上に捨てコンクリー
トを打設して硬化させた後、その上方に縦鉄筋と横鉄筋
とを格子状に配筋するとともに、これらを囲むようにし
て型枠を組み、この型枠内に再度コンクリートを打設し
て基礎コンクリートとするよう規定されている。
【0003】ところで従来、前記鉄筋の配筋の際には、
まず縦,横いずれか一方の鉄筋を、捨てコンクリートの
上面から所定の高さ位置に、予め定められた間隔で設置
するとともに、その上面側に縦,横いずれか他方の鉄筋
を、予め定められた間隔で格子状に配筋し、その後両鉄
筋の交叉部をすべて、針金等で結束して鉄筋を保持する
ようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の鉄筋保持方
法においては、縦,横いずれか一方の鉄筋を、捨てコン
クリートの上面から所定の高さ位置に設置する必要があ
るが、その位置決めが容易でなく、その設置に多大な時
間を要するとともに、縦,横いずれの鉄筋の場合も、予
め定められた一定間隔で配筋しなければならず、その作
業も容易でないという問題がある。また、縦,横の両鉄
筋は、その交叉部をすべて針金で結束しなければなら
ず、その作業にも多大な労力と時間とを要するという問
題がある。
【0005】また、場合によっては、縦,横の鉄筋を上
下方向に間隔を置いて複数層配設しなければならないこ
ともあるが、この場合には、まず下層の鉄筋を配筋して
結束した後、上層の配筋作業を行なわなければならず、
これらを並行して行なうことができないという問題があ
る。
【0006】本発明は、かかる現況に鑑みなされたもの
で、鉄筋の配筋作業を大幅に簡素化することができ、作
業に熟練を要しない鉄筋保持装置を提供することを目的
とする。
【0007】本発明の他の目的は、両鉄筋保持部材の設
置が容易な鉄筋保持装置を提供するにある。
【0008】本発明の他の目的は、両鉄筋保持部材の設
置が容易で、しかも運搬および保管も容易な鉄筋保持装
置を提供するにある。
【0009】本発明の他の目的は、鉄筋保持部材設置時
の安定性を向上させることができる鉄筋保持装置を提供
するにある。
【0010】本発明の他の目的は、各鉄筋保持部材の設
置が容易で、設置時の安定性を向上させることができ、
鉄筋上に作業員が乗っても倒壊するおそれがない鉄筋保
持装置を提供するにある。
【0011】本発明の他の目的は、鉄筋の上下方向の配
筋位置決めを、容易かつ正確に行なうことができる鉄筋
保持装置を提供するにある。
【0012】本発明の他の目的は、縦,横の鉄筋を上下
方向に複数層配置する場合でも、容易に対応することが
できる鉄筋保持装置を提供するにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、打設されるコ
ンクリートの流動性が鉄筋保持部材によって阻害される
おそれがない鉄筋保持装置を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、基礎コンクリート用として格子状に配筋され
る縦鉄筋および横鉄筋を保持する鉄筋保持装置におい
て、幅方向を上下に向けた横置きの帯板状をなし上端縁
に所定間隔で複数の縦鉄筋保持用の第1凹部を有する縦
鉄筋保持部材と、幅方向を上下に向けた横置きの帯板状
をなし上端縁に所定間隔で複数の横鉄筋保持用の第2凹
部を有する横鉄筋保持部材とを備え、前記両凹部の底部
位置を、両鉄筋保持部材の設置状態において、少なくと
も縦鉄筋または横鉄筋の直径寸法だけ上下にずらせるよ
うにし、かつ、前記両凹部の少なくとも一側縁部に、抜
け止め用の突部を設けるようにしたことを特徴とする。
【0015】本発明はまた、両鉄筋保持部材を、長手方
向一端部で相互に連結して平面L形状となるようにした
ことを特徴とする。
【0016】本発明はまた、両鉄筋保持部材を、いずれ
