JP3104613B2 - ビスマス層状化合物の製造方法 - Google Patents

ビスマス層状化合物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば強誘電性メ
モリ等の電子デバイスに用いて有用なビスマス層状化合
物の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】ビスマス層状化合物は、110Kの臨界
温度を有するビスマス系超伝導酸化物、あるいは強誘電
性メモリ用材料等、産業上にも極めて重要な化合物群を
なしている。これらの化合物を電子デバイスへ応用する
場合には、薄膜化プロセスの開発が不可欠である。
【0003】このビスマス層状化合物の構造は、例えば
Bi2 PbNb2 9 に見られるが、c軸方向に柱状に
伸びた擬正方晶系となっており、c軸方向に酸化ビスマ
スの層と他の元素の酸化物の層とが一定の順序で積層し
た、繰り返し構造をもってなる構造を採る(G.A.SMOLEN
SKII et al.,SOVIET PHIYSICS-SOLID STATE,p651-655(1
961)およびE.C.SUBBARAO,J.Phys.Chem.Solids Pergamon
Press,Vol.23,p665-676(1962)参照)。そして、この繰
り返し構造においては、1単位構造中のビスマス酸化物
層の数や単位構造の長さは、各ビスマス層状化合物によ
って様々である。
【0004】現在、このビスマス層状化合物の電子デバ
イスへの応用の試みが行われており、その中で、良好な
強誘電性を示すビスマス層状化合物の薄膜が、MOD
(Metal Organic Deposition)法等スピンコートによる
方法により得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
半導体プロセスにおいてはクリーン(清浄)度の要請が
厳しく、上述のスピンコートによる成膜方法では、この
要請を満足させることができない。
【0006】従って、新たな成膜プロセスの開発が必要
になるが、酸化物の薄膜に対しては、超高真空プロセス
(例えば分子線エピタキシー法やレーザアブレーショ
ン)による酸化反応が困難である。また、半導体プロセ
スでよく用いられているMOCVD法(有機金属化学的
気相成長法)を適用するには、水素ガスをキャリアとし
て用いることができないこと、良好なソース材料がない
こと等の障害がある。
【0007】上述した問題の解決のために、本発明にお
いては、堆積プロセスと、酸化・結晶化プロセスとをそ
れぞれ別の工程、すなわち酸化プロセスを、酸化性雰囲
気中でポストアニールを行うものとすることにより、良
好な結晶性、電気的特性等の物性を有するビスマス層状
化合物を製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、フルオライト
系構造を有する化合物を前駆物質とし、これを熱処理し
てビスマス層状化合物を得るビスマス層状化合物の製造
方法である。尚、上記ビスマス層状化合物の典型例とし
ては、Bi2(Sra Bab Cac)(Tad Nbe 2
9 (a,b,c,d,eは原子比で、0から1の値を
とり、a+b+c=1,d+e=1)なる組成式で表さ
れる。ただし、ビスマス層状化合物には非化学量論性が
あるため、厳密に上記組成式を満たすのは困難であり、
ビスマス層状化合物が所定の層状構造をとればよいもの
とする。
【0009】上述の本発明の構成によれば、フルオライ
ト系構造を有する化合物を前駆物質として用いて、熱処
理することにより、良好な結晶性や電気的特性を有する
ビスマス層状化合物を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のビスマス層状化合物の製
造方法は、まずフルオライト系構造を有する前駆物質を
作製し、これを熱処理することにより所望のビスマス層
状化合物を得るものである。
【0011】本発明の実施例の説明に先立ち、本発明の
概要について説明する。
【0012】フルオライト系構造の基本となるフルオラ
イト(蛍石)構造は、蛍石(CaF 2 )の結晶構造とし
て古くから知られている。蛍石の結晶構造は、立方晶系
に属し、カルシウム原子は四面体的に、フッ素原子は立
方体的に配置されている構造である。
【0013】このフルオライト構造は、蛍石以外にも多
くのフッ化物(MF2 )でとられる他に、Ce,Pr,
Tb,アクチノイド系列元素(Th〜Am)等の元素に
よる酸化物(MO2 )においてもとられる構造である。
【0014】さらにこれらの化合物は、いわゆる不定比
化合物に属するために、金属元素、アニオン(FやO)
