JPH0516365B2 - - Google Patents
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- JPH0516365B2 JPH0516365B2 JP63201709A JP20170988A JPH0516365B2 JP H0516365 B2 JPH0516365 B2 JP H0516365B2 JP 63201709 A JP63201709 A JP 63201709A JP 20170988 A JP20170988 A JP 20170988A JP H0516365 B2 JPH0516365 B2 JP H0516365B2
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は、(0001)面の成長してなる板状体の
炭化タングステンを晶出させて、耐摩耗性及び耐
欠損性にすぐれる超硬合金又はサーメツトを作製
するための出発物質として適する炭化タングステ
ンを過飽和に含有してなる固溶体組成物及びその
製造方法に関するものである。 (従来の技術) 超硬合金又はサーメツトの出発物質としては、
WC、TiC、TaCなどの単一化合物として用いら
れる場合と、(W、Ti)C、(W、Ti、Ta)C、 (W、Ti、Ta、Nb)Cなどの複合炭化物の固
溶体として用いられる場合がある。この内、後者
の固溶体は、超硬合金又はサーメツトを製造する
ための出発物質として用いると、これらの合金特
性を安定化させることができることから多用され
る傾向にある。 WとTiとを含有した複合炭化物の固溶体又は
複合炭窒化物の固溶体は、TiC中へのWCの固溶
限度から自とそれらの組成割合が限定されてお
り、例えば(W、Ti)Cの固溶体の場合、1500
〜1900℃におけるTiCへのWCの固溶度が65〜
70wt%であることから少なくとも30wt%のTiC
と残りWCとでなる組成の固溶体が用いられてい
る。 これらの固溶体の内、例えば1900℃で調整した
70wt%WC−30wt%TiC固溶体は、WCを最大限
に固溶させた固溶体であることからWCとWC−
TiC固溶体との混合物でなるような不完全な固溶
体になり易く、この不完全な固溶体を出発物質と
して超硬合金又はサーメツトを作製すると、その
超硬合金又はサーメツトの特性が劣るという問題
がある。これらの問題点を解決するために複合炭
化物の固溶体又は複合炭窒化物の固溶体に関して
の提案が多数あり、その代表的なものに、特開昭
58−36914号公報、特開昭49−24900号公報及びS.
L.Shindeらの3rdICHM、(Nov、1987)がある。 (発明が解決しようとする問題点) 特開昭58−36914号公報は、分子式が(TiA、
WB、ZC)(CU、NV)Zで表わされ、 A+B+C=1、U+V=1、0.7≦A≦0.9、
0.05≦B≦0.3、0.01≦C≦0.20、0.7≦U≦0.9、
0.1≦V≦0.3、0.8≦Z≦1.0(ここで、A、B、C
は金属成分のモル分率、U、Vは非金属成分のモ
ル分率、Zは金属成分のモル量に対する非金属成
分のモル量の割合)の関係にある複合炭窒化物の
固溶体が示されている。この特開昭58−36914号
公報の発明は、(W、Ti)(C、N)を作製する
際にW量を多くするとN2が分解して、WCと
(W、Ti)(C、N)が生成してしまうのに対し
て、(W、Ti)(C、N)にZrを固溶させること
により安定な複合炭窒化物の固溶体とし、この固
溶体を出発物として超硬合金又はサーメツトを作
製すると脱窒の生じ難い安定な合金が得られるけ
れども、従来の超硬合金又はサーメツトと同様に
耐摩耗性を高めると耐欠損性が低下し、逆に耐欠
損性を高めると耐摩耗性が低下するという問題が
ある。 特開昭49−24900号公報は、W、Ti、Ta、Nb
の高融点金属酸化物を組合わせたものと、炭素と
の混合物を雰囲気と温度とを制御して1次反応〜
3次反応まで行つて複合炭化物の固溶体を得る製
造方法が示されている。この特開昭49−24900号
公報の方法により得られる固溶体は、酸化物を用
いて、しかも最高の反応温度が1600℃であること
から不完全な固溶体になり易く、例えば長時間反
応でもつて完全な固溶体にしたとして、その固溶
体を用いて超硬合金又はサーメツトを作製しても
上述の特開昭58−36914号公報の場合と同様に従
来の超硬合金又はサーメツトにおける問題を有し
ているものである。 S.L.Shindeらが3rd ICHM、(Nov、1987)で
WCを過飽和に固溶してなる(W、Ti)C固溶体
を示しており、この固溶体を用いて超硬合金又は
サーメツトを作製すると、板状体の炭化タングス
テンが晶出して合金の耐摩耗性を向上させ得るこ
とができるけれども、WCを過飽和に固溶してな
る完全な(W、Ti)C固溶体を作製するのが非
常に困難であるという問題がある。 本発明は、上述のような問題点を解決したもの
で、具体的には、炭化タングステン過飽和に固溶
してなる(W、Ti、M)C又は(W、Ti、M)
(C、N)(但し、MはZr、Hf、V、Nb、Ta、
Cr、Moの中の少なくとも1種である。)の分子
式で表わせる複合炭化物固溶体又は複合炭窒化物
固溶体及びそれらの製造方法の提供を目的とする
ものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、WC−B1型固溶体−Co合金の
耐摩耗性を低下させずに強度を向上させる方法に
ついて検討していた所、(0001)面の成長してな
る板状体の炭化タングステン晶出させることによ
り耐摩耗性及び強度の両方が向上すること、また
この板状体の炭化タングステンを晶出させるには
炭化タングステンを過飽和に固溶してな複合炭化
物固溶体又は複合炭窒化物固溶体を出発物質とし