か一方の鉄筋保持部材の上端縁から上下方向に切込まれ
た上端スリットといずれか他方の鉄筋保持部材の下端縁
から上下方向に切込まれた下端スリットとを係合させる
ことにより、平面十字状に組合わされるようにしたこと
を特徴とする。
【0017】本発明はまた、少なくともいずれか一方の
鉄筋保持部材の下端部に、脚部を設けるようにしたこと
を特徴とする。
【0018】本発明はまた、各鉄筋保持部材の両端部
を、土台上に設置した支柱部材により支持するようにし
たことを特徴とする。
【0019】本発明はまた、各鉄筋保持部材の端部を、
支柱部材の外面に上下方向に通して設けられた係止溝に
上下動可能に嵌入係止し、かつ係止溝内に挿入配置され
る高さ調節用のスペーサの長さ変更により、上下位置を
調節できるようにしたことを特徴とする。
【0020】本発明はまた、支持部材に、上下方向に間
隔を置いて複数の鉄筋保持部材を支持させるようにした
ことを特徴とする。
【0021】本発明はさらに、少なくともいずれか一方
の鉄筋保持部材に、板厚方向の開口を設けるようにした
ことを特徴とする。
【0022】
【作用】本発明において、縦鉄筋は、縦鉄筋保持部材の
第1凹部内に嵌入することにより保持され、一方横鉄筋
は、横鉄筋保持部材の第2凹部内に嵌入することにより
保持される。ところで、前記両凹部の底部位置は、少な
くとも縦鉄筋または横鉄筋の直径寸法だけ上下にずれて
いるので、直交する縦鉄筋と横鉄筋とが、必然的に上下
にずれて配筋されることになり、配筋が容易である。な
お、場合によっては、鉄筋を複数本上下に重ねて配筋す
ることもあるが、この場合には、両凹部の底部位置を、
鉄筋の直径寸法の複数倍だけ上下にずらせることによ
り、容易に対応することが可能となる。また、前記両凹
部の少なくとも一側縁部には、抜け止め用の突部が設け
られているので、各凹部内に嵌入係止した縦鉄筋あるい
は横鉄筋が、不用意に各凹部から抜け出るのを防止する
ことが可能となるとともに、各鉄筋と各鉄筋保持部材と
の一体化強度を向上させることが可能となる。
【0023】また、各鉄筋は、各鉄筋保持部材により、
一定間隔で強固に固定されるので、両鉄筋の交叉部を針
金で結束する必要がなく、鉄筋の配筋作業を大幅に簡素
化することが可能となり、また作業に熟練を要しない。
【0024】本発明においてはまた、両鉄筋保持部材
が、その長手方向一端部で相互に連結されて平面L形状
をなしている。このため、L形状の両鉄筋保持部材を、
捨てコンクリート上に載置し、必要に応じ各鉄筋保持部
材を捨てコンクリート上に固定するだけで、両鉄筋保持
部材の設置が完了し、両鉄筋保持部材の設置が容易であ
る。
【0025】本発明においてはまた、両鉄筋保持部材
が、上端スリットと下端スリットとを係合させることに
より、平面十字状に組合わされている。このため、両鉄
筋保持部材の設置が容易であるとともに、両スリットの
係合を解除すれば、両鉄筋保持部材は平板状となるの
で、運搬および保管が容易である。
【0026】本発明においてはまた、少なくともいずれ
か一方の鉄筋保持部材が、その下端部に脚部を有してい
る。このため、鉄筋保持部材設置時の安定性を向上させ
ることが可能となるとともに、捨てコンクリートへの固
定も容易となる。
【0027】本発明においてはまた、各鉄筋保持部材の
両端部が、土台上に設置した支柱部材により支持されて
いる。このため、支柱部材のベース板を大きくしたり、
あるいは支柱部材を土台上に固定することにより、各鉄
筋保持部材設置時の安定性を向上させることが可能とな
り、鉄筋上に作業員が乗っても倒壊するおそれがない。
また、各鉄筋保持部材の設置も容易である。
【0028】本発明においてはまた、各鉄筋保持部材
端部が、支柱部材の外面に上下方向に通して設けた係止
溝に上下可能に嵌入係止され、かつ係止溝内に挿入配置
