JP3086825B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP3086825B2
JP3086825B2 JP03181807A JP18180791A JP3086825B2 JP 3086825 B2 JP3086825 B2 JP 3086825B2 JP 03181807 A JP03181807 A JP 03181807A JP 18180791 A JP18180791 A JP 18180791A JP 3086825 B2 JP3086825 B2 JP 3086825B2
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徹夫 岡本
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  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器に関し、特に
自然擦弦楽器の演奏音等に表われる所定の音楽的効果等
を実現するのに適した電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】自然楽器として鍵盤楽器、管楽器、弦楽
器等が知られている。これらの自然楽器は、それぞれそ
の楽器に特有の演奏技術を習得することにより、音楽性
豊かな演奏を可能とする。
【0003】電子楽器は、電子的に楽音信号を形成する
ので単一楽器で種々の楽音を発生できる可能性を有して
いる。電子楽器においても、演奏は何らかの演奏操作子
を用い、演奏動作情報を発生することによって行なわれ
る。
【0004】演奏操作子としては、鍵盤、フットペダ
ル、ウィンドコントローラ、ジョイスティック、スライ
ドボリューム、タブレット等が知られている。
【0005】鍵盤は、自然鍵盤楽器の鍵盤同様の外観を
有し、最も多くの人に容易に演奏される演奏操作子であ
り、演奏動作情報として、キーオン信号、キーオフ信
号、音高信号、タッチ信号等を発生する。鍵盤楽器の楽
音を発生させるのには適しているが、管楽器、擦弦楽器
等の持続音を表情豊かに発生させることにはあまり適し
ていない。
【0006】ウィンドコントローラは、通常指スイッチ
による音高指定とアンブシュアによる音色制御とを行な
い、管楽器の楽音を発生するのに適している。ウィンド
コントローラの演奏には、管楽器類似の演奏技術を必要
とする。
【0007】スライドボリュームおよびタブレットは、
演奏動作情報として位置情報、速度情報、圧力情報等を
発生することができ、擦弦楽器の接続楽音発生等に適し
た演奏操作子である。しかし、これらの演奏操作子を用
いて演奏を行なうには、それぞれの操作技術を習得する
必要がある。
【0008】フットペダル、ジョイスティック等は、補
助的な演奏操作子であり、主演奏操作子と組合わせて用
いるのに適している。
【0009】たとえば、擦弦楽器の音色は、弓と弦の接
触位置、弓の移動速度、弓圧等によって複雑に変化す
る。また、管楽器の楽音は、アンブシュア、息圧等によ
って複雑に変化する。また、これらの楽器の楽音は、特
に持続音に特徴がある。これらの持続音は、弓速、弓
圧、アンブシュア、息圧等の時間変化、すなわち演奏動
作波形によって複雑に変化する。
【0010】電子楽器は、機能的にはこのような楽器の
楽音を発生する能力を有するが、電子楽器に最も多く採
用されている鍵盤を演奏操作子として用いて演奏する
と、発生する演奏動作情報が不足し、このような表情豊
かな持続音を表現することはむずかしい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
種々の自然楽器においては種々の形態の演奏操作子が用
いられており、種々の楽音を発生する。多くの人にとっ
て演奏操作が容易な演奏操作子を設けた電子楽器におい
て、これら種々の楽音を発生させようとすると、困難が
あった。
【0012】たとえば、擦弦楽器や管楽器は、独特の演
奏操作を必要とし、鍵盤楽器の演奏者にとっては演奏を
することが容易でない。
【0013】本発明の目的は、簡単な演奏操作によって
種々の楽音を発生させることのできる電子楽器を提供す
ることである。
【0014】また、擦弦楽器や管楽器においては、音
高、音色、音量等が微妙にゆらぐ楽音が発生する。鍵盤
等の多くの人にとって演奏しやすい演奏操作子を用い
て、これらの揺らぎのある楽音を発生させることは容易
ではない。
【0015】本発明の目的は、所望の揺らぎを有する楽
音を容易に発生させることのできる電子楽器を提供する
ことである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点によれ
ば、電子楽器は、入力されるパラメータに基づいて楽音
波形を発生する楽音発生手段と、時間変化する自然楽器
の演奏動作に対応する演奏動作波形であって、時間変化
する演奏動作波形を少なくとも1つ記憶する記憶手段
と、楽音波形の発生を指示するためのトリガ信号を入力
するトリガ入力手段と、前記トリガ信号の入力に応答し
て前記記憶手段から演奏動作波形を読み出し、該演奏動
作波形を前記パラメータとして前記楽音発生手段に入力
するパラメータ入力手投と、演奏動作波形を修飾するた
めの修飾データを入力するための修飾データ入力手段
と、前記パラメータ入力手段が読み出す演奏動作波形に
前記修飾データに基づく修飾を行なう演奏動作波形修飾
手段とを有する。
【0017】
【作用】記憶手段に演奏動作波形を記憶させ、その演奏
