JP3090046B2 - 燃料蒸気処理装置の故障診断装置 - Google Patents

燃料蒸気処理装置の故障診断装置

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JP3090046B2
JP3090046B2 JP08159975A JP15997596A JP3090046B2 JP 3090046 B2 JP3090046 B2 JP 3090046B2 JP 08159975 A JP08159975 A JP 08159975A JP 15997596 A JP15997596 A JP 15997596A JP 3090046 B2 JP3090046 B2 JP 3090046B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は燃料タンクで発生
する燃料蒸気(fuel vapor)を大気中へ放出させることな
く捕集して処理するようにした燃料蒸気処理装置に関す
る。詳しくは、燃料蒸気を捕集するためのキャニスタ
と、そのキャニスタで捕集された燃料をエンジンの吸気
通路へ適宜にパージさせるための手段とを備えた燃料蒸
気処理装置であって、その装置に係る故障を診断するよ
うにした故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両等に搭載される装置の一つと
して、燃料タンクの中で発生する燃料蒸気を大気中に放
出させることなく捕集して処理するようにした燃料蒸気
処理装置がある。図14に示すように、この種の装置は
燃料タンク71で発生する燃料蒸気をベーパライン72
を通じて捕集するキャニスタ73を有する。キャニスタ
73は活性炭等よりなる吸着剤74を内蔵する。キャニ
スタ73から延びるパージライン75はエンジン76の
吸気通路77に連通する。キャニスタ73はベーパライ
ン72より導入された燃料蒸気を吸着剤74に一旦吸着
させる。キャニスタ73は燃料のみを捕集した上で燃料
成分、特に炭化水素(HC)を含まない気体だけを連通
孔78から外部へ排出する。更に、エンジン76の運転
時には、キャニスタ73は一旦捕集した燃料をパージラ
イン75を通じて吸気通路77へパージさせる。パージ
ライン75に設けられたパージ制御弁79はパージライ
ン75を通過する燃料量をエンジン76の必要性に応じ
て調整する。
【0003】ところで、この種の処理装置において、万
が一何らかの理由でベーパライン72が破損したり、そ
の配管の接続が外れたりする等の故障が発生した場合に
は、処理装置内部の気密性が低下するおそれがある。こ
の結果、燃料蒸気を所期の狙い通りに適正に処理できな
くなるおそれがある。
【0004】そこで、特開平6−108930号公報は
上記のような故障を診断するための装置を開示する。図
15に示すように、この故障診断装置が対象とする燃料
蒸気処理装置は燃料タンク81、キャニスタ82、ベー
パライン83及びパージライン84等を有する。パージ
ライン84はキャニスタ82を吸気通路80に連通させ
る。パージライン84の途中に設けられたパージVSV
(パージ制御弁)85はエンジンの運転時に電子制御装
置(ECU)86により制御されて開かれる。ベーパラ
イン83の途中に設けられたベーパ制御弁87は燃料タ
ンク81からキャニスタ82へ向かう燃料蒸気の流入を
調整する。この制御弁87はチェックボールを含む逆止
弁よりなり、燃料タンク81の側の内圧とキャニスタ8
2の側の内圧との差に基づき開かれる。この制御弁87
が開かれることにより、燃料タンク81からキャニスタ
82への燃料蒸気の流入が許容される。ベーパライン8
3に対し、ベーパ制御弁87を迂回する通路に設けられ
た別の制御弁90は、ECU86により制御される。ベ
ーパ制御弁87が閉じているときに、この制御弁90が
開かれることにより、燃料タンク81で発生する燃料蒸
気がキャニスタ82へ流れる。診断装置はベーパ制御弁
87を境としてタンク側の内圧と、キャニスタ側の内圧
とを各々個別に検出することを可能にした圧力センサ8
8を有する。即ち、圧力センサ88に接続された三方切
換弁89は他の二つのポートがベーパ制御弁87を境に
して燃料タンク81の側のベーパライン83と、キャニ
スタ82の側のベーパライン83とにつながる。ECU
86がこの三方切換弁89を必要に応じて切り換えるこ
とにより、圧力センサ88がタンク側内圧とキャニスタ
側内圧をそれぞれ検出する。ECU86は検出されたタ
ンク側内圧の値とキャニスタ側内圧の値とに基づき、タ
ンク側の気密性とキャニスタ側の気密性とをそれぞれ個
別に診断する。
【0005】ここで、タンク側の気密性を診断するため
の原理を説明する。制御弁90が閉じた状態で、燃料タ
ンク81で燃料蒸気が発生することにより、タンク側内
圧は所定の基準値以上となる。ここで、ベーパライン8
3に孔等が有ると、タンク側内圧が所定の基準値以上に
上昇することはない。従って、圧力センサ88により検
出されるタンク側内圧の値が基準値以上であるか否かを
ECU86が判断することにより、タンク側の気密性を
診断することができる。
【0006】キャニスタ側の気密性を診断するための原
理を説明する。エンジンの運転時にパージ制御弁85を
開くことにより、吸気通路80で発生する負圧がパージ
ライン84を通じてキャニスタ82に導入される。制御
弁90が閉じた状態で、キャニスタ側内圧は所定の基準
値以下となる。ここで、パージライン84に孔等が有る
と、キャニスタ側内圧の値が基準値以下に低下すること
はない。従って、圧力センサ88により検出されるキャ
ニスタ側内圧の値が基準値以下であるか否かをECU8
6が判断することにより、キャニスタ側の気密性を診断
することができる。
【0007】上記公報の診断装置では、パージ制御弁8
5が単に選択的に開閉されることを前提とし、燃料蒸気
の処理と、その処理装置の診断が行われる。これに対
し、パージ制御弁85の開度を所要のデューティ比に基
づきデューティ制御することにより、燃料蒸気の処理及
びその処理装置の診断を行うことが考えられる。パージ
制御弁85の開度をデューティ制御することにより、キ
ャニスタ82から吸気通路80へパージされる燃料量を
適宜に調整することが可能になる。このことは、吸気通
路80にパージされる燃料量をエンジンの必要性に応じ
て調整できることを意味する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報の
診断装置において、車両の走行時にその振動に起因して
ベーパ制御弁87の中のチェックボールが振動すること
により、即ち誤動作することにより、同制御弁87が断
続的に開いてタンク側内圧が脈動を伴って変化すること
がある。ここで、上記診断装置が対象とする燃料蒸気処
理装置において、パージ制御弁85をデューティ制御す
るようにした場合、キャニスタ側の故障を診断する際、
キャニスタ82に負圧を導入すべくパージ制御弁85が
デューティ制御される。このため、例えば、キャニスタ
側の気密性を診断するときには、キャニスタ側内圧が脈
動を伴って変化する。タンク側の気密性を診断するとき
には、タンク側内圧に対するキャニスタ側内圧の挙動は
ベーパ制御弁87により遮断される。従って、タンク側
に特に故障がない限り、圧力センサ88により検出され
るタンク側内圧は脈動を伴うことはない。このため、タ
ンク側に故障がないにもかかわらず、ベーパ制御弁87
の誤動作に起因してタンク側内圧が脈動を伴って変化し
た場合、キャニスタ側又はタンク側の故障が誤って診断
されるおそれがある。
【0009】パージ制御弁85のデューティ制御によっ
て生じる圧力脈動を検出対象とし、ベーパ制御弁87の
誤動作に起因する圧力脈動を検出対象の外乱としたと
き、その検出対象を外乱から区別するためには、両者の
比、即ちS/N比を高める必要がある。パージ制御弁8
7が比較的大きいデューティ比をもって制御されたと
き、このS/N比は相対的に高くなる。このため、EC
U86により行われる処理装置に係る診断の精度は向上
する。車両の走行時には吸気通路80を流れる空気量が
多くなることから、パージ制御弁85は相対的に大きい
デューティ比をもって制御されることになり、S/N比
は比較的高くなる。これに対し、車両の停止時には、上
記の空気流量が少なくなることから、パージ制御弁85
