JP3082865B2 - レーザ光発生装置 - Google Patents

レーザ光発生装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形光学結晶素子に
よって第2高調波レーザ光を発生するようになされたレ
ーザ光発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、本出願人が特願平3−1706
8号として先に提案した従来のレーザ光発生装置の構成
を示している。レーザダイオード1はポンピング用のレ
ーザ光を発生し、レンズ2に入射する。レンズ2は凹面
ミラー3、1/4波長板4を介して、このポンピング用
レーザ光をレーザ媒質5に入射する。レーザ媒質5(N
d:YAG)は、このポンピング用レーザ光の入射を受
けると熱レンズ5aを形成するとともに、基本波レーザ
光を発生する。この基本波レーザ光は、非線形光学結晶
素子(KTP)6を介して平面ミラー7に入射される。
平面ミラー7で反射された基本波レーザ光は、非線形光
学結晶素子6を介して、再びレーザ媒質5に入射され
る。
【0003】レーザ媒質5より図中左方向に出射された
基本波レーザ光は、1/4波長板4を介して凹面ミラー
3に入射され、そこで反射される。この反射された基本
波レーザ光は、1/4波長板4を介して再びレーザ媒質
5に入射される。このようにして、凹面ミラー3と平面
ミラー7の間を基本波レーザ光が往復する。すなわち、
凹面ミラー3、1/4波長板4、レーザ媒質5、非線形
光学結晶素子6および平面ミラー7により、レーザ光共
振器8が形成されている。凹面ミラー3の作用により、
基本波レーザ光が往復する位置は集中される。これによ
りエネルギーが高まり、KTP(KTiOPO4)(光
学軸をつ持つ軸結晶)は、タイプIIの位相整合によ
り、基本波レーザ光の2倍の周波数の第2高調波レーザ
光を発生する。平面ミラー7は、基本波レーザ光のほと
んどを反射するが、第2高調波レーザ光のほとんどを透
過する。その結果、共振器8より第2高調波レーザ光が
出力される。
【0004】図4に示すように、1/4波長板4の異常
光方向の光学軸ne(4)が非線形光学結晶素子6の異
常光方向の光学軸ne(6)に対して45°になるよう
に調整されている。1/4波長板4をその方位角θを4
5°に設定することにより、基本波レーザ光の2つのモ
ード間にカップリング現象を生じさせないようにするこ
とができる。その結果、第2高調波レーザ光を安定化す
ることができる。
【0005】非線形光学結晶素子6の基本波レーザ光の
入射面6aは基本波レーザ光の光軸LA1に対して傾斜
するように形成されている。非線形光学結晶素子6の入
射面6aをこのように光軸LA1に対して傾斜させるこ
とにより、非線形光学結晶素子6を光軸LA1に対して
垂直な方向(図中矢印Tで示す方向)に調整することに
より、その実効的光路長を正確に所定の値に調整するこ
とができる。非線形光学結晶素子6は、このような調整
により、複屈折量が頂度90°になるように調整されて
いる。
【0006】次に、このように非線形光学結晶素子6の
複屈折量を頂度90°に調整することの効果について説
明する。すなわち、レーザ媒質5より出射された基本波
レーザ光は、円偏光状態になっている。この基本波レー
ザ光は、1/4波長板4を通過することにより、直線偏
光状態となる。この直線偏光状態の基本波レーザ光が凹
面ミラー3により反射され、再び1/4波長板4を通過
すると、再び元の円偏光状態に戻る。そして、円偏光状
態のままレーザ媒質5を通過し、非線形光学結晶素子6
に入射される。非線形光学結晶素子6は、その複屈折量
が正確に90°に調整されているため、非線形光学結晶
素子6より出射された基本波レーザ光は直線偏光とな
る。この直線偏光の基本波レーザ光は、平面ミラー7に
より反射され、再び非線形光学結晶素子6を通過すると
元の円偏光状態に戻る。このように、レーザ媒質5を往
復する基本波レーザ光は常に円偏光状態となっているた
め、いわゆるツイストモード効果(Applied O
ptics,Vol.4,No.1,January
1965)により、空間ホールバーニング効果が抑制さ
れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置は、このよ
うに非線形光学結晶素子6を光軸LA1に対して垂直な