動作波形をトリガ信号を波形読出開始信号として読みだ
すことにより、極めて簡単な動作によって記憶した演奏
動作波形に対応する表情豊かな楽音を発生させることが
できる。たとえば、熟練者による擦弦楽器演奏に基づい
て、弓圧および弓速について演奏動作波形を記憶させ、
キーボードの押鍵等に基づいてこの演奏動作波形を読み
出すことにより、擦弦楽器の楽音を発生させることがで
きる。
【0018】しかしながら、たとえば擦弦楽器において
も種々の演奏形態が存在する。単一の演奏動作波形のみ
を繰り返し読み出すと、多彩な演奏を行うことは困難で
ある。
【0019】飾データ入力手段から、演奏動作波形を
修飾するためのデータを入力することにより、記憶した
演奏動作波形を演奏者の意図に基づいて修飾することが
できる。修飾の程度に応じて多彩な楽音を発生させるこ
とができる。
【0020】たとえば、管楽器や擦弦楽器等の持続音は
微妙に変化する揺らぎ成分を有する。基本的演奏動作波
に修飾データ入力手段により、揺らぎ成分を任意に付
加することにより、多彩な揺らぎのある楽音を発生させ
ることができる。
【0021】
【実施例】図1に、本発明の基本実施例による電子楽器
の構成を示す。
【0022】トリガ入力手段1は、たとえば鍵盤等で構
成され、キーオン信号等のトリガ信号を発生する。この
トリガ信号によって演奏動作波形を記憶した演奏動作波
形記憶手段3から演奏動作波形が読みだされる。なお、
トリガ入力手段が鍵盤である場合、トリガ信号と同時に
キーコード等の信号も発生する。
【0023】演奏動作波形修飾データ入力手段9は、演
奏動作波形記憶手段3から読みだされた演奏動作波形を
修飾するためのデータを入力する手段であり、たとえば
ジョイスティック等で構成される。演奏動作波形修飾手
段5は、演奏動作波形記憶手段3から読みだされた演奏
動作波形を演奏動作波形修飾データ入力手段9から供給
されるデータに基づいて修飾する。たとえば、演奏動作
波形記憶手段から2つ以上の演奏動作波形が読みださ
れ、修飾データに基づく比によって演奏動作波形修飾手
段が複数の演奏動作波形を混合し、楽音信号形成手段7
に供給する。
【0024】また、演奏動作波形修飾データは可変強度
の揺らぎや減衰振動等とし、演奏動作波形記憶手段3か
ら読みだされる演奏動作波形にこれらの付加的情報を修
飾することにより、所望の揺らぎや減衰振動等を付与す
ることができる。
【0025】たとえば、鍵盤によってトリガ入力手段を
構成し、押鍵操作によって発生するキーオン信号をトリ
ガ信号とし、演奏動作波形記憶手段3に記憶された熟練
演奏者の演奏に対応する弓圧信号、弓速信号を読み出
し、ジョイスティックで構成した演奏動作波形修飾デー
タ入力手段9から揺らぎの程度を入力することにより、
演奏動作波形修飾手段で演奏動作波形に所望の程度の揺
らぎを与え、楽音信号形成手段から擦弦楽器の揺らぎの
ある表情豊かな楽音を発生させることができる。この場
合、演奏者は鍵盤によって音高、楽音発生タイミング等
を指定すると共に、ジョイスティックによって揺らぎの
程度を与えるのみにより擦弦楽器の演奏を実行すること
ができる。
【0026】なお、楽音信号形成手段7で形成された楽
音信号自体を修飾しようとすると、望みどおりの制御が
行なわれなかった時には、極めて耳障りな楽音が発生す
るが、自然楽器の演奏動作に対応する演奏動作波形自体
を修飾すると、たとえ制御が所望どおり行なわれなかっ
た場合にも、発生する楽音に特別の不都合は生じないこ
とがわかった。
【0027】図2は、本発明の実施例による電子楽器の
機能ブロックを示す。演奏操作子2は、たとえば位置と
圧力を検出できるタブレットであり、スティックをタブ
レット上で移動させることによって、弓圧信号、弓速信
号を作成することができる。また、これらの信号を演奏
動作波形記憶手段3に記憶することができる。演奏動作
波形記憶手段3は、当初より基本的演奏動作波形をいく
つか記憶している。
【0028】一方、読み出し開始パルス入力手段11
は、たとえば鍵盤で構成され、キーオン信号に基づき読
み出し開始パルス13を読み出し手段12に供給する。
読み出し手段12は、演奏動作波形記憶手段3にアドレ
ス等の制御信号14を供給し、演奏動作波形記憶手段3
から弓速、弓圧等の演奏動作波形データ15等を読み出
す。
【0029】読み出された演奏動作波形は、揺らぎ制御
データ入力手段19から入力される揺らぎ制御データと
共に、揺らぎデータ付加手段16に供給される。揺らぎ
データ付加手段16は、揺らぎ制御データ入力手段19
から供給される揺らぎ制御データに基づき、演奏動作情
報に揺らぎを与えるための付加的情報を付加し、音源シ
ステム18に音源パラメータ17を供給する。
【0030】音源システム18は、揺らぎを付加した演
奏動作波形に基づく音源パラメータ17に基づき、楽音
信号を形成する。
【0031】図2に示すような機能ブロックは、たとえ
ば擦弦楽器モデルの場合、図3に示すような機能構成に
よって実現される。
【0032】図3において、演奏操作子4は、通常の電
子楽器用鍵盤等によって形成され、音高信号、キーオン
信号、キーオフ信号、運弓信号、音色信号等の演奏情報
を波形選択、制御、読み出し手段21aに供給する。た
とえばキーオン信号が波形読み出しのトリガ信号を構成
する。揺らぎ制御データ入力手段19は、たとえば通常
の2次元方向に動作可能なジョイスティックによって形
成され、たとえばそのx方向変位によって揺らぎ制御デ
ータを発生し、揺らぎデータ付加手段21bに供給す
