JP3097247B2 - アルギン酸・トロンビン固定化物、その製法および止血剤 - Google Patents

アルギン酸・トロンビン固定化物、その製法および止血剤

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JP3097247B2
JP3097247B2 JP03334853A JP33485391A JP3097247B2 JP 3097247 B2 JP3097247 B2 JP 3097247B2 JP 03334853 A JP03334853 A JP 03334853A JP 33485391 A JP33485391 A JP 33485391A JP 3097247 B2 JP3097247 B2 JP 3097247B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、トロンビン活性が高
いアルギン酸・トロンビン固定化物、その製造法、並び
にそれに基づく止血剤および医療補助材に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】トロンビ
ン製剤は、古くからある止血剤である。外傷、または手
術創面の創傷部に適用するためのものとして、トロンビ
ンをモノフィラメント、繊維集合体、フィルム、スポン
ジのような構造物に固定化してなる創傷部治療用材料は
公知であり(特公昭61−59737号)。またアルギン
酸を固定用担体とし、トロンビン以外の酵素を包括法で
固定化した固定化酵素も公知である(特公昭59−28
475号および特開昭59−109177号)。さら
に、担体をセファロースとした固定化トロンビンは公知
である[ヘモスタシス(Haemostasis)第6巻第225−2
35頁(1977年)およびスロンボシス・アンド・ヘモ
スタシス(Thromb.Haemostas.)第1巻第27−31
頁(1984年)]。
【0003】トロンビンは、最近消化管出血に経口的に
使用されている。しかし、トロンビンは、至適pH7.
5−7.8を有する酵素で、強酸および強アルカリに極
めて不安定で失活するという性質がある。そのため、強
酸性になり易い胃中でより適切な効果発現を期待するた
めには、胃液の物理的除去、H2受容体きっ抗剤による
胃酸分泌の抑制、制酸剤との併用等のような対策が必要
である。また、この局所用のトロンビンは、従来の粘膜
保護剤などに加えて投与されることが多いが、強酸性
(例えばpH5以下)で不活性化されるため常に胃内のpH
をチェックするというわずらわしい操作が必要であっ
た。さらに、トロンビンの凝血速度は濃度依存性である
ため、比較的高価であるにもかかわらず、これを大量に
投与する必要があった。これらのことが、トロンビンの
胃内局所適用を制限していた。
【0004】一方、アルギン酸およびその塩類は褐藻類
の細胞膜を構成する主成分で、高分子量を有し、水溶液
としたとき粘性が高くなる物質である。この物質は、人
体に対しての安全性が高く、それ自体創面に強く粘着す
ることにより物理的な止血作用を呈し、また赤血球に対
して架橋構成を行い止血作用を促進するものとされてい
るので、止血の目的に使用できるが、その作用は緩和な
ものであり、緊急の止血には向かない。
【0005】本発明者は、先に、トロンビンとアルギン
酸をカルボジイミド法で直接アミド結合させることによ
り、両者の特性を生かした固定化物を作ることを試みた
(特開平3−201982号)。しかし、この固定化物
は、その後検証したところ反応率が低く、蛋白質重量当
りのトロンビン活性が0.35単位/μg程度であり、
やや低い点でまだ完全に満足できるものではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明者は、さらに活
性が高いトロンビン固定化物を作ることを目的として、
種々研究の結果、カルボジイミドの存在下に活性エステ
ル化剤を用いて、まずアルギン酸の活性エステルを作
り、次にこれをトロンビンと反応させるという2段階反
応をとると、反応段階が多いにもかかわらず1段階の直
接縮合より高い効率で反応が進行し、活性が高いトロン
ビン固定化物が得られることを見出した。
【0007】すなわち、この発明は、(1)アルギン酸ま
たはその塩とトロンビンが両者の間のアミド結合により
結合している固定化物において、トロンビン活性が反応
前のトロンビンとほぼ同等である、アルギン酸・トロン
ビン固定化物、(2)水溶性カルボジイミドまたはその塩
の存在下にアルギン酸と活性エステル化剤を反応させ、
得られたアルギン酸活性エステルにトロンビンを反応さ
せることを特徴とする、アルギン酸・トロンビン固定化
物の製造法、(3)アルギン酸活性エステルにトロンビン
を反応させることを特徴とする、アルギン酸・トロンビ
ン固定化物の製造法、(4)上記(1)記載のアルギン酸・
トロンビン固定化物を有効成分とする、止血剤、および
(5)上記(1)記載のアルギン酸・トロンビン固定化物を
含有する、止血用医療補助材を提供するものである。