元素の両方のサイトにおいて、大きな組成ずれに対する
寛容性がある。例えばZrO2 においては、かなり大量
のアルカリ土類金属その他を固溶させることができ、ま
た酸化ウランにおいては、酸素過剰型の不定比化合物を
構成しうる。
【0015】上述の酸化物によるフルオライト構造は、
蛍石のカルシウム原子のサイトに金属原子、フッ素原子
のサイトに酸素原子がそれぞれ配列され、蛍石と同じく
立方晶系に属し高い空間対称性を有するものである。こ
のフルオライト構造を有する酸化物(BO2 )の結晶構
造を図1に示す。図1より金属原子(B)は面心立方格
子、酸素原子(O)は単純立方格子をとると同時に金属
原子(B)は、酸素原子(O)の構成する立方体の体心
に位置し、酸素原子(O)は金属原子(B)の構成する
正四面体の中心に位置していることがわかる。
【0016】本発明による前駆物質となる、ビスマス化
合物によるフルオライト系構造は、基本的にはこの図1
に示した結晶構造において、Bのサイトにはビスマスお
よびその他金属原子が配置され、酸素原子のサイトには
酸素原子がそのまま配置されるものである。
【0017】この前駆物質のフルオライト系構造は、実
際には上述の組成ずれ等によって、純粋なフルオライト
構造の立方晶系から対称性がやや低下し、正方晶系、斜
方晶系あるいは単斜晶系等の構造となる場合、あるいは
フルオライト構造から若干変化した構造となる場合もあ
るものである。
【0018】前駆物質となるフルオライト系構造を有す
る化合物の作製において、特に薄膜を形成する場合に
は、既存の様々な成膜法を用いることができる。この成
膜法としては、ゾルーゲル法、MOD法等のスピンコー
トによる方法、LSMCD(Liquid Source Misted Che
mical Deposition)法、メタルハライド(金属ハロゲン
化物)を用いるCVD(化学的気相成長)法、DPM
(DiPivaloylMethanato )等をソースとして用いるMO
CVD(有機金属化学的気相成長)法、液相でソースの
搬送と混合を行い反応室で急激に減圧して気化させるフ
ラッシュCVD法、さらに真空蒸着法、分子線蒸着法、
レーザアブレーション法、スパッタ法等の物理蒸着法等
の成膜法を採ることができる。
【0019】例えば前述のスピンコートによる方法で
は、約700℃でフルオライト系構造の化合物が生成す
るが、CVD法によれば600℃以下の低温でフルオラ
イト系構造の化合物が生成できる。
【0020】本発明によるビスマス層状化合物の製造方
法において、前駆物質としての薄膜の組成は、目的とす
るビスマス層状化合物と同一の組成、あるいはその近傍
の組成とする。
【0021】目的とするビスマス層状化合物としては、
例えば強誘電体として用いるBi2(Sr,Ba,C
a)(Ta,Nb)2 9 の系のほか、前述したBi系
酸化物超伝導体等があげられる。
【0022】前駆物質となるフルオライト構造の化合物
の成膜条件は、好ましくは、 反応温度:300〜700℃ 反応ガス圧:0.1〜50torr キャリアガス:酸素を5%以上含む酸化性ガス中 である。
【0023】前駆物質のフルオライト構造の化合物のア
ニール条件は、好ましくは、 アニール温度:成膜温度以上850℃以下 雰囲気:酸化性雰囲気 である。
【0024】このような条件で目的のビスマス層状化合
物を製造することができる。
【0025】ここで、例えば組成式がBi2 SrTa2
9 であるビスマス層状化合物の薄膜を形成する場合を
例に採る。
【0026】上述の成膜法のうち、例えばフラッシュC
VD法を用いる場合には、成膜のままのアニール処理を
しない状態、いわゆるアズ・デポ(as deposi
tion)状態でフルオライト構造を有する前駆物質を
合成することができる。ここでは、このフラッシュCV
D法により成膜する場合を説明する。
【0027】このとき基板としては、例えばシリコン上
にTi,Ptを順次スパッタ法により堆積したものを用
いる。またCVDソースとしては、Bi源としてBiP
3 (トリフェニルビスマス)、Bi(O−Tol)3
等、Sr源としてSr(DPM)2 (ジピバロイル−ス
トロンチウム)、Sr(Me5 5 2 ・2THF等、
Ta源としてTa(OCH3 5 、Ta(O−iPr)
5 等から適切なものを選択する。ここで、Bi源とし
て、Bi(O−iPr)3 、Bi(O−tC
4 9 3 、Bi(O−tC5 113 、Bi(O−T
ol)3 等の、酸素を含む原料を使用する場合は、酸化
性雰囲気でなくともフルオライト系構造の化合物が生成
することがある。
【0028】これらのソース材料を有機溶媒等に溶かし
液体状態で搬送し、Ar(アルゴン)キャリアガスと共
にリアクター内に導入する。このとき、好ましくは0.