される高さ調節用のスペーサの長さ変更により、上下位
置が調節可能となっている。このため、両凹部の底部位
置自体を上下にずらせることなく、各鉄筋保持部材の上
下位置を上下にずらせることにより、両凹部の底部位置
を、両鉄筋保持部材の設置状態において、少なくとも鉄
筋の直径寸法だけ上下にずらせることが可能となり、両
鉄筋保持部材を全く同一形状寸法とすることが可能とな
る。また、各鉄筋の上下方向の配筋位置決めを、スペー
サの長さ変更のみで容易かつ正確に行なうことが可能と
なる。
【0029】本発明においてはまた、支柱部材には、上
下方向に間隔を置いて複数の鉄筋保持部材が支持されて
いる。このため、縦,横の鉄筋を上下方向に複数層配置
する場合でも、容易に対応することが可能となる。
【0030】本発明においてはさらに、少なくともいず
れか一方の鉄筋保持部材に、板厚方向の開口が設けられ
ている。このため、鉄筋配筋後に打設されるコンクリー
トの流動性が、鉄筋保持部材によって阻害されるおそれ
がなく、型枠内に密にコンクリートを充填することが可
能となる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を図面を参照して説明する。図
1は、本発明の第1実施例に係る鉄筋保持装置を示すも
ので、この鉄筋保持装置1は、平面十字状に組合わされ
た縦鉄筋保持部材2および横鉄筋保持部材3を備えてお
り、これら両鉄筋保持部材2,3は、土台上に打設され
た捨てコンクリート4上に、十字状に組合わされた状態
で配設されるようになっている。そして、これら両鉄筋
保持部材2,3上には、縦鉄筋5および横鉄筋6が一定
間隔の格子状に配筋保持されるようになっている。
【0032】前記縦鉄筋保持部材2は、図1および図2
に示すように、幅方向を上下に向けた横置きの帯板状を
なしており、その上端縁には、縦鉄筋保持部材用の第1
凹部7が所定間隔で複数設けられている。そして、これ
ら各第1凹部7に縦鉄筋5を嵌入係止することにより、
縦鉄筋5が一定間隔で配筋保持されるようになってい
る。
【0033】前記縦鉄筋保持部材2にはまた、図1およ
び図2に示すように、その上端縁から下方に垂直に切込
まれる上端スリット8が所定間隔で複数設けられてお
り、この上端スリット8と後述する横鉄筋保持部材3の
下端スリット11とを係合させることにより、両鉄筋保
持部材2,3を平面十字状に組合わせることができるよ
うになっている。
【0034】前記縦鉄筋保持部材2にはさらに、図2に
示すように、板厚方向に開口する複数のコンクリート流
動用開口9が設けられており、これら各コンクリート流
動用開口9により、捨てコンクリート4上に打設される
生コンクリートの流動性が確保され、基礎コンクリート
内に空隙ができてしまうといった不具合を防止できると
ともに、コンクリートとの一体化強度を向上させること
ができるようになっている。
【0035】一方、前記横鉄筋保持部材3は、図1およ
び図3に示すように、幅方向を上下に向けた横置きの帯
板状をなしており、その上端縁には、横鉄筋保持用の第
2凹部10が所定間隔で複数設けられている。そして、
これら各第2凹部10に横鉄筋6を嵌入係止することに
より、横鉄筋6が一定間隔で配筋保持されるようになっ
ている。
【0036】この横鉄筋保持部材3は、図1ないし図3
に示すように、その横幅寸法(上下方向の寸法)が前記
縦鉄筋保持部材2の横幅寸法よりも大寸法に設定されて
おり、したがって、前記第2凹部10の底部から横鉄筋
保持部材3の下端部までの上下寸法LY は、前記第1凹
部7の底部から縦鉄筋保持部材2の下端部までの上下寸
法LT よりも、縦鉄筋5の直径より稍大きい値だけ長寸
法に設定されている。そしてこれにより、横鉄筋6は、
図1に示すように、縦鉄筋5の直近上方に配筋され、両
