JP3098624B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP3098624B2
JP3098624B2 JP04228783A JP22878392A JP3098624B2 JP 3098624 B2 JP3098624 B2 JP 3098624B2 JP 04228783 A JP04228783 A JP 04228783A JP 22878392 A JP22878392 A JP 22878392A JP 3098624 B2 JP3098624 B2 JP 3098624B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子とプリン
ト基板とが、液晶駆動用のICチップを搭載したTCP
(テープ キャリア パッケージ(Tape Carrier packag
e))により電気的に接続されている液晶表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子のツイステッドネマ
チックタイプと言われるものは、2枚の電極基板間に正
の誘電異方性を有するネマチック液晶による90°ねじ
れたらせん構造を有し、かつ両電極基板の外側には一対
の偏光板をその偏光軸(あるいは吸収軸)が、電極基板
に隣接する液晶分子の軸に対し直交あるいは平行になる
ように配置するものであった(特公昭51−13666
号公報)。
【0003】このようなねじれ角90°の液晶表示素子
では、液晶層に印加される電圧対液晶層の透過率の変化
の急峻性γ、視角特性の点で問題があり、時分割数(走
査電極の数に相当)は64が実用的限界であった。しか
し、近年の液晶表示素子に対する画質改善と表示情報量
増大要求に対処するため、一対の偏光板間に挟持された
液晶分子のねじれ角αを180°より大にし、この液晶
層への印加電圧による液晶層の複屈折効果の変化を検出
する構成とすることにより時分割駆動特性を改善して時
分割数を増大することがティー・ジェイ・シェフェー
ル、ジェイ・ネイリングによるアプライド フィジクス
レター 45、No.10、1021、1984「ア ニュー ハイリー
マルティプレクサ」(Applied Physics Letter、T.J.
Scheffer、J.Nehring:“A new、highly multiplexabl
e liquid crystal display”)に論じられ、スーパーツ
イステッド複屈折効果型(SBE)液晶表示装置が提案
されている。
【0004】従来の単純マトリクス方式の液晶表示装置
は、透明導電膜からなるコモン電極またはセグメント電
極と配向膜等を積層した面がそれぞれ対向するように所
定の間隔を隔ててコモン電極基板とセグメント電極基板
とを重ね合わせ、該両基板間の縁周囲に設けたシール材
により、両基板を貼り合わせるとともに両基板間に液晶
を封止し、さらに両基板の外側に偏光板を貼り付けてな
る液晶表示素子と、該液晶表示素子の3辺の外側にそれ
ぞれ配置され、該液晶表示素子の駆動回路を有する3枚
のプリント基板と、上記液晶表示素子の下に配置され、
該液晶表示素子に光を供給するバックライトと、これら
の各部材を収納し、液晶表示窓があけられた金属製フレ
ーム等を含んで構成されている。例えば、セグメント電
極基板面上に形成されたセグメント電極の端子は、液晶
表示素子の対向する2辺の縁周囲に交互に引き出され、
コモン電極基板面上に形成されたコモン電極の端子は、
液晶表示素子の残りの1辺の縁周囲に引き出されてい
る。コモン電極の端子もセグメント電極の端子もそれぞ
れ両基板の対向する面側に形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記液晶表示素子と、
その3辺の外側にそれぞれ配置されたコモン電極側とセ
グメント電極側の3枚の各プリント基板とは、液晶駆動
用のICチップを搭載した複数個のTCPにより電気的
に接続されている。従来は、3枚のプリント基板はすべ
て、ICチップが邪魔となるので、TCPのICチップ
が搭載されていない面に接続されている。したがって、
3枚のプリント基板は同一平面に配置されていない。そ