は相対的に小さいデューティ比をもって制御されること
になり、S/N比は比較的低くなる。ここで、車両の走
行時と停止時とで、デューティ比について一律の条件の
下で処理装置の診断を行うことが考えられる。しかし、
この場合には、走行時又は停止時のS/N比が悪化する
ことになる。
【0010】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、パージ制御弁の開度をデュ
ーティ制御することによりパージラインを通過する燃料
量を調整するようにした燃料蒸気処理装置において、車
両の走行時にこの処理装置に振動が加わることに拘ら
ず、この処理装置に係る故障を適正に診断することを可
能にした燃料蒸気処理装置の故障診断装置を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の第1の発明によれば、図1に実線
で示すように、車両M0に搭載され、その車両M0のエ
ンジンM1に供給される燃料を収容するための燃料タン
クM2で発生する燃料蒸気をベーパラインM3を通じて
キャニスタM4に捕集し、エンジンM1の運転時には、
キャニスタM4に捕集された燃料をエンジンM1の吸気
通路M5へパージラインM6を通じてパージして処理す
るようにした燃料蒸気処理装置であり、燃料タンクM2
側の内圧とキャニスタM4側の内圧との差に基づいて開
かれ燃料タンクM2からキャニスタM4への燃料蒸気の
流入を許容するベーパ制御弁M7と、パージラインM6
を通過する燃料量を調整するために開度がデューティ制
御されるパージ制御弁M8と、エンジンM1の運転時で
あって、車両M0の走行時と停止時とで異なり、停止時
よりも走行時において相対的に大きいデューティ比に基
づきパージ制御弁M8の開度をデューティ制御するため
の制御手段M9とを備えた燃料蒸気処理装置に係る故障
を診断するための故障診断装置において、ベーパ制御弁
M7を境としたキャニスタM4側の内圧と燃料タンクM
2側の内圧とを選択的に検出するための圧力検出手段M
10と、車両M0の状態が走行か停止かを検出するため
の車両状態検出手段M11と、パージ制御弁M8が所定
の基準値以上のデューティ比に基づきデューティ制御さ
れるときに、選択的に検出される燃料タンクM2側の内
圧又はキャニスタM4側の内圧を所定の判定値と比較す
ることにより、燃料蒸気処理装置に係る故障を診断する
ための診断手段M12と、検出される車両M0の状態が
走行か停止かによって診断手段M12で適用されるデュ
ーティ比に係る基準値を変更するための第1の変更手段
M13とを備えたことを趣旨とする。
【0012】上記第1の発明の構成において、エンジン
M1の運転時に、制御手段M9はパージ制御弁M8の開
度を所要のデューティ比に基づいてデューティ制御す
る。これにより、吸気通路M5で発生する負圧が脈動を
伴いパージラインM6を通じてキャニスタM4に作用す
る。特に、車両M0の走行時には停止時よりも相対的に
大きいデューティ比に基づいてパージ制御弁M8が制御
される。このため、キャニスタM4に作用する負圧の脈
動レベルは、車両M0の停止時よりも走行時において大
きい。この負圧の作用により、キャニスタM4に捕集さ
れた燃料がパージラインM6を通じて吸気通路M5へパ
ージされる。診断手段M12はパージ制御弁M8が基準
値以上のデューティ比に基づいて制御されるときに、圧
力検出手段M10により燃料タンクM2側の内圧又はキ
ャニスタM4側の内圧を所定の判定値と比較することに
より、燃料蒸気処理装置に係る故障を診断する。
【0013】ここで、車両M0の走行時には、その車両
M0の振動に起因してベーパ制御弁M7が振動すること
により、同制御弁M7が断続的に開いて燃料タンクM2
側の内圧が脈動を伴って変化するおそれがある。この誤
動作による圧力脈動は、パージ制御弁M8がデューティ
制御されることによって生じる正規の圧力脈動と紛らわ
しい。誤動作による圧力脈動と、正規の圧力脈動とを区
別するためには、誤動作による圧力脈動を除去し、正規
の圧力脈動のみを検出する必要がある。ここでは、パー
ジ制御弁M8が所定の基準値以上のデューティ比をもっ
て制御されることから、その基準値の設定の仕方によっ
ては、誤動作による圧力脈動を除去した上で正規の圧力
脈動を検出することが可能になる。
【0014】ここでは、車両M0の停止時と走行時とで
異なるデューティ比に基づきパージ制御弁M8が制御さ
れる。このため、基準値が一律に設定されたのでは、走
行時において、誤動作による圧力脈動が除去されて正規
の圧力脈動のみが検出されても、停止時においては、誤
動作による圧力脈動と共に正規の圧力脈動が検出から除
去されることも有り得る。
【0015】この発明で、第1の変更手段M13は車両
M0の走行時か停止時かによってデューティ比に係る基
準値を変更する。従って、基準値が一律に設定されるこ
とによる弊害がなくなり、本処理装置の診断に際し、車
両M0の停止時、走行時に拘らず、正規の圧力脈動を誤
動作による圧力脈動と区別した上で検出することが可能
になる。
【0016】上記目的を達成するために、請求項2に記
載の第2の発明によれば、図2に実線で示すように、第
1の発明の構成において、検出される車両M0の状態が
走行か停止かによって診断手段M12で適用される故障
診断に係る判定値を変更するための第2の変更手段M1
4を更に備えたことを趣旨とする。
【0017】上記第2の発明の構成において、エンジン
M1の運転時であって車両M0の停止時、即ちエンジン
M1のアイドル運転時と、車両M0の走行時とでは、吸
気通路M5を流れる空気量が異なる。このため、パージ
制御弁M8がデューティ制御されることによってキャニ
スタM4に作用する負圧の大きさも異なり、キャニスタ
M4及び燃料タンクM2に作用する圧力の挙動は異な
る。ここでは、走行時かアイドル運転時かによって故障
診断に係る判定値が変更されることから、第1の発明の
作用に加え、車両M0の走行時か停止時かによって異な
る圧力挙動の違いに応じて故障の判定を行うことが可能
になる。
【0018】上記目的を達成するために、請求項3に記
載の第3の発明によれば、図1又は図2に実線及び2点
鎖線で示すように第1又は第2の発明の構成において、
車両M0の走行時における診断手段M12による診断結
果と、車両M0の停止時における診断手段M12による
診断結果とに基づき、燃料蒸気処理装置に係る故障を最
終的に診断するための最終診断手段M15を更に備えた
ことを趣旨とする。
【0019】上記第3の発明の構成において、車両M0
の走行時には、ベーパ制御弁M7の振動に起因して誤動
作による圧力脈動が発生するおそれがある。これに対
し、車両M0の停止時には、その誤動作による圧力脈動
が発生するおそれはない。このため、車両M0の走行時
には、誤動作による圧力脈動に基づいて誤った故障診断
が行われるおそれがある。車両M0の停止時には、誤動
作による圧力脈動に基づいて誤った診断が行われること
はない。従って、ここでは、第1又は第2の発明の作用
に加え、走行時の診断結果と、停止時の診断結果とに基
づいて最終診断を行うことにより、誤動作による圧力脈
動に基づく誤診断が排除される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、第1〜第3の発明に係る燃
料蒸気処理装置の故障診断装置を自動車に具体化した一
つの実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】図3は本実施形態における燃料蒸気処理装
置とその故障診断装置の概略構成図を示す。車両として
の自動車40に搭載されたガソリンエンジンシステムは
燃料を収容するための燃料タンク1を備える。燃料タン
ク1は内部に燃料を注入するための、即ち給油を行うた
めのインレットパイプ2を有する。このパイプ2は先端
に給油口2aを含む。燃料タンク1に給油を行う際、給
油口2aには給油ノズル(図示しない)が挿入される。
給油口2aを塞ぐキャップ3は取り外し可能である。
【0022】燃料タンク1に内蔵されたポンプ4から延
びるメインライン5はデリバリパイプ6に接続される。
このパイプ6に設けられた複数のインジェクタ7はエン
ジン8に設けられた複数の気筒(図示しない)に対応し
て配置される。デリバリパイプ6から延びるリターンラ
イン9は燃料タンク1に接続される。ポンプ4が作動す
