JP3088103B2 - 石膏ボード貼パネルのコーナー部構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、たとえばプレハブ住宅等においてパネル状
部品により構成される壁のコーナー部構造に係わり、特
に石膏ボード貼パネルを用いた壁のコーナー部構造に関
するものである。

「従来の技術」 一般に、一戸建てプレハブ住宅等の工業化住宅では、
その躯体や外装および内装関係の部材等を規格化するこ
とによって現場での施工作業の簡略化が図られている
が、工業化住宅の内装については、現場での大工作業に
任せている場合が多く、一般には、躯体程プレハブ化、
部品化が進展していないのが実状である。したがって、
床、天井、間仕切といった部位は、下地をパネル化して
いるケースにとどまり、さらにその内装関係のプレハブ
化に対しては、従来よりその開発が待たれていた。

ところで、このような一戸建てプレハブ住宅等の内装
には、たとえば壁パネルの内面に貼られるような内装下
地を形成する建材ボードや、建具枠、額縁といった造作
部品あるいはクロスのような壁の仕上材等があるが、中
でも内装下地となる建材ボードは、現場での施工が大掛
かりなものとなるため、そのプレハブ化に対する要望が
大きかった。

従来、内装下地を形成する建材ボードには、種々の素
材のものが利用されているが、中でも石膏板の両面に厚
紙をサンドイッチ状に接着させた石膏ボードは、高い防
火性と、良好な遮音性、寸法安定性をもち、施工性に優
れ、なおかつ、安価であるといった利点をもつため、従
来より建築用の内装材料などとして広く用いられてい
る。

第３図ないし第６図は建築物の内装下地に石膏ボード
を利用した従来例を示すもので、これらは通常現場施工
で行なわれ、たとえば第４図に示すような玄関部位Ａの
コーナー部では、外壁パネル1,2に貼る石膏ボード３に
いわゆる勝ち負けを作りコーナー部の入隅を収めるよう
にしている。すなわち、ドア枠40が取り付けられる一方
の外壁パネル１の内面には、この内面全面を覆う石膏ボ
ード３が貼られ、他方の外壁パネル２の内面には、外壁
パネル１の石膏ボード３を避けるようにして石膏ボード
３が貼られるものである。

また、第５図に示すような戸袋を形成する間仕切壁の
部位Ｂでも、第４図に示す構造と同様に、石膏ボード３
にいわゆる勝ち負けを作りコーナー部の入隅を収めるよ
うにしている。図示例では、戸袋の両側面を形成する間
仕切パネル４の内面全面にそれぞれ石膏ボード３が貼ら
れ、戸袋の奥面を形成する間仕切パネル５には戸袋両面
の石膏ボード３の干渉を除くようにして石膏ボード３が
貼られる。なお、間仕切壁のコーナー部Ｇでは、コーナ
ー部の一方を形成する間仕切パネル６の両面にそれぞれ
石膏ボード３が貼られ、この間仕切パネル６の端面が突
き当たる間仕切パネル７の入隅側内面には間仕切パネル
６の石膏ボード３の干渉を除くようにして石膏ボード３
が貼られるとともに、出隅側全面には間仕切パネル７の
外面を覆うようにして石膏ボード３が貼られる。

一方、第６図に示すような外壁と間仕切壁との部位Ｃ
では、間仕切壁を形成する間仕切パネル８の両面全面に
石膏ボード３が貼られ、この間仕切パネル８の端面が突
き当たる外壁パネル9Aには、間仕切パネル８による突き
当たり部の干渉を避けるようにして石膏ボード３が貼ら
れる。なお、図示例では、間仕切パネル８の突き当たら
ない外壁パネル9Bには、間仕切パネル１と同様にその内
面全面を覆うようにして石膏ボード３が貼られた構造と
なっている。

「発明が解決しようとする課題」 本発明は前述した従来技術における次のような課題を
解決せんとするものである。

第１に、従来、内装下地を形成する石膏ボード３は現
場で石膏ボード３を貼る部位に対応してカットし、パネ
ルに貼る作業をしているので、その施工に手間がかか
り、工期短縮を図ることができない点である。特に石膏
ボード３を現場でカットした場合には、現場に石膏ボー
ド３のごみが出る上、石膏ボードの品質を維持するのが
難しいといった問題点があった。

第２に、このような石膏ボード３を予め工場生産した
場合には、石膏ボード３を貼る部位に対応させてあらゆ
る大きさ種類のものを用意しなければならないので、コ
スト的に不満が生じる点である。特に石膏ボード３と躯
体を形成するパネルとを一体化してプレハブ化した場合
には、石膏ボード３だけでなく、パネル自身の種類も増
え、現場でのパネルの取付順序等が複雑化し、施工効率
が低下するといった難点がある。

本発明はこのような事情に鑑みて提案されたもので、
その目的とするところは、少ない種類のパネルによって
内装下地をもったコーナー部の壁構造を組み立てること
ができ、また現場施工が容易で、内装下地のプレハブ化
を有効に図ることのできる石膏貼パネルのコーナー部構
造を提供することにある。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するために本発明は、パネル本体の
少なくとも一方の表面に当該パネル本体の外縁に合わせ
てこの表面全面を覆う石膏ボードを貼ったパネルどうし
をほぼ直角に突き合わせ建築物のコーナー部を構成する
構造であって、コーナー部の入隅側に石膏ボードを貼っ
たパネル表面をそれぞれ位置させ、これらのパネルのう
ち第１のパネルの表面を、第２のパネルの端面よりもそ
の厚みの略1/2だけ入隅側に位置させた状態で、前記第
１のパネルの端面を前記第２のパネルの表面に突き合わ
せるとともに、これらパネルの入隅側に位置するそれぞ
れの石膏ボードどうしを密接させ、これらのパネルどう
しを突き合わせることによってコーナー部の出隅側に形
成された段部に、この段部の幅と奥行きを埋めるととも
に出隅側の角部を挟む外面のそれぞれが前記第１及び第
２のパネルの各パネル本体外側面と同一平面になるよう
な大きさの角型調整材を設けたことを特徴とするもので
ある。

「作用」 本発明にかかる石膏ボード貼パネルのコーナー部構造
によれば、パネル本体の表面全面に貼った石膏ボードを
コーナー部の入隅側に位置するようにこれらのパネルを
配置し、これらのパネルのうち第１のパネルの表面を、
第２のパネルの端面よりもその厚みの略1/2だけ入隅側
に位置させた状態で、前記第１のパネルの端面を前記第
２のパネルの表面に突き合わせるとともに、これらパネ
ルの入隅側に位置するそれぞれの石膏ボードどうしを密
接させ、さらにコーナー部の出隅側に形成された段部に
角型調整材を配置することによって、パネルどうしのコ
ーナー部を構成することができ、また、これにより、コ
ーナー部の入隅側に位置する石膏ボードの収まりをする
ことが容易になるので、現場施工の効率を向上すること
が可能になる。さらに、角型調整材の、出隅側の角部を
挟む外面のそれぞれが、第１及び第２のパネルの各パネ
ル本体外側面と同一平面になるため、各パネル本体外側
面に貼設された石膏ボードと同じものを角型調整材の前
記外面に張り付けたときに、出隅側表面に段差が生じる
ことを回避でき、その後、壁クロスを貼設する等の各種
仕上げを容易に行うことが可能となる。なお、各パネル
本体外側面に石膏ボードが貼設されていないパネルであ
っても、角型調整材の前記外面のそれぞれが各パネル本
体外側面と同一平面になるため、その後の石膏ボードや
壁クロス等の内装材の貼設作業を容易に行うことが可能
となっている。また、入隅側において石膏ボードどうし
を密着させることにより、耐火性を持つ石膏ボードを連
続させ、コーナー部の耐火性を向上させることが可能と
なる。

「実施例」 以下、本発明の実施例を第１図および第２図を参照し
て説明する。

第１図は戸袋を形成する間仕切壁の部位に本発明にか
かるコーナー部構造を適用した例を示すもので、この実
施例においては、各間仕切壁を形成する間仕切パネル1
0,11,12,13は、それぞれパネル本体10a,11a,12a,12aの
表面に各パネル本体10a,11a,12a,13aの外縁に合わせて
それらの表面全面を覆う石膏ボード３が工場等で予め貼
られた構造となっている。

そして、戸袋部位の一方のＬ型のコーナー部Εにあっ
ては、コーナー部を構成する第１のパネル（戸袋の側面
を形成するパネル）10の表面が、コーナー部を構成する
第２のパネル（戸袋の奥面を形成するパネル）11の端面
よりもその厚みの略1/2だけ入隅側に位置させられた状
態で配置され、また前記第１のパネル端面10bが第２の
パネル11の表面（すなわち石膏ボード３の表面）に突き
合わされるとともに、これらパネル10,11の入隅側に位
置するそれぞれの石膏ボード3,3どうしを密接させ、こ
れらのパネル10,11どうしを突き合わせることによって
コーナー部の出隅側に形成された段部15に、この段部15
の幅と奥行きを埋めるとともに出隅側の角部を挟む外面
のそれぞれが第１及び第２のパネル10、11の各パネル本
体10a、11a外側面と同一平面になるような大きさの角型
調整材16が設けられた構成となっている。なお、このコ
ーナー部Ｅの出隅側の外面およびパネル10の端面にも石
膏ボード３が配置されていることは言うまでもない。