の結果、液晶表示装置の組立後、TCPと液晶表示素子
の異方性導電膜等を使用した圧着による端子接続部、お
よびTCPとプリント基板との半田付けによる端子接続
部に、振動、衝撃、温度差、湿度差により応力が加わ
り、端子接続部が剥離して接続不良が発生するという問
題があった。
【0006】なお、例えば特開平3−59535号公報
には、液晶表示素子の駆動用のTCPやICチップが電
気的に接続された液晶表示素子および複数枚に分割され
たプリント基板が、ガラスや樹脂からなる基板上に接着
剤を用いて固定した液晶表示装置が記載されている。こ
の液晶表示装置では、複数枚に分割されたプリント基板
を間隔を置いて配置することにより、ICチップとプリ
ント基板とが干渉するのを避けていたので、プリント基
板の配線面積を確保するために、液晶表示装置が大型に
なってしまうことがあった。また、実願平2−1298
6号(実開平3−105880号)のマイクロフィルム
には、モジュールの薄型化を目的とし、フレキシブル回
路基板を液晶セルの背面に設けられたホルダ21(中間
モールド)の中央部まで折り曲げ、ホルダの背面にはフ
レキシブルテープとICチップ用の収納部(凹部)を設
けるという発明が開示されているが、ホルダを必須構成
とする以上、液晶表示装置の正面から見た面積は小さく
なり小型化可能となるが、厚み方向の低減という課題に
は逆行することになる。また、特開昭63−28277
8号には、その従来技術として液晶セルと平面的に接続
されるTCPのICチップの直下に裏キャビネットでは
あるが凹部を設け、その凹部にフィルムキャリアタイプ
LSIである液晶ドライバが位置するように配置する技
術が開示されているが、液晶表示装置の正面から見た大
きさについては本願発明にとって従来の技術にとどま
り、その正面から見た大きさの小型化についてはTCP
を折り曲げることによって達成しようという一つの解決
手段が開示されており、やはり、上記実願平2−129
86号(実開平3−105880号)のマイクロフィル
ムに記載の発明と同様に、正面から見た大きさおよび厚
み方向の小型化を解決するには至っていない。
【0007】本発明の目的は、TCPと液晶表示素子お
よびプリント基板との端子接続部に応力が加わり、接続
不良が生じるのを抑制することができ、かつ、液晶表示
装置の外形を大きくしない液晶表示装置を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、液晶表示素子とその周辺の外側に設け
たプリント基板とが、上記液晶表示素子と同一平面に配
置されたTCPで、かつ、液晶駆動用のICチップを搭
載したTCPにより接続され、上記プリント基板は上記
TCPと電気的に接続される出力端子および配線を有
し、上記プリント基板と上記TCPとの重なり領域であ
って、上記TCPに搭載された上記ICチップが配置さ
れる位置の上記プリント基板に少なくとも1個の上記液
晶表示素子側の辺に開口を有する凹部を設けた液晶表示
装置を提供する。
【0009】また、本発明は、コモン電極を形成したコ
モン電極基板と、セグメント電極を形成したセグメント
電極基板とを含んでなる液晶表示素子を具備し、上記液
晶表示素子と同一平面に配置されたTCPで、かつ、液
晶駆動用のICチップを搭載したTCPにより接続さ
れ、上記液晶表示素子の3辺の外側に少なくとも1枚か
らなるプリント基板が配置され、上記プリント基板は上
記TCPと電気的に接続される出力端子および配線を有
し、上記液晶表示素子の対向する2辺、または残りの1
辺のいずれか一方の外側に位置する上記プリント基板を
上記TCPの上記ICチップが搭載された面に接続し、
上記プリント基板と上記TCPとの重なり領域であっ
て、上記TCPに搭載された上記ICチップが配置され
る位置の上記プリント基板に少なくとも1個の上記液晶
表示素子側の辺に開口を有する凹部を設けた液晶表示装
置を提供する。
【0010】
【作用】本発明では、液晶表示素子の辺の外側に位置す
るプリント基板の一部をTCPのICチップが搭載され
ていない面と接続し、かつ、このプリント基板のICチ
ップと干渉する部分に凹部を設けたことにより、プリン
ト基板をすべて同一平面に配置することができる。した