ることにより、ポンプ4から吐出された燃料はメインラ
イン5を通ってデリバリパイプ6に至り、各インジェク
タ7へと分配される。各インジェクタ7が作動すること
により、燃料が吸気通路10へと噴射される。吸気通路
10はエアクリーナ11及びサージタンク10aを含
み、エアクリーナ11を通って浄化された空気がその内
部に導入される。各インジェクタ7から噴射された燃料
と空気との混合気はエンジン8の各気筒に供給されて燃
焼に供される。デリバリパイプ6において各インジェク
タ7へ分配されることなく余った燃料はリターンライン
9を通って燃料タンク1に戻る。燃焼後の排気ガスはエ
ンジン8の各気筒から排気通路12を通って外部へ排出
される。
【0023】この実施形態における燃料蒸気処理装置は
燃料タンク1で発生する燃料蒸気を大気中に放出させる
ことなく捕集して処理する。この処理装置は燃料タンク
1で発生する燃料蒸気をベーパライン13を通じて捕集
するキャニスタ14を有する。キャニスタ14は活性炭
等よりなる吸着剤15を内蔵する。キャニスタ14の中
は吸着剤15により占められる部分と、その吸着剤15
の上下に位置する空間14a,14bを含む。
【0024】キャニスタ14に設けられた第1の大気制
御弁16はダイアフラム式の逆止弁よりなる。この制御
弁16はキャニスタ14の内圧が大気圧よりも小さいと
きに開いてキャニスタ14に対する外気(大気圧)の導
入を許容し、その逆方向の気体の流れを阻止する。この
制御弁16から延びるエアパイプ17はエアクリーナ1
1の近傍に接続される。従って、キャニスタ14にはエ
アクリーナ11により浄化された外気が導入される。キ
ャニスタ14に設けられた第2の大気制御弁18はダイ
アフラム式の逆止弁よりなる。この制御弁18はキャニ
スタ14の内圧が大気圧よりも大きくなったときに開い
てキャニスタ14からアウトレットパイプ19に対する
気体(内圧)の導出を許容し、その逆方向の気体の流れ
を阻止する。
【0025】キャニスタ14に設けられたベーパ制御弁
20は燃料タンク1からキャニスタ14へ流れる燃料蒸
気を制御する。この制御弁20はダイアフラム式の逆止
弁よりなり、圧力を受けて作動するダイアフラム式の弁
体を内蔵する。この制御弁20はベーパライン13を含
む燃料タンク1の側の内圧(以下「タンク側内圧」とい
う)PTと、キャニスタ14の側の内圧(以下「キャニ
スタ側内圧」という)PCとの差に基づいて上記弁体が
作動することにより開く。この制御弁20が開くことに
より、キャニスタ14に対する燃料蒸気の流入が許容さ
れる。即ち、ベーパ制御弁20はキャニスタ側内圧PC
が大気圧とほぼ同じになり、その内圧PCがタンク側内
圧PTよりも大きいときに開いてキャニスタ14に対す
る燃料蒸気の流入を許容する。加えて、ベーパ制御弁2
0はキャニスタ側内圧PCがタンク側内圧PTよりも大
きいときに、キャニスタ14から燃料タンク1に対する
気体の流れを許容する。
【0026】キャニスタ14から延びるパージライン2
1はサージタンク10aに連通する。キャニスタ14は
ベーパライン13を通じて導入された燃料蒸気の中の燃
料成分だけを捕集し、燃料成分を含まない気体だけを大
気制御弁18が開いたときにアウトレットパイプ19を
通じて外部へ排出する。エンジン8の運転時には、吸気
通路10で発生する吸気負圧がパージライン21に作用
し、キャニスタ14に捕集された燃料がそのパージライ
ン21を通じて吸気通路10へとパージされる。パージ
ライン21に設けられたパージ制御弁22はパージライ
ン21を通過する燃料の量をエンジン8の必要性に応じ
て調整する。パージ制御弁22はケーシングと弁体(共
に図示しない)を含み、電気信号の供給を受けて弁体が
移動する電磁弁であり、デューティ信号を受けて開度が
デューティ制御される。
【0027】この処理装置の気密性に係る故障を診断す
るための故障診断装置は圧力センサ41を含む。この圧
力センサ41はベーパ制御弁20を境としてタンク側内
圧PTとキャニスタ側内圧PCとを各々個別に検出可能
に構成される。即ち、圧力センサ41に付随して設けら
れた三方切換弁23は三つのポートを有する。この三方
切換弁23は電気信号の供給を受けてポート間の連通が
切り換えられる電磁弁である。三方切換弁23の一つの
ポートは圧力センサ41に接続され、他の二つのポート
はベーパ制御弁20を境にして燃料タンク1の側のベー
パライン13と、キャニスタ14とに連通可能である。
この三方切換弁23が必要に応じて切り換えられること
により、圧力センサ41がベーパライン13又はキャニ
スタ14に選択的に接続される。この切換えに応じて、
圧力センサ41がタンク側内圧PTとキャニスタ側内圧
PCをそれぞれ選択的に検出することになる。この実施
形態で、圧力センサ41にタンク側内圧PTを優先的に
検出させるために、三方切換弁23が電気信号により切
り換えられないときには、圧力センサ41がベーパライ
ン13に連通するように三方切換弁23の切換えが設定
されている。これら圧力センサ41及び三方切換弁23
は本発明の圧力検出手段を構成する。
【0028】各種センサ42,43,44,45,4
6,47はエンジン8と自動車40の運転状態を検出す
る。エアクリーナ11の近傍に設けられた吸気温センサ
42は吸気通路10に吸入される空気の温度(吸気温
度)THAを検出し、その大きさに応じた信号を出力す
る。エアクリーナ11の近傍に設けられた吸気量センサ
43は吸気通路10に吸入される空気量(吸気量)Qを
検出し、その大きさに応じた信号を出力する。エンジン
8に設けられた水温センサ44はエンジンブロック8a
の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検
出し、その大きさに応じた信号を出力する。エンジン8
に設けられた回転速度センサ45はエンジン8のクラン
クシャフト8bの回転速度(エンジン回転速度)NEを
検出し、その大きさに応じた信号を出力する。排気通路
12に設けられた酸素センサ46は排気通路12を通過
する排気ガス中の酸素濃度Oxを検出し、その大きさに
応じた信号を出力する。自動車40に設けられた車速セ
ンサ47は車速SPDを検出し、その大きさに応じた信
号を出力する。この車速センサ47は自動車40が走行
状態か停止状態かを検出するための本発明の車両状態検
出手段を構成する。
【0029】電子制御装置(ECU)51は本発明の制
御手段、診断手段、第1及び第2の変更手段、並びに最
終診断手段を構成する。ECU51は上記各種センサ4
1〜47から出力される信号を入力する。ECU51は
燃料パージの制御を実行するために本処理装置を司る。
ECU51はエンジン8の運転状態に応じた量の燃料を
パージするために、即ちパージ制御弁22を必要なデュ
ーティ比DPGをもって制御するために、パージ制御弁
22に必要なデューティ信号を出力する。ここで、キャ
ニスタ14から吸気通路10へパージされる燃料はエン
ジン8の空燃比に影響を与える。そのため、ECU51
はエンジン8の運転状態に応じてパージ制御弁22の開
度を決定する。一般に、空燃比が濃くなった場合、エン
ジンの排気ガス中に含まれるCO濃度等が増加する。そ
こで、ECU51は酸素センサ46により検出される排
気ガス中の酸素濃度Oxの値に基づきパージ濃度FGP
Gの値を算出する。ECU51は、その算出値に基づき
パージ制御弁22の開度に相当するデューティ比DPG
を決定し、そのデューティ比DPGの大きさに応じたデ
ューティ信号を出力する。即ち、ECU51は、エンジ
ン8の運転時であって、自動車40の走行時と停止時と
で異なり、停止時よりも走行時において相対的に大きい
デューティ比DPGに基づきパージ制御弁22の開度を
デューティ制御する。このような処理を実行するECU
51は、本発明の制御手段に相当する。
【0030】ECU51は故障診断装置を司る。ECU
51は上記各種センサ41〜47の検出値に基づき三方
切換弁23を必要に応じて切り換え、圧力センサ41に
より選択的に検出されるタンク側内圧PTの値とキャニ
スタ側内圧PCの値を選択的に入力する。ECU51は
入力されたタンク側内圧PT及びキャニスタ側内圧PC
の各値に基づき、タンク側の気密性に係る故障、キャニ
スタ側の気密性に係る故障をそれぞれ個別に診断する。
【0031】加えて、ECU51は上記各種センサ41
