JP3083299B2 - 金または金合金薄膜形成用調合物 - Google Patents

金または金合金薄膜形成用調合物

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JP3083299B2 JP01200277A JP20027789A JP3083299B2 JP 3083299 B2 JP3083299 B2 JP 3083299B2 JP 01200277 A JP01200277 A JP 01200277A JP 20027789 A JP20027789 A JP 20027789A JP 3083299 B2 JP3083299 B2 JP 3083299B2
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淳二 佐藤
泰夫 岩田
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エヌ・イーケムキヤツト株式会社
真空冶金株式会社
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は硝子、グレーズ、石英等の平滑性を有するセ
ラミツクスその他の材料の表面上に、金または金合金の
光沢性のある薄膜を形成させるための金または金合金薄
膜形成用調合物に関するものである。
<従来の技術> 従来よりセラミツクスの表面に光沢性のある金または
金合金薄膜を形成させるためには、水金やペースト金と
呼ばれる調合物が使われていた。この調合物は、金の含
硫有機化合物と少量のロジウム有機化合物を基本物質と
し、さらに所望により薄膜の色調を調節し、薄膜の密着
力を向上させるために、白金、パラジウム、クロム、ビ
スマス等の他の金属の有機化合物を加えたものである。
上記の金の含硫有機化合物としては、硫化バルサムと
金との化合物またはメルカプタンと金との化合物が主と
して使用されている。上記硫化バルサムと金との化合物
は、たとえばケムニチウスによりJ.Parkt.Chem.117245
(1927)誌上に記載されている。また、上記のメルカプ
タンと金との化合物、たとえば金の環状テルペンメルカ
プチド類は、米国特許第2490399号に記載されている。
これら調合成分を含有する金または金合金薄膜形成用
調合物は、必然的にイオウを含有している。さらに、上
記の金の含硫有機化合物は、その有機化合物の分子量が
大きいため、金の含有率を高くすることができない。こ
のため従来の水金やペースト金の金または金合金の含有
率はせいぜい20重量%が限界であつた。その上、上記の
金の含硫有機化合物を溶媒に溶解させた調合物の粘性も
高かつた。
また、上記の含硫有機化合物、たとえば硫化バルサム
やメルカプタンは、バルサム等の天然物とイオウとを反
応させて作るため純度を高めることが難しく、種々の類
似化合物を含んでいた。このため、硫化バルサムやメル
カプタン中には、イオウと未反応の天然物やイオウと過
剰に反応した天然物が混在し、イオウの含有率を一定に
することはできなかつた。その上、金と反応したイオウ
過剰物は、有機溶媒に溶解せずに調合物の中に不溶性の
固形物として存在し、焼成時にピンホールや黒点を発生
させる原因になつていた。また、種々の金属有機化合物
が数多く混合されているため、調合物の保存安定性が悪
かつた。
さらに、従来の水金やペースト金などの調合物はイオ
ウを含む化合物であるため、悪臭を防ぐことができない
と言う問題点や焼成時に腐食性のガスを発生すると言う
問題を抱えていた。
そのため、イオウを含まずかつ純度の高い安定した金
液やペースト金が望まれていた。
<発生の目的> したがつて本発明の目的は、上述のような従来技術に
伴う問題点を解決しようとするものであつて、金または
金合金の単粒子分散超微粉末とロジウム有機化合物を含