がって、TCPと液晶表示素子およびプリント基板との
端子接続部に応力が加わり、接続不良が生じるのを抑制
することができる。また、プリント基板のICチップと
干渉する部分だけを除去しているので、従来、プリント
基板をすべてTCPのICチップが搭載されていない面
に接続していた場合と同等のプリント基板の配線面積を
確保することができるので、液晶表示装置の外形を大き
くすることがなく、液晶表示装置の小型化に有利であ
る。
【0011】
【実施例】図1(a)は、本発明の一実施例の液晶表示
装置の液晶表示素子およびプリント基板の平面図、図1
(b)は、図1(a)の裏面図である。
【0012】62は液晶表示素子、11はコモン電極基
板、12はセグメント電極基板、65はTCP、34は
TCP65に搭載された液晶駆動用のICチップ、35
aはコモン電極側のプリント基板、35b、35cはセ
グメント電極側のプリント基板66はプリント基板間を
接続するジョイナー、図1(b)において、1はプリン
ト基板35aに設けた凹部(切れ込み)である。
【0013】すなわち、コモン電極(上電極)を形成し
たコモン電極基板(上電極基板)11とセグメント電極
(下電極)を形成したセグメント電極基板(下電極基
板)12とから構成される液晶表示素子62(図4参
照)の3辺の外側に3枚のプリント基板35a、35
b、35cが配置されている。液晶表示素子62の対向
する2辺の外側にはセグメント電極側のプリント基板3
5b、35cが配置され、残りの1辺の外側にはコモン
電極側のプリント基板35aが配置されている。液晶表
示素子62とプリント基板35a、35b、35cとが
液晶駆動用のICチップ34を搭載したTCP65によ
り電気的に接続されている。コモン電極側のプリント基
板35aのICチップ34と干渉する部分に複数個の凹
部1が設けられ、プリント基板35aのICチップ34
との干渉を防止している。凹部1を形成したプリント基
板35aは、TCP65のICチップ34が搭載された
面に接続され、凹部1を形成しないプリント基板35
b、35cはTCP65のICチップ34が搭載されて
いない面に接続されている。したがって、図示は省略し
たが、プリント基板35a、35b、35cのそれぞれ
TCP65に接続される面には、TCP65の入力端子
(入力側アウタリード)と接続される出力端子およびそ
の配線が形成されている。
【0014】以上のような構成から、コモン電極側のプ
リント基板35aと、セグメント電極側のプリント基板
35b、35cとは液晶表示素子62のコモン電極基板
11と同一平面に位置する。その結果、TCP65の液
晶表示素子62およびプリント基板35a、35b、3
5cとの端子接続部に応力が加わり、端子接続部が剥離
して接続不良が発生する問題を抑制することができ、振
動、衝撃、温度差、湿度差に対する製品の信頼性を向上
することができる。また、凹部1のように、プリント基
板35aのICチップ34と干渉する部分だけを除去し
ているので、従来、プリント基板をすべてTCPのIC
チップが搭載されていない面に接続していた場合と同等
のプリント基板の配線面積を確保することができるの
で、液晶表示装置の外形を大きくすることがなく、液晶
表示装置の小型化に有利である。
【0015】図2はプリント基板を1枚続きとした場合
の図1(b)と同じ側を示す斜視図である。図1に示し
た実施例では、プリント基板を3枚に分割し、各プリン
ト基板35a、35b、35cをジョイナー66で電気
的に接続した例を示したが、本発明では、3枚のプリン
ト基板を同一平面に位置させることができるので、1枚
続きのプリント基板35を使用することが可能であり、
プリント基板の製造が容易で、接続信頼性を向上でき
る。
【0016】なお、図1(あるいは図2)に示した上記
実施例では、コモン電極側のプリント基板35aにIC
チップとの干渉防止用の凹部1を設けたが、プリント基
板35aには凹部1を設けず、セグメント電極側のプリ
ント基板35b、35cに凹部1を設けてもよい。この
場合も、プリント基板35a、35b、35cを同一平
面に配置することができるので、上記実施例と同様の効
果を得ることができる。また、上記実施例ではプリント