〜47の検出値に基づきパージ制御弁22及び三方切換
弁23の機能に係る故障を診断する。自動車40の運転
席に設けられた警告ランプ24はECU51による診断
結果を運転者に報知するために作動する。ECU51は
本処理装置、診断装置に故障が発生したと診断したとき
に警告ランプ24を点灯させ、それ以外の場合に警告ラ
ンプ24を消灯させる。ECU51は自動車40に搭載
されたバッテリ25から電力の供給を受けると共に、そ
のバッテリ25の電圧状態を判定する。
【0032】図4のブロック図に示すように、ECU5
1は中央処理装置(CPU)52、読み出し専用メモリ
(ROM)53、ランダムアクセスメモリ(RAM)5
4、バックアップRAM55及びタイマカウンタ56等
を備える。ECU51はこれら各部52〜56と、外部
入力回路57と、外部出力回路58等とをバス59によ
り接続してなる論理演算回路を構成する。ここで、RO
M53は燃料パージ及び故障診断等に関する所定の制御
プログラムを予め記憶する。RAM54はCPU52の
演算結果等を一時記憶する。バックアップRAM55は
予め記憶したデータを保存する。この実施形態におい
て、バックアップRAM55は故障に関する診断結果を
診断データとして保存するための診断データ記憶手段を
構成する。タイマカウンタ56は同時に複数の計時動作
を行うことができる。外部入力回路57はバッファ、波
形成形回路、ハードフィルタ(電気抵抗及びコンデンサ
よりなる回路)及びA/D変換器等を含む。外部出力回
路58は駆動回路等を含む。上記各種センサ41〜47
及びバッテリ25は外部入力回路57に接続される。パ
ージ制御弁22、三方切換弁23及び警告ランプ24は
外部出力回路58に接続される。
【0033】CPU52は外部入力回路57を介して入
力される上記各種センサ41〜47の検出信号及びバッ
テリ24の電圧値VAE等を入力値として読み込む。C
PU52はそれら入力値に基づき、燃料パージと故障診
断を実行するためにパージ制御弁22、三方切換弁23
及び警告ランプ24を制御する。
【0034】次に、ECU51が実行する制御の処理内
容について説明する。図5,6等は前述した故障診断を
実行するための「診断ルーチン」を示すフローチャート
である。ECU51はこのルーチンを所定時間毎に周期
的に実行する。
【0035】図5のステップ100において、ECU5
1は回転速度センサ45、酸素センサ46及び車速セン
サ47により検出されるエンジン回転速度NE、酸素濃
度Ox及び車速SPDの各値をそれぞれ読み込む。
【0036】ステップ110において、ECU51はエ
ンジン8の始動が完了したか否かを判断する。ECU5
1はエンジン回転速度NEが所定値以上となったとき
に、エンジン8の始動が完了したものと判断する。この
ステップ110の処理を実行するECU51は、エンジ
ン8の始動の完了を判断するための手段に相当する。エ
ンジン8の始動が完了していない場合、ECU51はそ
の後の処理を一旦終了する。エンジン8の始動が完了し
ている場合、ステップ120において、ECU51は始
動が完了してからの経過時間(始動後時間)CASTの
計時をタイマカウンタ56に開始させる。このステップ
120の処理を実行するECU51は、始動後の経過時
間を計時するための手段に相当する。
【0037】ステップ130において、ECU51は三
方切換弁23を制御することにより、圧力センサ41の
検出先を所定時間(例えば「3秒間」)だけタンク側に
切り換える。ステップ140において、ECU51は圧
力センサ41により検出されるタンク側内圧PTの値を
読み込む。
【0038】ステップ150において、ECU51は三
方切換弁23を制御することにより圧力センサ41の検
出先を所定時間(例えば「5秒間」)だけキャニスタ側
に切り換える。ステップ160において、ECU51は
圧力センサ41により検出されるキャニスタ側内圧PC
の値を読み込む。これらステップ130〜160の処理
を実行するECU51は、タンク側内圧PT及びキャニ
スタ側内圧PCを交互に検出するために圧力センサ41
の検出先を交互に切り換えるための手段に相当する。
【0039】ステップ170において、ECU51は、
交互に読み込まれたタンク側内圧PT及びキャニスタ側
内圧PCの各値に基づき、圧力センサ41に故障がある
か否かを判断する。例えば、タンク側内圧PT及びキャ
ニスタ側内圧PCの各値が圧力センサ41の出力レンジ
外の値を示したとき、電気回路に断線や短絡が発生して
いるおそれがあることから、ECU51は圧力センサ4
1が故障しているものと判断する。このステップ170
の処理を実行するECU51は、圧力センサ41の機能
を診断するための手段に相当する。圧力センサ41に故
障がある場合、ECU51は処理をステップ170から
ステップ180へ移行する。
【0040】ステップ180において、圧力センサ41
に故障があることから、ECU51はセンサ故障コード
MSCをバックアップRAM55に記憶する。このステ
ップ180の処理を実行するECU51は、圧力センサ
41の故障を記録するための手段に相当する。ステップ
190において、ECU51は、圧力センサ41に故障
があることを報知するために、警告ランプ24を点灯さ
せ、その後の処理を終了する。このステップ190の処
理を実行するECU51は、圧力センサ41の故障を報
知するための報知手段に相当する。
【0041】圧力センサ41が正常である場合、ECU
51は処理をステップ170からステップ200へ移行
する。ステップ200において、圧力センサ41が正常
であることから、ECU51はセンサ正常コードNSC
をバックアップRAM55に記憶する。ステップ200
の処理を実行するECU51は、圧力センサ41が正常
であることを記録するための手段に相当する。
【0042】ステップ210において、ECU51は三
方切換弁23を制御することにより、圧力センサ41の
検出先をタンク側に切り換える。ステップ220におい
て、始動後時間CASTの値が「5分」以上であるか否
かを判断する。始動後時間CASTの値が「5分」未満
である場合、ECU51は処理をステップ410へ移行
する。始動後時間CASTの値が「5分」以上である場
合、ECU51は処理をステップ230へ移行する。
【0043】ステップ230において、ECU51はパ
ージ濃度FGPGの値が所定値PC1よりも小さい、即
ち相対的に薄いか否かを判断する。ECU51はこの判
断を、酸素濃度Oxの値に基づいて行う。パージ濃度F
GPGが所定値PC1よりも大きい、即ち相対的に濃い
場合、ECU51は処理をステップ410へ移行する。
パージ濃度FGPGが所定値PC1よりも薄い場合、E
CU51は処理をステップ240へ移行する。
【0044】ステップ240において、仮故障フラグX
MTが「1」であるか否かを判断する。この仮故障フラ
グXMTは、キャニスタ側の気密性に係る故障、三方切
換弁23の機能の故障、或いはパージ制御弁22の機能
の故障に関する仮の判定を示すものである。その設定の
仕方については後述する。この仮故障フラグXMTが
「1」である場合、上記故障に関する仮の判定が既に行
われたことから、ECU51は処理をステップ270へ
移行する。この仮故障フラグXMTが「0」である場
合、上記故障に関する仮の判定が行われていないことか
ら、ECU51は処理をステップ250へ移行する。
【0045】ステップ250において、ECU51は自
動車40が走行中であるか否かを判断する。ECU51
は車速SPDの値が所定値以上であるときに自動車40
が走行中であると判断する。自動車40が走行中でない
場合、ECU51は処理をステップ270へ移行する。
自動車40が走行中である場合、ECU51は処理をス
テップ260へ移行する。
【0046】ステップ260において、ECU51は現
在のパージ制御弁22に係るデューティ比DPGの値が
本発明の基準値としての「20%」以上であるか否かを
判断する。この「20%」という値は一例に過ぎない
が、走行中に行われる診断に際し、圧力センサ41の検
出値について良好なS/N比(目的の信号とノイズとの
比)が確保されることを考慮して設定される。このデュ
ーティ比DPGの値が「20%」よりも小さい場合、キ
ャニスタ側の気密性等を診断しないものとして、ECU
51は処理をステップ410へ移行する。このデューテ
