JP3083681B2 - MgO−SiO2系磁器及びその製造方法 - Google Patents

MgO−SiO2系磁器及びその製造方法

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JP3083681B2
JP3083681B2 JP05155559A JP15555993A JP3083681B2 JP 3083681 B2 JP3083681 B2 JP 3083681B2 JP 05155559 A JP05155559 A JP 05155559A JP 15555993 A JP15555993 A JP 15555993A JP 3083681 B2 JP3083681 B2 JP 3083681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、フォルステライト相
及び/又はエンスタタイト相の混成焼結体に関し、詳し
くはMgOとSiO2 のモル比を2.5対1から2対
1.7までの範囲で変えた高純度なMgO−SiO2
磁器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、MgO−SiO2 系磁器の代表的
なものとしては、フォルステライト(2MgO・SiO
2 )磁器、ステアタイト(MgO・SiO2 )磁器があ
るが、いずれも低い誘電正接を有し、低損失誘電体材料
として高周波領域の絶縁材、基板材として用いられてい
る。このうちフォルステライト磁器に関しては、高純度
な原料を用いて高純度のフォルテライト磁器を得ること
により、さらにその電気的特性を高め得ることが本発明
者らにより確認されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ステアタイト
磁器に関しては、難焼結性で高純度で緻密な焼結体を得
ることができないため、より電気的特性を高めたステア
タイト磁器を得ることが困難であった。また、ステアタ
イト磁器とフォルステライト磁器は共に電気的性質に優
れるものである一方、またそれぞれに特徴を持った焼結
体であり、双方の電気的性質を生かしてより電気的に優
れる磁器を得ることが望まれる。さらに、高純度な磁器
にあっても、磁器の用途に応じて適切な電気的特性を得
ることが必要である。
【0004】そこで、本発明は、フォルステライト相及
び/又はエンスタタイト相との混成焼結体を得ることに
より、優れた電気的性質を有するMgO−SiO2 系磁
器を提供することを目的とする。また、本発明は、電気
的性質に優れるとともに用途に応じた適切な電気的性質
を得ることができるMgO−SiO2 系磁器の製造方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を解決するためにフォルステライト(2MgO・S
iO2 )組成周辺のMgO−SiO2 組成の合成磁器粉
末の合成条件及びこれらの合成磁器粉末成形品の焼結条
件を探索した結果、焼結性を低下させることなく電気的
性質に優れる緻密な焼結体を製造しうることを見いだし
たのである。すなわち、前記した課題を解決するための
手段として、本発明者らは、フォルステライト相及び/
又はエンスタタイト相を有する緻密な混成焼結体であっ
て、MgOとSiO2 のモル比の範囲が2.5対1から
2対1.7、比誘電率が6.4〜7.5、誘電正接が1
×10-4以下であることを特徴とするMgO−SiO2
系磁器を創作した。
【0006】さらに、前記混成焼結体中に含まれる不純
物が、Al2 3 0.50%(重量%を意味するものと
する。以下同じ。)以下、CaO 0.50%以下、
Fe 2 3 0.50%以下、Na2 O 0.50%以
下、ZrO2 0.50%以下であることを特徴とする
MgO−SiO2 系磁器を創作した。
【0007】また、前記した他の課題を解決するための
手段として、(1)MgO粉末とSiO2 粉末又はSi
2 コロイド溶液とをMgOとSiO2 のモル比が2.
