JPH06165296A - 音場信号再生装置 - Google Patents

音場信号再生装置

Info

Publication number
JPH06165296A
JPH06165296A JP4308544A JP30854492A JPH06165296A JP H06165296 A JPH06165296 A JP H06165296A JP 4308544 A JP4308544 A JP 4308544A JP 30854492 A JP30854492 A JP 30854492A JP H06165296 A JPH06165296 A JP H06165296A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound
signal
listener
adjusting means
signals
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4308544A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroko Numazu
浩子 沼津
Mitsuhiko Serikawa
光彦 芹川
Akihisa Kawamura
明久 川村
Masaharu Matsumoto
正治 松本
Akira Tagami
亮 田上
Mikio Oda
幹夫 小田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP4308544A priority Critical patent/JPH06165296A/ja
Publication of JPH06165296A publication Critical patent/JPH06165296A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Stereophonic System (AREA)
  • Reverberation, Karaoke And Other Acoustics (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Stereo-Broadcasting Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 実際に後方(または側方)にスピーカを配置
せずに、前方のスピーカのみで音質の劣化の無いサラウ
ンド効果を得る。 【構成】 聴者8の前方に配置された2個以上のスピ−
カ4,6を使用し、入力信号から作成された残響や反射
音等のサラウンド信号が聴者の側方または後方から来る
ように、聴者8の側方または後方から音が来たときの頭
部伝達関数をFIRフィルタ11、12により実現す
る。更に、そのときの聴者に対して音の来る方向に近い
側の耳へのインパルス応答(左耳の場合L(t)、右耳の
場合R(t))を前方のスピーカ4、6から聴者8の耳への
インパルス応答(左耳の場合h1(t)、右耳の場合h4
(t))と等しくなるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、AV(オ−ディオ・ビ
ジュアル)機器において、臨場感のある音響再生を行う
音場信号再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、映像・音響分野においてはVTR
の普及により映画を家庭で楽しむために大画面及び臨場
感のある音響再生が望まれ、これに対応するハ−ドウエ
アの開発が望まれている。
【0003】特にVTRの映画ソフトの音響では、映画
館で行われているように、側方または後方(あるいはこ
れらを組み合わせたもの)にスピ−カを配置して再生を
行うドルビ−・サラウンド方式が普及している。
【0004】また、現在開発が行われているハイビジョ
ンの音響再生方式は、前方3ch 、後方1ch の3-1 方式4
チャンネル・ステレオ再生が採用される公算が大きい。
【0005】図6は、従来の臨場感のある音響再生を行
う音場信号再生装置のブロック図である。
【0006】図6において、聴者8から見てLchから
再生されるべき信号ML(t)2(tは連続的な時間を表
し、信号が時間関数であることを示している、以下同
様)にはスピーカ4が接続され、聴者8から見てRch
から再生されるべき信号MR(t)3にはスピーカ6が接続
されている。それら2つの信号は、更にある比率で加算
する加算器7で加算され、聴者8の前方中央に配置され
たスピーカ5に出力される。
【0007】また、ML(t)2及びMR(t)3の2つの信号
は、それら2つの信号を処理することにより、後方から
再生されるべきサラウンド信号(入力された信号が通常
の部屋に於いてスピーカから放射された場合に生じる残
響音や反射音を指す)と呼ばれる残響音や反射音の信号
