JP3097892U - 積荷用パレット - Google Patents

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吉田 孝雄
根垣 勲
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株式会社上井製作所
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Abstract

【課題】積荷用パレットの桟と、桟上にて積荷を支持する支持板との固定を、より確実行うことを可能とする。
【解決手段】本願考案に係る積荷用パレットは、少なくとも積荷の積載部が、横断面視におき、上下に伸びる縦板部21と、当該縦板部21と交差する方向伸びる横板部22とを有する、アングル材にて形成されたものであり、上記アングル材は、上記の縦板部21と横板部22との間に、斜板部23を備えたものである。縦板部21は、横板部22の上方に位置する。斜板部23は、横板部22の左右の一端から横板部22の内側に向けて上方へ斜めに伸び、縦板部21の下端と接続されたものである。
【選択図】     図4

Description

【0001】
【考案の属する技術分野】
本願考案は、積荷用パレットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、クレーンなどの建機や井戸用のポンプなどに用いられるエンジンを、貨物として、船積みや、貨物車、航空機により輸送する場合、一般に、積荷用のパレットに、積載して、輸送を行う。
【0003】
具体的には、図7〜図10に示すような、金属製の積荷用パレットが一般的である。図7はこのパレットの平面図であり、図8は図7のY−Y線断面図であり、図9はその正面図である。図10(A)はこのパレットの要部略断面図であり、図10(B)はその斜視図であり、図10(C)はその問題点を示す一部切欠要部略断面図である。各図において、Uは上方、Sは下方、Lは左方、Rは右方、Fは前方、Bは後方を、夫々示している。尚図9において、積載されるエンジンを二点鎖線で示している。また、図10(A)(C)において、図面に付すべきハッチングは、図面の煩雑を避けるため、省略してある。
【0004】
上記の各図に示す通り、このパレットは、平面視矩形の枠体aと、枠体の内側に渡された複数の金属製の桟b…bと、桟bに立設されて積荷を受ける金属製の支持板cとを備えたものである。図10(A)(B)へ示す通り、上記の桟bは、bの長手方向に対する横断面視におき、上下に伸びる縦板部b1と、当該縦板部b1と交差する方向(水平方向)に伸びる横板部b2とからなるL型のアングル材である。
【0005】
図10(A)(B)に示す通り、桟bの横板部b2の上面b20には、支持板cの下端c1が付き合わされて溶接される。桟bの縦板部b1の側面b10には、支持板cの側面c2が沿わされ溶接される。
このように、桟bに固定取り付けられる支持板cは、その上端に載置部c3が形成され、図9へ示すように、この載置部c3へ、エンジンMが載置される。
尚、図8及び図9に示すように、輸送中ずれないよう、載置されたエンジンMには、留板dがねじ止めされている。
即ち、留板dの一端がリベットにて支持板cに軸止され、留板dの他の一端が、エンジンに既存のネジ穴を利用してネジ止めされる(図7及び図10において留板dは、省略してある)。
【0006】
パレットは、重量のあるエンジンの荷重を受けることにより、長期の使用にて、支持板と桟の溶接部の剥離や、座屈という問題を発生する。
特に支持板cが溶接される桟bは、上記の通り、縦板部b1と横板部b2とが一体となって直角のコーナーを呈するL型アングルであるが、金属板の加工上、現実には、縦板部b1と横板部b2とが正確に直線の交差によるコーナーを構成するのは困難であり、図10(C)へ示す通り、低板部b1と横板部bとが交差する部位kは、角にはならず、丸みを帯びたものとなることが避けられない。
このため、この図10(C)へ示す通り、支持板cを、正確に、横板部b2の上面b20に当て、縦板部b1の側面b10に沿わせることはできず、溶接後、パレットの使用によって、溶接が剥離してしまうという危惧があった。
このようなコーナー部の課題が上記の問題を助長している。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
