無線通信システムは一般的に、移動ワイヤレス機器と通信する基地局およびアンテナを有する。これらのワイヤレス機器は音声通信ならびにデータ通信に適応し得る。たとえば、ワイヤレス機器は、携帯電話、personal data assistant、ラップトップコンピュータであり得る。これらは携帯型であるので、ワイヤレス機器は通常バッテリ電源供給され、便利に使用するための大きさにする必要がある。大部分の商業的無線通信システムは一部の国際標準に準拠し、基地局とモバイル機器との間で適合性を確実なものにする。しかしながら、いくつかの通信標準があるため、モバイル機器は適合性のある通信システムにおいて通信できるのみである。これは制限がありすぎると考えられるため、移動ワイヤレス機器はしばしば、2つ以上の通信システムにおいて動作するように適応される。
無線通信システムは一般的に、特定の周波数範囲または通信帯域において動作するために配置される。たとえば、1つの通信システムは、約1900MHzの周波数帯域で動作するPCS帯域において動作し得る。別の通信システムは、約800MHzの周波数帯域において動作する携帯電話帯域において動作し得る。複数の通信帯域で動作する性能を備える移動ワイヤレス機器を有することによって、複数の通信システムでの動作が可能であることは望ましいと考えられている。たとえば、PCSと携帯電話システム両方で動作する性能を備える無線モバイル機器を有することは特に有益であると考えられている。他の周波数帯域および通信標準が用いられ得ることが認められるであろう。
移動ワイヤレス機器が補助的信号を受信するために構成されることもまた望ましいと考えられる。特に有益な補助的信号はGPSサテライトシステムから提供されるポジション位置情報信号である。GPSシステムにおいて、いくつかのサテライトは約1575MHzで位置ビーコンを伝送する。この位置ビーコンはGPS受信器によって受信され得る。GPS信号は、GPS受信器の位置を決定するために用いられ得るタイミングおよび位置情報を含む。このように、GPS信号を受信する移動ワイヤレス機器は、救急隊員または他の適用のために位置情報を提供し得る。しかしながら、無線モバイル機器に複数の帯域性能を加えることと補助的信号性能を加えることにより、これらの装置は、形成するために、より複雑でよりコストがかかるようになった。
移動ワイヤレス機器はより複雑になったが、市場圧力はより高いパフォーマンスとより低いコストを要求する。これに関して、ワイヤレス機器の製造は、損失とノイズと価格の間でトレードオフを必要とする。たとえば、より損失の低い装置は、よりコストの高い成分を使用する必要があり得る。そのような損失のより低い装置は、携帯機器において、より長いバッテリー寿命を有する。これは移動無線市場において非常に望ましいことである。別の例において、より少ないまたはより低品質の成分を用いてよりコストのかからない電話を作ることは望ましいことであり得る。しかしながら、そのような構成の結果、受信または伝送回路においてさらなるノイズにつながることがあり得て、それにより、電話の感度が低減する。そのような低減された感度によって、低聴取、低信号品質、通話切れ、他の望ましくない実行特性につながることがあり得る。移動ワイヤレス機器においてさらなる特性がますます要求されるのを受けて、コストを下げながらノイズおよび損失特性を改善することに関し、大きな市場圧力がある。
複数の通信帯域で動作するために構成されたワイヤレス機器は一般的に、帯域選択回路の形態を有する。このように、装置は1つの帯域で通信し得て、状況が変化の正当な理由となる場合、他の帯域での通信に切り替わる。たとえば、携帯電話はPCS帯域で動作し得るが、電話がPCSサービスのない位置に移動させられる場合、電話は、携帯電話帯域があれば、携帯電話帯域で動作するために選択し得る。もちろん、どの帯域が音声通信に用いられるかに関係なく、携帯電話がGPS信号を受信できるようになることは望ましい。これに関して、帯域選択回路は少なくとも2つの通信システムの間で識別が可能であるべきだが、補助的GPS信号があれば、補助的GPS信号を受信可能であるべきである。たとえば、ワイヤレス機器は、PCS通信システムまたは携帯電話通信システムにおいて選択的に動作する必要があり得る一方で、GPS信号情報を受信する。帯域選択回路を配置する際に、RFスイッチまたはトリプレクサのいずれかを用いることは周知である。以下に十分記載されるように、RFスイッチとトリプレクサはそれぞれ両方とも弱点を有する。