て用いると容易であること、さらに炭化タングス
テンを過飽和に固溶してなる(W、Ti)C固溶
体に比べて第3元素を含有させてなる(W、Ti、
M)C固溶体又)(W、Ti、M)(C、N)固溶
体にすると完全な固溶体が得られ、これを出発物
質として超硬合金又はサーメツトを作製すると
(0001)面の成長してなる板状体の炭化タングス
テンの晶出が容易になるという知見を得て、本発
明を完成するに至つたものである。 すなわち、本発明の炭化タングステンを過飽和
に含有してなる固溶体組成物は、炭化タングステ
ンの第1物質と、Ti、Zr、Hf、V、Nbの炭化
物、窒化物、炭窒化物の中の1種の第2物質と、
Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒化物及びこ
れらの相互固溶体の中の少なくとも1種の第3物
質とでなる固溶体において、該第2物質と該第3
物質との組合わせが下記(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)か
らなり、 (a) 第2物質がTiの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がZr、Hf、V、Nb、
Taの炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体
の中の少なくとも1種である場合、 (b) 第2物質がZrの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がHf、V、Nb、Taの
炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の
少なくとも1種である場合、 (c) 第2物質がHfの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がV、Nb、Taの炭化
物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種である場合、 (d) 第2物質がVの炭化物、窒化物又は炭窒化物
であつて、第3物質がNb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種である場合、 (e) 第2物質がNbの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がTaの炭化物、窒化物
又は炭窒化物である場合、 かつ該第1物質と該第2物質と該第3物質との
擬三元状態図を表わす第1図の中のA点(第1物
質95.0wt%、第2物質、4.9wt%、第3物質0.1wt
%)と、B点(第1物質72.7wt%、第2物質
27.2wt%、第3物質、0.1wt%)と、C点(第1
物質10.0wt%、第2物質0wt%、第3物質90.0wt
%)と、D点(第1物質85.0wt%、第2物質0wt
%、第3物質15.0wt%)として囲まれた範囲内
(それぞれの線上も含む)の組成からなることを
特徴とするものである。 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物における第1物質、第2物質及
び第3物質は、第1図の擬三元状態図のA,B,
C,Dの各点で囲まれた範囲内にあるもので、こ
の第1図のAD線から外れて炭化タングステンの
多い側の組成物になると、完全な固溶体にするの
が困難で、炭化タングステンの混在した不完全な
固溶体になりやすく、不完全な固溶体を用いて超
硬合金又はサーメツトを作製すると板状体の炭化
タングステンの晶出が少なくなり、その結果、耐
摩耗性及び強度のすぐれる超硬合金又はサーメツ
トが得られなくなる。また、第1図のBC線から
外れて炭化タングステンの少ない側の組成物にな
ると、従来の固溶体組成物と同程度に完全な固溶
体になりやすいけれども、この固溶体を用いて超
硬合金又はサーメツトを作製しても従来と同様に
焼結工程時での板状体の炭化タングステンの晶出
が殆んど生じなくなり、その結果、耐摩耗性及び
強度のすぐれた超硬合金又はサーメツトが得られ
なくなる。これらのことから本発明の炭化タング
ステンを過飽和に含有してなる固溶体組成物は、
擬三元状態図を表わす第1図のA,B,C,Dの
各点で囲まれた範囲内に選定したもので、この範
囲内の組成からなる場合には化学量論的組成又は
非化学量論的組成であつても板状体の炭化タング
ステンの晶出を容易にするという効果がある。 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物を作製する方法は、従来から行
われている複合炭化物固溶体又は複合炭窒化物固
溶体の製造方法を応用して種々の方法で作製する
ことができるけれども、次の方法が完全な固溶体
を安定に、かつ容易に作製することができること
から好ましいことである。 すなわち、本発明の炭化タングステンを過飽和
に含有してなる固溶体組成物の製造方法は、炭化
タングステンの第1粉末と、Ti、Zr、Hf、V、
Nbの炭化物、窒化物炭窒化物の中の1種の第2
粉末と、Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種
の第3粉末とでなる混合粉末において、該第1粉
末の他に、該第2粉末と該第3粉末が、(イ)第2粉
末がTiの炭化物、窒化物又は炭窒化物の粉末で
あつて、第3粉末がZr、Hf、V、Nb、Taの炭
化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種の粉末である組合わせ、(ロ)第2粉末が
Zrの炭化物、窒化物又は炭窒化物の粉末であつ
て、第3粉末がHf、V、Nb、Taの炭化物、窒
化物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種の粉末である組合わせ、(ハ)第2粉末がHfの炭