そこで、本願考案は、積荷用パレットの上記の桟におけるコーナーの問題を回避すると共に、桟と支持板とに十分な支持強度を確保することを可能として、上記の課題の解決を図るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願第1の考案に係る積荷用パレットにあっては、少なくとも積荷の積載部が、横断面視におき、上下に伸びる縦板部21と、当該縦板部21と交差する方向伸びる横板部22とを有する複数のアングル材を、配列することによって形成されたものであり、次の構成を採る。
即ち、上記アングル材は、上記の縦板部21と横板部22との間に、斜板部23を備えたものである。縦板部21は、横板部22の上方に位置する。斜板部23は、横板部22の左右の一端から横板部22の内側に向けて上方へ斜めに伸び、縦板部21の下端と接続されたものである。
【0009】
本願第2の考案に係る積荷用パレットは、平面視矩形の枠体1と、枠体の内側へ水平に設けられた複数の金属製の桟2…2と、桟2…2に立設されて積荷を受ける金属製の支持板3…3とを備えたものであり、上記桟2…2の夫々は、支持板3の下端と対応するベース面と、ベース面の上方に位置し支持板3の側面と対応するガイド面とを備えたアングル材であり、次の構成を採る。
即ち、桟2のベース面とガイド面との間には後退面が介在し、後退面は、ガイド面に対し支持板3の反対側に後退して、支持板3の側面と当接しないものである。
【0010】
本願第3の考案に係る積荷用パレットでは、上記本願第2の考案に係る積荷用パレットにあって、上記の後退面は、ガイド面側からベース面側に向けて漸次後退の幅を大きくする傾斜面であることを特徴とする。
【0011】
本願第4の考案に係る積荷用パレットは、下方にオイルパンを備えるエンジンを、積荷として積載するのに適した積荷用パレットについて、次の構成を採るものである。
即ち、この積荷用パレットは、平面視矩形の枠体1と、少なくとも上記オイルパンの横幅よりも大きな間隔をあけて枠体1の内側に渡された少なくとも2本の金属製の桟2,2と、夫々の桟2,2に立設されて積荷を受ける金属製の支持板3,3とを備えたものである。桟2は、その長手方向に沿って、支持板3の下端が溶接されるベース面と、ベース面の上方に位置し支持板の側面が溶接されるガイド面とを備えたアングル材である。夫々隣接する桟2,2に設けられた少なくとも2枚の支持板3,3は、互いに対向する位置にあり、両支持板3,3の上端に、エンジンを載置することが可能な載置部が設けられ、両支持板3,3の間に、エンジンのオイルパンを配位させることが可能である。
桟2のベース面とガイド面との間には後退面が介在し、後退面は、ガイド面に対し支持板の反対側に後退して、支持板の側面と当接しないものである。上記の後退面は、ガイド面側からベース面側に向けて漸次後退の幅を大きくする傾斜面である。
【0012】
上記の手段を採る本願第1〜4の考案にあっては、積載物を直接受ける支持板3といった金属板を桟2へ溶接により立設する場合に、桟2について、溶接される支持板3の下端面と支持板3の側面とがなす角に対応する部位が、支持板3の当該角から後退し、接触しない。
このため、従来問題となった、桟2のコーナー部の丸みによって、支持板3が強固に桟へ固定できないという問題を回避した。即ち、適切な支持板3の下端と、ベース面(横板部上面)及びガイド面(縦板部側面)との当接を実現し、このような桟2と支持板3との適切な当接により、両者の溶接による固定をより確実なものとした。
特に、本願第3及び第4の考案にあっては、上記の後退面は、ガイド面側からベース面側に向けて漸次後退の幅を大きくする傾斜面であるため、支持板3の側面と、桟2のベース面と当該後退面とが、横断面視三角形状の、荷重に対して極めて安定した形態を採る。このため、パレットの長期の使用によっても、座屈などの変形が生じたり、溶接が剥離するなどの問題を抑制した。
【0013】
【考案の実施の形態】
以下、図面に基づき本願考案の実施の形態について説明する。
図1に本願考案に係る一実施の形態を示す積荷用パレットの平面図を示す。図2(A)に上記パレットの側面図を、同(B)にその正面図を示す。図3に、積荷を二点鎖線で表した、上記パレットの正面図を示す。図4(A)へ上記パレットの桟と支持板との接合状態を表した略断面図を、同(B)にその略斜視図を、同(C)にその要部拡大略断面図を示す。図4において、付すべきハッチングは、図面の煩雑を避けるため、省略している。
説明の便宜上、上記の各図において、Uは上方を、Sは下方を、Lは右方を、Rは左方を、Fは前方を、夫々示している。
【0014】
図1及び図2へ示す通り、この積荷用パレットは、平面視矩形の金属製の枠体1と、複数の金属製の桟2…2と、桟2…2に立設された金属製の支持板3…3とを備える。