RFスイッチを用いる帯域選択回路が開示されてきた。RFスイッチは、約0.2〜0.4dBで比較的低損失を有するが、RFスイッチは能動素子であるため、伝送パスと受信パスの両方においてノイズを加える可能性がある。特に、RFスイッチは、実質的に装置パフォーマンスを低下させるとして周知な通信信号に、混変調とIP3ノイズを加える傾向にある。RFスイッチを用いる帯域選択回路において、制御回路はRFスイッチを設定して、通信パスを、GPSフィルタおよび低ノイズ増幅器またはダイプレクサに向ける。より特定的には、モバイル機器がポジション情報を望む場合、制御回路がRFスイッチを設定して、アンテナがGPSフィルタおよび増幅器と結合するようにする。モバイル機器が2つの利用可能な通信帯域のうち1つにおいて通信する必要がある場合、制御回路はアンテナとダイプレクサを結合する。ダイプレクサは一対のデュプレクサに結合する。それぞれのデュプレクサは通信帯域の1つに伝送パスおよび受信パスを提供するために構成される。たとえば、デュプレクサの一つは、PCS通信帯域のために伝送器を提供し、パスを受け取るように構成される一方、もう一つのデュプレクサは携帯電話通信帯域のために伝送器を提供し、パスを受け取る。あいにく、RFスイッチは連続的にノイズを通信パスに加え、また、挿入損失の増大の原因となる。さらに、RFスイッチは比較的コストのかかる電子部品である。
コストが主な考慮すべき事項である設計において、帯域選択回路はRFスイッチの代わりにトリプレクサを使用し得る。あいにく、一部の一般的なトリプレクサは本質的に損失が多いゆえに、無線モバイル機器に対するより多くの全体の挿入損失の原因となり得る。そのような多くの挿入損失は、より短いバッテリ寿命およびモバイル機器の低下した信号品質につながり得る。バッテリ損失特性を備えるトリプレクサを形成することは可能であり得るが、これらの機器は比較的大きくなるようにしばしば構成されるゆえに、ワイヤレス機器において高価なものを消費し、回路エリアが限定される。しかしながら、トリプレクサは受動素子であるので、RFスイッチよりもより良いノイズ特性を有する。使用において、トリプレクサを用いる帯域選択回路はアンテナに結合し、通信信号を3つの帯域に分ける。たとえば、第1の帯域は携帯電話帯域であり得て、第2の帯域はPCS帯域であり得て、第3の帯域はGPS帯域であり得る。トリプレクサは2つのデュプレクサに結合し、それぞれのデュプレクサは関連帯域に受信パスおよび伝送パスを提供するために構成される。たとえば、携帯電話デュプレクサはトリプレクサの携帯電話出力に接続し、PCSデュプレクサはトリプレクサのPCS出力に接続する。フィルタはトリプレクサのGPS出力に結合し、低レベルGPS信号をパスし、それから低ノイズ増幅器において増幅される。しばしば、GPSフィルタはSAW(弾性表面波)フィルタである。
帯域選択回路の別の周知の例において、携帯電話通信パスおよびPCS通信パスが確立される標準的なダイプレクサにアンテナが結合する。ダイプレクサは携帯電話デュプレクサおよびPCSデュプレクサに結合し、それぞれの帯域に伝送パスおよび受信パスを提供する。別のGPS回路はまた、GPS信号を検知するためにアンテナに結合する。GPSパスは調整され、携帯電話通信信号またはPCS通信信号に対して開回路として理想的に現れるようにする。しかしながら、そのようなチューニングは正確ではなく、典型的に漏れ電流になる。そして、それは全体の装置に対して挿入損失を高め、また、携帯電話またはPCS信号の質を低下させる。さらにそのような実行はまた、GPS信号を検知するために、さらなる成分とさらなる回路空間を必要とする。
それゆえ、低損失、低ノイズ注入、コンパクト設計、コスト効率のよい実行(implementation)を提供する帯域選択回路の必要性がある。
図1を説明すると、帯域選択システム10が図示される。帯域選択システム10は無線通信装置において動作する。無線通信装置は、たとえば、通信システムにおいて通信するための移動無線ユニットであり得る。移動ワイヤレス機器は可搬性が高められたために典型的にバッテリ電源供給され、音声またはデータ通信を提供し得る。無線通信システムは典型的に国際標準にしたがって動作する。国際標準は、装置が通信する周波数範囲、帯域を定義する。たとえば、通信システムは、PCS、携帯電話、GSM、他の通信標準であり得て、それぞれの標準は異なる通信帯域を動作する。柔軟性が高められるために、移動ワイヤレス機器は1つ以上の通信帯域で動作するためにしばしば適応される。たとえば、無線携帯電話は、PCS帯域または携帯電話帯域のいずれかで電話を掛けて受けることが可能とされ得る。利用可能な帯域の1つ以上が存在するエリアにおいて、無線携帯電話が動作する場合、移動ワイヤレス機器は優先順位テーブルを用いてどの帯域が好ましいかを決定する。移動ワイヤレス機器は複数の通信帯域で動作するだけでなく、移動ワイヤレス機器はまた、GPSポジション位置信号などの補助的信号を受信する必要があり得る。したがって、帯域選択システム10によって無線通信装置は、効率的に通信帯域を選択し、また補助的信号を受信することが可能となる。
