JP2004032390A - マルチバンド高周波回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用性の高いFDD/TDD方式共用のマルチバンド高周波回路を実現する。
【解決手段】アンテナなどが接続される入出力端子3に、第1のスイッチ手段101と第1のフィルタリング手段201を介して受信回路1を接続するとともに、第2のスイッチ手段102と第2のフィルタリング手段202を介して送信回路2を接続し、第1,第2のフィルタリング手段101,102のうち少なくとも一方は複数の通過周波数帯域を切替可能にする。FDD動作時には第1、第2のスイッチ手段101、102をオンとし、TDD動作時には第1、第2のスイッチ手段101、102を送信と受信に同期させて交互にオン/オフするように制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】アンテナなどが接続される入出力端子3に、第1のスイッチ手段101と第1のフィルタリング手段201を介して受信回路1を接続するとともに、第2のスイッチ手段102と第2のフィルタリング手段202を介して送信回路2を接続し、第1,第2のフィルタリング手段101,102のうち少なくとも一方は複数の通過周波数帯域を切替可能にする。FDD動作時には第1、第2のスイッチ手段101、102をオンとし、TDD動作時には第1、第2のスイッチ手段101、102を送信と受信に同期させて交互にオン/オフするように制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばいくつかの周波数帯および方式を切り替えて使うマルチバンド無線装置において、周波数分割複信(FDD)方式と時分割複信(TDD)方式の両方式で共用可能なマルチバンド高周波回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2つの無線局(例えば、基地局と端末)間で双方向の通信を行うために、上り回線と下り回線で異なった周波数を用いる周波数分割複信(FDD)方式と、同じ周波数を用いて上りと下りで異なった時間区分を用いる時分割複信(TDD)方式がある。例えば、日本標準のディジタル自動車電話方式(ディジタル方式自動車電話システム:RCRSTD−27)はFDDであり、ディジタルコードレス電話方式(第二世代コードレス電話システム:RCRSTD−28)はTDDである。このような両システムで共用可能な装置を実現するためには、FDDおよびTDDの両方式に対応したマルチバンド高周波回路が必要となる。FDDおよびTDDの両方式に対応した高周波回路としてはいくつかの構成が提案されている。
【0003】
[第1の従来例]
図11は、特開平9−18397で開示されている第1の従来技術のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路のブロック図である。図11のマルチバンド高周波回路は、受信回路1、送信回路2、第1〜第4の1:2切替(SPDT)スイッチ11〜14、第1〜第3のバンドパスフィルタ(BPF)21〜23、、第1および第2のアンテナ31,32を具備している。
【0004】
第1のアンテナ31は第1のスイッチ11の切替端子Bおよび第2のスイッチ12の共通端子Cに接続されており、第2のアンテナ32は第1のスイッチ11の切替端子Aに接続されている。第1のスイッチ11の共通端子Cは第1のバンドパスフィルタ21を介して第3のスイッチ13の切替端子Aに接続されている。第2のスイッチ12の切替端子Aは第2のバンドパスフィルタ22を介して第3のスイッチ13の切替端子Bおよび第4のスイッチ14の切替端子Aに接続されており、第2のスイッチ12の切替端子Bは第3のバンドパスフィルタ23を介して第4のスイッチ14の切替端子Bに接続されている。第3のスイッチ13の共通端子Cは受信回路1に接続されており、第4のスイッチ14の共通端子Cは送信回路2に接続されている。該受信回路1は低雑音増幅器やダウンコンバータ等からなり、該送信回路2は高出力増幅器やアップコンバータ等からなる。
【0005】
上記バンドパスフィルタのうち、受信時に用いるフィルタは、受信周波数帯域外の高レベル信号によって受信回路1が飽和し受信感度が低下する等の特性劣化を避けるために設けてあり、送信時に用いるフィルタは、送信回路2で発生する帯域外の不要な信号を抑圧するために設けてある。
【0006】
図11の高周波回路において、FDD送受信時には、第1のスイッチ11はダイバーシチスイッチとして機能しアンテナ31または32を選択し、第2のスイッチ12は端子B側を選択し、第3のスイッチ13は端子A側を選択し、第4のスイッチ14は端子B側を選択する。FDD時の受信信号は、アンテナ31または32、第1のスイッチ11、第1のバンドパスフィルタ21、第3のスイッチ13、受信回路1を経由して受信される。FDD時の送信信号は、送信回路2、第4のスイッチ14、第3のバンドパスフィルタ23、第2のスイッチ12および第1のアンテナ31を経由して送信される。
【0007】
TDD送受信時には、第1のスイッチ11は端子A側を選択し、第2のスイッチ12は端子A側を選択し、第3および第4のスイッチ13および14は送受信のタイミングに応じて連動して端子AまたはBの選択を切り替える。TDD受信時は第3のスイッチ13は端子B側を選択し、第4のスイッチ14は端子B側を選択する。したがって、TDD時の受信信号は、第1のアンテナ31、第2のスイッチ12、第2のバンドパスフィルタ22、第3のスイッチ13および受信回路1を経由して受信される。一方、TDD送信時は第3のスイッチ13は端子A側を選択し、第4のスイッチ14は端子A側を選択する。したがって、TDD時の送信信号は、送信回路2、第4のスイッチ14、第2のバンドパスフィルタ22、第2のスイッチ12、第1のアンテナ31を経由して送信される。
【0008】
[第2の従来例]
図12は、特開平9−116458で開示されている第2の従来技術のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路のブロック図である。図11と同一のものについては同一の符号を付している。図12のマルチバンド高周波回路は、受信回路1、送信回路2、第1および第2の1:2切替スイッチ11,12、第1〜第4のバンドパスフィルタ21〜24、および、第1および第2のアンテナ31,32を具備している。
【0009】
第1のアンテナ31は第1のスイッチ11の切替端子Bに接続されており、さらに、並列に接続された第3および第4のバンドパスフィルタ23,24を介して送信回路2に接続されている。第2のアンテナ32は第1のスイッチ11の切替端子Aに接続されており、該第1のスイッチ11の共通端子Cは第2のスイッチ12の共通端子Cに接続されている。該第2のスイッチ12の切替端子Aは第1のバンドパスフィルタ21を介して受信回路1に接続されており、切替端子Bは第2のバンドパスフィルタ22を介して受信回路1に接続されている。
【0010】
第12図の高周波回路において、FDD送受信時には、第1のスイッチ11はダイバーシチスイッチとして機能しアンテナ31または32を選択し、第2のスイッチ12はFDD方式で用いる周波数帯のバンドパスフィルタ21ないし22を選択する。FDDの受信信号は、アンテナ31または32、第1のスイッチ11、第2のスイッチ12、第1または第2のバンドパスフィルタ21または22、受信回路1を経由して受信される。FDDの送信信号は、送信回路1、第3または第4のバンドパスフィルタ23または24、第1のアンテナ31を経由して送信される。
【0011】
TDD送受信時には、第1のスイッチ11は端子A、すなわちアンテナ32側を選択し、第2のスイッチ12はTDD方式で用いる周波数帯のバンドパスフィルタ21ないし22を選択する。TDDの受信信号は、アンテナ32、第1および第2のスイッチ11および12、第1または第2のバンドパスフィルタ21または22、受信回路1を経由して受信される。TDD時の送信信号は、送信回路1、バンドパスフィルタ23または24、アンテナ31を経由して送信される。
【0012】
[第3の従来例]
図13は、特開2000−13278で開示されている従来のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路のブロック図である。図11〜図12と同一のものについては同一の符号を付している。図13のマルチバンド高周波回路は、受信回路1、送信回路2、第1および第2の1:2切替スイッチ11,12、第1〜第3のバンドパスフィルタ21〜23、およびアンテナ31を具備している。
【0013】
アンテナ31は第1のスイッチ11の共通端子Cに接続されており、第1のスイッチ11の切替端子Aは第1のバンドパスフィルタ21を介して受信回路1に接続されているとともに、第2のバンドパスフィルタ22を介して第2のスイッチ12の切替端子Aに接続されている。第1のスイッチ11の切替端子Bは第3のバンドパスフィルタ23を介して第2のスイッチ12の切替端子Bに接続されている。該第2のスイッチ12の共通端子Cは送信回路2に接続されている。
【0014】
図13の高周波回路においては、FDDの受信周波数帯とTDDの周波数帯が同一であることが条件となっている。FDD送受信時には第1のスイッチ11は端子A側を選択し、第2のスイッチ12は端子A側を選択する。FDD時の受信信号は、アンテナ31、第1のスイッチ11、第1のバンドパスフィルタ21、および、受信回路1を経由して受信される。FDD時の送信信号は、送信回路2、第2のスイッチ12、第2のバンドパスフィルタ22、第1のスイッチ11、および、アンテナ31を経由して送信される。
【0015】
TDDの送受信時には第1のスイッチ11はアンテナ切替スイッチとして動作し、送信・受信に同期して端子A、Bの切替を繰り返す。第2のスイッチ12はB側を選択する。TDDの受信信号は、アンテナ31、第1のスイッチ11、第1のバンドパスフィルタ21、および、受信回路1を経由して受信される。TDD時の送信信号は、送信回路2、第2のスイッチ12、第3のバンドパスフィルタ23、第1のスイッチ11、および、アンテナ31を経由して送信される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、従来例によれば、スイッチ素子とバンドパスフィルタを組み合わせることによって、FDD方式とTDD方式で共用することのできるマルチバンド高周波回路を構成することができ、いくつかの方式を送受信することのできるマルチバンド無線機の小型化・低コスト化を実現することができる。
【0017】
しかしながら、図11で示した第1の従来技術のマルチバンド高周波回路では、方式や周波数帯を切り替える機能とTDD方式で送受を切り替える機能がいずれも第3および第4のスイッチ13および14で実現されている。上述した従来の例では取り扱う方式の数は2であったが、取り扱う方式や周波数帯の数が例えばN個の方式に増えた場合、該スイッチ13および14は1:Nの切替スイッチとしなければならず、制御回路が複雑となる。一方、TDDの送受切替には高速な切替が要求される。したがって、図11の従来例では1:Nの切替スイッチを高速で動作させる必要があり、そのため、複雑な制御を高速で行わなければならないという問題点があった。
【0018】
一方、図12で示した第2の従来技術のマルチバンド高周波回路では、TDD時の送信アンテナと受信アンテナが分離されているため、アンテナを共用できないと言う問題点があつた。また、図12の従来のマルチバンド高周波回路では、送信経路を遮断するスイッチが具備されておらず、TDD受信時に送信回路の出力が受信特性を劣化させるという問題点があった。
【0019】