【0008】
【実施態様】この発明のアルギン酸・トロンビン固定化
物は、上記(1)に示したようにトロンビン活性が反応前
のトロンビンとほぼ同等であるが、ほぼ同等の活性とい
うのは反応前のトロンビンの約80%以上の活性を意味
し、好ましくは約85%以上の活性を意味する。このよ
うなアルギン酸・トロンビン固定化物は、上記(2)に示
したように、アルギン酸またはその塩と活性エステル化
剤を水溶性カルボジイミドの存在下に反応させてアルギ
ン酸活性エステルとし、これにトロンビンを反応させる
ことにより得られる。
【0009】この発明で使用するアルギン酸は(C57
4COOH)nの一般式で表わされる多糖類(D−マンヌ
ロン酸とL−グルロン酸の重合体)を主成分とする物質
で、通常分子量5−20万程度であり、例えば褐藻類か
ら得られ、使用に適するものが市販されている。アルギ
ン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアル
カリ性金属塩およびアンモニウム塩アミン塩等の窒素化
合物塩が含まれる。トロンビンは蛋白分解酵素活性をも
つ分子量約38000の血液凝固蛋白で、一般にほ乳類
(ひと、うし等)の血しょうから抽出して製造された適当
な製品が市販されており、またバイオテクノロジーによ
っても合成できる。
【0010】水溶性カルボジイミドとしては、水に可溶
なカルボジイミド類(−N=C=N−結合をもつ化合物)
は何れも使用できるが、下記一般式で示されるものまた
はその塩が好ましい。 X−N=C=N−Y (I) [式中、Xは水素原子、または低級アルコキシルもしく
はフェニルアゾで置換されていてもよい1価の鎖式また
は環式炭化水素基、YはXについて定義した意味または
式−R1−R2で示される基(ここでR1は、2価の鎖式
または環式炭化水素基、R2は塩基性アミノ基をそれぞ
れ意味する)。但し、XおよびYが共にアミノ基をもた
ない炭化水素基を意味する場合、それぞれの炭化水素基
は8個以下(好ましくは6個以下)の炭素原子を含有す
る]上記1価の鎖式炭化水素基としては、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素原子8個以
下(好ましくは6個以下)の基(低級アルキル基)およ
びノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等のさらに大
きな基が含まれ、メチル以外の場合不飽和結合が存在し
てもよい。1価の環式炭化水素基としては、例えばシク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘ
キシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル
等の炭素原子8個以下(好ましくは6個以下)の基(低
級シクロアルキル基)、プロピルシクロヘキシル、シク
ロヘキシルシクロヘキシル等のさらに大きな基、それら
の不飽和体(フェニルを含む)およびそれらが低級アルキ
レン基と結合してなる基が含まれる。2価の鎖式炭化水
素基としては、上記1価の鎖式炭化水素基から1個の水
素を除いて得られる基が含まれ、例えばメチレン、エチ
レン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレ
ン、ヘキサメチレン、2−メチルエチレン、2−エチル
テトラメチレン等が挙げられる。2価の環式炭化水素基
としては、上記1価の環式炭化水素基から1個の水素を
除いて得られる基が含まれ、例えばシクロプロパンジイ
ル、シクロヘキサンジイル、メチルシクロヘキサンジイ
ル等が挙げられる。低級アルコキシル基は、式R−O−
(ここで、Rは低級アルキル基である)で示される基で
ある。塩基性アミノ基としては、アミノ基、低級アルキ
ルアミノ基(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロ
ピルアミノ等)、ジ低級アルキルアミノ基(例えばジメチ
ルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等)、
低級アルキレンアミノ基(例えばアジリジニル、アゼチ
ジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ、4−
メチルピペラジニル等)およびこれらの不飽和体が含ま
れる。フェニルアゾのフェニルは、低級アルキル、低級
アルコキシル、ハロゲン等の、ベンゼン環置換基として
ありふれた基で置換されていてもよい。塩としては、ハ
ロゲン化水素塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩等の無機酸塩お
よびメタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の有
機酸塩が含まれる。代表的な水溶性カルボジイミドの一
群は、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミドおよびその塩酸塩、N−シクロヘキ