帯域選択システム10は特定の例示的回路であって、ワイヤレス機器が、PCS通信帯域または携帯電話通信帯域のいずれかにおいて通信チャンネルを選択できるように適応される。GPS信号が受信される場合、帯域選択回路はまたGPS信号出力を提供する。帯域選択システム10はPCS、携帯電話、GPS帯域に適応されるが、他の帯域が用いられ得ることが理解される。
帯域選択システム10はアンテナ(図示されず)に結合しているアンテナポート12を有する。アンテナは利用可能な通信帯域の予期される周波数で信号を受信するために構成される。たとえば、アンテナは、PCS帯域信号および携帯電話帯域信号を受信する性能を有するデュアル帯域アンテナであり得る。アンテナポート12は広帯域ダイプレクサ14と結合している。広帯域ダイプレクサによってアンテナポートからの2つの通信パスが可能となる。第1のパスは広帯域ダイプレクサ14と結合デュプレクサ19を結合し、以下の部分に詳細が記載される。第1のパスはPCS通信信号およびGPS信号を含み得る広帯域信号を搬送する。結合デュプレクサは広帯域信号を、PCS受信パス26とPCS伝送パス28に分ける。PCS受信パス26およびPCS伝送パス28は、PCS帯域において受信および伝送するために他のトランシーバ回路に結合する。もちろん、PCS帯域での通信は、適合性のあるPCS基地局および通信システムの存在が必要である。結合デュプレクサはまたGPS出力30を提供する。GPS出力30は、アンテナが十分に強力なGPS信号を検出する場合に、GPS通信信号から受けたGPS情報を含む。GPS出力30は、増幅したGPS情報信号35を生成するために、GPS低ノイズ増幅器33に結合し得る。
広帯域ダイプレクサ14からの第2のパスは、標準的携帯電話デュプレクサ17に受け取られる。携帯電話デュプレクサは、携帯電話受信パス21および携帯電話伝送パス23を提供する。携帯電話受信パス21および携帯電話伝送パス23は、携帯電話帯域通信を受信および伝送するために、さらなるトランシーバ回路に結合する。もちろん、携帯電話帯域での通信は、適合性のある携帯電話基地局および通信システムの存在が必要である。
有利なことに、帯域選択システム10は効率的であり得て、コンパクトに実行され得る。帯域選択システム10はまた低挿入損失を示し、優れたノイズ特性を有する。たとえば、広帯域ダイプレクサ14、結合デュプレクサ19、携帯電話デュプレクサ17はすべて受動素子であるから、これらの素子は任意の通信信号に何らの著しいさらなるノイズを加えない。また、RFスイッチまたはトリプレクサが用いられず、別のGPSフィルタは除去され得るため、例示的帯域選択システムは有利な挿入損失パラメーターを有する。したがって、帯域選択システム10は、大変有利な実行特性および標準的な装置構成と比べて低コストを有するワイヤレス機器を構成するのに有益である。
図2を説明すると、通信帯域を選択する方法50が示される。図2はPCS、携帯電話、GPS信号に関して記載されているが、他の通信帯域および他の補助的信号が本開示の範囲内にあることが認められる。方法50は携帯電話通信帯域52を提供する。約800MHzで動作する携帯電話通信帯域は、音声およびデータ通信両方で広く用いられている。方法50はまたPCS通信帯域を提供する。PCS通信帯域は約1900MHzで動作し、また、音声およびデータ情報を搬送するのに広く用いられる。方法50はまたGPS通信帯域を提供する。GPS通信帯域は約1575MHzで動作し、サテライトに基づくポジション位置システムである。拡張帯域59はPCS通信帯域およびGPS通信帯域を含むと定義される。たとえば、これは、拡張帯域が約1500MHz〜約2000MHzで拡張するということであり得る。拡張帯域のハイおよびローカットオフ点は特定の必要性のためおよび特定の回路を適応するために調整され得るということが認められる。
ブロック61において、好ましくはアンテナを用いて、信号は無線通信装置に受け取られる。受信された信号はブロック63において広帯域ダイプレクサをパスする。広帯域ダイプレクサは拡張帯域パス68および携帯電話帯域パス65を提供する。拡張帯域パス68は、PCS通信信号またはGPS通信信号を含み得て、結合デュプレクサ70と結合する。結合デュプレクサは、GPS信号ポート77、PCS受信信号ポート75、およびPCS伝送信号を受け取るためのPCS伝送信号ポート79を提供する。携帯電話帯域パス65は標準的携帯電話デュプレクサ72に接続する。携帯電話デュプレクサ72は携帯電話受信信号82を提供し、携帯電話伝送信号84を可能にする。