また、この戸袋を構成する間仕切壁のもう一つのコー
ナー部Ｆにあっても、基本的な構成は先のコーナー部Ｅ
と同様に、このコーナー部Ｆを構成する第１のパネル10
の表面が、コーナー部を構成する第２のパネル11の端面
よりもその厚みの略1/2だけ入隅側に位置させられた状
態で配置され、また前記第１のパネル端面10bが第２の
パネル11の表面（すなわち石膏ボード３の表面）にこれ
らパネル10,11の入隅側に位置するそれぞれの石膏ボー
ド3,3どうしを密接させ、突き合わされるとともに、こ
れらのパネル10,11どうしを突き合わせることによって
コーナー部の出隅側に形成された段部15に、この段部15
の幅と奥行きを埋めるとともに出隅側の角部を挟む外面
のそれぞれが第１及び第２のパネル10、11の各パネル本
体10a、11a外側面と同一平面になるような大きさの角型
調整材16が設けられた構成となっている。しかし、この
コーナー部Ｆでは、第２のパネル11に連続して間仕切壁
を形成する石膏ボード貼パネル14が設けられている点が
先のコーナー部Ｅと異なっている。

なお、この間仕切壁のもう一つのコーナー部Ｇの構造
について説明を補足しておくと、このコーナー部Ｇにお
いても、基本的には、コーナーＥと同様に、このコーナ
ー部Ｇを構成する第１のパネル12の表面が、コーナー部
Ｇを構成する第２のパネル13の端面よりもその厚みの略
1/2だけ入隅側に位置させられた状態で配置され、また
前記第１のパネル端面12bが第２のパネル13の表面（す
なわち石膏ボード３の表面）に突き合わされるととも
に、これらパネル12,13の入隅側に位置するそれぞれの
石膏ボード3,3どうしを密接させ、これらのパネル12,13
どうしを突き合わせることによってコーナー部の出隅側
に形成された段部15に、この段部15の幅と奥行きを埋め
るとともに出隅側の角部を挟む外面のそれぞれが第１及
び第２のパネル12、13の各パネル本体12a、13a外側面と
同一平面になるような大きさの角型調整材16が設けられ
た構成となっている。なお、この場合においても、コー
ナー部Ｇの出隅側の外面（図示例では角型調整材16の外
面）には石膏ボード３が貼られ内装下地が形成されてい
る点は、先のコーナー部Ｅと同様である。

また、第２図は玄関部位Ａのコーナー部Ｈに本発明を
適用した例を示すもので、この場合においても先に説明
したコーナー部Ｅなどと同様であるが、この場合には、
このコーナー部Ｇを構成する第１および第２のパネル2
0,21がそれぞれ外壁を構成しているため、パネル本体20
a,21aの入隅側となる内面に石膏ボード３が貼られてい
る。そして、このコーナー部Ｈにあっては、第１のパネ
ル20の表面がコーナー部Ｈを構成する第２のパネル21の
端面よりもその厚みの略1/2だけ入隅側に位置させられ
た状態で配置され、また前記第１のパネル端面20bが第
２のパネル21の表面（すなわち石膏ボード３の表面）に
突き合わされるとともに、これらパネル20,21の入隅側
に位置するそれぞれの石膏ボード3,3どうしを密接さ
せ、これらのパネル20,21どうしを突き合わせることに
よってコーナー部の出隅側に形成された段部15に、この
段部15の幅と奥行きを埋めるととも出隅側の角部を挟む
外面のそれぞれが第１及び第２のパネル20、21の各パネ
ル本体20a、21a外側面と同一平面になるような大きさの
角型調整材16が設けられた構成となっている。

次ぎに、このように構成された本発明の作用について
説明する。

このような建築物のコーナー部を施工する場合には、
まず、工場等において、パネル本体の外面に石膏ボード
３が貼られた石膏ボード貼パネル10,11,12,13,14,20,21
等をそれぞれ個々に形成しておき、たとえば、コーナー
部Ｅを形成する場合には、パネル11を起て、このパネル
11の表面に前記パネル10の端面10bを突き合わせるとと
もに、出隅側の段部15に角型調整材16を取り付ける。

この組立は、石膏ボード３を貼ったパネル10,11,12,1
3,14,20,21を起てて、コーナー部の出隅側に角型調整材
16を取り付ける単純作業であり、組立作業に際し特別の
技術を必要とせず、また、各パネルは、パネル本体の表
面に、各パネル本体の外縁に合わせてこの表面全面を覆
う大きさの石膏ボード３を取り付けることにより形成さ
れたものを利用でき、したがって、パネルどうしの付き
合わせ部の干渉を除くために、石膏ボード３を切り取る
必要がなく、パネル自身の種類も少なくすることがで
き、またパネルのプレハブ化を容易に図ることができる
ので、内装下地のプレハブ化を有効に図ることができ
る。

