JPH08175864A - アノーサイト−ゲーレナイト系低温焼結セラミックスの製造方法 - Google Patents

アノーサイト−ゲーレナイト系低温焼結セラミックスの製造方法

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JPH08175864A
JPH08175864A JP6340926A JP34092694A JPH08175864A JP H08175864 A JPH08175864 A JP H08175864A JP 6340926 A JP6340926 A JP 6340926A JP 34092694 A JP34092694 A JP 34092694A JP H08175864 A JPH08175864 A JP H08175864A
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anorthite
temperature
ceramic
gehlenite
low
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Etsuro Kato
悦朗 加藤
Yuichi Kobayashi
雄一 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電気部品用として高性能なアノーサイト−ゲー
レナイト系低温焼結セラミックスを得る。 【構成】 アルカリ金属化合物が酸化物重量換算で2%
以下の高純度のニュージーランドカオリン及び炭酸カル
シウム又は水酸化カルシウムを出発原料とし、焼成後の
酸化物換算でCaOが15〜38wt%となるように原
料を配合し、十分粉砕混合してその平均粒子径が1.5
μm以下の微粒子混合物とした後、800〜950℃の
温度範囲で仮焼する。この仮焼温度は、粘土鉱物が熱分
解し、その分解生成物へのCaイオンの固溶体化は進行
するが、未だ殆ど結晶化しない様に選択される。これに
よって非晶質状態の微粒子集合物を合成し、これを粉砕
したものを主成分原料とし、成形して、1000℃以下
の温度で焼成することによって、緻密なアノーサイト−
ゲーレナイト系セラミックスの製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気部品用セラミック
ス、特に多層配線基板用セラミックスとして有用な、ア
ルカリ金属イオンの含有量をできるだけ少なくして、し
かも1000℃以下の低温焼成により緻密化させるアノ
ーサイト−ゲーレナイト系低温焼結セラミックスの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気部品用セラミックスの製造工
程において、電極などの配線と焼結を一回の焼成によっ
て同時に達成させる技術が、主として多層配線基板の分
野で利用されている。一般に最も広く基板材料として使
用されているアルミナセラミックスは焼成温度が150
0℃以上と高いので、同時焼成の回路配線用導電材料と
してはWやMoが使用され、非酸化雰囲気での高温焼成
が必要で高コストとなる他、高集積化のためには回路配
線の導電率が低い欠点もあった。CuもしくはAgは、
最も一般的な優れた配線材量であるが、融点(Cu:9
61℃、Ag:1063℃)が低いために、配線と焼結
を同時焼成で達成させるためには、セラミックスの焼結
温度をそれらの融点以下で行わなければならない。この
ため各種の低温焼結セラミックスが開発されている。
【0003】特に多層配線基板では、その熱膨張係数が
半導体シリコンの熱膨張係数(3.8〜4.2×10
−6/℃)に近いことが望ましく、またアルミナ基板の
ように誘電率が高いと電気信号の伝播速度が遅くなるの
で、誘電率ができるだけ低い材料を使用することが求め
られている。また、抵抗体や誘電体を積層したり、ガリ
ウム砒素LSIをマウントする場合には、これらの熱膨
張係数とマッチングするために熱膨張係数は6〜7×1
−6/℃の値が望ましい。
【0004】以上の状況から、種々の低温焼結セラミッ
クスが開発されているが、実用化されている低温焼結セ
ラミックス基板は、以下の2種類に大別できる。一つ
は、コーディエライトに近い組成の原料にPやB
を添加高温度で溶融してガラスを作製し、次いで
これを微粉砕して粉末とし、これを成形後焼成して焼結
結晶化させる方法。他は、αアルミナ微粒子とガラス粉
末を混合し、これを成形後焼成する方法である。しかし
ながらこれらは何れも低温焼結ではあるが、原料として