図3を説明すると、広帯域ダイプレクサ90が示される。広帯域ダイプレクサは、アンテナポート94を有するダイプレクサ92を含む。アンテナポート94は、デュアル帯域アンテナなどのアンテナを用いて2ウェイ通信パスを提供する。アンテナポートは2つの通信パスを結合する。第1のパスはフィルタ98をパスし、拡張帯域ポート103を提供する。第2のパスはフィルタ96をパスし、携帯電話帯域ポート101を提供する。フィルタ98はPCS通信信号および任意のGPS通信信号をパスするために構成される。テーブル107に示されるように、PCS通信帯域は1850MHzと1990MHzとの間で動作し、GPS通信信号は約1575MHzで動作する。したがって、拡張帯域は、容認できる減衰を伴って、1575MHzと1990MHzの間で信号をパスする必要がある。それゆえ、フィルタ98は、約1500MHz〜2000MHzの間で信号をパスするために構成され得る。異なるハイおよびローカットオフ周波数が通過帯域に用いられ得ることが認められるであろう。さらに、フィルタ98は代替にハイパスフィルタとして構成され得て、約1500MHz未満の信号は実質的に減衰される。
フィルタ96はまた通過帯域フィルタとして構成され得て、携帯電話通信帯域信号をパスする。テーブル107に示されるように、携帯電話帯域は824MHz〜894MHz間で動作し、それゆえに通過帯域は約800〜900MHz間に設定される。他のハイおよびローカットオフ周波数が特定の適用および特定の回路に用いられ得ることが認めえられるであろう。さらに、フィルタ96は約900MHzに満たない信号をパスするためにローパスフィルタとして構成され得る。広帯域ダイプレクサ92は、PCS/GPS拡張帯域と携帯電話帯域間を分離するために構成されるが、他の信号帯域が用いられ得ることが認められるであろう。たとえば、別の補助的信号周波数が用いられ得るかまたは他の通信帯域が選択され得る。
図4を説明すると、結合デュプレクサ120が図示される。結合デュプレクサ120はデュプレクサ成分122を含む。成分122は他の回路に結合するために結合ポート128を含む。たとえば、結合デュプレクサ120は、ダイプレクサ90などのダイプレクサからの拡張帯域ポートに接続し得る。代替に、結合デュプレクサは、たとえばRFスイッチを介してアンテナに接続し得る。結合デュプレクサ120は3つの通信パスを提供する。第1のパスは結合ポート128から拡張し、フィルタ133を介してGPS情報信号をパスする。第2のパスは結合ポート128から拡張し、フィルタ135を介してPCS受信信号をパスする。第3のパスは結合ポート128から拡張し、フィルタ131を介してPCS受信信号をパスする。
GPSフィルタ133は、約1575MHzで動作するGPS信号をパスするために構成される。伝送フィルタ135はPCS帯域の受信周波数をパスするために構成される一方、受信フィルタ131はPCS帯域の受信周波数をパスするために構成される。パスはリークおよび他の損失を減少するために調整され得る。これに関して、位相シフトネットワーク124および126は、GPSおよびRX通信パスに挿入され得て、通信パスの有効な長さを調整する。代替として、位相シフトネットワークはGPSおよびTX通信パスに挿入され得る。位相シフトネットワークは周知の技術を用いて構成され得て、たとえば、4分の1波移相器を含み得る。位相シフトネットワークが1つまたは2つまたは3つの通信パスに用いられ得て、単一の位相シフトネットワークが複数の通信ラインを適応するために構成され得ることもまた認められる。GPSフィルタ133からの出力は、GPS情報信号を増幅されたGPS情報信号146に増幅するGPS低ノイズ増幅器142に直接受け取られる。増幅されたGPS情報信号はそれからさらなる回路によって用いられ得て、ポジション位置情報を処理する。有利なことに、多くの回路設計において、GPS信号パスにおいて別のSAWまたは他のフィルタの必要がない。
受信フィルタ131からの出力はさらなる受信回路140に受信され、ワイヤレス機器によって、受信信号を使用するための音声または情報信号に変換する。ワイヤレス機器はまた伝送回路144を用いて信号を生成し、その信号はそれから伝送フィルタ135を介して結合ポート128に出る。このように、結合デュプレクサ120によって、単一の受動素子が単一の結合ポートのためにPCS受信パス、PCS伝送パス、GPSパスを提供できる。図4における特定の例は、PCSを通信帯域として、また、GPSを補助的信号として用いるが、他の通信帯域および補助的信号が代用され得ることが認められる。
