JP3088049B2 - グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板 - Google Patents

グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板

Info

Publication number
JP3088049B2
JP3088049B2 JP04342901A JP34290192A JP3088049B2 JP 3088049 B2 JP3088049 B2 JP 3088049B2 JP 04342901 A JP04342901 A JP 04342901A JP 34290192 A JP34290192 A JP 34290192A JP 3088049 B2 JP3088049 B2 JP 3088049B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
water
green sheet
alumina
alumina substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04342901A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06191930A (ja
Inventor
圭造 槙尾
政行 石原
卓実 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP04342901A priority Critical patent/JP3088049B2/ja
Publication of JPH06191930A publication Critical patent/JPH06191930A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3088049B2 publication Critical patent/JP3088049B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子材料分野におい
て、回路基板として使うアルミナ基板作製用のグリーン
シートの製造方法と、このグリーンシートを用いて作成
したアルミナ基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミナ基板は、表面に導体ペー
ストを印刷する厚膜法、表面に導電性薄膜を蒸着・スパ
ッタ等で膜付けする薄膜法、表面に導電性薄膜をメッキ
で膜付けする湿式法等によって回路が描かれ、回路基板
となる。厚膜用回路基板に使うアルミナ基板は、アルミ
ナ純度96%アルミナ基板(以下、「96%アルミナ基
板」と略す)、すなわちアルミナが基板全体100重量
%のうち約96重量%を占めるものが使われている。し
かしながら、近年、回路基板の小型化、多機能化に伴
い、回路パターンが複雑な上に回路幅も狭くなる、いわ
ゆるファインパターン化への要求が高まっている。
【0003】しかし、このようなファインパターン回路
を従来の96%アルミナ基板で作製することは困難であ
った。このことは、96%アルミナ基板の表面粗度と関
係している。従来の96%アルミナ基板の表面粗度は、
例えば「家田,神戸:実務表面技術Vol.29 No12(1982)
P541」に記載されているものでは、Raは0.3μmで
ある。アルミナ基板中のアルミナ焼結粒子径(グレイン
サイズ)が大きいために、表面粗度が大きくなっている
のである。このように96%アルミナ基板の場合、表面
粗度が大きいのでファインパターン回路を描いた場合、
回路の断線等が発生し易くなるという問題がある。
【0004】そのため、近年、グレインサイズを小さく
した低表面粗度のアルミナ基板が求められている。表面
粗度を小さくする対応策として、従来の96%アルミナ
基板の表面にガラス粉末ペーストを印刷して焼成し基板
の表面粗度を小さくするというグレーズ処理を施したグ
レーズ基板がある。しかし、このグレーズ基板は、グレ
ーズ処理のためコストが上昇する上、基板表面にガラス
質(ガラス相)が存在することになるため、アルミナ基
板に比べて誘電特性,熱伝導率が悪くなるという欠点が
あった。
【0005】表面粗度を小さくする他の対応策として、
原料にガラス質の構成成分となる焼結助剤を使わず、粒
径の細かいアルミナ粉末のみを使用して、グレインサイ
ズを小さくし低表面粗度化を図る高純度(アルミナ含有
率99.5重量%以上)アルミナ基板がある。この高純
度アルミナ基板は、低表面粗度である上に高周波域の電
気特性も良好であるが、用途が薄膜法による回路基板形
成用に限られると言う欠点がある。