ィ比DPGの値が「20%」以上である場合、キャニス
タ側の気密性等を診断するものとして、ECU51は処
理をステップ290へ移行する。
【0047】一方、ステップ240又はステップ250
から移行してステップ270において、ECU51はエ
ンジン8がアイドル状態にあるか否かを判断する。アイ
ドル状態にない場合、ECU51は処理をステップ41
0へ移行する。アイドル状態にある場合、ECU51は
処理をステップ280へ移行する。
【0048】ステップ280において、ECU51は、
現在のパージ制御弁22に係るデューティ比DPGの値
が本発明の基準値としての「15%」以上であるか否か
を判断する。この「15%」という値は一例に過ぎない
が、アイドル状態に行われる診断に際し、圧力センサ4
1の検出値について良好なS/N比が確保されることを
考慮して設定される。このデューティ比DPGの値が
「15%」よりも小さい場合、キャニスタ側の故障を判
定しないものとして、ECU51は処理をステップ41
0へ移行する。このデューティ比DPGの値が「15
%」以上である場合、キャニスタ側の故障を判定するも
のとして、ECU51は処理をステップ290へ移行す
る。これらステップ240〜280の処理を実行するE
CU51は、自動車40の走行時か停止時かによって診
断に適用されるデューティ比DPGに係る基準値を変更
するための本発明の第1の変更手段に相当する。
【0049】図6のステップ290において、ECU5
1は三方切換弁23を制御することにより圧力センサ4
1の検出先をキャニスタ側に切り換える。ステップ30
0において、ECU51は圧力センサ41の検出先をキ
ャニスタ側へ切り換えてからの経過時間CPGCの計時
をタイマカウンタ56に開始させる。ステップ300の
処理を実行するECU51は、圧力センサ41の検出先
をキャニスタ側へ切り換えてからの経過時間を計時する
ための手段に相当する。
【0050】ステップ310において、ECU51はパ
ージ制御弁22の機能を診断するためのサブルーチンを
実行する。図7にこのサブルーチンの内容を詳しく示
す。ステップ311において、ECU51は自動車40
の走行時には、故障診断のための判定値KSMを「10
mmHg」に設定し、アイドル状態にあるときには、判
定値KSMを「5mmHg」に設定する。ステップ31
1の処理を実行するECU51は、自動車40の走行時
か停止時かによって故障診断に係る判定値KSMを変更
するための本発明の第2の変更手段に相当する。
【0051】ステップ312において、ECU51は経
過時間CPGCが「0.5〜1.5秒」となる間のキャ
ニスタ側内圧PCの値の平均値PCSMを算出する。パ
ージ制御弁22が所定のデューティ比DPGをもってデ
ューティ制御されるときには、吸気通路10で発生する
負圧がパージライン21を通じ、脈動を伴ってキャニス
タ14に作用する。図8(a),(b),(c)はその
脈動を伴ったキャニスタ側内圧PCの変化を示すタイム
チャートである。このチャートからも分かるように、デ
ューティ比DPGの値が「15%〜40%」の間で大き
くなるに連れて、脈動の振幅、即ち脈動のレベルは大き
くなる。ECU51はこの内圧PCの脈動のレベルの平
均値PCSMを算出する。このステップ312の処理を
実行するECU51は、キャニスタ側内圧PCの脈動レ
ベルの平均値PCSMを算出するための手段に相当す
る。
【0052】ステップ313において、ECU51は算
出された平均値PCSMが運転状態に応じて設定された
判定値KSMより大きいか否かを判断する。この平均値
PCSMが判定値KSMより大きい場合、パージ制御弁
22が正常であるものとして、ステップ314におい
て、ECU51は第1の故障フラグXMPを「0」に設
定し、RAM54に記憶する。この平均値PCSMが判
定値KSM以下である場合、パージ制御弁22が故障し
ているものとして、ステップ315において、ECU5
1は第1の故障フラグXMPを「1」に設定し、RAM
54に記憶する。上記一連のステップ311〜315
(ステップ310)の処理を実行するECU51は、燃
料蒸気処理装置を構成するパージ制御弁22の機能を診
断するための本発明の診断手段に相当する。
【0053】上記機能診断のためのサブルーチンを実行
した後、図6に示すステップ320において、ECU5
1は三方切換弁23の機能を診断する。図9にこのサブ
ルーチンの内容を詳しく示す。ステップ321におい
て、ECU51はパージ制御弁22をデューティ制御し
ているときに圧力センサ41により検出されるキャニス
タ側内圧PCの値を読み込む。ステップ322におい
て、ECU51は三方切換弁23を制御することにより
圧力センサ41の検出先をタンク側に切り換える。ステ
ップ323において、ECU51はパージ制御弁22を
デューティ制御しているときに圧力センサ41により検
出されるタンク側内圧PTの値を読み込む。これらステ
ップ321〜323の処理を実行するECU51は、キ
ャニスタ側内圧PC及びタンク側内圧PTを交互に検出
するために圧力センサ41の検出先を交互に切り換える
ための手段に相当する。
【0054】ここで、三方切換弁23が正常に機能した
とすると、圧力センサ41による検出値は、同センサ4
1の検出先が切り換えられる前後で変わる。三方切換弁
23が正常に作動しなかったとすると、圧力センサ41
による検出値は、同センサ41の検出先が切り換えられ
る前後で変わらない。
【0055】そこで、ステップ324において、ECU
51は上記のように検出されたキャニスタ側内圧PCの
値とタンク側内圧PTの値との差の絶対値が所定の判定
値KAよりも大きいか否かを判断する。これら内圧P
C,PTの差の絶対値が判定値KAよりも大きい場合、
圧力センサ41の検出先が正常に切り換わったことを意
味する。この場合、三方切換弁23は正常に機能してい
ることから、ステップ325において、ECU51は第
2の故障フラグを「0」に設定し、RAM54に記憶す
る。これら内圧PC,PTの差の絶対値が判定値KA以
下である場合、圧力センサ41の検出先が正常に切り換
わらないことを意味し、三方切換弁23が故障している
ものとして、ステップ326において、ECU51は第
2の故障フラグXMVを「1」に設定し、RAM54に
記憶する。上記一連のステップ321〜326(ステッ
プ320)の処理を実行するECU51は、故障診断装
置を構成する三方切換弁23の機能を診断するための手
段に相当する。
【0056】上記機能診断のためのサブルーチンを実行
した後、図6に示すステップ330において、ECU5
1はキャニスタ側の気密性を診断する。図10にこのサ
ブルーチンの内容を詳しく示す。
【0057】ステップ331において、ECU51はキ
ャニスタ14から吸気通路10への燃料のパージをカッ
トすべき条件、即ち「パージカット条件」が成立したか
否かを判断する。例えば、パージカット条件として、エ
ンジン8の減速運転時を当てはめることができる。この
パージカット条件が成立しない場合、ECU51は処理
を図6のステップ340へ移行する。パージカット条件
が成立した場合、ECU51は処理をステップ332へ
移行する。ステップ331の処理を実行するECU51
は、キャニスタ側の気密性に係る診断に先立ってパージ
カット条件が成立したか否かを判断するための手段に相
当する。
【0058】ステップ332において、ECU51はパ
ージ制御弁22を閉じることにより、パージカットを実
行する。このとき、キャニスタ14を含むキャニスタ側
の空間はパージ制御弁22、大気制御弁16,18及び
ベーパ制御弁20によって密閉されることになる。従っ
て、キャニスタ側の気密性に故障がなければ、パージカ
ット直前にキャニスタ14に導入されていた負圧がその
キャニスタ側の空間において保持されることになる。ス
テップ332の処理を実行するECU51は、パージカ
ットを実行するための手段に相当する。
【0059】ステップ333において、ECU51は自
動車40の走行時には、故障診断のための判定値KDを
「3mmHg」に設定し、アイドル状態にあるときに
は、判定値KDを「2mmHg」に設定する。ステップ
333の処理を実行するECU51は、自動車40の走
行時か停止時かによって故障診断に係る判定値KDを変
更するための本発明の第2の変更手段に相当する。
【0060】ステップ334において、ECU51は経
