JP3092670B2 - 燃料電池で電気を発生する方法及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池で電気を発生する方法及び燃料電池

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は燃料電池系に関するものであり、特に炭素系
燃料を水蒸気改質法によって燃料電池用反応ガスに変換
して用いる燃料電池系に関するするものである。
[発明の背景] 燃料電池では反応ガスは電池反応によって高能率で電
気を発生する。電池のアノード室に入る水素や一酸化炭
素などの反応ガスは通常アルコールや化石燃料などの炭
化水素系原料から水蒸気改質法で誘導される。この燃料
は燃料電池のアノード室において改質触媒上で反応ガス
に変換され、そののち反応ガスがアノードに接触するの
でなければならない。燃料電池内で起こる発熱電気化学
反応から出る廃熱は吸熱改質反応に使われる。
従来の設計による燃料電池系、たとえば高温で稼働す
る内部改質燃料電池では、外から入って来るガスの温度
と圧力は内部にある改質装置と平衡をとるようになって
いて、電池の機械的条件にもよるが後者の温度は通常60
0〜700℃、圧力は大気圧よりわずかに高い程度である。
そして炭化水素はつぎの反応によってアノード反応ガス
に変換される: (1) CnHm+nH2O<=>(m/2+n)H2+nCO−熱 (2) CO+H2O<=>H2+CO2+熱 融解炭酸塩燃料電池のアノード室では、水素、酸化炭
素や未変換の低級炭化水素を含むアノード反応ガスのお
よそ75%が酸化剤と電気化学的に反応し、その際、CO3
2-イオンによるカソードからアノードへの電子移動によ
り、電池内で変換された水素1モルにつき水1モルと二
酸化炭素1モルがアノード廃気に加えられる。
[発明が解決しようとする課題] このため、アノード廃気には未変換の水素、一酸化炭
素、二酸化炭素およびアノード燃料反応ガスに存在した
低級炭化水素が含まれる結果になる。融解炭酸塩燃料電
池の作業温度である約650℃では、通常ニッケルが使わ
れるアノード材料はシフト反応(2)に対して触媒作用
をもち、改質反応(1)には極めて弱い働きしかない。
アノードを取り巻くガスと直接接触するように改質触媒
を配置すると燃料電池の電解質によって毒される。従っ
て均衡を保っているアノード反応ガス中の低級炭化水素
はこの電気化学的方法に用いられない。
アノード室の廃気ガス中の未変換水素は回収されてア
ノードへ再循環するのがふつうである。これが有利に行
なわれるのは、アメリカ特許NO.4,532,192記載のリン酸
電気化学電池において、または既知の吸収・拡散法たと
えば分子篩(ふるい)吸収およびパラジウム膜拡散(ウ
ルマン化学技術百科辞典,3版,18巻,521〜522ページおよ
び527〜528ページ参照)においてである。既知の方法で
は約90%の水素が回収される。しかし低級炭化水素はこ
れらの方法では回収されず、それゆえ電気の発生に関し
ては役に立たない。
改質ガスをアノード反応ガスとして用いる燃料電池系
において炭素系燃料の有効性を増すことによりその効率
と有用性を高めるのが本発明の目的である。
[課題を解決するための手段] 従って、本発明は、燃料電池系における電気発生法に
おいて、炭素系燃料を燃料電池反応ガスに改質し、反応
ガスを燃料電池に接触させ、アノード廃気中の反応物を
回収精製して燃料電池のアノードに再循環させることに
より改質ガスを用いるアノード室およびカソード室を備
えた燃料電池を用いることを特徴とする改良法を提供す
るものであって、その改良法は回収・精製・再循環のま
えに燃料電池のアノード廃気を改質触媒上に通してアノ
ード廃気中の低級炭化水素を燃料電池のアノード反応物
に変換する操作段階を含むものである。
さらに本発明の目的とするのは炭素系燃料の利用をい
っそう高めた改良法に用いられる燃料電池系を提供する
ことである。
本発明の上記の目的とさらにその実施例は以下の詳細
な説明と図によって一層明かになるだろう。
添付図面は本発明を単純化して示しており、熱交換
器、ポンプ、その他の基本的設備や配線等の個々の装置
・部品は図に含まれていないが、それらはみな通常のも
のである。またカソード回路に関する装置も示されてい
ないが、それらは通常の部品であって本発明に関係がな
いものと理解されたい。
[作用] 第1図は内部の改質装置で水蒸気改質法により炭素系
燃料を間接かつ中間生成物変換の方法でアノード反応ガ
スに変換する燃料電池系1を単純化された形で示してい
る。
燃料供給装置2から燃料の流れが供給ライン10および
40を通って燃料電池4のアノード部4aに供給される。改
質反応(1)に必要な水蒸気は水蒸気供給装置3からラ
イン30を通ってライン10に加えられる。
アノード部4aは内部の改質装置6(第2図および第3
図)、アノード室4bを構成する複数の融解炭酸塩燃料電
池の積重ね、およびカソード室4cからなる。内部改質装
置6は熱伝導性の隔板5を介して熱的には直接に燃料電
池4と接触するよう配置されている。
内部改質装置6に達した燃料は内部改質法によってア
ノード反応ガスに変換され、ついでライン45を通ってア
ノード室4bに送られる。
アノード部4aを出るアノード廃気はライン50を通って
外部改質装置12(第2図および第3図)に送られる。本
発明の実施例によれば外部改質装置12は第2図に示した
ように断熱条件で作動する。本発明の望ましい実施例で
は外部改質装置12は燃料電池4と熱を伝導する関係に配
置される。これを実現するためには、第3図に示した熱
伝導隔板10を使うか、または他の便宜な方法、例えば燃
料電池のカソード室を出る熱い気体との熱交換を行なう
など、によることができる。
外部改質装置12は1枚の板に構成した改質触媒のよう
に触媒で作った室であるか、または改質触媒の適宜な形