1〜10torr程度に急激に減圧することによりソース溶
液を気化させ、気相状態で基板上に堆積させる。酸化性
ガスとして純酸素を用いる場合には、酸素分圧が全圧に
対して50%程度になるように流量を調整して供給す
る。
【0029】各ソースの混合比については、好ましくは
試作した薄膜の組成をEPMA(電子プローブマイクロ
アナライザ)や蛍光X線装置等により分析を行い、目的
の組成との比較を行いそれをもとに混合比を調節するこ
とにより、正しい混合比を設定する。
【0030】ソース材料の供給組成比が適切であれば、
基板温度300〜700℃程度でフルオライト構造の単
相あるいは単相に近い薄膜を得ることができる。
【0031】このようにして得られた前駆物質を、好ま
しくは800℃にて1時間、酸化性雰囲気で、好ましく
は常圧酸素気流中にて熱処理することにより、ビスマス
層状化合物Bi2 SrTa2 9 を主相とする薄膜を得
ることができる。
【0032】こうして得られた薄膜に対して、例えばス
パッタ法にて白金電極を形成することにより、電気的特
性を測定することができ、このとき明確なヒステリシス
を観測することができる。
【0033】一般にCVD法による生成物は、ソース同
士の複雑な多段の素過程により様々となるものであり、
気相での核生成、副生成物の生成や基板からの再蒸発等
の、組成ずれの要因が多々あり、アズ・デポ状態では安
定的に目的相を得ることは困難であり、これをそのまま
アニールしても必ずしも目的相を得ることが出来ない。
【0034】従って、フルオライト系構造を有する前駆
物質を結晶核とすることによって、これを熱処理し目的
相のビスマス層状化合物を得るという本発明による製造
方法が有用である。
【0035】また、ビスマス酸化物の系では、理論組成
からやや外れたところで最適な電気的特性を示すことも
珍しくない。実際ここに示した本発明のビスマス層状化
合物による薄膜においても、ビスマスがやや過剰に存在
している。
【0036】前駆物質とするフルオライト系構造の化合
物は、立方晶系のフルオライト構造の他、多少の非対称
性も含んで正方晶系あるいは斜方晶系となる構造でもよ
い。
【0037】続いて、本発明によるビスマス層状化合物
の製造方法の一具体例について説明する。この具体例
は、組成がBi2 SrTa2 9 であるビスマス層状化
合物による薄膜を作製する場合の例である。
【0038】自然酸化させたシリコンの(100)面上
に、TiおよびPtをそれぞれ100nmずつ室温での
スパッタ法にて順次堆積させ、基板を形成する。
【0039】CVD法のソース材料として、例えばBi
Ph3 ,Sr(DPM)2 ,Ta(O−iPr)5 等を
選択し、これらのソース材料をTHF(テトラヒドロフ
ラン)等の有機溶媒に溶かし、それぞれ0.1M/l程
度の濃度の溶液を作製する。
【0040】この溶液を初期値としてBi:Sr:Ta
=2:1:2の液体体積比で混合して、搬送し気化器に
導入する。このときソース材料が気化器内壁に析出付着
しないように、気化器を適度に加熱しておく。
【0041】気化した溶液を、気化器からArキャリア
ガスと共にリアクターに導入する。
【0042】気化器やリアクターは10torr程度に減圧
して、ソース溶液を気化させる。そして、気化したソー
ス溶液を気相状態で基板上に搬送し堆積させる。
【0043】このとき基板の温度は600℃程度にして
おく。
【0044】一方、酸化性ガス、例えば純酸素、酸素の
バランスガス(Ar+酸素20%の混合ガス等)、オゾ
ン、N2 O、NO2 等を気化器を通さず、直接リアクタ
ーに導入する。
【0045】Arキャリアガスと酸化性ガスとは、それ
ぞれマスフローコントローラにて流量が500sccm
程度となるように調整して供給させる。
【0046】このようにして、結晶性に優れたフルオラ
イト構造の単相に近い薄膜を得ることができる。
【0047】この薄膜のX線回折パターンを図2に、電
子線回折図形を図3にそれぞれ示す。図2において、F
と記載されたピークは、フルオライト構造を有するビス
マス化合物のピークであり、Ptと記載されたピーク
は、薄膜の下の基板のPtによるピークである。また記
号F,Ptの後は、そのピークが相当する結晶面を表
す。
【0048】図2および図3より、(111)、(20
0)、(220)、(311)、(222)、(40
0)の各面の反射によるピークが観察され、フルオライ
ト構造の特徴をよく表している。
【0049】次に、このフルオライト構造を有する化合
物による薄膜を、常圧酸素気流中で800℃にて1時間
の熱処理を行う。
【0050】この結果、目的の組成Bi2 SrTa2