図5を説明すると、補助的信号を受信するための方法160が示される。方法160は通信帯域162を提供する。この通信帯域は、たとえば、約1900MHzで動作するPCS通信帯域であり得る。方法160はまた、約1575MHzで動作するGPS通信帯域であり得る補助的帯域164を提供する。信号は、ワイヤレス機器において、好ましくはアンテナで受信される(167)。信号は前処理され得て、他の通信帯域と分離するかまたは信号にさらなる条件を設ける。結合デュプレクサ169は、ブロック174において、信号からGPS信号のような補助的信号を分離する。補助的信号はそれから補助的モジュール179にパスされ得て、補助的信号において更なる処理がなされ得る。たとえば、補助的信号がGPS信号である場合、さらなるポジション位置情報処理がなされ得る。結合デュプレクサはまた受信パス172および伝送パス176を提供し、トランシーバ機能181と結合する。トランシーバ機能181は更なる回路と協働で、通信システムを用いて効果的な2ウェイ通信をする。
一般的に記載される結合デュプレクサを用いて、特定の実行が考察される。図4に記載される結合デュプレクサは代替の技術を用いて構成され得る。たとえば、結合デュプレクサは一体鋳造(monoblock)のセラミック装置としてまたは多層セラミック装置として構成され得る。さらに、結合デュプレクサが多層セラミック装置として構成される場合、装置における各々のフィルタはSAWフィルタとしてまたは代替にFBARフィルタとして配置され得る。結合デュプレクサのための代替の構成は図6、7、8に参照して考察される。
図6を参照すると、結合デュプレクサ200のためのセラミック一体鋳造構成が記載される。結合デュプレクサ200は、補助的信号ポートと通信受信ポートと通信伝送ポートを提供するために構成される。セラミック一体鋳造ブロック結合デュプレクサ200は、多層のフィルタセクションを有するセラミックブロック202を含む。それぞれのフィルタセクションは、セラミックブロックに組み込まれている1つ以上の共振器を備える。共振器は関連する回路と協働で、特定のフィルタ特性を提供する。たとえば、伝送フィルタ205は、補助的に配置された共振器のセットを備え、それぞれは銀などの導体で満たされている。一構成において、セラミックブロック202は、形成または押圧され、一体的に形成されたフィルタ回路を含む。別の実施例において、セラミック一体鋳造はメタライズされ得て、さらなるフィルタ回路が一体鋳造の表面に配置される。セラミック一体鋳造装置を形成する一般的な構成技術は周知であり、ここで詳細について記載されない。さらに、特定の周波数応答特性を有するフィルタの製造および設計もまた周知であり、ここで詳細について記載されない。
セラミックブロック202は、セラミックブロック202の一側面に近接の受信部分203および、セラミックブロック202のもう片面に近接の伝送部分205を有する。受信部分203および伝送部分205は距離220の空間を空けている。距離220は典型的なデュプレクサにおける分離距離よりも大きい。さらなる距離220は、受信部分と伝送部分の間のアイソレーションを増し、それによって有利な実行特性に役立つ。増長した距離220はまた、受信部分と伝送部分との間のさらなる空間を提供する。補助的部分207は受信部分203と伝送部分205の間に設置される。補助的部分は、GPS位置信号などの補助的信号を提供するために用いられる。
セラミックブロックはまた、結合デュプレクサ200から信号を送受信するいくつかの接続ポートを含む。接続ポート210はアンテナと結合し得て、2ウェイ通信を提供する。補助的信号が接続ポート210において受信された信号に提示されているとき、補助的信号は補助的ポート216において受信される。たとえば、GPS信号がアンテナにおいて受信され、接続ポート210をパスするとき、GPS信号はポート216において利用可能である。アンテナが適切な通信帯域において通信信号を受信するとき、通信信号の受信部分は受信部分212において利用可能である。伝送ポート214は、伝送器からの伝送信号を受信し、信号は、信号がアンテナを介して伝送される接続ポート210にパスするように配置される。一体鋳造は周知の構成技術を用いて接地される。さらなるグラウンド、遮へい、他の構成が特定の適用に加えられ得ることが認められるであろう。図6に示される一体鋳造は図解目的および記載目的のためのみであり、共振器、材料、長さ、間隔の相対数は、周知の設計原理にしたがって変わる。
有利なことに、結合デュプレクサ200は経済的に製造され、単一のセラミックブロックにおいてGPSポート、通信受信ポート、通信伝送ポートを提供する。このように、補助的信号検出のための従来の成分が排除されるにつれて間隔およびコストが減少し、結合デュプレクサが受動素子であるためにノイズが最小化され、改善されたアイソレーションのために受信および伝送フィルタがさらに分離されるにつれて実行が拡張される。