鉄筋5,6が接触して配筋できないといった不具合が発
生しないようになっている。
【0037】前記横鉄筋保持部材3にはまた、図1およ
び図3に示すように、その下端縁から上方に垂直に切込
まれる下端スリット11が所定間隔で複数設けられてお
り、この下端スリット11と前記縦鉄筋保持部材2の上
端スリット8とを係合させることにより、両鉄筋保持部
材2,3を平面十字状に安定に組合わせることができる
ようになっている。
【0038】前記横鉄筋保持部材3にはさらに、図3に
示すように、板厚方向に開口する複数のコンクリート流
動用開口12が設けられており、これら各コンクリート
流動用開口12により、捨てコンクリート4上に打設さ
れる生コンクリートの流動性が確保され、基礎コンクリ
ート内に空隙ができてしまうといった不具合を防止でき
るとともに、コンクリートとの一体化強度を向上させる
ことができるようになっている。
【0039】また前記各凹部7,10の上端両側部に
は、図4に示すように、抜け止め用の突部13がそれぞ
れ設けられており、これら両突部13間の間隔は、鉄筋
5,6の直径に対し1〜10%程度小寸法設定されてい
る。そしてこれにより、各凹部7,10内に嵌入係止し
た鉄筋5,6が、不用意に凹部7,10から抜け出るの
を防止できるようになっている。
【0040】次に、本実施例の作用について説明する。
基礎コンクリート工事に際しては、まず土台上に捨てコ
ンクリート4を打設して硬化させた後、両鉄筋保持部材
2,3を、両スリット8,11を係合させることにより
十字状に組合わせる。そしてその後、縦鉄筋5を配筋す
るとともに、その上面側に横鉄筋6を配筋する。
【0041】配筋した各鉄筋5,6は、図1に示すよう
に、各鉄筋保持部材2,3の凹部7,10に嵌入係止さ
れて位置決め固定されているので、両鉄筋5,6の交叉
部を針金で結束する必要はなく、これで配筋作業は完了
する。
【0042】そこで、図1に示す各鉄筋保持部材2,3
および各鉄筋5,6の周囲を囲むようにして型枠(図示
せず)を設置し、型枠内に生コンクリートを打設する。
【0043】しかして、帯板状の両鉄筋保持部材2,3
を十字状に組合わせるだけで鉄筋保持装置1が完成し、
また各鉄筋5,6の配筋作業は、前記鉄筋保持装置1の
上面側に各鉄筋5,6をセットするだけで完了するの
で、作業時間を大幅に短縮できるとともに、作業に熟練
を要しないので、作業員の確保が容易である。
【0044】また、各鉄筋保持部材2,3は、相互に組
合わせるまでは平板状をなしているので、運搬および保
管が容易であるとともに、鉄板やプラスチック等を用い
て容易に製造することができる。
【0045】図5は、本発明の第2実施例を示すもの
で、前記第1実施例における各鉄筋保持部材2,3を自
立構造としたものである。
【0046】すなわち、前記各鉄筋保持部材2,3の下
端縁には、図5に示すように、一定間隔で複数突片14
が設けられており、これら各突片14は、板厚方向に交
互に直角状に折曲されて脚部15を構成している。そし
て、これら各脚部15には、各鉄筋保持部材2,3をア
ンカーねじ等を介し捨てコンクリート4(図1参照)上
に固定するための固定孔16が設けられている。なお、
その他の点については、前記第1実施例と同一構成とな
っており、作用も同一である。
【0047】しかして、各鉄筋保持部材2,3に脚部1
5が設けられているので、両鉄筋保持部材2,3を十字
状に組合わせる際の作業を、少人数の作業員で行なうこ
とができる。また、両鉄筋保持部材2,3を組合わせた
後の自立性が向上し、鉄筋5,6上に作業員が乗って
も、鉄筋保持部材2,3が倒壊するおそれがない。ま
た、固定孔16を用いて各鉄筋保持部材2,3を捨てコ
ンクリート4上に固定することにより、生コンクリート
を打設した際に、鉄筋5,6の配筋位置がずれてしまう
