JP3086320B2 - ウインチ装置 - Google Patents

ウインチ装置

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JP3086320B2
JP3086320B2 JP04048820A JP4882092A JP3086320B2 JP 3086320 B2 JP3086320 B2 JP 3086320B2 JP 04048820 A JP04048820 A JP 04048820A JP 4882092 A JP4882092 A JP 4882092A JP 3086320 B2 JP3086320 B2 JP 3086320B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばクローラクレー
ンやトラッククレーン等に設けられるウインチ装置に係
り、詳しくはドラムからの脱索を防止する脱索防止部材
を備えたウインチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クローラクレーン等に用いられるウイン
チ装置においては、ドラムに巻回されるロープが緩んで
外れることを防止するため、ドラムの周囲に脱索防止部
材が取り付けられている。図5は、このような脱索防止
部材を設けたウインチ装置の一例を示すものである。こ
の図のウインチ装置1は、クローラクレーン等の作業機
械のフレーム2に回転自在に取り付けられたドラム3
と、このドラム3の巻胴4の外周部に設けられた脱索防
止部材5とを有してなり、脱索防止部材5の先端には棒
状のストッパ6が設けられている。このストッパ6は、
巻胴4の両端に形成されたドラムフランジ7の間に配設
され、ストッパ6の両端6a、6bとドラムフランジ7
の端面7aとの隙間x1、x2を巻胴4に巻回されるロ
ープ(図示略)の直径よりも小さく設定することで、巻
胴4からの脱索を防止している。
【0003】一方、図6に示すように脱索防止部材5を
設けたウインチ装置8も知られている。このウインチ装
置8では、ドラム9のドラムフランジ11、12の直径
を左右で変え、脱索防止部材5のストッパ6の一端6a
をドラムフランジ11の端面11aと対向させる一方、
ストッパ6の他端6bをドラムフランジ12の外周面1
2a上に位置させる。そして、ストッパ6の一端6aと
ドラムフランジ11の端面11aとの間の隙間xと、ス
トッパ6の他端6bとドラムフランジ12の外周面12
aとの間の隙間yとをロープの直径より小さく設定して
巻胴10からの脱索を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、既述した従
来のウインチ装置1、8は共にロープの脱索防止に関し
ては十分な成果が得られるものの、脱索防止部材5の取
り付けに関して未だ改善すべき余地が残されていた。す
なわち、図5に示すウインチ装置1では、ストッパ6の
両端6a、6bとドラムフランジ7の端面7aとの隙間
x1、x2をともにロープ直径よりも小さくなるように
管理することが必要不可欠であるところ、ドラム3の多
くが鋳物製であることから、ドラムフランジ7間の幅h
のばらつきを防いで隙間x1、x2を管理するには、ド
ラムフランジ7の端面7aを機械加工する必要が生じ
る。このため、ドラム3の製造工数が増加して製造コス
トの上昇が避けられない。
【0005】一方、図6に示すウインチ装置8では、脱
索防止部材5のストッパ6の一端6a側の隙間xと、他
端6b側の隙間yをともにロープ直径よりも小さくなる
ように管理することが必要不可欠であるものの、これら
隙間x、yの調整方向が異なるので、図5のウインチ装
置1のようにドラム9に追加工を施す必要は生じない。
ところが、脱索防止部材5を2つの方向へ移動させて隙
間x、yを調整する必要があるので、脱索防止部材5の
位置決めに関しては、図5のウインチ装置1よりも遥か
に手間がかかることになる。
【0006】本発明の目的は、脱索防止部材を取り付け
るに際してドラム側に追加工を施す必要がなく、かつ、
脱索防止部材の位置決め取り付けを容易に行い得るウイ
ンチ装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】実施例である図1および
図2に対応づけて本発明を説明すると、本発明は、ロー
プRが巻回される巻胴24の両端部に当該巻胴の外周か
ら突出するドラムフランジ25が設けられてなるドラム
22と、このドラム22からロープRが外れることを防
止する脱索防止部材23とを備えたウインチ装置に適用
される。そして上述の目的は、脱索防止部材23を各ド
ラムフランジ25の外周面上に互いに独立して配置し、
各脱索防止部材23には、ドラムフランジ25の外周面
25aからドラム軸線方向外方に上がり勾配で傾斜する
斜面34を設け、各脱索防止部材23を、ドラムフラン
ジ25の外周面25aとの間隙yがロープ径よりも小さ
くなるようにそれぞれ配設することにより達成される。
各脱索防止部材23をドラム22の径方向へ位置調整可
能にそれぞれ設けるのが好ましい。
【0008】
【作用】ドラム22の巻胴24から外れたロープRは、
ドラムフランジ25の外周25a上に位置する脱索防止
部材23の斜面34に一旦乗り上げ、この後、ロープR
自体に作用する引張力を受けて傾斜34に沿ってドラム