化物、窒化物又は炭窒化物の粉末であつて、第3
粉末がV、Nb、Taの炭化物、窒化物及びこれら
の相互固溶体の中の少なくとも1種の粉末である
組合わせ、(ニ)第2粉末がVの炭化物、窒化物又は
炭窒化物の粉末であつて、第3粉末がNb、Taの
炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少
なくとも1種の粉末である組合わせ、(ホ)第2粉末
がNbの炭化物、窒化物又は炭窒化物の粉末であ
つて、第3粉末がTaの炭化物、窒化物又は炭窒
化物の粉末である組合わせ、の中の1組とでなる
混合粉末100wt%に、Fe、Ni、Coの中の少なく
とも1種の鉄族金属を0.5wt%以下添加して、混
合及び粉砕後、真空中又は非酸化性ガス中で1700
℃〜3000℃に加熱し、擬三元状態図を表わす第1
図の中のA点、B点、C点、Dてとで囲まれた範
囲内(それぞれの線上も含む)の組成からなる固
溶体を作製することを特徴とする方法である。 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物の製造方法における出発物質と
しての第1粉末、第2粉末及び第3粉末は、平均
粒径3.0μm以下、好ましくは2.0μm以下のできる
だけ微細な粉末を用いると完全な固溶体が得られ
やすくなるものである。また、これらの他に、出
発物質として用いる鉄族金属は、例えば平均粒径
2.0μm以下の粉末として添加する方法、又は上述
の第1粉末、第2粉末、第3粉末の表面に被覆し
た被覆膜として添加する方法でもよく、この鉄族
金属の種類としはCo及び/又はNiが好ましいも
のである。これらの第1粉末、第2粉末、第3粉
末及び鉄族金属とでなる混合物粉末の混合及び粉
砕は、従来の粉末治金による混合粉砕方法を利用
することができる。次に、混合及び粉砕後の粉砕
粉末をそのまま、又はペレツト状にプレス成形し
た状態でカーボン容器の中に詰めて、真空中もし
くはH2、N2、不活性ガスなどの非酸化性ガス中
で1700℃〜3000℃に加熱して鉄族金沿を揮散させ
て本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物を作製することができる。 (作用) 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物は、第2物質と第3物質との成
分の組合わせ及び組成比率の制御が炭化タングス
テンを過飽和に含有した状態で完全な固容体にな
る作用をしているものである。また、本発明の炭
化タングステンを過飽和に含有してなる固溶体組
成物の製造方法は、第1粉末、第2粉末及び第3
粉末を出発物質としていること、並びに微量の鉄
族金属の添加が炭化タングステンを過飽和に含有
してなる固溶体への促進作用をし、完全な固溶体
を容易に得ることができるように作用しているも
のである。 (実施例) 実施例 1 平均粒径1〜2μmのWC粉末、TiC粉末、TaC
粉末及びCo粉末を用いて第1表に示す各試料の
組成と0.1%のCoとを配合し、48時間の湿式ボー
ルミル混合後、乾燥及びプレスしてペレツト状に
成形し、このペレツト状の成形体を5torrのAr雰
囲気中2000℃で固溶体化処理して、本発明品1と
比較品1及び2の固溶体組成物を作製した。こう
して作製した固溶体を粉砕し、X線回折を行つた
所、本発明品1及び比較品2にはWCの回折線が
検出されず完全な固溶体であつたのに対し、比較
品1はWCの回折線が検出され、WCと固溶体と
の混合物であつた。 次に、本発明品1、比較品1及び2の各固溶体
組成物と、さらに平均粒径1μmのTiC、TaC、
WC、Coの各粉末を用いて、64.4wt%WC−
13.8Wt%TiC−13.8wt%TaC−8wt%Co組成にな
るように第1表の焼結合金の配合組成として示し
た如くに配合し、湿式混合、乾燥及びプレス成形
後、1450℃で焼結して得た焼結合金を走査型電子
顕微鏡で観察して、板状体のWCの晶出量を求め
て第1表に併記した。
炭化タングステンを晶出させて、耐摩耗性及び耐
欠損性にすぐれる超硬合金又はサーメツトを作製
するための出発物質として適する炭化タングステ
ンを過飽和に含有してなる固溶体組成物及びその
製造方法に関するものである。 (従来の技術) 超硬合金又はサーメツトの出発物質としては、
WC、TiC、TaCなどの単一化合物として用いら
れる場合と、(W、Ti)C、(W、Ti、Ta)C、 (W、Ti、Ta、Nb)Cなどの複合炭化物の固
溶体として用いられる場合がある。この内、後者
の固溶体は、超硬合金又はサーメツトを製造する
ための出発物質として用いると、これらの合金特
性を安定化させることができることから多用され
る傾向にある。 WとTiとを含有した複合炭化物の固溶体又は
複合炭窒化物の固溶体は、TiC中へのWCの固溶
限度から自とそれらの組成割合が限定されてお
り、例えば(W、Ti)Cの固溶体の場合、1500
〜1900℃におけるTiCへのWCの固溶度が65〜
70wt%であることから少なくとも30wt%のTiC
と残りWCとでなる組成の固溶体が用いられてい
る。 これらの固溶体の内、例えば1900℃で調整した
70wt%WC−30wt%TiC固溶体は、WCを最大限
に固溶させた固溶体であることからWCとWC−
TiC固溶体との混合物でなるような不完全な固溶
体になり易く、この不完全な固溶体を出発物質と
して超硬合金又はサーメツトを作製すると、その
超硬合金又はサーメツトの特性が劣るという問題
がある。これらの問題点を解決するために複合炭
化物の固溶体又は複合炭窒化物の固溶体に関して
の提案が多数あり、その代表的なものに、特開昭
58−36914号公報、特開昭49−24900号公報及びS.
