JP3084778U - 積層形動力伝達体 - Google Patents

積層形動力伝達体

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貞幸 霜門
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日本磁性材工業株式会社
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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23PMETAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; COMBINED OPERATIONS; UNIVERSAL MACHINE TOOLS
    • B23P15/00Making specific metal objects by operations not covered by a single other subclass or a group in this subclass
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Abstract

(57)【要約】 【課題】回転ギアやラックギアなどの動力伝達体を、複
雑な歯切り加工を要することなく、容易に製造できるよ
うにする。また、その潤滑性能を向上させ、油切れなど
によるトラブルを生じ難くする。 【解決手段】プレス打ち抜きにより、外周端縁に歯部2
aが形成され、その内側に肉抜き孔2bが形成された同
形状の金属板2を、厚み方向に複数枚積層して、かしめ
付け部2dをプレス圧入することにより、一体的にかし
め付けた。このことで、回転ギアと同様に機能する動力
伝達体1を形成することとした。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、回転ギアやラックギア、あるいはタイミングプーリーなど、動力伝 達機能部品である動力伝達体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ギアやタイミングプーリーなどの動力伝達体は、所定の厚みを有する金 属あるいは合成樹脂で形成され、その表面や周囲には、噛み合いのための歯部が 設けられていた。そして、その製造は、合成樹脂の場合は、所定の金型を用いて 歯部を一体成形することとし、また、金属の場合は、材料となる棒材をブランク 切断加工したり、あるいは冷間鍛造により必要な厚みのブランク材を形成し、そ の後、ボブ盤等で必要な個所に歯切り加工を施すこととしていた。
【0003】 ここにおいて、従来の動力伝達体では、用途に応じて金属や合成樹脂の材質を 変えたり、あるいはその厚みを変えることにより、必要な強度を得るようにして いた。
【0004】 また、小型で潤滑性が要求される個所用として、潤滑油を浸透保持できるよう に、動力伝達体を多孔質の焼結合金で形成したものもあった。この焼結合金のも のは、材料となる粉末合金材を所定の型に入れ、これに圧力をかけて押し固めた 後、炉で焼き固めることにより、製造されていた。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上述した従来の動力伝達体のうち、金属製のものは、強度が高く、高トルクの 伝達に適しているが、反面、歯部の加工に手間を要し、製造コストが高くなり、 重量も重くなるという問題点があった。
【0006】 また、長期間使用されなかったり、あるいは反対に極端に過酷な使用条件に曝 されたりすると、軸部などの摺動個所に十分な潤滑油が供給されず、円滑に作動 しなかったり、思わぬトラブルを生じるおそれもあった。
【0007】 なお、焼結合金製のものは、潤滑油を浸透保持することができるので、ある程 度、この点は改善されるが、反面、その製造のためには、粉末合金材を型に入れ 、圧力をかけ押し固めた後、炉で焼き固めるという煩雑な工程を必要とした。ま た、この焼結合金製のものは、強度的にも脆いという問題点があった。
【0008】 合成樹脂製のものは、歯部が金型で一体成形されるため、その製造が容易で、 製造コストも比較的低廉であるが、反面、強度が弱く、耐熱性にも劣るので高負 荷条件下で使用することができず、用途が限定されるという問題点があった。
【0009】 また、上記焼結合金や合成樹脂製のものは、用途に応じた異なる肉厚のものを 製造するためには、それぞれに応じた異なった型を準備しなくてはならないとい う問題点もあった。
