JP3089386B2 - 溶接用ガンアームの製造方法 - Google Patents

溶接用ガンアームの製造方法

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JP3089386B2 JP07048774A JP4877495A JP3089386B2 JP 3089386 B2 JP3089386 B2 JP 3089386B2 JP 07048774 A JP07048774 A JP 07048774A JP 4877495 A JP4877495 A JP 4877495A JP 3089386 B2 JP3089386 B2 JP 3089386B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接ガンに用いられる
溶接用ガンアーム製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶接用ガンアームとして、アーム
本体をアルミ合金で形成したものは知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ワークの溶接時には溶
融したワークの一部がスパッタとして周囲に飛散し、そ
の一部はガンアームに当たる。そして、ガンアームに衝
突したスパッタはガンアームの外表面に一部溶け込んで
付着し、その上にスパッタが次々と推積する。その結
果、放置するとスパッタの堆積層が成長し、遂にはガン
アームに対し絶縁すべき溶接ガンの部材やワーク等に堆
積層が触れて溶接電流のリークを生ずるようになる。そ
のため、ガンアームに堆積したスパッタを時々除去する
ことが必要になるが、スパッタの一部はガンアームの外
表面に溶け込んでいるためその除去は困難であり、メン
テナンス作業が面倒になる。本発明は、以上の点に鑑
み、耐スパッタ性を向上させた溶接用ガンアームを生産
性良く製造し得るようにした方法を提供することをその
目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、アルミ合金で溶接用ガンアームのアーム本体
を形成し、アーム本体に形成する冷却水通路の内表面を
含むアーム本体の全表面に陽極酸化皮膜を形成した後
に、アーム本体に設けられる給電端子部やチップ接続部
の機械加工を行うことを特徴とする。
【0005】
【作用】陽極酸化皮膜の融点は約2100℃であり、一方、
スパッタの温度は高くても1200℃程度であるから、スパ
ッタが陽極酸化皮膜に溶け込むことはない。また、スパ
ッタの主成分である鉄に対しての陽極酸化皮膜の濡れ性
は低く、そのため、スパッタは陽極酸化皮膜上で粒状に
凝固し、陽極酸化皮膜から簡単に剥離する。従って、溶
接ガンの開閉動作による振動でも陽極酸化皮膜からスパ
ッタが剥れ落ち、ガンアームにスパッタが堆積しにくく
なる。更に、陽極酸化皮膜は高い絶縁性を持つため、仮
に、スパッタが堆積しても堆積層とアーム本体とは電気
的に絶縁され、電流リークは生じない。
【0006】また、陽極酸化皮膜は耐食性が高く、上記
の如くアーム本体の冷却水通路の内表面にも陽極酸化皮
膜を形成しておけば、ガンアームの耐久性を向上でき
る。
【0007】ところで、給電端子部やチップ接続部は給
電のためにアーム本体の母材を露出させる必要がある。
この場合、給電端子部や接続部をシーリングしてアーム
本体の陽極酸化処理を行うことも考えられるが、上記の
如く陽極酸化処理後に給電端子部や接続部を機械加工
し、これら部位の陽極酸化皮膜を削り取って母材を露出
させるようにすれば、面倒なシーリング作業が不要にな
り、生産性の向上を図る上で有利である。
【0008】
【実施例】図1を参照して、1は溶接治具等の基台Aに
取付けて使用する定置式の溶接ガンを示す。この溶接ガ
ン1は、基台Aに対する取付ベース2に上下動自在に支持
させたガンブラケット3と、ガンブラケット3に固定した
固定ガンアーム4と、固定ガンアーム4の上側の可動ガン
アーム5と、ガンブラケット3の下端に取付けた、可動ガ
ンアーム5を開閉する加圧シリンダ6とを備えている。
【0009】ガンブラケット3は、図2に示す如く、上
下方向に長手の表裏1対の側板3a,3aで構成されてお
り、加圧シリンダ6のシリンダバレル6aをその上端に突
設した1対の突起6b,6bにおいて両側板3a,3aの下端部間
にボルト止めした。更に、シリンダバレル6aの外側面に
ガイドスリーブ6cを一体に形成し、取付ベース2に垂設
したガイドバー2aをガイドスリーブ6cに挿通して、ガン
ブラケット3を加圧シリンダ6を介して取付ベース2に上
下動自在に且つばね7で上方に付勢して支持させた。
【0010】固定ガンアーム4は、ガンブラケット3の横
方向一方に延出させた状態で、図3に示す如く、ガンブ
ラケット3の両側板3a,3a間に尾端部においてボルト止め
される。
【0011】可動ガンアーム5は、両側板3a,3aに形成し
たカム溝3bに上下1対のガイドピン8a,8bを介して係合
するアームホルダ8にボルト止めされており、加圧シリ
ンダ6のピストンロッド6dをアームホルダ8に連結し、ピ
ストンロッド6dの上動と下動とにより可動ガンアーム5
にカム溝3bに案内された図1の仮想線示の如き開放動作
と同図実線示の如き閉じ動作とが与えられるようにし
た。
【0012】ピストンロッド6dには上向きの段差面9が
形成されており、取付ベース2から両側板3a,3a間にスト
ッパアーム10を延出し、ピストンロッド6dの上動で可動
ガンアーム5が所定の開放位置に開かれたとき、段差面9
がストッパアーム10に当接して、以後当接反力によりガ
ンブラケット3がばね7に抗して引下げられ、固定ガンア
ーム4が下方に開かれるようにした。
【0013】各ガンアーム4,5の先端には凹孔状のチッ
プ接続部4b,5bが形成されており、該接続部4b,5bに夫々
電極チップ11,12を装着し、可動ガンアーム5の閉じ動作
