JPH056168A - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JPH056168A
JPH056168A JP3181808A JP18180891A JPH056168A JP H056168 A JPH056168 A JP H056168A JP 3181808 A JP3181808 A JP 3181808A JP 18180891 A JP18180891 A JP 18180891A JP H056168 A JPH056168 A JP H056168A
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JP
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performance
fluctuation
waveform
data
dynamics
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JP3181808A
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Tetsuo Okamoto
徹夫 岡本
Satoshi Usa
聡史 宇佐
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Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然擦弦楽器の演奏音等に表われる所定の音
楽的効果等を実現するのに適した電子楽器に関し、簡単
な演奏操作によって種々の楽音を発生させることのでき
る電子楽器を提供することを目的とする。 【構成】 少なくとも1波形以上の演奏動作波形を記憶
する演奏動作波形記憶手段(3)と、前記演奏動作波形
を読み出すトリガ信号を入力するためのトリガ入力手段
(1)と、演奏動作のダイナミクスを指定するデータを
入力するためのダイナミクスデータ入力手段(9)と、
前記トリガ入力手段からのトリガ信号に基づき、前記記
憶手段から演奏動作波形を読み出し、前記演奏動作波形
に前記ダイナミクスデータに基づく制御を行うと共に前
記ダイナミクスデータに基づく揺らぎデータを付加する
演奏動作波形修飾手段(5)とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器に関し、特に
自然擦弦楽器の演奏音等に表われる所定の音楽的効果等
を実現するのに適した電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】自然楽器として鍵盤楽器、管楽器、弦楽
器等が知られている。これらの自然楽器は、それぞれそ
の楽器に特有の演奏技術を習得することにより、音楽性
豊かな演奏を可能とする。
【0003】電子楽器は、電子的に楽音信号を形成する
ので単一楽器で種々の楽音を発生できる可能性を有して
いる。電子楽器においても、演奏は何らかの演奏操作子
を用い、演奏動作情報を発生することによって行なわれ
る。
【0004】演奏操作子としては、鍵盤、フットペダ
ル、ウィンドコントローラ、ジョイスティック、スライ
ドボリューム、タブレット等が知られている。
【0005】鍵盤は、自然鍵盤楽器の鍵盤同様の外観を
有し、最も多くの人に容易に演奏される演奏操作子であ
り、演奏動作情報として、キーオン信号、キーオフ信
号、音高信号、タッチ信号等を発生する。鍵盤楽器の楽
音を発生させるのには適しているが、管楽器、擦弦楽器
等の持続音を表情豊かに発生させることにはあまり適し
ていない。
【0006】ウィンドコントローラは、通常指スイッチ
による音高指定とアンブシュアによる音色制御とを行な
い、管楽器の楽音を発生するのに適している。ウィンド
コントローラの演奏には、管楽器類似の演奏技術を必要
とする。
【0007】スライドボリュームおよびタブレットは、
演奏動作情報として位置情報、速度情報、圧力情報等を
発生することができ、擦弦楽器の持続楽音発生等に適し
た演奏操作子である。しかし、これらの演奏操作子を用
いて演奏を行なうには、それぞれの操作技術を習得する
必要がある。
【0008】フットペダル、ジョイスティック等は、補
助的な演奏操作子であり、主演奏操作子と組合わせて用
いるのに適している。
【0009】たとえば、擦弦楽器の音色は、弓と弦の接
触位置、弓の移動速度、弓圧等によって複雑に変化す
る。また、管楽器の楽音は、アンブシュア、息圧等によ
って複雑に変化する。また、これらの楽器の楽音は、特
に持続音に特徴がある。これらの持続音は、弓速、弓
圧、アンブシュア、息圧等の時間変化、すなわち演奏動
作波形によって複雑に変化する。また、持続音には各々
特有の揺らぎが伴う。
【0010】電子楽器は、機能的にはこのような楽器の
楽音を発生する能力を有するが、電子楽器に最も多く採
用されている鍵盤を演奏操作子として用いて演奏する
と、発生する演奏動作情報が不足し、このような表情豊
かな持続音を表現することはむずかしい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
種々の自然楽器においては種々の形態の演奏操作子が用
いられており、種々の楽音を発生する。多くの人にとっ
て演奏操作が容易な演奏操作子を設けた電子楽器におい
て、これら種々の楽音を発生させようとすると、困難が
あった。
【0012】たとえば、擦弦楽器や管楽器は、独特の演