【0010】 本考案は、上記従来の動力伝達体が有していた問題点の解決を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本考案のうち、請求項1記載の考案は、回転ギ アやラックギア、あるいはタイミングプーリーなどの動力伝達体を、端縁部分の 所定位置に歯部が形成された金属板を、厚み方向に複数枚積層した構造としたこ とを特徴とする。
【0012】 請求項2記載の考案は、回転ギアやラックギアなどの動力伝達体を、端縁部分 の所定位置に歯部が形成されると共に、内部の所定位置に肉抜き孔が設けられた 金属板を、厚み方向に複数枚積層したものとし、上記肉抜き孔が積層時の位置決 め手段、あるいは連結固定具の挿通取付手段、または潤滑油の浸透保持手段とし て機能させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
【考案の実施の形態】
以下、本考案を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0014】 図1は、本考案に係る積層形動力伝達体の一実施形態を示した斜視図である。 図示したように、この場合は、積層形動力伝達体1として、回転ギアを例示して いる。この動力伝達体1は、外周端縁に歯部2aを有する円形の同形状の金属板 2を、その厚み方向に複数、積層することにより、構成されている。
【0015】 各金属板2は、金属板材を打ち抜くことにより、外周に歯部2aを形成すると 共に、中心に軸穴2cを形成し、さらにこの軸穴2cの周囲に、複数の肉抜き孔 2bを形成したものであり、位置合せをして重ね合わされた状態でプレス加圧し 、一体的にかしめ付けられるものである。そして、このようにして一体的に組み 付けられた後、必要に応じて焼き入れなどの処理が施され、本考案の積層形動力 伝達体1が完成する。
【0016】 この積層形動力伝達体1は、軸穴2cを挿通した軸(図示せず)で回転可能に 支持され、図示しない動力伝達機構中に組み込まれることにより、通常の回転ギ アと同様に用いられるものである。
【0017】 なお、ここにおいて、使用される金属板2は、プレスによる打ち抜き加工が可 能なものであれば良く、その材質や厚さは、特に限定されるものではない。
【0018】 なおまた、図1において符号2dは、かしめ付けのためのかしめ部を示し、か しめ部2dは、図2の断面図に示すように、凹部2d1 と凸部2d2 とからなる 。
【0019】 本考案の積層形動力伝達体1は、上記の構成を有している。
【0020】 ここにおいて本考案の動力伝達体1は、上述したように複数の金属板2を積層 して形成されているので、潤滑油が毛細管現象により、この金属板2,2間の隙 間に浸透保持されることとなる。よって、この動力伝達体1は、潤滑油で常に湿 潤した状態に保たれることとなり、油切れによる種々のトラブルが回避されるも のである。
【0021】 また、強度的に問題のない個所に、肉抜き孔2bが設けられているので、軽量 化が図れると共に、この肉抜き孔2bの内周面からの潤滑油の浸透効果も促進さ れることとなり、特に軸に支持されるものにあっては、その部分の潤滑性が一層 、向上するものである。
【0022】 また、本考案の動力伝達体1では、積層する金属板2の数を変えれば、任意の 厚みのものを形成することができるので、打ち抜きプレス機などの生産設備をそ のまま用いて、サイズの変更に容易に対応することもできる。
【0023】 以上のようにして本考案の動力伝達体1は、製造される。
【0024】 なお、上記では、かしめ付けにより金属板2,2同士を連結した例を示したが 、本考案の積層形動力伝達体1は、積層された金属板2,2同士が位置ずれしな いように、一体的に連結されていれば良く、例えば、スポット溶接やレーザー溶 着、または含浸接着などの手段で連結したり、あるいは図示しないリベットやピ ンなどを用いて連結することとしても良い。また、その他に肉抜き孔2bを利用 して、この肉抜き孔2bにボルト状の連結固定具(図示せず)を挿入し、この連 結固定具の先端にナット(図示せず)を締め込むことにより、連結するようにし ても良い。
【0025】 なお、上記の肉抜き孔2bは、図示しない位置合せ具などを挿入することによ り、金属板2を積層する際の位置合せに利用することも可能である。