シル−N'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドお
よびそのトルエンスルホン酸塩、N−ベンジル−N'−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドトルエ
ンスルホン酸塩、N−シクロヘキシル−N'−〔2−
(4−メチルモルホリノ)エチル〕カルボジイミドトル
エンスルホン酸塩、N−メチル−N'−(3−モルホリ
ノプロピル)カルボジイミド、3−〔(エチルカルボン
イミドイル)アミノ−N,N,N−トリメチル−1−プロ
パンアミニウムヨーダイド、3−〔(エチルカルボンイ
ミドイル)アミノ−N,N,N−トリメチル−1−プロパ
ンアミニウムパークロレート、N,N,N−トリメチル−
3−〔(フエニルカルボンイミドイル)アミノ〕−1−
プロパンアミニウムパークロレート、N,N,N−トリメ
チル−3−〔(フエニルカルボンイミドイル)アミノ〕
−1−プロパンアミニウムヨーダイド、N−エチル−
N'−(3−モルホリノプロピル)カルボジイミド、N,
N,N−トリメチル−3−〔{(4−(フエニルアゾ)フ
エニル)カルボンイミドイル}アミノ〕−1−プロパン
アミニウムヨーダイド等である。別の一群は、シアナミ
ド(カルボジイミド)、ジイソプロピルカルボジイミ
ド、ビス〔ジ(メトキシメチル)〕カルボジイミド、N
−2−〔トリ(メトキシメチル)〕エチル−N'−〔ジ
(メトキシメチル)メチル〕カルボジイミド、N−2−
〔トリ(メトキシメチル)〕エチル−N'−〔トリ(メ
トキシメチル)メチル〕カルボジイミド、N−ジ(メト
キシメチル)メチル−N'−〔トリ(メトキシメチ
ル)〕カルボジイミドである。
【0011】活性エステル化剤としては、ペプチド合成
化学で用いられるもの(例えば「ペプチド合成の基礎実
験」(丸善)第91−100頁および「続医薬品の開
発」(広川書店)第14巻第162−173頁)は何れ
も使用することができるが、下記一般式で示されるもの
が好ましい。 H−O−Z (II) [式中、Zは第2または3級アミノ基、電子吸引基で置
換されたメチル基または電子吸引基で置換されていても
よいフェニル基もしくはナフチル基を意味する]上記第
2または3級アミノ基としては、スクシンイミド基およ
びその同族体、置換体、ジ低級アルキルアミノ基および
そのジ低級アルキル部分における閉環体、メチレンアミ
ノ基およびその置換体、アシルアミノ基、トリアゾール
またはトリアジン−N−イル基およびそのベンゼン環縮
合体が含まれる。具体例は多岐にわたるが、前記「続医
薬品の開発」第14巻の第168頁に例示され、これら
は同様に使用できる。電子吸引基としては、ハロ低級ア
ルキル基(例えばトリフルオロメチル、トリクロロメチ
ル、ペンタクロロエチル等)、ニトロ基、シアノ基、低
級アルカノイル基(例えばホルミル、アセチル等)、低
級アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニ
ル、エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、N−低
級アルキルカルバモイル基、低級アルカノイルオキシ
基、フェニル低級アルカノイルオキシ基、低級アルキル
スルホニル基(例えばメチルスルホニル等)、スルファ
モイル基、N−低級アルカノイルスルファモイル基、N
−フェニルまたはヘテロ芳香族スルファモイル基、スル
ホ基、ハロゲン、ニトロビニル基、フェニルアゾ基等が
含まれる。なお、上記化合物には電子吸引性をもたない
基の共存を妨げない。代表的な活性エステル化剤は、N
−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾト
リアゾール(水和物)、N−ヒドロキシピペリジン、N
−ヒドロキシフタルイミド、3−ヒドロキシ−4−オキ
ソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジ
ン、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボキシイミド、N−ヒドロキシマレイミド等である。
【0012】本発明における好ましい実施方法の一例を
示すと次の通りである。アルギン酸またはその塩の水溶
液に、酸性(pH約5)において、水溶性カルボジイミ
ドおよび活性エステル化剤の水溶液をそれぞれ加え、緩
和な温度(例えば0−50℃)で適当な時間(例えば2
0−120分)かきまぜてアルギン酸活性エステルの水
溶液を生成させる。分離手段(例えばゲル濾過または透
析)により、上記水溶液から未反応の水溶性カルボジイ
ミドおよび活性エステル化剤を除去する。次に、この水
溶液に、温度を比較的低温(例えば10℃以下、好まし
くは約4℃)に保持しながらトロンビン水溶液を加え、
反応がほぼ完結するに要する時間(例えば4−24時
間)かきまぜる。その後、慣用されている分離精製法
(例えばゲルろ過、透析等)により、アルギン酸・トロ
ンビン固定化物を分離精製する。こうして得られたアル