奏操作を必要とし、鍵盤楽器の演奏者にとっては演奏を
することが容易でない。
【0013】本発明の目的は、簡単な演奏操作によって
種々の楽音を発生させることのできる電子楽器を提供す
ることである。
【0014】また、擦弦楽器や管楽器においては、音
高、音色、音量等が微妙に揺らぐ楽音が発生する。この
揺らぎはピアニシモからフォルテシモに至る演奏のダイ
ナミクスに依存して変化する。鍵盤等の多くの人にとっ
て演奏しやすい演奏操作子を用いて、これらの揺らぎの
ある楽音を発生させることは容易ではない。
【0015】本発明の目的は、所望の揺らぎを有する楽
音を容易に発生させることのできる電子楽器を提供する
ことである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の電子楽器は、少
なくとも1波形以上の演奏動作波形を記憶する演奏動作
波形記憶手段と、前記演奏動作波形を読み出すトリガ信
号を入力するためのトリガ入力手段と、演奏動作のダイ
ナミクスを指定するデータを入力するためのダイナミク
スデータ入力手段と、前記トリガ入力手段からのトリガ
信号に基づき、前記記憶手段から演奏動作波形を読み出
し、前記演奏動作波形に前記ダイナミクスデータに基づ
く制御を行うと共に前記ダイナミクスデータに基づく揺
らぎデータを付加する演奏動作波形修飾手段とを有す
る。
【0017】
【作用】記憶手段に演奏動作波形を記憶させ、その演奏
動作波形をトリガ信号によって読みだすことにより、極
めて簡単な動作によって記憶した演奏動作波形に対応す
る表情豊かな楽音を発生させることができる。たとえ
ば、熟練者による擦弦楽器演奏に基づいて、弓圧および
弓速について演奏動作波形を記憶させ、キーボードの押
鍵等に基づいてこの演奏動作波形を読み出すことによ
り、擦弦楽器の楽音を発生させることができる。
【0018】しかしながら、たとえば擦弦楽器において
も種々のダイナミクスの演奏形態が存在する。またダイ
ナミクスの程度に応じて揺らぎの程度も変化する。たと
えば、フォルテの時は圧力の揺らぎ成分に特徴があり、
ピアノの時は速度の揺らぎ成分に特徴がある場合、圧
力、速度、それぞれにフォルテ、ピアノの場合の揺らぎ
データを持っておき、ダイナミクスを表わすデータをパ
ラメータにして揺らぎデータを補間し、それぞれ演奏動
作波形に付加する。
【0019】ダイナミクスデータ入力手段から、演奏動
作波形のダイナミクスを制御するためのデータを入力す
ることにより、記憶した演奏動作波形を演奏者の意図す
るダイナミクスに基づいて制御することができる。同時
にダイナミクスに応じた揺らぎを付与することにより、
自然な揺らぎを有する多彩な楽音を発生させることがで
きる。
【0020】
【実施例】図1に、本発明の基本実施例による電子楽器
の構成を示す。
【0021】トリガ入力手段1は、たとえば鍵盤等で構
成され、キーオン信号等のトリガ信号を発生する。この
トリガ信号によって演奏動作波形を記憶した演奏動作波
形記憶手段3から演奏動作波形が読みだされる。なお、
トリガ入力手段が鍵盤である場合、トリガ信号と同時に
キーコード等の音高信号も発生する。
【0022】ダイナミクスデータ入力手段9は、演奏動
作波形記憶手段3から読みだされた演奏動作波形のダイ
ナミクスを制御するためのデータを入力する手段であ
り、たとえばフットペダル等で構成される。演奏動作波
形修飾手段5は、演奏動作波形記憶手段3から読みださ
れた演奏動作波形をダイナミクスデータ入力手段9から
供給されるデータに基づいて制御すると共にダイナミク
スデータに応じた揺らぎを付加する。
【0023】たとえば、鍵盤によってトリガ入力手段を
構成し、押鍵操作によって発生するキーオン信号をトリ
ガ信号とし、演奏動作波形記憶手段3に記憶された熟練
演奏者の演奏に対応する弓圧信号、弓速信号を読み出
し、フットペダルで構成したダイナミクスデータ入力手
段9から演奏のダイナミクスとそれに応じた揺らぎの程
度を入力することにより、演奏動作波形修飾手段5で演
奏動作波形に所望の強度と所望の程度の揺らぎを与え、
楽音信号形成手段7から擦弦楽器の所望の音量の揺らぎ
のある表情豊かな楽音を発生させることができる。
【0024】この場合、演奏者は鍵盤によって音高、楽
音発生タイミング等を指定すると共に、フットペダルに
よってダイナミクスデータを与えるのみにより擦弦楽器
の演奏を実行することができる。
【0025】なお、楽音信号形成手段7で形成された楽
音信号自体を修飾しようとすると、望みどおりの制御が
行なわれなかった時には、極めて耳障りな楽音が発生す
るが、自然楽器の演奏動作に対応する演奏動作波形自体
を修飾すると、たとえ制御が所望どおり行なわれなかっ
た場合にも、発生する楽音に特別の不都合は生じないこ
とがわかった。
【0026】図2は、本発明の実施例による電子楽器の
機能ブロックを示す。演奏操作子2は、必ずしも必須の
構成要素ではないが、たとえば位置と圧力を検出できる
タブレットであり、スティックをタブレットで移動させ
ることによって弓圧信号、弓速信号を作成することがで
きる。これらの信号は演奏動作波形記憶手段3に記憶す
ることができる。演奏動作波形記憶手段3は、当初より
基本的演奏動作波形をいくつか記憶している。
【0027】一方、読み出し開始パルス入力手段11
は、たとえば鍵盤で構成され、キーオン信号に基づき読
み出し開始パルス13を読み出し手段12に供給する。
読み出し手段12は、演奏動作波形記憶手段3にアドレ
ス等の制御信号14を供給し、演奏動作波形記憶手段3