有しかつイオウを含有しないことを特徴とする、焼成後
光沢を有する金または金合金薄膜を形成するための調合
物を提供することである。
<問題点を解決するための手段> 上記問題点は本発明によつて解決される。
以下、本発明の金または金合金薄膜形成用調合物およ
びその製造方法について詳細に説明する。
本発明の金または金合金薄膜形成用調合物は、金また
は金合金の単粒子分散超微粉末とロジウム有機化合物を
含有しかつイオウを含有しないことを特徴とする、焼成
後光沢を有する金または金合金薄膜形成用調合物であ
る。
本発明の調合物の調合成分である金または金−パラジ
ウム、金−白金等をの金合金の単粒子分散超微粉末は、
例えば、不活性ガス中で超微粉末を構成する個々の粒子
の表面を有機溶剤で被覆し、超微粉末を単粒子分散状態
のまま取りだすような方法等により製造することが出来
る。
例えば、圧力が10Torr以下のヘリウム等の不活性ガス
の雰囲気のもとで、金属を加熱蒸発させた後不活性ガス
中で凝縮させ金属の粒子を生成し、粒子がガス流にのっ
て回収部へ搬送される途中で有機溶剤、例えば、テレピ
オネール、アネトール、ボルネオール、リモネン、テレ
ビン油、ローズマリー油、ブチルカルビトール、トルエ
ン、ヘキサン、酢酸テレピニル等を導入して粒子の表面
を有機溶剤で被覆し、粒子同士の付着、凝集を防止した
上で冷却面に付着回収する方法により製造することが出
来る。有機溶剤と共に回収された単粒子分散超微粉末に
任意にさらに添加剤を加え、粒子の分散をさらに安定化
させることも出来る。金−パラジウム、金−白金等の金
合金の単粒子分散超微粉末の使用は、2種類以上の金属
を混合分散させ焼成時に合金化させるよりも金またな金
合金薄膜を均一にすることができる。
金または金合金の単粒子分散超微粉末の平均粒径は30
〜500Å、好ましくは30〜300Åである。平均粒径が500
Å以上の単粒子分散超微粉末を含有する調合物は調合物
中に沈殿物が生じる可能性がある。また一般的に、金ま
たは金合金粒子の平均粒径が500Åよりも大きいと、ロ
ジウムで金または金合金薄膜の粒状化を防ごうとしても
防ぎきれず、焼成後セラミツク表面にきれいな光沢性の
ある金または金合金薄膜を形成されることが困難になる
傾向がある。
上記単粒子分散超微粉末は、テレピオネール等の有機
溶媒中に分散した状態で保存し、使用することができ
る。
本発明の調合物の調合成分であるロジウム有機化合物
とは、ロジウムの有機酸塩、たとえば樹脂酸塩、カルボ
ン酸塩や有機溶媒に可溶なロジウム錯体その他であつて
実質的にイオウを含有しない化合物である。
本発明の調合物において金または金合金の超微粉末を
単粒子の状態で有機溶媒に分散させるための有機溶媒な
らびにロジウム有機化合物を溶解するための有機溶媒
は、テレピネオール、アネトール、リモネン、テレビン
油、ローズマリー油、ブチルカルビトール、トルエン、
ヘキサン、酢酸ベンジル等である。
また、調合物の粘度を上げるためあるいは調合物をペ
ースト状にするために、ロジン、アスフアルト、アルキ
ド樹脂、エポキシ樹脂、尿素系樹脂等を用いることがで
きる。
本発明の金または金合金薄膜形成用調合物は、本発明
による金または金合金薄膜形成用調合物から得られる金
または金合金薄膜の色調をよりよくするために、クロム
の有機化合物あるいはクロムの単分散超微粉末を含有し
ていることができ、また、基板との密着力を上げるため
に、ビスマス、バナジウム、珪素、鉛等の有機化合物ま
たは単分散超微粉末を含有していることができる。
さらに、本発明の金または金合金薄膜形成用調合物
は、薄膜の色調ならびに電気的特性を変えるために、白
金、銀、パラジウム等の有機化合物または単分散超微粉
末を含有していることができる。
本明細書において光沢を有する薄膜は、金または金合
金の光沢膜を、たとえば微粉末で荒した半光沢のハーフ
