JP2966181B2 - 音場信号再生装置 - Google Patents

音場信号再生装置

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JP2966181B2
JP2966181B2 JP4050619A JP5061992A JP2966181B2 JP 2966181 B2 JP2966181 B2 JP 2966181B2 JP 4050619 A JP4050619 A JP 4050619A JP 5061992 A JP5061992 A JP 5061992A JP 2966181 B2 JP2966181 B2 JP 2966181B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、AV(オ−ディオ・ビ
ジュアル)機器において、臨場感のある音響再生を行う
音場信号再生装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、映像・音響分野においてはVTR
の普及により映画を家庭で楽しむために大画面及び臨場
感のある音響再生が望まれ、これに対応するハ−ドウエ
アの開発が望まれている。 【0003】特にVTRの映画ソフトの音響では、映画
館で行われているように、側方または後方(あるいはこ
れらを組み合わせたもの)にスピ−カを配置して再生を
行うドルビ−・サラウンド方式が普及している。 【0004】また、現在開発が行われているハイビジョ
ンの音響再生方式は、前方3ch 、後方1ch の3-1 方式4
チャンネル・ステレオ再生が採用される公算が大きい。 【0005】図5は、従来の臨場感のある音響再生を行
う音場信号再生装置のブロック図である。 【0006】図5において、視聴者8から見てLchか
ら再生されるべき信号ML(t)2には、スピーカ4が接続
され、視聴者8から見てRchから再生されるべき信号
MR(t)3には、スピーカ6が接続されている。それら2
つの信号は、更にある比率で加算する加算器7で加算さ
れ、視聴者8の前方中央に配置されたスピーカ5に出力
される。 【0007】又、ML(t)2及びMR(t)3の2つの信号
は、それら2つの信号を処理することにより、後方から
再生されるべきサラウンド信号(入力された信号が通常
の部屋に於いてスピーカから放射された場合に生じる残
響音や反射音を指す)と呼ばれる残響音や反射音等の信
号S(t) (t は連続的な時間を表し、信号が時間関数で
あることを示している、以下同様)を作成するサラウン
ド信号作成回路1に入力され、その出力のサラウンド信
号S(t)は、視聴者の左右後方に配置された2つのスピ
ーカ9,10に入力される(信号ML(t)2とMR(t)3
は、通常ステレオ信号と呼ばれるものを指している。ま
た先に述べたサラウンド信号S(t) に対してこれらをメ
イン信号とも呼ぶ)。 【0008】以上のように構成された音場信号再生装置
の動作を図を用いて説明する。 【0009】まず、図5の構成において、通常VTR等
から再生される2ch信号ML(t)2及びMR(t)3がサラ
ウンド信号作成回路1に入力され、それら信号に減算や
加算等の演算を行うことにより残響または反射音等のサ
ラウンド信号S(t) が作成される。メイン信号ML(t)2
及びMR(t)3は、それぞれスピーカ4,6から再生さ
れ、サラウンド信号S(t) がスピ−カ9,10から再生
される。また、メイン信号ML(t)2及びMR(t)3は加算
器7によりある比率で加算され、その加算された信号は
スピ−カ5から再生される。 【0010】また、サラウンド信号作成回路1の代わり
にドルビ−・サラウンド・プロセッサなどと呼ばれるデ
コ−ダを使用することによりドルビ−・サラウンド用に
エンコ−ドして2chに記録された映画等の音響信号か
ら、画面に最適に作成された後方から再生されるサラウ
ンド信号S(t)と前方センタ−から再生される信号が得
られ、サラウンド信号S(t)はスピ−カ9,10から、
センタ−信号はスピ−カ5から再生される場合もある。
サラウンド信号S(t)は、例えば画面に写し出された部
屋の周囲の音(音声の反射音や、残響音)や、視聴者が
その画面中にいるとした場合の視聴者の後方で鳴るべき
音として付加される。 【0011】以上のように、通常前方2個のスピ−カを
使用した2chステレオ再生方式と比較し、これまでは
前方から聞こえていた音や聞こえなかった音が後方から