過時間CPGCが「3.5〜4.5秒」となる間のキャ
ニスタ側内圧PCの変化値ΔPCを算出する。即ち、E
CU51は今回読み込まれたキャニスタ側内圧PCの値
と前回読み込まれたキャニスタ側内圧PC0の値との差
をキャニスタ側内圧PCの変化値ΔPCとして算出す
る。上記のようにキャニスタ側内圧PCは脈動をもって
変化することから、ECU51は上記のように算出され
る平均値PCSMから、キャニスタ側内圧PCの変化値
ΔPCを算出する。このステップ334の処理を実行す
るECU51は、キャニスタ側内圧PCの変化値ΔPC
を算出するための手段に相当する。
【0061】ステップ335において、ECU51は算
出された変化値ΔPCが、運転状態に応じて設定された
判定値KDよりも小さいか否かを判断する。図10はパ
ージカット後におけるキャニスタ側内圧PCの挙動を、
気密性に係る故障の有無に分けて示すタイムチャートで
ある。このチャートにおいて、キャニスタ側の気密性に
係る故障が特にない場合、キャニスタ側内圧PCの挙動
は、実線で示すように、緩やかな増加を示す。即ち、気
密性に係る故障が無いことから、パージカット直前に導
入された負圧がパージカット後にもあまり変化しないこ
とを示すことになる。一方、キャニスタ側の気密性に係
る故障が有る場合、キャニスタ側内圧PCの挙動は、破
線で示すように、急激に増加し、やがて大気圧の値に近
似することになる。即ち、気密性に係る故障が有ること
から、パージカット直前に導入された負圧が、パージカ
ット後には急激に増加して大気圧に到ることになる。換
言すれば、ステップ335において、ECU51はパー
ジカット直後のキャニスタ側内圧PCの増加の程度を判
断するのである。判定値KDは、その増加の程度の判断
に最適な値が運転状態に応じて当てはめられることにな
る。
【0062】ステップ335において、変化値ΔPCが
判定値KDよりも小さい場合、キャニスタ側の気密性が
正常であるものとして、ステップ336において、EC
U51は第3の故障フラグXMCを「0」に設定し、R
AM54に記憶する。この変化値ΔPCが判定値KD以
上である場合、キャニスタ側の気密性に何らかの故障が
あるものとして、ステップ337において、ECU51
は第3の故障フラグXMCを「1」に設定し、RAM5
4に記憶する。上記一連のステップ331〜337(ス
テップ330)の処理を実行するECU51は、燃料蒸
気処理装置におけるキャニスタ側の気密性を診断するた
めの本発明の診断手段に相当する。
【0063】ステップ330の処理を実行した後、図6
に示すステップ340において、ECU51は各故障フ
ラグXMP,XMV,XMCの少なくとも一つが「1」
であるか否かを判断する。この判断が否定である場合、
パージ制御弁22の機能、三方切換弁23の機能及びキ
ャニスタ側の気密性に故障が無いことから、ステップ3
50において、ECU51は最終正常コードNFCをバ
ックアップRAM55に記憶する。このステップ350
の処理を実行するECU51は、パージ制御弁22の機
能、三方切換弁23の機能及びキャニスタ側の気密性が
正常であることを記録するための記録手段に相当する。
ステップ360において、ECU51は警告ランプ24
を消灯させる。一方、上記の判断が肯定である場合、何
らかの故障があったものと判定し、ECU51は処理を
ステップ370へ移行する。
【0064】ステップ370において、ECU51は仮
故障フラグXMTが「1」であるか否かを判断する。仮
故障フラグXMTが「0」である場合、今回の故障判定
が最初のものであることから、ステップ380におい
て、ECU51は仮故障フラグXMTを「1」に設定
し、処理をステップ410へ移行する。仮故障フラグX
MTが「1」である場合、今回の故障判定が2回目であ
り、最終的に確かな故障判定を行うことができる。これ
らステップ340,370,380の処理を実行するE
CU51は、自動車40の走行時の診断結果と、停止時
の診断結果とに基づき、タンク側の故障及びキャニスタ
側の故障を選択的に最終診断するための本発明の最終診
断手段に相当する。
【0065】ステップ390において、ECU51は故
障判定の最終結果を示すために最終故障コードMFCを
バックアップRAM55に記憶する。このステップ39
0の処理を実行するECU51は、故障診断に係る最終
結果を記録するための記録手段に相当する。更に、ステ
ップ400において、ECU51は警告ランプ24を点
灯させ、処理をステップ410へ移行する。ステップ4
00の処理を実行するECU51は上記故障診断に係る
最終結果を報知するための手段に相当する。
【0066】ステップ230,260〜280,36
0,380,400から移行してステップ410におい
て、ECU51はパージ制御弁22の機能、三方切換弁
23の機能、又はキャニスタ側の気密性に係る診断を完
了したか否かを判断する。この診断を完了していない場
合、ECU51は処理をステップ170へジャップし、
ステップ170以降の処理を繰り返す。上記の診断を完
了した場合、ECU51は処理をステップ420へ移行
する。
【0067】ステップ420において、ECU51は始
動後時間CASTの値が「20分」以上であるか否かを
判断する。始動後時間CASTの値が「20分」未満で
ある場合、ECU51は処理をステップ170へジャッ
プし、ステップ170以降の処理を繰り返す。始動後時
間CASTが「20分」以上である場合、ECU51は
処理をステップ430へ移行する。ステップ410,4
20の処理を実行するECU51は、キャニスタ側等の
診断が完了し、且つエンジン8の始動完了後に所定時間
が経過したことを判断するための手段に相当する。
【0068】ステップ430において、ECU51はタ
ンク側の気密性を診断する。図12はこのサブルーチン
の内容を詳しく示す。ステップ431において、ECU
51は三方切換弁23を制御することにより、圧力セン
サ41の検出先をタンク側に切り換える。ステップ43
2において、ECU51は圧力センサ41により検出さ
れる値をタンク側内圧PTの値として読み込む。
【0069】ステップ433において、ECU51はタ
ンク側内圧PTの値が大気圧PAの値にほぼ等しいか否
かを判断する。これらステップ431〜433の処理を
実行するECU51は、燃料蒸気処理装置のタンク側の
気密性を診断するための本発明の診断手段に相当する。
図13はエンジン8の運転時におけるタンク側内圧PT
の挙動を示す。このチャートからも明らかなように、タ
ンク側の気密性が正常である場合、タンク側内圧PTは
負圧又は正圧の状態を示す。タンク側の気密性に故障が
ある場合、タンク側の空間に大気が浸入してタンク側内
圧PTがほぼ大気圧の状態を示す。従って、タンク側内
圧PTが大気圧PAと等しくない場合、即ちタンク側内
圧PTが大気圧PAよりも高い正圧、或いは大気圧PA
よりも低い負圧である場合、タンク側の気密性が正常で
あるものとして、ECU51は処理をステップ434へ
移行する。ステップ434において、ECU51はタン
ク側正常コードNFTをバックアップRAM55に記憶
する。ステップ434の処理を実行するECU51はタ
ンク側の気密性が正常であることを記録するための手段
に相当する。
【0070】ステップ433において、タンク側内圧P
Tの値が大気圧PAの値にほぼ等しい場合、タンク側の
気密性に故障があるものとして、ECU51は処理をス
テップ435へ移行する。ステップ435において、E
CU51はタンク側故障コードMFTをバックアップR
AM55に記憶する。ステップ435の処理う実行する
ECU51は、タンク側の気密性に故障があることを記
録するための手段に相当する。ステップ436におい
て、ECU51は、タンク側の気密性に係る故障の発生
を報知するために、警告ランプ24を点灯させる。ステ
ップ436の処理を実行するECU51は、タンク側の
気密性に故障があることを報知するための手段に相当す
る。上記ステップ430のサブルーチンの処理を実行し
た後、ECU51は図5,6に示す一連の処理を一旦終
了する。
【0071】上記のようにこの実施形態の構成におい
て、エンジン8の運転時には、パージ制御弁22が所要
のデューティ比DPGをもってデューティ制御される。
これにより、吸気通路10で発生する吸気負圧が脈動を