マツトを含むものとする。
本発明の金または金合金薄膜形成用調合物において、
金または金合金の単粒子分散超微粉末の含有率は3〜60
重量%、好ましくは8〜40重量%であり、ロジウムの含
有率は0.005〜0.5重量%、好ましくは0.025〜0.1重量%
である。
金または金合金の単粒子分散超微粉末の含有率が3%
以下では金または金合金光沢色の薄膜を生成することが
困難であり、含有率が60重量%以上では調合物が高粘度
になり調合物の筆塗り特性や印刷特性が悪くなるためで
ある。
また、ロジウムの含有率が0.005重量%以下では金ま
たは金合金の光沢膜を得ることができなくなり、0.5重
量%以上では金または金合金の光沢膜の色調が悪くなる
ためである。
本発明の金または金合金薄膜形成用調合物は、金また
は金合金の超微粉末を単粒子の状態で有機溶媒に分散さ
せた単粒子分散超微粉末とロジウム有機化合物を配合
し、そして振とうまたは撹拌する方法で製造することが
できる。
また、本発明の金または金合金薄膜形成用調合物は、
金または金合金の超微粉末を単粒子の状態で有機溶媒に
分散させた単粒子分散超微粉末とロジウム有機化合物を
配合し、振とうまたは撹拌し、加熱し、そして混練する
方法で製造することができる。
本発明の金または金合金薄膜形成用調合物の製造方法
(以下、本発明の方法という)において金または金合金
の超微粉末は、単粒子の状態で有機溶媒に分散させたも
の(配合成分I)を配合する。
本発明の方法で用いられる金または金−パラジウム、
金−白金等の金合金の単粒子分散超微粉末は、例えば、
不活性ガス中で超微粉末を構成する個々の粒子の表面を
有機溶剤で被覆し、超微粉末を単粒子分散状態のまま取
りだすような方法等により製造することが出来る。
例えば、圧力が10Torr以下のヘリウム等の不活性ガス
の雰囲気のもとで、金属を加熱蒸発させた後不活性ガス
中で凝縮させ金属の粒子を生成し、粒子がガス流にのっ
て回収部へ搬送される途中で有機溶剤、例えば、テレピ
オネール、アネトール、ボルネオール、リモネン、テレ
ビン油、ローズマリー油、ブチルカルビトール、トルエ
ン、ヘキサン、酢酸テレピニル等を導入して粒子の表面
を有機溶剤で被覆し、粒子同士の付着、凝集を防止した
上で冷却面に付着回収する方法により製造することが出
来る。有機溶剤と共に回収された単粒子分散超微粉末に
任意にさらに添加剤を加え、粒子の分散をさらに安定化
させることも出来る。金−パラジウム、金−白金等の金
合金の単粒子分散超微粉末の使用は、2種類以上の金属
を混合分散させ焼成時に合金化させるよりも薄膜を均一
にすることができる。
金または金合金の単粒子分散超微粉末の平均粒径は30
〜500Å、好ましくは30〜300Åである。平均粒径が500
Å以上の単粒子分散超微粉末を用いて製造した調合物中
には沈殿物が生じる可能性がある。また一般的に、金ま
たは金合金粒子の平均粒径が500Åよりも大きいと、ロ
ジウムで金または金合金薄膜の粒状化を防ごうとして
も、焼成後セラミツク表面にきれいな光沢性のある金ま
たは金合金薄膜を形成されることが困難になる傾向があ
る。
金または金合金の単粒子分散超微粉末分散液中の微粉
末成分の含有率は、5〜65重量%であることができる。
本発明の方法においてロジウム有機化合物(配合成分
II)は、溶媒を用いることなく、あるいは溶媒を用いて
溶液、縣濁液、分散液などとして配合することができ
る。
本発明の方法において、本発明の金または金合金薄膜
形成用調合物から得られる金または金合金薄膜の色調を
よりよくするために、溶媒を用いてまたは溶媒用いず
に、クロムの有機化合物、クロムの単分散超微粉末(配
合成分III)を配合してもよい。
また、本発明の方法において、本発明の調合物から得
られる金または金合金薄膜のセラミツク等への密着力を