サラウンド音が付加されることにより、臨場感のある音
響再生が可能となる。また、このシステムでは前方にセ
ンタ−・スピ−カを配置し、メイン信号であるML(t)2
及びMR(t)3を適当なレベルで加算して再生することに
より、前方の音像の定位を明確にしている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような構成では、再生する音が音再生手段の再生場所か
らの音として聞こえるため、サラウンド信号S(t)を再
生するために後方等の音再生手段であるスピ−カが必要
であり、またこのスピ−カを置くスペ−スが必要である
という課題があった。 【0013】本発明は、従来のこのような課題を考慮
し、再生する音が音再生手段の再生場所以外の場所から
の音として聞こえるようにできる音場信号再生装置を提
供することを目的とするものである。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は、一つの音信号
を入力する入力手段と、その入力された音信号を少なく
とも2つの音信号に分割する分割手段と、その分割され
た音信号をそれぞれ入力し、音信号の振幅及び遅延時間
をそれぞれ調整し、聴者に対し音再生手段以外の場所か
らの音として聞こえるように信号処理を行う少なくとも
2つの調整手段と、それぞれの調整手段に接続され、か
つ送信されてくる音再生信号を所定の場所で音に再生す
る少なくとも2つの音再生手段とを有し、前記音再生手
段は、前記音再生信号毎に、その音再生信号の一部を所
定時間遅延させる少なくとも2つの遅延手段と、その遅
延された一部の音再生信号を、それぞれ他の前記音再生
信号に所定の割合で加算する少なくとも2つの加算手段
と、前記加算手段の出力信号を、複数の前記聴者に対し
て同時に、側方または後方からの音として聞こえるよう
に、前記加算手段の出力信号を複数個の信号に分割し、
それらの信号を異なる時間遅延させ、それら遅延された
信号を所定の割合で加算する加算器と、前記加算器から
の出力信号とは別の音信号を前記出力信号に加算する信
号加算手段とを具備したことを特徴とする音場信号再生
装置である。 【0015】 【作用】本発明は、入力手段が一つの音信号を入力し、
分割手段が、入力された音信号を少なくとも2つの音信
号に分割し、調整手段が、分割された音信号をそれぞれ
入力し、聴者に対して、音再生手段が再生する場所以外
場所からの音として聞こえるように、それらの音信号
の振幅及び遅延時間をそれぞれ調整し、音再生信号とし
て出力し、音再生手段が、音再生信号を所定の場所で音
に再生する。 【0016】 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。 【0017】図1は、本発明の第1の実施例における音
場信号再生装置のブロック図である。すなわち、視聴者
8から見てLchから再生されるべき信号ML(t)2及
び、視聴者8から見てRchから再生されるべき信号M
R(t)3の2つの信号は、それら2つの信号を処理するこ
とにより、後方から再生されるべき残響音や反射音等の
サラウンド信号S(t) を作成するサラウンド信号作成回
路1に入力される。サラウンド信号作成回路1には、ア
ナログ信号のサラウンド信号S(t)をディジタル信号に
変換するA/Dコンバータ21が接続され(A/Dコンバ
ータ21の入力端子が入力手段を構成する)、A/Dコン
バータ21の出力は2つの信号に分割されて(この分岐回
路が分割手段を構成する)、視聴者8に対して、左側方
または左後方に音が定位するように、頭部伝達関数を時
間領域でディジタル処理を行い実現する調整手段である
FIRフィルタ11,12に入力される。FIRフィルタ11,
12のhL(n)、hR(n)は視聴者8に対して前方のスピ−カ
を用いたときに、音が左側方または左後方に定位するよ
うにする頭部伝達関数を時間領域で表したインパルス応
答である。 【0018】FIRフィルタ11の出力信号ShL(n)は、
2つに分岐されて一方は加算器15に入力され、他方は遅
延器13を介して別の加算器16に入力され、FIRフィル
タ12の出力信号ShR(n)は、出力信号ShL(n)と同様2
つに分岐されて一方は加算器16に入力され、他方は遅延
器14を介して加算器15に入力されている。これら遅延手
段である遅延器13,14はDRAMなどを使用した循環メ
モリなどで構成され、入力されたディジタル信号をある