以下、下方にオイルパンを備えるエンジンを積荷として積載するのに適した積荷用パレットに、本願考案を実施した場合を例に採り、更に詳しく説明する。
【0015】
矩形の枠体1の四隅には、下部に脚部5…5が設けられ、上部に側取付部6…6が設けられている。
側取付部6…6は、積荷を積載したパレットを複数積み上げる場合など、必要に応じて、パレットに側部を取り付けるための部位である。
【0016】
桟2…2は、枠体1の内側へ水平に渡され、溶接などの周知の固定手段にて、枠体1に固定されている。また、枠体1には、桟2…2と交差する方向に、副桟7,7が渡され、桟2…桟2を補強している。桟2…2は、支持板3…3、及び副桟7,7と共に、積荷の積載部を構成する。
桟2…2は、2本一組として、対をなし、当該対なす2本の桟2,2は、少なくとも上記オイルパンの幅よりも大きな間隔をあけて枠体1の内側に渡されている。
【0017】
図4(A)〜(C)へ示す通り、桟2…2の夫々は、その長手方向(図1及び図2(A)の前後方向F,B)に対する横断面視において、上下に伸びる縦板部21と、当該縦板部21と交差する(水平)方向伸びる横板部22と、縦板部21と横板部22との間に介在する斜板部2とを備えるアングル材である。
図4(A)へ示す通り、縦板部21は、横板部22の上方に位置する。斜板部23は、横板部22の左右のいずれか一端から横板部22の内側(アングルの内側)に向けて上方へ斜めに伸び、縦板部21の下端と接続されている。
尚、この実施の形態において、枠体1も桟3と同様のアングル材にて形成している。
【0018】
対なす2本の桟2,2には、その長手方向(図1及び図2(A)の前後方向F,B)について、同じ位置に、上記支持板2…2が、溶接により立設される。
支持板3は、側面視において、略矩形の板状体であり、上部に、エンジンMを載置することが可能な載置部30が設けられている。
図4(A)〜(C)へ示す通り、上記の桟2の上記横板部22の上面は、水平で平らなベース面22fを構成し、上記縦板部21の内側側面は、鉛直に沿った平らなガイド面21fを構成する。このベース面22fに、支持板3の下端31が溶接され、ガイド面21fに、支持板3の側面32が溶接される。
上記斜板部23の内側(支持板3側)側面は、上記のベース面22fとガイド面21fとの間にあって、後退面23fとなっている。即ち、この後退面23fは、カイド面21fに対し支持板3の反対側に後退して、支持板3の側面32と当接しない。上記の後退面23fは、ガイド面側21fからベース面22f側に向けて(即ち上方から下方に向けて)漸次後退の幅wを大きくする傾斜面である。この後退面23fと、ベース面側22fと、支持板3の側面32とが、三角形を呈する。
【0019】
対となる桟2,2に設けられた、上記2枚の支持板3,3は、互いに対向する位置にあり、その載置部30にエンジンMを載置することによって、2枚一組で1機のエンジンMを支持し、両支持板3,3の間に、エンジンMのオイルパンmを配位させることが可能である。
【0020】
図3へ示すように、載置されたエンジンMには、輸送中ずれないよう、留板8がボルト止めされている。図2及び図3の80は、当該ボルト止めのボルトを示している。具体的には、留板8の一端は、リベット81によって支持板cに軸止され、留板8の他の一端が、エンジンMに既存のネジ穴を利用してネジ止めされる。
図4(B)に示す24は、上記リベット81を軸止するために、支持板3に設けられた貫通孔を示している。
エンジンMは、輸送後動力源として使用される際には、例えば建機などのボディに取り付けられるものであるため、その表面の各部に、当該取り付け用のネジ穴が設けられている。このようなネジ穴を利用して、上記のボルト止めを行うことができる。
【0021】
この実施の形態において、図1に示す通り、桟2は、枠体1内側に4本渡され、上記の対を2組構成している。そして、桟2の夫々は、2箇所に支持板3が設けられている。従って、このパレットは、4機のエンジンを積載することができる。
【0022】
図5へ本願考案の他の実施例に係る積荷用パレットの平面図を示す。また、図6(A)へ図5に示すパレットの正面図を、(B)へその側面図を示す。
このパレットは、図5へ示す通り、平面視矩形の枠体1の内側に、図1〜図4に示す実施の形態の桟2と同様のアングル材にて形成された副枠体10,10が、枠体1の内側に渡されている。副枠体10の夫々は、平行に配設された2本のアングル材11,11にて構成されている。当該アングル材11,11間に、桟2…2が10本(5対)渡されている。この実施の形態では、副枠体10が2列配列されているので、20本(10対)の桟3…3が、枠体1の内側に配列されている。一本の桟2に1つ支持板3を固定することにより、1対の桟2,2は、1組の支持板3,3を供えるものとなり、この図5及び図6へ示すパレットは、10機のエンジンMを積載することができる。