L.Shindeらの3rdICHM、(Nov、1987)がある。 (発明が解決しようとする問題点) 特開昭58−36914号公報は、分子式が(TiA、
WB、ZC)(CU、NV)Zで表わされ、 A+B+C=1、U+V=1、0.7≦A≦0.9、
0.05≦B≦0.3、0.01≦C≦0.20、0.7≦U≦0.9、
0.1≦V≦0.3、0.8≦Z≦1.0(ここで、A、B、C
は金属成分のモル分率、U、Vは非金属成分のモ
ル分率、Zは金属成分のモル量に対する非金属成
分のモル量の割合)の関係にある複合炭窒化物の
固溶体が示されている。この特開昭58−36914号
公報の発明は、(W、Ti)(C、N)を作製する
際にW量を多くするとN2が分解して、WCと
(W、Ti)(C、N)が生成してしまうのに対し
て、(W、Ti)(C、N)にZrを固溶させること
により安定な複合炭窒化物の固溶体とし、この固
溶体を出発物として超硬合金又はサーメツトを作
製すると脱窒の生じ難い安定な合金が得られるけ
れども、従来の超硬合金又はサーメツトと同様に
耐摩耗性を高めると耐欠損性が低下し、逆に耐欠
損性を高めると耐摩耗性が低下するという問題が
ある。 特開昭49−24900号公報は、W、Ti、Ta、Nb
の高融点金属酸化物を組合わせたものと、炭素と
の混合物を雰囲気と温度とを制御して1次反応〜
3次反応まで行つて複合炭化物の固溶体を得る製
造方法が示されている。この特開昭49−24900号
公報の方法により得られる固溶体は、酸化物を用
いて、しかも最高の反応温度が1600℃であること
から不完全な固溶体になり易く、例えば長時間反
応でもつて完全な固溶体にしたとして、その固溶
体を用いて超硬合金又はサーメツトを作製しても
上述の特開昭58−36914号公報の場合と同様に従
来の超硬合金又はサーメツトにおける問題を有し
ているものである。 S.L.Shindeらが3rd ICHM、(Nov、1987)で
WCを過飽和に固溶してなる(W、Ti)C固溶体
を示しており、この固溶体を用いて超硬合金又は
サーメツトを作製すると、板状体の炭化タングス
テンが晶出して合金の耐摩耗性を向上させ得るこ
とができるけれども、WCを過飽和に固溶してな
る完全な(W、Ti)C固溶体を作製するのが非
常に困難であるという問題がある。 本発明は、上述のような問題点を解決したもの
で、具体的には、炭化タングステン過飽和に固溶
してなる(W、Ti、M)C又は(W、Ti、M)
(C、N)(但し、MはZr、Hf、V、Nb、Ta、
Cr、Moの中の少なくとも1種である。)の分子
式で表わせる複合炭化物固溶体又は複合炭窒化物
固溶体及びそれらの製造方法の提供を目的とする
ものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、WC−B1型固溶体−Co合金の
耐摩耗性を低下させずに強度を向上させる方法に
ついて検討していた所、(0001)面の成長してな
る板状体の炭化タングステン晶出させることによ
り耐摩耗性及び強度の両方が向上すること、また
この板状体の炭化タングステンを晶出させるには
炭化タングステンを過飽和に固溶してな複合炭化
物固溶体又は複合炭窒化物固溶体を出発物質とし
て用いると容易であること、さらに炭化タングス
テンを過飽和に固溶してなる(W、Ti)C固溶
体に比べて第3元素を含有させてなる(W、Ti、
M)C固溶体又)(W、Ti、M)(C、N)固溶
体にすると完全な固溶体が得られ、これを出発物
質として超硬合金又はサーメツトを作製すると
(0001)面の成長してなる板状体の炭化タングス
テンの晶出が容易になるという知見を得て、本発
明を完成するに至つたものである。 すなわち、本発明の炭化タングステンを過飽和
に含有してなる固溶体組成物は、炭化タングステ
ンの第1物質と、Ti、Zr、Hf、V、Nbの炭化
物、窒化物、炭窒化物の中の1種の第2物質と、
Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒化物及びこ
れらの相互固溶体の中の少なくとも1種の第3物
質とでなる固溶体において、該第2物質と該第3
物質との組合わせが下記(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)か
らなり、 (a) 第2物質がTiの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がZr、Hf、V、Nb、
Taの炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体
の中の少なくとも1種である場合、 (b) 第2物質がZrの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がHf、V、Nb、Taの
炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の
少なくとも1種である場合、 (c) 第2物質がHfの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がV、Nb、Taの炭化
物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種である場合、 (d) 第2物質がVの炭化物、窒化物又は炭窒化物
であつて、第3物質がNb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種である場合、 (e) 第2物質がNbの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がTaの炭化物、窒化物
又は炭窒化物である場合、 かつ該第1物質と該第2物質と該第3物質との
擬三元状態図を表わす第1図の中のA点(第1物
質95.0wt%、第2物質、4.9wt%、第3物質0.1wt
%)と、B点(第1物質72.7wt%、第2物質
27.2wt%、第3物質、0.1wt%)と、C点(第1
物質10.0wt%、第2物質0wt%、第3物質90.0wt
%)と、D点(第1物質85.0wt%、第2物質0wt
%、第3物質15.0wt%)として囲まれた範囲内
(それぞれの線上も含む)の組成からなることを
特徴とするものである。 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物における第1物質、第2物質及
び第3物質は、第1図の擬三元状態図のA,B,
C,Dの各点で囲まれた範囲内にあるもので、こ
の第1図のAD線から外れて炭化タングステンの
多い側の組成物になると、完全な固溶体にするの
が困難で、炭化タングステンの混在した不完全な