S(t)を作成するサラウンド作成回路1に入力されそ
の出力のサラウンド信号S(t)は、聴者の左右後方に
配置された2つのスピーカ9、10に入力される(信号
ML(t)2とMR(t)3は、通常ステレオ信号と呼ばれるも
のを指している。また先に述べたサラウンド信号S(t)
に対してこれらをメイン信号とも呼ぶ)。
【0008】以上のように構成された音場信号再生装置
の動作を図を用いて説明する。まず、図6の構成におい
て、通常VTR等から再生される2ch信号ML(t)2及
びMR(t)3がサラウンド信号作成回路1に入力され、そ
れら信号に減算や加算等の演算を行うことにより残響ま
たは反射音等のサラウンド信号S(t) が作成される。メ
イン信号ML(t)2及びMR(t)3は、それぞれスピーカ
4、6から再生され、サラウンド信号S(t) がスピ−カ
9、10から再生される。また、メイン信号ML(t)2及
びMR(t)3は加算器7によりある比率で加算され、その
加算された信号はスピ−カ5から再生される。
【0009】また、サラウンド信号作成回路1の代わり
にドルビ−・サラウンド・プロセッサなどと呼ばれるデ
コ−ダを使用することによりドルビ−・サラウンド用に
エンコ−ドして2chに記録された映画等の音響信号か
ら、画面に最適に作成された後方から再生されるサラウ
ンド信号S(t)と前方センタ−から再生される信号が得
られ、サラウンド信号S(t)はスピ−カ9、10から、
センタ−信号はスピ−カ5から再生される場合もある。
サラウンド信号S(t)は、例えば画面に写し出された部
屋の周囲の音(音声の反射音や、残響音)や、視聴者が
その画面中にいるとした場合の視聴者の後方で鳴るべき
音として付加される。
【0010】以上のように、通常前方2個のスピ−カを
使用した2chステレオ再生方式と比較し、これまでは
前方から聞こえていた音や聞こえなかった音が後方から
サラウンド音が付加されることにより、臨場感のある音
響再生が可能となる。また、このシステムでは前方にセ
ンタ−・スピ−カを配置し、メイン信号であるML(t)2
及びMR(t)3を適当なレベルで加算して再生することに
より、前方の音像の定位を明確にしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような構成では、再生する音が音再生手段の再生場所か
らの音として聞こえるため、サラウンド信号S(t)を再
生するために後方等の音再生手段であるスピ−カが必要
であり、またこのスピ−カを置くスペ−スが必要である
という課題があった。
【0012】本発明は、従来のこのような課題を考慮
し、再生する音が音再生手段の再生場所以外の場所から
の音として聞こえるようにできる音場信号再生装置を提
供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、一つの音信号
を入力する入力手段と、その入力された音信号を少なく
とも2つの音信号に分割する分割手段と、その分割され
た音信号をそれぞれ入力する少なくとも2つの調整手段
と、それぞれの調整手段に接続され、送信されてくる音
再生信号を所定の場所で音に再生する少なくとも2つの
音再生手段とを有し、調整手段は、聴者に対して、所定
の場所以外の場所からの音として聞こえるように、分割
された音信号の振幅及び遅延時間をそれぞれ調整し、音
再生信号として出力する音場信号再生装置である。
【0014】
【作用】本発明は、入力手段が一つの音信号を入力し、
分割手段が、入力された音信号を少なくとも2つの音信
号に分割し、調整手段が、分割された音信号をそれぞれ
入力し、聴者に対して、所定の場所以外の場所からの音
として聞こえるように、それら音信号の振幅及び遅延時
間をそれぞれ調整し、音再生信号として出力し、音再生
手段が、音再生信号を所定の場所で音に再生する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0016】図1は、本発明の第1の実施例における音
場信号再生装置のブロック図である。すなわち、聴者8
から見てLchから再生されるべき信号ML(t)2及び、
聴者8から見てRchから再生されるべき信号MR(t)3
の2つの信号は、それら2つの信号を処理することによ
り、後方から再生されるべき残響音や反射音等のサラウ
ンド信号S(t)を作成するサラウンド信号作成回路1に
入力される。サラウンド信号作成回路1には、アナログ
信号のサラウンド信号S(t)をディジタル信号に変換す
るA/Dコンバータ21が接続され(A/Dコンバータ21
の入力端子が入力手段を構成する)、A/Dコンバータ
21の出力は2つの信号に分割されて(この分岐回路が分
割手段を構成する)、聴者8に対して、左側方または左
後方に音が定位するように、頭部伝達関数を時間領域で
ディジタル処理を行い実現する調整手段であるFIRフ
ィルタ11,12に入力される。FIRフィルタ11,12のhL