高温溶融したのち粉砕したガラス粉末を利用しており、
原料的に高コストとなる欠点があった。また、誘電率、
熱膨張の面でも不十分のものであった。
【0005】なお、セラミックスを構成する各種の結晶
粒子の内、アノーサイト(CaO・Al・2Si
)は電気絶縁性に優れ、アルミナに比べ誘電率が低
く(6.5〜7.5)、熱膨張係数も4.2〜5.0×
10−6/℃と低く、多層配線基板用のセラミックスと
して優れた点が多いが、焼結温度幅が狭く、製造が困難
で、この結晶を主成分とするセラミックスは未だ実用化
されていない。
【0006】本発明者らは、最近、カオリナイトと炭酸
カルシウムの高純度微粒子混合物から、緻密なアノーサ
イトセラミックスを1000℃で低温焼結できることを
発見して、学術論文に発表した(J.Amer.Cer
am.Soc.76[3]833−34(199
4))。しかしながら、これらの原料を直接使用しただ
けでは、収縮率が高すぎること、及び有機溶剤などとの
混合が均一になりにくいことなど、多層配線基板など実
用のためには不十分なものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、最も
一般的に陶磁器原料として用いられているこのカオリン
と炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムを原料とし、こ
れを以下に説明する新しい着想により、従来実現しなか
ったアノーサイトを主要結晶粒子とする低熱膨張係数、
低誘電率の特徴を持つセラミックス及び熱膨張係数が4
〜7×10−6/℃の間で自由に制御可能であるアノー
サイトとゲーレナイト(2CaO・Al・SiO
)を主要結晶粒子とする複合セラミックスを低温焼成
によって大量に工業的に製造をしようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため本発明では、ア
ルカリ金属化合物が酸化物重量換算で2%以下の高純度
のカオリン(カオリナイトもしくはハロイサイトを主成
分とするもの)及び炭酸カルシウム又は水酸化カルシウ
ムを出発原料とし、焼成後の酸化物換算でCaOが15
〜38wt%となるように原料を配合し、十分粉砕混合
してその平均粒子径が1.5μm以下の微粒子混合物と
した後、800〜950℃の温度範囲で仮焼することに
より、粘土鉱物の熱分解と分解生成物へのCaイオンの
固溶体化は進行するが未だ殆ど結晶化しない非晶質状態
の微粒子集合物を合成し、これを粉砕したものを主成分
原料とし、成形して、1000℃以下の温度で焼成する
ことを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明者らは、随伴鉱物を多く含まない高純度
微粒のカオリンと、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウ
ムの微粉末を出発原料として、その化学組成が、焼成後
CaOとして15〜38%になるような配合物では、十
分粉砕混合してその平均粒子径が1.5μm以下の微粒
子混合物としてから、これを仮焼すると、カオリン及び
カルシウム化合物の熱分解と分解生成物間の固溶体化が
同時的に進行し、800〜950℃の極めて狭い温度範
囲で、珪酸塩の結晶析出前に固溶体化はほぼ完了するこ
とを見出した。また、この温度範囲の結晶析出前の仮焼
生成物は、非晶質微粒子の集合状態のものであり、これ
を粉砕すれば、この非晶質粉末は、ガラスの微粒子と同
様、顕著な低温焼結性を持つことを発見した。本発明
は、この非晶質粉末を利用することを最大の特徴とする
ものである。
【0010】出発原料粉末の粒度が粗く、混合粉砕後の
平均粒子径が1.5μm以上になると、仮焼時、分解生
成物間の固溶体化が完了するのに極めて長時間を要する
ようになり、また仮焼後の非晶質状態の粒子集合物も粗
大化するので、粉砕しても十分微粒子の非晶質粉末が得
られず、従って仮焼後の粉砕により得られる原料粉末
は、1000℃以下の低温では十分緻密に焼結しなくな
る。仮焼前の原料混合物は、少なくともその平均粒径が
1.5μm以下であることが必要である。
【0011】カルシウム化合物の配合量は、最終焼結体
の結晶組成を決定し、アノーサイト質セラミックスの諸
特性を支配する。殆どアノーサイト結晶のみからなるセ
ラミックスを得るためには、カルシウム原料の配合割合
は、焼結後CaOとして約20wt%が必要であり、ア
ノーサイトとゲーレナイト結晶を主成分とする種々の性
能のセラミックスを得るためには、一般に焼結後CaO