【0006】つまり、厚膜法の場合、回路用の導体層は
アルミナ基板中の主に粒界に存在するガラス質と密着す
ることを利用して回路を形成している。一方、メッキ法
ではアルミナ基板中の主に粒界に存在するガラス質をエ
ッチング除去して粒界に導体層に対するアンカー機能を
もたせ、回路用の導体層とアルミナ基板の表面との密着
性を確保するようにしているからである。
【0007】ところで、96%アルミナ基板の場合、高
純度アルミナ基板並の小グレインサイズおよび低表面粗
度を確保することは困難であった。基板の表面粗度を小
さくするには微粒子(粒径の小さい)状のアルミナ粉末
を用いる必要があるが、そのような粒径の細かいアルミ
粉末は凝集が著しく扱い難いなどの欠点があるためであ
る。
【0008】さらに、ファインパターン化対応のための
アルミナ基板の品質としては、表面粗度だけでなく、基
板の寸法精度、そりも重要な要素である。つまり、表面
粗度が小さくても、寸法精度が悪かったり、そりが大き
い場合などは、回路形成時に回路パターンの位置ずれが
起こり易く、不良の原因となるからである。アルミナ基
板に限らずセラミック基板の寸法精度やそりは、製造過
程での成形工程に関係している。一般的にセラミック基
板の成形は、スラリを用いるドクターブレード法とスラ
リよりも水分(ないし溶剤)量の少ない坏土を用いる押
出し成形法とがある。
【0009】前者のドクターブレード法の場合はグリー
ンシート(シート状成形体)の密度が後者の押出し成形
法のグリーンシートの密度よりも低いため、焼成し基板
を得た場合の焼成収縮率が大きくて寸法精度やそりが大
きくなる。アルミナ基板の製造過程において押出し成形
法でグリーンシートの密度を上げることは従来から行わ
れている(特開昭58-20775号公報、特開平02-248358 号
公報) が、使用するセラミック粉末が1.0μm以下の
微粒子となると粉末の凝集体(50〜100μm程度の
大きさの凝集)がグリーンシート中に多数存在するよう
になり、その結果、焼成後の基板の表面粗度が大きくな
ってしまう。また、押出し成形したグリーンシートをロ
ールで加圧することも試みられている(特開平02-24835
8 号公報) のであるが、グリーンシート中に多数存在す
る場合には表面粗度の改善効果は認められない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑み、用途が広く、表面粗度が小さく、寸法精度がよ
く、そりの小さな実用性の高いアルミナ基板を作製出来
るグリーンシートの製造方法、および、用途が広く、表
面粗度が小さく、寸法精度がよく、そりの小さな実用性
の顕著なアルミナ基板を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明は、焼成によりガラス質含有のアルミナ基
板となるグリーンシートの製造方法であって、アルミナ
粉末と焼結助剤とからなる原料粉末、水溶性樹脂、有機
添加物、および、水の混合物を押出し成形するアルミナ
基板作製用のグリーンシートを得るにあたり、前記アル
ミナ粉末は平均粒径が0.8〜1.0μmであり、前記
焼結助剤では、SiO2 ,MgOおよびCaOが、それ
ぞれ、65.0重量%≦SiO2 ≦72.5重量%、2
5.0重量%≦MgO≦35.0重量%、0≦CaO≦
5.0重量%の範囲で合わせて焼結助剤の全量(100
重量%)となるように含まれており、かつ、水、水溶性
樹脂および有機添加物の3者の関係が重量基準で、 1.3≦〔(水)÷(水溶性樹脂+有機添加物)〕≦
1.7 であるとともに、 22≦〔(有機添加物)÷(水+有機添加物)×10
0〕≦30 なる構成をとるようにしている。
【0012】この発明におけるグリーンシートの場合、
普通、原料粉末におけるアルミナ粉末と焼結助剤は両者
合計100重量%のうちアルミナ粉末が約96重量%で
あって、焼結助剤が約4重量%であり、この場合のグリ
ーンシートで得られるアルミナ基板は、アルミナの純度
が96%であるいわゆる96%アルミナ基板である。こ
の発明の場合、アルミナ純度が96%である96%アル
ミナ基板の場合には、アルミナが基板全体100重量%
のうち96.O±0.2重量%程度の範囲にあるものは
アルミナ純度96%アルミナ基板の範囲に含まれている
と考えるものとする。
【0013】また、この発明では、水溶性樹脂としてメ
チルセルロースを用い、かつ、有機添加物が液状の有機
添加物であるグリセリン、ポリオキシアルキレン、ソル
ビタンモノカプリレート複合エステルの3者を合計10
0重量%のうち、10重量%≦グリセリン≦50重量
%、20重量%≦ポリオキシアルキレン≦40重量%、
30重量%≦ソルビタンモノカプリレート複合エステル