固溶体になりやすく、不完全な固溶体を用いて超
硬合金又はサーメツトを作製すると板状体の炭化
タングステンの晶出が少なくなり、その結果、耐
摩耗性及び強度のすぐれる超硬合金又はサーメツ
トが得られなくなる。また、第1図のBC線から
外れて炭化タングステンの少ない側の組成物にな
ると、従来の固溶体組成物と同程度に完全な固溶
体になりやすいけれども、この固溶体を用いて超
硬合金又はサーメツトを作製しても従来と同様に
焼結工程時での板状体の炭化タングステンの晶出
が殆んど生じなくなり、その結果、耐摩耗性及び
強度のすぐれた超硬合金又はサーメツトが得られ
なくなる。これらのことから本発明の炭化タング
ステンを過飽和に含有してなる固溶体組成物は、
擬三元状態図を表わす第1図のA,B,C,Dの
各点で囲まれた範囲内に選定したもので、この範
囲内の組成からなる場合には化学量論的組成又は
非化学量論的組成であつても板状体の炭化タング
ステンの晶出を容易にするという効果がある。 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物を作製する方法は、従来から行
われている複合炭化物固溶体又は複合炭窒化物固
溶体の製造方法を応用して種々の方法で作製する
ことができるけれども、次の方法が完全な固溶体
を安定に、かつ容易に作製することができること
から好ましいことである。 すなわち、本発明の炭化タングステンを過飽和
に含有してなる固溶体組成物の製造方法は、炭化
タングステンの第1粉末と、Ti、Zr、Hf、V、
Nbの炭化物、窒化物炭窒化物の中の1種の第2
粉末と、Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種
の第3粉末とでなる混合粉末において、該第1粉
末の他に、該第2粉末と該第3粉末が、(イ)第2粉
末がTiの炭化物、窒化物又は炭窒化物の粉末で
あつて、第3粉末がZr、Hf、V、Nb、Taの炭
化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種の粉末である組合わせ、(ロ)第2粉末が
Zrの炭化物、窒化物又は炭窒化物の粉末であつ
て、第3粉末がHf、V、Nb、Taの炭化物、窒
化物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種の粉末である組合わせ、(ハ)第2粉末がHfの炭
化物、窒化物又は炭窒化物の粉末であつて、第3
粉末がV、Nb、Taの炭化物、窒化物及びこれら
の相互固溶体の中の少なくとも1種の粉末である
組合わせ、(ニ)第2粉末がVの炭化物、窒化物又は
炭窒化物の粉末であつて、第3粉末がNb、Taの
炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少
なくとも1種の粉末である組合わせ、(ホ)第2粉末
がNbの炭化物、窒化物又は炭窒化物の粉末であ
つて、第3粉末がTaの炭化物、窒化物又は炭窒
化物の粉末である組合わせ、の中の1組とでなる
混合粉末100wt%に、Fe、Ni、Coの中の少なく
とも1種の鉄族金属を0.5wt%以下添加して、混
合及び粉砕後、真空中又は非酸化性ガス中で1700
℃〜3000℃に加熱し、擬三元状態図を表わす第1
図の中のA点、B点、C点、Dてとで囲まれた範
囲内(それぞれの線上も含む)の組成からなる固
溶体を作製することを特徴とする方法である。 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物の製造方法における出発物質と
しての第1粉末、第2粉末及び第3粉末は、平均
粒径3.0μm以下、好ましくは2.0μm以下のできる
だけ微細な粉末を用いると完全な固溶体が得られ
やすくなるものである。また、これらの他に、出
発物質として用いる鉄族金属は、例えば平均粒径
2.0μm以下の粉末として添加する方法、又は上述
の第1粉末、第2粉末、第3粉末の表面に被覆し
た被覆膜として添加する方法でもよく、この鉄族
金属の種類としはCo及び/又はNiが好ましいも
のである。これらの第1粉末、第2粉末、第3粉
末及び鉄族金属とでなる混合物粉末の混合及び粉
砕は、従来の粉末治金による混合粉砕方法を利用
することができる。次に、混合及び粉砕後の粉砕
粉末をそのまま、又はペレツト状にプレス成形し
た状態でカーボン容器の中に詰めて、真空中もし
くはH2、N2、不活性ガスなどの非酸化性ガス中
で1700℃〜3000℃に加熱して鉄族金沿を揮散させ
て本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物を作製することができる。 (作用) 本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物は、第2物質と第3物質との成
分の組合わせ及び組成比率の制御が炭化タングス
テンを過飽和に含有した状態で完全な固容体にな
る作用をしているものである。また、本発明の炭
化タングステンを過飽和に含有してなる固溶体組
成物の製造方法は、第1粉末、第2粉末及び第3
粉末を出発物質としていること、並びに微量の鉄
族金属の添加が炭化タングステンを過飽和に含有
してなる固溶体への促進作用をし、完全な固溶体
を容易に得ることができるように作用しているも
のである。 (実施例) 実施例 1 平均粒径1〜2μmのWC粉末、TiC粉末、TaC
粉末及びCo粉末を用いて第1表に示す各試料の
組成と0.1%のCoとを配合し、48時間の湿式ボー
ルミル混合後、乾燥及びプレスしてペレツト状に
成形し、このペレツト状の成形体を5torrのAr雰
囲気中2000℃で固溶体化処理して、本発明品1と
比較品1及び2の固溶体組成物を作製した。こう
して作製した固溶体を粉砕し、X線回折を行つた
所、本発明品1及び比較品2にはWCの回折線が
検出されず完全な固溶体であつたのに対し、比較
品1はWCの回折線が検出され、WCと固溶体と
の混合物であつた。 次に、本発明品1、比較品1及び2の各固溶体
組成物と、さらに平均粒径1μmのTiC、TaC、
WC、Coの各粉末を用いて、64.4wt%WC−
13.8Wt%TiC−13.8wt%TaC−8wt%Co組成にな
るように第1表の焼結合金の配合組成として示し
た如くに配合し、湿式混合、乾燥及びプレス成形
後、1450℃で焼結して得た焼結合金を走査型電子
顕微鏡で観察して、板状体のWCの晶出量を求め
て第1表に併記した。
【表】
実施例 2
平均粒径1〜2μmのWC粉末、ZrC粉末、TaC
粉末及びCo粉末を用いて、第2表に示す各試料
の組成と0.2%のCoとを配合し、固溶体処理温度
を2100℃にした以外は実施例1と同様に行つて、