方向に移動調整することにより、その複屈折量を正確に
90゜に調整するようにしていた。しかしながら、この
移動調整は非常に高精度を要求される。この調整時に、
非線形光学結晶素子6の向きがずれると第2高調波レー
ザ光の発振領域の位置が変化する。この場合、ポンピン
グ用のレーザ光の入射位置から調整しなおさなければな
らず、極めて非能率的であった。
【0008】また、凹面ミラー3は製造が容易ではな
く、コスト高となる。
【0009】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、製造が容易で調整操作を簡単にすることが
できるようにするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】ポンピング用のレーザ光
を発生するレーザダイオードと、ポンピング用のレーザ
光の光軸を調整するレンズが載置された調整プレート
と、ポンピング用のレーザ光の入射を受け、熱レンズを
形成して基本波レーザ光を発生するレーザ媒質と、基本
波レーザ光の入射を受け、その第2高調波レーザ光を発
生するとともに、基本波レーザ光の光軸に対して傾斜し
た面を有する非線形光学結晶素子と、基本波レーザ光の
2つの偏光モード間のカップリングを抑制する光学素子
と、レーザダイオードとレーザ媒質の間に配置され、基
本波レーザ光をレーザ媒質に戻るように反射する平面状
の第1のミラーと、非線形光学結晶素子からの基本波レ
ーザ光を非線形光学結晶素子に向けて反射する、レーザ
媒質、非線形光学結晶素子、および光学素子とともにレ
ーザ共振器を構成する平面状の第2のミラーとを備え、
レーザダイオード、および、調整プレートの一方または
両方を、ポンピング用のレーザ光の光軸に対して、垂直
な方向に移動調整自在とすることにより、ポンピング用
のレーザ光は、その光軸と垂直な方向に移動調整自在と
されていることを特徴とする。
【0011】
【作用】上記構成のレーザ光発生装置においては、ポン
ピング用のレーザ光がその光軸と垂直な方向に移動調整
される。従って、調整操作が容易となる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明のレーザ光発生装置の一実施
例の構成を示す図であり、図3における場合と対応する
部分には同一の符号を付してあり、その説明は繰返しに
なるので適宜省略する。
【0013】図1の実施例においては、レーザダイオー
ド1がヒートシンク21上に載置されている。また、レ
ンズ2が調整プレート22上に固定されている。この調
整プレート22は、レーザダイオード1が出力するポン
ピング用レーザ光の光軸LA2と垂直な方向(図中矢印
Bで示す方向)に移動調整自在とされている。
【0014】また、1/4波長板4、レーザ媒質5、お
よび非線形光学結晶素子6は相互に一体化され、プレー
ト23上に固定されている。1/4波長板4のポンピン
グ用レーザ光が入射される面は平面とされ、そこに基本
波レーザ光を反射する平面ミラー11が蒸着などにより
形成されている。また同様に、非線形光学結晶素子6の
第2高調波レーザ光の出射側の面は平面とされ、そこに
蒸着などにより平面ミラー12が形成されている。非線
形光学結晶素子6の入射面6aは、基本波レーザ光の光
軸LA1に対して傾斜するように形成されているのは図
3における場合と同様である。また、1/4波長板4の
レーザ媒質5側の面4aは、光軸LA2に対して垂直に
することもできるが、複合共振を防ぐため、若干傾斜さ
せることも可能である。
【0015】製造時、レーザダイオード1をヒートシン
ク21に取り付け、レンズ2を調整プレート22上に取
り付ける。さらに、1/4波長板4、レーザ媒質5、お
よび非線形光学結晶素子6をプレート23上に取り付け
る。このように各素子を取り付けた後、ヒートシンク2
1、調整プレート22、およびプレート23を所定の位
置に配置する。次に、調整プレート22を矢印B方向に
移動調整し、非線形光学結晶素子6より出力される第2
高調波レーザ光の出力レベルが最も大きくなる位置に調
整プレート22を配置、固定する。
【0016】調整プレート22を矢印B方向に移動させ
ると、ポンピング用のレーザ光の光軸LA2が平行移動
する。これにより、レーザ媒質5における熱レンズ5a
の形成位置、従って、レーザ媒質5における基本波レー