時間だけ遅延させるもので、τ1 は遅延時間をサンプリ
ング周期で割ったものを示している。 【0019】加算器15には遅延器17が接続され、その遅
延器17にはディジタル信号をアナログ信号に変換するD
/Aコンバータ24が接続されている。他方の加算器16に
は、遅延器18が接続され、その遅延器18にはD/Aコン
バータ25が接続されている。遅延器17のτ2 、遅延器18
のτ3は、τ1 と同様入力されたディジタル信号をある
時間だけ遅延させるもので、遅延時間をサンプリング周
期で割ったものを示している。又、遅延器17,18が信号
遅延手段を構成し、加算手段である加算器15,16は複数
の入力信号を任意の割合で加算するものである。 【0020】更にD/Aコンバータ24は加算器26に接続
され、加算器26はスピーカ4に接続され、加算器26には
信号ML(t)2が入力されている。又、D/Aコンバータ
25は加算器27に接続され、加算器27はスピーカ6に接続
され、加算器27には信号MR(t)3が入力されている。こ
れら加算器26,27が信号加算手段を構成し、スピーカ
4,6が音再生手段を構成している。 【0021】また、視聴者8の左側には第2の視聴者8-
1が位置し、視聴者8の右側には第3の視聴者8-2が位置
している。 【0022】次に、前方に置かれたスピ−カ4、6を用
いて視聴者8の左後方に音を定位させる方法について図
2を用いて説明を行う。 【0023】図2において1-1 は、サラウンド信号S
(t) を独立に発生させる発信器、h1(t)はスピ−カ4と
視聴者8の左耳の位置(正確にはスピーカ4にインパル
スを入力した時の鼓膜の位置での応答であるが、測定を
行う場合は耳道入口の位置で行う、以下同様)における
頭部伝達関数(以下、時間領域での説明を行うためイン
パルス応答と呼ぶ。但し、周波数領域で考えても同様の
結果が得られる)、h2(t)は、スピ−カ4と視聴者8の
右耳の位置におけるインパルス応答、h3(t)は、スピ−
カ6と視聴者8の左耳の位置におけるインパルス応答、
h4(t)は、スピ−カ6と視聴者8の右耳の位置における
インパルス応答、26は視聴者の左後方に配置されたスピ
−カ、h5(t)は、スピ−カ26と視聴者8の左耳の位置に
おけるインパルス応答、h6(t)は、スピ−カ26と視聴者
8の右耳の位置におけるインパルス応答である。図1と
同様の機能のものについては、同じ符号で示している。 【0024】このような構成において、まず、信号S
(t) をスピ−カ26から放射した場合、視聴者8の耳に到
達する音は、左耳L(t) では L(t) =S(t)*h5(t) ・・・(1) 右耳R(t) では R(t) =S(t)*h6(t) ・・・(2) (但し、*は畳込み演算を表している。)と表される
(実際は、スピ−カ自信の伝達関数などが掛け合わされ
ることとなるが、これは無視することとする。またスピ
−カ等の伝達関数がh5(t)、h6(t)に含まれていると考
えても良い)。 【0025】また、インパルス応答及び信号S(t) を時
間が離散的なディジタル信号として考え、それぞれ L(t) → L(n) R(t) → R(n) h5(t) → h5(n) h6(t) → h6(n) S(t) → S(n) (nは実際はnTで、Tはサンプリング時間を表すが一
般的にTを省略して表記する。また、nは自然数であ
る。)と表すと、式(1)、式(2)は次のようになる。 【0026】 【数1】【0027】 【数2】 【0028】ここでNは、インパルス応答h5(n)、h6
(n)の長さである。 【0029】また、同様に信号S(t) をスピ−カ4、6
から放射した場合、視聴者8に到達する音は、左耳L’
(t) では L’(t) =S(t)*hL(t)*h1(t) +S(t)*hR(t)*h3(t) ・・・(3) 右耳R’(t) では R’(t) =S(t)*hL(t)*h2(t) +S(t)*hR(t)*h4 (t) ・・・(4) と表され、同様にディジタル信号と考えると L’(n) =S(n) *hL(n)*h1(n) +S(n) *hR(n)*h3(n) ・・・(5) R’(n) =S(n) *hL(n)*h2(n) +S(n) *hR(n)*h4(n) ・・・(6) となる。 【0030】ここで頭部伝達関数が等しければ音が同方
向から聞こえるということを前提にする(音の聞こえて
来る方向の判断は、左耳及び右耳に到達する音の振幅の