といった不具合もない。
【0048】図6(a),(b)は、本発明の第3実施
例を示すもので、両鉄筋保持部材2,3の横幅寸法(上
下方向の寸法)を同一にしたものである。
【0049】すなわち、両鉄筋保持部材2,3は、図6
(a),(b)に示すように、同一の横幅寸法を有する
横置きの帯板状をなしており、両鉄筋保持部材2,3を
十字状に組合わせた際に、図1の場合とは異なり、両鉄
筋保持部材2,3の上端が面一になるようになってい
る。
【0050】ところで、両鉄筋保持部材2,3の横幅寸
法を同一にした場合、両鉄筋5,6が接触して配筋でき
ないことになる。そこで本実施例では、図6(a),
(b)に示すように、第1凹部7の深さを第2凹部10
の深さよりも深くし、前記第1実施例と同様の上下寸法
T ,LY が確保できるようにしている。なお、その他
の点については、前記第1実施例と同一構成となってお
り、作用も同一である。
【0051】しかして、本実施例によっても、前記第1
実施例と同様の効果が期待できる。
【0052】ところで、前記各実施例においては、各鉄
筋5,6を1本ずつ配筋する場合について説明したが、
場合によっては、各鉄筋5,6を複数本上下に重ねて配
筋することが要求される場合がある。
【0053】図7は、このような場合に適用される本発
明の第4実施例を示すもので、各鉄筋5,6を例えば2
本上下に重ねて配筋できるようにしたものである。
【0054】すなわち、各鉄筋保持部材2,3の凹部
7,10は、図7に示すように、鉄筋5,6を上下に2
本重ねて嵌入係止できるだけの深さを有しており、その
上端両側部には、突部13がそれぞれ設けられている。
なお、その他の点については、前記第1実施例と同一構
成となっており、作用も同一である。
【0055】しかして、凹部7,10の深さを深くする
だけで、各鉄筋5,6を複数本上下に重ねて配筋する場
合にも対応でき、しかも積重ねた各鉄筋5,6は、凹部
7,10の両側部で支持されているので、積重ね状態が
崩れるおそれがない。
【0056】図8は、本発明の第5実施例を示すもの
で、縦鉄筋保持部材2と横鉄筋保持部材3との一端部を
相互に連結し、平面L形状をなす保持ユニット20を構
成するようにしたものである。
【0057】すなわち、この保持ユニット20は、図8
に示すように、縦鉄筋保持部材2の一端部に横鉄筋保持
部材3の一端部を直角状に連結して構成されており、各
鉄筋保持部材2,3の下端部には、固定孔16を有する
脚部15がそれぞれ設けられている。そしてこの保持ユ
ニット20は、図8に鎖線で示すように、捨てコンクリ
ート4上に整列配置されて鉄筋保持装置1を構成するよ
うになっている。
【0058】前記各鉄筋保持部材2,3は、図2および
図3に示すように、横幅寸法の異なる帯板材を用いて形
成してもよいが、単一の帯板材をL形状に折曲して保持
ユニット20を構成できるようにするため、図6
(a),(b)に示す構造にすることがより好ましい。
なお、その他の点については、前記第1実施例と同一構
成となっており、作用も同一である。
【0059】しかして、保持ユニット20は自立構造と
なっているので、一人の作業員で鉄筋保持装置1を構成
することができる。
【0060】なお、前記第5実施例においては、縦鉄筋
保持部材2と横鉄筋保持部材3とが単一部材で構成され
ている場合について説明したが、両鉄筋保持部材2,3
を別部材で構成し、現場において相互に連結して保持ユ
ニット20を構成するようにしてもよい。
【0061】また、前記各実施例においては特に説明し
なかったが、両鉄筋5,6の捨てコンクリート4上面か
らの配筋位置は、現場によって異なる場合がある。これ
に対応する方法としては、各鉄筋保持部材2,3の下面
にスペーサを介装したり、あるいは各鉄筋保持部材2,
3の下端部に昇降治具を装着する方法等が考えられる