本発明品2と比較品3及び4の固溶体組成物を作
製した。こうして作製した固溶体を実施例1と同
様にして調べた所、本発明品2及び比較品4には
WCの回折線が検出されず完全な固溶体であつた
のに対し、比較品3はWCの回折線が検出され、
WCと固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品2、比較品3及び4の固溶体組
成物と平均粒径1μmのZrC、TaC、WC、Coの各
粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%ZrC−
13.8wt%TaC−8wt%Co組成になるように第2表
の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第2表に併記した。
粉末及びCo粉末を用いて、第2表に示す各試料
の組成と0.2%のCoとを配合し、固溶体処理温度
を2100℃にした以外は実施例1と同様に行つて、
本発明品2と比較品3及び4の固溶体組成物を作
製した。こうして作製した固溶体を実施例1と同
様にして調べた所、本発明品2及び比較品4には
WCの回折線が検出されず完全な固溶体であつた
のに対し、比較品3はWCの回折線が検出され、
WCと固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品2、比較品3及び4の固溶体組
成物と平均粒径1μmのZrC、TaC、WC、Coの各
粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%ZrC−
13.8wt%TaC−8wt%Co組成になるように第2表
の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第2表に併記した。
【表】
実施例 3
平均粒径1〜2μmのWC粉末、HfC粉末、TaC
粉末及びCo粉末を用いて、第3表に示す各試料
の組成と0.3%のCoとを配合し、固溶体処理温度
を2200℃にした以外は実施例1と同様に行つて、
本発明品3と比較品5及び6の固溶体組成物を作
製した。こうして作製した固溶体を実施例1と同
様にして調べた所、本発明品3及び比較品6には
WCの回折線が検出されず完全な固溶体であつた
のに対し、比較品5はWCの回折線が検出され、
WCと固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品3、比較品5及び6の固溶体組
成物と平均粒径1μmのHfC、TaC、WC、Coの各
粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%HfC−
13.8wt%TaC−8wt%CO組成になるように第3
表の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第3表に併記した。
粉末及びCo粉末を用いて、第3表に示す各試料
の組成と0.3%のCoとを配合し、固溶体処理温度
を2200℃にした以外は実施例1と同様に行つて、
本発明品3と比較品5及び6の固溶体組成物を作
製した。こうして作製した固溶体を実施例1と同
様にして調べた所、本発明品3及び比較品6には
WCの回折線が検出されず完全な固溶体であつた
のに対し、比較品5はWCの回折線が検出され、
WCと固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品3、比較品5及び6の固溶体組
成物と平均粒径1μmのHfC、TaC、WC、Coの各
粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%HfC−
13.8wt%TaC−8wt%CO組成になるように第3
表の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第3表に併記した。
【表】
実施例 4
平均粒径1〜2μmのWC粉末、VC粉末、TaC
粉末及びCo粉末を用いて、第4表に示す各試料
の組成と0.2%のCoとを配合し、固溶体処理温度
を2300℃にした以外は実施例1と同様に行つて、
本発明品4と比較品7及び8の固溶体組成物を作
製した。こうして作製した固溶体を実施例1と同
様にして調べた所、本発明品4及び比較品8には
WCの回折線が検出されず完全な固溶体であつた
のに対し、比較品7は回折線が検出され、WCと
固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品4、比較品7及び8の固溶体組
成物と平均粒径1μmのVC、TaC、WC、Coの各
粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%VC−
13.8wt%TaC−8wt%Co組成になるように第4表
の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第4表に併記した。
粉末及びCo粉末を用いて、第4表に示す各試料
の組成と0.2%のCoとを配合し、固溶体処理温度
を2300℃にした以外は実施例1と同様に行つて、
本発明品4と比較品7及び8の固溶体組成物を作
製した。こうして作製した固溶体を実施例1と同
様にして調べた所、本発明品4及び比較品8には
WCの回折線が検出されず完全な固溶体であつた
のに対し、比較品7は回折線が検出され、WCと
固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品4、比較品7及び8の固溶体組
成物と平均粒径1μmのVC、TaC、WC、Coの各
粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%VC−
13.8wt%TaC−8wt%Co組成になるように第4表
の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第4表に併記した。
【表】
実施例 5
平均粒径1〜2μmのWC粉末、NbC粉末、
TaC粉末及びCo粉末を用いて、第5表に示す
各試料の組成と0.1%のCoとを配合し、固溶体処
理温度を2100℃にした以外は実施例1と同様に行
つて、本発明品5と比較品9及び10の固溶体組成
物を作製した。こうして作製した固溶体を実施例
1と同様にして調べた所、本発明品5及び比較品
10にはWCの回折線が検出されず完全な固溶体で
あつたのに対し、比較品9はWCの回折線が検出
され、WCと固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品5、比較品9及び10の固溶体組
