JP3100111B2 - 移動無線機のマルチバンド高周波回路 - Google Patents

移動無線機のマルチバンド高周波回路

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】周波数分割デュープレックス方式
と時分割デュープレックス方式の両方式で共用可能な移
動無線機の高周波回路に関するものであり、自動車電話
や携帯電話に応用できる。
【０００２】
【従来の技術】自動車電話、携帯電話において、上り回
線と下り回線の双方向の通信を行なうため、周波数分割
デュープレックス（ＦＤＤ）と時分割デュープレックス
（ＴＤＤ）の二つのデュープレックス方式がある。日本
標準のディジタル自動車電話方式（ディジタル方式自動
車電話システム：ＲＣＲ ＳＴＤ−２７）はＦＤＤであ
り、ＦＤＤの移動機の高周波回路は図５Ａに示すような
基本構成である。受信側は受信増幅器１と受信帯域外の
高レベル信号による受信増幅器１の感度抑圧を避けるた
めのバンドパスフィルタ（以下ＢＰＦと記す）２からな
る。送信側は送信増幅器３と、送信増幅器３で発生する
帯域外の不要信号を抑圧するためのＢＰＦ４からなる。
アンテナは送受信共用アンテナ５に加えて、ダイバーシ
チ受信を行なうための受信専用アンテナ６がある。ま
た、スイッチ７は二つのアンテナを切り替えてダイバー
シチ受信を行なうために設けている。
【０００３】一方、日本標準のディジタルコードレス電
話方式（第二世代コードレス電話システム：ＲＣＲ Ｓ
ＴＤ−２８）はＴＤＤであり、ＴＤＤの移動機の高周波
回路の基本構成を図５Ｂに示す。高周波回路は、ＢＰＦ
８、スイッチ９、受信増幅器１、送信増幅器３から構成
される。ＴＤＤ方式は同一の周波数で送信と受信を行な
うため、ＦＤＤ方式と異なりＢＰＦ８は送信と受信で共
用し、単一の構成である。また、スイッチ９は送信と受
信に同期して切り替える。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】従来、日本標準方式の
ディジタル自動車電話方式とディジタルコードレス電話
方式の移動機は、それぞれ独立に製造され、独立に使用
されていた。移動機の利便性を向上するため、両方式で
共用可能な移動機の高周波回路を実現する必要があっ
た。
【０００５】
【課題を解決するための手段】前記の両方式で共用可能
な高周波回路を実現するため、両方式の周波数帯域で動
作する受信増幅器、送信増幅器、アンテナ、不要波を抑
圧するためのフィルタおよびこのアンテナとフィルタを
切り替えるスイッチを用いて高周波数回路を構成する。
【０００６】
【作用】前記のように高周波数回路を構成することによ
り、回路部品を両方式で共用できるので、小形のマルチ
バンド高周波回路を実現できる。
【０００７】
【実施例】
（請求項１の実施例）請求項１の実施例を図１に示す。
本発明の高周波回路は、アンテナＡ１，Ａ２、スイッチ
ＳＷ１〜ＳＷ４、ＢＰＦ１〜ＢＰＦ３、および広帯域低
雑音の受信増幅器ＲＡ、広帯域の電力増幅用送信増幅器
ＳＡから構成される。受信増幅器ＲＡはＦＤＤの受信信
号またはＴＤＤの受信信号を所要のレベルまで増幅す
る。また送信増幅器ＳＡはＦＤＤの送信信号またはＴＤ
Ｄの送信信号を所要のレベルまで増幅する。
【０００８】ＢＰＦ１とＢＰＦ３は、ＦＤＤで使用さ
れ、帯域外の不要波を抑圧するために設けている。ＢＰ
Ｆ２はＴＤＤで使用する送信、受信兼用のフィルタとし
て帯域外の不要波を抑圧するために設けている。なおＴ