差及び時間差などにより行われるので、この前提は一般
的に正しい)と、 L(n) =L’(n) ・・・(7) のとき、 h5(n) =hL(n)*h1(n) +hR(n)*h3(n) ・・・(8) R(n) =R’(n) ・・・(9) のとき、 h6(n) =hL(n)*h2(n) +hR(n)*h4(n) ・・・(10) となるので、スピーカ4とスピーカ6を用いて視聴者8
に対して左後方から聞こえるようにするためには、式
(8)と式(10)を満たすように、hL(n),hR(n)を決定す
れば良い。例えば、式(8)、式(10)を周波数領域の表現
で書き直すと、畳込み演算が乗算に代わり、後はそれぞ
れのインパルス応答をFFTして伝達関数にしたものに
なる。FIRフィルタ11,12の伝達関数2つ以外は測定
により得られることからFIRフィルタ11,12の伝達関
数をこの2つの式(8)、式(10)から求めることができ
る。このようにして決定されたhL(n),hR(n)を用い、
スピーカ4からは信号S(n)とhL(n)とを、スピーカ6
からは信号S(n)とhR(n)とを畳み込んだものを放射す
ることにより視聴者8は実際に後方のスピ−カ26を鳴ら
さなくても、後方から音が鳴っていると感じさせること
が可能となる。 【0031】ここで実際に畳込み演算を行うのはFIR
フィルタ11,12である。このFIRフィルタ11,12の基本
的な構成を図3に示す。図3において、信号を入力する
入力端子28に、信号をτ時間だけ遅延させる遅延素子29
が直列に接続され、それら遅延素子29の両端には、タッ
プ係数と呼ばれるものと入力信号の乗算を行う乗算器30
が接続されている。それら乗算器30の他端は、複数の入
力信号を加算する加算器31に接続され、その加算器31に
は加算された信号を出力する出力端子32が接続されてい
る。乗算器30のh(n) (n:0〜N−1)はタップ係数
として設定されたある特性を持つインパルス応答であ
る。通常このようなFIRフィルタは乗加算を高速に行
うDSPや専用LSIが用いられる。乗算器30には図の
ようにインパルス応答h(n)がタップ係数として設定さ
れ、遅延素子29にはアナログ信号をディジタル信号に変
換する際のサンプリング周波数に対応する遅延時間が設
定され、入力される信号に対してそれぞれ乗加算と遅延
を繰り返すことにより(数1)、(数2)で示したよう
な畳込み演算を実行する。従って、このFIRフィルタ
に信号を入力することにより、インパルス応答h(n)の特
性が入力信号に畳み込まれ、出力されることになる。以
上は、ディジタル信号の場合であるので、実際はこのF
IRフィルタの前にアナログ信号をディジタル信号に変
換するA/Dコンバ−タ及び後ろにディジタル信号をア
ナログ信号に変換するD/Aコンバ−タが必要である
(図2では省略している)。 【0032】次に図1を用いて本実施例についてその動
作を説明する。 【0033】通常VTR等から再生される2ch信号M
L(t)2、MR(t)3がサラウンド信号作成回路1に入力さ
れ、それら2つの信号に減算や加算等の演算を行うこと
により残響または反射音等のサラウンド信号S(t)が作
成され、A/Dコンバ−タ21によりこのサラウンド信号
S(t) がディジタル信号S(n)に変換される。このS(n)
を2つの信号に分割して、上述したように、視聴者8の
左側方または左後方に音を定位させるインパルス応答h
L(n),hR(n)をタップ係数として持つFIRフィルタ1
1、12にそれぞれ入力し、畳込み演算を行う。これらの
結果は、それぞれ2つに分岐され、一方はそのまま加算
器15、16に入力され、もう一方は遅延器13、14でそれぞ
れτ1の遅延がかけられ、それぞれ他方の加算器16、15
にそれぞれ入力され、ある一定の割合で加算される。つ
まり遅延されたものについては、遅延していないものと
は左右が逆に設定されている。このことにより遅延され
ていない信号ShL(n)、ShR(n)により、視聴者8に対
して左側方(または後方)に音が定位し、遅延のかかっ
た信号を左右逆にしたShR(n-τ1)、ShL(n-τ1)によ
り、視聴者8に対して左側方(または後方)の音からτ
1だけ遅れて右側方(または後方)に音が定位すること
になる。 【0034】このように、それぞれの信号に時間差(す
なわち、ShL(n)とShL(n-τ1)との間、ShR(n)とS
hR(n-τ1)との間)を与えることにより、左及び右の側