が、広い面積の基礎コンクリートに適用する際には、多
数のスペーサや昇降治具が必要となり、作業が必ずしも
容易でないとともにコスト高となる。そこでこのような
場合には、上下寸法LT ,LY の異なる複数種類の鉄筋
保持部材2,3を予め容易し、現場に合わせ最適な鉄筋
保持部材2,3を選択して使用するようにすればよい。
【0062】図9および図10(a),(b)は、本発
明の第6実施例を示すもので、両鉄筋5,6を上下方向
に間隔を置いて複数層配設できる鉄筋保持装置31を用
いるようにしたものである。
【0063】すなわち、この鉄筋保持装置31は、図9
および図10(a),(b)に示すように、縦鉄筋保持
部材32、横鉄筋保持部材33およびこれら各鉄筋保持
部材32,33の両端部を支持する支柱部材34を備え
ており、前記支柱部材34には、上下方向に間隔を置い
て複数,例えば3本の鉄筋保持部材32,33が支持さ
れるようになっている。
【0064】前記支柱部材34は、図9および図10
(a),(b)に示すように、四角柱状の支柱34aと
支柱34aの下端部に設けられたベース板34bとから
構成されており、この支柱部材34は、捨てコンクリー
ト4上に載置された後、ベース板34bがアンカーボル
ト35により捨てコンクリート4上に固定されるように
なっている。
【0065】前記支柱34aの4つの各周面には、図9
および図10(a),(b)に示すように、支柱34a
の上端まで達する係止溝36がそれぞれ設けられてお
り、各鉄筋保持部材32,33は、その両端部をこの係
止溝36に嵌入係止することにより、支柱部材34に支
持されるようになっている。そして、各鉄筋保持部材3
2,33の上下位置は、上下の鉄筋保持部材32,32
または33,33の間に介装される高さ調節用スペーサ
37の長さを変更することにより、容易に調節できるよ
うになっている。
【0066】前記各鉄筋保持部材32,33は、図9お
よび図10(a),(b)に示すように、比較的横幅寸
法(上下方向の寸法)が小さい横置きの帯板状に形成さ
れており、その上端縁には、縦鉄筋保持用の第1凹部3
8および横鉄筋保持用の第2凹部39が、それぞれ所定
間隔で複数設けられている。そして、前記各第1凹部3
8に縦鉄筋5を嵌入係止することにより、縦鉄筋5が一
定間隔で配筋保持されるとともに、前記各第2凹部39
に横鉄筋6を嵌入係止することにより、横鉄筋6が一定
間隔で配筋保持されるようになっている。
【0067】ところで、両鉄筋5,6を配筋する際に、
両鉄筋5,6の接触を防止する方法としては、図6
(a),(b)に示すような構造とすることも考えられ
るが、本実施例では、図10(a),(b)に示すよう
に、最下段の横鉄筋保持部材33の下側にのみ高さ調節
用スペーサ37を介装することにより、両鉄筋5,6の
接触を防止するようにしている。
【0068】しかして、支柱部材34を用いて両鉄筋保
持部材32,33の両端部を支持し、また支持部材34
は、アンカーボルト35を用いて捨てコンクリート4上
に固定されているので、鉄筋保持部材32,33の設置
時の安定性が向上し、鉄筋5,6上や鉄筋保持部材3
2,33上に作業員が乗っても倒壊するおそれがない。
【0069】また、各鉄筋保持部材32,33の設置が
容易で、高さ調節用スペーサ37の変更により、上下に
複数本配された各鉄筋保持部材32,33の位置や本数
を自由に変更することができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、第1凹部
を有する縦鉄筋保持部材と第2凹部を有する横鉄筋保持
部材とにより、格子状に配筋される縦鉄筋と横鉄筋とを
支持するようにしているので、両鉄筋の交叉部を針金で
結束することなく、容易かつ正確にしかも強固に、両鉄