る。波形選択、制御、読み出し手段21aは、運弓信号
に基づいたアクセス信号26を演奏動作波形テーブル2
2に供給し、演奏動作波形テーブル22から擦弦的演奏
動作波形27を得る。
【0033】この擦弦的演奏動作波形27と揺らぎ制御
データとに基づき、揺らぎデータ付加手段21bが演奏
動作波形に揺らぎデータを付加し、音色信号と修飾され
た楽音形成パラメータたとえば弓圧、弓速、弦長等の情
報28を物理モデル音源23に供給する。この物理モデ
ル音源23は、たとえば特開平3−48891号に開示
されているような、弦楽器の弦の運動を物理的にシュミ
レートして楽音形成信号を発生するものである。
【0034】このようにして形成された楽音形成信号2
9は、サウンドシステム24に送られ、楽音を発生す
る。
【0035】演奏動作波形テーブル22は、たとえば基
本的演奏動作波形の他、クレッシェンド、デクレッシェ
ンド、デタッシュ、フォルテシモ、ピアニシモ、スピカ
ート、ピチカート、各種楽音の立上がりデータ等につい
ての演奏動作波形を記憶する。これらの演奏動作波形
が、たとえば演奏操作子4から発生するキーオン信号に
同期して、運弓信号に基づき読み出される。
【0036】すなわち、演奏操作子4内で演奏操作が行
なわれると、その演奏操作に基づいて特定の演奏形態に
基づく演奏動作波形がテーブル22から波形選択、制
御、読み出し手段21aに読みだされ、揺らぎ制御デー
タ操作子19から揺らぎ制御データが供給され、演奏動
作波形を修飾することによって所望の揺らぎを供えた楽
音信号を発生させる。なお、演奏操作子4から物理モデ
ル音源23に、別途音高信号が供給され、発生楽音の音
高を指定する。
【0037】図3に示すような擦弦モデル実施例の機能
を実現するハードウェア構成を、図4に示す。
【0038】演奏操作子4は、たとえば鍵盤で構成さ
れ、その押鍵情報、離鍵情報は鍵盤スイッチ回路31に
よって検出される。鍵盤スイッチ回路31は、演奏動作
情報をバス32に供給する。揺らぎ制御データ入力手段
19は、たとえばジョイスティックで構成され、その変
位、たとえばx軸方向変位が操作子検出回路39によっ
て検出され、検出信号がバス32に供給される。
【0039】このバス32には、楽音信号形成プログラ
ムを記憶するROM33、演算処理の際に生ずる中間情
報等を一時的に記憶するRAM34、楽音信号形成等の
演算処理を行なうCPU35、タイマ回路36、音源回
路38等が接続されている。CPU35は、タイマ回路
36と割込み信号線37によって接続されており、所定
タイミングでタイマ割込みルーチンを実行する。また、
音源回路38には、サウンドシステム24が接続されて
おり、楽音形成信号を受け、可聴楽音信号を発生する。
【0040】図4に示すハードウェア構成を用い、図3
に示すような機能ブロックを実現して行なう演奏動作
を、図5を参照して説明する。
【0041】図5(A)は、擦弦楽器の弓による演奏動
作情報波形の時間域、周波数域波形の例を示すグラフで
ある。たとえば、擦弦楽器の演奏においては、弓で弦を
擦る演奏動作(たとえば弓速、弓圧)を時間域、周波数
域でみると、図5(A)に示すような特性を有する。
【0042】図5(A)の上段には、演奏動作データの
振幅を時間の関数として示す。また、図5(A)の下段
には、その周波数特性をスペクトルで示す。本明細書に
おいては、図5(A)上段に示すような演奏動作データ
の時間変化を演奏動作波形と呼ぶ。
【0043】図5(A)上段に示す演奏動作データの振
幅は、時間に対して一定ではなく、微妙な揺らぎを有し
ており、その揺らぎを周波数解析すると、図5(A)下
段に示すようにある低い周波数をピークとし、その周波
数から高周波数に向かうに従って、次第に減少するスペ
クトル特性を示す。なお、揺らぎの程度、スペクトル特
性は演奏に応じて多彩に変化する。
【0044】ところで、鍵盤を用いて演奏操作をした場
合の演奏動作波形の例を同様に時間域および周波数域に
対して示すと、図5(B)に示すようになる。すなわ
ち、押鍵圧力等の演奏動作データの振幅は、時間軸に対
して一定であり、その周波数特性は図5(B)下段に示
すように、直流成分のみを有している。
【0045】図5(B)に示すような演奏動作によっ
て、図5(A)に示すような演奏動作に由来する楽音を
発生させることはそのままでは極めて困難といえる。ま
た、鍵盤等の容易に操作できる演奏操作子を用いて、図
5(A)に示すような自然擦弦楽器の演奏動作に基づく
演奏動作波形を発生させようとすると、その演奏操作は
極めて困難となる。
【0046】本実施例においては、図5(B)に示すよ
うな演奏動作に基づいて、図5(A)に示すような演奏
動作データを演奏者の意図に応じて揺らぎの程度を変化
させながら発生させることを考慮する。
【0047】たとえば、ランダムノイズをフィルタ処理
して、図5(A)に示す演奏動作波形と類似の波形を発
生させる。このようなランダムノイズにフィルタ処理を
行なった波形を、図5(C)に示す。フィルタ処理とし
ては、たとえば8次の移動平均を6回かけ、最後にピー
ク周波数2Hzのハイパスフィルタ処理を行なう。
【0048】図5(C)上段は、ランダムノイズをフィ
ルタ処理した演奏動作データの時間変化を示す波形を示
し、図5(C)下段は、図5(C)上段の波形の周波数
特性を示す。フィルタ定数を変化させて揺らぎの程度を
変化させると、図5(C)上段の波形の凹凸の波形や図
5(C)下段の周波数分布は変化する。
【0049】ところで、ランダムノイズ自体は、図5
(C)下段の破線に示すように広い周波数帯域にわたっ