≦70重量%となる割合で併用する形態は、低表面粗度
化を図る上で好ましい。勿論、有機添加物は、液状のも
のに限らず、水や水溶性樹脂に混合した場合に均一に分
散ないし溶解するようなものであれば、固形物であって
もよい。
【0014】以下、この発明をアルミナ基板が96%ア
ルミナ基板である場合を例にとって説明する。この発明
では、アルミナ粉末として平均粒径0.8〜1.0μm
のものを用いる。0.8μm未満だと非常に凝集し易く
て製造過程での凝集の低減を図ることが困難であり、焼
成条件の微妙な変化でグレインが異常成長を起こし易
く、結果として低表面粗度の実現が出来ない。1.0μ
mを越すと、粉末の凝集は起こり難くなるが、素材とし
てのアルミナ粉末自体の粒径が大きくなりすぎて焼成後
のグレインサイズが大きく表面粗度は従来のものと大差
なくなってしまい、結果として低表面粗度の実現が出来
ない。
【0015】アルミナ粉末と前記ガラス質の構成成分と
なる焼結助剤の原料粉末での焼結助剤(フラックス)の
SiO2 ,MgOおよびCaOの配合割合の限定理由
は、以下の通りである。SiO2 が72.5重量%を越
すと適正な焼成温度範囲が極めて狭く異常粒成長が起こ
り易く、低表面粗度の実現が困難である。
【0016】SiO2 が65.0重量%未満だと焼成で
緻密化され難く密度が低くなるという問題がある。Mg
Oが35.0重量%を越すと焼成で緻密化され難く密度
が低くなるという問題がある。MgOが25.0重量%
未満だと適正な焼成温度範囲が極めて狭く異常粒成長が
起こり易く、低表面粗度の実現が困難である。
【0017】CaOの添加は液相現出温度の低下をもた
らし緻密化促進作用があるが、5重量%を越すと液相粘
度の温度変化が大きくり過ぎて、焼成温度の僅かな変
化で焼結体中で異常粒成長が起りグレインサイズが大き
くなってしまい、結果的に低表面粗度の実現は無理とな
る。なお、アルミナ粉末と前記ガラス質の構成成分とな
る焼結助剤の原料粉末での焼結助剤(フラックス)の使
用形態は、SiO,MgOやCaOのそれぞれを単独
で混合する形態、SiO,MgOやCaOを予め複合
化しておいて複合化した形で混合する形態もある。そし
て、焼結助剤は焼成でガラス質となってアルミナ基板中
に含まれるが、ガラス質化にアルミナが加わる場合もあ
る。
【0018】このようにして得た原料粉末に、水溶性樹
脂と有機添加物や水を加え合わせて混合混練し押出し成
形する混合物を得る。水溶性樹脂と有機添加物とがいわ
ゆるバインダー成分である。この時、原料粉末に対する
(水+水溶性樹脂+有機添加物)の量は、通常、原料粉
末100重量部に対し(水+水溶性樹脂+有機添加物)
が20〜35重量部程度を加え合わせるようにする。
【0019】続いて、この混合物における水、水溶性樹
脂および有機添加物の3者の関係を重量基準で〔(水)
÷(水溶性樹脂+有機添加物)〕、〔(有機添加物)÷
(水+有機添加物)×100〕なる式におい数値限定し
ている理由を説明する。〔(水)÷(水溶性樹脂+有機
添加物)〕が1.7を越し、かつ、〔(有機添加物)÷
(水+有機添加物)×100〕が22未満だと、シート
成形後グリーンシートにクラックが発生したり、あるい
は、クラックは発生しない場合でもアルミナ粉末の凝集
が頻繁に発生する。〔(水)÷(水溶性樹脂+有機添加
物)〕が1.3未満で、かつ、〔(有機添加物)÷(水
+有機添加物)×100〕が30を越すと、グリーンシ
ート中のバインダー成分(水溶性樹脂+有機添加物)が
多いため、シート成形時のクラックや粉末の凝集はなく
なるが、必要量以上バインダー成分が添加されているた
めに、グリーンシートの乾燥に時間がかかり過ぎ、実用
的でなくなる上、バインダー成分の過多でグリーンシー
トの密度が低下し、焼成収縮率が大きく、高寸法精度、
低そりの面で不利となる傾向もある。
【0020】上記の条件を満たすと、現在市販の96%
アルミナ基板よりも低表面粗度の96%アルミナ基板が
出来るが、水溶性樹脂としてメチルセルロースを用い、
液状有機添加物としてグリセリン、ポリオキシアルキレ
ン、ソルビタンモノカプリレート複合エステルの3者を
合計100重量%のうち、10重量%≦グリセリン≦5
0重量%、20重量%≦ポリオキシアルキレン≦40重
量%、30重量%≦ソルビタンモノカプリレート複合エ
ステル≦70重量%となる割合で併用するのがより低表
面粗度化を図る上で好ましいことは前述した通りである
が、水溶性樹脂における数値限定流を以下に述べる。
【0021】グリセリンは、10重量%未満となるとグ
リーンシートの可塑性が低下し、打ち抜き時やハンドリ
ング時に割れなどが発生し易くなり、50重量%を越す
とアルミナ粉末の凝集が起こり易くなる。ポリオキシア
ルキレンは、押出し成形時に潤滑剤として働き、20重