図7を参照すると、結合デュプレクサのための別の構成が示される。結合デュプレクサ230は多層セラミックパッケージ232として構成される。多層セラミックパッケージのための一般的な構成技術は周知であり、詳細は記載されない。多層セラミックパッケージは蓋234およびベース236を含む。蓋234とベース236の間は複数のセラミック層である。これらの層の1つはフィルタ層238であり得て、結合デュプレクサのための複数フィルタが構成され得る。結合デュプレクサは好ましくは3つのフィルタで構成される。フィルタ251は通信帯域の受信周波数をパスするために構成され得る一方で、フィルタ255は通信帯域の伝送周波数をパスするために構成され得る。フィルタ253は補助的信号をパスするために構成され得る。一実施形態において、フィルタ251、253、255のそれぞれはSAW(弾性表面波)フィルタとして構成され得る。これらのフィルタは周知の技術を用いて構成され得て、単一のまたは複数のダイスを用いて形成され得る。SAWフィルタは、結晶上に配置されたインターディジタル導体のセットを備える圧電性結晶ベースを有するフィルタ構成である。入力電気信号は音波に変換される。音波は結晶表面に伝送され、もう一方の端部において電気信号に変換して戻される。特定のインターディジタル導体構成によって、SAWフィルタは特定の周波数帯域を拒否し、パスすることが可能である。SAWフィルタの構成および設計は周知であり、ここに詳細は記載されない。
既に記載されたように、結合デュプレクサにおける1つ以上の通信パスはチューニングによる利点がある。多層セラミックパッケージにおいて、チューニングは特定の層に配置されたコイルを用いて達成され得るが、他のチューニング構成に代用され得ることが認められる。金または銀のような他の導体が用いられ得ることが認められる。たとえば、コイル層242は表面にプリントされた銅コイル264を有する。コイルの特定の長さまたはパターンは、望ましい効果的な長さに対して通信パスを同調するための特定の実行特性を提供する。コイルは、接続パッド262にて終端し、接続パッド262はホール260を介してフィルタおよび他の回路へ接続する。第2の同調コイルが必要な場合、さらなるコイル層246が用いられ得る。コイル層246は、干渉を減少するために、層242のコイルに直交的に配置された銅コイル266を有する。コイル間で他の構成が用いられ得ることが認められる。コイル266はまたホールを介してフィルタの1つおよびさらなる回路に接続する。分離層240および244は、フィルタとコイル層を分離するために用いられる。分離層の厚さは、さらなるアイソレーションおよび分離を提供するために調整され得ることが認められる。第2の同調構成を加える別の実施例において、同調構成が十分に分離していてアイソレートし得る場合、2つの同調構成が単一の同調層に加えられ得る。
他の回路への接続のために、多層セラミックパッケージがポートに提供される。たとえば、パッケージ242は、アンテナに接続するためにアンテナポート271を有し、GPS回路に接続するためのGPSポート273を有し、さらなるトランシーバ回路に接続するために受信ポート279および伝送ポート275を有し、装置を接地するための1つ以上のグラウンドポート277を有する。図7の装置は標準的な12個のピンのポート構成を用いて示される。12個のピンの構成を用いることによって、結合デュプレクサは、ワイヤレス機器のための既存設計によって容易に組み込まれるようになる。代替に、8個のピン構成のような別のポート構成が用いられ得る。8個のピン構成において、アンテナポート、RXポート、TXポート、GPSポートに用いられるコーナーピンを用いて、成分のそれぞれのコーナーにピンアウト(pinout)が提供される。それぞれのコーナーピンの間は接地パッドである。他のピン構成が用いられ得ることが理解される。
図8を説明すると、結合デュプレクサのための別の構成が記載される。結合デュプレクサ290は図7に記載の結合デュプレクサ230に類似であり、そのため、図8に関しては詳細が提供されない。結合デュプレクサ290はまた多層セラミックパッケージ292であって、蓋304およびベース306を有する。いくつかのさらなる層には、フィルタ層308、同調(チューニング)層312、同調層316、分離層310および314などが含まれる。結合デュプレクサ290はまた、アンテナ接続ポート、GPSポート、伝送ポート、受信ポートなどのような接続ポートを含む。結合デュプレクサ290は結合デュプレクサ230に類似であるが、特定の実行は、異なるセラミック材料、異なる同調構成の構築、他の構成修正を必要とし得ることが認められる。
結合デュプレクサ290において、フィルタ層308は、受信フィルタ321、伝送フィルタ325、補助的GPSフィルタ323を含む。3つのフィルタのそれぞれはFBAR(film bulk acoustic resonator)フィルタを用いて構成される。FBARフィルタは圧電材料から構成され、一方の端部で電気信号を受け取る。圧電材料は、電気信号を、フィルム材料を介して共振する音響波に変換する。もう一方の端部において音響波は電気エネルギーに変換し戻される。圧電構成特性を操作することによって、FBARフィルタは特定の周波数特性に調整され得る。結合デュプレクサ230において用いられるSAWフィルタと比較すると、FBARフィルタはよりコンパクトな形態で構成され得る。しかしながら、FBARフィルタはより多くの帯域外エネルギーをパスし、それによって、これらの望ましくない信号を拒否するためにさらなる回路が必要となり得る。