て平坦な特性を示す。このランダムノイズに種々のフィ
ルタ処理を行なうことにより、図5(C)下段の実線に
示すような所定周波数から高周波数に向かうにしたがっ
て、次第に減少する特性を種々実現することができる。
【0050】本実施例においては、フィルタ定数を変化
させるのではなく、揺らぎ制御データを与えることによ
って揺らぎの程度を制御する。
【0051】このようにして、図5(B)に示すような
演奏動作波形に基づき、図5(C)に示すような演奏動
作データを演奏者の意図に応じてリアルタイムに揺らぎ
を制御しつつ発生させれば、図5(A)に示すような自
然擦弦楽器の演奏動作に基づく楽音と類似の楽音を発生
させることができる。
【0052】このような楽音信号発生処理の工程を、以
下フローチャートを参照して説明する。
【0053】図6は、メインルーチンのフローチャート
を示す。まず、処理がスタートすると、ステップS1に
おいて、RAM等の各レジスタの初期化を行なう。
【0054】次に、ステップS2において、キーオンイ
ベントがあるか否かを判定する。キーオンイベントがあ
れば、YESの矢印にしたがって次のステップS3に進
み、キーオンイベントルーチンを実行する。キーオンイ
ベントがない時は、NOの矢印にしたがって、ステップ
S3を迂回する。
【0055】次に、ステップS4において、キーオフイ
ベントがあるか否かを判定する。キーオフイベントがあ
れば、YESの矢印にしたがってキーオフイベントルー
チンS5を実行する。キーオフイベントがなければ、N
Oの矢印にしたがってステップS5を迂回する。
【0056】その後、ステップS6において、選択スイ
ッチで選択された音色に対応するトーンコードと運弓態
様に対応する運弓データを、それぞれレジスタTCとレ
ジスタUKに記憶させるとともに、その他の処理を行
い、ステップS2に戻る。
【0057】図6に示すメインルーチンのキーオンイベ
ントルーチン(S3)およびキーオフイベントルーチン
(S5)を、図7を参照してより詳細に説明する。
【0058】図7は、キーイベントルーチンを示し、図
7(A)はキーオンイベント、図7(B)はキーオフイ
ベントを示す。
【0059】図7(A)に示すように、キーオンイベン
トが生じると、まずステップS11において、キーオン
イベントのあった鍵のキーコードをキーコードレジスタ
KCDに記憶する。次に、ステップS12において、レ
ジスタKCDのキーコード音を物理モデル音源の発音チ
ャンネルに割当てる。すなわち、この処理によって押鍵
された鍵に対応する楽音の発生準備がなされる。
【0060】次に、ステップS13において、物理モデ
ル音源の該当チャンネルにレジスタKCDのキーコード
を転送し、そのチャンネルのキーオンフラグkonfl
g(ch)に1を立てる。この発音チャンネルは、フラ
グに1が立ったことを検出し、楽音発生処理を行なう。
【0061】図7(B)は、キーオフイベントのフロー
チャートを示す。鍵盤上で離鍵動作があると、その鍵が
検出され、ステップS16において、該当するキーコー
ドをキーコードレジスタKCDに格納する。続いて、ス
テップS17において、物理モデル音源の発音チャンネ
ル中からレジスタKCDに格納されたキーコードと同一
のキーコードを有する音のチャンネルを検出する。すな
わち、発音されている音のうち、離鍵された音はどの音
かを検出する。
【0062】該当するチャンネルがあるか否かをステッ
プS18で判定する。該当するチャンネルがあった場合
は、YESの矢印にしたがってステップS19に進み、
物理モデル音源の該当チャンネルのキーオンフラグko
nflg(ch)に0を立てる。該当チャンネルはフラ
グが0になったことに伴い、発音動作を終了させる。そ
の後、リターンする。
【0063】ステップS18において、該当チャンネル
が検出されなかった時は、消音処理が既になされている
のでステップS19を迂回して、ただちにリターンす
る。
【0064】このようにして、鍵盤の押鍵、離鍵に基づ
き、発音、消音処理が行なわれる。図8は、タイマ割込
みルーチンのフローチャートを示す。
【0065】タイマ割込みが生じると、まずステップS
21において、発音中のチャンネルを順次指定する。次
に、ステップS22において、そのチャンネルのフラグ
konflag(ch)が1か否かを判定する。このフ
ラグが1の場合は、該当チャンネルが発音指示されてい
るので、YESの矢印にしたがって、次のステップS2
3に進む。なお、フラグが1でない場合は、このチャン
ネルは発音していないので、NOの矢印にしたがってス
テップS21にリターンし、次のチャンネルを指定す
る。
【0066】ステップS23においては、演奏動作波形
テーブル22の音色、運弓に対応するエリアの該当チャ
ンネルの読み出しポインタにしたがって、演奏動作波形
を読み始める。
【0067】本実施例の場合は、擦弦楽器を想定してい
るので、演奏動作波形として擦弦楽器の弓速情報、弓圧
情報を読み始める。この演奏動作波形は、たとえば熟練
者がタブレットを用いて作成したものやランダムノイズ
から合成したものである。
【0068】ステップS25においては、読み出された
演奏情報波形に対して、所望の揺らぎデータを付加す
る。揺らぎの程度は揺らぎ制御データによって制御され
る。すなわち、単純な押鍵動作に基づき、擦弦楽器の持
続音を発生させ、かつ所望の揺らぎを付与する。
【0069】次に、ステップS26において、修飾され
た演奏動作情報に基づき、楽音発生処理の準備を行な
う。たとえば、揺らぎデータを付加された弓速情報、弓