ＤＤは送信周波数帯と受信周波数帯が同じである。日本
標準方式のディジタル自動車電話方式（ＦＤＤ）とディ
ジタルコードレス電話方式（ＴＤＤ）で使用される周波
帯域は図１Ｂのようになっている。ディジタル自動車電
話方式（ＦＤＤ）の使用する周波数帯域ａ，ｂは、ディ
ジタルコードレス電話方式（ＴＤＤ）の帯域ｃより低い
周波数帯域に配置されている。具体的な周波数帯とし
て、ディジタル自動車電話方式は８００ＭＨｚ帯または
１．５ＧＨｚ帯、ディジタルコードレス電話方式は１．
９ＧＨｚ帯をそれぞれ使用する。したがって、各ＢＰＦ
の通過周波数帯域は、図１Ｂのようになっている。
【０００９】スイッチＳＷ１〜ＳＷ４はＦＤＤ動作時と
ＴＤＤ動作時において図２に示すようにそれぞれ切り替
える。ＦＤＤ動作時にＳＷ２と４はそれぞれＢ側に切り
替えてＢＰＦ３を送信増幅器ＳＡに接続する。またＳＷ
３はＡ側に切り替えてＢＰＦ１を受信増幅器ＲＡに接続
する。さらに、ＳＷ１はアンテナＡ１とＡ２を選択する
切り替えスイッチであり、両アンテナによる空間ダイバ
ーシチを実現するために設けている。
【００１０】一方、ＴＤＤ動作時にＳＷ１と２はＡ側に
それぞれ切り替える。これによりアンテナＡ１とＢＰＦ
２を接続する。この状態において、ＴＤＤの送信はＳＷ
３をＡ側に、ＳＷ４をＡ側にそれぞれ切り替える。これ
により送信増幅器ＳＡをＢＰＦ２に接続する。また、Ｔ
ＤＤの受信時は、ＳＷ３をＢ側に、ＳＷ４をＢ側にそれ
ぞれ切り替える。これにより、受信増幅器ＲＡをＢＰＦ
２に接続する。
【００１１】アンテナＡ１はＦＤＤ動作時とＴＤＤ動作
時にそれぞれ受信アンテナおよび送信アンテナとして動
作する。また、アンテナＡ２はＦＤＤ動作時に受信アン
テナとして動作する。したがって、アンテナＡ１は、図
１Ｂに示すそれぞれの周波数帯域ａ，ｂ，ｃに共振する
ように設計し、アンテナＡ２はＦＤＤの受信帯域ｂのみ
に共振するように設計する。
【００１２】以上の説明のように、本発明の高周波回路
は、広帯域の受信増幅器ＲＡと送信増幅器ＳＡ、ａ，
ｂ，ｃの周波数帯で共振するアンテナＡ１及びｂの周波
数帯で共振するアンテナＡ２を使用する。また、ＴＤＤ
動作において送信と受信でＢＰＦを共用する。このた
め、ＦＤＤとＴＤＤの両方式において共用可能な小形の
高周波回路を実現できる。 （請求項２の実施例）請求項２の実施例を図３に示す。
請求項１と異なる点は、ＢＰＦとローパスフィルタ（以
下、ＬＰＦと記す）をそれぞれ一つ用いて回路を構成し
ている点である。
【００１３】ＢＰＦはＦＤＤの受信帯域ｂのみを通過す
るように設計し、帯域外の信号による受信増幅器ＲＡの
飽和を防ぐ。ＬＰＦはＦＤＤとＴＤＤ動作時の送信増幅
器ＳＡからの不要波を抑圧するために設けている。ま
た、このＬＰＦはＴＤＤの受信時の受信増幅器ＲＡの前
段フィルタとしても使用する。ここで用いるＢＰＦとＬ
ＰＦの通過帯域は図３Ｂのようになる。
【００１４】ここで、送信増幅器ＳＡから発生する不要
波として支配的な成分は２倍以上の高調波である。ＦＤ
Ｄの周波数帯域がＴＤＤの周波数帯域の１／２以下の周
波数になると、２次高調波成分がＬＰＦのパスバンド内
に存在するのでＬＰＦで不要波を抑圧することが困難で
ある。しかし、ＦＤＤが１．５ＧＨｚ帯、ＴＤＤが１．
９ＧＨｚ帯のような周波数関係であれば、２次及びそれ
以上の高調波成分はＬＰＦの減衰域に存在するので本発
明のように単一のＬＰＦで共用できる。なお、このＬＰ
ＦはＴＤＤの受信にも使用する。このため、ＴＤＤ帯域
より低い信号成分が受信増幅器に加わることになる。し