筋を格子状に配筋することができ、配筋作業を大幅に簡
素化することができ、作業に熟練を要しないので、作業
員の確保も容易である。また、前記両凹部の少なくとも
一側縁部には、抜け止め用の突部が設けられているの
で、各凹部内に嵌入係止した縦鉄筋あるいは横鉄筋が、
不用意に各凹部から抜け出るのを防止することができる
とともに、各鉄筋と各鉄筋保持部材との一体化強度を向
上させることができる。
【0071】本発明はまた、両鉄筋保持部材を、その長
手方向一端部で相互に連結して平面L形状としているの
で、L形状の両鉄筋保持部材を捨てコンクリート上に載
置し、必要に応じ各鉄筋保持保持部材を捨てコンクリー
ト上に固定するだけで、両鉄筋保持部材の設置が完了
し、両鉄筋保持部材の設置が容易である。
【0072】本発明はまた、両鉄筋保持部材を、上端ス
リットと下端スリットとを係合させることにより、平面
十字状に組合わせるようにしているので、両鉄筋保持部
材を容易に自立させることができ、設置が容易であると
ともに、両スリットの係合を解除すれば、両鉄筋保持部
材は平板状となるので、運搬および保管が容易である。
【0073】本発明はまた、少なくともいずれか一方の
鉄筋保持部材の下端部に、脚部を設けるようにしている
ので、鉄筋保持部材設置時の安定性を向上させることが
できるとともに、脚部を介し鉄筋保持部材を捨てコンク
リート上に固定するようにすれば、固定も容易である。
【0074】本発明はまた、各鉄筋保持部材の両端部
を、土台上に設置した支柱部材により支持するようにし
ているので、支柱部材のベース板を大きくしたり、ある
いは支柱部材を土台上に固定することにより、各鉄筋保
持部材設置時の安定性を大幅に向上させることができ、
鉄筋上や鉄筋保持部材上に作業員が乗っても、倒壊する
おそれが全くない。また、各鉄筋保持部材の設置も容易
である。
【0075】本発明はまた、各鉄筋保持部材の端部を、
支柱部材の外面に上下方向に通して設けられた係止溝に
上下動可能に嵌入係止し、かつ係止溝内に挿入配置され
る高さ調節用のスペーサの長さ変更により、上下位置を
調節できるようにしているので、両凹部の底部位置自体
を上下にずらせることなく、各鉄筋保持部材の上下位置
を上下にずらせることにより、両凹部の底部位置を、両
鉄筋保持部材の設置状態において、少なくとも鉄筋の直
径寸法だけ上下にずらせることができる。このため、両
鉄筋保持部材を全く同一形状寸法とすることができ、共
通部品化によりコストダウンを図ることができる。ま
た、各鉄筋の上下方向の配筋位置決めを、スペーサの長
さ変更のみにより容易かつ正確に行なうことができる。
【0076】本発明はまた、支柱部材に、上下方向に間
隔を置いて複数の鉄筋保持部材を支持させるようにして
いるので、縦,横の鉄筋を上下方向に複数層配置する場
合でも、容易に対応することができる。そしてこの際、
両鉄筋の交叉部を針金で結束する必要がないので、まず
各層の縦鉄筋のみを配筋してしまい、その後各層の横鉄
筋を、縦鉄筋上を滑らせて順次配筋する等の方法を採る
こともでき、現場に合った最適な方法で配筋作業を行な
うことができる。
【0077】本発明はさらに、少なくともいずれか一方
の鉄筋保持部材に、板厚方向の開口を設けるようにして
いるので、鉄筋配筋後に打設されるコンクリートの流動
性が、鉄筋保持部材により阻害されるおそれがなく、型
枠内に密にコンクリートを充填することができるととも
に、コンクリートとの一体化強度を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る鉄筋保持装置を示す
斜視図である。
【図2】図1の縦鉄筋保持部材の詳細を示す要部構成図
である。
【図3】図1の横鉄筋保持部材の詳細を示す要部構成図
である。
【図4】凹部の詳細を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す鉄筋保持部材の断面