基板35aに凹部1を複数個設けたが、同一の幅の凹部
を1個設けてもよい。また、凹部1の形状も図1、図2
に示したような矩形に限らない。
【0017】図3は本発明になる液晶表示素子62を上
側から見た場合の電極基板上における液晶分子の配列方
向(例えばラビング方向)、液晶分子のねじれ方向、偏
光板の偏光軸(あるいは吸収軸)方向、および複屈折効
果をもたらす部材の光学軸方向を示し、図4は本発明に
なる液晶表示素子62の要部斜視図を示す。
【0018】液晶分子のねじれ方向10とねじれ角θ
は、上電極基板11上の配向膜21のラビング方向6と
下電極基板12上の配向膜22のラビング方向7および
上電極基板11と下電極基板12の間に挟持される正の
誘電異方性を有するネマチック液晶層50に添加される
旋光性物質の種類と量によって規定される。
【0019】図4において、液晶層50を挟持する2枚
の上、下電極基板11、12間で液晶分子がねじれたら
せん状構造をなすように配向させるには、例えばガラス
からなる透明な上、下電極基板11、12上の、液晶に
接する、例えばポリイミドからなる有機高分子樹脂から
なる配向膜21、22の表面を、例えば布などで一方向
にこする方法、いわゆるラビング法が採られている。こ
のときのこする方向、すなわちラビング方向、上電極基
板11においてはラビング方向6、下電極基板12にお
いてはラビング方向7が液晶分子の配列方向となる。こ
のようにして配向処理された2枚の上、下電極基板1
1、12をそれぞれのラビング方向6、7が互いにほぼ
180度から360度で交叉するように間隙d1をもた
せて対向させ、2枚の電極基板11、12を液晶を注入
するための切欠け部51を備えた枠状のシール剤52に
より接着し、その間隙に正の誘電異方性をもち、旋光性
物質を所定量添加されたネマチック液晶を封入すると、
液晶分子はその電極基板間で図中のねじれ角θのらせん
状構造の分子配列をする。なお31、32はそれぞれ例
えば酸化インジウム又はITO(Indium Tin Oxide)か
らなる透明な上、下電極である。このようにして構成さ
れた液晶セル60の上電極基板11の上側に複屈折効果
をもたらす部材(以下複屈折部材と称す。藤村他「ST
N−LCD用位相差フィルム」、雑誌電子材料1991
年2月号第37−41頁)40が配設されており、さら
にこの部材40および液晶セル60を挟んで上、下偏光
板15、16が設けられる。
【0020】液晶50における液晶分子のねじれ角θは
180度から360度の範囲の値を採り得るが好ましく
は200度から300度であるが、透過率−印加電圧カ
ーブのしきい値近傍の点灯状態が光を散乱する配向とな
る現象を避け、優れた時分割特性を維持するという実用
的な観点からすれば、230度から270度の範囲がよ
り好ましい。この条件は基本的には電圧に対する液晶分
子の応答をより敏感にし、優れた時分割特性を実現する
ように作用する。また優れた表示品質を得るためには液
晶層50の屈折率異方性Δn1とその厚さd1の積Δn1
・d1は好ましくは0.5μmから1.0μm、より好ま
しくは0.6μmから0.9μmの範囲に設定することが
望ましい。
【0021】複屈折部材40は液晶セル60を透過する
光の偏光状態を変調するように作用し、液晶セル60単
体では着色した表示しかできなかったものを白黒の表示
に変換するものである。このためには複屈折部材40の
屈折率異方性Δn2とその厚さd2の積Δn2・d2が極め
て重要で、好ましくは0.4μmから0.8μm、より好
ましくは0.5μmから0.7μmの範囲に設定する。
【0022】さらに、本発明になる液晶表示素子62は
複屈折による楕円偏光を利用しているので偏光板15、
16の軸と、複屈折部材40として一軸性の透明複屈折
板を用いる場合はその光学軸と、液晶セル60の電極基
板11、12の液晶配列方向6、7との関係が極めて重
要である。
【0023】図3で上記の関係の作用効果について説明
する。図3は、図4の構成の液晶表示装置を上から見た
場合の偏光板の軸、一軸性の透明複屈折部材の光学軸、
液晶セルの電極基板の液晶分子軸配列方向の関係を示し
たものである。
【0024】図4において、5は一軸性の透明複屈折部