から弓速、弓圧等の演奏動作波形データ15等を読み出
し、ダイナミクスデータ入力手段9から入力するダイナ
ミクスデータに応じて振幅を調整する。
【0028】調整された演奏動作波形は、ダイナミクス
データ入力手段19から入力されるダイナミクスデータ
と共に、揺らぎデータ付加手段16に供給される。揺ら
ぎデータ付加手段16は、ダイナミクスデータ入力手段
19から供給されるダイナミクスデータに基づき、演奏
動作情報に揺らぎを与えるための付加的情報を付与し、
音源システム18に音源パラメータ17を供給する。
【0029】音源システム18は、ダイナミクスデータ
に応じた揺らぎを付加した演奏動作波形に基づく音源パ
ラメータ17に基づき、楽音信号を形成する。
【0030】図2に示すような機能ブロックは、たとえ
ば擦弦楽器モデルの場合、図3に示すような機能構成に
よって実現される。
【0031】図3において、演奏操作子4は、通常の電
子楽器用鍵盤等によって形成され、音高信号、キーオン
信号、キーオフ信号、音色信号、運弓信号等の演奏動作
情報を波形選択、制御、読み出し手段21aに供給す
る。たとえばキーオン信号が波形読み出しのトリガ信号
を構成する。ダイナミクスデータ入力手段19は、たと
えば通常のフットペダルによって形成され、たとえばそ
の踏込み量によってピアニシモppからフォルテシモf
fに至る範囲内のダイナミクスデータを発生し、波形選
択、制御、読み出し手段21aと揺らぎデータ付加手段
21bとを含む制御手段21に供給する。
【0032】波形選択、制御、読み出し手段21aは、
アクセス信号26を演奏動作波形テーブル22に供給
し、演奏動作波形テーブル22から擦弦的演奏動作波形
27を得て、ダイナミクスデータに応じた振幅を与え
る。演奏動作波形テーブルに種々のダイナミクスに応じ
た演奏動作波形が記憶されている時は、読み出し手段2
1aが発生するアクセス信号26はダイナミクスデータ
に応じてその読み出し位置を変化させる。
【0033】このダイナミクスデータに基づき、揺らぎ
データ付加手段21bが演奏動作波形に揺らぎデータを
付加し、音色情報と修飾された楽音形成パラメータたと
えば弓圧、弓速、弦長等の情報28を物理モデル音源2
3に供給する。この物理モデル音源23は、たとえば特
開平3−48891号に開示されているような、弦楽器
の弦の運動を物理的にシュミレートして楽音形成信号を
発生するものである。
【0034】このようにして形成された楽音形成信号2
9は、サウンドシステム24に送られ、楽音を発生す
る。
【0035】演奏動作波形テーブル22は、たとえば基
本的演奏動作波形の他、クレッシェンド、デクレッシェ
ンド、デタッシュ、フォルテシモ、ピアニシモ、スピカ
ート、ピチカート、各種楽音の立上がりデータ等につい
ての演奏動作波形を記憶する。これらの演奏動作波形
が、たとえば演奏操作子4から発生するキーオン信号に
よって、また必要に応じてダイナミクスデータも考慮し
て読み出される。
【0036】すなわち、演奏操作子4、ダイナミクスデ
ータ入力手段19内で演奏操作が行なわれると、その演
奏操作に基づいて特定の演奏形態に基づく演奏動作波形
がテーブル22から波形選択、制御、読み出し手段21
aに読みだされ、ダイナミクスデータ入力手段19から
ダイナミクスデータが供給され、演奏動作波形を修飾す
ることによって所望の揺らぎを供えた楽音信号を発生さ
せる。
【0037】なお、演奏操作子4から物理モデル音源2
3に、別途音高信号が供給され、発生楽音の音高を指定
する。
【0038】図3に示すような擦弦モデル実施例の機能
を実現するハードウェア構成を、図4に示す。
【0039】演奏操作子4は、たとえば鍵盤で構成さ
れ、その押鍵情報、離鍵情報は鍵盤スイッチ回路31に
よって検出される。鍵盤スイッチ回路31は、演奏動作
情報をバス32に供給する。ダイナミクスデータ入力手
段19は、たとえばフットペダルで構成され、その踏込
み量がペダル情報検出回路39によって検出され、検出
信号がバス32に供給される。このバス32には、楽音
信号形成プログラムを記憶するROM33、演算処理の
際に生ずる中間情報等を一時的に記憶するRAM34、
楽音信号形成等の演算処理を行なうCPU35、タイマ
回路36、音源回路38等が接続されている。
【0040】CPU35は、タイマ回路36と割込み信
号線37によって接続されており、所定タイミングでタ
イマ割込みルーチンを実行する。また、音源回路38に
は、サウンドシステム24が接続されており、楽音形成
信号を受け、可聴楽音信号を発生する。
【0041】図4に示すハードウェア構成を用い、図3
に示すような機能ブロックを実現して行なう演奏動作
を、図5を参照して説明する。
【0042】図5(A)は、擦弦楽器の弓による演奏動
作情報波形の時間域、周波数域波形の例を示すグラフで
ある。たとえば、擦弦楽器の演奏においては、弓で弦を
擦る演奏動作(たとえば弓速、弓圧)を時間域、周波数
域でみると、図5(A)に示すような特性を有する。
【0043】図5(A)の上段には、演奏動作データの
振幅を時間の関数として示す。また、図5(A)の下段
には、その周波数特性をスペクトルで示す。本明細書に
おいては、図5(A)上段に示すような演奏動作データ
の時間変化を演奏動作波形と呼ぶ。
【0044】図5(A)上段に示す演奏動作データの振
幅は、時間に対して一定ではなく、微妙な揺らぎを有し
ており、その揺らぎを周波数解析すると、図5(A)下
段に示すようにある低い周波数をピークとし、その周波