方(または後方)に音を定位するための信号を分離する
ことができ、側方または後方の定位感(ここでいう定位
感とは側方または後方で鳴っているという漠然とした感
覚を指し、通常使われているような明確な音像の定位を
指してはいない、以下同様)を明確にすることが可能と
なる。例えば通常サラウンド信号S(t)はモノラル信号
であるので、仮に上記とは逆に左右の信号に時間差を与
えず同時に音を提示した場合、音像がその中間に定位し
てしまう。それを回避するために、この遅延器15,16 に
より時間差を与えることが必要である(τ1は約 10msec
程度がよい)。 【0035】このようにして、視聴者8の左側及び右側
に音が定位するよう処理を行った後、遅延器17、18 に
より、それぞれτ2、τ3 の遅延がかけられる。ここ
で、例えばτ2 = τ3 であれば、視聴者8にとって最も
適した、つまり左右に音が定位した状態となり、τ2 >
τ3 であれば、第2の視聴者8-1 にとって最適であり、
τ2<τ3 であれば、第3の視聴者8-2 にとって最適な状
態となる。 【0036】このように遅延器17、18 によりそれぞれ
の信号に時間差を与えることにより、視聴者8以外の視
聴者に対しても左右の側方(または後方)に音を定位さ
せることができる(τ2とτ3 の時間差は約 1msec 以下
がよい)。 【0037】次に遅延器17、18 の出力信号はD/Aコ
ンバ−タ24、25 に入力され、ディジタル信号からアナ
ログ信号に変換され、その変換された信号とメイン信号
ML(t)2,MR(t)3がそれぞれ加算器26、27 に入力さ
れて加算され、スピ−カ4、6から出力される。ここで
メイン信号ML(t)2,MR(t)3と、以上のように処理さ
れたサラウンド信号S(t) の加算の割合を変化させるこ
とにより臨場感と自然さまたは視聴者の好みの調整が可
能となる。 【0038】このように、1人の視聴者8に対して、そ
の左側方(または後方)に音が定位するように処理する
2つのFIRフィルタ11,12のみを用いて(右側方また
は後方に音が定位するように処理するFIRフィルタを
用いなくても)、それぞれのFIRフィルタ11,12から
の出力に遅延をかけ左右逆に設定したものを加算するこ
とにより、視聴者の左右の側方(または後方)に音を定
位させることができる。 またこの加算後の信号の遅延
時間を調整するだけで、新たに他の視聴者8-1あるいは
視聴者8-2に対して処理するFIRフィルタ11,12を用い
なくても、他の視聴者8-1あるいは視聴者8-2に対して、
その左右の側方(または後方)に音を定位させることが
できる。またメイン信号との組合せで、より臨場感があ
る音響再生が可能となる。 【0039】なお、上記実施例では、音信号としてサラ
ウンド信号を用いて、視聴者の前方に配置されたスピー
カから再生した場合に、その音が視聴者の側方又は後方
から聞こえるように、調整手段によって振幅及び遅延時
間を調整したが、これに限らず、音信号として例えば一
般の録音された音信号などを用いて、それをスピーカで
再生させた場合に、その音がスピーカの配置された場所
以外から聞こえるように、調整手段によって振幅及び遅
延時間を調整して、スピーカの配置場所に関係なく、任
意の位置から音が聞こえるような装置として利用しても
よい。 【0040】また、上記実施例では、メイン信号ML(t)
2、MR(t)3及び、サラウンド信号の振幅及び遅延時間
が調整された信号の音再生信号は、それぞれ加算器26,2
7により加算し、それぞれ同じスピーカから再生した
が、これに代えて、メイン信号ML(t)2、MR(t)3を別
のスピーカでそれぞれ再生するようにしてもよい。 【0041】また、上記実施例では、調整手段は2つで
あったが、これに限らず、音信号を分割手段で、例えば
3つ以上に分割して3つ以上の調整手段で処理して、3
つ以上のスピーカで再生するようにしても勿論よい。 【0042】図4は、本発明の第2の実施例における音
場信号再生装置のブロック図である。すなわち、図1に
おける実施例との相違点は、加算器15,16とD/Aコン
バータ24,25の間に、3つに分割された信号のそれぞれ
に時間差を付けて遅延させる遅延器17,19-1,19,20-1,1
8,20-2,20,19-2と、それらの信号を任意の割合で加算す
る加算器22,23が設けられている。 【0043】次に、図4を用いて本実施例についてその