材40の光学軸、6は複屈折部材40とこれに隣接する
上電極基板11の液晶分子軸配列方向、7は下電極基板
12の液晶配列方向、8は上偏光板15の吸収軸あるい
は偏光軸、9は下偏光板16の吸収軸あるいは偏光軸で
あり、角度αは上電極基板11の液晶配列方向6と一軸
性の複屈折部材40の光学軸5とのなす角度、角度βは
上偏光板15の吸収軸あるいは偏光軸8と一軸性の透明
複屈折部材40の光学軸5とのなす角度、角度γは下偏
光板16の吸収軸あるいは偏光軸9と下電極基板12の
液晶配列方向7とのなす角度である。
【0025】ここで本明細書における角α、β、γの測
り方を定義する。図8において、複屈折部材40の光学
軸5と上電極基板の液晶配列方向6との交角を例にとっ
て説明する。光学軸5と液晶配列方向6との交角は図8
に示す如く、φ1およびφ2で表わすことが出来るが、本
明細書においてはφ1、φ2のうち小さい方の角を採用す
る。すなわち、図8(a)においてはφ1<φ2であるか
ら、φ1を光学軸5と液晶配列方向6との交角αとし、
図8(b)においてはφ1>φ2だからφ2を光学軸5と
液晶配列方向6との交角αとする。勿論φ1=φ2の場合
はどちらを採っても良い。
【0026】本発明になる液晶表示装置においては角度
α、β、γが極めて重要である。
【0027】角度αは好ましくは50度から90度、よ
り好ましくは70度から90度に、角度βは好ましくは
20度から70度、より好ましくは30度から60度
に、角度γは好ましくは0度から70度、より好ましく
は0度から50度に、それぞれ設定することが望まし
い。
【0028】なお、液晶セル60の液晶層50のねじれ
角θが180度から360度の範囲内にあれば、ねじれ
方向10が時計回り方向、反時計回り方向のいずれであ
っても、上記角α、β、γは上記範囲内にあればよい。
【0029】なお、図4においては、複屈折部材40が
上偏光板15と上電極基板11の間に配設されている
が、この位置の代りに、下電極基板12と下偏光板16
との間に配設しても良い。この場合は図4の構成全体を
倒立させた場合に相当する。
【0030】実施例1 基本構造は図3および図4に示したものと同様である。
図5において、液晶分子のねじれ角θは240度であ
り、一軸性の透明複屈折部材40としては平行配向(ホ
モジェニアス配向)した、すなわちねじれ角が0度の液
晶セルを使用した。ここで液晶層の厚みd(μm)と旋光
性物質が添加された液晶材料のらせんピッチp(μm)の
比d/pは0.67とした。配向膜21、22は、ポリ
イミド樹脂膜で形成しこれをラビング処理したものを使
用した。このラビング処理を施した配向膜がこれに接す
る液晶分子を基板面に対して傾斜配向させるチルト角(p
retilt角)は4度である。上記一軸性透明複屈折部材4
0のΔn2・d2は約0.6μmである。一方液晶分子が
240度ねじれた構造の液晶層50のΔn1・d1は約
0.8μmである。
【0031】このとき、角度αを約90度、角度βを約
30度、角度γを約30度とすることにより、上、下電
極31、32を介して液晶層50に印加される電圧がし
きい値以下のときには光不透過すなわち黒、電圧がある
しきい値以上になると光透過すなわち白の白黒表示が実
現できた。また、下偏光板16の軸を上記位置より50
度から90度回転した場合は、液晶層50への印加電圧
がしきい値以下のときには白、電圧がしきい値以上にな
ると黒の、前記と逆の白黒表示が実現できた。
【0032】図6は図5の構成で角度αを変化させたと
きの1/200デューティで時分割駆動時のコントラス
ト変化を示したものである。角度αが90度近傍では極
めて高いコントラストを示していたものが、この角度か
らずれるにつれて低下する。しかも角度αが小さくなる
と点灯部、非点灯部ともに青味がかり、角度αが大きく
なると非点灯部は紫、点灯部は黄色になり、いずれにし
ても白黒表示は不可能となる。角度βおよび角度γにつ
いてもほぼ同様の結果となるが、角度γの場合は前記し
たように50度から90度近く回転すると逆転の白黒表
示となる。
【0033】実施例2 基本構造は実施例1と同様である。ただし、液晶層50
の液晶分子のねじれ角は260度、Δn1・d1は約0.