5対1から2対1.7の範囲で混合しか焼する工程と、
(2)前記工程で得たか焼粉を平均粒径3μm以下に粉
砕してMgO−SiO 2 系合成粉末とする工程と、
(3)このMgO−SiO2 系合成粉末を加圧成形して
なる成形品を焼成してフォルステライト及び/又はエン
スタタイト組成のMgO−SiO2 系磁器とする工程、
とからなることを特徴とするMgO−SiO2 系磁器の
製造方法を創作した。さらに、このMgO−SiO2
磁器の製造方法において、MgO−SiO2系磁器に含
まれる不純物を、Al2 3 0.50%以下、CaO
0.50%以下、Fe2 3 0.50%以下、Na2
O 0.50%以下、ZrO2 0.50%以下に制御
することを特徴とするMgO−SiO2 系磁器の製造方
法を創作した。
【0008】前記MgO粉末及び前記SiO2 粉末と
は、天然に存在する原料でなく、適宜手段により不純物
が排除され精製されたものをいう。ここに、不純物とし
てはAl、Ca、Fe、Na等が挙げられ、これらの不
純物が制御されたMgO粉末あるいはSiO2 粉末であ
ることが好ましい。また、前記SiO2 コロイド溶液と
は、前記不純物が制御されたコロイド溶液であることが
好ましい。
【0009】前記か焼は、成形品の焼結時における焼成
収縮率を低減するとともに成分の均一化に伴う特性の安
定化のために行われる。か焼は、たとえば1200〜1
400℃で2〜4時間行われ、か焼後のか焼粉の組成中
にはフォルステライト相あるいはエンスタタイト相の
他、MgO相、SiO2 相が形成される。
【0010】か焼した各組成のか焼粉の粉砕は、例えば
ジルコニアボールを用いたボールミルにて行うことがで
きる。粉砕は、か焼粉の平均粒径を平均3μm以下にす
ることを主体として行われる。MgO−SiO2 系磁器
粉末の粒径が大きいと、焼結時の焼結性が悪く、緻密な
焼結体を得ることができないからである。粉砕の工程に
おいては、必要に応じてバインダとしてポリビニルアル
コールやメチルセルロース等の所定量が同時に混合さ
れ、粉砕されMgO−SiO2 系合成粉末とされる。な
お、バインダ等の配合物も前記原料粉末等と同様に高純
度のものを用いる。
【0011】前記成形品は適当な加圧成形手段により用
途に応じた所定形状に成形される。成形品は、脱脂処理
においてバインダ等の有機質の配合物が除去される。脱
脂温度は有機質の配合物を焼失して除去しうる温度とさ
れ、例えば300〜500℃で4〜7時間である。脱脂
後は、続いて焼結される。焼成は、例えば、1400〜
1600℃で2時間で行われる。
【0012】本発明においては、原料粉末の秤量から、
混合、か焼、粉砕、焼成の各工程において、混合物、か
焼粉、合成粉末等に不純物が混入しないような材質や手
段が用いられ、全工程を通じて常に純度について十分に
配慮される。不純物は、Al 2 3 、CaO、Fe2
3 、ZrO2 を主体とする。
【0013】
【作用】低誘電率でしかも誘電損失の少ない緻密なMg
O−SiO2 系磁器であるため、信号の高速伝播が可能
である。また、SiO2 原料及びMgO原料からMgO
−SiO2 系の混合物が形成される。かかる混合物はか
焼され、フォルステライト相、エンスタタイト相、Si
2相、MgO相が形成され、これら各相のうち少なく
とも常に2以上の相が混在する組成のか焼粉となる。か
焼され粉砕された合成粉末は、不純物が規制されている
ことから、高純度のMgO−SiO2 系合成粉末となっ
ており、高純度のMgO−SiO2 系磁器を得ることが
できるものとなっている。
【0014】また、MgO−SiO2 系合成粉末の平均
粒子径を3μm以下に規制すること等により焼結助剤を
不要とすることができ、焼結助剤によるガラス相の生成
を排除して緻密かつ電気的特性に優れる磁器となる。さ
らに、フォルステライト組成及びそれよりもSiO2
ッチな組成にあっては、SiO2 の過剰添加による液相
生成などにより焼結温度が低下しているものと思われ
る。
【0015】
【実施例】以下に本発明を具現化した一実施例について
図1ないし図3並びに表1ないし表6に基づいて説明す
る。なお、本例は本発明の一例であり、本発明はこれに
限定されるものではない。 〔実施例1〕まず、原料として高純度MgO粉末と高純
度SiO2 粉末を用意する。本例では、MgO粉末とし
て平均粒径0.08〜0.10μm、比表面積26.0
3m2 /gのものを用い、SiO2 粉末として、0.8
2μm、比表面積1.78m2 /gのものを用いた。な
お、用いる原料粉末の粒度は、か焼において十分に反応
する程度のものでよい。本例に用いたMgO粉末及びS
iO2 粉末の純度についての分析結果は表1に示す通り
である。なお、表1において、各成分の数値単位は重量
%であり、−印は0.001%以下であることを示す。
【0016】
【表1】
【0017】次に、図1にしたがって本例のMgO−S
iO2 系磁器を作製する工程を説明する。MgOとSi
2 のモル比が2.5:1、2.3:1、2.1:1、
2:1(フォルステライト組成)、2:1.1、2:
1.3、2:1.5、2:1.7、2:1.8、2:
1.9、2:2(エンスタタイト組成)(計11種類)
となるように前記高純度MgO粉末及び高純度SiO2