9 を主相とするビスマス層状化合物による薄膜を得るこ
とができた。
【0051】このビスマス層状化合物による薄膜のX線
回折パターンを図4に示す。図4において、Ptは図2
と同様に白金によるピークで、Biはビスマス層状化合
物によるピークである。図4のX線回折パターンを図2
のX線回折パターンと比較すると、酸化性雰囲気中にお
けるアニールによって相変化が起こり、ピークの位置す
なわちビスマス化合物の結晶構造が変化したことがわか
る。また、このビスマス層状化合物の制限視野回折像の
観察結果は、計算によるものとよく一致しており、良好
な結晶構造のビスマス層状化合物が得られていることが
確認された。
【0052】さらに本実施例により作製した薄膜特性の
評価のために、薄膜上にスパッタ法にて200nm程度
の上部白金電極を形成し、この薄膜ヒステリシス特性を
測定した。
【0053】図5にヒステリシス特性のグラフを示す。
図5は印加電圧を1〜5Vまで変えてそれぞれヒステリ
シスを測定したものである。印加電圧が3V以上の場合
に、残留分極を表す2Pr値(プラスの残留分極Pr+
とマイナスの残留分極Pr-との差)が10μC/cm
2 程度になっている。また図6に、図5で示したヒステ
リシス特性の測定における印加電圧の大きさとγ=2P
r/(Ps+ −Pr+ )の値との関係をグラフに示す。
Ps+ は最大印加電圧時の分極である。ヒステリシス形
状という観点からみれば、このγ値が大きいほど大きい
出力が取れる。従って図6により、この薄膜は印加電圧
1Vの近傍で使うのが好ましいことがわかる。ただし、
γ値のピークの位置つまり動作電圧は、薄膜の膜厚によ
り制御することができる。また、実際のデバイスにおけ
る実効出力は動作電圧、ビット線容量等に大きく依存す
る。
【0054】(比較例)CVD法による基板上への前駆
物質堆積時の基板温度を280℃とすることにより、前
駆物質をアモルファス構造とした以外は上述の実施例と
同様の製法にてBi2 SrTa29 薄膜を作製した。
この薄膜について、図6と同様にヒステリシス特性にお
けるγ値を測定したところ、上述の実施例と同様の原子
組成比であるにも係わらず、本比較例においてはγ値が
小さくなることが確認された。この様な小さいγ値を示
す薄膜を強誘電体メモリーに用いると著しい出力の低下
を招き、十分な信頼性を確保することが難しい。
【0055】上述の実施例においては、目的のビスマス
層状化合物をBi2 SrTa2 9の組成のものとした
が、その他の組成のビスマス層状化合物についても、同
様にして目的の組成の薄膜を得ることが出来る。
【0056】上述の実施例では、ビスマス層状化合物の
薄膜を形成した例であったが、薄膜に限らず、バルクの
ビスマス層状化合物の製造においても、本発明の製造方
法を適用することができる。その例を次に示す。
【0057】目的のビスマス層状化合物の組成比になる
ように、原料の酸化ビスマス(Bi 2 3 )、水酸化ス
トロンチウム(Sr(OH)2 )あるいは硝酸ストロン
チウム(Sr(NO3 2 )、酸化タンタル(Ta2
5 )を秤量し、十分に混合して乳鉢にて粉砕することに
より、粉末原料を作製する。ストロンチウム原料として
は通常用いられる炭酸塩ではなく、比較的低温で分解す
る水酸化物あるいは硝酸塩を用いる。
【0058】この粉末原料をペレット状に加圧成形した
あと、大気中で700℃に3日間保持する。
【0059】加熱終了後、炉から素早く取り出し、液体
窒素中に投入して急冷する。
【0060】これによりフルオライト構造のビスマスス
トロンチウムタンタル酸化物 を得ることができる。
【0061】このフルオライト構造の酸化物を前駆物質
として、これを常圧酸素気流中800〜1000℃に熱
処理して、ほぼ単相に近いビスマス層状化合物を得るこ
とができた。
【0062】他に、ビスマス層状化合物の組成は、Bi
2 Sr(Ta,Nb)29 としても良い。この場合、
抗電界の値がBi2 SrTa29 より大きくなるもの
の、他の特性はほぼ同等であった。
【0063】本発明のビスマス層状化合物の製造方法
は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0064】
【発明の効果】上述の本発明によるビスマス層状化合物
の製造方法によれば、前駆物質であるフルオライト構造
の化合物を酸化性雰囲気で熱処理することにより、通常
の方法で直接得ることが困難な、良好な電気特性を有す
るビスマス層状化合物を得ることができる。
【0065】また、上述の組成ずれに対する性質、すな
わちフルオライト構造が組成ずれに対して広い許容を有