数から高周波数に向かうに従って、次第に減少するスペ
クトル特性を示す。なお、揺らぎの程度、スペクトル特
性は演奏に応じて多彩に変化する。
【0045】ところで、鍵盤を用いて演奏操作をした場
合の演奏動作波形の1例を同様に時間域および周波数域
に対して示すと、図5(B)に示すようになる。すなわ
ち、押鍵圧力等の演奏動作データの振幅は、時間軸に対
して一定であり、その周波数特性は図5(B)下段に示
すように、直流成分のみを有している。図5(A)、
(B)から明らかな揺らぎの多少による差は、意図的に
形成されるのではなく、楽器(演奏操作子)の特性によ
るものと言える。
【0046】図5(B)に示すような演奏動作によっ
て、図5(A)に示すような演奏動作に由来する楽音を
発生させることはそのままでは極めて困難といえる。ま
た、鍵盤等の容易に操作できる演奏操作子を用いて、図
5(A)に示すような自然擦弦楽器の演奏動作に基づく
演奏動作波形を発生させようとすると、その演奏操作は
極めて困難となる。
【0047】本実施例においては、図5(B)に示すよ
うな演奏動作に基づいて、図5(A)に示すような演奏
動作データを演奏者の意図に応じて揺らぎの程度を変化
させながら発生させることを考慮する。
【0048】まず揺らぎデータの作成を説明する。たと
えば、ランダムノイズをフィルタ処理して、図5(A)
に示す演奏動作波形と類似の波形を発生させる。このよ
うなランダムノイズにフィルタ処理を行なった波形を、
図5(C)に示す。フィルタ処理としては、たとえば8
次の移動平均を6回かけ、最後にピーク周波数2Hzの
バンドパスフィルタ処理を行なう。
【0049】図5(C)上段は、ランダムノイズをフィ
ルタ処理した演奏動作データの時間変化を示す波形を示
し、図5(C)下段は、図5(C)上段の波形の周波数
特性を示す。フィルタ定数を変化させて揺らぎの程度を
変化させると、図5(C)上段の波形の凹凸の程度や図
5(C)下段の周波数分布は変化する。
【0050】ところで、ランダムノイズ自体は、図5
(C)下段の破線に示すように広い周波数帯域にわたっ
て平坦な特性を示す。このランダムノイズに種々のフィ
ルタ処理を行なうことにより、図5(C)下段の実線に
示すような所定周波数から高周波数に向かうにしたがっ
て、次第に減少する特性を種々実現することができる。
【0051】本実施例においては、ダイナミクスデータ
に基づき揺らぎ制御データを与えることによって揺らぎ
の態様を制御する。
【0052】このようにして、図5(B)に示すような
演奏動作波形に基づき、図5(C)に示すような演奏動
作データを演奏者の意図に応じてリアルタイムに揺らぎ
を制御しつつ発生させれば、図5(A)に示すような自
然擦弦楽器の演奏動作に基づく楽音と類似の楽音を発生
させることができる。
【0053】このような楽音信号発生処理の工程を、以
下フローチャートを参照して説明する。
【0054】図6は、メインルーチンのフローチャート
を示す。まず、処理がスタートすると、ステップS1に
おいて、RAM等の各レジスタの初期化を行なう。
【0055】次に、ステップS2において、キーオンイ
ベントがあるか否かを判定する。キーオンイベントがあ
れば、YESの矢印にしたがって次のステップS3に進
み、キーオンイベントルーチンを実行する。キーオンイ
ベントがない時は、NOの矢印にしたがって、ステップ
S3を迂回する。
【0056】次に、ステップS4において、キーオフイ
ベントがあるか否かを判定する。キーオフイベントがあ
れば、YESの矢印にしたがってキーオフイベントルー
チンS5を実行する。キーオフイベントがなければ、N
Oの矢印にしたがってステップS5を迂回する。
【0057】その後、ステップS6において、選択スイ
ッチで選択された音色に対応するトーンコードと運弓態
様に対応する運弓データを、それぞれレジスタTCとレ
ジスタUKに記憶させるとともに、その他の処理を行
い、ステップS2に戻る。
【0058】図6に示すメインルーチンのキーオンイベ
ントルーチン(S3)およびキーオフイベントルーチン
(S5)を、図7を参照してより詳細に説明する。
【0059】図7は、キーイベントルーチンを示し、図
7(A)はキーオンイベント、図7(B)はキーオフイ
ベントを示す。
【0060】図7(A)に示すように、キーオンイベン
トが生じると、まずステップS11において、キーオン
イベントのあった鍵のキーコードをキーコードレジスタ
KCDに記憶する。次に、ステップS12において、レ
ジスタKCDのキーコード音を物理モデル音源の発音チ
ャンネルに割当てる。すなわち、この処理によって押鍵
された鍵に対応する楽音の発生準備がなされる。
【0061】次に、ステップS13において、物理モデ
ル音源の該当チャンネルにレジスタKCDのキーコード
を転送し、そのチャンネルのキーオンフラグkonfl
g(ch)に1を立てる。この発音チャンネルは、フラ
グに1が立ったことを検出し、楽音発生処理を行なう。
【0062】図7(B)は、キーオフイベントのフロー
チャートを示す。鍵盤上で離鍵動作があると、その鍵が
検出され、ステップS16において、該当するキーコー
ドをキーコードレジスタKCDに格納する。続いて、ス
テップS17において、物理モデル音源の発音チャンネ
ル中からレジスタKCDに格納されたキーコードと同一
のキーコードを有する音のチャンネルを検出する。すな
わち、発音されている音のうち、離鍵された音はどの音
かを検出する。