ザ光LA1の光軸が、このポンピング用のレーザ光の光
軸LA2の移動に対応して平行移動することになる。そ
の結果、非線形光学結晶素子6の入射面6aに対する入
射位置も変化する。従って、基本波レーザ光に対する非
線形光学結晶素子6の光路長が変化することになる。上
述したように、非線形光学結晶素子6における複屈折量
(位相遅延量)は、90゜((n±1/4)λ)(λは
波長)がベストである。光路長がこの条件を満足する位
置は、調整プレート22を矢印Bで示す方向に移動調整
することにより、周期的に現われる。そこで、そのうち
の所定の位置に調整プレート22(レンズ2)を配置す
ればよいことになる。
【0017】このような調整を可能とするためには、平
面ミラー11が平面状に形成されていることが必須とな
る。即ち、従来の図3における場合のように、凹面ミラ
ー3を配置している場合においては、凹面ミラー3によ
る集束位置が一点であるため、ポンピング用のレーザ光
の光軸は凹面ミラー3の光軸と一致させる必要がある。
換言すれば、ポンピング用のレーザ光の光軸を自由な位
置に配置することはできない。しかしながら本実施例に
おいては、平面ミラー11が平面状に形成されているた
め、ポンピング用のレーザ光の入射位置は任意となる。
【0018】レーザダイオード1より出力されるポンピ
ング用のレーザ光が、レーザ媒質5において広い範囲に
広げられると、レーザ媒質5において発生される基本波
レーザ光のエネルギーが分散し、小さくなってしまう。
そこでレーザダイオード1としては、できるだけ集光性
のよいものが用いられる。即ち、発光点の小さいもの
(活性層の幅の小さいもの)が用いられる。
【0019】例えば図2(b)に示すように、活性層の
幅Lが50μm乃至200μmのものとすると、ポンピ
ング用のレーザ光のパワーとして200mw乃至1wの
ものを得ることができる。しかしながら、このように幅
が広いとレーザ媒質5においてできるだけ狭い範囲に集
束させることが困難となる。そこで図2(a)に示すよ
うに、活性層の幅Lが数μm程度のものを用いるのが好
ましい。これにより、5mw乃至50mwのポンピング
用のレーザ光を得ることができる。
【0020】ポンピング用のレーザ光自体の強度は、活
性層の幅の大きいものの方が大きくなるが、活性層の幅
の小さいものの方がレーザ媒質5の中におけるより小さ
い領域に集束させることができるので、そこより発生さ
れる基本波レーザ光のレベル、従って第2高調波レーザ
光のレベルは活性層の幅が小さいものを用いた方がより
大きくすることができる。
【0021】また、レンズ2はできるだけ小さい集束点
が得られるように、NAが大きく、収差の小さいものが
用いられる。さらに、ポンピング用のレーザ光はその波
長λができるだけ小さいものが用いられる。
【0022】また、平面ミラー11は、それに対して比
較的近接している熱レンズ5aと共動して一種の凹面ミ
ラーを構成する。これにより、共振動作を繰返す間にエ
ネルギーレベルが増強される。
【0023】次に、第2高調波レーザ光が発生される場
合の動作について説明する。レーザダイオード1が出力
したポンピング用のレーザ光はレンズ2に入射される。
レンズ2は、このレーザ光を平面ミラー11、1/4波
長板4を介してレーザ媒質5の所定の点に集束させる。
これにより、レーザ媒質5の中に熱レンズ5aが形成さ
れる。レーザ媒質5は、このポンピング用のレーザ光の
入射を受け、基本波レーザ光を発生する。この基本波レ
ーザ光は非線形光学結晶素子(KTP)6に入射され、
平面ミラー12で反射される。平面ミラー12で反射さ
れた基本波レーザ光は非線形光学結晶素子6を透過し
て、再びレーザ媒質5に入射される。
【0024】レーザ媒質5より図中左方向に出射された
基本波レーザ光は、1/4波長板4を透過して平面ミラ
ー11で反射される。この反射された基本波レーザ光は
1/4波長板4を介して、再びレーザ媒質5に入射され
る。このようにして、平面ミラー11と平面ミラー12
の間を基本波レーザ光が繰返し往復する。即ち、平面ミ
ラー11、1/4波長板4、レーザ媒質5、非線形光学
結晶素子6および平面ミラー12により、レーザ光共振
器8が構成されている。非線形光学結晶素子6(KTi
OPO4)(光学軸を1つ持つ1軸結晶)は、タイプII
の位相整合により基本波レーザ光の2倍の周波数の第2
高調波レーザ光を発生する。平面ミラー11は熱レンズ