動作を説明する。 【0044】まず、第1の実施例と同様にして作成され
たサラウンド信号S(t) はA/Dコンバ−タ21に入力さ
れ、ディジタル信号S(n) に変換され、2つに分岐され
て、それぞれ視聴者8の左側方または左後方に音を定位
させるインパルス応答hL(n),hR(n) を持つFIRフィル
タ11,12 に入力する。そしてFIRフィルタ11,12 で処
理された信号はそれぞれ2つに分岐され、一方はそのま
まそれぞれ加算器15、16 へ入力され、もう一方はそれ
ぞれ遅延器13、14 へ入力され、τ1 の遅延をかけら
れ、それぞれ他方の加算器16、15 へ入力され加算され
る。ここまでは第1の実施例と同じ動作である。つま
り、加算器15、16 からの出力信号SL(n)、SR(n) をス
ピーカ4、6から出力することにより視聴者8に対して
左右の側方(または後方)に音を定位させることができ
る。 【0045】次に、加算器15,16から出力された信号SL
(n)、SR(n) はそれぞれ3つの信号に分岐されて、それ
ぞれ遅延器17,19,20-1,19-1,18,20,19-2,20-2 に入力さ
れ、それぞれτ2+τ3,τ4,τ5,τ3,τ4,τ2+τ5 の時間
だけ遅延される。 【0046】これら遅延された、信号SL(n-τ2-τ3)
と信号SR(n-τ3) をそれぞれスピーカ4、6から出力
することにより、第2の視聴者8-1 に対して左右の側方
(または後方)に音が定位し、また信号SL(n-τ5) と
信号SR(n-τ2-τ5) をそれぞれスピーカ4、6から出
力することにより、第3の視聴者8-2 に対して左右の側
方(または後方)に音が定位し、また信号SL(n-τ4)
と信号SR(n-τ4) をそれぞれスピーカ4、6から出力
することにより、視聴者8に対して左右の側方(または
後方)に音が定位する。 【0047】ここで視聴者8-1, 8-2 と視聴者8との距
離が大きいほどτ2 を大きくとった方が良いが、τ2 の
値は通常約1msec 以下が適当である。またτ3,τ4,τ5
の値を調整する事により、視聴者8、8-1、8-2 それぞ
れにとって最適な音(それぞれの視聴者に対してその左
右の側方(または後方)に定位する音)を分離すること
ができる。通常τ4 はτ3、τ5 よりも約15msec 以上小
さく、τ3 とτ5 は約20msec 程度の差があることが望
まれる。 【0048】信号SL(n-τ2-τ3),SL(n-τ4),SL(n-τ
5) は加算器22 で、信号SR(n-τ3),SR(n-τ4),SR(n-
τ2-τ5) は加算器23 で、任意の割合で加算される。例
えば、信号SL(n-τ4)とSR(n-τ4) を他の信号よりも
大きな割合で加算すると、視聴者8に対する音の劣化を
少なくすることが可能となる。つまり実際は視聴者8に
対して左側方または右側方等に定位させた信号は、第2
の視聴者8-1 及び第3の視聴者8-2 にとっては前方に定
位する信号となり、同様に第2、第3の視聴者にとって
左側方または右側方等に定位する音は、視聴者8にとっ
て前方に定位する音となるためである。これは、先に述
べたように遅延器19,19-1,19-2,20,20-1,20-2 の遅延時
間を調整することにより回避される。 【0049】そして加算器22,23 からの出力はそれぞれ
D/Aコンバ−タ24,25 に入力され、ディジタル信号か
らアナログ信号へ変換される。D/Aコンバ−タ24 の
出力信号及びメイン信号ML(t)2は加算器26 で加算さ
れてスピ−カ4から音として出力され、D/Aコンバ−
タ25 の出力信号及びメイン信号MR(t)3は加算器27で
加算されてスピ−カ6から音として出力される。これに
より、第1の実施例と同様にメイン信号は通常どおり前
方からの音として再生され、サラウンド信号はそれぞれ
の視聴者8、第2の視聴者8-1 、第3の視聴者8-2 に対
して、左側方(または後方)と右側方(または後方)か
らの音として再生されることとなり、第1の実施例と同
様の効果が得られる。 【0050】このように、1人の視聴者8に対してその
左右の側方または後方に音が定位するように処理する2
つのFIRフィルタ11,12のみを用いて、異なる視聴者8
-1,8-2に対してその左右の側方または後方に音が定位す
るように処理するFIRフィルタ11,12を用いなくて
も、FIRフィルタ11,12からの出力に遅延をかけて加
算することにより、複数の視聴者8,8-1,8-2に対して