圧情報を、楽音信号発生に適した範囲に収めるために、
落し込み処理を行なう。これは擦弦楽器の弓速、弓圧は
所定範囲にある場合、適切な楽音が発生するが、この範
囲を外れると適当な楽音が発生しないため、ステップS
25で得られた演奏情報がこの楽音発生範囲に属してい
ない場合、適当な処理を行なうことによって楽音発生に
適した範囲に変更する処理を行なうのである。
【0070】次に、ステップS27において、作成され
た弓速、弓圧データを物理モデル音源に供給し、擦弦ア
ルゴリズムにしたがって楽音信号を発生させる。次に、
ステップS28において、該当チャンネルのポインタを
1進める。これによって時間経過にしたがった演奏動作
波形の読み出し(ステップS23)がなされる。
【0071】その後、ステップS21に戻り、次のチャ
ンネルに対して同様の処理を行なう。この処理は全チャ
ンネルに対して繰返される。
【0072】次に、ステップS25で行なう揺らぎデー
タの付加の例について、より詳細に説明する。
【0073】図9は、揺らぎ付加ルーチンの実施例を説
明するためのフローチャートである。図1、図2に示す
演奏動作波形記憶手段3、または図3に示す演奏動作波
形テーブル22には、揺らぎのないまたは揺らぎが最小
の標準的な弓圧波形、弓速波形が記憶され、また、揺ら
ぎのみが揺らぎ波形テーブルに記憶されているものとす
る。
【0074】揺らぎ付加ルーチンが開始すると、まずス
テップS31において、ジョイスティック19のx軸方
向位置をデータとして取込み、変数JS Xへコピーす
る。
【0075】ジョイスティックのx方向位置は、図10
(A)に示すように0から127までの値を与えられて
おり、x=0の位置が揺らぎの全くない状態を指示し、
x=127の位置が揺らぎの最大の位置を指示する。す
なわち、ジョイスティックのデータJS Xは、0から
127までの数値を取り、揺らぎの程度を示す。
【0076】次にステップS32において、揺らぎ波形
テーブルから現在のポインタに相当する揺らぎデータを
読み出し、レジスタfb noise,vb nois
eへコピーする。揺らぎ波形テーブルは、図10(B)
に示すように揺らぎデータの波形を記憶する記憶装置で
ある。図中横軸が時間に対応するポインタを示し、縦軸
が揺らぎデータの大きさを示す。連続する曲線で示した
が、ポインタのある所にのみ揺らぎデータが存在すれば
よい。ポインタを更新しつつ揺らぎデータを読むことに
より、図示のような揺らぎデータを入力することができ
る。このような揺らぎデータを弓圧データ用の揺らぎf
noiseおよび弓速データ用の揺らぎvb no
iseとして読み出す。なお、弓圧用、弓速用に異なる
揺らぎデータを読みだしてもよいし、同じ揺らぎデータ
を読みだしてもよい。
【0077】なお、演奏動作波形としては揺らぎのない
弓速波形、弓圧波形が読みだされているものとする。
【0078】次にステップS33において、ジョイステ
ィックデータJS Xを使って演奏動作波形に揺らぎ量
を付加する。
【0079】演奏動作波形の弓圧データがfbであり、
弓速データがvbであり、弓圧揺らぎデータがfb
oiseであり、弓速揺らぎデータがvb noiseで
あるとし、以下の演算を行って新たに弓圧データfbお
よび弓速データvbを設定する。
【0080】 fb←{fb noise*JS X+fb*(127
−JS X)}/127 vb←{vb noise*JS X+vb*(127
−JS X)}/127 たとえばジョイスティックの位置がx=0の場合、ジョ
イスティックデータJS X=0であり、得られる弓圧
データ、弓速データは、演奏動作波形の弓圧データfb
および弓速データvbとなる。
【0081】ジョイスティックデータがx=127で揺
らぎ最大の時は、JS X=127であり、演算の結果得
られる弓圧データfbおよび弓速データvbは弓圧用揺
らぎデータfb noiseおよび弓速用揺らぎデータ
vb noiseとなる。
【0082】ジョイスティックのx方向位置を制御する
ことにより、発生する楽音の揺らぎを0から最大値まで
任意に制御することができる。
【0083】上に説明した実施例においては、揺らぎの
パターンは一種類であり、揺らぎの程度が0から最大値
まで任意に制御された。より多彩な楽音を発生させるた
めには、揺らぎパターンを複数種類設けることもでき
る。この場合には、たとえば奏法によって揺らぎのパタ
ーンを指定するようにする。
【0084】図11は、揺らぎ付加ルーチンの他の実施
例を示す。揺らぎ付加ルーチンが開始すると、ステップ
S41において、ジョイスティックのデータを取り込
み、変数JS Xへコピーする。このステップは図9に
おけるステップS31と同様のステップである。
【0085】次にステップS42において、変数JS
Xが63以下か64以上かを判別する。すなわち、ジョ
イスティックの位置によって二通りに制御を分岐する。
【0086】ジョイスティックは図12に示すように、
中央の位置x=63で揺らぎが最小になる。x≦63の
領域においては、揺らぎパターン1が用いられ、x>6
3の領域においては揺らぎパターン2が用いられる。そ
れぞれの領域において、ジョイスティックの位置xは6
3から離れるにしたがって揺らぎの程度は大きくなる。
本実施例の場合は、中点復帰型のジョイスティックを用
いることが好ましい。
【0087】ステップS42において、JS Xが63
以下の場合は、YESの矢印にしたがってステップS4
3に進む。ステップS43においては、揺らぎ波形テー