図である。
【図6】(a),(b)は本発明の第3実施例を示す鉄
筋保持部材の要部構成図である。
【図7】本発明の第4実施例を示す鉄筋保持部材の要部
構成図である。
【図8】本発明の第5実施例を示す保持ユニットの平面
図である。
【図9】本発明の第6実施例を示す鉄筋保持装置の平面
構成図である。
【図10】(a)は図9の装置における縦鉄筋保持部材
の状態を示す説明図、(b)は同様の横鉄筋保持部材の
状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,31 鉄筋保持装置 2,32 縦鉄筋保持部材 3,33 横鉄筋保持部材 4 捨てコンクリート 5 縦鉄筋 6 横鉄筋 7,38 第1凹部 8 上端スリット 9,12 コンクリート流動用開口 10,39 第2凹部 11 下端スリット 13 突部 15 脚部 16 固定孔 20 保持ユニット 34 支柱部材 34a 支柱 34b ベース板 35 アンカーボルト 36 係止溝 37 高さ調節用スペーサ

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎コンクリート用として格子状に配筋
    される縦鉄筋および横鉄筋を保持する鉄筋保持装置にお
    いて、幅方向を上下に向けた横置きの帯板状をなし上端
    縁に所定間隔で複数の縦鉄筋保持用の第1凹部を有する
    縦鉄筋保持部材と、幅方向を上下に向けた横置きの帯板
    状をなし上端縁に所定間隔で複数の横鉄筋保持用の第2
    凹部を有する横鉄筋保持部材とを備え、前記両凹部の底
    部位置は、両鉄筋保持部材の設置状態において、少なく
    とも縦鉄筋または横鉄筋の直径寸法だけ上下にずれて
    り、かつ前記両凹部は、その少なくとも一側縁部に抜け
    止め用の突部を有していることを特徴とする鉄筋保持装
    置。
  2. 【請求項2】 両鉄筋保持部材は、長手方向一端部で相
    互に連結されて平面L形状をなしていることを特徴とす
    る請求項1記載の鉄筋保持装置。
  3. 【請求項3】 両鉄筋保持部材は、いずれか一方の鉄筋
    保持部材の上端縁から上下方向に切込まれた上端スリッ
    トといずれか他方の鉄筋保持部材の下端縁から上下方向
    に切込まれた下端スリットとを係合させることにより、
    平面十字状に組合わされていることを特徴とする請求項
    1記載の鉄筋保持装置。
  4. 【請求項4】 少なくともいずれか一方の鉄筋保持部材
    は、その下端部に脚部を有していることを特徴とする請
    求項1,2または3記載の鉄筋保持装置。
  5. 【請求項5】 各鉄筋保持部材の両端部は、土台上に設
    置した支柱部材により支持されていることを特徴とする
    請求項1記載の鉄筋保持装置。
  6. 【請求項6】 各鉄筋保持部材は、その端部が支柱部材
    の外面に上下方向に通して設けた係止溝に上下動可能に
    嵌入係止され、かつ係止溝内に挿入配置される高さ調節
    用のスペーサの長さ変更により、上下位置が調節可能と
    なっていることを特徴とする請求項5記載の鉄筋保持装
    置。
  7. 【請求項7】 支柱部材は、上下方向に間隔を置いて複
    数の鉄筋保持部材を支持していることを特徴とする請求
    項5または6記載の鉄筋保持装置。
  8. 【請求項8】 少なくともいずれか一方の鉄筋保持部材
    は、板厚方向の開口を有していることを特徴とする請求
    項1,2,3,4,5,6または7記載の鉄筋保持装
    置。
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