JP3102111B2 - 自動二輪車用エンジンのブリーザ装置 - Google Patents

自動二輪車用エンジンのブリーザ装置

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JP3102111B2 JP03337119A JP33711991A JP3102111B2 JP 3102111 B2 JP3102111 B2 JP 3102111B2 JP 03337119 A JP03337119 A JP 03337119A JP 33711991 A JP33711991 A JP 33711991A JP 3102111 B2 JP3102111 B2 JP 3102111B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動二輪車用エンジンの
ブリーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】4ストロークエンジンのクランク室内圧
力は、ブローバイガスの漏出やピストンの往復などに伴
って絶えず変動するので、クランク室内の圧力変動を外
部に逃がすためのブリーザ孔をクランクケースに設ける
必要がある。ところが、クランク室内に注入されたオイ
ルが圧力変動とともに上記ブリーザ孔から流出してしま
うおそれがあるため、ブリーザ孔の内側には迷路状に形
成されたブリーザ室が設置され、このブリーザ室とクラ
ンク室とを連通させる圧力孔が設けられてブリーザ装置
が構成される。このようなブリーザ装置において、ブロ
ーバイガスとオイル分の混合ガスは圧力孔よりブリーザ
室に流入し、オイル分は分離されてクランク室に戻り、
ブローバイガスのみがブリーザ孔より外部に排出され
る。
【0003】自動二輪車用エンジンにおいては、一般に
クランク室の上部や側部に上記ブリーザ室が配置される
レイアウトとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自動二
輪車用エンジンのクランク室内はスペースが非常に限ら
れており、ブリーザ室の容積を大きく確保することがで
きない。このためクランク室内のオイル容量に比べてブ
リーザ室の容積が小さく、自動二輪車が転倒した際にブ
リーザ室に流入したオイルが溢れ、ブリーザ孔より外部
に流出するおそれがあった。
【0005】本発明はこの問題を解決するためになされ
たもので、簡素な構成により、自動二輪車の転倒時にオ
イルが流出することを防止可能な自動二輪車用エンジン
のブリーザ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る自動二輪車用エンジンのブリーザ装置
は、クランクシャフトが軸支されるとともにオイルが貯
溜されるクランク室の上方にブリーザ室が車幅方向に延
設され、上記ブリーザ室の底部に上記クランク室に連通
する圧力孔が設けられ、ブリーザ室の上部に外部に連通
するブリーザ孔が設けられた自動二輪車用エンジンのブ
リーザ装置において、上記圧力孔とブリーザ孔とを車幅
方向に離間させ、その間を隔壁で分割することにより、
底部に圧力孔を有する第1ブリーザ室と、上部にブリー
ザ孔を有する第2ブリーザ室とを車幅方向に並設し、そ
のいずれか一方のブリーザ室をエンジンセンタ上に配置
する一方、上記隔壁に連通孔を穿設するとともに上記連
通孔の下方から圧力孔の上方に向かって延びるリブを形
成し、かつ自動二輪車が左右に転倒した際におけるクラ
ンク室内のオイルの油面に対し、ブリーザ孔並びに圧力
孔の少なくとも片方が油面より高所に位置するようにし
たことを特徴としている。
【0007】
【作用】自動二輪車用エンジンのブリーザ装置をこのよ
うに構成することにより、自動二輪車が左右どちらに転
倒しても、クランク室内のオイルがブリーザ孔から流出
しない。また、上記隔壁やリブ、圧力孔、ブリーザ孔、
連通孔は全てクランク室を形成するクランクケースの成
形時に同時に形成できるため、ブリーザ装置を非常に簡
素に構成することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0009】図1は、本発明が適用されたスクータ型自
動二輪車用パワーユニットの左側面図、図2は図1のII
−II線に沿う断面図である。このパワーユニット1は一
般的なレイアウトを持っており、4ストローク単気筒で
あるエンジン2のクランクケース3左側方に、後方へ延
びるスイングケース4が一体的に連接され、スイングケ
ース4の後部にスクータの後輪5が軸支されている。
【0010】クランクケース3内のクランク室6に軸支
されたクランクシャフト7の左端はスイングケース4内
に突出しており、クランクシャフト7の回転はドライブ
プーリ8、Vベルト9、ドリブンプーリ10、クラッチ
11を経てドライブシャフト12に伝達され、さらに減
速ミッション機構13によって減速された後に後輪5を
支持するリヤアクスルシャフト14に伝えられる。
【0011】図3は図1のIII −III 線に沿う断面を示
しており、図4は前記エンジン2の右側面図である。ク
ランクケース3は、例えばエンジンセンタ(E.C)を
境に左右に分割される型式のものである。クランクケー
ス3の右側面にはジェネレータカバー16が被装され、
内部にジェネレータ17が配置されている。なお、クラ
ンク室6内にはオイル20が規定のレベルまで注入され
る。
【0012】図3および図4に示すように、クランク室
6の上方にはブリーザ室21が自動二輪車の車幅方向
(図3の左右方向)に延設されている。このブリーザ室
21は隔壁22によって第1ブリーザ室21aと第2ブ
リーザ室22bとに分割され、隔壁22の連通孔23で
繋っている。これにより、第1ブリーザ室21aと第2
ブリーザ室22bは車幅方向に並設される形となる。
【0013】クランク室6内の圧力変動をブリーザ室2
1へ逃がすための圧力孔24は第1ブリーザ室21aの
底部に形成され、クランクケース3の分割面に隣接して
いる。そして、第1ブリーザ室21aはエンジンセンタ
(E.C)上に配置されている。