(n)、hR(n)(nは実際はnTで、Tはサンプリング時
間を表すが一般的にTを省略して表記する。また、nは
自然数である。)はFIRフィルタ11、12にインパルス
を入力したときのインパルス応答である。
【0017】FIRフィルタ11の出力信号ShL(n)は、
2つに分岐されて一方は加算器15に入力され、他方は遅
延器13を介して別の加算器16に入力されFIRフィルタ
12の出力信号ShR(n)は、出力信号ShL(n)と同様2つ
に分岐されて一方は加算器16に入力され、他方は遅延器
14を介して加算器15に入力されている。これら遅延手段
である遅延器13、14はDRAMなどを使用した循環メモ
リなどで構成され、入力されたディジタル信号をある時
間だけ遅延させるもので、τ1は遅延時間をサンプリン
グ周期で割ったものを示している。
【0018】加算器15にはディジタル信号をアナログ信
号に変換するD/Aコンバータ17が接続されている。他
方の加算器16には、D/Aコンバータ18が接続されてい
る。また、加算手段である加算器15、16は複数の入力信
号を任意の割合で加算するものである。
【0019】更に、D/Aコンバータ17は加算器19に接
続され、加算器19はスピーカ4に接続され、加算器19に
は信号ML(t)2が入力されている。また、D/Aコンバ
ータ18は加算器20に接続され、加算器20はスピーカ6に
接続され、加算器20には信号MR(t)3が入力されてい
る。これら加算器19、20が信号加算手段を構成し、スピ
ーカ4、6が音再生手段を構成している。
【0020】次に、前方に置かれたスピ−カ4、6を用
いて聴者8の左後方に音を定位させる方法について図2
を用いて説明を行う。
【0021】図2において1-1 は、サラウンド信号S
(t) を独立に発生させる発信器、h1(t)はスピ−カ4と
聴者8の左耳の位置(正確にはスピーカ4にインパルス
を入力した時の鼓膜の位置での応答であるが、測定を行
う場合は耳道入口の位置で行う、以下同様)における頭
部伝達関数(以下、時間領域での説明を行うためインパ
ルス応答と呼ぶ。但し、周波数領域で考えても同様の結
果が得られる。また、インパルス応答をフーリエ変換し
て周波数特性に変換したものを伝達関数と呼ぶ。)、h
2(t)は、スピ−カ4と聴者8の右耳の位置におけるイン
パルス応答、h3(t)は、スピ−カ6と聴者8の左耳の位
置におけるインパルス応答、h4(t)は、スピ−カ6と聴
者8の右耳の位置におけるインパルス応答、27は聴者の
左後方に配置されたスピ−カ、h5(t)は、スピ−カ27と
聴者8の左耳の位置におけるインパルス応答、h6(t)
は、スピ−カ27と聴者8の右耳の位置におけるインパル
ス応答である。他の図1、図6と同様の機能のものにつ
いては、同じ番号で示した。
【0022】このような構成において、信号S(t) をス
ピ−カ27から放射した場合、聴者8の耳に到達する音
は、左耳L(t) では、
【0023】
【数1】
【0024】右耳R(t) では、
【0025】
【数2】
【0026】と表される(実際には、スピ−カ自身のイ
ンパルス応答なども畳み込まれることとなるが、これは
無視することとする。またスピ−カ等のインパルス応答
がh5(t)、h6(t)に含まれていると考えても良い)。
【0027】また、インパルス応答及び信号S(t) を時
間が離散的なディジタル信号として考え、それぞれ L(t) → L(n) R(t) → R(n) h5(t) → h5(n) h6(t) → h6(n) S(t) → S(n) と表すと、(数1)、(数2)は次のようになる。
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
【0030】ここでNは、インパルス応答h5(n)、h6
(n)の長さである。また、同様に信号S(t) がスピ−カ
4、6から放射した場合、聴者8に到達する音は、左耳
L’(t) では、
【0031】
【数5】
【0032】右耳R’(t) では、
【0033】
【数6】
【0034】と表され、同様に、
【0035】
【数7】
【0036】
【数8】
【0037】となる。ここで、頭部伝達関数が等しけれ
ば音が同方向から聞こえるということを前提にする(こ
の前提は一般的に正しい)と、
【0038】
【数9】
【0039】のとき、
【0040】
【数10】
【0041】
【数11】
【0042】のとき、
【0043】
【数12】
【0044】となるので、スピーカ4とスピーカ6を用
いて、聴者8に対して左後方から聞こえるようにするた
めには、(数10)と(数12)を満たすように、hL
(n),hR(n)を決定すれば良い。例えば、(数10)、
(数12)を周波数領域の表現で書き直すと、畳込み演
算が乗算に代わり、後はそれぞれのインパルス応答をF
FTして伝達関数にしたものになる。FIRフィルタ1
1、12のインパルス応答以外は測定により得られることか
らFIRフィルタ11、12のインパルス応答をこの2つの