量%以下では坏土の潤滑性が低い上に坏土が硬いために
押出し成形中に停止し成形が出来なくなる場合があり、
40重量%を越すとアルミナ粉末の凝集が起こり易くな
る。
【0022】ソルビタンモノカプリレート複合エステル
は、粉末の解膠剤となったり、坏土に離型性を付与する
のであるが、30重量%未満だとアルミナ粉末の凝集が
起こり易くなる上に混練時に坏土がロール面に付着し混
練が十分でなくなる傾向があり、70重量%を越すと押
出し成形時の粉末の凝集は問題ないが、シート成形後の
乾燥に時間がかかり過ぎて実用的でない傾向がみられ
る。
【0023】
【作用】この発明のグリーンシートの製造方法の場合、
粒径が小さくて凝集の抑制可能な適切な平均粒径のアル
ミナ粉末を用いるとともに、焼結助剤や水、バインダー
成分を適切な量で用いているため、アルミナ粉末の凝集
を抑えグリーンシートを得ることが出来、その結果、こ
のグリーンシートを焼結させてなるアルミナ基板では、
アルミナ粉末の粒径が十分に小さく凝集を起こしていな
いため、表面粗度の小さいグレーズ処理を必要としない
アルミナ基板となる。
【0024】この発明で得られるグリーンシートはアル
ミナ粉末と共にガラス質の構成成分である焼結助剤が併
用されているため、このグリーンシートを焼結させてな
るアルミナ基板では、96%アルミナ基板の如く粒界に
ガラス質が存在するようになり、適用可能な回路形成法
が多くて用途は広い。さらに、この発明ではグリーンシ
ートは押出し成形法で得ており、密度が高くて焼成収縮
率が小さくなるため、このグリーンシートを焼結させて
なるアルミナ基板では、高寸法精度で反りの小さなアル
ミナ基板となる。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。この発
明は、下記の実施例に限らないことは言うまでもない。
実施例および比較例では、以下のようにしてグリーンシ
ートを作製し焼成して96%アルミナ基板を得た。
【0026】表1,2に示す平均粒径のアルミナ粉末を
96重量%、表1,2に示す成分割合の焼結助剤を4重
量%の割合で加え、湿式混合したあと乾燥し、原料粉末
を得た。実施例の場合、SiO2 、MgO、CaOは各
個別粉末の形で混合するようにした。この原料粉末10
0重量部に対し、水溶性樹脂、液状の有機添加物、およ
び、水が表3,4に示す割合となるように材料を所定量
添加し、ミキサー等で十分に混合後、セラミック製三本
ロールを用いて混練し、成形用の坏土である混合物を得
た。
【0027】水溶性樹脂としてメチルセルロースMC
(松本油脂社製 マーポローズ60SH−4000)を
用いた。メチルセルロースは原料粉末のまま使用しても
よいが、焼成して得るアルミナ基板中でのポアをほぼ完
全になくそうとすると、メチルセルロースを一旦水溶液
にし、ろ過して不要成分を除去した後、ろ液を加熱して
熱ゲル化したメチルセルロースゲル(成分はメチルセル
ロースと水)を用いるとよい。ただし、このメチルセル
ロースゲルは濃度が約30%程度にしかならないため、
材料配合時の水の添加量はメチルセルロースゲルから入
る水の量を考慮しないといけない。実施例・比較例では
メチルセルロースゲルを用いた。
【0028】液状有機添加物Lは、グリセリン(日本油
脂社製 ダイナマイトグリセリンDG)、ポリオキシア
ルキレン(日本油脂社製 ユニルーブ 50MB−2
6)、ソルビタンモノカプリレート複合エステル(日本
油脂社製 セラミゾール C−08)の3者を表5,6
に示す割合で併用した。さらに、〔(水)÷(水溶性樹
脂+液状有機添加物)〕の値、〔(液状有機添加物)÷
(水+液状有機添加物)×100〕の値は、表7,8に
示す通りである。
【0029】上記のようにして得た坏土を押出し成形機
で厚み約0.8mmのグリーンシートを得て乾燥し、こ
のグリーンシートを約10cm角に打ち抜き、表9,1
0に示すように1470〜1550℃の温度で1時間焼
成して、96%アルミナ基板を得た。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】得られたグリーンシートおよびアルミナ基
板の評価を以下のようにして行った。 −アルミナ粉末の凝集数− まず、グリーンシート中の粉末凝集物の数は、グリーン
シートを斜光下で光学顕微鏡で観察し、写真撮影して、
約1cm四方のグリーンシート中で50μm以上の突起
物として現れる粉末凝集物の数を数えた。
【0039】−巻付け可能径− 乾燥後のグリーンシートを直径(φ)が5mm、10m
m、15mm、20mm、30mm、40mm、50m
mの円筒に巻き付けた場合にグリーンシートにクラック
が発生する円筒径を巻付け可能径とした。グリーンシー
トの巻付け可能径と打ち抜き時のグリーンシートの寸法