ブル1から現在のポインタに相当する揺らぎデータを読
み出し、レジスタfb noise、vb noise
へコピーする。
【0088】なお、前述の実施例同様、演奏動作波形と
しては揺らぎのない弓圧データfbと揺らぎのない弓速
データvbが読みだされているものとする。
【0089】次にステップS44において、ジョイステ
ィックデータJS Xの63からの変位を用いて揺らぎ
量を付加する。すなわち、演奏動作波形から読みだされ
た弓圧データfb、弓速データvbと揺らぎ波形テーブ
ル1から読みだされた弓圧用揺らぎデータfb noi
seおよび弓速用揺らぎデータvb noiseを用い
て以下の演算を行う。
【0090】 fb←{fb noise*(63−JS X)+fb
*JS X)}/63 vb←{vb noise*(63−JS X)+vb
*JS X)}/63 すなわち、JS X=63を揺らぎのない状態とし、J
Xの値が小さくなるにしたがって揺らぎが大きくな
るような揺らぎ量付加を行う。ここで用いられる揺らぎ
波形テーブルは第1の演奏形態に対応するものである。
【0091】ステップS42において、変数JS Xが
63よりも大きな場合は、NOの矢印にしたがってステ
ップS45に進む。
【0092】ステップS45においては、揺らぎ波形テ
ーブル2から現在のポインタに相当する揺らぎデータを
読み出し、レジスタfb noise、vb nois
eへコピーする。
【0093】続いてステップS46において、ジョイス
ティックデータJS Xが63のとき最も揺らぎが小さ
く、JS Xが大きくなるにしたがって揺らぎ量が増大
する揺らぎ量付加を行う。
【0094】 fb←{fb noise*(JS X−64)+fb
*(127−JS X)}/63 vb←{vb noise*(JS X−64)+vb
*(127−JS X)}/63 すなわち、JS X=63で揺らぎが最小であり、JS
Xの値が大きくなるにしたがって揺らぎパターン2に
したがって揺らぎ量が増大する揺らぎ量付加を行う。揺
らぎパターン2は第2の演奏形態に対応するものであ
る。
【0095】本実施例においては、二種類の揺らぎパタ
ーンを用い、ジョイスティックの操作によってこれら二
種類の揺らぎパターンのいずれか一方を任意に選択し、
所望の揺らぎ量を与えることができる。このため前述の
実施例よりも多彩な揺らぎ量付加を行うことができる。
【0096】たとえば、バイオリンの場合、揺らぎの量
はどの弦を演奏するかによって異なり、弦長によっても
変化する。このように変化する多彩な揺らぎを実現する
一つの方法として、音高によって揺らぎ量を制御するこ
とができる。
【0097】図13は揺らぎ付加ルーチンの他の実施例
を示す。本実施例においては、揺らぎ波形テーブルに各
キーコードKCDに応じた揺らぎ波形が記憶されている
ものとする。
【0098】揺らぎ付加ルーチンが開始すると、ステッ
プS51においてジョイスティックのデータを取込み、
変数JS Xへコピーする。なお、変数JS Xの値は
前述の実施例同様0から127まで128通りに変化す
るものとする。
【0099】次にステップS52において、揺らぎ波形
テーブルから現在の音高、ポインタに相当する揺らぎデ
ータを読み出し、fb noise〔KCD〕、vb
noise〔KCD〕へコピーする。すなわち、読みだ
される揺らぎデータは音高を表すキーコードKCDによ
って変化する。
【0100】次にステップS53において、ジョイステ
ィックデータJS Xを使って揺らぎ量を付加する。
【0101】 fb←{fb noise〔KCD〕*JS X+fb
*(127−JS X)}/127 vb←{vb noise〔KCD〕*JS X+vb
*(127−JS X)}/127 このように、発生する楽音の音高にしたがって揺らぎ量
を変化させることにより、自然で多彩な揺らぎを有する
楽音を発生させることができる。
【0102】図13の実施例においては、揺らぎデータ
として音高数に対応する数分の揺らぎデータを記憶して
おく必要がある。記憶装置の容量を低減することのでき
る実施例を以下に説明する。
【0103】本実施例においては、図14に示すように
キーコードKCDをより数の少ない変数TBLB〔KC
D〕に変換する。たとえば、キーコードKCDに基づ
き、オクターブ毎に変化する変数、演奏する弦毎に変化
する変数等を発生させる。このような変数をTBLB
〔KCD〕で表す。このようなキースケーリングを行う
ことにより、揺らぎ波形データの数を大幅に減少するこ
とができる。
【0104】図15にこのようなキースケーリングを用
いた揺らぎ付加ルーチンを示す。揺らぎ付加ルーチンが
開始すると、ステップS61においてジョイスティック
のデータを取込み、変数JS Xへコピーする。次にス
テップS62において、キーコードKCDをテーブルT
BLBによって変換する。このように変換した値TBL
B〔KCD〕をレジスタKCBDにコピーする。
【0105】次にステップS63において、揺らぎ波形
テーブルから現在のKCBDおよびポインタに相当する
揺らぎデータを取込み、fb noise〔KCB
D〕、vb noise〔KCBD〕へコピーする。こ
のようにして、弓圧用揺らぎデータおよび弓速用揺らぎ
データを得る。
【0106】次にステップS64において、ジョイステ
ィックデータJS Xを使って揺らぎ量を付加する。
【0107】 fb←{fb noise〔KCBD〕*JS X+f
b*(127−JS X)}/127 vb←{vb noise〔KCBD〕*JS X+v