向上させるために、溶媒を用いてまたは溶媒を用いず
に、ビスマス、バナジム、珪素、鉛等の有機化合物また
は単分散超微粉末(配合成分IV)を配合してもよい。
さらに、本発明の方法において、本発明の調合物から
得られる金または金合金薄膜の色調ならびに電気的特性
を変えるために、溶媒を用いてまたは溶媒を用いずに、
白金、銀、パラジウム等の有機化合物または単分散超微
粉末(配合成分V)を配合してもよい。
さらにまた、本発明の方法において、調合物の粘度を
上げるためあるいは調合物をペースト状にするために、
ロジン、アスフアルト、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
尿素系樹脂など(配合成分VI)を配合してもよい。
またさらに、本発明の方法において、配合物の粘度を
調節するためあるいはその他の目的で、有機溶媒、たと
えばテレピオネール、アネトール、リモネン、テレビン
油、ローズマリー油、ブチルカルビトール、トルエン、
ヘキサン、酢酸ベンジル(配合成分VII)を配合物に加
えてもよい。
配合成分IおよびIIならびに任意に配合成分III〜VII
は、いかなる順序で配合してもよい。
本発明の方法において、配合物の振とうは公知のいか
なる方法で行なつてもよい。振とうはたとえばシエカー
を用いて行なうことができる。振とう時間は配合成分の
種類と量に依存して変化しうるが、通常1分ないし24時
間、好ましくは10分ないし3時間である。振とう温度は
室温または室温以下または室温以上とすることができる
が、振とうは室温ないし比較的低い高温、たとえば100
℃までの温度で行なうのが便利である。
また、本発明において配合物の撹拌は公知のいかなる
方法で行なつてもよい。撹拌はたとえばミキサーを用い
て行なうことができる。撹拌時間は配合成分の種類と量
に依存して変化しうるが、通常1分ないし24時間、好ま
しくは5分ないし3時間である。撹拌温度は室温または
室温以下または室温以上とすることができるが、撹拌は
室温ないし100℃までの温度で行なうのが便利である。
本発明の方法において、加熱は本質的に本発明におけ
る配合成分を害しない温度で行なうべきである。加熱温
度は配合成分の種類等に依存するが、一般には室温ない
し250℃、好ましくは40℃〜200℃、たとえば約150℃と
することができる。
加熱は任意の方法で行なうことができる。加熱はたと
えばオーブンを用いて行なうことができる。
混練は、公知の任意の混練機、たとえば3本ロール、
ニーダー等を用いて行なうことができる。
混練温度はたとえば室温ないし200℃とすることがで
きる。
本発明は、平均粒径が30〜500Åの金または金合金の
超微粉末を単粒子の状態で有機溶媒に分散させた単粒子
分散超微粉末とロジウム有機化合物を含有しかつイオウ
を含有しない金または金合金薄膜形成用調合物を作り、
これを焼成することによつて、ピンホール及び黒点のな
い光沢を有する薄膜を得ることを可能にした。
本発明に係る金または金合金薄膜形成用調合物は、従
来の水金やペースト金と異なり、金または金合金が有機
化合物として依存していないため、金または金合金含有
率を従来の水金ヤペースト金より大幅に増やすことがで
きる。
このため、たとえばサーマルヘツドなどで要求される
1μm前後の焼成膜厚を得るために、従来4回から5回
の印刷及び焼成を必要としていた工程を大幅に減らすこ
とができる。
また、本発明の金または金合金薄膜形成用調合物は、
金または金合金の有機化合物を調合物中に含有していな
いため、金の有機化合物の製造時に発生する不純物を含
有していない。特に、本発明の調合物は、金と硫化バル
サムの反応物や金とメルカプタンの反応物中に混在する
不溶性の固形物がまつたく含有していないため、焼成時
に発生するピンホールや黒点を防止することができる。
さらに、本発明の調合物は、種々の金属の有機化合物が