【0026】 図3は、本考案の他の実施形態を示した斜視図である。図示したように、この 場合は、積層形動力伝達体11として、横長の板状に形成されるラックギアを例 示している。この動力伝達体11も、積層される金属板12,12の形状が異な るだけで他の構成は、上述したものと何ら変わることはなく、12aは、長方形 状の金属板12の上端縁に形成された歯部、12bは、この金属板12を打ち抜 いて形成された肉抜き孔を示す。
【0027】 なお、この場合、肉抜き孔12bの近傍に、別途、小径の肉抜き孔12cを設 けているが、この肉抜き孔12cは、プレス加工の際の送りピッチの位置合せに 用いられると共に、積層時に、図示しない位置合せ具を挿入するための位置合せ 孔としても利用されるものである。
【0028】 また、各金属板12,12の連結は、前述したもののようにかしめ付けによっ て行っても良いが、このような長板状のものの場合は、金属板12を積層した状 態で、これを別途、用意した型枠(図示せず)内に嵌め込んで焼き鈍し、その後 、含浸接着を施せば、反りが生じ難くなり、形状の安定も図られることとなるの で、望ましい。また、その他に上述した小径の肉抜き孔12cを利用し、ここに 連結固定具(図示せず)を挿入し、その連結をはかることとしても良い。
【0029】 なお、図示した実施の形態では、積層形動力伝達体として、回転ギアやラック ギアとして用いられるものを例示したが、本考案の積層形動力伝達体は、端縁部 分の所定位置に歯部が形成された金属板を積層して構成されていれば良く、例え ば、内周端縁に歯部が形成された環状の金属板を積層すれば、内歯歯車を形成す ることができる。また、歯部をタイミングベルト(図示せず)と係合する形状と すれば、タイミングプーリーを製造することもできる。
【0030】 以上のようにして本考案の積層形動力伝達体では、種々の形態のものを製造す ることができる。
【0031】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案では、回転ギアやラックギアなどの動力伝達体を 、金属板を厚み方向に積層して構成したので、金属板の数で任意の厚さのものを 製造することができ、しかも共通の製造設備が利用できるので、コスト低廉にそ の変更に対応できる。また、毛細管現象により潤滑油が、金属板間の隙間に浸透 保持されるので、作動が円滑になると共に、油切れなどに起因するトラブルが回 避される。さらに歯部が金属板と共に高速プレス打ち抜きで形成されるので、歯 切り加工を要さず、高価な工作機が不要になると共に、その煩雑な作業も不要と なり、生産性が向上する。さらにまた、動力伝達体を構成する金属板の種類を選 択することにより、その耐衝撃性などの機械特性を種々に変更することができ、 各種の使用条件に対応し得るという効果がある。
【0032】 また、請求項2記載のように、積層される各金属板に肉抜き孔を設ければ、軽 量化が図られると共に、一層の潤滑性能の向上が図られる。また、この肉抜き孔 を積層時の位置合せに用いたり、送りピッチの位置合せに用いても良く、このよ うにすれば、一層の生産性の向上が図られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施形態による積層形動力伝達体の斜
視図である。
【図2】かしめ付け前の要部の拡大断面図である。
【図3】本考案の他の実施形態による積層形動力伝達体
の斜視図である。
【符号の説明】
1,11 積層形動力伝達体 2,12 金属板 2a,12a 歯部 2b,12b,12c 肉抜き孔 2c 軸穴 2d かしめ部 2d1 かしめ凹部 2d2 かしめ凸部

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端縁部分の所定位置に歯部が形成された
    金属板が、厚み方向に複数枚積層された構造を備えてい
    ることを特徴とする回転ギアやラックギア、あるいはタ
    イミングプーリーなどの積層形動力伝達体。
  2. 【請求項2】 端縁部分の所定位置に歯部が形成される
    と共に、内部の所定位置に肉抜き孔が設けられた金属板
    が、厚み方向に複数枚積層された構造を備え、上記肉抜
    き孔が積層時の位置決め手段、あるいは連結固定具の挿
    通取付手段、または潤滑油の浸透保持手段として機能す
    るようになされたことを特徴とする回転ギアやラックギ
    アなどの積層形動力伝達体。
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