成物と平均粒径1μmのNbC、TaC、WC、Coの
各粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%NbC−
13.8wt%TaC−8wt%Co組成になるように第5表
の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第5表に併記した。
各試料の組成と0.1%のCoとを配合し、固溶体処
理温度を2100℃にした以外は実施例1と同様に行
つて、本発明品5と比較品9及び10の固溶体組成
物を作製した。こうして作製した固溶体を実施例
1と同様にして調べた所、本発明品5及び比較品
10にはWCの回折線が検出されず完全な固溶体で
あつたのに対し、比較品9はWCの回折線が検出
され、WCと固溶体との混合物であつた。 次に、本発明品5、比較品9及び10の固溶体組
成物と平均粒径1μmのNbC、TaC、WC、Coの
各粉末を用いて、64.4wt%WC−13.8wt%NbC−
13.8wt%TaC−8wt%Co組成になるように第5表
の焼結合金の配合組成として示した如くに配合
し、実施例1と同様にして焼結合金を得て、それ
ぞれの焼結合金中の板状体WCの晶出量を求めて
第5表に併記した。
【表】
(発明の効果)
本発明の炭化タングステンを過飽和に含有して
なる固溶体組成物は、鉄属金属と一緒に用いて、
粉末治金法を応用して超硬合金又はサーメツトな
どの焼結合金にすると板状体の炭化タングステン
が晶出しやすいという効果がある。 また、本発明の炭化タングステンを過飽和に含
有してなる固溶体組成物の製造方法は、従来の炭
化タングステンを含有してなる固溶体組成物の製
造方法に比較して、容易に固溶体化しやすく、し
かも過飽和な炭化タングステンを含有した状態で
完全な固溶体が得られるという効果がある。
なる固溶体組成物は、鉄属金属と一緒に用いて、
粉末治金法を応用して超硬合金又はサーメツトな
どの焼結合金にすると板状体の炭化タングステン
が晶出しやすいという効果がある。 また、本発明の炭化タングステンを過飽和に含
有してなる固溶体組成物の製造方法は、従来の炭
化タングステンを含有してなる固溶体組成物の製
造方法に比較して、容易に固溶体化しやすく、し
かも過飽和な炭化タングステンを含有した状態で
完全な固溶体が得られるという効果がある。
第1図は、下記第1物質と第2物質と第3物質
との擬三元状態図を表わす。第1物質が炭化タン
グステン、第2物質と第3物質との組合わせが(a)
第2物質:Tiの炭化物、窒化物又は炭窒化物、
第3物質:Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒
化物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種である場合、(b)第2物質:Zrの炭化物、窒化
物又は炭窒化物、第3物質:Hf、V、Nb、Ta
の炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の
1種である場合、(c)第2物質:Hfの炭化物、窒
化物又は炭窒化物、第3物質:V、Nb、Taの炭
化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の1種
である場合、(d)第2物質:Vの炭化物、窒化物又
は炭窒化物、第3物質:Nb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の1種である場
合、(e)第2物質:Nbの炭化物、窒化物又は炭窒
化物、第3物質:Taの炭化物、窒化物又は炭窒
化物である場合を示す。 第1図中A点は第1物質:95.0wt%、第2物
質:4.9wt%、第3物質:0.1wt%、B点は第1物
質:72.7wt%、第2物質:27.2wt%、第3物質:
0.1wt%、C点は第1物質:10.0wt%、第2物
質:0wt%、第3物質:90.0wt%、D点は第1物
質:85.0wt%、第2物質:0wt%、第3物質:
15.0wt%を示す。
との擬三元状態図を表わす。第1物質が炭化タン
グステン、第2物質と第3物質との組合わせが(a)
第2物質:Tiの炭化物、窒化物又は炭窒化物、
第3物質:Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒
化物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種である場合、(b)第2物質:Zrの炭化物、窒化
物又は炭窒化物、第3物質:Hf、V、Nb、Ta
の炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の
1種である場合、(c)第2物質:Hfの炭化物、窒
化物又は炭窒化物、第3物質:V、Nb、Taの炭
化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の1種
である場合、(d)第2物質:Vの炭化物、窒化物又
は炭窒化物、第3物質:Nb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の1種である場
合、(e)第2物質:Nbの炭化物、窒化物又は炭窒
化物、第3物質:Taの炭化物、窒化物又は炭窒
化物である場合を示す。 第1図中A点は第1物質:95.0wt%、第2物
質:4.9wt%、第3物質:0.1wt%、B点は第1物
質:72.7wt%、第2物質:27.2wt%、第3物質:
0.1wt%、C点は第1物質:10.0wt%、第2物
質:0wt%、第3物質:90.0wt%、D点は第1物
質:85.0wt%、第2物質:0wt%、第3物質:
15.0wt%を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 炭化タングステンの第1物質と、Ti、Zr、
Hf、V、Nbの炭化物、窒化物、炭窒化物の中の
1種の第2物質と、Zr、Hf、V、Nb、Taの炭
化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種の第3物質とでなる固溶体において、
該第2物質と該第3物質との組合わせが下記(a)、
(b)、(c)、(d)又は(e)からなり、かつ該第1物質と該
第2物質と該第3物質との擬三元状態図を表わす
第1図の中のA点(第1物質95.0wt%、第2物質
4.9wt%、第3物質0.1wt%)と、B点(第1物質
72.7wt%、第2物質27.2wt%、第3物質0.1wt%)
と、C点(第1物質10.0wt%、第2物質0wt%、
第3物質90.0wt%)と、D点(第1物質85.0wt