【0063】該当するチャンネルがあるか否かをステッ
プS18で判定する。該当するチャンネルがあった場合
は、YESの矢印にしたがってステップS19に進み、
物理モデル音源の該当チャンネルのキーオンフラグko
nflg(ch)に0を立てる。該当チャンネルはフラ
グが0になったことに伴い、発音動作を終了させる。そ
の後、リターンする。
【0064】ステップS18において、該当チャンネル
が検出されなかった時は、消音処理が既になされている
のでステップS19を迂回して、ただちにリターンす
る。
【0065】このようにして、鍵盤の押鍵、離鍵に基づ
き、発音、消音処理が行なわれる。図8は、タイマ割込
みルーチンのフローチャートを示す。
【0066】タイマ割込みが生じると、まずステップS
21において、発音中のチャンネルを順次指定する。次
に、ステップS22において、そのチャンネルのフラグ
konflag(ch)が1か否かを判定する。このフ
ラグが1の場合は、該当チャンネルが発音指示されてい
るので、YESの矢印にしたがって、次のステップS2
3に進む。なお、フラグが1でない場合は、このチャン
ネルは発音していないので、NOの矢印にしたがってス
テップS21にリターンし、次のチャンネルを指定す
る。
【0067】ステップS23においては、演奏動作波形
テーブル22の音色、運弓に対応するエリアの該当チャ
ンネルの読み出しポインタにしたがって、演奏動作波形
を読み始める。
【0068】本実施例の場合は、擦弦楽器を想定してい
るので、演奏動作波形として擦弦楽器の弓速情報、弓圧
情報を読み始める。この演奏動作波形は、たとえば熟練
者がタブレットを用いて作成したものやランダムノイズ
から合成したものである。
【0069】ステップS25においては、読み出された
演奏情報波形に対して、所望の揺らぎデータを付加す
る。揺らぎの程度は揺らぎ制御データによって制御され
る。すなわち、単純な押鍵動作に基づき、擦弦楽器の持
続音を発生させ、かつ所望の揺らぎを付与する。
【0070】次に、ステップS26において、修飾され
た演奏動作情報に基づき、楽音発生処理の準備を行な
う。たとえば、揺らぎデータを付加された弓速情報、弓
圧情報を、楽音信号発生に適した範囲に収めるために、
落し込み処理を行なう。これは擦弦楽器の弓速、弓圧は
所定範囲にある場合、適切な楽音が発生するが、この範
囲を外れると適当な楽音が発生しないため、ステップS
25で得られた演奏動作情報がこの楽音発生範囲に属し
ていない場合、適当な処理を行なうことによって楽音発
生に適した範囲に変更する処理を行なうのである。
【0071】次に、ステップS27において、作成され
た弓速、弓圧データを物理モデル音源に供給し、擦弦ア
ルゴリズムにしたがって楽音信号を発生させる。次に、
ステップS28において、該当チャンネルのポインタを
1進める。これによって時間経過にしたがって変化する
演奏動作波形の読み出し(ステップS23)がなされ
る。
【0072】その後、ステップS21に戻り、次のチャ
ンネルに対して同様の処理を行なう。この処理は全チャ
ンネルに対して繰返される。
【0073】次に、ステップS25で行なう揺らぎデー
タの付加の例について、より詳細に説明する。
【0074】前述のように、スライドボリュームやタブ
レットを用いて、擦弦楽器の演奏動作をシュミレートす
ることができる。
【0075】図9は、タブレットとスティックを用いて
擦弦楽器の演奏動作をシュミレートし、適切な擦弦楽器
を発生させた場合の弓圧特性および弓速特性を示すグラ
フである。図9(A)は、圧力と速度の時間に対する変
化を示す時間域波形グラフである。また、図9(B)
は、図9(A)に示した圧力と速度の周波数成分を分解
したスペクトルである。
【0076】このような圧力、速度の演奏情報が得られ
れば、擦弦楽器の楽音に適した楽音信号を発生させるこ
とができる。
【0077】図10は、図9に示すような演奏動作情報
を得るために行うフィルタ処理の特性を説明するグラフ
である。揺らぎのある演奏動作情報を得るため、ランダ
ムノイズを用い、このランダムノイズをフィルタ処理す
る。
【0078】図10(A)は、ランダムノイズをフィル
タ処理した波形の例を示す。フィルタ処理としては、た
とえば8次の移動平均を6回かけ、最後に中心周波数2
Hzのバンドパスフィルタ処理を行う。
【0079】図10(A)に示すように、このようなフ
ィルタ処理によって、周波数特性は修飾される。移動平
均をとることにより、周波数が高くなるにしたがって減
衰する波形が得られる。
【0080】図10(B)は、演奏したままの生波形
と、ランダムノイズをフィルタ処理した波形とを加算し
て得た信号の周波数特性を示す。
【0081】図11は、このようにして得た合成波形を
タブレットとスティックを用いて作成した波形と比較し
て示すグラブである。
【0082】図から明らかなように、合成波形によって
タブレットとスティックを用いて擦弦楽器楽音を発生さ
せるために発生させた特性と極めてよく似た特性の演奏
動作波形を形成することができる。
【0083】ところで、擦弦楽器の楽音の揺らぎはピア
ニシモppからフォルテシモffに至るダイナミクスに
よっても変化する。
【0084】図12は、ppとffの持続音の発生時の
弓圧データの周波数特性を比較して示す。
【0085】図から明らかなように、ピアニシモppの
ほうが揺らぎ(ノイズ)が高く、特に2〜8Hzにおい
て差が大きい。
【0086】以下、図12で示すようなダイナミクスに
応じた揺らぎを有する楽音形成について説明する。
【0087】図13は、揺らぎ付加ルーチンの実施例を
説明するためのフローチャートである。図1、図2に示
す演奏動作波形記憶手段3、または図3に示す演奏動作
波形テーブル22には、揺らぎのないまたは揺らぎが最
小の標準的な弓圧波形fb、弓速波形vbが記憶されて
いる。また、ピアニシモpp、フォルテシモffに対応
する弓圧fbおよび弓速vbの揺らぎが揺らぎデータ付
加手段16、21b内の揺らぎ波形テーブルに記憶され
ているものとする。
【0088】揺らぎ付加ルーチンが開始すると、まずス
テップS31において、フットペダル19の踏込み量を
ダイナミクスデータとして取込み、変数PEDALへコ
ピーする。
【0089】フットペダルの踏込み量は、0から127
までの値を与えられており、PEDAL=0がピアニシ
モppの状態を指示し、PEDAL=127がフォルテ
シモffの状態を指示する。すなわち、フットペダルの
データPEDALは、0から127までの数値を取り、
ダイナミクスの程度を示す。
【0090】次にステップS32において、揺らぎ波形
テーブルから現在のポインタに相当するff、ppの圧
力、速度の揺らぎ波形データを読み出し、レジスタff
fb、pp fb、ff vb、pp vbへコピー
する。揺らぎ波形テーブルは、図12に特性を示すよう
な揺らぎデータの波形を記憶する記憶装置である。
【0091】なお、演奏動作波形としては揺らぎのない
弓速波形vb、弓圧波形fbが読みだされているものと
する。
【0092】次にステップS33において、フットペダ
ル(ダイナミクス)データPEDALを使ってダイナミ
クスデータに応じた弓圧揺らぎ波形fb noise、
弓速揺らぎ波形vb noiseを求める。
【0093】 fb noise←{ff fb*PEDAL+pp
fb*(127−PEDAL)}/127 vb noise←{ff vb*PEDAL+pp
vb*(127−PEDAL)}/127 次にステップS34において、このように求めたダイナ
ミクス応答揺らぎデータとボリューム等で指定した固定
比率RATEを用い、演奏動作波形に揺らぎ量を付加す
る。
【0094】演奏動作波形の弓圧データがfbであり、
弓速データがvbであり、弓圧揺らぎデータがfb
oiseであり、弓速揺らぎデータがvb noiseで
あるとし、以下の演算を行って新たに弓圧データfbお
よび弓速データvbを設定する。
【0095】 fb←{fb noise*RATE+fb*(127
−RATE)}/127 vb←{vb noise*RATE+vb*(127
−RATE)}/127 たとえば固定比率RATE=0の場合、得られる弓圧デ
ータ、弓速データは、演奏動作波形の弓圧データfbお
よび弓速データvbとなる。
【0096】固定比率RATE=127で揺らぎ最大の
時は、演算の結果得られる弓圧データfbおよび弓速デ
ータvbは弓圧用揺らぎデータfb noiseおよび
弓速用揺らぎデータvb noiseとなる。
【0097】揺らぎデータfb noise、vb
oiseはフットペダルの踏込み量に応じたダイナミク
スデータに応じて変化するので、発生する楽音の揺らぎ
をダイナミクスデータに応じて制御することができる。
【0098】たとえば、バイオリンの場合、揺らぎの量
はどの弦を演奏するかによって異なり、弦長によっても
変化する。このように変化する多彩な揺らぎを実現する
一つの方法として、さらに音高によって揺らぎ量を制御
することができる。
【0099】図14は揺らぎ付加ルーチンの他の実施例
を示す。本実施例においては、揺らぎ波形テーブルに各
キーコードKCDに応じた揺らぎ波形が記憶されている
ものとする。
【0100】揺らぎ付加ルーチンが開始すると、ステッ
プS41においてフットペダルのダイナミクスデータを
取込み、変数PEDALへコピーする。なお、変数PE
DALの値は前述の実施例同様0から127まで128
通りに変化するものとする。
【0101】次にステップS42において、揺らぎ波形
テーブルからキーコードKCDに相当するff、ppの
弓圧、弓速の揺らぎデータを読み出し、変数レジスタf
fb〔KCD〕、pp fb〔KCD〕、ff vb
〔KCD〕、pp vb〔KCD〕へコピーする。すな
わち、読みだされるff、ppの弓圧、弓速の揺らぎデ
ータは音高を表すキーコードKCDによって変化する。
【0102】ステップS43では、これら読みだした揺
らぎデータとフットペダルによるダイナミクスデータP
EDALを用いてペダル踏込み量に応じて補間した現在
の揺らぎ波形を求める。
【0103】 fb noise←{ff fb〔KCD〕*PEDA
L+pp fb〔KCD〕*(127−PEDAL)}
/127 vb noise←{ff vb〔KCD〕*PEDA
L+pp vb〔KCD〕*(127−PEDAL)}
/127 このようにしてダイナミクスデータに応じた揺らぎ弓圧
データと揺らぎ弓速データを得る。
【0104】次にステップS44において、固定比率R
ATEを使って現在の弓圧、弓速に揺らぎ量を付加す
る。
【0105】 fb←{fb noise〔KCD〕*RATE+fb
*(127−RATE)}/127 vb←{vb noise〔KCD〕*RATE+vb
*(127−RATE)}/127 このように、ダイナミクスと発生する楽音の音高にした
がって揺らぎ量を変化させることにより、自然で多彩な
揺らぎを有する楽音を発生させることができる。
【0106】図14の実施例においては、揺らぎデータ
として音高数に対応する数分の揺らぎデータを記憶して
おく必要がある。記憶装置の容量を低減することのでき
る実施例を以下に説明する。
【0107】本実施例においては、図15(A)に示す
ようにキーコードKCDをより数の少ない変数TBLB
〔KCD〕に変換する。キーコードKCDに基づき、た
とえば半オクターブ毎に変化する変数、演奏する弦毎に
変化する変数等を発生させる。このような変数をTBL
B〔KCD〕で表す。このようなキースケーリングを行
うことにより、揺らぎ波形データの数を大幅に減少する
ことができる。
【0108】図15(B)にこのようなキースケーリン
グを用いた揺らぎ付加ルーチンを示す。
【0109】揺らぎ付加ルーチンが開始すると、ステッ
プS51においてフットペダルのダイナミクスデータを
取込み、変数PEDALへコピーする。次にステップS
52において、キーコードKCDをテーブルTBLBに
よって変換する。このように変換した値TBLB〔KC
D〕をレジスタKCBDにコピーする。
【0110】次にステップS53において、揺らぎ波形
テーブルから現在のKCBDに相当するff、ppの圧
力、速度の揺らぎデータを取込み、変数ff fb〔K
CBD〕、pp fb〔KCBD〕、ff vb〔KC
BD〕、pp vb〔KCBD〕へコピーする。このよ
うにして、音高に応じた弓圧用揺らぎデータおよび弓速
用揺らぎデータを得る。
【0111】次にステップS54でペダル踏込み量によ
るダイナミクスデータPEDALに基づき、ダイナミク
スに応じて補間した揺らぎデータを得る。
【0112】 fb noise←{ff fb〔KCBD〕*PED
AL+pp fb〔KCBD〕*(127−PEDA
L)}/127 vb noise←{ff vb〔KCBD〕*PED
AL+pp vb〔KCBD〕*(127−PEDA
L)}/127 次にステップS55において、固定比率RATEを使っ
て現在の弓圧、弓速に揺らぎ量を付加する。
【0113】 fb←{fb noise*RATE+fb*(127
−RATE)}/127 vb←{vb noise*RATE+vb*(127
−RATE)}/127 すなわち、音高KCDに応じ、KCDよりも粗い目盛に
よる変数KCBDを発生させ、ダイナミクスデータおよ
び音高に応じて変化する揺らぎ量を任意に付加すること
ができる。
【0114】以上、擦弦楽器の場合を例にとって説明し
たが、本発明はこれらに限定されない。揺らぎを与える
楽音としては、擦弦楽器の他、管楽器の楽音や、実在し
ない音であってもよい。
【0115】たとえば、サキソホンの息圧、アンブシュ
アの揺らぎや、実在しないランダムノイズ等に適用して
もよい。
【0116】また、実際に演奏した演奏動作情報にフィ
ルタ処理を行なったものや、時間軸を逆にして読み出し
たもの、演奏操作子以外のたとえばマウス等で非リアル
タイムに入力したもの等を用いることもできる。
【0117】また、演奏操作子の操作に基づいて、クレ
ッシェンド、デクレッシェンド、デタッシュ、フォルテ
シモ、ピアニシモ、スピカート、ピチカート、各種立上
がりデータ等を読み出し、これらのデータに揺らぎデー
タを付加することもできる。
【0118】また、上述の実施例においては、演奏動作
情報の読み出しは、キーボードのキーオン信号をトリガ
とし、ポインタを用いて行なっているが、必ずしもこの
ような場合に限らない。たとえば、キーオン信号の他、
他に用意されたスイッチによってトリガしてもよい。ま
た、内部的に演算され、処理して発生したトリガをスタ
ート信号として利用してもよい。
【0119】ダイナミクスデータ入力手段としてフット
ペダルを用いる場合を説明したが、ジョイスティック、
ホィールその他の操作子、ロードセル等の圧力検出装置
等を用いてもよい。また、ダイナミクスデータをキーオ
ンベロシティ等から計算によって求めてもよい。さら
に、鍵盤スイッチ回路31にタッチ検出回路を設け、検
出された押鍵強さ、圧力等をダイナミクスデータとして
用いてもよい。
【0120】音源回路としては、物理モデル音源を用い
る場合を説明したが、FM音源等、他の音源回路を用い
ることもできる。たとえば、揺らぎ処理された演奏動作
波形をFM音源のモジュレータやキャリアのアウトプッ
トレベルのパラメータとして使用することで、ピッチや
振幅に揺らぎを持たせることができる。
【0121】採取した揺らぎを持つデータに近い周波数
特性のデータを作成するために、ランダムデータにフィ
ルタ処理を行ない、目的の周波数特性を得る場合を説明
したが、計測された周波数特性から逆フーリエ変換を行
なって目的の周波数特性を求めてもよい。また、揺らぎ
の特性がその周波数特性だけで実現できない場合は、そ
の確率密度関数を計算して揺らぎデータを合成すること
も可能である。
【0122】また、実施例においては、読み出された演
奏動作波形はダイナミクスデータに応じた振幅が与えら
れるようにしたが、それに限らない。例えば、図8のス
テップS23において、演奏動作波形テーブルに記憶さ
れたフォルテシモ、ピアニシモに対応する演奏動作波形
を読みだし、ダイナミクスデータに応じて補間刷るよう
にしてもよい。
【0123】また、以上説明した実施例においては、揺
らぎのないまたは揺らぎの少ないデータに揺らぎ量を付
加する場合を説明したが、予め揺らぎデータを付加した
演奏動作波形を複数組、たとえばffの揺らぎを持った
演奏動作波形とppの揺らぎを持った演奏動作波形を記
憶し、揺らぎ量の異なる複数の演奏動作波形を補間する