その側方または後方にサラウンド音を定位させるように
再生することが可能である。またこのような構成をとる
ことにより、FIRフィルタの個数が2個だけでよく、
簡単な構成でサービスエリアの広い音響再生が可能とな
る。 【0051】なお、上記実施例では、信号SL(n)、SR
(n)をそれぞれ3つに分岐させたが、これに限らず、信
号SL(n)、SR(n)をそれぞれ4つ以上に分岐させて、そ
れぞれに遅延器を設け、それら遅延器の遅延時間を4人
以上の視聴者に対する音が最適となるように調整しても
よい。 【0052】また、上記実施例では、前方に配置するス
ピーカを2個としたが、2個以上のスピーカを前方に配
置して、側方または後方からの音として聞こえるように
構成してもよい。 【0053】 【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、再生する音が音再生手段の再生場所以外の場所
からの音として聞こえるようにできるという長所を有す
る。 【0054】また、音信号がサラウンド信号の場合、側
方又は後方の音再生手段がなくても側方又は後方からの
音として聞こえるようにできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施例の音場信号再生装置にお
けるブロック図である。 【図2】同実施例の前方に配置されたスピーカにより側
方または後方に音を定位させる方法を説明する図であ
る。 【図3】同実施例に用いるFIRフィルタを説明した図
である。 【図4】本発明の第2の実施例の音場信号再生装置にお
けるブロック図である。 【図5】従来の音場信号再生装置のブロック図である。 【符号の説明】 1 サラウンド信号作成回路 2 メイン信号ML(t) 3 メイン信号MR(t) 4 スピーカ(Lch) 5 スピーカ(センター) 6 スピーカ(Rch) 7 加算器 8 視聴者 8−1 第2の視聴者 8−2 第3の視聴者 9、10、26 スピーカ 11、12 FIRフィルタ 13、14、17、18、19、19−1、19−2、
20、20−1、20−2 遅延器 15、16、22、23、26、27 加算器 21 A/Dコンバータ 24、25 D/Aコンバータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 明久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−145100(JP,A) 特開 平4−30700(JP,A) 特開 平4−14999(JP,A) 特開 昭63−190500(JP,A) 特開 平2−296498(JP,A) 実開 昭55−100400(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04S 1/00 G10K 15/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 一つの音信号を入力する入力手段と、その入力された音
    信号を少なくとも2つの音信号に分割する分割手段と、
    その分割された音信号をそれぞれ入力し、音信号の振幅
    及び遅延時間をそれぞれ調整し、聴者に対し音再生手段
    以外の場所からの音として聞こえるように信号処理を行
    少なくとも2つの調整手段と、それぞれの調整手段に
    接続され、かつ送信されてくる音再生信号を所定の場所
    で音に再生する少なくとも2つの音再生手段とを有し、前記音再生手段は、前記音再生信号毎に、その音再生信
    号の一部を所定時間遅延させる少なくとも2つの遅延手
    段と、その遅延された一部の音再生信号を、それぞれ他
    の前記音再生信号に所定の割合で加算する少なくとも2
    つの加算手段と、前記加算手段の出力信号を、複数の前
    記聴者に対して同時に、側方または後方からの音として
    聞こえるように、前記加算手段の出力信号を複数個の信
    号に分割し、それらの信号を異なる時間遅延させ、それ
    ら遅延された信号を所定の割合で加算する加算器と、前
    記加算器からの出力信号とは別の音信号を前記出力信号
    に加算する信号加算手段とを具備した ことを特徴とする
    音場信号再生装置。
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