で両ガンアーム4,5の先端の電極チップ11,12間にワーク
Wを挟持し、この状態で両ガンアーム4,5に給電してワ
ークWのスポット溶接を行う。ここで、両側板3a,3a間
には、ガンブラケット3の下部外方に一端を張り出させ
た給電板13が設けられており、給電板13の他端を図3に
示す如く固定ガンアーム4の尾端部一側面の給電端子部4
aに重ね合わせた状態で固定ガンアーム4と共に両側板3
a,3a間に共締めし、更に給電板13の一端寄りの部分を図
4に示す如く加圧シリンダ6の上端の突起6bと共に両側
板3a,3a間に共締めした。そして、給電板13の一端にキ
ックレスケーブルから成る給電ケーブル14の1対の端子
14a,14bを挟むようにして中継部材15をボルト止めする
と共に、中継部材15を可動ガンアーム5の尾端の給電端
子部5aにオンス銅板16を介して接続し、かくて、給電ケ
ーブル14の一方の端子14aが給電板13を介して固定ガン
アーム4に接続され、他方の端子14bが中継部材15をオン
ス銅板16とを介して可動ガンアーム5に接続されるよう
にした。
【0014】固定ガンアーム4とガンブラケット3の間、
給電板13とガンブラケット3の間、給電板13と加圧シリ
ンダ6の間及び可動ガンアーム5とアームホルダ8の間は
夫々絶縁材17により電気的に絶縁される。図中15aは給
電板13の一端と中継部材15との間に介設した絶縁スペー
サ、3cはガンブラケット3の各側板3aの外面にビス止め
したカバー、4c,5cは各ガンアーム4,5に形成した冷却水
通路、4d,5dは冷却水通路4c,5cのアーム外表面への開口
端に施した盲栓である。
【0015】上記の構成において、各ガンアーム4,5に
スパッタが付着堆積すると、固定ガンアーム4とガンブ
ラケット3の間や可動ガンアーム5とアームホルダ8の間
の絶縁が破壊されてしまうおそれがある。
【0016】そのため、本実施例では、各ガンアーム4,
5を、図5に示す如く、アルミ合金製、例えばA606
1P−T6製のアーム本体100の外表面に厚さ15〜20μ
程度の陽極酸化皮膜101を形成して成るものとした。陽
極酸化皮膜101は融点が約2100℃と高いため、スパッタ
Sが溶け込むことはなく、而も、スパッタの主成分たる
融溶鉄の陽極酸化皮膜101に対する接触角は約128°であ
って濡れ性が低いために、陽極酸化皮膜101上でスパッ
タSは粒状に凝固する。かくて、スパッタSは陽極酸化
皮膜101から簡単に剥離し、各ガンアーム4,5にスパッタ
が堆積しにくくなり、また、その除去も容易になる。更
に、陽極酸化皮膜101は絶縁性が高いため、仮に、スパ
ッタが堆積しても、固定ガンアーム4とがブラケット3の
間や可動ガンアーム5とアームホルダ8の間での電流リー
クは生じない。
【0017】ところで、陽極酸化皮膜101は、硫酸やし
ゅう酸を含む電解液を入れた処理槽にアーム本体100を
浸漬し、アーム本体100を陽極として電解処理を行うこ
とにより形成され、電解処理後に封孔処理を行う。ここ
で、陽極酸化皮膜101は耐食性にも優れており、ガンア
ーム4,5の耐久性を向上する上で冷却水通路4c,5cの内表
面にも陽極酸化皮膜を形成することが望ましい。そのた
め、盲栓4d,5dを施さずに上記電解処理と封孔処理とを
行い、冷却水通路4c,5cの内表面を含むアーム本体100の
全表面に陽極酸化皮膜101を形成する。
【0018】尚、各ガンアーム4,5の給電端子部4a,5aや
チップホルダ12の接続部4b,5bはアーム本体100の母材を
露出させる必要があり、この場合給電端子部4a,5aや接
続部4b,5bをシーリングして電解処理を行うことも考え
られるが、これではシーリング作業に手間がかかるた
め、アーム本体100の全表面に陽極酸化皮膜101を形成し
た後に機械加工で給電端子部4a,5aや接続部4b,5bの陽極
酸化皮膜を削り取った方が生産性が向上する。
【0019】以上、定置式溶接ガンのガンアームに本発
明を適用した実施例について説明したが、ロボット等に
搭載するX型ガンやC型ガンといった可搬式の溶接ガン
のガンアームにも同様に本発明を適用できる。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、耐スパッタ性及び耐久性に優れたガンアーム
が得られると共に、ガンアームの生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法で製造されたガンアームを具備す
る溶接ガンの一例の截断側面図
【図2】 図1のII-II線截断正面図
【図3】 図1のIII-III線截断平面図
【図4】 図1のIV-IV線截断平面図
【図5】 ガンアームの模式的な断面図
【符号の説明】
4,5 ガンアーム , 4a,5a 給
電端子部 4b,5b チップホルダの接続部 , 4c,5c
冷却水通路 100 アーム本体 , 100 陽
極酸化皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−278696(JP,A) 特開 昭55−10350(JP,A) 実開 昭57−49076(JP,U) 実開 昭62−133946(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/00 - 11/36 330

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ合金で溶接用ガンアームのアーム
    本体を形成し、アーム本体に形成する冷却水通路の内表
    面を含むアーム本体の全表面に陽極酸化皮膜を形成した
    後に、アーム本体に設けられる給電端子部やチップ接続
    部の機械加工を行うことを特徴とする溶接用ガンアーム
    の製造方法。
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