22の軸線方向内側へと滑り落ち、巻胴24に戻る。こ
こで、各ドラムフランジ25の外周上に配置される脱索
防止部材23は、巻胴24の左右のドラムフランジ25
の外周面25a上からドラム22の軸線方向外方へ延び
ているので、各脱索防止部材23を位置決めする際に
は、脱索防止部材23とドラムフランジ25の外周面2
5aとの隙間yをドラム22に巻回されるロープRの直
径よりも小さく設定するだけで良い。しかも、左右のド
ラムフランジ25間で脱索防止部材23が独立している
ので、前記隙間yの調整もドラム22の左右で独立して
行うことができ、ドラムフランジ25の外径を揃えるた
めに追加工を施す必要もない。そして、脱索防止部材2
3をドラム22の径方向へ位置調整可能とすれば、脱索
防止部材23とドラムフランジ25の外周面25aとの
隙間yを一層容易に調整できる。
【0009】なお、以上では理解の容易のために添付図
面中の符号を引用して説明したが、本発明が図示の例に
限定されないのは勿論である。
【0010】
【実施例】以下、図1〜図4を参照して本発明の一実施
例を説明する。図1および図2に示すように、本実施例
のウインチ装置20は、クローラクレーン等の作業機械
のフレーム立壁21間に水平に取り付けられるドラム2
2と、このドラム22の周囲に配置される脱索防止部材
23とを備えている。
【0011】ドラム22は、ロープRが巻回される円筒
状の巻胴24と、巻胴24の両端部で巻胴24と同軸に
その外周から突出する円盤状のドラムフランジ25とか
らなり、ドラムフランジ25から突出される軸26がフ
レーム立壁21に取り付けられた軸受け27で支承され
て、ドラム22はその軸線回りに回転可能にされてい
る。軸26の一端は図示せぬ油圧モータ等の駆動源と連
結され、この駆動源によってドラム22は回転駆動され
る。なお、図2ではロープRを簡略化して線で描いてい
るが、実際には使用強度に応じた太さを有している。ま
た、図2では、ウインチ装置20の繰り出し方向を矢印
Aで示す。
【0012】図3および図4により詳細に示すように、
脱索防止部材23は、略長方形状をなす基板30と、そ
の幅方向中央位置に溶接などによって立設された略三角
形状をなす案内板31とからなり、この脱索防止部材2
3は、基板30に穿孔された取付用長孔32に挿通され
る4本のボルト33によってフレーム立壁21に取り付
けられる。このとき、案内板31の先端がドラムフラン
ジ25の外周面25aと所望の隙間yをおいて対向する
ように、かつ、案内板31の斜面34が巻胴24に向っ
て下り勾配となるように配置されている。すなわち、本
実施例の脱索防止部材23のそれぞれは、従来例と異な
り、ドラムフランジ25の外周面25aからドラム2の
軸線方向外方に向って延設されている。脱索防止部材2
3は、左右のドラムフランジ25の外周上に互いに独立
して配置され、各ドラムフランジ25の外周上に3個ず
つ合計6個がドラム22の周方向へ適宜間隔をあけて取
り付けられている。
【0013】また、図3および図4により詳細に示すよ
うに、脱索防止部材23は、その取付用長孔32をドラ
ム22の径方向へ延設させるような向きにして立壁21
に螺着される構成である。したがって、ドラム22の径
方向への位置調整が可能とされ、脱索防止部材23とド
ラムフランジ25の外周面25aの隙間yを簡単に調節
でき、これにより、その隙間yがロープRの直径よりも
小さくなるように設置できる。
【0014】ここで本実施例では、脱索防止部材23
を、ドラム22の中心を通過して垂直方向に延びる垂直
中心線VよりもロープRの巻き出し方向後方(図2の左
方)のみならず、垂直中心線Vよりも巻き出し方向側へ
も設けているが、これは以下の理由による。すなわち、
ブーム俯仰ウインチと、フック巻上げウインチとの2種
類のウインチを搭載したクローラクレーン等の作業機械
において、フック巻上げウインチを限界以上巻き上げて
ブームを起こすような誤操作をした場合、ブーム俯仰ウ
インチのロープに大きな緩みが発生して垂直中心線Vよ
りも巻き上げ方向でも脱索が生じるため、垂直中心線V
よりも後方のみ脱索防止部材23を設けたのでは、脱索
を完全に防止できないからである。
【0015】以上の構成からなるウインチ装置20にお
いては、ロープRに緩みが生じて巻胴24からロープR
が外れた場合、ロープRはドラムフランジ25の外周上
に位置する脱索防止部材23の斜面34に乗り上げる
が、ロープRはロープ自身に作用する引張力を受けて斜
面34に沿ってドラム22に向って滑り落ち、ついには
巻胴24に戻る。さらに、脱索防止部材23とドラムフ
ランジ25の外周面25aとの隙間yは、ロープRの直
径より小さく調整されているから、その隙間からロープ
Rが外れることもない。従って、本実施例のウインチ装
置20によれば、従来のウインチ装置同様に脱索が確実
に防止される。
【0016】そして、脱索防止部材23はそれぞれの案
内板31の先端がドラムフランジ25の外周上に重なり
合うように配置されるので、脱索防止部材23の位置決
めに際しては、各脱索防止部材23とドラムフランジ2
5の外周面25aとの隙間yがロープRの直径よりも小
さくなるように、脱索防止部材23のドラム22の径方
向の位置を調整するだけで良い。この点、特に本実施例
では、脱索防止部材23が取付孔32の長孔化によって
ドラム22の径方向へ位置調整可能とされているので、