また、第２図に示すドア枠40をもったパネル20によっ
てコーナー部Ηを形成する場合では、パネル20の端面20
bをもう一方のパネル21の表面（すなわち石膏ボード３
の表面）に突き当てることによって配置されるので、パ
ネル20は石膏ボード３の厚み分内側に突出させることが
でき、これにより、ドア枠40に介在させる調整材の取付
が不要になるといった利点がある。

なお、前記実施例において示した各構成部材の諸形状
や寸法等は一例であって、適用するコーナー部の種類や
設計要求等に基づき種々変更可能である。

「発明の効果」 以上説明したように、本発明の石膏ボード貼パネルの
コーナー部構造によれば、パネル本体の外縁に合わせて
その表面全面に貼った石膏ボードを内部の入隅側に位置
するようにこれらのパネルを配置し、これらのパネルの
うち第１のパネルの表面を、第２のパネルの端面よりも
その厚みの略1/2だけ入隅側に位置させた状態で、前記
第１のパネルの端面を前記第２のパネルの表面に突き合
わせるとともに、これらパネルの入隅側に位置するそれ
ぞれの石膏ボードどうしを密接させ、さらにコーナー部
の出隅側に形成された角型調整材を配置することによっ
て、パネルどうしのコーナー部を構成することができ、
また、これにより、コーナー部の入隅側に位置する石膏
ボードの収まりをすることが容易になるので、現場施工
の効率を向上することができるといった優れた効果があ
る。

さらに、少ない種類のパネルによって内装下地をもっ
たコーナー部の壁構造を組み立てることができ、また現
場施工が容易で、内装下地のプレハブ化を有効に図るこ
とができるといった長所がある。また、角型調整材の、
出隅側の角部を挟む外面のそれぞれが、第１及び第２の
パネルの各パネル本体外側面と同一平面になるため、各
パネル本体外側面に貼設された石膏ボードと同じものを
角型調整材の前記外面に張り付けたときに、出隅側表面
に段差が生じることを回避でき、その後、壁クロスを貼
設する等の各種仕上げを容易に行うことができる。な
お、各パネル本体外側面に石膏ボードが貼設されていな
いパネルであっても、角型調整材の前記外面のそれぞれ
が各パネル本体外側面と同一平面になるため、その後の
石膏ボードや壁クロス等の内装材の貼設作業を容易に行
うことができる。また、入隅側において石膏ボードどう
しを密着させることにより、耐火性を持つ石膏ボードを
連続させ、コーナー部の耐火性を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの発明に係る石膏ボード貼パネ
ルのコーナー部構造の一実施例を示すもので、第１図は
建築物の内側に設けられる間仕切壁に適用した場合の平
面図、第２図は外壁のコーナー部に適用した場合の平面
図、第３図ないし第６図は従来技術を説明するために示
したもので、第３図は建築物のパネル配置を示す平面
図、第４図は第３図鎖線IV円部を拡大した平面図、第５
図は第３図鎖線Ｖ円部を拡大した平面図、第６図は第３
図鎖線VI円部を拡大した平面図である。 1,2……外壁パネル、３……石膏ボード、40……ドア
枠、4,5,6,7,8……間仕切パネル、9A,9B……外壁パネ
ル、 10,11,12,13,14,20,21……石膏ボード貼パネル、 15……段部、16……角型調整材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パネル本体の少なくとも一方の表面に当該
   パネル本体の外縁に合わせてこの表面全面を覆う石膏ボ
   ードを貼ったパネルどうしをほぼ直角に突き合わせ建築
   物のコーナー部を構成する構造であって、 コーナー部の入隅側に石膏ボードを貼ったパネル表面を
   それぞれ位置させ、これらのパネルのうち第１のパネル
   の表面を、第２のパネルの端面よりもその厚みの略1/2
   だけ入隅側に位置させた状態で、前記第１のパネルの端
   面を前記第２のパネルの表面に突き合わせるとともに、
   これらパネルの入隅側に位置するそれぞれの石膏ボード
   どうしを密接させ、これらのパネルどうしを突き合わせ
   ることによってコーナー部の出隅側に形成された段部
   に、この段部の幅と奥行きを埋めるとともに出隅側の角
   部を挟む外面のそれぞれが前記第１及び第２のパネルの
   各パネル本体外側面と同一平面になるような大きさの角
   型調整材を設けたことを特徴とする石膏ボード貼パネル
   のコーナー部構造。