存在しないので、保存安定性が向上する。また、本発明
の調合物は、イオウ含有有機化合物を含有しないため、
焼成時に腐食性ガスが発生しない。また調合物自体の悪
臭を大幅に減少することができる。
<実施例および比較例> 以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説
明する。
実施例1 本実施例は、一般に使用されている硝子板に調合物を
筆塗りによつて塗布し、これを焼成することにより光沢
を有する金薄膜を形成するための本発明に従う金薄膜形
成用調合物の製造および該調合物を用いる金薄膜の形成
を例示する。
下記の調合成分(a)、(b)および(c) (a) テレピオネール中に平均粒径が50Åの金超微粉
末を単分散させたAu30重量%含有分散液(以下、金単粒
子分散超微粉末分散液と略記する。) (b) ロースマリー油と酢酸ベンジルを6対4の重量
比で混合した溶媒中にロジウムオクトエートを溶解させ
たRh5重量%含有溶液(以下、ロジウム塩溶液と略記す
る。) (c) アネトールとリモネンを7対3の重量比で混合
した溶媒中にロジンを20重量%溶解させた溶液(以下、
ロジン溶液と略記する。) を用意し、これらの調合成分(a)、(b)および
(c)を下記の重量比調合成分 重量比 (a)金単粒子分散超微粉末分散液 97.0 (b)ロジウム塩溶液 1.0 (c)ロジン溶液 2.0 で配合して、配合物を得た。
上記配合物300gを500mlビンに入れ、このビンをシエ
カーに取り付け、シエカーで1時間振とうして金薄膜形
成用調合物を得た。
この調合物中には、従来の金液やペースト金によく見
られるような金と硫化バルサムの反応物や金とメルカプ
タンの反応物中に混在する不溶性の固形物がまつたく存
在しなかつた。
得られた調合物の匂は溶媒として用いたテレピネオー
ル、アネトール、リモネンなどの混合された匂であつ
た。この調合物はイオウを含まないため、悪臭はまつた
くなかつた。
この調合物を一般に使用されている硝子板に筆塗りに
より塗布し、580℃で10分間焼成することにより光沢あ
る金薄膜を得ることができた。また、焼成膜を顕微鏡で
観察したところ、焼成時に発生するピンホールや黒点が
まつたく見られなかつた。
実施例2 配合物をシエカーで振とうする代りに撹拌機を用いて
撹拌し、実施例1記載の調合物成分(a)、(b)およ
び(c)を下記の重量比調合成分 重量比 (a)金単粒子分散超微粉末分散液 60.0 (b)ロジウム塩溶液 0.7 (c)ロジン溶液 39.3 で配合した以外は、実施例1と同じ方法を用いて、本発
明の金または金合金薄膜形成用調合物を得た。
この調合物中には、従来の金液やペースト金によく見
られるような金と硫化バルサムの反応物や金とメルカプ
タンの反応物中に混在する不溶性の固形物がまつたく存
在しなかつた。
得られた調合物の匂は溶媒として用いたテレピネオー
ル、アネトール、リモネンなどの混合された匂であつ
た。この調合物はイオウを含まないため、悪臭はまつた
くなかつた。
この調合物を一般に使用されている硝子板に筆塗りに
より塗布し、580℃で10分間焼成することにより光沢あ
る金薄膜を得ることができた。また、焼成膜を顕微鏡で
観察したところ、焼成時に発生するピンホールや黒点が
まつたく見られなかつた。
実施例3 本実施例は、ガラスグレーズ基板に印刷法によつて塗
布し、これを焼成することにより光沢を有する白金色薄
膜を形成するための本発明に従う金合金薄膜形成用調合
物の製造および該調合物を用いる白金色薄膜の形成を例
示する。
実施例1に記載した調合成分(a)、(b)および
(c)ならびに下記調合成分(d)、(e)、(f)、
(g)、(h)および(i) (d)ローズマリー油と酢酸ベンジルを6対4の重量比
で混合した溶媒中にパラジウムオクトエートを溶解させ