脱索防止部材23の取り付けに要する手間が一層軽減さ
れる。なお、脱索防止部材23の先端のドラム軸線方向
における位置は、フレーム立壁21からドラムフランジ
25までの距離や脱索防止部材23の長さの誤差に応じ
て当然に変化するが、案内板31の先端がドラムフラン
ジ25の内側に突出せず、かつドラムフランジ25の外
側へロープRの直径以上に離れなければ良いので、鋳物
誤差を考慮したところで厳格な寸法管理を行う必要はな
い。
【0017】さらに、本実施例では、脱索防止部材23
が左右のドラムフランジ25間で独立しているので、隙
間yの調整を左右で独立して行うことができ、ドラムフ
ランジ25に追加工を施す必要もない。この点、左右の
脱索防止部材23を一体化すれば、左右のドラムフラン
ジ25の外径差が大きい場合に、双方の隙間yをともに
公差内に収めることが困難となって、ドラムフランジ2
5の外径を揃えるために追加工を施す必要が生じる。
【0018】また、本実施例では、脱索防止部材23が
巻胴24の外周上に位置しないので、ドラムフランジ2
5の外周一杯までロープRを巻き込むことができるとい
う利点がある。ちなみに、図5、図6に示す従来例で
は、脱索防止部材5が邪魔してロープの巻き込み可能径
がドラムフランジの外径より小さくなる。さらに、巻胴
24の外周上に脱索防止部材23を設けていないので、
フレーム立壁21を巻胴24の外周上へ回り込ませる必
要がなく、この点でも設計自由度が高くなる。ちなみ
に、図5、図6に示す例では、脱索防止部材5を取り付
けるために巻胴の外周上にもフレームを設ける必要があ
り、設計の制約が大きい。
【0019】なお、本実施例のウインチ装置20では、
脱索防止部材23を一方のドラムフランジ25に3個ず
つ合計6個設けているが、設置個数は必要に応じて当然
に変更され得るものである。また、脱索防止部材23の
案内板31を三角形状に形成しているが、これに限ら
ず、例えばパイプ材などを斜面34と同様に傾斜させて
取り付けた構成でも構わない。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のウイン
チ装置によれば、各ドラムフランジの外周上からドラム
軸線方向の外方に延在する脱索防止部材を配設し、この
脱索防止部材には、ドラムフランジの外周面からドラム
軸線方向外方に向けて上がり勾配に形成された斜面を設
け、脱索防止部材とドラムフランジの外周面との間の隙
間をロープ直径よりも小さくなるようにしたので、巻胴
から外れたロープを脱索防止部材の斜面によって巻胴へ
戻すことができ、また、脱索防止部材の位置調節はその
脱索防止部材をドラム径方向に移動させて行なえるか
ら、脱索防止部材とドラムフランジの外周面との間の隙
間をロープ直径よりも小さくなるように調整するだけ
で、脱索を確実に防止できる。しかも、脱索防止部材の
取り付けに際しては、脱索防止部材とドラムフランジの
外周面との間の隙間以外に調整の必要が無いので、脱索
防止部材の取付作業を容易かつ迅速になし得る。さら
に、左右のドラムフランジで独立して隙間調整を行うこ
とができるので、ドラムフランジに追加工を施す必要も
なく、脱索防止部材の追加に伴う製造工数の増加を最小
限に抑えることができる。そして、脱索防止部材をドラ
ムの径方向へ位置調整可能とすれば、脱索防止部材とド
ラムフランジの外周面との隙間を一層容易に調整できる
ので、脱索防止部材の取り付けに際しての手間が一層軽
減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るウインチ装置の平面図
である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1に示す脱索防止部材の一方の拡大図であ
る。
【図4】図3の脱索防止部材を同図のIV方向からみた状
態を示す図である。
【図5】従来のウインチ装置の一例を示す平面図であ
る。
【図6】従来のウインチ装置の他の例を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
20 ウインチ装置 22 ドラ
ム 23 脱索防止部材 24 巻胴 25 ドラムフランジ 25a フ
ランジ外周面 34 斜面 R ロープ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロープが巻回される巻胴の両端部に当該
    巻胴の外周から突出するドラムフランジが設けられてな
    るドラムと、 このドラムから前記ロープが外れることを防止した脱索
    防止部材とを備えたウインチ装置において、 前記脱索防止部材は前記各ドラムフランジの外周上に互
    いに独立して配置され、各脱索防止部材は前記ドラムフ
    ランジの外周面からドラム軸線方向外方に上がり勾配で
    傾斜する斜面を備え、前記各脱索防止部材は、ドラムフ
    ランジの外周面との間隙がロープ径よりも小さくなるよ
    うにそれぞれ配設されていることを特徴とするウインチ
    装置。
  2. 【請求項2】 前記各脱索防止部材は、前記ドラムの径
    方向へ位置調整可能に設けられていることを特徴とする
    請求項1記載のウインチ装置。
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