粉末を秤量し、蒸留水を加えた後、ウレタンボールを用
いてボールミルで24時間混合し均一な混合物a〜kと
した。この各混合物a〜kにつき、所定条件下で乾燥
後、それぞれI:1200℃、II:1300℃及びIII
:1400℃の3種の温度で、それぞれ3時間か焼
し、各温度につきか焼粉Ia〜Ik、IIa〜IIk、III
a〜III kを得た。これらか焼粉Ia〜III kにつき、
X線回折にてMgO−SiO2 組成を確認した結果を表
2に示す。
【0018】
【表2】 P1:メインとなるピーク P2:明らかに存在が認められるピーク(メインピーク
の10%以上) P3:わずかに存在が認められるピーク F:フォルステライト E:エンスタタイト M:MgO S:SiO2 ↓↑:矢印の配合方向にピークが増大することを示す
【0019】表2から明らかなように、各か焼粉Ia〜
III kのMgO−SiO2 の組成は、SiO2 リッチな
か焼粉であるか焼粉Ig〜Ik及びIII g〜III k以外
のいずれのか焼粉についてもフォルステライト相を主体
としていた。また、いずれのか焼粉Ia〜III kでも、
フォルステライト組成からMgOリッチになるほどMg
O相が多く、SiO2 リッチになるほどSiO2 相ある
いはエンスタタイト相が増える傾向があった。さらに、
フォルステライト組成のか焼粉Id〜III dであっても
フォルステライトの単一相は形成されなかった。
【0020】このようにフォルステライト単一相でない
か焼粉Ia〜III kを、ボールミルを用いて平均粒径が
3μm以下になるように粉砕するとともに、バインダと
してポリビニルアルコールを1重量%加えてさらに粉砕
混合し、合計24時間粉砕処理してMgO−SiO2
合成粉末Ia〜III kを得た。各合成粉末Ia〜III k
の粉砕後の平均粒子径及び粒度分布をレーザ回折散乱法
を用いて測定した。そのうち、平均粒子径を表3に示
す。測定された平均粒子径はIII dを除きいずれも1μ
m以下であった。粒度分布の一例として、合成粉末IId
の粒度分布を図2に示す。なお、この図において、右の
たて目盛りは棒グラフの尺度を示し、左のたて目盛りは
線グラフの尺度を示す。
【0021】
【表3】
【0022】このMgO−SiO2 系合成粉末Ia〜I
kを、それぞれ直径20mm、厚さ8〜9mmの円柱形
に成形した。成形は、まず 500kg/cm2 の一軸
成形(仮成形)し、次いで3000kg/cm2 でCI
P成形(本成形)して成形品とした 各成形品は加熱炉に入れ、室温から6時間で400℃と
し、400℃で6時間加熱して脱脂後、続いて200℃
/時間で昇温し、成形品が緻密化する焼成温度で2時間
焼成した。ここにいう緻密化とは、焼成品の吸水率が
0.1%以下で、気孔率が1%以下になった時をいうも
のとする。各焼結体の緻密化温度、両端短絡型誘電体円
柱共振器法にて測定した比誘電率及び誘電正接を表4及
び図3に示す。なお、電気的測定には、前記焼成品を加
工して、直径10mm、厚さ5mmの円柱形としたもの
を用い、測定周波数は16GHz 近辺で測定した。また、
従来のフォルステライト磁器イ〜ハについての比誘電率
及び誘電正接を表5に示す。ここに、従来のフォルステ
ライト磁器とは、高純度でなく、また、平均粒径が考慮
されていない市販品である。なお、表5の測定値は、市
販されている数社のフォルテライト磁器を直径10m
m、厚さ5mmの円柱形に加工し、前記焼結体と同様の
測定法で16GHz 近辺の周波数で測定したものである。
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】表4及び図3より、合成粉末Ia〜Ihを
用いた焼結体は、1450℃から1600℃の範囲で緻
密化することができる。すなわち、150℃範囲という
広い温度範囲で緻密な焼結体が得られている。特に、合
成粉末IaからIhの焼結体にあっては、1450℃で
緻密化することができる。なお、合成粉末Ii〜Ikに
ついては、いずれも緻密な焼結体を得られなかった。こ
れは、これらの合成粉末の分解溶融が生じるためと思わ
れる。
【0026】また、合成粉末Ia〜Ihに由来する焼結
体において、合成粉末Ia〜IIcの焼結体にあっては、
6〜7×10-5の誘電正接を有し、また合成粉末Id〜
Ihの焼結体にあっては、7〜8×10-5の誘電正接と
なっており、いずれも1×10-4以下の低い誘電正接の
磁器となっている。これは、従来のフォルステライト磁
器の誘電正接と比較すると、ほぼ1オーダの低減となっ
ている(表5参照)。
【0027】さらに、合成粉末Ia〜Ihに由来する焼
結体は、フォルステライト組成の合成粉末Idの焼結体
の比誘電率6.8に対して、SiO2 リッチな組成の合
成粉末Ie〜Ihの焼結体にあっては、6.9〜6.7
の比誘電率が得られ、MgOリッチの合成粉末Ia〜I
cの焼結体にあっては、7.3〜7.0の比誘電率が得
られている。
【0028】すなわち、合成粉末Ia〜Igの焼結体に
あっては、焼成温度が1450℃から1600℃の範囲
で成形品を緻密化することができ、いずれの焼結体によ
っても、誘電正接を1×10-4以下に規制することがで
きる。特に、合成粉末Id〜Ihの焼結体にあっては、
1450℃付近の焼成温度で緻密化し、比誘電率を6.
