JP3085626B2 - 軟質多層フィルム - Google Patents

軟質多層フィルム

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JP3085626B2 JP06121535A JP12153594A JP3085626B2 JP 3085626 B2 JP3085626 B2 JP 3085626B2 JP 06121535 A JP06121535 A JP 06121535A JP 12153594 A JP12153594 A JP 12153594A JP 3085626 B2 JP3085626 B2 JP 3085626B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱盤でフィルムを加熱
後、圧空でフィルムを内容物に密着させると同時に熱シ
ールする真空包装形態(以下スキンパックと称する)に
用いられる柔軟で内容物に対する密着性に優れた食品包
装用多層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】畜産物加工品及び水産物加工品の包装で
は深絞り真空包装が一般的に用いられ、通常は内容物の
保存性を高める為に酸素ガスバリア性のあるフィルムを
使用している。酸素ガスバリア層にはエチレン−ビニル
アルコール共重合体(以下EVOHと称する)又は塩化
ビニリデン系樹脂(以下PVDCと称する)が用いられ
ている。内容物の表面が比較的平滑で形状も一定のもの
は深絞り真空包装が適しているが、内容物の形状及び表
面が一定していない物やスライスしたものをずらして並
べたものでは、フィルム成形の寸法は内容物よりも大き
くなるので真空包装した際に成形されたフィルムが余っ
て包装体の表面にシワとなって残り見栄えが悪いだけで
なく、シワの部分がピンホール発生しやすくなりトラブ
ルの原因となる。又包装後密着性が悪いとフィルムと内
容物の間にドリップが溜って見栄えが悪化し、さらには
品質低下を早めてしまう。そこで不定形なものやスライ
ス品のずらして並べたものはスキンパックされるが、使
用されるフィルムは柔軟で伸び易いものが好まれ、さら
に包装方法との適合性もあり従来は主に軟質塩化ビニル
(以下PVCと称する)/PVDC/エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体(以下EVAと称する)の構成のフィルム
が使用されている。しかし畜産加工品及び水産加工品の
関連製品は10℃以下の低温流通が一般的であり、上記
多層フィルムでは流通過程でピンホールが発生し、内容
物の保存性が損なわれることがあった。さらに最近では
環境問題によりハロゲンを含む樹脂(PVC、PVDC
等)を包装材料として使用しない動きが川下から急速に
広がっている。そのような状況下で柔軟フィルムの検討
を行ったが当初は柔軟化を意識し、酸素ガスバリア層の
EVOH以外のいわゆる硬い樹脂は層構成からはずす方
向で検討した。しかしスキンパックでユーザーに広く使
用されている包装機械は一般の包装機械と真空チャンバ
ー部の金型構造が異なるため、フィルムの一部分が初期
段階で強く加熱され、真空でフィルムが熱盤に密着加熱
される際に強く加熱された部分のみが引き伸ばされ穴あ
き現象がみられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はフィルムの柔
軟性、密着性を損なわず、ユーザーが従来から所有して
いる包装機械をそのまま使用出来且つ耐ピンホール性、
酸素ガスバリア性の優れた包装材を提供することにあ
る。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明は、ナイロン層
(A)、ガスバリア層(B)、接着層(C)、アイオノ
マー層(D)、酢酸ビニル含有率が10%以上であるエ
チレン−酢酸ビニル共重合体層(E)の層を少なくとも
含む軟質多層フィルムであり、層構成が、(A)−