(数10)、(数12)から求めることができる。この
ようにして決定されたhL(n),hR(n)を用い、スピーカ
4からは信号S(n)とhL(n)とを、スピーカ6からは信
号S(n)とhR(n)とを畳み込んだものを放射することに
より、聴者8は実際に後方のスピ−カ27を鳴らさなくて
も、後方から音が鳴っていると感じさせることが可能と
なる。
【0045】ここで実際に畳込み演算を行うのはFIR
フィルタ11、12である。このFIRフィルタ11、12の基
本的な構成を図3に示す。図3において、信号を入力す
る入力端子22に、信号をτ時間だけ遅延させる遅延素子
23が直列に接続され、それら遅延素子23の両端には、タ
ップ係数と呼ばれるものと入力信号の乗算を行う乗算器
24が接続されている。それら乗算器24の他端は、複数の
入力信号を加算する加算器25に接続され、その加算器25
には加算された信号を出力する出力端子26が接続されて
いる。乗算器24のh(n) (n:0 〜 N−1)はタップ
係数として設定されたある特性を持つインパルス応答で
ある。通常このようなFIRフィルタは乗加算を高速に
行うDSPや専用LSIが用いられる。乗算器24には図
のようにインパルス応答h(n)がタップ係数として設定
され、遅延素子23にはアナログ信号をディジタル信号に
変換する際のサンプリング周波数に対応する遅延時間が
設定され、入力される信号に対してそれぞれ乗加算と遅
延を繰り返すことにより(数3)、(数4)で示したよ
うな畳込み演算を実行する。従って、このFIRフィル
タに信号を入力することにより、インパルス応答h(n)の
特性が入力信号に畳み込まれ、出力されることなる。以
上は、ディジタル信号の場合であるので、実際はこのF
IRフィルタの前にアナログ信号をディジタル信号に変
換するA/Dコンバ−タ及び後ろにディジタル信号をア
ナログ信号に変換するD/Aコンバ−タが必要である
(図3では省略している)。
【0046】次に図1を用いて本実施例についてその動
作を説明する。通常VTR等から再生される2ch信号
ML(t)2、MR(t)3がサラウンド信号作成回路1に入力
され、それら2つの信号に減算や加算等の演算を行うこ
とにより残響または反射音等のサラウンド信号S(t)が
作成され、A/Dコンバ−タ21によりこのサラウンド信
号S(t) がディジタル信号S(n)に変換される。このS
(n)を2つの信号に分割して、上述したように、聴者8
の左側方または左後方に音を定位させるインパルス応答
hL(n),hR(n)をタップ係数として持つFIRフィルタ
11、12に入力し、畳込み演算を行う。これらの結果は、
それぞれ2つに分岐され、一方はそのまま加算器15、16
に入力され、もう一方は遅延器13、14でそれぞれτ1の
遅延がかけられ、加算器16、15にそれぞれ入力され、あ
る一定の割合で加算される。つまり遅延されたものにつ
いては、遅延していないものとは左右が逆に設定されて
いる。このことにより遅延されていない信号ShL(n)、
ShR(n)により、聴者8に対して左側方(または後方)
に音が定位し、遅延のかかった信号を左右逆にしたSh
R(n-τ1)、ShL(n-τ1)により、聴者8に対して左側方
(または後方)の音からτ1だけ遅れて右側方(または
後方)に音が定位することになる。
【0047】このように、それぞれの信号に時間差(す
なわち、ShL(n)とShL(n-τ1)との間、ShR(n)とS
hR(n-τ1)との間)を与えることにより、左及び右の側
方(または後方)に音を定位するための信号を分離する
ことができ、側方または後方の定位感(ここでいう定位
感とは側方または後方で鳴っているという漠然とした感
覚を指し、通常使われているような明確な音像の定位を
指してはいない、以下同様)を明確にすることが可能と
なる。例えば通常サラウンド信号S(t)はモノラル信号
であるので、仮に上記とは逆に左右の信号に時間差を与
えず同時に音を提示した場合、音像がその中間に定位し
てしまう。それを回避するために、この遅延器13、14
が必要である(τ1は約 10msec 程度がよい。)。
【0048】次に加算器15、16の出力信号はD/Aコン
バ−タ17、18 に入力され、ディジタル信号からアナロ
グ信号に変換され、その変換された信号とメイン信号M
L(t)2,MR(t)3がそれぞれ加算器19、20 に入力され
て加算され、スピ−カ4、6から出力される。ここでメ
イン信号ML(t)2,MR(t)3と、以上のように処理され
たサラウンド信号S(t) の加算の割合を変化させること
により臨場感と自然さまたは聴者の好みの調整が可能と
なる。
【0049】このように、聴者8に対してその左側方
(または後方)に音が定位するように処理する2つのF
IRフィルタ11、12のみを用いて(右側方または後方に
音が定位するように処理するFIRフィルタを用いなく
ても)、それぞれのFIRフィルタ11、12からの出力に