すること、またビスマス層状化合物において理論組成か
らやや組成がずれた所で最適な電気的特性を示すことを
利用して、本発明によりフルオライト系構造の化合物よ
りなる前駆物質を経由して、最適な電気的特性を示す組
成のビスマス層状化合物を形成することができる。従っ
て本発明により、良好な電気的特性を有する強誘電薄膜
が得られる。
【0066】また組成ずれに対する許容性から、プロセ
スマージン、すなわち製造条件の許容性も大きくとるこ
とができ、より容易にビスマス層状化合物からなる電子
デバイスの製造ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フルオライト構造の金属酸化物の結晶構造図で
ある。
【図2】本発明によるフルオライト構造の化合物の薄膜
についてのX線回折パターンである。
【図3】本発明によるフルオライト構造の化合物の薄膜
についての電子線回折図形である。
【図4】アニールにより生成したビスマス層状化合物薄
膜のX線回折パターンである。
【図5】ビスマス層状化合物薄膜のヒステリシスの測定
結果のグラフである。
【図6】図5の測定における印加電圧とγ値の関係を示
したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 21/316 H01L 21/316 P 21/8242 39/24 ZAAB 27/108 27/10 651 39/24 ZAA (72)発明者 池田 裕司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−22957(JP,A) 特開 平6−284481(JP,A) 特開 平7−275714(JP,A) 特開 平6−69565(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 33/00 C01G 29/00 C01G 35/00 C23C 14/34 CA(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオライト系構造を有する化合物を前
    駆物質とし、これを熱処理してビスマス層状化合物を得
    ることを特徴とするビスマス層状化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 Bi2 (Sra Bab Cac )(Tad
    Nbe 2 9 なる組成式で表され、a,b,c,d,
    eは原子比で、0から1の値をとり、 a+b+c=1, d+e=1 とされたビスマス層状化合物を得ることを特徴とする請
    求項1に記載のビスマス層状化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 Bi2 SrTa2 9 なる組成式で表さ
    れるビスマス層状化合物を得ることを特徴とする請求項
    1に記載のビスマス層状化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記熱処理を酸化性雰囲気中で行うこと
    を特徴とする請求項1に記載のビスマス層状化合物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 上記フルオライト系構造を有する化合物
    は、反応温度300〜700℃で化学的気相成長方法に
    より成膜され、 上記熱処理を酸化性雰囲気で、上記フルオライト系構造
    を有する化合物の反応温度以上の温度にて行うことを特
    徴とする請求項1に記載のビスマス層状化合物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 上記化学的気相成長における反応ガス圧
    を0.1〜50Torrとすることを特徴とする請求項
    5に記載のビスマス層状化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記化学的気相成長において、キャリア
    ガスとして酸素を5%以上含む酸化性ガスを用いること
    を特徴とする請求項5に記載のビスマス層状化合物の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 Bi2 Sr(Ta,Nb)29 なる組
    成式で表されるビスマス層状化合物を得ることを特徴と
    する請求項1に記載のビスマス層状化合物の製造方法。
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