5〜7.0で、かつ誘電正接を7〜8×10-5とするこ
とができる。また、合成粉末Ia〜Icの焼結体にあっ
ては、1600℃で焼結して緻密化すれば、誘電正接を
6〜7×10-5としつつも比誘電率を7.5前後まで高
めることができるものとなっている。
【0029】なお、他の合成粉末IIa〜IIh,III a〜
III hについてもIa〜Igの焼成において観察された
緻密化温度、比誘電率及び誘電正接の傾向と同様の結果
が得られている。合成粉末Ia〜Igの焼結体表面の電
子顕微鏡写真をそれぞれ図4〜図6に示す。図4〜図6
から明らかなように、いずれの合成粉末にあっても緻密
な焼結体となっている。また、フォルステライト組成か
らMgOリッチあるいはSiO2リッチになるほど焼結
体の粒成長が抑えらえている。
【0030】さらに、得られた焼結体のX線回折の結果
から、MgOとSiO2 のモル比が2:1.1から2:
1.7の間の組成比の焼結体にあっては、フォルステラ
イト相とエンスタタイト相の2相のみが観察され、Si
2 リッチになるほどエンスタタイト相の量が増加して
いた。すなわち、エンスタタイトは難焼結性で従来より
ガラス相を生成させることにより緻密な焼結と転移によ
る劣化防止を行っていたが、本実施例においては、高純
度下でしかもガラス相の生成なくして緻密な焼結体とす
ることができた。
【0031】表6に、本実施例の焼結体における不純物
含有量の化学分析結果を示す。本実施例においては、不
純物が制御された原料を用い、工程においても不純物の
混入が制御されているために、焼結体中の不純物量はほ
ぼ使用する原料中に含まれる不純物量により決まること
になるし、ほぼその通りの結果が表6に示されているよ
うに得られている。ただし、か焼粉の粉砕工程におい
て、ZrO2 ボールを用いているためジルコニア(Zr
2 )については、粉砕の際の摩滅による混入量が含ま
れている。
【0032】
【表6】
【0033】〔実施例2〕次に、SiO2 原料としてS
iO2 粉末でなくSiO2 コロイド溶液を用いてMgO
−SiO2 磁器を製造する方法について説明する。Mg
O粉末としては、実施例1と同様のものを用い、SiO
2 コロイド溶液として、溶媒が水で、SiO2 含量が、
20〜21重量%、粒子径10〜20nm,pH2〜4
のものを用いた。このSiO2 コロイド溶液の純度試験
結果を表7に示す。
【0034】
【表7】
【0035】MgO粉末及びSiO2 コロイド溶液をM
gOとSiO2 のモル比が2.5:1及び2:1.7と
なるようにそれぞれ秤量、混合して混合物p及びqと
し、以下、実施例1と同様の工程に従い、1200℃及
び1300℃でか焼し、か焼粉Ip及びIq、IIp及び
IIqを得た。これらのか焼粉のX線回折の結果は、実施
例1における同様の組成のか焼粉に対応していた。ま
た、これらのか焼粉を粉砕して得たMgO−SiO2
成粉末の平均粒径を表8に示す。いずれも平均粒径1μ
m以下であった。
【0036】
【表8】
【0037】さらに、か焼粉Ip及びIqを実施例1と
同様に成形して、同じ昇温条件で成形品が緻密化する焼
成温度で2時間焼成した。各焼結体の緻密化温度、及び
直径10mm、厚さ5mmの円柱形に加工し、実施例1
と同様の測定法による16GHz 近辺での比誘電率及び誘
電正接を表9に示す。
【0038】
【表9】
【0039】表9から明らかなように、SiO2 リッチ
な合成粉末Iqに由来する焼結体にあっては、低い焼結
温度で比誘電率の低い磁器を得られ、MgOリッチな合
成粉末Ipに由来する焼結体にあっては、誘電正接の小
さい磁器を得ることができた。すなわち、SiO2 コロ
イド溶液をSiO2 原料として用いた場合であっても、
MgOとSiO2 のモル比が2.5:1から2:1.7
の範囲で実施例1とほぼ同様に電気的性質の優れたMg
O−SiO2 磁器を得られ、また比誘電率を7.1〜
6.4の範囲で変え得ることが確認できた。
【0040】また、実施例1と同様に、MgO粉末及び
SiO2 コロイド溶液よりなる焼結体における不純物含