の粒子を含む金網室のような反応容器でもよい。
外部改質装置12では、アノード廃気に含まれる未変換
の低級炭化水素は反応式(1)に従ってアノード反応ガ
スに改質される。
改質済みのアノード廃気は次に改質装置12からライン
60を通ってシフト装置14へ移され、そこで改質ガス中に
含まれるCOは反応式(2)に従ってCO2とH2に変換され
る。
このように変換されたガスを冷却し、シフト装置14か
らライン70で繋がっている凝縮器16で水を分離し、その
のちライン80を経てガスを水素回収装置18に送る。水素
の回収は前述の既知の方法のいずれかによって行えばよ
い。
回収された水素はつぎにライン90を経てアノード供給
ライン40に再循環される。
[発明の効果] 実施例1および2に示される以下の計算モデルでは本
発明による改良燃料電池系の働きと外部改良装置12をも
たない燃料電池系との比較がなされている。どの場合に
も炭素系燃料としてメタンを想定し、内部改質器6と積
み重ねた2500個の融解炭酸塩燃料電池をもつアノード部
に毎時100ノルマル立方メートル(NCU.M/H)の一定量で
供給する。
比較のために、次の操作パラメーターはいつも同じに
する: ライン45(第2図および第3図)を通じてアノード室
に供給される反応ガスの量の75%がアノード室で水と二
酸化炭素に変換されて、反応ガス中に含まれるメタンの
変換は起こらないし; 反応ガスの45%は電気発生に使われ; アノード部は一定温度650℃に維持され;そして 回収装置18における水素の回収は90%である。
実施例1 本発明は1つの実施例による断熱方式の外部改質装置
12を付属させた燃料電池系の性能とそれに対応する外部
改質装置を備えていない燃料電池系とを比較する。
両系の各ラインや部分における作動条件と気流組成が
表1と表2にまとめてある。表1は断熱方式の外部改質
装置をもつ燃料電池系についてであり、表2はそれに対
応する外部改質装置をもたない系についてである。
ここに掲げた条件下では、断熱方式の外部改質装置12
(第2図)を備えた燃料電池系は外部改質装置12をもた
ない燃料電池系について計算される電気出力501kWを改
良系では591kWにまで増加させるであろう。
実施例2 外部改質装置12を燃料電池4と熱的に接触よく配置
(第3図)すると、電気出力はつぎに表3に示すように
657kWにまで増大するであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一例としての燃料電池系を純粋に図式
的に示すものであり; 第2図は本発明の一例としての燃料電池系においてアノ
ードから出る改質装置を直列に結合して用いる燃料電池
のアノード室を拡大して図式的に示す図であり;そして 第3図は本質的には第2図と同じであるが、本発明の望
ましい実施例に基づいて、廃気改質装置を燃料電池と熱
的に接触するように配置したものである。 1……燃料電池系、2……燃料供給装置、 3……水蒸気供給装置、4……燃料電池、 5……隔板、6……内部改質装置、 12……外部改質装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素系燃料を第1の水蒸気改質触媒によっ
    て燃料電池反応ガスとし、該反応ガスを燃料電池と接触
    させ、燃料電池のアノード部から出るアノード廃気中の
    反応物を回収し、該回収した反応物を再循環させてなる
    燃料電池で電気を発生する方法において、 アノード廃気からの回収および再循環を行うまえにアノ
    ード廃気を第2の水蒸気改質触媒に通し、これによって
    廃気中の低級炭化水素が燃料電池用の反応物に変換され
    ることを特徴とする燃料電池で電気を発生する方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、炭素系燃
    料が天然ガスであること。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の方法において、低級炭化
    水素がメタンであること。
  4. 【請求項4】炭素系燃料の供給装置(2,10)、燃料電池
    反応ガス製造用の改質装置(6)、燃料電池(4)、低
    級炭化水素を含むアノード廃気を受けてアノード反応ガ
    スに変換する外部改質装置(12)、アノード反応ガスの
    回収手段(18)、および回収したアノード反応ガスを再
    循環させるための手段(90)をもつことを特徴とする前
    記請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法を用いる燃
    料電池。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の燃料電池において、改質
    装置(12)が断熱型改質装置であることを特徴とする燃
    料電池。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の燃料電池において、改質
    装置(12)が燃料電池と熱を伝導する関係にあることを
    特徴とする燃料電池。
  7. 【請求項7】請求項4ないし6のいずれか1つに記載の
    燃料電池において、燃料電池が水素を消費する燃料電池
    であることを特徴とする燃料電池。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の燃料電池において、水素
    を消費する燃料電池が融解炭素塩燃料電池であることを
    特徴とする燃料電池。
  9. 【請求項9】請求項7に記載の燃料電池において、水素
    を消費する燃料電池が内部改質型融解炭素塩燃料電池で
    あることを特徴とする燃料電池。
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