遅延をかけ左右逆に設定したものを加算することによ
り、聴者の左右の側方(または後方)に音を定位させる
ことができる。また、メイン信号との組み合わせで、よ
り臨場感がある音響再生が可能となる。
【0050】また、上記実施例では、メイン信号ML(t)
2、MR(t)3及び、サラウンド信号の振幅及び遅延時間
が調整された信号の音再生信号は、それぞれ加算器19、2
0により加算し、それぞれ同じスピーカから再生した
が、これに代えて、メイン信号ML(t)2、MR(t)3を別
のスピーカでそれぞれ再生するようにしてもよい。
【0051】また、上記実施例では、調整手段は2つで
あったが、これに限らず、音信号を分割手段で、例えば
3つ以上に分割して3つ以上の調整手段で処理して、3
つ以上のスピーカで再生するようにしても勿論よい。
【0052】次に、本発明の第2の実施例について図面
を参照しながら説明する。第1の実施例との相違点は、
図1におけるFIRフィルタ11、12にある。第1の相違
点は、FIRフィルタ11,12で処理された信号をスピー
カ4、6から出力したとき、聴者8にとって音の聞こえ
てきた方向に近い側での耳(すなわち、音を左側方に定
位させた場合には聴者8の左耳、音を右側方に定位させ
た場合には聴者8の右耳)の位置での特性と、信号S
(t)を聴者8にとって前述の側でのスピーカ(すなわ
ち、音を左側方に定位させた場合にはスピーカ4、音を
右側方に定位させた場合にはスピーカ6)からそのまま
出力したときの、聴者8にとって前述の側での耳の位置
での特性とが等しくなるような処理を、FIRフィルタ
11、12が行うことである。また、第2の相違点は、信号
S(t)をFIRフィルタ11,12で処理した信号をスピーカ
4、6から出力したときの聴者8の両耳での振幅周波数
特性の差が、信号S(t)をスピーカ27から出力したとき
の聴者8の両耳での振幅周波数特性の差と等しくなるよ
うな処理をFIRフィルタ11、12が行うことである。
【0053】次に、本発明の第2の実施例において、前
方に置かれたスピーカ4、6を用いて、聴者8の左側方
に音を定位させる方法について図4を用いて説明を行
う。
【0054】図2における実施例との相違点はFIRフ
ィルタ11,12のインパルス応答がそれぞれh'L(T)、h'R
(t)となっている点である。また、信号S(t)をFIRフ
ィルタ11、12で処理した信号をスピーカ4、6から出力
したときの、発振器1ー1から聴者8の左耳の位置までの
インパルス応答をL(t)とし、発振器1ー1から聴者8の右
耳の位置までのインパルス応答をR(t)とする。
【0055】このような構成において、インパルス応答
L(t)と、信号S(t)をFIRフィルタ11を通さずにスピ
ーカ4から出力したときの、信号S(t)から聴者8の左
耳の位置までのインパルス応答h1(t)とを等しくするた
めには、
【0056】
【数13】
【0057】が、満たされなければならない。また、イ
ンパルス応答L(t)、R(t)の振幅周波数特性の差が、信
号S(t)をスピーカ27から出力したときの信号S(t)から
聴者8の両耳の位置までのインパルス応答の両耳間での
振幅周波数特性の差と等しくなるためには、
【0058】
【数14】
【0059】が、満たされなければならない(ここで、
Fはフーリエ変換を表し、時間領域から周波数領域への
変換を示す。)。また、このときのインパルス応答R
(t)は、
【0060】
【数15】
【0061】となることが、(数14)より導かれる。
(ここで、Fー1は逆フーリエ変換を表し、周波数領域か
ら時間領域への変換を示す。)また、インパルス応答L
(t)は、
【0062】
【数16】
【0063】インパルス応答R(t)は、
【0064】
【数17】
【0065】で表されるので、(数13)(数16)よ
り、
【0066】
【数18】
【0067】(数15)(数17)より、
【0068】
【数19】
【0069】が導かれ、(数13)と(数15)を満た
すということは、(数18)、(数19)を満たすこと
と同等である。
【0070】つまり、第2の実施例において、スピーカ
4、6を用いて聴者8に対して左側方から聞こえるよう
にするためには、(数18)と(数19)を満たすよう
に、h'L(T)、h'R(t)を決定すれば良い。
【0071】このように、左側方に音源が存在するとき
の聴者の頭部伝達関数の両耳間振幅周波数特性差を、前
方の2つのスピーカで実現することにより、聴者に対し
て左側方からサラウンド信号が聞こえるようにでき、ま
たそれと同時に、そのときの聴者の左耳への伝達関数を
前方のスピーカから聴者の左耳への伝達関数と等しくな
るようにすることにより、前方に定位しているメイン信
号と左側方に定位しているサラウンド信号との音質の差
を無くすことができる。つまり、サラウンド信号を、音
質を劣化させることなく聴者の左側方に定位させること
ができるため、また前方に定位させたメイン信号と同等