ギン酸・トロンビン固定化物を、さらに慣用される方法
(例えば凍結乾燥等)によって、濃縮液あるいは乾燥物
とする。濃縮液の形の固定化物は液剤として使用するこ
とができ、凍結乾燥物は固形製剤または用時溶解製剤と
して使用することができる。上記反応において、アルギ
ン酸に対するトロンビンの比率は、アルギン酸中の構成
単糖600単位(カルボキシル基600個)に相当する
アルギン酸重量に対してトロンビン(分子量約3800
0)分子0.01−100モルが適当であり、0.1−2
0モルが好ましい。また、上記アルギン酸重量に対する
水溶性カルボジイミドおよび活性エステル化剤はいづれ
も1−500モルが適当であり、50−300モルが好
ましい。
【0013】上記反応は、次のように式で示すことがで
きる。 (AL)−COOH+HO−(AE)+WSC →(AL)−COO−(AE)+尿素誘導体 (AL)−COO−(AE)+HN−(TH) →(AL)−CONH−(TH)+HO−(AE) [式中、(AL)はアルギン酸糖鎖から反応に関与した
COOHを除いた基、(AE)は活性エステル化剤から
OHを除いた残基、(TH)はトロンビンから反応に関
与したNHを除いた残基、WSCは水溶性カルボジイ
ミドである]
【0014】上記のようなこの発明の方法によるとき
は、アルギン酸に対するトロンビンの反応率が高いの
で、固定化率が高い。また得られたアルギン酸・トロン
ビン固定化物の比活性が高く、反応前のトロンビンに近
い比活性のものとなる。
【0015】この発明の固定化物を有効成分として含有
する止血剤は、局所投与および経口投与が可能である。
局所投与では、乾燥固定化物を生理食塩水に溶解して
(トロンビンとして、20〜100単位/ml)噴霧も
しくは潅注するかまたは粉末のままで散布するか、もし
くは軟膏の形で塗布する。また上部消化管出血の場合
は、適当な緩衝液に溶解した溶液(トロンビンとして1
00〜400単位/ml)を経口投与する。経口投与お
よび/または局所投与に使用する剤形としては、散剤、
顆粒剤、マイクロカプセル剤、錠剤、丸剤、カプセル
剤、液剤、懸濁剤、乳剤、軟膏等が含まれる。製剤の調
製に当たっては、緩衝剤、等張化剤、賦形剤、安定剤、
防腐剤、着香料、着色料を添加することができる。また
この発明の固定化物を綿、紙、不織布、フィルム、スポ
ンジなどに物理的に吸着させて止血用医療補助材として
用いることができる。この発明による固定化物は、以下
に述べるように数多くの長所を有する。すなわち、トロ
ンビン活性が高く、胃酸による分解に抵抗性があり、体
内における滞留時間が長くなる結果作用時間が長期化
し、さらに、製剤の安定性および保存性が良くなる。
【0016】次に、この発明を実施例に基づいて具体的
に説明するが、これらは発明を限定するものではない。 (実施例1)乾燥アルギン酸ナトリウム(共成製薬製)
から調製したpH5の2W/W%アルギン酸ナトリウム
水溶液2ml(アルギン酸として36mg)にN−エチ
ル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイ
ミド塩酸塩(EDC)12.5mg(6.54×10-5
モル)を含む水溶液1mlおよびN−ヒドロキシスクシ
ンイミド(HOSu)7.5mg(6.54×10-5
ル)を含む水溶液1mlを各々加えて全体を4mlと
し、室温で、40分間かきまぜた。この溶液のうち2m
lをゲル瀘過し(バイオラッド製脱塩用カラムエコノパ
ック10DG)にかけて低分子量成分を除いた後、アル
ギン酸−活性化エステルに相当するフラクション4ml
から約2mlとり、pH7に調整し、これにトロンビン
(持田製薬製)3.1mg(8.17×10-8モル)
を含む水溶液0.23mlを加え、4℃で18時間かき
まぜた。反応液を再び上記条件のゲル濾過にかけて活性
エステル化剤およびその他の低分子量成分を除去した。
この溶液をSDSポリアクリルアミドゲルの電気泳動に
かけた。結果を図1に示す。図1において、左端のレー
ンは標準分子量を示すマーカー、左から第2−5番目の
レーンは各濃度の反応前のトロンビン、右端のレーンは
反応生成物である。反応生成物はそのほぼ全量が20万
を超える高分子量をもっていることから、アルギン酸・
トロンビン固定化物が生成していることを確認した。こ
の電気泳動ゲルをデンシトメーター(島津製作所スポッ
トスキャナー−CS−9000)にかけて未反応トロン
ビン量を測定し、トロンビンの反応率を算出した。結果
を表1に示す。また、この溶液について合成基質に対す
る活性および蛋白質量を測定し、トロンビン1μg当り
の合成基質に対する活性を算出し、これを比活性とし
た。結果を表1に示す。
【0017】(実施例2)pH5に調整した2w/w%
アルギン酸〔(AL)−COOH〕 2g、EDC
6.3mg(3.27×10-5モル)/1ml、 N
−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン
酸イミド(HONB) 5.9mg(同上)/1ml、
およびトロンビン〔H2N−(TH)〕31.0mg