また、特開2000−13278では第3の従来技術を含め、いくつかのFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路の構成が開示されているが、いずれの場合も、FDD方式の送信周波数または受信周波数のいずれかがTDD方式の周波数と同一であることが必要である。一般的には各種方式で使用される周波数帯はそれぞれ異なっており、特開2000−13278で開示されている構成は、マルチバンド高周波回路として汎用的に使用できないと言う問題点があった。
【0020】
本発明の目的は、多くの方式を切り替えて使用することのできるマルチバンド無線機を構成する際に、複雑な高速制御が必要となる、アンテナが共用できない、送信経路を遮断することができない、使用する周波数配置に制限がある、といった課題を解決し、汎用的に使用することのできる、簡易な構成のFDD/TDD共用のマルチバンド高周波回路を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、アンテナなどが接続される入出力端子と、開放と短絡あるいは高抵抗と低抵抗を切り替える第1および第2のスイッチ手段と、第1および第2のフィルタリング手段と、受信回路と、送信回路とを具備し、前記入出力端子に前記第1および第2のスイッチ手段が接続されており、前記第1のスイッチ手段の前記入出力端子に接続されている側とは反対側の端子が前記第1のフィルタリング手段を介して前記受信回路に接続されており、前記第2のスイッチ手段の前記入出力端子に接続されている側とは反対側の端子が前記第2のフィルタリング手段を介して前記送信回路に接続されており、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、その通過周波数帯域を複数の周波数帯で切り替える機能を有することを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0022】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、通過周波数帯域を電気的に変えることのできるチューナブル・バンドパスフィルタで構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0023】
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、複数のバンドパスフィルタと、該複数のバンドパスフィルタを切り替えて当該フィルタリング手段の通過周波数帯域を切り替える切替手段と、で構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0024】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1のフィルタリング手段が、前記複数のバンドパスフィルタと前記切替手段との間に少なくとも1つの増幅手段を具備していることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0025】
請求項5にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1のフィルタリング手段が、バンドパスフィルタと増幅手段とが直列に接続された直列回路を複数具備しており、該直列回路が並列に接続され、前記複数の増幅手段のうちの使用しない増幅手段は電源オフ又は減衰モードに制御されることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0026】
請求項6にかかる発明は、請求項3に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第2のフィルタリング手段が、前記複数のバンドパスフィルタと前記切替手段との間に少なくとも1つの増幅手段を具備していることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0027】
請求項7にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記受信回路または前記送信回路を複数具備しており、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが複数のバンドパスフィルタで構成されており、該複数のバンドパスフィルタの一方の端子はそれぞれ前記第1または第2のスイッチ手段に接続され、該複数のバンドパスフィルタの他方の端子はそれぞれの通過周波数帯域に対応する受信回路または送信回路に接続されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0028】
請求項8にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、直列に接続された複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタに並列に接続された開放と短絡あるいは高抵抗と低抵抗を切り替える別のスイッチ手段とから構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0029】
請求項9にかかる発明は、請求項1乃至8のいずれか1に記載のマルチバンド高周波回路において、FDD方式の送受信時には前記第1および第2のスイッチ素子をオンさせ、TDD方式の送受信時には前記第1および第2のスイッチ素子を送信受信に同期して交互にオン・オフさせる制御手段を具備することを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明は、アンテナなどが接続される入出力端子に、オン・オフ(開放と短絡、あるいは、高抵抗と低抵抗)する第1のスイッチ手段と第1のフィルタリング手段を介して受信回路を接続するとともに、同様にオン・オフする第2のスイッチ手段と第2のフィルタリング手段を介して送信回路を接続したことを最も主要な特徴とする。
【0031】
以上のように構成することによって、FDD動作時には第1および第2のスイッチ手段をオンとすることによって送信と受信を同時に行うことができ、送信信号と受信信号は第1および第2のフィルタリング手段で分離される。一方、TDD動作時には、第1および第2のスイッチ手段を送信と受信に同期させて交互にオン/オフするように制御することによって、第1および第2のスイッチ手段を通常TDD方式で用いる送受切替スイッチと同等の動作をさせることができる。
【0032】
本発明によれば、第1および第2のスイッチ手段によりFDDとTDDを選択するため、簡易な構成で汎用性の高いマルチバンド高周波回路を実現することができる。
【0033】
第1の従来技術では、方式を切り替える機能とTDD方式の送受を切り替える機能を同一のスイッチに持たせているため、マルチバンド無線機で取り扱う方式の数が多くなった場合には複雑な制御を高速で行わなければならなかったのに対し、本発明では、第1および第2のスイッチ手段は方式の切替機能を含んでおらず、オン・オフのみの切り替えであるため1:N切替のような複雑な制御が不要であり、制御が簡易である点が従来技術と異なる。
【0034】
また、第2の従来技術では、TDD方式で用いるアンテナ切替スイッチを具備しておらず、アンテナが共有できず、送信経路を遮断することができなかったのに対し、本発明では、第1および第2のスイッチ手段はTDD方式の送受切替スイッチと同等の動作をさせることもできる点が従来技術と異なる。すなわち、アンテナの共有と送信経路の遮断を可能とする。
【0035】
また、第3の従来技術では、FDD方式の送信または受信周波数のいずれかがTDD方式の周波数と一致する場合のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路を実現するのに対し、本発明では、FDDとTDDを共用するための手段、すなわち、第1および第2のスイッチ手段と周波数帯を切り替えるフィルタリング手段とを分離しているため、任意の周波数配置で取り扱う方式や周波数帯の数が増えた場合にも容易に適用できる点が従来技術と異なる。
【0036】
[第1の実施形態](請求項1に対応)
図1は本発明にかかる第1の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0037】
本発明にかかる第1の実施形態は、受信回路1、送信回路2、アンテナなどに接続される入出力端子3、第1および第2のスイッチ素子101および102、第1および第2のフィルタリング手段201および202を具備している。該第1のスイッチ素子101の一方の端子は入出力端子3に接続されており、他方の端子は第1のフィルタリング手段201を介して受信回路1に接続されている。該第2のスイッチ素子102の一方の端子は入出力端子3に接続されており、他方の端子は第2のフィルタリング手段202を介して送信回路2に接続されている。
【0038】
上記第1および第2のフィルタリング手段201および202のうち少なくとも一方は複数の通過周波数帯を切り替える機能を有する。該第1のフィルタリング手段は、受信周波数帯域外の高レベル信号によって受信回路1が飽和し受信感度が低下する等の特性劣化を避けるために設けられる。また、該第2のフィルタリング手段は、送信回路2で発生する帯域外の不要な信号を抑圧するために設けられる。受信回路1は低雑音増幅器やダウンコンバータ等から構成される。送信回路2は高出力増幅器やアップコンバータ等から構成される。
【0039】
受信周波数f1、送信周波数f2のFDD方式と、受信・送信周波数f3のTDD方式を想定して本実施形態にかかるマルチバンド高周波回路の動作を説明する。
【0040】
FDD方式の場合には、第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオン(短絡、低抵抗)となるように制御する。また、第1のフィルタリング手段201は受信周波数f1の信号を通過するように制御し、第2のフィルタリング手段202は送信周波数f2の信号を通過するように制御する。
【0041】
このように制御することによって、送受を同時に行うことができるとともに、受信した周波数f1の信号は第1のフィルタリング手段201を通過し、受信回路1へ入力される。一方、周波数f2の送信信号は第2のフィルタリング手段202を通過するが、第1のフィルタリング手段201に対しては周波数f2が阻止帯域となるため、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はFDD方式の高周波回路として動作する。
【0042】
一方、TDD方式の場合には、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信および受信と同期させてオン(短絡、低抵抗)/オフ(開放、高抵抗)を切り替える。受信時には該第1のスイッチ素子101をオンとし、該第2のスイッチ素子102をオフとするよう制御する。送信時には該第1のスイッチ素子101をオフとし、該第2のスイッチ素子102をオンとするよう制御する。第1および第2のフィルタリング手段201および202はTDD方式の周波数f3の信号を通過するよう制御する。
【0043】
このように制御することによって、該第1および第2のスイッチ素子101および102は通常のTDD方式で用いられる送受切替スイッチと同等の動作をする。すなわち、受信時には該第1のスイッチ素子101がオンであり、該第2のスイッチ素子102がオフであるので、受信信号は第1のフィルタリング手段201を通過して受信回路1へ入力される。一方、送信時には該第1のスイッチ素子101がオフであり、該第2のスイッチ素子102がオンであるので、送信回路2から送信された送信信号は、該第1のスイッチ素子101がオフであるので、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はTDD方式の高周波回路として動作する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のマルチバンド高周波回路は上記第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオンとすることによりFDD方式に対応し、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信・受信に同期して交互にオン/オフを切り替えるように制御することによりTDD方式に対応することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、FDD方式の受信周波数をf1、送信周波数をf2とし、TDD方式の受信・送信周波数をf2とするときは、第2のフィルタリング手段202の通過帯域周波数はf2に固定できる。