の音質であるため、より自然な広がり感と臨場感を得る
ことができる。
【0072】なお、上記実施例では聴者に対して左側方
にサラウンド信号を定位させたが、右に定位させる場合
には、同様に、
【0073】
【数20】
【0074】
【数21】
【0075】が、導かれ、(数20)と(数21)を満
たすように、h'L(T)、h'R(t)を決定すれば良い。
【0076】次に、本発明の第3の実施例について図面
を参照しながら説明する。第2の実施例との相違点は、
図1におけるFIRフィルタ11、12にある。すなわち、
信号S(t)をFIRフィルタ11,12で処理した信号をスピ
ーカ4、6から出力したときの聴者8の両耳間の音波到
達時間差及び音波到達レベル差が、信号S(t)をスピー
カ27から出力したときの聴者8の両耳間の音波到達時間
差及び音波到達レベル差と等しくなるような処理をFI
Rフィルタ11、12が行うことである。
【0077】次に、本発明の第3の実施例において、前
方に置かれたスピーカ4、6を用いて、聴者8の左側方
に音を定位させる方法について図5を用いて説明を行
う。
【0078】図4における実施例との相違点はFIRフ
ィルタ11,12のインパルス応答がそれぞれh''L(T)、
h''R(t)となっている点である。第2の実施例と同様、
信号S(t)をFIRフィルタ11、12で処理した信号をスピ
ーカ4、6から出力したときの、発振器1ー1から聴者8
の左耳の位置までのインパルス応答をL(t)とし、発振
器1ー1から聴者8の右耳の位置までのインパルス応答を
R(t)とする。
【0079】このような構成において、インパルス応答
L(t)と、信号S(t)をFIRフィルタ11を通さずにスピ
ーカ4から出力したときの、信号S(t)から聴者8の左
耳の位置までのインパルス応答h1(t)とを等しくするた
めには、
【0080】
【数22】
【0081】が、満たされなければならない。また、イ
ンパルス応答L(t)、R(t)それぞれのピークの時間の差
及びピークレベルの差が、信号S(t)をスピーカ27から
出力したときの信号S(t)から聴者8の両耳の位置まで
のインパルス応答の両耳間でのピークの時間の差τ及び
ピークレベルの差αと等しくなるためには、
【0082】
【数23】
【0083】が、満たされなければならない。(ここ
で、τは信号S(t)をスピーカ27から出力したときの左
耳への到達時間から右耳への到達時間を引いたものであ
り、αは右耳への到達レベルを左耳への到達で割ったも
のである。通常左側方にスピーカ27がある場合、τ≦
0、α≦1である。)また、インパルス応答L(t)は、
【0084】
【数24】
【0085】インパルス応答R(t)は、
【0086】
【数25】
【0087】で表されるので、(数22)(数24)よ
り、
【0088】
【数26】
【0089】(数23)(数25)より、
【0090】
【数27】
【0091】が導かれ、(数22)(数23)を満たす
ということは、(数26)(数27)を満たすことと同
等である。
【0092】つまり、第3の実施例において、スピーカ
4、6を用いて聴者8に対して左側方から聞こえるよう
にするためには、(数26)(数27)を満たすよう
に、h''L(T)、h''R(t)を決定すれば良い。
【0093】このように、左側方に音源が存在するとき
の聴者の両耳間の音波到達時間差及び音波到達レベル差
を、前方の2つのスピーカで実現することにより、聴者
に対して左側方からサラウンド信号が聞こえるようにで
き、またそれと同時に、そのときの聴者の左耳への伝達
関数を前方のスピーカから聴者の左耳への伝達関数と等
しくなるようにすることにより、前方に定位しているメ
イン信号と左側方に定位しているサラウンド信号との音
質の差を無くすことができる。つまり、サラウンド信号
を、音質を劣化させることなく聴者の左側方に定位させ
ることができるため、また前方に定位させたメイン信号
と同等の音質であるため、より自然な広がり感と臨場感
を得ることができる。
【0094】なお、上記実施例では聴者に対して左側方
にサラウンド信号を定位させたが、右に定位させる場合
には、同様に、
【0095】
【数28】
【0096】
【数29】
【0097】が、導かれ、(数28)(数29)を満た
すように、h''L(T)、h''R(t)を決定すれば良い。
【0098】なお、上記第1、第2、第3の実施例で
は、音信号としてサラウンド信号を用いて、聴者の前方
に配置されたスピーカから再生した場合に、その音が聴
者の側方または後方から聞こえるように、調整手段によ
って振幅及び遅延時間を調整したが、サラウンド信号に
限らず、音信号として例えば一般の録音された音信号な
どを用いて、それをスピーカの配置場所に関係なく、任
意の位置から音が聞こえるような装置として利用しても
よい。
【0099】
【発明の効果】以上のように本発明は、サラウンド信号