(8.17×10-7モル)/1.2mlを使用して実
施例1と同様に行った。結果を表1に示す。 (実施例3)pH6に調整した3w/w%アルギン酸
〔(AL)−COOH〕 2g、EDC 4.8mg
(2.53×10-5モル)/1ml、1−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール(HOBt)3.9mg(同上)/
1ml、およびトロンビン〔HN−(TH)〕18
6.3mg(4.90×10-6モル)2mlを使用し
て実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。 (実施例4)pH5に調整した2w/w%アルギン酸
〔(AL)−COOH〕 2g、N−シクロヘキシル−
N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド(CD
I)57.0mg(1.35×10-4モル)/1m
l、HOSu 15.5mg(同上)/1ml、および
〔HN−(TH)〕6.4mg(1.68×10-7
ル)/0.25mlを使用して実施例1と同様に行っ
た。結果を表1に示す。 (実施例5)pH5に調整した2w/w%アルギン酸
〔(AL)−COOH〕 2g、CDI 42.8mg
(1.01×10-4モル)/1ml、HONB 1
8.1mg(同上)/1ml、およびトロンビン〔H
N−(TH)〕3.1mg(8.17×10-8モル)
/0.23mlを使用して実施例1と同様に行った。結
果を表1に示す。 (比較例1)実施例1においてHOSuを除いて同様に
行った。結果を表1に示す。
【表1】
【0018】活性測定法 検液を250倍に希釈し、その100μlをプラス
チック試験管に採取して37℃で約5分間加温する。 発色性基質液(カビ社製テストチームS−223
8、25mgを精製水40mlで溶解したもの)250
μlを加え混和し、37℃で正確に5分間加温する。 反応停止液(クエン酸2w/v%水溶液)1.0m
lを加え混和する。 分光光度計でサンプルブランクを対照に波長405
nmでの吸光度を測定する。 単位既知のトロンビンについて同様に操作して吸光
度を測定し、検量線とする。 蛋白質測定法 検液を250倍に希釈し、その800μlにバイオ
ラッド製プロテインアッセイ染色液に200μlを加え
混和する。 分光光度計でサンプルブランクを対照に波長595
mmでの吸光度を測定する。 蛋白質量既知のトロンビンについて同様に操作して
吸光度を測定し、検量線とする。
【0019】(実施例6)実施例1におけるアルギン酸
ナトリウム水溶液、N−エチル−N’−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N−ヒドロキ
シスクシンイミドおよびトロンビンの量を各々10倍の
スケールで、実施例1と同様にしてアルギン酸・トロン
ビン固定化物水溶液を得た。この溶液を凍結乾燥してア
ルギン酸・トロンビン固定化物96.8mgを含む凍結
乾燥品を得た。
【0020】(実施例7)実施例6で得られた溶液を脱
塩した後、凍結乾燥して固体の固定化物を得た。これを
次のように処方して散剤を得た。 重量部 ・固定化物 70.0 ・乳糖 29.9 ・メディカルエッセンスNo.52523 0.1 (三栄化学社製) 100.0
【0021】(実施例8)実施例7で得られた脱塩固定
化物溶液2.0mlを採取し、50mlに希釈した。こ
の溶液に外科用ガーゼ(15cm×15cm)を15
℃、30分浸漬して、その後真空乾燥(25℃以下)す
ることにより、固定化物が吸着されたガーゼを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で行ったSDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/43 - 38/54 C12N 11/10 - 13/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性カルボジイミドの存在下にアルギ
    ン酸と活性エステル化剤を反応させ、得られたアルギン
    酸活性エステルにトロンビンを反応させることを特徴と
    する、アルギン酸・トロンビン固定化物の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法によって得られた、
    反応前のトロンビンの約80%以上のトロンビン活性を
    保持する、アルギン酸・トロンビン固定化物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のアルギン酸・トロンビン
    固定化物を有効成分とする、止血剤。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のアルギン酸・トロンビン
    固定化物を含有する、止血用医療補助材。
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