65μm〜0.75μmである点が異なる。一軸性透明
複屈折部材40として使用している平行配向液晶層のΔ
2・d2は実施例1と同じ約0.58μmである。液晶
層の厚みd1(μm)と旋光性物質が添加されたネマチッ
ク液晶材料のらせんピッチp(μm)との比はd/p=
0.72とした。
【0034】このとき、角度αを約100度、角度βを
約35度、角度γを約15度とすることにより、実施例
1と同様の白黒表示が実現できた。また下偏光板の軸の
位置を上記値より50度から90度回転することにより
逆転の白黒表示が可能である点もほぼ実施例1同様であ
る。角度α、β、γのずれに対する傾向も実施例1とほ
ぼ同様である。
【0035】上記いずれの実施例においても一軸性透明
複屈折部材40として、液晶分子のねじれのない平行配
向液晶セルを用いたが、むしろ20度から60度程度液
晶分子がねじれた液晶層を用いた方が角度による色変化
が少ない。このねじれた液晶層は、前述の液晶層50同
様、配向処理が施された一対の透明基板の配向処理方向
を所定のねじれ角に交差するようにした基板間に液晶を
挟持することによって形成される。この場合、液晶分子
のねじれ構造を挟む2つの配向処理方向の挟角の2等分
角の方向を複屈折部材の光軸として取扱えばよい。ま
た、複屈折部材40として、透明な高分子フィルムを用
いても良い(この際一軸延伸のものが好ましい)。この
場合高分子フィルムとしてはPET(ポリエチレン テ
レフタレート)、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネ
イトが有効である。
【0036】さらに以上の実施例においては複屈折部材
は単一であったが、図4において複屈折部材40に加え
て、下電極基板12と下偏光板16との間にもう一枚の
複屈折部材を挿入することもできる。この場合はこれら
複屈折部材のΔn2・d2を再調整すればよい。
【0037】実施例3 基本構造は実施例1と同様である。ただし図9に示す如
く、上電極基板11上に赤、緑、青のカラーフィルタ3
3R、33G、33B、各フィルター同志の間に光遮光
膜33Dを設けることにより、多色表示が可能になる。
【0038】なお、図9においては、各フィルタ33
R、33G、33B、光遮光膜33Dの上に、これらの
凹凸の影響を軽減するため絶縁物からなる平滑層23が
形成された上に上電極31、配向膜21が形成されてい
る。
【0039】実施例4 実施例3による液晶表示素子62と、この液晶表示素子
62を駆動するための駆動回路と、光源をコンパクトに
一体にまとめた液晶表示モジュール63である。
【0040】図10はその分解斜視図を示すものであ
る。液晶表示素子62を駆動するIC34は、中央に液
晶表示素子62を嵌め込む為の窓部を備えた枠状体のプ
リント基板35に搭載される。液晶表示素子62を嵌め
込んだプリント基板35はプラスチックモールドで形成
された枠状体42の窓部に嵌め込まれ、これに金属製フ
レーム41を重ね、その爪43を枠状体42に形成され
ている切込み44内に折り曲げることによりフレーム4
1を枠状体42に固定する。
【0041】液晶表示素子62の上下端に配置される冷
陰極蛍光灯36、この冷陰極蛍光灯36からの光を液晶
表示セル60に均一に照射させるためのアクリル板から
なる導光体37、金属板に白色塗料を塗布して形成され
た反射板38、導光体37からの光を拡散する乳白色の
拡散板39が図10の順序で、枠状体42の裏側からそ
の窓部に嵌め込まれる。冷陰極蛍光灯36を点灯する為
のインバータ電源回路(図示せず)は枠状体42の右側
裏部に設けられた凹部(図示せず。反射板38の凹所4
5に対向する位置にある。)に収納される。拡散板3
9、導光体37、冷陰極蛍光灯36および反射板38
は、反射板38に設けられている舌片46を枠状体42
に設けられている小口47内に折り曲げることにより固
定される。プリント基板35のコモン電極側はTCP6
5の駆動用IC34が搭載された面に接続され、セグメ
ント電極側はTCP65の駆動用IC34が搭載されて
いないた面に接続されている。プリント基板35のコモ
ン電極側にはここでは見えないが、TCP65の駆動用
IC34との干渉防止用の凹部が設けられている(図2
参照)。
【0042】実施例5 実施例4による液晶表示モジュール63をラップトップ
パソコンの表示部に使用したものである。
【0043】図11にそのブロックダイアグラムを、図
12にラップトップパソコン64に実装した図を示す。
マイクロプロセッサ49で計算した結果を、コントロー
ル用LSI48を介して駆動用IC34で液晶表示モジ
ュール63を駆動するものである。
【0044】以上説明したように、上記実施例によれ
ば、優れた時分割駆動特性を有し、さらに白黒および多
色表示を可能にする電界効果型液晶表示装置を実現する
ことができる。
【0045】以上本発明を実施例に基づいて具体的に説
明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能で