有量を化学分析により求めた結果を表10に示す。
【0041】
【表10】
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のMgO−
SiO2 系磁器によれば、不純物が高度に制御されたM
gO−SiO2 系磁器であるため、低誘電損失でしかも
低誘電率であり、信号の高速伝播を可能にする優れた回
路基板など高周波絶縁体基板に適した材料となってい
る。本発明のMgO−SiO2 系磁器の製造方法によれ
ば、MgO粉末、SiO2粉末あるいはSiO2 コロイ
ド溶液を原料として用い、さらには工程において不純物
の混入を制御してMgOとSiO2 のモル比が2.5対
1から2対1.7の範囲で混合し、か焼して平均粒径を
制御した合成粉末を得ることにより焼結性を低下させる
ことなく従来のフォルステライトに比べほぼ一桁以上低
損失の電気的性質(誘電正接が1×10-4以下)を有す
る緻密な磁器を得ることができる。さらに、上記範囲の
MgO−SiO2 系磁器組成により、誘電正接(低損失
性が1×10-4以下)を維持しつつ比誘電率を6.4〜
7.5の範囲で調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMgO−SiO2 系磁器を得る工程
図。
【図2】MgO−SiO2 系合成粉末の粒度分布図。
【図3】焼結体の緻密化温度、比誘電率及び誘電正接を
それぞれ表す図。
【図4】合成粉末Ia〜Icの焼結体表面の電子顕微鏡
写真(a)〜(c)の図。
【図5】合成粉末Idの焼結体表面の電子顕微鏡写真
(d)の図。
【図6】合成粉末Ie〜Igの焼結体表面の電子顕微鏡
写真(e)〜(g)の図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角岡 勉 愛知県刈谷市野田町段留25番地8 審査官 深草 祐一 (56)参考文献 特開 昭58−115074(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/16 - 35/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フォルステライト相及び/又はエンスタタ
    イト相を有する緻密な混成焼結体であって、 MgOとSiO2 のモル比の範囲が2.5対1から2対
    1.7、比誘電率が6.4〜7.5、誘電正接が1×1
    -4以下であることを特徴とするMgO−SiO2 系磁
    器。
  2. 【請求項2】請求項1において、混成焼結体中に含まれ
    る不純物が、Al2 3 0.50%以下、CaO
    0.50%以下、Fe2 3 0.50%以下、Na2
    0.50%以下、ZrO2 0.50%以下であるこ
    とを特徴とするMgO−SiO2 系磁器。
  3. 【請求項3】(1)MgO粉末とSiO2 粉末又はSi
    2 コロイド溶液とをMgOとSiO2 のモル比が2.
    5対1から2対1.7の範囲で混合しか焼する工程と、 (2)前記工程で得たか焼粉を平均粒径3μm以下に粉
    砕してMgO−SiO 2 系合成粉末とする工程と、 (3)このMgO−SiO2 系合成粉末を加圧成形して
    なる成形品を焼成してフォルステライト及び/又はエン
    スタタイト組成のMgO−SiO2 系磁器とする工程、
    とからなることを特徴とするMgO−SiO2 系磁器の
    製造方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、MgO−SiO2 系磁
    器に含まれる不純物を、Al2 3 0.50%以下、C
    aO 0.50%以下、Fe2 3 0.50%以下、
    Na2 O 0.50%以下、ZrO2 0.50%以下
    に制御することを特徴とするMgO−SiO2 系磁器の
    製造方法。
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