5aと共動し、一種の凹面ミラーを形成する。これによ
り、共振動作を繰り返す間にエネルギーレベルが増大さ
れ、基本波レーザ光のほとんどを反射し、第2高調波レ
ーザ光のほとんどを透過するようになされた平面ミラー
12より第2高調波レーザ光が出力される。
【0025】そして、図3において説明した場合と同様
に、レーザ媒質5を往復する基本波レーザ光は常に円偏
光状態となるため、ツイストモード効果により空間ホー
ルバーニング効果が抑制される。
【0026】以上においては、調整プレート22をポン
ピング用のレーザ光の光軸LA2に対して垂直な方向に
移動調整自在とするようにしたが、レーザダイオード1
(ヒートシンク21)をポンピング用のレーザ光の光軸
LA2に対して垂直な方向に移動調整自在とするように
してもよい。あるいはまた、レーザダイオード1とレン
ズ2を一体化し、その両者を同時に光軸LA2に対して
垂直な方向に移動調整自在とするようにしてもよい。さ
らにまた、レーザダイオード1とレンズ2を固定し、プ
レート23を光軸LA2に対して垂直な方向に移動調整
自在にすることもできる。要はポンピング用のレーザ光
の光軸LA2をプレート23に対して相対的に移動調整
自在とすればよい。
【0027】
【発明の効果】以上の如く本発明のレーザ光発生装置に
よれば、ポンピング用のレーザ光をその光軸と垂直な方
向に移動調整自在とするようにしたので、調整操作が容
易となり、またツイストモード効果により空間ホールバ
ーニング効果を抑制することができる。さらに、共振器
を構成するミラーを平面状に形成するようにしたので作
成が容易となり、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ光発生装置の一実施例の構成を
示す図である。
【図2】図1の実施例において用いられるレーザダイオ
ードの構成を説明する図である。
【図3】従来のレーザ光発生装置の一例の構成を示す図
である。
【図4】図3における1/4波長板4と非線形光学結晶
素子6の方位角を説明する図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオード 2 レンズ 3 凹面ミラー 4 1/4波長板 5 レーザ媒質 5a 熱レンズ 6 非線形光学結晶素子 6a 入射面 7 平面ミラー 11,12 平面ミラー 21 ヒートシンク 22 調整プレート 23 プレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 3/0941 H01S 3/109

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンピング用のレーザ光を発生するレー
    ザダイオードと、前記ポンピング用のレーザ光の光軸を調整するレンズが
    載置された調整プレートと、 前記ポンピング用のレーザ光の入射を受け、熱レンズを
    形成して基本波レーザ光を発生するレーザ媒質と、 前記基本波レーザ光の入射を受け、その第2高調波レー
    ザ光を発生するとともに、前記基本波レーザ光の光軸に
    対して傾斜した面を有する非線形光学結晶素子と、 前記基本波レーザ光の2つの偏光モード間のカップリン
    グを抑制する光学素子と、 前記レーザダイオードと前記レーザ媒質の間に配置さ
    れ、前記基本波レーザ光を前記レーザ媒質に戻るように
    反射する平面状の第1のミラーと、 前記非線形光学結晶素子からの前記基本波レーザ光を前
    記非線形光学結晶素子に向けて反射する、前記レーザ媒
    質、非線形光学結晶素子、および光学素子とともにレー
    ザ共振器を構成する平面状の第2のミラーとを備え、前記レーザダイオード、および、前記調整プレートの一
    方または両方を、前記ポンピング用のレーザ光の光軸に
    対して、垂直な方向に移動調整自在とすることにより、
    前記ポンピング用のレーザ光は、その光軸と垂直な方向
    に移動調整自在とされていることを特徴とするレーザ光
    発生装置。
JP03103979A 1991-04-09 1991-04-09 レーザ光発生装置 Expired - Lifetime JP3082865B2 (ja)

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