b*(127−JS X)}/127 すなわち、音高KCDに応じ、KCDよりも粗い目盛に
よる変数KCBDを発生させ、音高に応じて変化する揺
らぎ量を任意に付加することができる。
【0108】同様の方法を複数の揺らぎデータを同時に
利用する場合に適用することもできる。
【0109】図16は揺らぎ付加ルーチンの他の実施例
を示す。本実施例においては、図12に示すように中点
復帰型ジョイスティックの中点を揺らぎ最小の位置と
し、x軸方向のどの方向にジョイスティックを倒すかに
よって、揺らぎパターン1と揺らぎパターン2を使い分
けるとともに、発生する楽音の音高によって揺らぎ量を
制御する。
【0110】揺らぎ付加ルーチンが開始すると、ステッ
プS71においてジョイスティックのデータを取込み、
変数JS Xへコピーする。
【0111】次にステップS72において、キーコード
KCDをテーブルTBLBによってより変化の段数の小
さい変数に変換する。すなわち、KCDに基づいて読み
だしたテーブルTBLBの数TBLB〔KCD〕を変数
KCBDとする。
【0112】続いてステップS73において、ジョイス
ティックデータJS Xが63以下か63よりも大きい
かを判別する。変数JS Xが63以下の場合、YES
の矢印にしたがって74に進む。ステップS74におい
ては、揺らぎ波形テーブル1から現在のKCBDの値お
よびポインタに応じて揺らぎデータを読み出し、弓圧用
揺らぎデータfb noise〔KCBD〕および弓速
用揺らぎデータvb noise〔KCBD〕へコピーす
る。
【0113】次にステップS75において、ジョイステ
ィックデータJS Xを使って揺らぎ量を以下のように
付加する。
【0114】 fb←{fb noise〔KCBD〕*(63−JS
X)+fb*JS X}/63 vb←{vb noise〔KCBD〕*(63−JS
X)+vb*JS X}/63 ステップS73において、ジョイスティックデータJS
Xが63よりも大きいときは、NOの矢印にしたがっ
てステップS76に進む。ステップS76においては、
揺らぎ波形テーブル2から現在のKCBDの値およびポ
インタに相当する揺らぎデータを読み出し、弓圧用揺ら
ぎデータfb noise〔KCBD〕、弓速用揺らぎ
データvb noise〔KCBD〕へコピーする。
【0115】続いてステップS77において、ジョイス
ティックデータJS Xを使って揺らぎ量を付加する以
下の演算を行う。
【0116】 fb←{fb noise〔KCBD〕*(JS X−
64)+fb*(127−JS X)}/63 vb←{vb noise〔KCBD〕*(JS X−
64)+vb*(127−JS X)}/63 このように、2種類の揺らぎデータを用い、かつ発生す
る楽音の音高に依存した揺らぎ量を比較的少ない記憶容
量を持つ記憶装置を用いて付与することができる。
【0117】以上、擦弦楽器の場合を例にとって説明し
たが、揺らぎを与える楽音としては、擦弦楽器の他、管
楽器の楽音や、実在しない音であってもよい。たとえ
ば、サキソホンの息圧、アンブシュアの揺らぎや、実在
しないランダムノイズ等に適用してもよい。
【0118】また、実際に演奏した演奏動作情報にフィ
ルタ処理を行なったものや、時間軸を逆にして読み出し
たもの、演奏操作子以外のたとえばマウス等で非リアル
タイムに入力したもの等を用いることもできる。
【0119】また、演奏操作子の操作に基づいて、クレ
ッシェンド、デクレッシェンド、デタッシュ、フォルテ
シモ、ピアニシモ、スピカート、ピチカート、各種立上
がりデータ等を読み出し、これらのデータに揺らぎデー
タを付加することもできる。
【0120】また、上述の実施例においては、演奏動作
情報の読み出しは、キーボードのキーオン信号をトリガ
とし、ポインタを用いて行なっているが、必ずしもこの
ような場合に限らない。たとえば、キーオン信号の他、
他に用意されたスイッチによってトリガしてもよい。ま
た、内部的に演算され、処理して発生したトリガをスタ
ート信号として利用してもよい。
【0121】揺らぎの程度を指示する操作子としてジョ
イスティックを用いる場合を説明したが、ホィールその
他の操作子を用いてもよい。また、ジョイスティックの
x軸の代わりにy軸や圧力を用いることもできる。
【0122】音源回路としては、物理モデル音源を用い
る場合を説明したが、FM音源等、他の音源回路を用い
ることもできる。たとえば、揺らぎ処理された演奏動作
波形をFM音源のモジュレータやキャリアのアウトプッ
トレベルのパラメータとして使用することで、ピッチや
振幅に揺らぎを持たせることができる。
【0123】採取した揺らぎを持つデータに近い周波数
特性のデータを作成するために、ランダムデータにフィ
ルタ処理を行ない、目的の周波数特性を得る場合を説明
したが、計測された周波数特性から逆フーリエ変換を行
なって目的の周波数特性を求めてもよい。また、揺らぎ
の特性がその周波数特性だけで実現できない場合は、そ
の確率密度関数を計算して揺らぎデータを合成すること
も可能である。
【0124】また、以上説明した実施例においては、揺
らぎのないまたは揺らぎの少ないデータに揺らぎ量を付
加する場合を説明したが、予め揺らぎデータを付加した
演奏動作波形を複数組記憶し、揺らぎ量の異なる複数の
演奏動作波形を組み合わせることによって揺らぎデータ
をコントロールすることもできる。
【0125】また、演奏情報テーブルデータは全て完備
する必要はなく、計算等によって部分的に補間したり合
成することも可能である。
【0126】揺らぎ周波数特性が、演奏データの強弱に