【0046】
[第2の実施形態](請求項2に対応)
図2は本発明にかかる第2の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0047】
本実施形態は、第1の実施形態における第1および第2のフィルタリング手段201および202を、電気的に通過帯域を変更することのできるチューナブル・バンドパスフィルタ211および212を用いて構成したものである。本実施形態は、上述した第1の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0048】
[第3実施形態](請求項3に対応)
図3図は本発明にかかる第3の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1、図2、図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0049】
本実施形態は、第1の実施形態における第1および第2のフィルタリング手段201および202を、第1〜第4のバンドパスフィルタ21〜24と第1および第2の1:2切替スイッチ11および12で構成したものである。
【0050】
該第1のバンドパスフィルタ21の片方の端子は第1のスイッチ素子101に接続されており、他方の端子は該第1の切替スイッチ11の切替端子Aに接続されている。該第2のバンドパスフィルタ22の片方の端子は第1のスイッチ素子101に接続されており、他方の端子は該第1の切替スイッチ11の切替端子Bに接続されている。該第3のバンドパスフィルタ23の片方の端子は第2のスイッチ素子102に接続されており、他方の端子は該第2の切替スイッチ12の切替端子Aに接続されている。該第4のバンドパスフィルタ24の片方の端子は第2のスイッチ素子102に接続されており、他方の端子は該第1の切替スイッチ12の切替端子Bに接続されている。該第1の切替スイッチ11の共通端子Cは受信回路1に接続されており、該第2の切替スイッチ12の共通端子Cは送信回路2に接続されている。
【0051】
受信周波数f1、送信周波数f2のFDD方式と、受信・送信周波数f3のTDD方式を想定して本発明に係るマルチバンド高周波回路の動作を説明する。第1のバンドパスフィルタ21の通過周波数はf1、第2のバンドパスフィルタ22の通過周波数はf3、第3のバンドパスフィルタ23の通過周波数はf2、第4のバンドパスフィルタの通過周波数はf3とする。
【0052】
FDD方式の場合には、第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオン(短絡、低抵抗)となるように制御し、第1の切替スイッチ11は第1のバンドパスフィルタ21側、すなわち端子A側を選択し、第2の切替スイッチ12は第3のバンドパスフィルタ23側、すなわち端子A側を選択する。
【0053】
このように制御することによって、送受信を同時に行うことができるとともに、受信した周波数f1の信号は第1のバンドパスフィルタ21を通過し、受信回路1へ入力される。一方、周波数f2の送信信号は第3のバンドパスフィルタ23を通過するが、第1のバンドパスフィルタ21に対しては周波数f2が阻止帯域となるため、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はFDD方式の高周波回路として動作する。
【0054】
一方、TDD方式の場合には、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信および受信と同期させてオン(短絡、低抵抗)/オフ(開放、高抵抗)を切り替える。受信時には該第1のスイッチ素子101をオンとし、該第2のスイッチ素子102をオフとするよう制御する。送信時には該第1のスイッチ素子101をオフとし、該第2のスイッチ素子102をオンとするよう制御する。第1の切替スイッチ11は第2のバンドパスフィルタ22側、すなわち端子B側を選択し、第2の切替スイッチ12は第4のバンドパスフィルタ24側、すなわち端子B側を選択する。
【0055】
このように制御することによって、該第1および第2のスイッチ素子101および102は通常のTDD方式で用いられる送受切替スイッチと同等の動作をする。すなわち、受信時には該第1のスイッチ素子101がオンであり、該第2のスイッチ素子102がオフであるので、受信信号は第2のバンドパスフィルタ22を通過して受信回路1へ入力される。一方、送信時には該第1のスイッチ素子101がオフであり、該第2のスイッチ素子102がオンであるので、送信回路2から送信された送信信号は、該第1のスイッチ素子101がオフであるので、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はTDD方式の高周波回路として動作する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のマルチバンド高周波回路は上記第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオンとすることによりFDD方式に対応し、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信・受信に同期して交互にオン/オフを切り替えるように制御することによりTDD方式に対応することができる。
【0057】
また、第1および第2のフィルタリング手段201および202がバンドパスフィルタと切替スイッチで構成されているため、バンドパスフィルタの通過周波数帯域を適切に選ぶことによって、任意の周波数配置の方式を切り替えることができる。
【0058】
さらに、第1および第2のフィルタリング手段201および202において、バンドパスフィルタを3以上具備し、それらを切り替える多端子切替スイッチを具備することによって、さらに多くの方式、あるいは、周波数帯を取り扱うマルチバンド高周波回路を構成することができる。
【0059】
[第4の実施形態](請求項4に対応)
図4は本発明にかかる第4の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図3および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0060】
本実施形態は、第3の実施形態における第1のフィルタリング手段201のバンドパスフィルタ21および22と切替スイッチ11の間に、第1および第2の低雑音増幅器41および42を配置したものである。
【0061】
受信装置を構成するために、回路がN段縦続に接続されており、各回路の雑音指数をFn、利得をGn(n=1,2,…,N)とすると、受信装置全体の雑音指数Ftはフリスの公式より、
Ft=F1+(F2−1)/G1+・・・・+(FN−1)/G1G2・・・GN−1
のように与えられる。
【0062】
この式によれば、1段目の低雑音増幅器の利得が高ければ受信機全体の雑音指数は低雑音増幅器の雑音指数F1でほぼ決定されることになる。しかしながら、低雑音増幅器の前段に損失があるとその損失分だけ雑音指数は劣化することになる。
【0063】
第3の実施形態では、スイッチ素子101、バンドパスフィルタ21ないし22、切替スイッチ11が低雑音増幅器を含む受信回路1の前段に配置されており、これらの損失が受信機全体の雑音特性を劣化させる。これに対し本実施形態のように、低雑音増幅器をバンドパスフィルタと切替スイッチ11の間に配置することにより、切替スイッチ11の雑音特性への影響を小さくすることができる。
【0064】
したがって、本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有するとともに、第3の実施形態の雑音特性を改善する。
【0065】
また、第3の実施形態では取り扱う全ての帯域をカバーする広帯域な受信回路が必要となるが、本実施形態ではそれぞれの帯域用に設計された低雑音増幅器を使用することができる。
【0066】
[第5の実施形態](請求項5に対応)
図5は本発明にかかる第5の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図4および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0067】
本実施形態は、第4の実施形態における第1の切替スイッチ11を省略したものである。第1および第2のバンドパスフィルタ21、22の役割は、受信周波数帯域外の高レベル信号によって受信回路1が飽和することを防ぐことにある。
【0068】
したがって、図3に示した第3の実施形態では、第1の切替スイッチ11を省略すると第1および第2のバンドパスフィルタ21、22を通過した信号がともに受信回路1に入力されるため、該第1の切替スイッチ11を省略することは望ましくない。
【0069】
一方、本実施形態では使用しない帯域の低雑音増幅器41または42の電源を切る、ないしは、減衰モードで動作させることにより切替スイッチ11を切り替えたのと同様の効果を持たせることができる。したがって、本実施形態は、上述した第4の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0070】
[第6の実施形態](請求項6に対応)
図6は本発明にかかる第6の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図5および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0071】
本実施形態は、第3の実施形態における第2のフィルタリング手段202のバンドパスフィルタ23および24と切替スイッチ12の間に第1および第2の高出力増幅器51および52を配置したものである。
【0072】
携帯端末等では高出力増幅器の効率は電池の寿命を左右する重要な要素である。したがって、高出力増幅器の後段に損失があると送信装置全体で見た効率が低下することになる。
【0073】
第3の実施形態では、スイッチ素子102、バンドパスフィルタ23ないし24、切替スイッチ12が高出力増幅器を含む送信回路2の後段に配置されており、これらの損失が送信機全体の効率を劣化させる。これに対し、本実施形態のように、高出力増幅器をバンドパスフィルタと切替スイッチ12の間に配置することにより、切替スイッチ12の効率への影響を小さくすることができる。
【0074】
したがって、本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有するとともに、第3の実施形態の効率特性を改善する。また、第3の実施形態では取り扱う全ての帯域をカバーする広帯域な送信回路が必要となるが、本実施形態ではそれぞれの帯域用に設計された高出力増幅器を使用することができる。
【0075】
[第7の実施形態](請求項7に対応)
図7は本発明にかかる第7の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図6および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0076】