たPdl5重量%溶液(以下、パラジウム塩溶液と略記す
る。) (e)ローズマリー油と酢酸ベンジルを6対4の重量比
で混合した溶媒中にクロムオクトエートを溶解させたCr
5重量%溶液(以下、クロム塩溶液と略記する。) (f)ローズマリー油と酢酸ベンジルを6対4の重量比
で混合した溶媒中にビスマスオクトエートを溶解させた
Bi5重量%溶液(以下、ビスマス塩溶液と略記する。) (g)ローズマリー油と酢酸ベンジルを6対4の重量比
で混合した溶媒中に鉛オクトエートを溶解させたPb5重
量%溶液(以下、鉛塩溶液と略記する。) (h)アネトールとリモネンを7対3の重量比で混合し
た溶媒中にギルソナイト(チグラーケミカル&ミネラル
社製)を10重量%溶解させた溶液(以下、ギルソナイト
溶液と略記する。) (i)尿素樹脂 を用意し、これらの調合成分(a)〜(i)を下記の重
量比調合成分 重量比 (a)金単粒子分散超微粉末分散液 20.0 (b)ロジウム塩溶液 0.7 (d)パラジウム塩溶液 20.0 (e)クロム塩溶液 2.0 (f)ビスマス塩溶液 2.0 (g)鉛塩溶液 1.0 (c)ロジン溶液 21.0 (h)ギルソナイト溶液 30.0 (i)尿素樹脂 3.3 で配合して、調合成分(a)〜(i)の配合物を得た。
上記配合物100gを500mlのビンに入れ、このビンをシ
エカーに取り付け、シエカーで1時間振とうした。次い
でこのビンをシエカーから取りはずして配合物をビーカ
ーに取り出し、ビーカーを150℃のオーブン中で30分間
加熱し固化させた。続いて固化した調合物を3本ロール
ミルで混練することによりペースト状の金合金薄膜形成
用調合物を得た。
この調合物をガラスグレーズ基板表面に300メツシ
ユ、乳剤厚20μのステンレススクリーンにて印刷し850
℃で10分間焼成したところ光沢のある白金色被膜を得る
ことができた。また、フリツト成分の添加のため基板と
の密着力が大幅に上がつた。
この調合物の匂は溶媒に用いたテレピネオール、アネ
トール、リモネンなどの混合された匂であり、イオウを
含まないため悪臭はまつたくなかつた。
また、従来の金液やペースト金によく見られるような
金と硫化バルサムの反応物や金とメルカプタンの反応物
中に混在する不溶性の固形物が上記調合物中にまつたく
存在しなかつたため、焼成膜を顕微鏡で観察したとこ
ろ、焼成時に発生するピンホールや黒点がまつたく見ら
れなかつた。
実施例4 本実施例は、ガラスグレーズ基板に印刷法によつて塗
布し、これを焼成することにより半光沢を有する金被膜
を得るための本発明に従う金薄膜形成用調合物の製造お
よび該調合物を用いる金薄膜の形成を例示する。
実施例1に記載した調合成分(a)、(b)および
(c)実施例3に記載した調合成分(e)、(f)、
(h)および(i)ならびに下記調合成分(j) (j)平均粒径1000Åの金微粉末 を用意し、これらの調合成分(a)、(b)、(c)、
(e)、(f)、(h)、(i)および(j)を下記の
重量比調合成分 重量比 (a)金単粒子分散超微粉末分散液 40.0 (j)平均粒径1000Åの金微粉末 10.0 (b)ロジウム塩溶液 1.0 (e)クロム塩溶液 2.0 (f)ビスマス塩溶液 2.0 (c)ロジン溶液 20.0 (h)ギルソナイト溶液 21.7 (i)尿素樹脂 3.3 で配合して調合成分(a)、(j)、(b)、(e)、
(f)、(c)、(h)および(i)の配合物を得た。
上記の配合物100gを500mlのビンに入れ、このビンを
シエカーにとりつけ、シエカーで1時間振とうした。次
いでこのビンをシエカーから取りはずして、配合物をビ
ーカーに取り出しビーカーを150℃のオーブン中で30分
間加熱し固化させた。続いて固化した調合物を3本ロー
ルミルで混練することによつてペースト状の金薄膜形成
用調合物を得た。
この調合物をガラスグレーズ基板表面に300メツシ