伴ってパージライン21を通じてキャニスタ14に作用
する。特に、自動車40の走行時には停止時、即ちエン
ジン8のアイドル運転時よりも相対的に大きい値のデュ
ーティ比DPGに基づきパージ制御弁22が制御され
る。このため、キャニスタ14に作用する吸気負圧の脈
動レベルはアイドル運転時よりも走行時の方が大きい。
この吸気負圧の作用により、キャニスタ14に捕集され
た燃料がパージライン21を通じて吸気通路10へパー
ジされる。
【0072】パージ制御弁22が所定の基準値以上のデ
ューティ比DPGに基づき制御されるとき、ECU51
は選択的に検出されるタンク側内圧PT又はキャニスタ
側内圧PCを所定の判定値と比較することにより、燃料
蒸気処理装置に係る故障を診断する。即ち、この実施形
態で、ECU51はキャニスタ側及びタンク側の気密
性、パージ制御弁22及び三方切換弁23の機能をそれ
ぞれ診断する。
【0073】自動車40の走行時には、車体の振動に起
因してキャニスタ14が振動し、ベーパ制御弁20が振
動することがある。この振動により、ベーパ制御弁20
の弁体が振動し、同制御弁20が断続的に開いてタンク
側内圧PTが脈動を伴って変化するおそれがある。この
ようにベーパ制御弁20の誤動作に起因して生じる圧力
脈動は、パージ制御弁22がデューティ制御されること
によって生じる正規の圧力脈動と紛らわしい。パージ制
御弁22がデューティ制御されることにより生じる正規
の圧力脈動を圧力センサ41により正確に検出するため
には、誤動作による圧力脈動を検出の対象から除き、正
規の圧力脈動のみを検出する必要がある。パージ制御弁
22が所定の基準値以上のデューティ比DPGをもって
制御されることから、その基準値の設定の仕方によって
は、誤動作による圧力脈動を除いた上で正規の圧力脈動
のみを検出することが可能になる。
【0074】ここで、パージ制御弁22は自動車40の
走行時とアイドル運転時とで異なるデューティ比DPG
に基づいてデューティ制御される。よって、キャニスタ
14に作用する負圧の脈動レベルは、走行時とアイドル
運転時とで異なる。このため、デューティ比DPGに係
る基準値が一律に設定された場合には、走行時にベーパ
制御弁20の誤動作による圧力脈動が除かれ、正規の圧
力脈動のみが検出されることは有り得る。しかし、アイ
ドル運転時には誤動作による圧力脈動と共に正規の圧力
脈動が検出から除かれることも有り得る。
【0075】この実施形態では、自動車40の走行時と
アイドル運転時とでデューティ比DPGに係る基準値が
変更される。即ち、自動車40の走行時には、デューテ
ィ比DPGに係る基準値が「20%」となり、アイドル
運転時にはその基準値が「15%」に変更される。従っ
て、この実施形態によれば、上記の基準値が一律に設定
される場合とは異なり、自動車40の走行時、アイドル
運転時のそれぞれにおいて、パージ制御弁22のデュー
ティ制御によって正規の圧力脈動が、ベーパ制御弁20
の誤動作に起因する圧力脈動と区別して検出される。こ
の結果、自動車40の走行時、アイドル運転時の違いに
拘らず、キャニスタ側及びタンク側の気密性、並びにパ
ージ制御弁22及び三方切換弁23の機能について適正
な診断を行うことができる。
【0076】ここで、上記正規の圧力脈動を検出対象と
し、誤動作に起因する圧力脈動を検出対象の外乱とした
とき、その検出対象を外乱から区別するためには、両者
の比、即ちS/N比を高める必要がある。パージ制御弁
22が比較的大きいデューティ比DPGをもって制御さ
れたとき、そのS/N比は相対的に高くなる。この実施
形態では、自動車40の走行時に相対的に大きいデュー
ティ比DPGをもってパージ制御弁22が制御されるこ
とから、上記のS/N比は高くなる。これに対し、アイ
ドル運転時には相対的に小さいデューティ比DPGをも
ってパージ制御弁22が制御されることから、上記のS
/N比は低くなる。この実施形態では、走行時とアイド
ル運転時とで異なるデューティ比DPGを基準値とし
て、本処理装置に係る故障が診断されることから、走行
時及びアイドル運転時のそれぞれにおいて、上記のS/
N比を向上させることができる。その意味において、キ
ャニスタ側及びタンク側の気密性、並びにパージ制御弁
22及び三方切換弁23の機能について正確な診断を行
うことができる。
【0077】この実施形態の構成において、自動車40
の走行時と、アイドル運転時とでは、吸気通路10を流
れる空気量が異なる。このため、同じ値のデューティ比
DPGをもってパージ制御弁22が制御されても、それ
によりキャニスタ14に作用する負圧の大きさは異な
り、キャニスタ14及び燃料タンク1に作用する圧力挙
動は異なる。この実施形態では、自動車40の走行時か
アイドル運転時かにより、パージ制御弁22の機能に係
る診断のための判定値KSMが「10mmHg」と「5
mmHg」との間で変更される。同じく、走行時かアイ
ドル運転時かにより、キャニスタ側の気密性の診断のた
めの判定値KDが「3mmHg」と「2mmHg」との
間で変更される。従って、自動車40の運転状態によっ
て異なり、キャニスタ14及び燃料タンク1に作用する
圧力挙動の違いに応じ、パージ制御弁22の機能及びキ
ャニスタ側の気密性に係る診断を適正に行うことが可能
になる。その意味で、上記の診断精度を向上させること
ができる。
【0078】この実施形態の構成において、走行時には
ベーパ制御弁20の誤動作による圧力脈動がタンク側内
圧PTに発生するおそれがある。これに対し、アイドル
運転時には、上記誤動作による圧力脈動が発生するおそ
れはない。このため、走行時には上記誤動作による圧力
脈動に基づきECU51が誤った診断を行うおそれがあ
るが、アイドル運転時には上記誤動作による圧力脈動に
基づきECU51が誤った診断を行うことはない。この
実施形態では、ECU51は走行時の診断結果と、アイ
ドル運転時の診断結果とに基づいて最終的な故障診断を
行う。具体的には、ECU51は走行時にパージ制御弁
22の機能、三方切換弁23の機能、或いはキャニスタ
側の気密性に何らかの故障があると診断したとき、その
診断結果を仮の故障として記録する。その後、ECU5
1はアイドル運転時にパージ制御弁22の機能、三方切
換弁23の機能、或いはキャニスタ側の気密性に何らか
の故障があることを引き続き診断したとき、最終的に故
障があったものと診断する。従って、走行時にベーパ制
御弁20の誤動作による圧力脈動に伴って誤った診断が
なされたとしても、アイドル運転時に改めて診断を行う
ことにより、その誤診断が除かれる。その意味で、本処
理装置に係る診断の精度を更に向上させることができ
る。
【0079】この実施形態では、圧力センサ41、パー
ジ制御弁22、若しくは三方切換弁23に故障があると
診断されたとき、キャニスタ側の気密性、或いはタンク
側の気密性に故障があると診断されたとき、運転席に設
けられた警告ランプ24が点灯する。このため、運転者
等が上記各故障の発生を直ちに知ることができ、その故
障に早めに対処することができる。
【0080】この実施形態では、上記各故障があると診
断されたときに、各故障コードMSC,MFC,MFT
が診断データとしてECU51のバックアップRAM5
5に記憶される。このため、自動車40の点検時等に作
業者が必要に応じてバックアップRAM55の診断デー
タを読み出すことにより、上記各故障に関する履歴を確
認することができる。
【0081】尚、この発明は次のような別の実施形態に
具体化することもできる。以下の実施形態でも前記実施
形態と同等の作用及び効果を得ることができる。 (1)前記実施形態では、燃料蒸気処理装置に係る故障
を診断するために、一つの圧力センサ41の接続先を三
方切換弁23によりタンク側とキャニスタ側とに切り換
え、タンク側内圧PT又はキャニスタ側内圧PCの値を
選択的に検出するようにした。これに対し、同処理装置
に係る故障を診断するために、異なる二つの圧力センサ
によりタンク側内圧PT又はキャニスタ側内圧PCの値
を選択的に検出するようにしてもよい。
【0082】(2)前記実施形態では、キャニスタ14
が二つの大気制御弁16,18を含む場合に具体化した
が、これらの制御弁16,18を省略してキャニスタ1
4に大気へ連通する孔だけを設けてもよい。この場合に
は、キャニスタ側の気密性を診断するためにキャニスタ
側の空間を密閉する必要がある。そこで、上記連通孔に