%、第2物質0wt%、第3物質15.0wt%)とで囲
まれた範囲内(それぞれの線上も含む)の組成か
らなることを特徴とする炭化タングステンを過飽
和に含有してなる固溶体組成物。 (a) 第2物質がTiの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がZr、Hf、V、Nb、
Taの炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体
の中の少なくとも1種である組合わせ。 (b) 第2物質がZrの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がHf、V、Nb、Taの
炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の
少なくとも1種である組合わせ。 (c) 第2物質がHfの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がV、Nb、Taの炭化
物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種である組合わせ。 (d) 第2物質がVの炭化物、窒化物又は炭窒化物
であつて、第3物質がNb、Taの炭化物、窒化
物及びこれらの相互固溶体の中の少なくとも1
種である組合わせ。 (e) 第2物質がNbの炭化物、窒化物又は炭窒化
物であつて、第3物質がTaの炭化物、窒化物
又は炭窒化物である組合わせ。 2 炭化タングステンの第1粉末と、Ti、Zr、
Hf、V、Nbの炭化物、窒化物、炭窒化物の中の
1種の第2粉末と、Zr、Hf、V、Nb、Taの炭
化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種の第3粉末とでなる混合粉末におい
て、該第1粉末と、下記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)又は(
ホ)の
組合わせでなる該第2粉末と該第3粉末との混合
粉末100wt%に、Fe、Ni、Coの中の少なくとも
1種の鉄族金属を0.5wt%以下添加して、混合及
び粉砕後、真空中又は非酸化性ガス中で1700℃〜
3000℃に加熱し、擬三元状態図を表わす第1図の
中のA点、B点、C点、D点とで囲まれた範囲内
(それぞれの線上も含む)の組成からなる固溶体
を作製することを特徴とする炭化タングステンを
過飽和に含有してなる固溶体組成物の製造方法。 (イ) 第2粉末がTiの炭化物、窒化物、又は炭窒
化物の粉末であつて、第3粉末がZr、Hf、V、
Nb、Taの炭化物、窒化物及びこれらの相互固
溶体の中の少なくとも1種の粉末である組合わ
せ。 (ロ) 第2粉末がZrの炭化物、窒化物、又は炭窒
化物の粉末であつて、第3粉末がHf、V、
Nb、Taの炭化物、窒化物及びこれらの相互固
溶体の中の少なくとも1種の粉末である組合わ
せ。 (ハ) 第2粉末がHfの炭化物、窒化物又は炭窒化
物の粉末であつて、第3粉末がV、Nb、Taの
炭化物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の
少なくとも1種の粉末である組合わせ。 (ニ) 第2粉末がVの炭化物、窒化物又は炭窒化物
の粉末であつて、第3粉末がNb、Taの炭化
物、窒化物及びこれらの相互固溶体の中の少な
くとも1種の粉末である組合わせ。 (ホ) 第2粉末がNbの炭化物、窒化物又は炭窒化
物の粉末であつて、第3粉末がTaの炭化物、
窒化物又はこれらの相互固溶体の粉末である組
合わせ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63201709A JPH0251408A (ja) | 1988-08-12 | 1988-08-12 | 炭化タングステンを過飽和に含有してなる固溶体組成物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP63201709A JPH0251408A (ja) | 1988-08-12 | 1988-08-12 | 炭化タングステンを過飽和に含有してなる固溶体組成物及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0251408A JPH0251408A (ja) | 1990-02-21 |
JPH0516365B2 true JPH0516365B2 (ja) | 1993-03-04 |
Family
ID=16445628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP63201709A Granted JPH0251408A (ja) | 1988-08-12 | 1988-08-12 | 炭化タングステンを過飽和に含有してなる固溶体組成物及びその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JPH0251408A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US5254751A (en) * | 1992-09-14 | 1993-10-19 | General Electric Company | Method for the decomposition of cumene hydroperoxide by acidic catalyst to phenol and acetone |
JP3769050B2 (ja) * | 1995-07-07 | 2006-04-19 | 三井化学株式会社 | フェノールの製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5727913A (en) * | 1980-07-25 | 1982-02-15 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Manufacture of composite carbonitride containing ti and w |
-
1988
- 1988-08-12 JP JP63201709A patent/JPH0251408A/ja active Granted
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JPH0251408A (ja) | 1990-02-21 |
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