変化やクラックとの関係を調べた結果、巻付け可能径が
φ10mm以下、好ましくは、φ5mm以下であれば、
寸法変化やクラック発生は全く問題ないが、φ10mm
を越すとグリーンシートの可塑性が低く、クラックが発
生し易くなる傾向がある。なお、押出し成形中の特異な
傾向は備考に記載した。
【0040】次に焼成後の基板評価としては、かさ密
度、表面粗さ(Ra,Rmax)および基板のグレイン
サイズの測定を行った。 −かさ密度− かさ密度はJIS−C2141に準じて測定した。 −表面粗さ(Ra,Rmax)− 表面粗さ(Ra,Rmax)はJIS−B0601に準
じて測定した。
【0041】−グレインサイズ− グレインサイズは、アルミナ基板を研磨した後、熱エッ
チングした試料をSEM(走査型電子顕微鏡)で表面の
拡大写真をとり、これを用いた所謂インターセプトコー
ド法で行った。以下、算出方法を示す。SEM写真に任
意の直線を引き、直線と粒界との交点を求め、下記の式
で算出した。
【0042】 グレインサイズ(μm)=(A/n)×1.5 但し、AはSEM写真での直線の長さ(μm)、nは直
線と粒界の交点の数である。1個の試料について上記の
測定を5回行い、平均値を算出してグレインサイズとし
た。結果を表9〜12に示す。
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】続いて、測定結果の考察について述べる。
比較例1では押出し成形後のグリーンシートにクラック
が発生した。比較例2では、坏土が硬く、押出し成形が
出来なかった。したがって、比較例1,2の場合にはア
ルミナ基板についての評価測定結果は無しである。アル
ミナ粉末、メチルセルロース、液状有機添加物量に関し
ては、アルミナ粉末が1.0μmの場合、実施例1と比
較例1ではメチルセルロース4.0重量部の場合、液状
有機添加物6.0重量部以上必要であり、これ以下であ
るとバインダー量が不足してグリーンシートにクラック
が発生し易くなる。
【0048】また、メチルセルロース5.0重量部の場
合、液状有機添加物4.0重量部(比較例2)では坏土
が硬く、5.0重量部以上必要となる(実施例2,3,
4)。但し、ここで、(メチルセルロース+液状有機添
加物)に比べ、水が多く添加されると(比較例3)、つ
まり、〔(水)÷(メチルセルロース+有機添加物)〕
が1.7を越えると凝集が発生し、好ましくない。この
傾向はアルミナ粉末が0.8μmの平均粒径の場合にも
あてはまる(比較例4)。なお、アルミナ粉末の平均粒
径が0.8μmの場合は1.0μmの時に比べて(メチ
ルセルロース+有機添加物)の量が多く必要な傾向にあ
る(実施例5〜7)。
【0049】さらに上記に加えて、グリセリン、ポリオ
キシアルキレン、ソルビタンモノカプリレート複合エス
テルの3者が、10重量%≦グリセリン≦50重量%、
20重量%≦ポリオキシアルキレン≦40重量%、30
重量%≦ソルビタンモノカプリレート複合エステル≦7
0重量%の範囲にあると、表面平滑性の高いアルミナ基
板が得られることになる(実施例1,2,3,4,8〜
10)。グリセリン、ポリオキシアルキレン、ソルビタ
ンモノカプリレート複合エステルが上記の範囲を外れる
と、従来の市販の96%アルミナ基板よりは平面粗度の
小さいものとはなるが、極めて良好にはならず、何らか
の点で不十分である。
【0050】ソルビタンモノカプリレート複合エステル
が30重量%未満だと僅かであるが凝集が発生し(実施
例11)、実施例では示していないが、70重量%を越
えると、他のグリセリンやポリオキシアルキレンの量が
少なくなり、例えば、グリーンシートの可塑性が低下し
たり、坏土の潤滑性が低下し、成形が難しくなる傾向が
出てくる。
【0051】一方、グリセリンが10重量%未満ではグ
リーンシートの可塑性が低下し(実施例12)、逆に5
0重量%を越えると凝集が発生し易くなる。最後にポリ
オキシアルキレンが20重量%未満では坏土の潤滑性が
低く、成形時の初期は問題なく成形できるが、途中から
押出し時の圧力が高くなり、グリーンシートの密度がバ
ラツク原因になり(実施例14)、40重量%を越すと
凝集が発生し易くなる(実施例15)。
【0052】アルミナ粉末の平均粒径に関しては、0.
8μm未満では凝集が多数発生し(比較例5)、1.0
μmを越すと凝集は減るけれども、表面粗度が従来のア
ルミナ基板と変わらず、必要な表面粗度の向上を達成で
きない上に焼結密度も低くなる。アルミナ基板の焼結密
度(かさ密度)は、発明者らがこの材料系で検討した結
果では、3.70g/cm3 以上、好ましくは3.73
g/cm3 以上、これより低いかさ密度では吸水まで行
かなくとも、機械的強度の低下、高周波特性の劣化が認
められた。