としては15〜40wt%の範囲でなければならない。
CaOが15%以下では、仮焼粉砕後の非晶質粒子の焼
結時の粘性流動が不十分となり、1000℃以上に加熱
しても緻密な焼結体は得られない。また、CaOが40
%を越えると、仮焼粉砕後の非晶質粒子は焼結開始前に
ゲーレナイトの結晶を析出し、十分緻密な焼結体は得ら
れなくなる。なお、CaOが43%以上の組成では、ダ
イカルシウムシリケイト(2CaO・SiO)が析出
し焼結性が悪くなると共に、耐水性が悪くなり、電気的
特性が十分でなくなる。
【0012】本発明に於いて重要な点は原料混合物の仮
焼温度で、800〜950℃の極めて狭い温度範囲で行
うことが必要条件である。仮焼温度が高すぎる場合に
は、仮焼の段階でアノーサイトやゲーレナイトの結晶が
析出し始め、この仮焼後の粉砕物は1000℃以下の低
温では十分緻密に焼結しない。一方仮焼温度が低すぎる
場合には長時間の仮焼によってもカオリンの分解、及び
分解生成物へのCaイオンの固溶体化が不十分となり、
仮焼後の粉砕により得られる原料粉末は、1000℃以
下の低温ではやはり十分緻密に焼結しなくなるのであ
る。
【0013】なお、最適仮焼温度は、カルシウム化合物
の配合量によって影響を受け、CaO配合量の多い程ア
ノーサイトやゲーレナイトの結晶が析出し始める温度は
低くなるので、実際には若干の調整が必要である。例え
ば、CaO配合量が焼成後20wt%となる場合には仮
焼温度が925℃を越えると、またCaO配合量が30
wt%となる場合には仮焼温度が900℃を越えると、
仮焼の段階で結晶が析出し始めるので、それぞれその温
度より僅かに低い仮焼温度が選択される。
【0014】上記したようにして、細心の注意を払って
仮焼することにより、仮焼生成物は粘土鉱物の熱分解と
分解生成物へのCaイオンの固溶体化は進行するが未だ
殆ど結晶化しない非晶質状態の微粒子集合物となる。こ
れは機械粉砕により容易に微粒子化し、この微粉末は非
常に活性な非晶質微粒子であることを特徴とし、結晶性
微粉末と異なり、極めて焼結活性であり、その成形物は
1000℃以下の温度で焼成することにより非晶質状態
で緻密に焼結すると共に、焼結後CaOの配合量に従っ
て、アノーサイト又はアノーサイト−ゲーレナイト混合
相が結晶化し、緻密なアノーサイト又はアノーサイト−
ゲーレナイト複合セラミックスを与える。この様にして
得られたセラミックスは、焼成後は結晶質となっている
ので、ガラスのようにいわゆる粘性流動を起こすことな
く、繰り返しの再焼成にも熱変形が少なく安定した寸法
形状を維持できるのである。
【0015】以下、実験室的な実施例に従って、本発明
の製造方法をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0016】
【実施例1】原料カオリンとしてニュージーランドカオ
リンを使用した。これはハロイサイトを主成分とする比
較的高純度のカオリンで、その化学組成は重量%で、S
iO:49.78、Al:35.72、Fe
:0.26、TiO:0.12、CaO:tr、
MgO:tr、KO:tr、NaO:0.06、灼
熱減量:14.05であった。このカオリンに対し、試
薬特級炭酸カルシウムを、焼成後の化学組成としてCa
Oが20wt%になるように配合し、粉砕物の平均粒子
径が1.5μm以下になるように24時間湿式ボールミ
ルを行った。これを乾燥した後、700〜1000℃の
種々な温度で仮焼した。仮焼物のX線回折の結果によれ
ば、825℃以下では炭酸カルシウムが残留し、925
℃以上ではアノーサイトが結晶化していた。しかし82
5℃から900℃の間で仮焼された試料中には、カオリ
ン質原料中に初めから含まれていた石英及びクリストバ
ライト以外、結晶質の物質は見られず、Caイオンがカ
オリン分解物に十分拡散固溶したことがわかった。
【0017】上記各温度で仮焼したものを粉砕し、乾式
加圧成形(1ton/cm)により成形し、1000
℃において1時間焼成した時の焼成嵩密度は図1のよう
である。925℃仮焼試料ではアノーサイトが結晶化す
るので十分に緻密な焼結体が得られない。825℃から
900℃で仮焼し、1000℃で焼成した焼結体は、十
分緻密に焼結しており、ほとんどアノーサイト単相から
なる。熱膨張係数はほぼ図2に示すように、室温から4
00℃の間で約4.5×10−6/℃でシリコンのそれ
に近く、また誘電率は約7.5でアルミナの値10より
約25%低い値であった。
【0018】
【実施例2】実施例1と同様のニュージーランドカオリ