ことによって揺らぎデータをコントロールすることもで
きる。
【0124】また、演奏情報テーブルデータは全て完備
する必要はなく、計算等によって部分的に補間したり合
成することも可能である。
【0125】揺らぎ情報をランダムノイズから形成する
際のフィルタ特性を変化させることにより、変化する揺
らぎを作成することもできる。
【0126】また、ランダムノイズを記憶しておき、リ
アルタイムでフィルタリングと加算を行なってもよい。
また、ランダムノイズデータを計算によりリアルタイム
に作成することもできる。
【0127】なお、フィルタは専用フィルタを用いるこ
ともできるが、マイコン中にデジタルフィルタとして組
込むこともできる。
【0128】フローチャートでは揺らぎ付加比率RAT
Eを固定として説明したが、ボリューム、ジョイスティ
ック等によりリアルタイムに変化させてもよい。
【0129】その他、種々の変更、改良、組合わせ等が
可能なことは当業者に自明であろう。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トリガ信号により演奏動作波形を読みだし、ダイナミク
スデータに応じた修飾を行うことにより、簡単な演奏操
作によって所望の揺らぎを有する表現力豊かな持続性楽
音発生を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本実施例を示すブロック図であ
る。
【図2】 本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図3】 本発明の擦弦モデル実施例の機能構成を示す
ブロック図である。
【図4】 実施例を実現するハードウェア構成を示すブ
ロック図である。
【図5】 演奏動作情報を説明するグラフである。図5
(A)、(B)、(C)は、それぞれ演奏動作データの
振幅の時間変化を示すグラフおよび演奏動作データの周
波数特性を示すグラフである。
【図6】 メインルーチンのフローチャートである。
【図7】 キーイベントルーチンのフローチャートであ
る。図7(A)はキーオンイベント、図7(B)はキー
オフイベントのフローチャートである。
【図8】 タイマ割込みルーチンのフローチャートであ
る。
【図9】 タブレットとスティックを用いて擦弦楽器楽
音を発生させた場合に採取した波形を示すグラフであ
る。図9(A)は圧力および速度の時間変化を示すグラ
フ、図9(B)は圧力および速度の周波数特性を示すグ
ラフである。
【図10】 フィルタ処理の特性を示すグラフである。
図10(A)はランダムノイズのフィルタ処理波形を示
すグラフ、図10(B)生波形とランダムノイズのフィ
ルタ処理波形との和を示すグラフである。
【図11】 タブレットとスティックで作成した波形と
合成波形との比較を示すグラフである。
【図12】 ダイナミクスによる揺らぎの変化を示すグ
ラフである。
【図13】 揺らぎ付加ルーチンのフローチャートであ
る。
【図14】 他の揺らぎ付加ルーチンのフローチャート
である。
【図15】 他の揺らぎ付加ルーチンを示す。図15
(A)は変換テーブルの特性を示すグラフ、図15
(B)はフローチャートである。
【符号の説明】
1 トリガ入力手段、 2 演奏操作子、 3 演奏動
作波形記憶手段、 4演奏操作子(鍵盤)、 5 演奏
動作波形修飾手段、 7 楽音信号形成手段、 9 ダ
イナミクスデータ入力手段、 11 読み出し開始パル
ス入力手段、12読み出し手段、 16 揺らぎデータ
付加手段、 18 音源システム、 19ダイナミクス
データ入力手段(フットペダル)、 21a 波形選
択、制御、読み出し手段、 21b 揺らぎデータ付加
手段、 22 演奏動作波形テーブル、 23 物理モ
デル音源、 24 サウンドシステム、 31 鍵盤ス
イッチ回路、 32 バス、 33 ROM、 34
RAM、 35 CPU、 36 タイマ、 38 音
源回路、 39 ペダル情報検出回路

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも1波形以上の演奏動作波形を
    記憶する演奏動作波形記憶手段と、前記演奏動作波形を
    読み出すトリガ信号を入力するためのトリガ入力手段
    と、演奏動作のダイナミクスを指定するデータを入力す
    るためのダイナミクスデータ入力手段と、前記トリガ入
    力手段からのトリガ信号に基づき、前記記憶手段から演
    奏動作波形を読み出し、前記演奏動作波形に前記ダイナ
    ミクスデータに基づく制御を行うと共に前記ダイナミク
    スデータに基づく揺らぎデータを付加する演奏動作波形
    修飾手段とを有する電子楽器。
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Cited By (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7135636B2 (en) 2002-02-28 2006-11-14 Yamaha Corporation Singing voice synthesizing apparatus, singing voice synthesizing method and program for singing voice synthesizing

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Effective date: 19970916