【0053】焼結助剤中の成分に関しては(比較例7〜
9)、CaOが5重量%を越す、SiO2 が72.5重
量%を越す、MgOが25重量%未満の場合には、焼成
時に異常成長を起こし易く、アルミナ基板の表面粗度が
大きくなり、逆に、SiO2が65重量%未満、MgO
が35重量%を越す場合には、焼結が十分でなくなる。
【0054】
【発明の効果】この発明の製造方法で得られるグリーン
シートでは、適切な平均粒径のアルミナ粉末と適切な量
の焼結助剤とバインダー材が用いられているため、アル
ミナ粉末の凝集が抑えられている上、適用可能な回路形
成法が多くなるガラス質の構成成分となる焼結助剤が含
まれており、しかも、押出し成形法によるため密度の高
いものとなっている。その結果、このグリーンシートを
焼結してなるアルミナ基板は、グリーンシート中のアル
ミナ粉末凝集が抑制されているため、表面粗度の小さい
グレーズ処理を必要としないものとなっており、さら
に、グリーンシートに含まれている焼結助剤でガラス質
が生成されているため、適用可能な回路形成法が多くて
用途が広い上、グリーンシートの密度が高くて焼成収縮
率が小さいため、高寸法精度で反りが小さくなってい
る。したがって、この発明は非常に有用であるというこ
とが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−293290(JP,A) 特開 平4−265268(JP,A) 特開 平3−215346(JP,A) 特開 平1−110101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/111 C04B 35/622

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成によりガラス質含有のアルミナ基板
    となるグリーンシートの製造方法であって、アルミナ粉
    末と焼結助剤とからなる原料粉末、水溶性樹脂、有機添
    加物、および、水の混合物を押出し成形するアルミナ基
    板作製用のグリーンシートの製造方法において、 前記アルミナ粉末は平均粒径が0.8〜1.0μmであ
    り、前記焼結助剤では、SiO2 ,MgOおよびCaO
    が、それぞれ、65.0重量%≦SiO2 ≦72.5重
    量%、25.0重量%≦MgO≦35.0重量%、0≦
    CaO≦5.0重量%の範囲で合わせて焼結助剤の全量
    (100重量%)となるように含まれており、かつ、
    水、水溶性樹脂および有機添加物の3者の関係が重量基
    準で、 1.3≦〔(水)÷(水溶性樹脂+有機添加物)〕≦
    1.7 であるとともに、 22≦〔(有機添加物)÷(水+有機添加物)×10
    0〕≦30 であることを特徴とするグリーンシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 原料粉末におけるアルミナ粉末と焼結助
    剤は両者合計100重量%のうちアルミナ粉末が約96
    重量%であり、焼結助剤が約4重量%である請求項1記
    載のグリーンシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 水溶性樹脂としてメチルセルロースを用
    い、有機添加物は液状であってグリセリン、ポリオキシ
    アルキレン、ソルビタンモノカプリレート複合エステル
    の3者を合計100重量%のうち、10重量%≦グリセ
    リン≦50重量%、20重量%≦ポリオキシアルキレン
    ≦40重量%、30重量%≦ソルビタンモノカプリレー
    ト複合エステル≦70重量%となる割合で併用する請求
    項1または2記載のグリーンシートの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
    発明で得られたグリーンシートを焼結させてなるアルミ
    ナ基板。
  5. 【請求項5】 アルミナ純度が96%のアルミナ基板で
    ある請求項4記載のアルミナ基板。
JP04342901A 1992-12-22 1992-12-22 グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板 Expired - Fee Related JP3088049B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04342901A JP3088049B2 (ja) 1992-12-22 1992-12-22 グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04342901A JP3088049B2 (ja) 1992-12-22 1992-12-22 グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06191930A JPH06191930A (ja) 1994-07-12