ユ、乳剤厚20μのステンレススクリーンにて印刷し850
℃で10分間焼成したところ、ハーフマツトの金薄膜を得
ることができた。また、フリツト成分の添加のため基板
との密着力が大幅に上がつた。
この調合物の匂は溶媒に用いたテレピネオール、アネ
トール、リモネンなどの混合された匂であり、イオウを
含まないため悪臭はまつたくなかつた。
また、従来の金液やペースト金によく見られるような
金と硫化バルサムの反応物や金とメルカプタンの反応物
中に混在する不溶性の固形物が上記調合物中にまつたく
存在しなかつたため、焼成膜を顕微鏡で観察したとこ
ろ、焼成時に発生するピンホールや黒点がまつたく見ら
れなかつた。
比較例1 本比較例は、一般に使用されている硝子板に筆塗りに
よつて塗布し、これを焼成することにより光沢を有する
金薄膜を得るための従来技術に従う金薄膜形成用調合物
の製造および該調合物を用いる金薄膜の形成を例示す
る。
下記調合成分(k) (k)Au25重量%を含有する金樹脂硫化バルサム ならびに実施例1に記載した調合成分(b)および
(c)を用意し、これらの調合成分(k)、(b)およ
び(c)を下記の重量比調合成分 重量比 (k)金樹脂硫化バルサム 60.0 (b)ロジウム塩溶液 1.0 (c)ロジン溶液 39.0 で配合して、調合成分(k)、(b)および(c)の配
合物を得た。
上記配合物300gを500mlのビンに入れ、このビンをシ
エカーに取り付け、配合物をシエカーで1時間振とうし
て金薄膜形成用調合物を得た。
上記配合物を1時間振とうし、貴金属薄膜形成用調合
物を得た。この液の匂は、イオウ化合物特有の腐敗臭が
した。
この調合物を陶磁器表面に塗布し、700℃で10分間焼
成することにより光沢のある金被膜を得た。しかし、焼
成膜を顕微鏡で観察したところ、焼成膜にピンホールや
黒点が見られた。
<発明の効果> 本発明の金または金合金薄膜形成用調合物によれば、
光沢を有しピンホールおよび黒点のない金または金合金
の薄膜が得られる。さらに、本発明の金または金合金薄
膜形成用調合物は悪臭を出さず、焼成時に悪臭および有
害ガスを発生することもない。
また、本発明の金または金合金薄膜形成用調合物の製
造方法によれば、上記の光沢を有しピンホールおよび黒
点のない金または金合金薄膜を形成するための調合物が
容易に得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 泰夫 千葉県市川市中国分3―19―3 エヌ・ イー・ケムキヤツト株式会社市川研究所 内 (56)参考文献 特開 平1−107593(JP,A) 特開 平1−161887(JP,A) 特開 昭55−21532(JP,A) 特開 昭63−226093(JP,A) 特開 昭61−248301(JP,A) 特公 昭37−2955(JP,B1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記成分: (i) 平均粒径30〜500Åの金または金合金の超微粉
    末を単粒子の状態で有機溶媒に分散させた単粒子分散超
    微粉末、 (ii) ロジウム有機化合物、 (iii) ロジン、アスフアルトおよび樹脂の少なくと
    も1種、ならびに (iv) 有機溶媒 を含有し、かつ (v) イオウ を含有しないことを特徴とする、 焼成後光沢を有する金または金合金薄膜形成用調合物。
  2. 【請求項2】該調合物における貴金属成分の重量%が下
    記 金または金合金単粒子分散超微粉末 3〜60重量% ロジウム 0.005〜0.5重量% の範囲にあることを特徴とする、 特許請求の範囲第1項記載の金または金合金薄膜形成用
    調合物。
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