この実施の形態において、上記の脚部5…5及び側取付部6…6は、平面視矩形の枠体1の四隅よりも、内側に設けられており、副桟9,9が、上記アングル材11…11と交差するように、側取付部6,6間に渡されている。但し、脚部5…5及び側取付部6…6の配設位置は、上記に限定するものではなく、変更可能である。
図5及び図6に示す実施の形態において、特に言及していない構成については、図1及び図4に示す実施の形態と同様である。
【0023】
【考案の効果】
本願第1〜4の考案の実施によって、積荷用パレットの桟と、桟上にて積荷を支持する支持板との固定を、より確実行うことを可能とした。特に、本第3及び第4の考案の実施によって、上記効果に加えて、積荷に対する支持強度を向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願考案に係る一実施の形態を示す積荷用パレットの平面図である。
【図2】(A)は上記パレットの側面図であり、(B)はその正面図である。
【図3】積荷の積載状態を示す上記パレットの正面図である。
【図4】(A)は上記パレットの桟と支持板との接合状態を示す略断面図であり、(B)はその略斜視図であり、(C)はその要部拡大略断面図である。
【図5】本願考案の他の実施例に係る積荷用パレットの平面図である。
【図6】(A)は図5に示すパレットの正面図であり、(B)はその側面図である。
【図7】従来の積荷用パレットの平面図である。
【図8】図7に示す従来のパレットの側面図である。
【図9】図7及び図8に示す従来のパレットの、積荷の積載状態を示す、正面図である。
【図10】(A)は図7乃至図9に示す従来のパレットの桟と支持板との接合状態を示す略断面図であり、(B)はその略斜視図であり、(C)はその要部拡大略断面図である。
【符号の説明】
1  枠体
2  桟
3  支持板
21  縦板部
22  横板部
23  斜板部

Claims (4)

  1. 少なくとも積荷の積載部が、横断面視におき、上下に伸びる縦板部と、当該縦板部と交差する方向伸びる横板部とを有する複数のアングル材を、配列することによって形成されたものである積荷用パレットにおいて、
    上記アングル材は、上記の縦板部と横板部との間に、斜板部を備えたものであり、
    縦板部は、横板部の上方に位置し、斜板部は、横板部の左右の一端から横板部の内側に向けて上方へ斜めに伸び、縦板部の下端と接続されたものであることを特徴とする積荷用パレット。
  2. 平面視矩形の枠体と、枠体の内側へ水平に設けられた複数の金属製の桟と、桟に立設されて積荷を受ける金属製の支持板とを備えたものであり、上記桟の夫々は、支持板の下端と対応するベース面と、ベース面の上方に位置し支持板の側面と対応するガイド面とを備えたアングル材である積荷用パレットにおいて、
    桟のベース面とガイド面との間には後退面が介在し、後退面は、ガイド面に対し支持板の反対側に後退して、支持板の側面と当接しないものであることを特徴とする積荷用パレット。
  3. 上記の後退面は、ガイド面側からベース面側に向けて漸次後退の幅を大きくする傾斜面であることを特徴とする請求項2記載の積荷用パレット。
  4. 下方にオイルパンを備えるエンジンを、積荷として積載するのに適した積荷用パレットにおいて、
    平面視矩形の枠体と、少なくとも上記オイルパンの横幅よりも大きな間隔をあけて枠体の内側に渡された少なくとも2本の金属製の桟と、夫々の桟に立設されて積荷を受ける金属製の支持板とを備えたものであり、桟は、その長手方向に沿って、支持板の下端が溶接されるベース面と、ベース面の上方に位置し支持板の側面が溶接されるガイド面とを備えたアングル材であり、
    夫々隣接する桟に設けられた少なくとも2枚の支持板は、互いに対向する位置にあり、両支持板の上端に、エンジンを載置することが可能な載置部が設けられ、両支持板の間に、エンジンのオイルパンを配位させることが可能であり、
    桟のベース面とガイド面との間には後退面が介在し、後退面は、ガイド面に対し支持板の反対側に後退して、支持板の側面と当接しないものであり、
    上記の後退面は、ガイド面側からベース面側に向けて漸次後退の幅を大きくする傾斜面であることを特徴とする積荷用パレット。
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