JP3088049B2 true JP3088049B2 (ja) 2000-09-18

Family

ID=18357397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04342901A Expired - Fee Related JP3088049B2 (ja) 1992-12-22 1992-12-22 グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3088049B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4472288B2 (ja) * 2002-11-26 2010-06-02 三井金属鉱業株式会社 緻密質セラミックスシート及びその製造方法
DE202016009069U1 (de) 2015-06-29 2022-01-24 Corning Incorporated Fertigungslinie und gesinterter Artikel
US10486332B2 (en) 2015-06-29 2019-11-26 Corning Incorporated Manufacturing system, process, article, and furnace
CN112441821B (zh) * 2020-11-06 2023-02-28 南充三环电子有限公司 一种陶瓷封装基座及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06191930A (ja) 1994-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3223199B2 (ja) 多層セラミック部品の製造方法および多層セラミック部品
CN1719560A (zh) 单层电容器用晶界层陶瓷介质瓷料、基片的制造方法及其基片
JP3088049B2 (ja) グリーンシートの製造方法およびアルミナ基板
CN116425528A (zh) 一种电介质陶瓷材料及其制备的片式多层陶瓷电容器
JP2748961B2 (ja) 表面改質アルミナセラミックスの製造方法
JPS6259073B2 (ja)
US5769917A (en) Process for producing low shrink ceramic bodies
JP2001278657A (ja) 低温焼成磁器組成物及びその製造方法並びにその低温焼成磁器組成物を用いた低温焼成配線基板
JP3117535B2 (ja) アルミナ基板の製造方法
JPH10223469A (ja) 積層電子部品及びその製造方法
JP3909366B2 (ja) 低誘電率磁器組成物とその磁器組成物を用いた電子回路用基板の製造方法
JP3085625B2 (ja) 誘電体磁器組成物
JP2002274933A (ja) セラミックス基板及びその製造方法
JP2951479B2 (ja) 多孔質シート状耐火物及びその製造方法
JPH11322432A (ja) 窒化アルミニウム粉末成形体、焼結体及びそれらの製造方法
KR940006429B1 (ko) 질화알루미늄기판의 제조방법
JPH09169572A (ja) 押出成形用組成物
KR100951318B1 (ko) 세라믹 슬러리의 제조 방법, 이를 이용하여 제조된 세라믹슬러리, 세라믹 슬러리를 포함하는 그린시트, 소결체 및세라믹 콘덴서
JP2666744B2 (ja) アルミナ多層配線基板とその製造方法、及びアルミナ焼結体の製造方法
JP2003238235A (ja) 高周波用低温焼結磁器組成物及びその製造方法
JPH1179828A (ja) アルミナセラミックス基板の製造方法
JP4163053B2 (ja) 誘電体材料及びその製造方法
Chen et al. Effect of metal oxide precursor on sintering shrinkage, microstructure evolution and electrical properties of silver-based pastes
JP3314714B2 (ja) アンテナ用基体
JP2000169245A (ja) 酸化物系セラミック焼結体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees