JP3090369B2

JP3090369B2 - サラウンド効果自動調整装置

Info

Publication number: JP3090369B2
Application number: JP04046586A
Authority: JP
Inventors: 英紀神永
Original assignee: 山水電気株式会社
Priority date: 1992-03-04
Filing date: 1992-03-04
Publication date: 2000-09-18
Anticipated expiration: 2015-09-18
Also published as: JPH05252599A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はオーディオ再生装置にお
けるサラウンド効果の自動調整装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常の部屋やリスニング・ルームにいて
広いホールにいるような臨場感（サラウンド効果）を得
る装置にサラウンド・プロセッサがある。図５はサラウ
ンド・プロセッサを備えたオーディオ再生装置の一例
で、ステレオの左右信号Ｌ，Ｒは電圧増幅器１、電力増
幅器２を経て前方スピーカＦＬ，ＦＲに供給される。ま
た、左右信号は減算器３で（Ｌ−Ｒ）信号に変換されて
サラウンド・プロセッサ４に入力され、電力増幅器５を
経てサラウンド用の後方スピーカＳに供給される。（Ｌ
−Ｒ）信号はソースに含まれる残響成分であるので、こ
れを後方スピーカから放射することによりサラウンド効
果を得ることができる。更に効果を増すためにサラウン
ド・プロセッサでは、残響成分を強調、遅延、あるいは
位相変調等の処理を行う。

【０００３】また、残響成分を利用しないでサラウンド
効果を得るサラウンド・プロセッサもある。これはホー
ルにおける壁や天井から反射されてリスナーに到達する
反射音に相当する信号列を生成して後方スピーカ、ある
いは反射音のくる方向に配置したスピーカより放射する
もので、図６は反射音信号列の一例である。直接音より
時間Ｔｎだけ遅延され、振幅レベルＡｎが直接音より下
がった信号列で、反射音パラメータＴｎ，Ａｎを変える
ことにより異なったホール（サラウンド）効果を得るこ
とができる。

【０００４】図７は反射音信号列を生成するサラウンド
・プロセッサの一例である。左右信号の和信号をＡ／Ｄ
変換器６でＡ／Ｄ変換し、マイコン７には希望のホール
に合った反射音パラメータ、あるいは再生する曲に合っ
た反射音パラメータを設定入力する。反射音生成回路８
は、入力信号を遅延して出力するディレイ・メモリと、
このディレイ・メモリの出力の振幅レベルを調整するレ
ベル調整器と、各レベル調整器の出力を加算する加算器
より構成されている。遅延時間Ｔｎおよび振幅レベルＡ
ｎはマイコン７のＲＡＭに記憶され、マイコンの指令に
よりディレイ・メモリの遅延時間Ｔｎと振幅レベル調整
器の振幅レベルＡｎが設定される。Ａ／Ｄ変換器６でサ
ンプリングされた信号はディレイ・メモリで遅延され各
端子より出力される。設定された振幅レベルＡｎに調整
された信号は加算器を経てＤ／Ａ変換器９で変換されて
後方スピーカＳに供給され反射音を放射する。この反射
音信号列は図６に示すようなもので、振幅レベルは直接
音に対する設定比率のレベルとなっている。即ち、直接
音の振幅レベルに比例して変動する。このようなサラウ
ンド・プロセッサによれば、反射音パラメータを希望目
的に合わせて設定することにより好みのサラウンド効果
を得ることができる。

【０００５】ステレオの曲には、（１）音像定位が明瞭
なもの、（２）残響音が多く音像定位が不明瞭なもの、
（３）それらの中間のものがる。これらの曲に対しサラ
ウンド効果を適切に付加するには、（１）に対してはパ
ラメータの振幅レベルを上げてサラウンド効果を増し、
（２）に対しては振幅レベルを下げてサラウンド効果を
減ずるように反射音パラメータを設定する。この設定
は、再生する曲の平均的な音像定位傾向に基ずいてパラ
メータを固定したり、再生聴取しながら再生経過におけ
る音像定位傾向の変化に応じてリモコン操作によりその
設定を変更する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、再生聴取中に
リモコンで設定を変更するのでは操作が煩わしいという
問題がある。本発明はこのような問題を解決するため
に、音像定位傾向の変化に応じて適切なサラウンド効果
を自動的に得るようにしたサラウンド効果自動調整装置
とすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のサラウンド効果
自動調整装置の手段は以下の如くである。ステレオの左
信号と右信号との和信号と差信号とを生成するマトリク
ス回路と、前記和信号と前記差信号との比の所定の時間
内における平均値を得てその値を記憶する平均値記憶回
路と、前記差信号と前記和信号との比の瞬時値を得る瞬
時値回路と、前記平均値記憶回路の出力と前記瞬時値回
路の出力とを乗算する乗算回路と、前記乗算回路の出力
を入力してサラウンド・プロセッサに入力する信号の演
算を行う演算回路とである。

【０００８】

【作用】曲の再生が開始され左右信号がマトリクス回路
に入力されると、平均値記憶回路は、左右信号の和と差
の比の所定時間内の平均値を記憶するので、その所定時
間内、あるいは曲全体の平均的な音像定位傾向を記憶し
ていることになる。また、瞬時値回路は曲の時々刻々の
音像定位傾向を示すので、乗算回路の出力は曲の平均的
な音像定位傾向と瞬時の音像定位傾向との差異を表わ
す。演算回路は、乗算回路の出力に基ずいてその曲の音
像定位傾向に対して適切なサラウンド効果が得られるよ
うな信号を生成するための演算を行う。演算結果はサラ
ウンド・プロセッサに入力され、サラウンド・プロセッ
サは反射音信号列を生成する。

【０００９】以上のように本発明のサラウンド効果自動
調整装置によれば、曲の平均的な音像定位傾向に対する
瞬時の音像定位の差異によってサラウンド効果の信号を
生成するので、自動的に適切なサラウンド効果を付加す
ることができる。

【００１０】

【実施例】本発明の実施例について図面をもって説明す
る。図２は本発明のサラウンド効果自動調整装置を備え
たオーディオ再生装置である。図５と同一部分について
は同一符号を付して説明は省略する。サラウンド・プロ
セッサ４は図７と同一である。したがって、サラウンド
・プロセッサ４に入力されるオーディオ信号は左右信号
の和信号であるので、加算器１０が用いられている。電
圧増幅器１の出力の左信号Ｌおよび右信号Ｒは自動調整
回路１１に入力され、自動調整回路１１は振幅レベルの
パラメータＡｎをサラウンド・プロセッサ４に入力す
る。遅延時間のパラメータＴｎはマニュアルで設定され
る。サラウンド・プロセッサ４では、このパラメータＡ
ｎで設定された振幅レベルの反射音信号列を生成し、電
力増幅器５を通して後方スピーカＳに供給するので、前
方スピーカからの直接音より遅延され、振幅レベルが直
接音に比例して変化する反射音が後方スピーカから放射
される。

【００１１】図１は自動調整回路１１の実施例のブロッ
ク図である。左右信号Ｌ，Ｒはマトリクス回路１２で和
信号（Ｌ＋Ｒ）と差信号（Ｌ−Ｒ）に変換され、それぞ
れ瞬時値回路１３と平均値記憶回路１４に入力される。
瞬時値回路１３と平均値記憶回路１４の出力は乗算回路
１５で乗算され、乗算回路１５の出力は演算回路１８に
入力される。

【００１２】次に作用について説明する。まず、ステレ
オ曲の再生が開始され、左右信号がマトリクス回路１２
に入力される。和信号の値が大きいときは左右信号に同
相成分が多いことを示し、音像定位が前方に明瞭な場合
である。差信号の値が大きいときは逆相成分（残響成
分）が多いいことを示し、音像定位が不明瞭な場合であ
るので、和信号と差信号を比較することにより曲の音像
定位傾向を知ることができる。瞬時値回路１３では（Ｌ
−Ｒ）／（Ｌ＋Ｒ）の絶対値が求められ、平均値記憶回
路１４では（Ｌ＋Ｒ）／（Ｌ−Ｒ）の絶対値の所定時間
内の平均値が記憶される。この記憶値は再生している曲
が音像定位の明瞭な曲か、逆の残響音の多い曲かを表わ
している。乗算回路１５は瞬時値回路１３と平均値記憶
回路１４の出力を乗算するので、その結果は再生曲の平
均的な音像定位傾向に対する再生経過における瞬時の音
像定位傾向を示すことになる。したがって、乗算回路１
５の出力ＳＵＲＲが１のときは、瞬時の音像定位傾向が
曲の平均的な音像定位傾向と同じであり、ＳＵＲＲ＜１
のときは、平均より音像定位傾向が強まった場合で、Ｓ
ＵＲＲ＞１のときは、平均より無定位傾向が強まった場
合である。乗算回路１５の出力は演算回路１６に入力さ
れる。演算回路１６では、乗算回路１５の出力ＳＵＲＲ
の値に基ずいて反射音信号列の振幅レベルＡｎを演算す
る。ＳＵＲＲ＜１のときは、瞬時の音像定位傾向が強ま
った場合であるので反射音の振幅レベルＡｎを上げてサ
ラウンド効果を増し、ＳＵＲＲ＞１のときは、逆の場合
であるので反射音の振幅レベルＡｎを下げてサラウンド
効果を減ずる。

【００１３】図４はこのような反射音信号列を示すもの
で、（ａ）はＳＵＲＲ＜１の場合、（ｂ）はＳＵＲＲ＝
１の場合、（ｃ）はＳＵＲＲ＞１の場合である。なお、
振幅レベルを変更することにより残響時間が変化しては
ホール感が変わることになるので、残響時間Ｔｍは一定
になるようにする。即ち、反射音信号列の遅延最大時間
は一定にする。このようにして演算された反射音の振幅
レベルＡｎは図２のサラウンド・プロセッサ４内のマイ
コンのＲＡＭに記憶され反射音生成回路を制御する。サ
ラウンド・プロセッサ４では入力された振幅レベルＡｎ
に基ずき直接音に比例した振幅レベルの反射音信号列を
生成する。

【００１４】以上のように、曲の平均的な音像定位傾向
に対する瞬時の音像定位傾向に基ずき反射音信号列の振
幅レベルを自動的に変更するので常に最適なサラウンド
効果を得ることができる。

【００１５】瞬時の音像定位傾向と平均的な音像定位傾
向とが同じ時には、乗算回路１５の出力ＳＵＲＲは１で
あり、ＳＵＲＲは１を中心値として変化する。そこで、
図４の（ａ）ＳＵＲＲ＜１のときは反射音信号列の振幅
レベルを更に上げ、（ｃ）ＳＵＲＲ＞１のときはレベル
を更に下げるようにしてサラウンド効果を変化させても
よい。即ち、ＳＵＲＲの値により重み付けを行う。かく
することにより更に効果を増大することができる。

【００１６】図３は自動調整回路１１の他の実施例のブ
ロック図である。マトリクス回路１２、瞬時値回路１
３、平均値記憶回路１４、乗算回路１５、演算回路１６
は図１と同じである。乗算回路１５の出力は切換スイッ
チ１７に入力される。乗算回路１５の出力は検出回路１
８にも入力され、検出回路１８は乗算回路１５の出力に
応じて切換スイッチ１７を切り換える。切換スイッチ１
７の一方の出力は演算回路１６に入力され、他方の出力
はリミッタ１９を通して演算回路１６に入力される。切
換スイッチ１７の他方の出力は積分回路２０にも入力さ
れ、積分回路２０の出力は比較回路２１で基準値と比較
される。比較回路２１の出力は平均値記憶回路１４と積
分回路２０のそれぞれの値をリセットする。

【００１７】次に作用について説明する。乗算回路１５
の出力は切換スイッチ１７に入力されるとともに、検出
回路１８にも入力される。検出回路１８では乗算回路１
５の出力が所定範囲内の値であるかどうか、即ち演算に
適当な値かどうかを判定し、所定範囲内であればそのま
ま演算回路１６に入力し、所定範囲外であれば切換スイ
ッチ１７で切り換えてリミッタ１９を通して乗算回路１
５の出力を演算回路１６に入力する。演算回路１６で
は、前述のような演算を行う。切換スイッチ１７の他方
の出力であるリミッタの入力は異常値であるのでエラー
と判定し積分回路２０で積分する。この積分値は、エラ
ーの発生頻度やエラーの大きさを示すので、積分値が大
きいときには曲の平均的音像傾向と瞬時の音像定位傾向
との差が開いていることになる。即ち、平均値記憶回路
１４の記憶値は曲の平均的音像定位傾向ではなくなって
いる。そこで、積分回路２０の値を比較回路２１で基準
値と比較し、その出力で平均値記憶回路１４の記憶値を
リセットする。平均値記憶回路１４はその時点より再び
曲の平均的音像傾向を得て記憶し演算に供する。この時
積分回路２０の値もリセットされる。

【００１８】以上のように、再生経過に伴い曲の平均的
な音像定位傾向が大きく変化してもその変化を検出し、
新たに平均的な音像定位傾向を再記憶するので常に最適
なサラウンド効果を得ることができる。

【００１９】以上乗算回路１５の出力ＳＵＲＲを用いて
反射音信号列の振幅レベルを得る方法について説明した
が、出力ＳＵＲＲは次のようにも利用できる。演算回路
１８より前方スピーカ及び後方スピーカの音量制御信号
を出力し、音像定位傾向に応じて前方と後方のスピーカ
の音量を制御するものである。演算回路１６では、１／ＳＵＲＲ（前方スピーカ用制御信号）Ｋ・ＳＵＲＲ（後方スピーカ用制御信号）を演算し、これを制御信号として音量制御を行う。Ｋは
ＳＵＲＲの値に応じて重み付けをする係数である。上式
より分かるように、前方と後方のスピーカは音量的に逆
の動作をし、前方に音像が定位するようなときは（ＳＵ
ＲＲ＜１）前方スピーカの音量を上げて後方スピーカの
音量を下げる。また、音像が無定位傾向のときは（ＳＵ
ＲＲ＞１）後方スピーカの音量を上げて前方スピーカの
音量を下げる。このようにＳＵＲＲを用いることによ
り、曲の平均的音像定位傾向に対する瞬時の音像定位傾
向に基ずいてサラウンド効果を増大させることができ
る。

【００２０】

【発明の効果】以上のように、曲の平均的な音像定位傾
向に対する瞬時の音像定位傾向に基ずき反射音信号列の
振幅レベルを自動的に変更設定するので常に最適なサラ
ウンド効果を得ることができる。さらに、曲の再生経過
にともない平均的な音像定位傾向が変化しても平均値記
憶回路の記憶値がリフレッシュされるのでサラウンド効
果が異常になることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサラウンド効果自動調整装置の実施
例。

【図２】本発明のサラウンド効果自動調整装置を備えた
オーディオ再生装置の実施例。

【図３】本発明のサラウンド効果自動調整装置の他の実
施例

【図４】本発明のサラウンド効果自動調整装置により生
成した反射音信号列の説明図。

【図５】サラウンド・プロセッサを備えた従来のオーデ
ィオ再生装置。

【図６】反射音信号列の説明図。

【図７】サラウンド・プロセッサのブロック図。

【符号の説明】

１１サラウンド効果自動調整回路１２マトリクス回路１３瞬時値回路１４平均値記憶回路１５乗算回路１６演算回路１７切換スイッチ１８検出回路１９リミッタ２０積分回路２１比較回路

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ステレオの左信号と右信号との和信号と
差信号とを生成するマトリクス回路と、前記和信号と前
記差信号との比の所定の時間内における平均値を得てそ
の値を記憶する平均値記憶回路と、前記差信号と前記和
信号との比の瞬時値を得る瞬時値回路と、前記平均値記
憶回路の出力と前記瞬時値回路の出力とを乗算する乗算
回路と、前記乗算回路の出力に基ずいてサラウンド・プ
ロセッサに入力する信号の演算を行う演算回路とを有す
ることを特徴とするサラウンド効果自動調整装置。
【請求項２】前記乗算回路の出力のエラーを検出する
検出回路と、前記検出回路の出力により前記乗算回路の
出力を切り換える切換スイッチと、前記切換スイッチの
一方の出力と前記演算回路とを接続する接続路と、前記
切換スイッチの他方の出力と前記演算回路との間に接続
されたリミッタと、前記切換スイッチの他方の出力から
のエラーを積分する積分回路と、前記積分回路の出力を
基準値と比較し前記平均値記憶回路及び前記積分回路の
それぞれの値をリセットする比較回路とを有することを
特徴とする請求項１記載のサラウンド効果自動調整装
置。
【請求項３】前記演算回路は反射音信号列の振幅レベ
ルを演算する演算回路であることを特徴とする請求項１
記載のサラウンド効果自動調整装置。
【請求項４】前記演算回路は前方スピーカ及び後方ス
ピーカに供給する信号レベルを制御する制御信号を演算
する演算回路であることを特徴とする請求項１記載のサ
ラウンド効果自動調整装置。