本実施形態は、第3の実施形態における第1および第2の切替スイッチ11および12を省略し、各バンドパスフィルタにそれぞれの帯域に対応する受信回路、送信回路を接続している。すなわち、第1のバンドパスフィルタ21を第1受信回路1’に接続し、第2のバンドパスフィルタ22を第2の受信回路1”に接続し、第3のバンドパスフィルタ23を第1の送信回路2’に接続し、第4のバンドパスフィルタ24を第2の送信回路2”に接続している。
【0077】
第3の実施形態では送信回路、受信回路とも取り扱う全ての周波数帯をカバーできる広帯域な回路が必要であったが、本実施形態では、それぞれの周波数帯または方式に専用に設計された送受信回路を用いることができる。汎用に設計された送受信回路を用いた場合も同様である。
【0078】
本実施形態では、スイッチ素子101および102を制御することにより、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0079】
[第8の実施形態](請求項3に対応)
図8は本発明にかかる第8の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図7および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0080】
本実施形態は、上述した第3の実施形態で第1および第2のフィルタリング手段201、202を構成するバンドパスフィルタと切替スイッチの順番を入れ替えたものである。本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0081】
[第9の実施形態](請求項3に対応)
図9は本発明にかかる第9の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図8および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0082】
本実施形態は、上述した第3の実施形態で第1および第2のフィルタリング手段201、202を構成するバンドパスフィルタの両端に切替スイッチを具備したものである。
【0083】
本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有するとともに、第1および第2のフィルタリング手段201および202の阻止帯域特性を改善する。
【0084】
[第10の実施形態](請求項8に対応)
図10は本発明にかかる第10の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図9および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0085】
本実施形態は、第1の実施形態における第1および第2のフィルタリング手段201および202を、第1〜第4のバンドパスフィルタ21〜24と第3〜第6のスイッチ素子111〜114で構成したものである。
【0086】
バンドパスフィルタ21と22が直列に接続されており、該バンドパスフィルタ21とスイッチ素子111が並列に接続されており、該バンドパスフィルタ22とスイッチ素子112が並列に接続されており、第1のフィルタリング手段201を構成している。
【0087】
バンドパスフィルタ23と24が直列に接続されており、該バンドパスフィルタ23とスイッチ素子113が並列に接続されており、該バンドパスフィルタ24とスイッチ素子114が並列に接続されており、第2のフィルタリング手段202を構成している。
【0088】
受信周波数f1、送信周波数f2のFDD方式と、受信・送信周波数f3のTDD方式を想定して本実施形態のマルチバンド高周波回路の動作を説明する。第1のバンドパスフィルタ21の通過周波数はf1、第2のバンドパスフィルタ22の通過周波数はf3、第3のバンドパスフィルタ23の通過周波数はf2、第4のバンドパスフィルタ24の通過周波数はf3とする。
【0089】
FDD方式の場合には第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオン(短絡、低抵抗)となるように制御し、第3のスイッチ素子111はオフにし、第4のスイッチ素子112はオンとする。また、第5のスイッチ素子113はオフにし、第6のスイッチ素子114はオンとする。
【0090】
このように制御することによって送受信を同時に行うことができるとともに、バンドパスフィルタ21、22およびスイッチ素子111、112で構成される第1のフィルタリング手段201は通過周波数f1のバンドパスフィルタとして動作し、バンドパスフィルタ23、24およびスイッチ素子113、114で構成される第2のフィルタリング手段202は通過周波数f2のバンドパスフィルタとして動作する。
【0091】
したがって、受信した周波数f1の信号は第1のスイッチ素子101および第1のフィルタリング手段201を通過し、受信回路1へ入力される。一方、周波数f2の送信信号は第2のフィルタリング手段202および第2のスイッチ素子102を通過し、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はFDD方式の高周波回路として動作する。
【0092】
一方、TDD方式の場合には、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信および受信と同期させてオン(短絡、低抵抗)/オフ(開放、高抵抗)を切り替える。受信時には該第1のスイッチ素子101をオンとし、該第2のスイッチ素子102をオフとするよう制御する。送信時には該第1のスイッチ素子101をオフとし、該第2のスイッチ素子102をオンとするよう制御する。第3のスイッチ素子111はオンにし、第4のスイッチ素子112はオフとする。また、第5のスイッチ素子113はオンにし、第6のスイッチ素子114はオフとする。したがって、該第1および第2のフィルタリング手段201および202はそれぞれ通過周波数f3のバンドパスフィルタとして動作する。
【0093】
このように制御することによって該第1および第2のスイッチ素子101および102は通常のTDD方式で用いられる送受切替スイッチと同等の動作をする。すなわち、受信時には該第1のスイッチ素子101がオンであり、該第2のスイッチ素子102がオフであるので、受信信号は第1のフィルタリング手段201を通過して受信回路1へ入力される。一方、送信時には該第1のスイッチ素子101がオフであり、該第2のスイッチ素子102がオンであるので、送信回路2から送信された送信信号は、該第1のスイッチ素子101がオフであるので、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はTDD方式の高周波回路として動作する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態のマルチバンド高周波回路は上記第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオンとすることによりFDD方式に対応し、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信・受信に同期して交互にオン/オフを切り替えるように制御することによりTDD方式に対応することができる。
【0095】
[変形例]
第3から第10の実施形態においては、送信および受信ともそれぞれ異なる2つの周波数帯を使用する場合の構成を示しているが、3つ以上の周波数帯を使用する場合も同様である。
【0096】
また、第3から第10の実施形態においては、送信および受信とも異なる周波数帯を使用する場合の構成を示しているが、例えばFDD方式の送信または受信の周波数がTDD方式の周波数と一致する場合には、上述した第1または第2のフィルタリング手段201または202は単一のフィルタで構成することができる。
【0097】
また、前記した第1から第10の実施形態において、各スイッチ素子101、102、111、112、113、114および切替スイッチ11、12、13、14は、FDD方式又はTDD方式に応じて、図示しない制御手段によってそれぞれ切り替えられる。
【0098】
【発明の効果】
以上から本発明によれば、複雑な制御が不要で制御が簡易になり、アンテナが共用可能になるとともに送信経路が遮断可能になり、使用する周波数配置の制限が無くなり、よって汎用性の高いFDD/TDD方式共用のマルチバンド高周波回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図2】第2の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図3】第3の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図4】第4の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図5】第5の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図6】第6の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図7】第7の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図8】第8の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図9】第9の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図10】第10の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図11】第1の従来のマルチバンド高周波回路のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図12】第2の従来のマルチバンド高周波回路のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図13】第3の従来のマルチバンド高周波回路のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【符号の説明】
1、1’、1”:受信回路
2、2’、2”:送信回路
3:入出力端子
11、12、13、14:切替スイッチ
21、22、23、24:バンドパスフィルタ
31、32:アンテナ
41、42:低雑音増幅器
51、52:高出力増幅器
101、102、111、112、113、114:スイッチ素子
201、202:フィルタリング手段
211、212:チューナブル・バンドパスフィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばいくつかの周波数帯および方式を切り替えて使うマルチバンド無線装置において、周波数分割複信(FDD)方式と時分割複信(TDD)方式の両方式で共用可能なマルチバンド高周波回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2つの無線局(例えば、基地局と端末)間で双方向の通信を行うために、上り回線と下り回線で異なった周波数を用いる周波数分割複信(FDD)方式と、同じ周波数を用いて上りと下りで異なった時間区分を用いる時分割複信(TDD)方式がある。例えば、日本標準のディジタル自動車電話方式(ディジタル方式自動車電話システム:RCRSTD−27)はFDDであり、ディジタルコードレス電話方式(第二世代コードレス電話システム:RCRSTD−28)はTDDである。このような両システムで共用可能な装置を実現するためには、FDDおよびTDDの両方式に対応したマルチバンド高周波回路が必要となる。FDDおよびTDDの両方式に対応した高周波回路としてはいくつかの構成が提案されている。
【0003】
[第1の従来例]
図11は、特開平9−18397で開示されている第1の従来技術のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路のブロック図である。図11のマルチバンド高周波回路は、受信回路1、送信回路2、第1〜第4の1:2切替(SPDT)スイッチ11〜14、第1〜第3のバンドパスフィルタ(BPF)21〜23、、第1および第2のアンテナ31,32を具備している。
【0004】
第1のアンテナ31は第1のスイッチ11の切替端子Bおよび第2のスイッチ12の共通端子Cに接続されており、第2のアンテナ32は第1のスイッチ11の切替端子Aに接続されている。第1のスイッチ11の共通端子Cは第1のバンドパスフィルタ21を介して第3のスイッチ13の切替端子Aに接続されている。第2のスイッチ12の切替端子Aは第2のバンドパスフィルタ22を介して第3のスイッチ13の切替端子Bおよび第4のスイッチ14の切替端子Aに接続されており、第2のスイッチ12の切替端子Bは第3のバンドパスフィルタ23を介して第4のスイッチ14の切替端子Bに接続されている。第3のスイッチ13の共通端子Cは受信回路1に接続されており、第4のスイッチ14の共通端子Cは送信回路2に接続されている。該受信回路1は低雑音増幅器やダウンコンバータ等からなり、該送信回路2は高出力増幅器やアップコンバータ等からなる。
【0005】
上記バンドパスフィルタのうち、受信時に用いるフィルタは、受信周波数帯域外の高レベル信号によって受信回路1が飽和し受信感度が低下する等の特性劣化を避けるために設けてあり、送信時に用いるフィルタは、送信回路2で発生する帯域外の不要な信号を抑圧するために設けてある。
【0006】
図11の高周波回路において、FDD送受信時には、第1のスイッチ11はダイバーシチスイッチとして機能しアンテナ31または32を選択し、第2のスイッチ12は端子B側を選択し、第3のスイッチ13は端子A側を選択し、第4のスイッチ14は端子B側を選択する。FDD時の受信信号は、アンテナ31または32、第1のスイッチ11、第1のバンドパスフィルタ21、第3のスイッチ13、受信回路1を経由して受信される。FDD時の送信信号は、送信回路2、第4のスイッチ14、第3のバンドパスフィルタ23、第2のスイッチ12および第1のアンテナ31を経由して送信される。
【0007】
TDD送受信時には、第1のスイッチ11は端子A側を選択し、第2のスイッチ12は端子A側を選択し、第3および第4のスイッチ13および14は送受信のタイミングに応じて連動して端子AまたはBの選択を切り替える。TDD受信時は第3のスイッチ13は端子B側を選択し、第4のスイッチ14は端子B側を選択する。したがって、TDD時の受信信号は、第1のアンテナ31、第2のスイッチ12、第2のバンドパスフィルタ22、第3のスイッチ13および受信回路1を経由して受信される。一方、TDD送信時は第3のスイッチ13は端子A側を選択し、第4のスイッチ14は端子A側を選択する。したがって、TDD時の送信信号は、送信回路2、第4のスイッチ14、第2のバンドパスフィルタ22、第2のスイッチ12、第1のアンテナ31を経由して送信される。
【0008】
[第2の従来例]
図12は、特開平9−116458で開示されている第2の従来技術のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路のブロック図である。図11と同一のものについては同一の符号を付している。図12のマルチバンド高周波回路は、受信回路1、送信回路2、第1および第2の1:2切替スイッチ11,12、第1〜第4のバンドパスフィルタ21〜24、および、第1および第2のアンテナ31,32を具備している。
【0009】
第1のアンテナ31は第1のスイッチ11の切替端子Bに接続されており、さらに、並列に接続された第3および第4のバンドパスフィルタ23,24を介して送信回路2に接続されている。第2のアンテナ32は第1のスイッチ11の切替端子Aに接続されており、該第1のスイッチ11の共通端子Cは第2のスイッチ12の共通端子Cに接続されている。該第2のスイッチ12の切替端子Aは第1のバンドパスフィルタ21を介して受信回路1に接続されており、切替端子Bは第2のバンドパスフィルタ22を介して受信回路1に接続されている。
【0010】
第12図の高周波回路において、FDD送受信時には、第1のスイッチ11はダイバーシチスイッチとして機能しアンテナ31または32を選択し、第2のスイッチ12はFDD方式で用いる周波数帯のバンドパスフィルタ21ないし22を選択する。FDDの受信信号は、アンテナ31または32、第1のスイッチ11、第2のスイッチ12、第1または第2のバンドパスフィルタ21または22、受信回路1を経由して受信される。FDDの送信信号は、送信回路1、第3または第4のバンドパスフィルタ23または24、第1のアンテナ31を経由して送信される。
【0011】
TDD送受信時には、第1のスイッチ11は端子A、すなわちアンテナ32側を選択し、第2のスイッチ12はTDD方式で用いる周波数帯のバンドパスフィルタ21ないし22を選択する。TDDの受信信号は、アンテナ32、第1および第2のスイッチ11および12、第1または第2のバンドパスフィルタ21または22、受信回路1を経由して受信される。TDD時の送信信号は、送信回路1、バンドパスフィルタ23または24、アンテナ31を経由して送信される。
【0012】
[第3の従来例]
図13は、特開2000−13278で開示されている従来のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路のブロック図である。図11〜図12と同一のものについては同一の符号を付している。図13のマルチバンド高周波回路は、受信回路1、送信回路2、第1および第2の1:2切替スイッチ11,12、第1〜第3のバンドパスフィルタ21〜23、およびアンテナ31を具備している。
【0013】
アンテナ31は第1のスイッチ11の共通端子Cに接続されており、第1のスイッチ11の切替端子Aは第1のバンドパスフィルタ21を介して受信回路1に接続されているとともに、第2のバンドパスフィルタ22を介して第2のスイッチ12の切替端子Aに接続されている。第1のスイッチ11の切替端子Bは第3のバンドパスフィルタ23を介して第2のスイッチ12の切替端子Bに接続されている。該第2のスイッチ12の共通端子Cは送信回路2に接続されている。
【0014】
図13の高周波回路においては、FDDの受信周波数帯とTDDの周波数帯が同一であることが条件となっている。FDD送受信時には第1のスイッチ11は端子A側を選択し、第2のスイッチ12は端子A側を選択する。FDD時の受信信号は、アンテナ31、第1のスイッチ11、第1のバンドパスフィルタ21、および、受信回路1を経由して受信される。FDD時の送信信号は、送信回路2、第2のスイッチ12、第2のバンドパスフィルタ22、第1のスイッチ11、および、アンテナ31を経由して送信される。
【0015】
TDDの送受信時には第1のスイッチ11はアンテナ切替スイッチとして動作し、送信・受信に同期して端子A、Bの切替を繰り返す。第2のスイッチ12はB側を選択する。TDDの受信信号は、アンテナ31、第1のスイッチ11、第1のバンドパスフィルタ21、および、受信回路1を経由して受信される。TDD時の送信信号は、送信回路2、第2のスイッチ12、第3のバンドパスフィルタ23、第1のスイッチ11、および、アンテナ31を経由して送信される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、従来例によれば、スイッチ素子とバンドパスフィルタを組み合わせることによって、FDD方式とTDD方式で共用することのできるマルチバンド高周波回路を構成することができ、いくつかの方式を送受信することのできるマルチバンド無線機の小型化・低コスト化を実現することができる。
【0017】
しかしながら、図11で示した第1の従来技術のマルチバンド高周波回路では、方式や周波数帯を切り替える機能とTDD方式で送受を切り替える機能がいずれも第3および第4のスイッチ13および14で実現されている。上述した従来の例では取り扱う方式の数は2であったが、取り扱う方式や周波数帯の数が例えばN個の方式に増えた場合、該スイッチ13および14は1:Nの切替スイッチとしなければならず、制御回路が複雑となる。一方、TDDの送受切替には高速な切替が要求される。したがって、図11の従来例では1:Nの切替スイッチを高速で動作させる必要があり、そのため、複雑な制御を高速で行わなければならないという問題点があった。
【0018】
一方、図12で示した第2の従来技術のマルチバンド高周波回路では、TDD時の送信アンテナと受信アンテナが分離されているため、アンテナを共用できないと言う問題点があつた。また、図12の従来のマルチバンド高周波回路では、送信経路を遮断するスイッチが具備されておらず、TDD受信時に送信回路の出力が受信特性を劣化させるという問題点があった。
【0019】
また、特開2000−13278では第3の従来技術を含め、いくつかのFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路の構成が開示されているが、いずれの場合も、FDD方式の送信周波数または受信周波数のいずれかがTDD方式の周波数と同一であることが必要である。一般的には各種方式で使用される周波数帯はそれぞれ異なっており、特開2000−13278で開示されている構成は、マルチバンド高周波回路として汎用的に使用できないと言う問題点があった。
【0020】
本発明の目的は、多くの方式を切り替えて使用することのできるマルチバンド無線機を構成する際に、複雑な高速制御が必要となる、アンテナが共用できない、送信経路を遮断することができない、使用する周波数配置に制限がある、といった課題を解決し、汎用的に使用することのできる、簡易な構成のFDD/TDD共用のマルチバンド高周波回路を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、アンテナなどが接続される入出力端子と、開放と短絡あるいは高抵抗と低抵抗を切り替える第1および第2のスイッチ手段と、第1および第2のフィルタリング手段と、受信回路と、送信回路とを具備し、前記入出力端子に前記第1および第2のスイッチ手段が接続されており、前記第1のスイッチ手段の前記入出力端子に接続されている側とは反対側の端子が前記第1のフィルタリング手段を介して前記受信回路に接続されており、前記第2のスイッチ手段の前記入出力端子に接続されている側とは反対側の端子が前記第2のフィルタリング手段を介して前記送信回路に接続されており、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、その通過周波数帯域を複数の周波数帯で切り替える機能を有することを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0022】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、通過周波数帯域を電気的に変えることのできるチューナブル・バンドパスフィルタで構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0023】
請求項3にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、複数のバンドパスフィルタと、該複数のバンドパスフィルタを切り替えて当該フィルタリング手段の通過周波数帯域を切り替える切替手段と、で構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0024】
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1のフィルタリング手段が、前記複数のバンドパスフィルタと前記切替手段との間に少なくとも1つの増幅手段を具備していることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0025】
請求項5にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1のフィルタリング手段が、バンドパスフィルタと増幅手段とが直列に接続された直列回路を複数具備しており、該直列回路が並列に接続され、前記複数の増幅手段のうちの使用しない増幅手段は電源オフ又は減衰モードに制御されることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0026】
請求項6にかかる発明は、請求項3に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第2のフィルタリング手段が、前記複数のバンドパスフィルタと前記切替手段との間に少なくとも1つの増幅手段を具備していることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0027】
請求項7にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記受信回路または前記送信回路を複数具備しており、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが複数のバンドパスフィルタで構成されており、該複数のバンドパスフィルタの一方の端子はそれぞれ前記第1または第2のスイッチ手段に接続され、該複数のバンドパスフィルタの他方の端子はそれぞれの通過周波数帯域に対応する受信回路または送信回路に接続されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0028】
請求項8にかかる発明は、請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、直列に接続された複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタに並列に接続された開放と短絡あるいは高抵抗と低抵抗を切り替える別のスイッチ手段とから構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0029】
請求項9にかかる発明は、請求項1乃至8のいずれか1に記載のマルチバンド高周波回路において、FDD方式の送受信時には前記第1および第2のスイッチ素子をオンさせ、TDD方式の送受信時には前記第1および第2のスイッチ素子を送信受信に同期して交互にオン・オフさせる制御手段を具備することを特徴とするマルチバンド高周波回路とした。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明は、アンテナなどが接続される入出力端子に、オン・オフ(開放と短絡、あるいは、高抵抗と低抵抗)する第1のスイッチ手段と第1のフィルタリング手段を介して受信回路を接続するとともに、同様にオン・オフする第2のスイッチ手段と第2のフィルタリング手段を介して送信回路を接続したことを最も主要な特徴とする。
【0031】
以上のように構成することによって、FDD動作時には第1および第2のスイッチ手段をオンとすることによって送信と受信を同時に行うことができ、送信信号と受信信号は第1および第2のフィルタリング手段で分離される。一方、TDD動作時には、第1および第2のスイッチ手段を送信と受信に同期させて交互にオン/オフするように制御することによって、第1および第2のスイッチ手段を通常TDD方式で用いる送受切替スイッチと同等の動作をさせることができる。
【0032】
本発明によれば、第1および第2のスイッチ手段によりFDDとTDDを選択するため、簡易な構成で汎用性の高いマルチバンド高周波回路を実現することができる。
【0033】
第1の従来技術では、方式を切り替える機能とTDD方式の送受を切り替える機能を同一のスイッチに持たせているため、マルチバンド無線機で取り扱う方式の数が多くなった場合には複雑な制御を高速で行わなければならなかったのに対し、本発明では、第1および第2のスイッチ手段は方式の切替機能を含んでおらず、オン・オフのみの切り替えであるため1:N切替のような複雑な制御が不要であり、制御が簡易である点が従来技術と異なる。
【0034】
また、第2の従来技術では、TDD方式で用いるアンテナ切替スイッチを具備しておらず、アンテナが共有できず、送信経路を遮断することができなかったのに対し、本発明では、第1および第2のスイッチ手段はTDD方式の送受切替スイッチと同等の動作をさせることもできる点が従来技術と異なる。すなわち、アンテナの共有と送信経路の遮断を可能とする。
【0035】
また、第3の従来技術では、FDD方式の送信または受信周波数のいずれかがTDD方式の周波数と一致する場合のFDD/TDD共用マルチバンド高周波回路を実現するのに対し、本発明では、FDDとTDDを共用するための手段、すなわち、第1および第2のスイッチ手段と周波数帯を切り替えるフィルタリング手段とを分離しているため、任意の周波数配置で取り扱う方式や周波数帯の数が増えた場合にも容易に適用できる点が従来技術と異なる。
【0036】
[第1の実施形態](請求項1に対応)
図1は本発明にかかる第1の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0037】
本発明にかかる第1の実施形態は、受信回路1、送信回路2、アンテナなどに接続される入出力端子3、第1および第2のスイッチ素子101および102、第1および第2のフィルタリング手段201および202を具備している。該第1のスイッチ素子101の一方の端子は入出力端子3に接続されており、他方の端子は第1のフィルタリング手段201を介して受信回路1に接続されている。該第2のスイッチ素子102の一方の端子は入出力端子3に接続されており、他方の端子は第2のフィルタリング手段202を介して送信回路2に接続されている。
【0038】
上記第1および第2のフィルタリング手段201および202のうち少なくとも一方は複数の通過周波数帯を切り替える機能を有する。該第1のフィルタリング手段は、受信周波数帯域外の高レベル信号によって受信回路1が飽和し受信感度が低下する等の特性劣化を避けるために設けられる。また、該第2のフィルタリング手段は、送信回路2で発生する帯域外の不要な信号を抑圧するために設けられる。受信回路1は低雑音増幅器やダウンコンバータ等から構成される。送信回路2は高出力増幅器やアップコンバータ等から構成される。
【0039】
受信周波数f1、送信周波数f2のFDD方式と、受信・送信周波数f3のTDD方式を想定して本実施形態にかかるマルチバンド高周波回路の動作を説明する。
【0040】
FDD方式の場合には、第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオン(短絡、低抵抗)となるように制御する。また、第1のフィルタリング手段201は受信周波数f1の信号を通過するように制御し、第2のフィルタリング手段202は送信周波数f2の信号を通過するように制御する。
【0041】
このように制御することによって、送受を同時に行うことができるとともに、受信した周波数f1の信号は第1のフィルタリング手段201を通過し、受信回路1へ入力される。一方、周波数f2の送信信号は第2のフィルタリング手段202を通過するが、第1のフィルタリング手段201に対しては周波数f2が阻止帯域となるため、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はFDD方式の高周波回路として動作する。
【0042】
一方、TDD方式の場合には、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信および受信と同期させてオン(短絡、低抵抗)/オフ(開放、高抵抗)を切り替える。受信時には該第1のスイッチ素子101をオンとし、該第2のスイッチ素子102をオフとするよう制御する。送信時には該第1のスイッチ素子101をオフとし、該第2のスイッチ素子102をオンとするよう制御する。第1および第2のフィルタリング手段201および202はTDD方式の周波数f3の信号を通過するよう制御する。
【0043】
このように制御することによって、該第1および第2のスイッチ素子101および102は通常のTDD方式で用いられる送受切替スイッチと同等の動作をする。すなわち、受信時には該第1のスイッチ素子101がオンであり、該第2のスイッチ素子102がオフであるので、受信信号は第1のフィルタリング手段201を通過して受信回路1へ入力される。一方、送信時には該第1のスイッチ素子101がオフであり、該第2のスイッチ素子102がオンであるので、送信回路2から送信された送信信号は、該第1のスイッチ素子101がオフであるので、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はTDD方式の高周波回路として動作する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のマルチバンド高周波回路は上記第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオンとすることによりFDD方式に対応し、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信・受信に同期して交互にオン/オフを切り替えるように制御することによりTDD方式に対応することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、FDD方式の受信周波数をf1、送信周波数をf2とし、TDD方式の受信・送信周波数をf2とするときは、第2のフィルタリング手段202の通過帯域周波数はf2に固定できる。
【0046】
[第2の実施形態](請求項2に対応)
図2は本発明にかかる第2の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0047】
本実施形態は、第1の実施形態における第1および第2のフィルタリング手段201および202を、電気的に通過帯域を変更することのできるチューナブル・バンドパスフィルタ211および212を用いて構成したものである。本実施形態は、上述した第1の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0048】
[第3実施形態](請求項3に対応)
図3図は本発明にかかる第3の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1、図2、図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0049】
本実施形態は、第1の実施形態における第1および第2のフィルタリング手段201および202を、第1〜第4のバンドパスフィルタ21〜24と第1および第2の1:2切替スイッチ11および12で構成したものである。
【0050】
該第1のバンドパスフィルタ21の片方の端子は第1のスイッチ素子101に接続されており、他方の端子は該第1の切替スイッチ11の切替端子Aに接続されている。該第2のバンドパスフィルタ22の片方の端子は第1のスイッチ素子101に接続されており、他方の端子は該第1の切替スイッチ11の切替端子Bに接続されている。該第3のバンドパスフィルタ23の片方の端子は第2のスイッチ素子102に接続されており、他方の端子は該第2の切替スイッチ12の切替端子Aに接続されている。該第4のバンドパスフィルタ24の片方の端子は第2のスイッチ素子102に接続されており、他方の端子は該第1の切替スイッチ12の切替端子Bに接続されている。該第1の切替スイッチ11の共通端子Cは受信回路1に接続されており、該第2の切替スイッチ12の共通端子Cは送信回路2に接続されている。