よって異なった特性を持つ場合、強弱を表わすデータを
パラメータとして複数の揺らぎデータを補間して加算し
てもよい。また、複数の演奏動作波形に対して異なる揺
らぎ波形を強弱によって選択し、補間することも可能で
ある。たとえば、フォルテの時は圧力の揺らぎ成分に特
徴があり、ピアノの時は速度の揺らぎ成分に特徴がある
場合、圧力、速度、それぞれにフォルテ、ピアノの場合
の揺らぎデータを持っておき、強弱を表わすデータをパ
ラメータにして補間し、それぞれ付加することができ
る。
【0127】揺らぎ情報をランダムノイズから形成する
際のフィルタ特性を変化させることにより、変化する揺
らぎを作成することもできる。
【0128】また、ランダムノイズを記憶しておき、リ
アルタイムでフィルタリングと加算を行なってもよい。
また、ランダムノイズデータを計算によりリアルタイム
に作成することもできる。
【0129】なお、フィルタは専用フィルタを用いるこ
ともできるが、マイコン中にデジタルフィルタとして組
込むこともできる。
【0130】その他、種々の変更、改良、組合わせ等が
可能なことは当業者に自明であろう。
【0131】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トリガ信号により演奏動作波形を読みだし、演奏者の指
定した量の修飾を行うことにより、簡単な操作で多彩な
演奏を行うことができる。
【0132】たとえば、演奏動作波形に所望の強度の揺
らぎ情報を加えることにより、簡単な演奏操作によって
所望の揺らぎを有する表現力豊かな持続性楽音発生を可
能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本実施例を示すブロック図であ
る。
【図2】 本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図3】 本発明の擦弦モデル実施例の機能構成を示す
ブロック図である。
【図4】 実施例を実現するハードウェア構成を示すブ
ロック図である。
【図5】 演奏動作情報を説明するグラフである。図5
(A)、(B)、(C)は、それぞれ演奏動作データの
振幅の時間変化を示すグラフおよび演奏動作データの周
波数特性を示すグラフである。
【図6】 メインルーチンのフローチャートである。
【図7】 キーイベントルーチンのフローチャートであ
る。図7(A)はキーオンイベント、図7(B)はキー
オフイベントのフローチャートである。
【図8】 タイマ割込みルーチンのフローチャートであ
る。
【図9】 第1の揺らぎ付加ルーチンのフローチャート
である。
【図10】 図9のフローチャートを説明するための図
である。図10(A)はジョイスティックの操作を説明
する図、図10(B)は揺らぎ波形テーブルの例を示す
グラフである。
【図11】 第2の揺らぎ付加ルーチンのフローチャー
トである。
【図12】 他のジョイスティックの操作を説明する図
である。
【図13】 第3の揺らぎ付加ルーチンのフローチャー
トである。
【図14】 キーコード変換テーブルの機能を示すグラ
フである。
【図15】 第4の揺らぎ付加ルーチンのフローチャー
トである。
【図16】 第5の揺らぎ付加ルーチンのフローチャー
トである。
【符号の説明】
1 トリガ入力手段、 2 演奏操作子、 3 演奏動
作波形記憶手段、 4演奏操作子(鍵盤)、 5 演奏
動作波形修飾手段、 7 楽音信号形成手段、 9 演
奏動作波形修飾データ入力手段、 11 読み出し開始
パルス入力手段、12 読み出し手段、 16 揺らぎ
データ付加手段、 18 音源システム、19 揺らぎ
制御データ入力手段(ジョイスティック)、 21a
波形選択、制御、読み出し手段、 21b 揺らぎデー
タ付加手段、 22 演奏動作波形テーブル、 23
物理モデル音源、 24 サウンドシステム、 31
鍵盤スイッチ回路、 32 バス、 33 ROM、
34 RAM、 35 CPU、 36 タイマ、 3
8 音源回路、 39 操作子検出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−166500(JP,A) 特開 昭60−207195(JP,A) 特開 平2−103596(JP,A) 特公 昭62−27396(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力されるパラメータに基づいて楽音波
    形を発生する楽音発生手段と、 自然楽器の演奏動作に対応する演奏動作波形であって、
    時間変化する演奏動作波形を少なくとも1つ記憶する記
    憶手段と、 楽音波形の発生を指示するためのトリガ信号を入力する
    トリガ入力手段と、 前記トリガ信号の入力に応答して前記記憶手段から演奏
    動作波形を読み出し、該演奏動作波形を前記パラメータ
    として前記楽音発生手段に入力するパラメータ入力手投
    と、 演奏動作波形を修飾するための修飾データを入力するた
    めの修飾データ入力手段と、 前記パラメータ入力手段が読み出す演奏動作波形に前記
    修飾データに基づく修飾を行なう演奏動作波形修飾手段
    とを有する電子楽器。
  2. 【請求項2】 前記楽音発生手段は、物理モデル音源で
    あることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
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