等が聴者の側方または後方からから来る如く聴者が感じ
るように構成したため、聴者の前方に配置された2個以
上のスピ−カにより聴者の両耳における音の振幅と遅延
時間を調整することにより、側方または後方に実際にス
ピ−カを配置させて音を放射した場合と同様の音響効果
を得ることが可能となる。
【0100】更にその調整の際、聴者にとって音が到来
する方向に近い側の耳への伝達関数を、スピーカから聴
者の前述の耳への伝達関数と等しくなるように調整する
ことにより、音質を劣化させることなく聴者の側方また
は後方に定位させることができる。
【0101】また、メイン信号との組み合わせにより臨
場感のある音響効果を得ることが可能となり、そのとき
側方または後方に定位させた音の音質が、前方に定位さ
せたメイン信号と同等の音質であるため、より自然な広
がり感と臨場感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるブロック図
【図2】前方に配置されたスピーカにより側方または後
方に音を定位させる方法を説明した図
【図3】FIRフィルタを説明した図
【図4】本発明の第2の実施例において前方に配置され
たスピーカにより左側方に音を定位させる方法を説明し
た図
【図5】本発明の第3の実施例において前方に配置され
たスピーカにより左側方に音を定位させる方法を説明し
た図
【図6】従来の音場信号再生装置のブロック図
【符号の説明】
1 サラウンド作成回路 2 Lch信号 3 Rch信号 4 Lchスピーカ 5 センタースピーカ 6 Rchスピーカ 7、15、16、19、20、25 加算器 8 聴者 9、10、27 スピーカ 11、12 FIRフィルタ 13、14、23 遅延器 21 A/Dコンバータ 17、18 D/Aコンバータ 22 入力端子 24 乗算器 26 出力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04R 3/04 7346−5H 3/14 7346−5H (72)発明者 松本 正治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 田上 亮 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小田 幹夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一つの音信号を入力する入力手段と、その
    入力された音信号を少なくとも2つの音信号に分割する
    分割手段と、その分割された音信号をそれぞれ入力する
    少なくとも2つの調整手段と、それぞれの調整手段に接
    続され、送信されてくる音再生信号を所定の場所で音に
    再生する少なくとも2つの音再生手段とを有し、前記調
    整手段は、聴者に対して、前記所定の場所以外の場所か
    らの音として聞こえるように、前記分割された音信号の
    振幅及び遅延時間をそれぞれ調整し、前記音再生信号と
    して出力することを特徴とする音場信号再生装置。
  2. 【請求項2】調整手段は、この調整手段から出力された
    音再生信号を所定の場所で音再生手段にて再生したとき
    の聴者の両耳の位置でのそれぞれの特性が、前記所定の
    場所以外に実際に音源を置いて前記音信号を再生したと
    きの聴者の両耳の位置でのそれぞれの特性と等しくなる
    ように、分割された音信号の振幅及び遅延時間をそれぞ
    れ調整することを特徴とする請求項1記載の音場信号再
    生装置。
  3. 【請求項3】調整手段は、この調整手段から出力された
    音再生信号を所定の場所で音再生手段にて再生したとき
    に聴者にとって音の聞こえてきた方向に近い側の耳の位
    置での特性が、分割された音信号を調整手段を通さずに
    前記所定の場所で前記音再生手段にて再生したときの聴
    者の同じ側の耳の位置での特性と等しくなるように、前
    記分割された音信号の振幅及び遅延時間をそれぞれ調整
    することを特徴とする請求項1記載の音場信号再生装
    置。
  4. 【請求項4】調整手段は、この調整手段から出力された
    音再生信号を所定の場所で音再生手段にて再生したとき
    の聴者の両耳の位置でのそれぞれの振幅周波数特性の差
    が、前記所定の場所以外に実際に音源を置いて前記音信
    号を再生したときの聴者の両耳の位置でのそれぞれの振
    幅周波数特性の差と等しくなるように、分割された音信
    号の振幅及び遅延時間をそれぞれ調整することを特徴と
    する請求項1または請求項3記載の音場信号再生装置。
  5. 【請求項5】調整手段は、調整手段から出力された音再
    生信号を所定の場所で音再生手段にて再生したときの聴
    者の両耳の位置でのそれぞれの音圧差と到達時間差が、