たがって、このような不要な受信信号による受信増幅器
ＲＡの飽和を防ぐために、受信増幅器ＲＡはＦＤＤの受
信帯域ｂより低い周波数帯の信号にたいする応答を小さ
くするように設計する。
【００１５】ＳＷ１，２，３はＦＤＤ動作時とＴＤＤ動
作時に図４のようにそれぞれ切り替える。ＦＤＤ動作時
に、ＳＷ２はＡ側に切り替えて、ＢＰＦを受信増幅器Ｒ
Ａに接続する。ＳＷ３はＢ側に切り替えて、送信増幅器
ＳＡをＬＰＦに接続する。ＳＷ１はアンテナＡ１とＡ２
を選択する切り替えスイッチであり、両アンテナによる
空間ダイバーシチを実現するために設けている。
【００１６】一方、ＴＤＤ動作時はＳＷ２をＢ側、ＳＷ
１をＡ側にそれぞれ切り替える。この状態において、Ｔ
ＤＤの送信はＳＷ３をＢ側に切り替える。これにより送
信増幅器ＳＡをＬＰＦに接続する。また、ＴＤＤの受信
時は、ＳＷ３をＡ側に切り替える。これにより、受信増
幅器ＲＡをＬＰＦに接続する。アンテナＡ１は請求項１
の発明と同様にＦＤＤ動作時とＴＤＤ動作時にそれぞれ
受信アンテナおよび送信アンテナとして動作するように
設計する。また、アンテナＡ２も請求項１の発明と同様
に、ＦＤＤ動作時に受信アンテナとして動作するように
設計する。
【００１７】以上の説明のように、ＦＤＤで使用する周
波数帯域が、ＴＤＤのそれの１／２以上の周波数に近接
している場合は、両デュープレックス方式でＬＰＦを共
用できるので小形の高周波回路を実現できる。
【００１８】
【発明の効果】本発明のマルチバンド高周波回路は、受
信増幅器ＲＡ、送信増幅器ＳＡ，ＬＰＦ及びアンテナＡ
１をＦＤＤとＴＤＤの両デュープレックス方式で共用す
るので、回路の小形化を実現できる。したがって、この
高周波回路を用いて携帯電話器を構成すれば、日本標準
方式のディジタル自動車電話方式とディジタルコードレ
ス電話方式の両方式で共用可能な小形の携帯電話機を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】Ａは請求項１の発明の実施例を示すブロック
図、ＢはＡのＢＰＦ１，２，３の通過帯域を示す図。
【図２】図１のＦＤＤ／ＴＤＤ動作におけるスイッチの
切換状態とアンテナの動作を説明するための図。
【図３】Ａは請求項２の発明の実施例を示すブロック
図、ＢはＡのＢＰＦ及びＬＰＦの通過帯域を示す図。
【図４】図３のＦＤＤ／ＴＤＤ動作におけるスイッチの
切換状態とアンテナの動作を説明するための図。
【図５】Ａ及びＢはそれぞれ従来の周波数分割デュープ
レックス（ＦＤＤ）方式及び時分割デュープレックス
（ＴＤＤ）方式の高周波回路のブロック図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H04B 1/38 - 1/58 H04B 7/04 - 7/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 相異なる周波数帯域ａとｂをそれぞれ送
    信周波数帯域と受信周波数帯域に使用する周波数分割デ
    ュープレックス方式（ＦＤＤ）と、該周波数帯域ａおよ
    びｂより高い周波数帯域ｃを使う時分割デュープレック
    ス方式（ＴＤＤ）の両方式で共用可能な移動無線機のマ
    ルチバンド高周波回路であって、 該周波数帯域ａとｂとｃの各々に共振するアンテナ１
    と、 該周波数帯域ｂに共振するアンテナ２と、 該アンテナ１とアンテナ２を切り替えるスイッチ１と、 該スイッチ１の共通端子に接続した周波数帯域ｂを通過