電磁弁を設け、診断時にはその電磁弁により孔を閉鎖す
るように構成すればよい。
【0083】更に、本明細書の特許請求の範囲に記載し
た以外に、上記各実施形態から把握できる技術的思想
を、以下にその効果と共に記載する。 (イ)請求項1、2又は3に記載の発明において、前記
燃料蒸気処理装置に故障があることを前記診断手段が診
断したときにその旨を報知するための報知手段を設けた
燃料蒸気処理装置の故障診断装置。
【0084】この構成によれば、運転者等が本処理装置
に係る故障を知ることが可能になり、その故障に対処す
ることが可能となる。 (ロ)請求項1、2又は3に記載の発明において、前記
燃料蒸気処理装置に故障があることを前記診断手段が診
断したときにその旨を記録するための記録手段を設けた
燃料蒸気処理装置の故障診断装置。
【0085】この構成によれば、作業者等が必要に応
じ、診断記録に基づいて故障に関する履歴を確認するこ
とができる。 (ハ)請求項3に記載の発明において、前記最終診断手
段は、前記走行時に前記燃料蒸気処理装置に故障がある
ことが前記診断手段により診断され、引き続き前記停止
時に前記燃料蒸気処理装置に故障があることが前記診断
手段により診断されたときに、前記燃料蒸気処理装置に
故障があることを最終的に診断する燃料蒸気処理装置の
故障診断装置。
【0086】この構成によれば、車両が走行した後の停
止時に改めて診断を行うことにより、誤診断を排除する
ことが可能となり、診断精度を向上させることができ
る。尚、この明細書において、発明の構成に係る用語を
以下のように定義する。
【0087】(a)デューティ制御とは、1サイクルの
時間に対する通電時間の割合をデューティ比として、そ
のデューティ比により通電時間を制御する意味で、デジ
タル的に通電・非通電の割合を変えることにより、アナ
ログ的に平均電流を可変制御することである。この発明
では、パージ制御弁を上記デューティ比をもって断続的
に開くことを意味する。
【0088】
【発明の効果】請求項1に記載の第1の発明によれば、
パージ制御弁が基準値以上のデューティ比に基づいてデ
ューティ制御されるときに、選択的に検出される燃料タ
ンク側の内圧又はキャニスタ側の内圧を所定の判定値と
比較することにより、燃料蒸気処理装置に係る故障を診
断し、車両の状態が走行か停止かによってデューティ比
に係る基準値を変更するようにしている。
【0089】従って、基準値が一律に設定されることに
よる弊害がなくなり、処理装置の診断に際し、車両の停
止時、走行時に拘らず、パージ制御弁のデューティ制御
による正規の圧力脈動をベーパ制御弁の誤動作による圧
力脈動と区別した上で検出することが可能になる。この
結果、車両の走行時、停止時に拘らず、本処理装置に係
る故障を適正に診断することができるという効果を発揮
する。
【0090】請求項2に記載の第2の発明によれば、第
1の発明の構成において、車両の状態が走行か停止かに
よって故障診断に係る判定値を変更するようにしてい
る。従って、第1の発明の作用に加え、運転状態によっ
て異なる圧力挙動の違いに応じて処理装置に係る故障の
判定を行うことが可能になる。その意味で、第1の発明
の効果に加え、本処理装置の診断精度を向上させること
ができるという効果を発揮する。
【0091】請求項3に記載の第3の発明によれば、第
1又は2の発明の構成において、車両の走行時の診断結
果と、車両の停止時の診断結果とに基づき、処理装置に
係る故障を最終的に診断するようにしている。
【0092】従って、第1又は第2の発明の作用に加
え、ベーパ制御弁の誤動作による圧力脈動に基づいた誤
診断が排除される。その意味で、第1又は第2の発明の
効果に加え、本処理装置の診断精度を更に向上させるこ
とができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明に係る基本概念構成図。
【図2】 第2の発明に係る基本概念構成図。
【図3】 燃料蒸気処理装置の故障診断装置を示す概略
構成図。
【図4】 ECU等を示すブロック回路図。
【図5】 「診断ルーチン」を示すフローチャート。
【図6】 図5のルーチンの続きを示すフローチャー
ト。
【図7】 図6のルーチンの一部を詳説するフローチャ
ート。
【図8】 (a)〜(c)はキャニスタ側内圧の脈動を
示すタイムチャート。
【図9】 図6のルーチンの一部を詳説するフローチャ
ート。
【図10】 図6のルーチンの一部を詳説するフローチ
ャート。
【図11】 パージカット前後におけるキャニスタ側内
圧の挙動を示すタイムチャート。
【図12】 図6のルーチンの一部を詳説するフローチ
ャート。
【図13】 タンク側内圧の挙動を示すタイムチャー
ト。
【図14】 従来の燃料蒸気処理装置を示す概略構成
図。
【図15】 従来の燃料蒸気処理装置の故障診断装置を
示す概略構成図。
【符号の説明】
1…燃料タンク、8…エンジン、10…吸気通路、13
…ベーパライン、14…キャニスタ、20…ベーパ制御
弁、21…パージライン、22…パージ制御弁、23…
三方切換弁、41…圧力センサ(23,41は圧力検出
手段を構成する。)、40…車両としての自動車、47
…車両状態検出手段としての車速センサ、51…ECU
(51は制御手段、診断手段、第1及び第2の変更手
段、並びに最終手段を構成する。)。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載され、その車両のエンジンに
    供給される燃料を収容するための燃料タンクで発生する
    燃料蒸気をベーパラインを通じてキャニスタに捕集し、
    前記エンジンの運転時には、前記キャニスタに捕集され
    た燃料を前記エンジンの吸気通路へパージラインを通じ
    てパージして処理するようにした燃料蒸気処理装置であ
    り、前記燃料タンク側の内圧と前記キャニスタ側の内圧
    との差に基づいて開かれ前記燃料タンクから前記キャニ
    スタへの燃料蒸気の流入を許容するベーパ制御弁と、前
    記パージラインを通過する燃料量を調整するために開度
    がデューティ制御されるパージ制御弁と、前記エンジン
    の運転時であって、前記車両の走行時と停止時とで異な
    り、停止時よりも走行時において相対的に大きいデュー
    ティ比に基づき前記パージ制御弁の開度をデューティ制
    御するための制御手段とを備えた燃料蒸気処理装置に係
    る故障を診断するための故障診断装置において、 前記ベーパ制御弁を境とした前記キャニスタ側の内圧と
    前記燃料タンク側の内圧とを選択的に検出するための圧
    力検出手段と、 前記車両の状態が走行か停止かを検出するための車両状
    態検出手段と、 前記パージ制御弁が所定の基準値以上のデューティ比に
    基づきデューティ制御されるときに、前記選択的に検出
    される前記燃料タンク側の内圧又は前記キャニスタ側の
    内圧を所定の判定値と比較することにより、前記燃料蒸
    気処理装置に係る故障を診断するための診断手段と、 前記検出される車両の状態が走行か停止かによって前記
    診断手段で適用される前記デューティ比に係る前記基準
    値を変更するための第1の変更手段とを備えたことを特
    徴とする燃料蒸気処理装置の故障診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の燃料蒸気処理装置の故
    障診断装置において、前記検出される車両の状態が走行
    か停止かによって前記診断手段で適用される前記故障診
    断に係る前記判定値を変更するための第2の変更手段を
    更に備えたことを特徴とする燃料蒸気処理装置の故障診
    断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の燃料蒸気処理装
    置の故障診断装置において、前記車両の走行時における
    前記診断手段による診断結果と、前記車両の停止時にお
    ける前記診断手段による診断結果とに基づき、前記燃料
    蒸気処理装置に係る故障を最終的に診断するための最終
    診断手段を更に備えたことを特徴とする燃料蒸気処理装
    置の故障診断装置。
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