あることは勿論である。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液晶表示素子の外側に配置されるプリント基板を同一平
面に位置させることができるので、TCPと液晶表示素
子およびプリント基板との端子接続部の信頼性を向上す
ることができ、また、小型化に有利な液晶表示装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例の液晶表示装置の液
晶表示素子およびプリント基板の平面図、(b)は
(a)の裏面図である。
【図2】プリント基板を1枚続きとした場合の液晶表示
素子およびプリント基板の斜視図である。
【図3】本発明になる液晶表示素子の第一の実施例にお
ける液晶分子の配列方向、液晶分子のねじれ方向、偏光
板の軸の方向および複屈折部材の光学軸の関係を示した
説明図である。
【図4】本発明になる液晶表示素子の第一の実施例の要
部分解斜視図である。
【図5】本発明になる液晶表示素子の第2の実施例にお
ける液晶分子のねじれ方向、偏向板の軸の方向および複
屈折部材の光学軸の関係を示した説明図である。
【図6】本発明になる液晶表示素子の第一の実施例につ
いてのコントラスト、透過光色−交角α特性を示すグラ
フである。
【図7】本発明になる液晶表示素子の第3の実施例にお
ける液晶分子の配列方向、液晶分子のねじれ方向、偏向
板の軸の方向および複屈折部材の光学軸の関係を示した
説明図である。
【図8】交角α、β、γの測り方を説明するための図で
ある。
【図9】本発明になる液晶表示素子の一実施例の上電極
基板部の一部切欠斜視図である。
【図10】本発明になる液晶表示モジュールの分解斜視
図である。
【図11】本発明になるラップトップパソコンの一実施
例のブロックダイアグラムである。
【図12】本発明になるラップトップパソコンの一実施
例の斜視図である。
【符号の説明】
1…凹部、11…コモン電極基板、12…セグメント電
極基板、34…液晶駆動用のICチップ、35…プリン
ト基板、35a…コモン電極側のプリント基板、35
b、35c…セグメント電極側のプリント基板、62…
液晶表示素子、65…TCP、66…プリント基板間ジ
ョイナー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松戸 利充 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所 茂原工場内 (72)発明者 井浦 孝之 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所 茂原工場内 (72)発明者 高橋 洋之 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日 立製作所 茂原工場内 (56)参考文献 特開 平4−26824(JP,A) 特開 平4−281430(JP,A) 特開 平4−281431(JP,A) 特開 昭62−227195(JP,A) 実開 昭62−137474(JP,U) 実開 昭62−137471(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1345

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶表示素子とその周辺の外側に設けたプ
    リント基板とが、上記液晶表示素子と同一平面に配置さ
    れたTCPで、かつ、液晶駆動用のICチップを搭載し
    たTCPにより接続され、上記プリント基板は上記TC
    Pと電気的に接続される出力端子および配線を有し、
    記プリント基板と上記TCPとの重なり領域であって、
    上記TCPに搭載された上記ICチップが配置される位
    置の上記プリント基板少なくとも1個の上記液晶表示
    素子側の辺に開口を有する凹部を設けたことを特徴とす
    る液晶表示装置。
  2. 【請求項2】コモン電極を形成したコモン電極基板と、
    セグメント電極を形成したセグメント電極基板とを含ん
    でなる液晶表示素子を具備し、上記液晶表示素子と同一
    平面に配置されたTCPで、かつ、液晶駆動用のICチ
    ップを搭載したTCPにより接続され、上記液晶表示素
    子の3辺の外側に少なくとも1枚からなるプリント基板
    が配置され、上記プリント基板は上記TCPと電気的に
    接続される出力端子および配線を有し、上記液晶表示素
    子の対向する2辺、または残りの1辺のいずれか一方の
    外側に位置する上記プリント基板を上記TCPの上記I
    Cチップが搭載された面に接続し、上記プリント基板と
    上記TCPとの重なり領域であって、上記TCPに搭載
    された上記ICチップが配置される位置の上記プリント
    基板少なくとも1個の上記液晶表示素子側の辺に開口
    を有する凹部を設けたことを特徴とする液晶表示装置。
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