(B)−(C)−(D)−(E) (A)−(C)−(B)−(C)−(D)−(E)、
(B)−(A)−(C)−(D)−(E)、(B)−
(C)−(A)−(C)−(D)−(E)、又は(A)
−(B)−(A)−(C)−(D)−(E)である上記
記載の軟質多層フィルムである。
【0005】本発明に用いられるナイロン層(A)は、
6ナイロン、6−6ナイロン、6−10ナイロン、6−
12ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、及びこれ
らの共重合体、非晶性ナイロン、メタキシリレンジアミ
ンとアジピン酸との重縮合により得られるMXD6ナイ
ロン、さらにこれらのブレンド物等が用いられる。スキ
ンパックの密着性の面から考慮すると6ナイロン、6・
66ナイロン、6・12ナイロンが好ましい。ナイロン
は耐熱・耐寒性に優れ、又機械的強度にも優れることか
ら包装材料に耐ピンホール性等の機械的強度を付与出
来、多層フィルムの外側に組み入れることで特に外部衝
撃に対する耐ピンホール性を付与出来る。
【0006】ガスバリア層(B)はEVOHでエチレン
含有率が25〜75モル%、共重合体中の酢酸ビニルに
対するけん化度が90%以上のものが好ましく、さらに
柔軟性の面を考慮すると融点(DSC法)165℃以下
でヤング率が20℃、65%RHの条件下で130Kg
/mm2 以下のEVOHがより好ましい。接着層(C)
はポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体や
さらに異なるα−オレフィンとの共重合体、またはエチ
レン−酢酸ビニル共重合体等にアクリル酸、メタクリル
酸等の一塩基性不飽和脂肪酸、あるいはマレイン酸、フ
タル酸、イタコン酸等の二塩基性不飽和脂肪酸の無水物
すなわち無水マレイン酸等を化学的に結合させて得られ
る酸変性オレフィン系樹脂が用いられる。
【0007】アイオノマー層(D)はエチレン−メタク
リル酸共重合体またはエチレン、メタクリル酸以外の第
3成分との三元共重合体をナトリウムイオン又は亜鉛イ
オンで分子間架橋したものを使用できるが、柔軟性を考
慮するとエチレン−メタクリル酸−エステル系モノマー
の三元共重合体ベースのアイオノマーが好ましい。外部
衝撃に対する耐ピンホール性付与は外側にあるナイロン
層によるが内容物の一部分が硬いものの場合は内部衝撃
に対する耐ピンホール性が必要であり、ナイロン層では
フィルムの腰が強くなり密着性の低下を起こすため、柔
軟性があり、ある程度の耐ピンホール性を付与出来るア
イオノマーが好ましい。さらにEVA層(E)は酢酸ビ
ニル含有率が10wt%以上のEVAであり柔軟性及び
加工性より酢酸ビニル含有率は15〜25wt%が好ま
しい。本発明の柔軟多層フィルムの製造方法は共押出方
式、ドライラミネート方式等が用いられるが、ドライラ
ミネート方式では接着剤を使用することによりフィルム
にいわゆる腰がでて硬くなるため、柔軟性を考慮すれば
共押出方式の方が好ましい。
【0008】又ガスバリア層は前述したようにEVOH
が好ましく、ナイロン層の融点がEVOHと同等か低い
場合は現在ユーザーで広く使用されているスキンパック
用包装機械では真空チャンバー部の金型構造が一般と異
なりフィルムの一部分が初期段階で強く加熱され、真空
でフィルムが熱盤に密着加熱される際に強く加熱された
部分のみが引き伸ばされ厚みが非常に薄くなるか、場合
によっては穴あき現象がみられる。よって本発明で使用
されるナイロン層はフィルムの一部分が強く加熱されて
も厚みが薄くならぬよう機械強度を保持する必要からE
VOHよりも20℃以上融点の高いナイロンを使用する
のが好ましい。しかし100℃以上融点が高くなるとフ
ィルムが熱盤で加熱されても充分に軟化せず包装後の密
着性が大幅に低下する。即ち、ナイロン層(A)の融点
(DSC法)Tnがエチレン−ビニルアルコール共重合
体の融点(DSC法)Teと20℃<Tn−Te<10
0℃の関係式を満足することが好ましい。耐ピンホール