    帯域とするバンドパスフィルタ（以下ＢＰＦと言う）１
    と、 共通端子が該アンテナ１と接続されたスイッチ２と、 通過帯域を周波数帯域ｃとし該スイッチ２の一方の切り
    替え端子に接続したＢＰＦ２と、 通過帯域を周波数帯域ａとし該スイッチ２の他方の切り
    替え端子に接続したＢＰＦ３と、 周波数帯域ｂとｃの受信信号を増幅する受信増幅器と、 該受信増幅器の入力信号として該ＢＰＦ１と該ＢＰＦ２
    の通過信号を切り替えるスイッチ３と、 周波数帯域ａとｃの送信信号を電力増幅する送信増幅器
    と、 該送信増幅器の出力端子をＢＰＦ２と３にそれぞれ切り
    替えて接続するスイッチ４を具備する高周波数回路であ
    り、 ＦＤＤで動作する場合に、該スイッチ３を該ＢＰＦ１側
    に、該スイッチ４をＢＰＦ３側に、該スイッチ２をＢＰ
    Ｆ３側にそれぞれ切り替え、該スイッチ１は該アンテナ
    １と２を切り替えるダイバーシチスイッチとして動作
    し、 さらに、ＴＤＤで動作する場合に、該スイッチ２をＢＰ
    Ｆ２に切り替え、該スイッチ１を該アンテナ２に切り替
    え、ＴＤＤ送信時に該スイッチ３をＢＰＦ１側に、該ス
    イッチ４をＢＰＦ２側にそれぞれ切り替え、ＴＤＤ受信
    時に該スイッチ３をＢＰＦ２側に、該スイッチ４をＢＰ
    Ｆ３側にそれぞれ切り替えることを特徴とする移動無線
    機のマルチバンド高周波回路。
  2. 【請求項２】 相異なる周波数帯域ａとｂをそれぞれ送
    信周波数帯域と受信周波数帯域に使用する周波数分割デ
    ュープレックス方式（ＦＤＤ）と、該周波数帯域ａおよ
    びｂより高い周波数帯域ｃを使う時分割デュープレック
    ス方式（ＴＤＤ）の両方式で共用可能な移動無線機のマ
    ルチバンド高周波回路であって、 該周波数帯域ａとｂとｃの各々に共振するアンテナ１
    と、 該周波数帯域ｂに共振するアンテナ２と、 該アンテナ１と２を切り替えるスイッチ１と、 通過帯域を周波数帯域ｂとし、該スイッチ１の共通端子
    に接続したＢＰＦと、 周波数帯域ｃの上限の周波数以下を通過帯域とし、該ア
    ンテナ１に接続したローパスフィタル（以下ＬＰＦと言
    う）と、 周波数帯域ｂとｃの受信信号を増幅する受信増幅器と、 周波数帯域ａとｃの送信信号を電力増幅する送信増幅器
    と、 共通端子を該受信増幅器の入力端子に接続し、一方の切
    り替え端子を該ＢＰＦに接続したスイッチ２と、 共通端子を該ＬＰＦに接続し、一方の切り替え端子を該
    送信増幅器の出力端子に接続し、他方の切り替え端子を
    該スイッチ２の他方の切り替え端子に接続したスイッチ
    ３を具備する高周波回路であり、 ＦＤＤで動作する場合に、該スイッチ２を該ＢＰＦ側に
    切り替え、該スイッチ３を該送信増幅器側に切り替え、
    該スイッチ１は該アンテナ１と２を切り替えるダイバー
    シチスイッチとして動作し、 ＴＤＤで動作する場合に、該スイッチ１をアンテナ２側
    に切り替えて、ＴＤＤ送信時に該スイッチ２を該ＢＰＦ
    側に接続し、該スイッチ３を該送信増幅器側に切り替
    え、ＴＤＤ受信時に該スイッチ２を該スイッチ３側に接
    続し、該スイッチ３を該スイッチ２側に切り替えること
    を特徴とする移動無線機のマルチバンド高周波回路。
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