【0051】
受信周波数f1、送信周波数f2のFDD方式と、受信・送信周波数f3のTDD方式を想定して本発明に係るマルチバンド高周波回路の動作を説明する。第1のバンドパスフィルタ21の通過周波数はf1、第2のバンドパスフィルタ22の通過周波数はf3、第3のバンドパスフィルタ23の通過周波数はf2、第4のバンドパスフィルタの通過周波数はf3とする。
【0052】
FDD方式の場合には、第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオン(短絡、低抵抗)となるように制御し、第1の切替スイッチ11は第1のバンドパスフィルタ21側、すなわち端子A側を選択し、第2の切替スイッチ12は第3のバンドパスフィルタ23側、すなわち端子A側を選択する。
【0053】
このように制御することによって、送受信を同時に行うことができるとともに、受信した周波数f1の信号は第1のバンドパスフィルタ21を通過し、受信回路1へ入力される。一方、周波数f2の送信信号は第3のバンドパスフィルタ23を通過するが、第1のバンドパスフィルタ21に対しては周波数f2が阻止帯域となるため、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はFDD方式の高周波回路として動作する。
【0054】
一方、TDD方式の場合には、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信および受信と同期させてオン(短絡、低抵抗)/オフ(開放、高抵抗)を切り替える。受信時には該第1のスイッチ素子101をオンとし、該第2のスイッチ素子102をオフとするよう制御する。送信時には該第1のスイッチ素子101をオフとし、該第2のスイッチ素子102をオンとするよう制御する。第1の切替スイッチ11は第2のバンドパスフィルタ22側、すなわち端子B側を選択し、第2の切替スイッチ12は第4のバンドパスフィルタ24側、すなわち端子B側を選択する。
【0055】
このように制御することによって、該第1および第2のスイッチ素子101および102は通常のTDD方式で用いられる送受切替スイッチと同等の動作をする。すなわち、受信時には該第1のスイッチ素子101がオンであり、該第2のスイッチ素子102がオフであるので、受信信号は第2のバンドパスフィルタ22を通過して受信回路1へ入力される。一方、送信時には該第1のスイッチ素子101がオフであり、該第2のスイッチ素子102がオンであるので、送信回路2から送信された送信信号は、該第1のスイッチ素子101がオフであるので、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はTDD方式の高周波回路として動作する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のマルチバンド高周波回路は上記第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオンとすることによりFDD方式に対応し、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信・受信に同期して交互にオン/オフを切り替えるように制御することによりTDD方式に対応することができる。
【0057】
また、第1および第2のフィルタリング手段201および202がバンドパスフィルタと切替スイッチで構成されているため、バンドパスフィルタの通過周波数帯域を適切に選ぶことによって、任意の周波数配置の方式を切り替えることができる。
【0058】
さらに、第1および第2のフィルタリング手段201および202において、バンドパスフィルタを3以上具備し、それらを切り替える多端子切替スイッチを具備することによって、さらに多くの方式、あるいは、周波数帯を取り扱うマルチバンド高周波回路を構成することができる。
【0059】
[第4の実施形態](請求項4に対応)
図4は本発明にかかる第4の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図3および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0060】
本実施形態は、第3の実施形態における第1のフィルタリング手段201のバンドパスフィルタ21および22と切替スイッチ11の間に、第1および第2の低雑音増幅器41および42を配置したものである。
【0061】
受信装置を構成するために、回路がN段縦続に接続されており、各回路の雑音指数をFn、利得をGn(n=1,2,…,N)とすると、受信装置全体の雑音指数Ftはフリスの公式より、
Ft=F1+(F2−1)/G1+・・・・+(FN−1)/G1G2・・・GN−1
のように与えられる。
【0062】
この式によれば、1段目の低雑音増幅器の利得が高ければ受信機全体の雑音指数は低雑音増幅器の雑音指数F1でほぼ決定されることになる。しかしながら、低雑音増幅器の前段に損失があるとその損失分だけ雑音指数は劣化することになる。
【0063】
第3の実施形態では、スイッチ素子101、バンドパスフィルタ21ないし22、切替スイッチ11が低雑音増幅器を含む受信回路1の前段に配置されており、これらの損失が受信機全体の雑音特性を劣化させる。これに対し本実施形態のように、低雑音増幅器をバンドパスフィルタと切替スイッチ11の間に配置することにより、切替スイッチ11の雑音特性への影響を小さくすることができる。
【0064】
したがって、本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有するとともに、第3の実施形態の雑音特性を改善する。
【0065】
また、第3の実施形態では取り扱う全ての帯域をカバーする広帯域な受信回路が必要となるが、本実施形態ではそれぞれの帯域用に設計された低雑音増幅器を使用することができる。
【0066】
[第5の実施形態](請求項5に対応)
図5は本発明にかかる第5の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図4および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0067】
本実施形態は、第4の実施形態における第1の切替スイッチ11を省略したものである。第1および第2のバンドパスフィルタ21、22の役割は、受信周波数帯域外の高レベル信号によって受信回路1が飽和することを防ぐことにある。
【0068】
したがって、図3に示した第3の実施形態では、第1の切替スイッチ11を省略すると第1および第2のバンドパスフィルタ21、22を通過した信号がともに受信回路1に入力されるため、該第1の切替スイッチ11を省略することは望ましくない。
【0069】
一方、本実施形態では使用しない帯域の低雑音増幅器41または42の電源を切る、ないしは、減衰モードで動作させることにより切替スイッチ11を切り替えたのと同様の効果を持たせることができる。したがって、本実施形態は、上述した第4の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0070】
[第6の実施形態](請求項6に対応)
図6は本発明にかかる第6の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図5および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0071】
本実施形態は、第3の実施形態における第2のフィルタリング手段202のバンドパスフィルタ23および24と切替スイッチ12の間に第1および第2の高出力増幅器51および52を配置したものである。
【0072】
携帯端末等では高出力増幅器の効率は電池の寿命を左右する重要な要素である。したがって、高出力増幅器の後段に損失があると送信装置全体で見た効率が低下することになる。
【0073】
第3の実施形態では、スイッチ素子102、バンドパスフィルタ23ないし24、切替スイッチ12が高出力増幅器を含む送信回路2の後段に配置されており、これらの損失が送信機全体の効率を劣化させる。これに対し、本実施形態のように、高出力増幅器をバンドパスフィルタと切替スイッチ12の間に配置することにより、切替スイッチ12の効率への影響を小さくすることができる。
【0074】
したがって、本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有するとともに、第3の実施形態の効率特性を改善する。また、第3の実施形態では取り扱う全ての帯域をカバーする広帯域な送信回路が必要となるが、本実施形態ではそれぞれの帯域用に設計された高出力増幅器を使用することができる。
【0075】
[第7の実施形態](請求項7に対応)
図7は本発明にかかる第7の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図6および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0076】
本実施形態は、第3の実施形態における第1および第2の切替スイッチ11および12を省略し、各バンドパスフィルタにそれぞれの帯域に対応する受信回路、送信回路を接続している。すなわち、第1のバンドパスフィルタ21を第1受信回路1’に接続し、第2のバンドパスフィルタ22を第2の受信回路1”に接続し、第3のバンドパスフィルタ23を第1の送信回路2’に接続し、第4のバンドパスフィルタ24を第2の送信回路2”に接続している。
【0077】
第3の実施形態では送信回路、受信回路とも取り扱う全ての周波数帯をカバーできる広帯域な回路が必要であったが、本実施形態では、それぞれの周波数帯または方式に専用に設計された送受信回路を用いることができる。汎用に設計された送受信回路を用いた場合も同様である。
【0078】
本実施形態では、スイッチ素子101および102を制御することにより、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0079】
[第8の実施形態](請求項3に対応)
図8は本発明にかかる第8の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図7および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0080】
本実施形態は、上述した第3の実施形態で第1および第2のフィルタリング手段201、202を構成するバンドパスフィルタと切替スイッチの順番を入れ替えたものである。本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有する。
【0081】
[第9の実施形態](請求項3に対応)
図9は本発明にかかる第9の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図8および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0082】
本実施形態は、上述した第3の実施形態で第1および第2のフィルタリング手段201、202を構成するバンドパスフィルタの両端に切替スイッチを具備したものである。
【0083】
本実施形態は、上述した第3の実施形態と同様の作用と効果を有するとともに、第1および第2のフィルタリング手段201および202の阻止帯域特性を改善する。
【0084】
[第10の実施形態](請求項8に対応)
図10は本発明にかかる第10の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。図1ないし図9および図11ないし図13と同一のものについては同一の符号を付している。