ン及び試薬特級炭酸カルシウムを、焼成後のCaOが3
0wt%になるように配合し、粉砕物の平均粒子径が
1.5μm以下になるように24時間湿式ボールミルを
行った。乾燥後同様に700〜1000℃の各温度で仮
焼し、ボールミルを行い、乾式加圧成形(1ton/c
)により成形し、1000℃において1時間焼成し
た時の焼成嵩密度は図1のようである。925℃で仮焼
した試料では主としてアノーサイト及びゲーレナイトが
既に結晶化し、緻密な焼結体が得られない。しかし、8
25℃〜900℃で仮焼し、1000℃で焼成した焼結
体は、十分緻密に焼結しており、見かけ気孔率はほとん
どゼロで、アノーサイトの他にゲーレナイト及びオラス
トナイト(CaO・SiO)が生成した。緻密な焼結
体の熱膨張係数はほぼ図2に示すように約6×10−6
/℃で、ガリウム砒素の値6.8×10−6/℃に近
い。CaOの配合量を増やせばゲーレナイトの生成量が
増加し、膨張係数をさらに増加させることができ、4〜
7×10−6/℃の熱膨張係数を有するセラミックスの
調製が可能である。
【0019】
【発明の効果】従来の低温焼結多層基板としてのセラミ
ックスは、高温溶融したガラスの粉末を利用しており、
原料及びその高温溶融や粉砕等の面で高コストとなる欠
点があった。また、誘電率、熱膨張の面でも不十分のも
のであった。本発明によるアノーサイト−ゲーレナイト
系低温焼結セラミックスは、安価で粉砕も容易な原料の
みを使用して製造することからコストダウンに極めて有
効であるのみならず、ガラス−αアルミナ粒子系の基板
材料より低い誘電率を示し、信号伝播速度の遅延時間も
短く集積回路の高密度化、高速度化に有効である。ま
た、生成するアノーサイトとゲーレナイトの量を調整す
ることで、積層する誘電体材料、抵抗体材料及びガリウ
ム砒素LSIの特性に合わせた膨張係数を設計すること
ができるので適用範囲がきわめて広い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】出発原料の仮焼温度と、仮焼物からの1000
℃低温焼成セラミックスの嵩密度及び収縮率の関係図で
ある。
【図2】本発明に於ける、CaO配合量の異なる100
0℃低温焼成セラミックスの温度と熱膨張率の関係図で
ある。
【図3】本発明に於ける、CaO配合量の異なる100
0℃低温焼成セラミックスの室温から各温度までの熱膨
張係数の関係図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属化合物が酸化物重量換算で2
    %以下の高純度のカオリン(カオリナイトもしくはハロ
    イサイトを主成分とするもの)及び炭酸カルシウム又は
    水酸化カルシウムを出発原料とし、焼成後の酸化物換算
    でCaOが15〜38wt%となるように原料を配合
    し、十分粉砕混合してその平均粒子径が1.5μm以下
    の微粒子混合物とした後、800〜950℃の温度範囲
    で仮焼することにより、粘土鉱物の熱分解と分解生成物
    へのCaイオンの固溶体化は進行するが未だ殆ど結晶化
    しない非晶質状態の微粒子集合物を合成し、これを粉砕
    したものを主成分原料とし、成形して、1000℃以下
    の温度で焼成することを特徴とするアノーサイト−ゲー
    レナイト系低温焼結セラミックスの製造方法。
JP6340926A 1994-12-26 1994-12-26 アノーサイト−ゲーレナイト系低温焼結セラミックスの製造方法 Pending JPH08175864A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000327428A (ja) * 1999-05-14 2000-11-28 Nec Corp 低温焼成ガラスセラミックスとその製造方法
US6348424B1 (en) 1998-11-11 2002-02-19 Nec Corporation Low-temperature calcined glass ceramic and a manufacturing process therefor
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JP5631463B1 (ja) * 2013-08-30 2014-11-26 立風製陶株式会社 卵殻を利用した焼成品およびその製造方法

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