FBARフィルタは、図7に用いられるSAWフィルタとは異なる電気および周波数特性を有するために、同調構成313および314はFBARフィルタに適応される。FBARフィルタのための同調構成は容易に商業的に利用可能であるので、ここで詳細が考察されない。また、同調構成が十分な分離およびアイソレーションを提供するために設置される場合、同調構成は単一の同調層に構成され得ることが認められる。
図9を参照すると、帯域選択システム350が図示される。帯域選択システム350は無線通信装置において動作する。無線通信装置はたとえば移動無線ユニットであり得て、通信システムにおいて通信する。柔軟性が増したために、移動ワイヤレス機器はしばしば、2つ以上の通信帯域において動作するように適応される。たとえば、無線携帯電話は、第1の帯域または第2の帯域のいずれかにおいて通話を設置し、受け取ることができるようにされ得る。移動ワイヤレス機器は複数の通信帯域において動作し得るだけでなく、移動ワイヤレス機器はまた、別の通信システムの存在のポジション位置を示す信号などのような補助的信号を受信する必要があり得る。したがって、帯域選択システム350によって、無線通信装置は効率的に通信帯域を選択し、補助的信号を受信することができる。
帯域選択システム350は、アンテナ(図示されず)に結合しているアンテナポート352を有する。アンテナは、利用可能な通信帯域の予期される周波数において信号を受信するために構成される。たとえば、アンテナはデュアル帯域アンテナであり得て、第1の帯域信号および第2の帯域信号を受信する性能を有する。アンテナポート352は広帯域ダイプレクサ354に結合している。広帯域ダイプレクサによって、アンテナポートからの2つの通信パスが可能となる。第1のパスは広帯域ダイプレクサ354を結合デュプレクサ361に結合する。第1のパスは、第1の通信信号および補助的信号を含み得る広帯域信号を搬送する。結合デュプレクサは、第1の帯域受信パス367への広帯域信号と第1の帯域伝送パス369とを分離する。第1の帯域受信パス367と第1の帯域伝送パス369はそれから、第1の帯域バンドで受信して、伝送するために他のトランシーバ回路に結合する。もちろん、第1の帯域バンドにおける通信は、適合性のある第1の帯域基地局および通信システムの存在を必要とする。結合デュプレクサはまた補助的出力372を提供する。アンテナが十分な強度の補助的信号を検知する場合、補助的出力372は補助的通信信号から受信した補助的情報を含む。補助的出力372は、増幅された補助的情報信号を生成するために、補助的低ノイズ増幅器に結合し得る。補助的信号はまた、他の処理または制御回路に用いられ得る。
広帯域ダイプレクサ354からの第2のパスは第2の帯域デュプレクサ356に受け取られる。第2の帯域デュプレクサは、第2の帯域受信パス363および第2の帯域伝送パス365を提供する。第2の帯域受信パス363および第2の帯域伝送パス365は、第2の帯域通信を受信および伝送するためにさらなるトランシーバ回路に結合する。もちろん、第2の帯域における通信は、適合性のある第2の帯域基地局と通信システムの存在を必要とする。
有利なことに、帯域選択システム350は効率的にまたコンパクトに実行され得る。帯域選択システム350はまた低い挿入損失を示し、優れたノイズ特性を有する。たとえば、広帯域ダイプレクサ354、結合デュプレクサ362、携帯電話デュプレクサ356はすべて受動素子であるから、これらの装置は任意の通信装置に何ら著しいさらなるノイズを加えない。したがって、帯域選択システム350は、大変有利な実行特性と、標準的な装置構成と比べて低いコストとを有するワイヤレス機器を構成するのに有益である。
図10を説明すると、結合デュプレクサ400が示される。結合デュプレクサ400は結合デュプレクサ402を含む。結合デュプレクサ402は図4に記載される結合デュプレクサ120に類似であり、それゆえ、ここでは詳細について記載されない。結合デュプレクサ402は、3つの通信パスを提供する接続ポート409を含む。第1の通信パスは位相シフトネットワーク404および受信フィルタ411を有し、受信回路418に結合する。第2の通信パスは位相シフトネットワーク406および補助的フィルタ413を有し、補助的検知回路420に接続する。第3の通信パスは、伝送回路422に接続する伝送フィルタ415を含む。代替に、位相シフトネットワークはTXパスに挿入され得ることが認められる。すでに記載されたように、結合デュプレクサが用いられ得て、GPS信号を受信し、PCS通信帯域に受信および伝送ポートを提供する。他の補助的信号および他の通信帯域が用いられ得ることが認められる。たとえば、補助的検知が用いられ得て、別の通信システムの存在を検知する。そのようなシステムは、たとえば、bluetooth通信システムまたはIEEE 802.11システムまたはIEEE 802.15.4通信システムであり得る。フィルタ413は、これらの代替の通信システムの存在を示す特定の信号をパスするために調整される。