    前記所定の場所以外に実際に音源を置いて音信号を再生
    したときの聴者の両耳の位置でのそれぞれの音圧差と到
    達時間差とそれぞれ等しくなるように、分割された音信
    号の振幅及び遅延時間をそれぞれ調整することを特徴と
    する請求項1または請求項3記載の音場信号再生装置。
JP4308544A 1992-11-18 1992-11-18 音場信号再生装置 Pending JPH06165296A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4308544A JPH06165296A (ja) 1992-11-18 1992-11-18 音場信号再生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4308544A JPH06165296A (ja) 1992-11-18 1992-11-18 音場信号再生装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06165296A true JPH06165296A (ja) 1994-06-10

Family

ID=17982309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4308544A Pending JPH06165296A (ja) 1992-11-18 1992-11-18 音場信号再生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06165296A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5862228A (en) * 1997-02-21 1999-01-19 Dolby Laboratories Licensing Corporation Audio matrix encoding
US6449368B1 (en) 1997-03-14 2002-09-10 Dolby Laboratories Licensing Corporation Multidirectional audio decoding

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5862228A (en) * 1997-02-21 1999-01-19 Dolby Laboratories Licensing Corporation Audio matrix encoding
US6449368B1 (en) 1997-03-14 2002-09-10 Dolby Laboratories Licensing Corporation Multidirectional audio decoding

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0553832B1 (en) Sound field controller
KR100608025B1 (ko) 2채널 헤드폰용 입체 음향 생성 방법 및 장치
EP0637191B1 (en) Surround signal processing apparatus
KR0175515B1 (ko) 테이블 조사 방식의 스테레오 구현 장치와 방법
JP2000506691A (ja) 収音及び再生システム
JP2982627B2 (ja) サラウンド信号処理装置及び映像音声再生装置
JP2966181B2 (ja) 音場信号再生装置
JP5038145B2 (ja) 定位制御装置、定位制御方法、定位制御プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体
JPH07288899A (ja) 音場再生装置
JP2007336080A (ja) 音響補正装置
JPH05207597A (ja) 音場再生装置
JPH07222297A (ja) 音場再生装置
JPH06165296A (ja) 音場信号再生装置
JP2966176B2 (ja) 音場信号再生装置
JP2003061196A (ja) ヘッドホン再生装置
JP2985557B2 (ja) サラウンド信号処理装置
JP2947456B2 (ja) サラウンド信号処理装置及び映像音声再生装置
JP2945232B2 (ja) 音像定位制御装置
JPH1014000A (ja) 音響再生装置
JPH07203595A (ja) 音場信号再生装置
US11924623B2 (en) Object-based audio spatializer
US11665498B2 (en) Object-based audio spatializer
JPH08280100A (ja) 音場再生装置
JPH06303699A (ja) 音場再生装置
JPS5814798B2 (ja) 立体音場拡大装置