【0085】
本実施形態は、第1の実施形態における第1および第2のフィルタリング手段201および202を、第1〜第4のバンドパスフィルタ21〜24と第3〜第6のスイッチ素子111〜114で構成したものである。
【0086】
バンドパスフィルタ21と22が直列に接続されており、該バンドパスフィルタ21とスイッチ素子111が並列に接続されており、該バンドパスフィルタ22とスイッチ素子112が並列に接続されており、第1のフィルタリング手段201を構成している。
【0087】
バンドパスフィルタ23と24が直列に接続されており、該バンドパスフィルタ23とスイッチ素子113が並列に接続されており、該バンドパスフィルタ24とスイッチ素子114が並列に接続されており、第2のフィルタリング手段202を構成している。
【0088】
受信周波数f1、送信周波数f2のFDD方式と、受信・送信周波数f3のTDD方式を想定して本実施形態のマルチバンド高周波回路の動作を説明する。第1のバンドパスフィルタ21の通過周波数はf1、第2のバンドパスフィルタ22の通過周波数はf3、第3のバンドパスフィルタ23の通過周波数はf2、第4のバンドパスフィルタ24の通過周波数はf3とする。
【0089】
FDD方式の場合には第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオン(短絡、低抵抗)となるように制御し、第3のスイッチ素子111はオフにし、第4のスイッチ素子112はオンとする。また、第5のスイッチ素子113はオフにし、第6のスイッチ素子114はオンとする。
【0090】
このように制御することによって送受信を同時に行うことができるとともに、バンドパスフィルタ21、22およびスイッチ素子111、112で構成される第1のフィルタリング手段201は通過周波数f1のバンドパスフィルタとして動作し、バンドパスフィルタ23、24およびスイッチ素子113、114で構成される第2のフィルタリング手段202は通過周波数f2のバンドパスフィルタとして動作する。
【0091】
したがって、受信した周波数f1の信号は第1のスイッチ素子101および第1のフィルタリング手段201を通過し、受信回路1へ入力される。一方、周波数f2の送信信号は第2のフィルタリング手段202および第2のスイッチ素子102を通過し、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はFDD方式の高周波回路として動作する。
【0092】
一方、TDD方式の場合には、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信および受信と同期させてオン(短絡、低抵抗)/オフ(開放、高抵抗)を切り替える。受信時には該第1のスイッチ素子101をオンとし、該第2のスイッチ素子102をオフとするよう制御する。送信時には該第1のスイッチ素子101をオフとし、該第2のスイッチ素子102をオンとするよう制御する。第3のスイッチ素子111はオンにし、第4のスイッチ素子112はオフとする。また、第5のスイッチ素子113はオンにし、第6のスイッチ素子114はオフとする。したがって、該第1および第2のフィルタリング手段201および202はそれぞれ通過周波数f3のバンドパスフィルタとして動作する。
【0093】
このように制御することによって該第1および第2のスイッチ素子101および102は通常のTDD方式で用いられる送受切替スイッチと同等の動作をする。すなわち、受信時には該第1のスイッチ素子101がオンであり、該第2のスイッチ素子102がオフであるので、受信信号は第1のフィルタリング手段201を通過して受信回路1へ入力される。一方、送信時には該第1のスイッチ素子101がオフであり、該第2のスイッチ素子102がオンであるので、送信回路2から送信された送信信号は、該第1のスイッチ素子101がオフであるので、受信回路1へ入力されることなく、入出力端子3からアンテナへ入力され送信される。したがって、本実施形態の高周波回路はTDD方式の高周波回路として動作する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態のマルチバンド高周波回路は上記第1および第2のスイッチ素子101および102をともにオンとすることによりFDD方式に対応し、該第1および第2のスイッチ素子101および102を送信・受信に同期して交互にオン/オフを切り替えるように制御することによりTDD方式に対応することができる。
【0095】
[変形例]
第3から第10の実施形態においては、送信および受信ともそれぞれ異なる2つの周波数帯を使用する場合の構成を示しているが、3つ以上の周波数帯を使用する場合も同様である。
【0096】
また、第3から第10の実施形態においては、送信および受信とも異なる周波数帯を使用する場合の構成を示しているが、例えばFDD方式の送信または受信の周波数がTDD方式の周波数と一致する場合には、上述した第1または第2のフィルタリング手段201または202は単一のフィルタで構成することができる。
【0097】
また、前記した第1から第10の実施形態において、各スイッチ素子101、102、111、112、113、114および切替スイッチ11、12、13、14は、FDD方式又はTDD方式に応じて、図示しない制御手段によってそれぞれ切り替えられる。
【0098】
【発明の効果】
以上から本発明によれば、複雑な制御が不要で制御が簡易になり、アンテナが共用可能になるとともに送信経路が遮断可能になり、使用する周波数配置の制限が無くなり、よって汎用性の高いFDD/TDD方式共用のマルチバンド高周波回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図2】第2の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図3】第3の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図4】第4の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図5】第5の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図6】第6の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図7】第7の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図8】第8の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図9】第9の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図10】第10の実施形態のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図11】第1の従来のマルチバンド高周波回路のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図12】第2の従来のマルチバンド高周波回路のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【図13】第3の従来のマルチバンド高周波回路のマルチバンド高周波回路のブロック図である。
【符号の説明】
1、1’、1”:受信回路
2、2’、2”:送信回路
3:入出力端子
11、12、13、14:切替スイッチ
21、22、23、24:バンドパスフィルタ
31、32:アンテナ
41、42:低雑音増幅器
51、52:高出力増幅器
101、102、111、112、113、114:スイッチ素子
201、202:フィルタリング手段
211、212:チューナブル・バンドパスフィルタ
Claims (9)
- アンテナなどが接続される入出力端子と、開放と短絡あるいは高抵抗と低抵抗を切り替える第1および第2のスイッチ手段と、第1および第2のフィルタリング手段と、受信回路と、送信回路とを具備し、
前記入出力端子に前記第1および第2のスイッチ手段が接続されており、
前記第1のスイッチ手段の前記入出力端子に接続されている側とは反対側の端子が前記第1のフィルタリング手段を介して前記受信回路に接続されており、
前記第2のスイッチ手段の前記入出力端子に接続されている側とは反対側の端子が前記第2のフィルタリング手段を介して前記送信回路に接続されており、
前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、その通過周波数帯域を複数の周波数帯で切り替える機能を有することを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、通過周波数帯域を電気的に変えることのできるチューナブル・バンドパスフィルタで構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、複数のバンドパスフィルタと、該複数のバンドパスフィルタを切り替えて当該フィルタリング手段の通過周波数帯域を切り替える切替手段と、で構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項3に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記第1のフィルタリング手段が、前記複数のバンドパスフィルタと前記切替手段との間に少なくとも1つの増幅手段を具備していることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記第1のフィルタリング手段が、バンドパスフィルタと増幅手段とが直列に接続された直列回路を複数具備しており、該直列回路が並列に接続され、前記複数の増幅手段のうちの使用しない増幅手段は電源オフ又は減衰モードに制御されることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項3に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記第2のフィルタリング手段が、前記複数のバンドパスフィルタと前記切替手段との間に少なくとも1つの増幅手段を具備していることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記受信回路または前記送信回路を複数具備しており、
前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが複数のバンドパスフィルタで構成されており、
該複数のバンドパスフィルタの一方の端子はそれぞれ前記第1または第2のスイッチ手段に接続され、
該複数のバンドパスフィルタの他方の端子はそれぞれの通過周波数帯域に対応する受信回路または送信回路に接続されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項1に記載のマルチバンド高周波回路において、
前記第1および第2のフィルタリング手段のうち少なくとも1つが、直列に接続された複数のバンドパスフィルタと、各バンドパスフィルタに並列に接続された開放と短絡あるいは高抵抗と低抵抗を切り替える別のスイッチ手段とから構成されていることを特徴とするマルチバンド高周波回路。 - 請求項1乃至8のいずれか1に記載のマルチバンド高周波回路において、
FDD方式の送受信時には前記第1および第2のスイッチ素子をオンさせ、TDD方式の送受信時には前記第1および第2のスイッチ素子を送信受信に同期して交互にオン・オフさせる制御手段を具備することを特徴とするマルチバンド高周波回路。
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