結合デュプレクサ402の一実施例において、伝送フィルタ415および受信フィルタ411は調整可能な周波数特性を有する。そのような周波数鋭敏(agile)フィルタは、2001年8月8日出願の「Low Loss Tunable Ferro−Electric Device and Method of Characterization」と称する米国特許出願第09/927,732号に開示される技術および構成を用いて実行され得る。この出願は、強誘電体膜を用いて、フィルタの周波数応答を変える構成および方法を教示する。フィルタ411および415の周波数特性を調整するために、より従来的な手段が用いられ得ることもまた認められる。一度、補助的検知回路が補助的信号を検知すると、制御プロセス424は、制御ライン429および制御ライン433を介して制御信号を送り得て、フィルタ411および415の周波数特性をそれぞれ調整する。たとえば、補助的検知420が約2400MHzで動作する802.15.4信号を検知する場合、制御プロセスはフィルタに制御信号を送り得て、受信および伝送フィルタの周波数応答を変え、802.15.4標準仕様の周波数で動作する。別の実施例において、受信および伝送フィルタは、携帯電話通信帯域において受信および伝送するために構成され得る。補助的検知420は、約900MHzで動作し得ている802.11信号の存在を検知し得る。制御プロセス424はそれから、802.11信号を伝送および受信するために新しい周波数応答を有するためにフィルタを調整し得る。制御プロセス424は、制御ライン431および435を介して位相シフトネットワークの周波数応答を制御し得ることもまた認められる。
図11を説明すると、帯域選択450のための方法が示される。方法450は通信帯域452を提供する。通信帯域は、たとえば、PCSまたは他の通信帯域であり得る。方法450はまた補助的帯域454を提供する。補助的帯域はたとえば、約1575MHzで動作しているGPS帯域であり得る。信号はブロック456で受信され、このブロックは通信帯域信号または補助的信号を含み得る。受信信号は結合デュプレクサ461にパスされ、受信信号は3つの通信パスに分けられる。第1の通信パスは通信帯域のために受信信号463を含む一方、別の通信パスは通信帯域のために任意の伝送信号467を搬送する。第3の通信パスは補助的信号465を含む。
補助的信号465は検知モジュール469にパスされ得て、補助的信号においてさらなる処理がなされ得る。受信パス463および伝送パス467はさらなるトランシーバ機能478に接続し、通信システムに通信を提供する。方法450の一局面において、制御モジュール471は変化モジュール474に命令をパスし得て、ブロック452において通信帯域を調整する。このように、受信した特定の補助的信号に応答して、方法450は、どの通信帯域が受信パス463および伝送パス467に用いられるかを調整し得る。たとえば、検知モジュール469が、802.11信号が存在していると検知する場合、制御モジュールは変化通信モジュール474に命令し得て、通信帯域を802.11帯域に変化する。このように、受信パス463および伝送パス467は、802.11帯域で動作するように修正され得る。異なる帯域が代用され得ることが認められるであろう。
別の実施例において、制御モジュール471は変化補助的帯域モジュール476に命令し得て、補助的帯域454を変化する。たとえば、方法450が802.11信号を検索していて、補助的検知モジュール469がそれを発見しない場合、制御モジュール471は変化補助的帯域476に命令し得て、bluetooth信号などの別の補助的信号を探す。したがって、454の補助的帯域はbluetooth帯域に変化され、補助的パス465はbluetooth信号を探し、検知するように構成される。多くの他の補助的信号が代用され得ることが認められるであろう。
本発明の特定の好ましい、そして代替の実施形態が開示されてきたが、上記技術の多くのさまざまな修正および拡張が、本発明の教示を用いて実行され得る。そのような修正および拡張のすべてが添付の請求項の真の精神および範囲内に含まれるように意図される。