【0014】また、ブリーザ室21を外部に連通させる
ブリーザ孔25は第2ブリーザ室21bの上部に設けら
れている。したがって、圧力孔24とブリーザ孔25と
が車幅方向に離間し、その間が隔壁22で分割される態
様となっている。ブリーザ孔25にはユニオン26が圧
入され、このユニオン26にホース27が接続され、ホ
ース27の他端は図1に示すエアクリーナ28に繋が
る。また、隔壁22には連通孔23の下方から圧力孔2
4の上方に向かって水平に延びるリブ29が一体に形成
されている。
【0015】前述の如く上記圧力孔24およびブリーザ
孔25は車幅方向に離間して配置されており、図5およ
び図6に示すように、自動二輪車が左右に転倒してクラ
ンクケース3が側転した際に、オイル20の油面に対し
て圧力孔24並びにブリーザ孔25の少なくとも片方が
油面上に位置するようになっている。なお、第1ブリー
ザ室21a(圧力孔24)と第2ブリーザ室21b(ブ
リーザ孔25)の位置関係は左右逆でもよい。
【0016】図5に示すように自動二輪車が左側に転倒
した際、オイル20は圧力孔24より第1ブリーザ室2
1a内に流れ込み、第2ブリーザ室21bにも多少のオ
イル20が入るが、ブリーザ孔25がオイル20の油面
よりも高所となるため、オイル20がブリーザ孔25か
ら外部へ流出することはない。このとき隔壁22は、第
2ブリーザ室21bへオイル20が流入するのを遅延さ
せる働きを持つ。
【0017】また図6に示すように自動二輪車が右側に
転倒した際、圧力孔24がオイル20の油面よりも高所
となるため、オイル20が第1ブリーザ室21aに流入
することはなく、万一多少のオイル20が第1ブリーザ
室21aに流入してもリブ29によって阻止され、第2
ブリーザ室21bに入ることはない。このため、ブリー
ザ孔25がオイル20の油面下(油面の延長面下)にあ
るにも拘らず、オイル20がブリーザ孔25より流出す
るおそれはない。
【0018】このように構成されたブリーザ装置は、ク
ランク室内のオイル容量に比べてブリーザ室の容積が小
さくても、自動二輪車の転倒時におけるオイル漏れを確
実に防止することができる。しかも、隔壁22やリブ2
9、圧力孔24、ブリーザ孔25、連通孔23等は全て
クランクケース3の成形時に同時に形成できるため、非
常に簡素にブリーザ装置を構成することができる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る自動二
輪車用エンジンのブリーザ装置は、ブリーザ室の底部に
設けられる圧力孔と、ブリーザ室の上部に設けられるブ
リーザ孔とを車幅方向に離間させ、その間を隔壁で分割
することにより、底部に圧力孔を有する第1ブリーザ室
と、上部にブリーザ孔を有する第2ブリーザ室とを車幅
方向に並設し、そのいずれか一方のブリーザ室をエンジ
ンセンタ上に配置する一方、上記隔壁に連通孔を穿設す
るとともに上記連通孔の下方から圧力孔の上方に向かっ
て延びるリブを形成し、かつ自動二輪車が左右に転倒し
た際におけるクランク室内のオイルの油面に対し、ブリ
ーザ孔並びに圧力孔の少なくとも片方が油面より高所に
位置するようにしたことを特徴としている。
【0020】このように構成すれば、クランク室内のオ
イル容量に比べてブリーザ室の容積が小さい場合でも、
自動二輪車が転倒した際にオイルがブリーザ孔から流出
するおそれがなくすことができ、しかもブリーザ装置を
非常に簡素に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された自動二輪車用パワーユニッ
トの左側面図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】本発明の一実施例を示す図で、図1のIII −II
I 線に沿う断面図。
【図4】エンジンの右側面図。
【図5】自動二輪車が左側に転倒した際における図1の
III −III 線に沿う断面図。
【図6】自動二輪車が右側に転倒した際における図1の
III −III 線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 パワーユニット 2 エンジン 3 クランクケース 6 クランク室 7 クランクシャフト 16 ジェネレータカバー 20 オイル 21 ブリーザ室 21a 第1ブリーザ室 21b 第2ブリーザ室 22 隔壁 23 連通孔 24 圧力孔 25 ブリーザ孔 26 ユニオン 29 リブ E.C エンジンセンタ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフトが軸支されるとともに
    オイルが貯溜されるクランク室の上方にブリーザ室が車
    幅方向に延設され、上記ブリーザ室の底部に上記クラン
    ク室に連通する圧力孔が設けられ、ブリーザ室の上部に
    外部に連通するブリーザ孔が設けられた自動二輪車用エ
    ンジンのブリーザ装置において、上記圧力孔とブリーザ
    孔とを車幅方向に離間させ、その間を隔壁で分割するこ
    とにより、底部に圧力孔を有する第1ブリーザ室と、上
    部にブリーザ孔を有する第2ブリーザ室とを車幅方向に
    並設し、そのいずれか一方のブリーザ室をエンジンセン
    タ上に配置する一方、上記隔壁に連通孔を穿設するとと
    もに上記連通孔の下方から圧力孔の上方に向かって延び
    るリブを形成し、かつ自動二輪車が左右に転倒した際に
    おけるクランク室内のオイルの油面に対し、ブリーザ孔
    並びに圧力孔の少なくとも片方が油面より高所に位置す
    るようにしたことを特徴とする自動二輪車用エンジンの
    ブリーザ装置。
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JP4940214B2 (ja) * 2008-09-30 2012-05-30 本田技研工業株式会社 エンジンのオイルレベルゲージ配置構造
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