性とガスバリア性の面からナイロン層とEVOH層はあ
る程度の厚みが必要であるが、あまり厚くなり過ぎると
フィルムの柔軟性が損なわれ密着性がなくなる。よって
ナイロン層とガスバリア層の合計厚みはフィルム全体の
厚みの30%以下であることが必要である
【0009】
【作用】スキンパックでは内容物への密着性が必要であ
るが、PVC、PVDCを使用しない場合はフィルムに
柔軟性を付与するためにガスバリア層であるEVOH以
外のいわゆる硬い樹脂は層構成から除外する方向で検討
された。しかしスキンパックで広く使用されている包装
機械は一般の包装機械と真空チャンバー部の金型構造が
異なるため、従来の柔軟性フィルムではフィルム加熱時
に穴あき現象が避けられなかった。本発明のフィルムは
EVOH以外にある程度軟化温度が高く、且つ機械強度
もあるナイロンを使用することでスキンパック用包装機
械の真空チャンバー部分でフィルムの一部分が初期段階
で強く加熱された場合でも急激な軟化が起こらず、比較
的フィルム全体が引き伸ばされるため、穴あき現象が大
幅に改善された。さらにナイロンは機械強度が大きくフ
ィルム厚みを従来よりも薄くすることが可能となり、密
着性の向上につながる。又最外層の樹脂をナイロンにす
ることでボイル殺菌が可能となり、食品包装に広く使用
出来る。
【0010】
【実施例】表1に示した層構成の多層フィルムを共押出
方式で作った。得られたフィルムの厚みは全て80μm
であった。使用した樹脂と記号は下記の通りである。 ・Ny1:6ナイロン 宇部興産製 UBEナイロン1
030B ・Ny2:6−12ナイロン 宇部興産製 UBEナイ
ロン7024B ・EVOH1:クラレ製 エバールEP- S105 ヤ
ング率 120Kg/mm2 ・EVOH2:クラレ製 エバールEP- E105 ヤ
ング率 150Kg/mm2 ・接着性樹脂:三井石油化学工業製 アドマーVF60
0 ・ION1:三井デュポンポリケミカル製 ハイミラン
H1601 ・ION2:三井デュポンポリケミカル製 ハイミラン
AM7908−2 ・EVA1:三井デュポンポリケミカル製 エバフレッ
クスP2505C ・EVA2:三井デュポンポリケミカル製 エバフレッ
クスP1403C ・LLDPE:住友化学工業製 スミカセンL F10
1−1 得られたフィルムを実際に包装機でずらしベーコンをパ
ックし、外観及び厚みを調べた。又ガスバリア性はモコ
ン社OXTRANでフィルムの酸素透過量を測定した。
その結果を表2に示す。
【0011】 表 1 層構成及び厚み(μm) 1 2 3 4 5 6 実施例 1 Ny1(8) EVOH1(8) 接(8) ION1(8) EVA1(48) − 2 Ny2(8) EVOH2(8) 接(8) ION1(8) EVA2(48) − 3 EVOH1(8) 接(8) Ny1(8) 接(8) ION1(8) EVA1(40) 4 Ny2(6) EVOH2(6) Ny2(6) 接(8) ION2(8) EVA2(46) 比較例 1 EVOH2(8) 接(8) ION2(8) EVA1(56) − − 2 Ny1(8) 接(8) ION2(8) EVA1(56) − − 3 Ny1(8) EVOH2(8) Ny1(8) 接(8) LLLPE(48) − 4 Ny1(15) EVOH1(8) Ny2(15) 接(8) ION2(10) EVA1(44) ただし接は接着性樹脂のこと。
【0012】 表 2 密着性 シワ 穴あき ガスバリア性 耐ピンホ―ル性 実施例 1 ○ ○ ○ ○ ○ 2 ○ ○ ○ ○ ○ 3 ○ ○ ○ ○ △ 4 ○ ○ ○ ○ ○ 比較例 1 ○ × × ○ × 2 ○ △ × × ○ 3 × × ○ ○ △ 4 △ △ ○ ○ ○
【0013】ただし 密着性:○ 内容物の形状を保持し隙間なく密着 △ 内容物のコーナー部が少し変形し少し隙間あり × 内容物の形状は大きく変形している。 シワ:○ 包装体にほとんどシワが見られない △ 包装体に少しシワが見られる × 包装体に大きなシワが多数見られる 穴あき:○ シール部内側の厚みが25μm以上ある △ シール部内側の厚みが15μm以下であるが穴あき
無し × シール部内側に穴あきが見られる ガスバリア性: ○ 酸素透過量(23℃×65%RH)が10cc/m2・D 以下で
ある △ 酸素透過量(23℃×65%RH)が20cc/m2・D 以下で
ある × 酸素透過量(23℃×65%RH)が20cc/m2・D 以上で
ある 耐ピンホール性: 包装体20個をダンボール箱に入れ1m高さよりコンク
リート 面にダンボール箱の3面について各10回ずつ落下させ
る ○ 破袋が0個である △ 破袋が1〜4個である × 破袋が5個以上である
【0014】
【発明の効果】本発明の軟質多層フィルムは酸素ガスバ
リア性、シール性、柔軟性、密着性に優れ且つ従来のP
VC/PVDC系のフィルム以外は包装が難しいとされ
た方式でも問題なく包装が可能となった。さらにハロゲ
ン系の樹脂を使用しておらず、最近の環境問題にも適応
できるスキンパック用包装材である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナイロン層(A)、ガスバリア層(B)、
    接着層(C)、アイオノマー層(D)、酢酸ビニル含有
    率が10%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体層
    (E)の層を少なくとも含む軟質多層フィルムであっ
    て、層構成が(A)−(B)−(C)−(D)−
    (E)、(A)−(C)−(B)−(C)−(D)−
    (E)、(B)−(A)−(C)−(D)−(E)、
    (B)−(C)−(A)−(C)−(D)−(E)、又
    は(A)−(B)−(A)−(C)−(D)−(E)の
    いずれかであり、ナイロン層(A)とガスバリア層
    (B)の合計厚みが、フィルム全体の厚みの30%以下
    である軟質多層フィルム
  2. 【請求項2】 ガスバリア層(B)がエチレン−ビニル
    アルコール共重合体である請求項1記載の軟質多層フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    が、融点(DSC法)165℃以下でヤング率が20
    ℃、65%RHの条件下で130Kg/mm2 以下の特
    性を有する請求項2記載の軟質多層フィルム。
  4. 【請求項4】 ナイロン層(A)が、6ナイロン、6・
    66ナイロン又は6・12ナイロンある請求項1、2又
    は3記載の軟質多層フィルム。
  5. 【請求項5】 ガスバリア層(B)がエチレン−ビニル
    アルコール共重合体で、ナイロン層(A)の融点(DS
    C法)Tnがエチレン−ビニルアルコール共重合体の融
    点(DSC法)Teと20℃<Tn−Te<100℃の
    関係式を満足する請求項1、2、3又は4記載の軟質多
    層フィルム。
  6. 【請求項6】 エチレン−酢酸ビニル共重合体層(E)
    の酢酸ビニル含有率が15%〜25%である請求項1、
    2、3、4又は5記載の軟質多層フィルム。
  7. 【請求項7】 アイオノマー層(D)が、エチレン−メ
    タクリル酸−エステル系モノマーの三元共重合体をベー
    スとするアイオノマーである請求項1、2、3、4、5
    又は6記載の軟質多層フィルム。
  8. 【請求項8】 共押出方式で製造される請求項1、2、
    3、4、5、6又は7記載の軟質多層フィルム。
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JP2016016542A (ja) * 2014-07-04 2016-02-01 住友ベークライト株式会社 包装用多層フィルム、及び包装体

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